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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200515110 審決 特許
審判19967530 審決 特許
無効200035214 審決 特許
不服200119641 審決 特許
審判199715350 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 (訂正、訂正請求) 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1026380
審判番号 審判1999-14286  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-09-06 
確定日 2000-10-17 
事件の表示 平成 7年特許権存続期間延長登録願第700002号「血管内投与用薬剤の製造方法」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.(本件特許の概要)
本件特許第1359883号は、昭和50年6月6日(優先権主張1974年6月6日、スウエーデン国)に出願され、昭和61年6月17日の出願公告を経て、昭和62年1月30日に設定の登録がされたものであり、その特許発明の要旨は、設定の登録時の明細書の記載からみて、その特許請求の範囲第1項に記載された次のとおりのものと認める。
「a 水不溶性であるが親水性で膨潤可能な三次元網状構造を有するグルコース単位から構成された多糖類または該多糖類の生理学的に許容しうる誘導体であつて、該多糖類または多糖類誘導体は共有性結合をもつ架橋により交叉結合し、該交叉結合は、直接かまたは血液プラズマ中の酵素の作用によつて該多糖類中に多分存在している置換基を前以て切断した後に血液プラズマ中のα-アミラーゼによつて水溶性分画に分解されうるような置換度にまでなされているものからなる粒子を自体公知の方法によつて製造し、
b 該粒子を篩別し、ブロックすべき血管の直径に基づいて選択された範囲内の粒子サイズを有する画分を採取し、
c 粒子の該画分を、場合によつては1またはそれ以上の治療もしくは診断剤または他の生理学的に許容しうる物質とともに、生理学的に許容しうる水溶液に懸濁し、
d 該懸濁液を容器に充填し、該懸濁液は無菌的に製造されるかまたは滅菌されている
ことを特徴とする血管内的に投与された後それらが特定の体部分に位置されているかまたはそこに導く微小血管をブロックするようなサイズを有する微細粒子の懸濁液からなるかまたはかかる懸濁液を含有する、体の特定の部分中にあるかまたはこれに導く血管への血管内投与用薬剤の製造方法。」
2.(本件出願の概要)
これに対する特許権の存続期間の延長登録の出願(以下、本件出願という。)は、特許発明の実施について特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとするもので、その政令で定める処分の内容として以下のことを挙げている。
(1)特許権の存続期間の延長登録の理由となる処分
薬事法第14条第1項に規定する医療用具に係る同法第23条において準用する第14条第1項の承認
(2)処分を特定する番号
承認番号(06B輸)第1055号
(3)処分の対象となったもの
微小デンプン球であって部分的に加水分解したバレイショデンプンをエピクロロヒドリンで架橋して製した白色の球状粒子(微小デンプン球)を生理食塩水に懸濁したものである。
(4)処分の対象となった物について特定された用途
転移性肝癌に対し、マイトマイシンCとともに肝動脈内に投与することにより一過性の塞栓を形成し、マイトマイシンCの抗腫瘍効果を増強することを目的として使用する。
なお、この処分を、以下、本件処分という。
3.(原査定の拒絶理由)
本件出願に対する原審の拒絶の理由は、「この出願に係る特許発明の実施に特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないから、この出願は特許法第67条の3第1項第1号に該当する。」というものであり、以下の点を指摘している。「なお、本件延長登録の出願に係る処分は、薬事法第23条において準用する同法第14条第1項の規定における医療用具についての承認であり、特許法第67条第2項における延長登録の出願の要件である政令で定めるもの、すなわち、特許法施行令第1条の3第2号に規定される薬事法第14条第1項に規定する医薬品に係る同項の承認、ではない。」
4.(当審の判断)
そこで、原査定の拒絶の理由について、検討する。
本件出願は、前述のとおり、特許権の存続期間の延長登録の理由となる処分として、薬事法第14条第1項に規定する医療用具に係る同法第23条において準用する第14条第1項の承認(以下、本件承認という。)を示しており、このことは、延長の理由を記載した資料に添付された医療用具輸入承認書の写しの記載によって裏付けられているところである。
ところで、本件処分の根拠となる薬事法第14条第1項は、「厚生大臣は、医薬品(厚生大臣が基準を定めて指定する医薬品を除く。)、医薬部外品(厚生大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)、厚生大臣の指定する成分を含有する化粧品又は医療用具(厚生大臣の指定する医療用具を除く。)につき、これを製造しようとする者から申請があつたときは、品目ごとにその製造についての承認を与える。」と規定されており、この規定によれば、同項に基づいて与えられる承認は、医薬品の製造についての承認、医薬部外品の製造についての承認、化粧品の製造についての承認又は医療用具の製造についての承認、であることが明らかである。同様に、同法第23条において同項を準用する場合に与えられる承認は、医薬品の輸入についての承認、医薬部外品の輸入についての承認、化粧品の輸入についての承認又は医療用具の輸入についての承認、であることが明らかであり、これら承認の対象は、各々区別されて規定されている。
一方、特許法施行令第1条の3第2項において、特許法第67条第2項の政令で定める処分として規定されているもののうち、薬事法第14条第1項に基づくものは、「薬事法(昭和35年法律第145号)第14条第1項に規定する医薬品に係る同項(同法第23条において準用する場合を含む。)の承認」であって、当該政令で定める処分に含まれるものは、上述の薬事法の規定における承認のうち、医薬品の製造についての承認又は医薬品の輸入についての承認のみであって、医療用具の輸入についての承認は含まれないものと解されるから、本件処分は、特許法第67条第2項の政令で定める処分には該当しないものといわざるを得ない。
してみると、本件特許発明は、特許法第67条第2項にいう政令で定める処分以外の処分である本件処分を受けることによって、その実施が可能となったものとされているのであるから、本件特許発明の実施に特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったと認めることができない。
この点について、本件審判請求人は、「そもそも特許法第67条第2項において、特許権の存続期間延長制度を規定した理由は、その特許発明に付いて安全性の確保などを目的とする法律の規定による許可その他の処分であって、当該処分の目的、手続きなどからみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要する処分を受けることが必要であったために、特許発明を実施することができず、本来享受できるはずの特許期間が浸食された場合に特許発明を実施することができなかった期間に応じて2年から5年迄その特許期間を延長して特許発明を実施することができなかった期間を回復させ、もって発明の保護を図るところにあります。」とし、この見解をもとに、「本願は特許法第67条第2項に規定された特許権の存続期間の延長のための要件を満たすものである」と主張する。
しかしながら、特許法第67条第2項の規定によれば、同項の規定により特許権の存続期間を延長することができるためには、単に「その特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であつて当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するもの」を受けることが必要であるだけでは足りず、かかる処分として「政令で定める」ものを受けることが必要であることが求められており、これに反する見解に基づく本件審判請求人の主張は採用できない。
5.(むすび)
以上のとおりであるから、本件出願は、特許法第67条の3第1項第1号に該当し、本件出願によって特許権の存続期間の延長登録を受けることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-04-07 
結審通知日 2000-04-21 
審決日 2000-05-31 
出願番号 特願平7-700002
審決分類 P 1 8・ 71- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後藤 圭次池田 正人星野 紹英吉住 和之  
特許庁審判長 吉村 康男
特許庁審判官 宮本 和子
内藤 伸一
登録番号 特許第1359883号(P1359883)
発明の名称 血管内投与用薬剤の製造方法  
代理人 西村 公佑  
代理人 高木 千嘉  

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