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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B23D
審判 全部申し立て 2項進歩性  B23D
管理番号 1027398
異議申立番号 異議1998-76154  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-09-10 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-12-25 
確定日 2000-04-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2769297号「棒材切断装置」の請求項1乃至5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2769297号の請求項1乃至3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2769297号発明は、平成7年2月22日の出願であって、平成10年4月10日に特許の設定登録がなされ、その後、石原機械工業株式会社より特許異議の申立てがなされ、当審において取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年7月13日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正請求の内容
訂正請求は、本件特許に係る願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)を訂正請求書に添付した訂正明細書(以下「本件訂正明細書」という。)のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は次のとおりのものである。
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1および請求項2を削除する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項3に係る記載「【請求項3】 棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、該棒材把持機により把持された該棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、
前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、該切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具が前記棒材に接近するように該切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられ、
前記棒材把持機は、
一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部が該棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、
前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えて該棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することにより該受け部との間で該棒材を把持するために前記本体に該棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、
長手状を成して一端側において前記第1回動軸心に平行に設けられた第2回動軸心回りの回動可能に前記本体に設けられた第1回動部材と、
一端部において前記押圧部材に前記第1回動軸心と平行な第3回動軸心回りに相対回動可能に連結されると共に、他端部において前記第1回動部材の他端側に前記第1回動軸心と平行な第4回動軸心回りに相対回動可能に連結され、前記第2回動軸心、該第3回動軸心、および該第4回動軸心が一直線上に位置させられて前記押圧部材が前記棒材を把持する固定位置と、該第2回動軸心と該第3回動軸心とを結ぶ直線上から該第4回動軸心が外されて前記押圧部材が該棒材を把持しない解放位置との間で回動される第2回動部材と
を、含むことを特徴とする棒材切断装置。
」を、
「【請求項1】 棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、該棒材把持機により把持された該棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、
前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、該切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具が前記棒材に接近するように該切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられ、
前記棒材把持機は、
一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部が該棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、
前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えて該棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することにより該受け部との間で該棒材を把持するために前記本体に該棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、
長手状を成して一端側において前記第1回動軸心に平行に設けられた第2回動軸心回りの回動可能に前記本体に設けられた第1回動部材と、
一端部において前記押圧部材に前記第1回動軸心と平行な第3回動軸心回りに相対回動可能に連結されると共に、他端部において前記第1回動部材の他端側に前記第1回動軸心と平行な第4回動軸心回りに相対回動可能に連結され、前記第2回動軸心、該第3回動軸心、および該第4回動軸心が一直線上に位置させられて前記押圧部材が前記棒材を把持する固定位置と、該第2回動軸心と該第3回動軸心とを結ぶ直線上から該第4回動軸心が外されて前記押圧部材が該棒材を把持しない解放位置との間で回動される第2回動部材と、
前記棒材の直径が異なる場合には、ねじ込み量を前記棒材の直径に応じて変化させることにより、前記固定位置において、前記第2回動軸心、前記第3回動軸心、および前記第4回動軸心を一直線上に位置させるアジャストボルトと
を、含むことを特徴とする棒材切断装置。
」と訂正する。
ウ.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項4に係る記載「【請求項4】 棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、該棒材把持機により把持された該棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、
前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、該棒材把持機により把持された前記棒材の軸心が前記切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具の回転中心の移動軌跡の延長線よりも該円板状回転切断工具の回転方向側に位置した状態で該円板状回転切断工具が該棒材に接近するように、該切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられていることを特徴とする棒材切断装置。
」を、
「【請求項2】 前記工具案内装置は、前記棒材把持機により把持された前記棒材の軸心が前記切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具の回転中心の移動軌跡の延長線よりも該円板状回転切断工具の回転方向側に位置した状態で該円板状回転切断工具が該棒材に接近するように、該切断機をその長手方向に沿って直線的に案内するものである請求項1の棒材切断装置。
」と訂正する。
エ.訂正事項d
特許請求の範囲の請求項5に係る記載「【請求項5】 前記工具案内装置は、
前記切断機および前記棒材把持機の一方に設けられたラックギアと、
該切断機および該棒材把持機の他方に設けられて該ラックギアと噛み合わされるピニオンギアと、
該ピニオンギアに備えられ、該ピニオンギアを所定の回動軸心回りに回動させることにより、該ピニオンギアと該ラックギアとの噛合に基づいて該切断機を前記棒材に接近する方向に直線的に移動させるための操作部材と
を、含むものである請求項1乃至4の何れかの棒材切断装置。
」を、
「【請求項3】 前記工具案内装置は、
前記切断機および前記棒材把持機の一方に設けられたラックギアと、
該切断機および該棒材把持機の他方に設けられて該ラックギアと噛み合わされるピニオンギアと、
該ピニオンギアに備えられ、該ピニオンギアを所定の回動軸心回りに回動させることにより、該ピニオンギアと該ラックギアとの噛合に基づいて該切断機を前記棒材に接近する方向に直線的に移動させるために手で操作される操作部材と
を、含む、ものである請求項1または2の棒材切断装置。
」と訂正する。
オ.訂正事項e
明細書の段落【0006】を削除する。
カ.訂正事項f
明細書の段落【0007】を削除する。
キ.訂正事項g
明細書の段落【0009】を削除する。
ク.訂正事項h
明細書の段落【0010】を削除する。
ケ.訂正事項i
明細書の段落【0011】の記載「【0011】 また、前記目的を達成するための他の発明の要旨とするところは、棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、その棒材把持機により把持されたその棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、(a)前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、その切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具が前記棒材に接近するようにその切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられ、前記棒材把持機は、(b)一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部がその棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、(c)前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えてその棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することによりその受け部との間でその棒材を把持するために前記本体にその棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、(d)長手状を成して一端側において前記第1回動軸心に平行に設けられた第2回動軸心回りの回動可能に前記本体に設けられた第1回動部材と、(e)-端部において前記押圧部材に前記第1回動軸心と平行な第3回動軸心回りに相対回動可能に連結されると共に、他端部において前記第1回動部材の他端側に前記第1回動軸心と平行な第4回動軸心回りに相対回動可能に連結され、前記第2回動軸心、それら第3回動軸心、および第4回動軸心が一直線上に位置させられて前記押圧部材が前記棒材を把持する固定位置と、それら第2回動軸心と第3回動軸心とを結ぶ直線上からその第4回動軸心が外されて前記押圧部材がその棒材を把持しない解放位置との間で回動される第2回動部材とを、含むことにある。」を、
「【0006】【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、その棒材把持機により把持されたその棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、(a)前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、その切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具が前記棒材に接近するようにその切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられ、前記棒材把持機は、(b)-端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部がその棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、(c)前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えてその棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することによりその受け部との間でその棒材を把持するために前記本体にその棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、(d)長手状を成して一端側において前記第1回動軸心に平行に設けられた第2回動軸心回りの回動可能に前記本体に設けられた第1回動部材と、(e)-端部において前記押圧部材に前記第1回動軸心と平行な第3回動軸心回りに相対回動可能に連結されると共に、他端部において前記第1回動部材の他端側に前記第1回動軸心と平行な第4回動軸心回りに相対回動可能に連結され、前記第2回動軸心、それら第3回動軸心、および第4回動軸心が一直線上に位置させられて前記押圧部材が前記棒材を把持する固定位置と、それら第2回動軸心と第3回動軸心とを結ぶ直線上からその第4回動軸心が外されて前記押圧部材がその樺材を把持しない解放位置との間で回動される第2回動部材と、(f)前記棒材の直径が異なる場合には、ねじ込み量を前記棒材の直径に応じて変化させることにより、前記固定位置において、前記第2回動軸心、前記第3回動軸心、および前記第4回動軸心を一直線上に位置させるアジャストボルトとを、含むことにある。
」と訂正する。
コ.訂正事項j
明細書の段落【0012】の記載「【0012】
このようにすれば、棒材切断装置には、棒材把持機と切断機との間に、その切断機の一端に設けられた円板状回転切断工具が棒材に接近するように直線的にその切断機をその長手方向に沿って案内する工具案内装置が備えられると共に、その棒材把持機は、一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部がその棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えてその棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することによりその受け部との間でその棒材を把持するためにその本体に棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、一端側においてその第1回動軸心と平行な第2回動軸心回りの回動可能にその本体に設けられた第1回動部材と、それら押圧部材と第1回動部材とにそれぞれ第3,第4回動軸心回りに相対回動可能に連結される第2回動部材とを含んで構成され、その第2回動部材は、上記第2,第3,および第4回動軸心の3つの回動軸心が一直線上に位置させられて押圧部材が棒材を把持する固定位置と、それら3つの回動軸心が一直線上に位置させられず押圧部材が棒材を把持しない解放位置との間で操作される。そのため、棒材を切断するに際しては、円板状回転切断工具が棒材把持機によって把持されたその棒材に接近する方向に直線的に向かわせられることから、従来の棒材切断装置のように切断機の回動角度を確保する必要がなくなって、比較的密に配設された鉄筋や樹脂パイプ等の棒材を切断することも可能となる。しかも、本体の一端部に鉤状に突き出した備えられた受け部の受け面の少なくとも一部を、棒材の側方を通して円板状回転切断工具側とは反対側に位置させた状態で、押圧部材によってその棒材を円板状回転切断工具側からその受け面に向かって押圧することにより、その棒材が把持されることから、受け部および押圧部材によって棒材を側方から把持する場合に比較して、鉄筋や樹脂パイプ等の棒材が比較的密に配設されている場合にも、容易にその棒材を把持できる。更に、上記第2回動部材の固定位置では、上記3つの回動軸心が一直線上に位置させられることから、棒材から押圧部材が受ける反力は、押圧部材の第1回動軸心および第1回動部材の第2回動軸心に受けられて、その第1回動部材および第2回動部材を回動させる力としては作用しない。したがって、棒材を簡単な操作で確実に把持することが可能となる。」を、
「【0007】
【作用および発明の効果】
このようにすれば、棒材切断装置には、棒材把持機と切断機との間に、その切断機の一端に設けられた円板状回転切断工具が棒材に接近するように直線的にその切断機をその長手方向に沿って案内する工具案内装置が備えられると共に、その棒材把持機は、一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部がその棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えてその棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することによりその受け部との間でその棒材を把持するためにその本体に棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、一端側においてその第1回動軸心と平行な第2回動軸心回りの回動可能にその本体に設けられた第1回動部材と、それら押圧部材と第1回動部材とにそれぞれ第3,第4回動軸心回りに相対回動可能に連結される第2回動部材とを含んで構成され、その第2回動部材は、上記第2、第3、および第4回動軸心の3つの回動軸心が一直線上に位置させられて押圧部材が棒材を把持する固定位置と、それら3つの回動軸心が一直線上に位置させられず押圧部材が棒材を把持しない解放位置との間で操作される。そのため、棒材を切断するに際しては、円板状回転切断工具が棒材把持機によって把持されたその棒材に接近する方向に直線的に向かわせられることから、従来の棒材切断装置のように切断機の回動角度を確保する必要がなくなって、比較的密に配設された鉄筋や樹脂パイプ等の棒材を切断することも可能となる。しかも、本体の一端部に鉤状に突き出した備えられた受け部の受け面の少なくとも一部を、棒材の側方を通して円板状回転切断工具側とは反対側に位置させた状態で、押圧部材によってその棒材を円板状回転切断工具側からその受け面に向かって押圧することにより、その棒材が把持されることから、受け部および押圧部材によって棒材を側方から把持する場合に比較して、鉄筋や樹脂パイプ等の棒材が比較的密に配設されている場合にも、容易にその棒材を把持できる。更に、上記第2回動部材の固定位置では、上記3つの回動軸心が一直線上に位置させられることから、棒材から押圧部材が受ける反力は、押圧部材の第1回動軸心および第1回動部材の第2回動軸心に受けられて、その第1回動部材および第2回動部材を回動させる力としては作用しない。したがって、棒材を簡単な操作で確実に把持することが可能となる。また、棒材の直径が異なる場合には、アジャストボルトのねじ込み量をその棒材の直径に応じて変化させることにより、上記固定位置において上記3つの回動軸心が一直線上に位置させられることから、アジャストボルトのねじ込み量が変化させられる範囲内において、種々の直径を有する棒材を把持することが可能である。
」と訂正する。
サ.訂正事項k
明細書の段落【0013】の記載「【0013】
また、前記目的を達成するための更に他の発明の要旨とするところは、棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、その棒材把持機により把持されたその棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、(a)前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、その棒材把持機により把持された前記棒材の軸心が前記切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具の回転中心の移動軌跡の延長線よりもその円板状回転切断工具の回転方向側に位置した状態でその円板状回転切断工具がその棒材に接近するように、その切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられていることにある。」を、
「【0008】
好適には、前記工具案内装置は、前記棒材把持機により把持された前記棒材の軸心が前記切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具の回転中心の移動軌跡の延長線よりもその円板状回転切断工具の回転方向側に位置した状態でその円板状回転切断工具がその棒材に接近するように、その切断機をその長手方向に沿って直線的に案内するものである。
」と訂正する。
シ.訂正事項l
明細書の段落【0014】の記載「【0014】
このようにすれば、棒材切断装置には、棒材把持機と切断機との間に、その棒材把持機により把持された棒材の軸心がその切断機の一端に設けられた円板状回転切断工具の回転方向側に位置した状態でその円板状回転切断工具が棒材に接近するように、その切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられる。そのため、棒材を切断するに際しては、円板状回転切断工具が前記棒材把持機によって把持されたその棒材に接近する方向に直線的に向かわせられることから、従来の棒材切断装置のように切断機の回動角度を確保する必要がなくなって、比較的密に配設された鉄筋や樹脂パイプ等の棒材を切断することも可能となるが、このとき、棒材は、その軸心が円板状回転切断工具の回転中心に対して回転方向側にずれた状態で切断される。したがって、切断時において円板状回転切断工具の外周刃が棒材に接触させられると、その円板状回転切断工具をその棒材側に接近させる方向の力が生じることとなり、切断時に円板状回転切断工具を棒材に接近する方向に工具案内装置に従って案内するために必要な力が減じられて、切断加工を一層容易に行うことが可能となる。」を、
「【0009】 このようにすれば、棒材を切断するに際しては、円板状回転切断工具が前記棒材把持機によって把持されたその棒材に接近する方向に直線的に向かわせられることから、従来の棒材切断装置のように切断機の回動角度を確保する必要がなくなって、比較的密に配設された鉄筋や樹脂パイプ等の棒材を切断することも可能となるが、このとき、棒材は、その軸心が円板状回転切断工具の回転中心に対して回転方向側にずれた状態で切断される。したがって、切断時において円板状回転切断工具の外周刃が棒材に接触させられると、その円板状回転切断工具をその棒材側に接近させる方向の力が生じることとなり、切断時に円板状回転切断工具を樺材に接近する方向に工具案内装置に従って案内するために必要な力が減じられて、切断加工を一層容易に行うことが可能となる。」と訂正する。
ス.訂正事項m
明細書の段落【0015】の記載「【0015】
また、好適には、前記工具案内装置は、(j)前記切断機および前記棒材把持機の一方に設けられたラックギアと、(k)それら切断機および棒材把持機の他方に設けられてそのラックギアと噛み合わされるピニオンギアと、(l)そのピニオンギアに備えられ、そのピニオンギアを所定の回動軸心回りに回動させることにより、それらピニオンギアとラックギアとの噛合に基づいてその切断機を前記棒材に接近する方向に直線的に移動させるための操作部材とを、含むものである。」を、
「【0010】
また、好適には、前記工具案内装置は、前記切断機および前記棒材把持機の-方に設けられたラックギアと、それら切断機および棒材把持機の他方に設けられてそのラックギアと噛み合わされるピニオンギアと、そのピニオンギアに備えられ、そのピニオンギアを所定の回動軸心回りに回動させることにより、それらピニオンギアとラックギアとの噛合に基づいてその切断機を前記棒材に接近する方向に直線的に移動させるために手で操作される操作部材とを、含むものである。」に訂正する。
セ.訂正事項n
明細書における段落【0064】を削除する。
ソ.訂正事項o
明細書の段落【0066】の記載「【0066】
また、実施例においては、押圧部56を有して受け部20の基部24に取り付けられた押圧部材28と、その押圧部材28にピン3 0の軸心回りに相対回動可能に連結された連結部材32と、一端部においてその連結部材32にピン34の軸心回りに相対回動可能に連結されると共に他端部においてアジャストボルト40の先端面中央の回りに回動可能に備えられた回動部材38とが備えられ、相対回動中心(ピン30,34の軸心)および回動部材38の回動中心が一直線上に位置した状態で棒材12aが把持されるように構成されていたが、例えば、回動部材38はアジャストボルト40の先端部にピン等によって回動可能に取り付けられていても良く、或いは、案内部材42等に取り付けられたボルト等によって押圧部56を受け面54に向かって押圧することにより、棒材12aが把持されるように構成されていても差し支えない。」を、
「【0060】
また、実施例においては、押圧部56を有して受け部20の基部24に取り付けられた押圧部材28と、その押圧部材28にピン30の軸心回りに相対回動可能に連結された連結部材32と、一端部においてその連結部材32にピン34の軸心回りに相対回動可能に連結されると共に他端部においてアジャストボルト40の先端面中央の回りに回動可能に備えられた回動部材38とが備えられ、相対回動中心(ピン30,34の軸心)および回動部材3 8の回動中心が一直線上に位置した状態で棒材12aが把持されるように構成されていたが、例えば、回動部材38はアジャストボルト40の先端部にピン等によって回動可能に取り付けられていても良い。」と訂正する。
タ.訂正事項p
明細書の【符号の説明】の
「10:棒材切断装置
12:棒材
14:棒材把持機
16:円板状回転切断工具
18:切断機
{4 2:案内部材,{144,146:案内壁部,148,150:裏板}(移動部材)}(工具案内装置)」を、
「10:棒材切断装置
12:棒材
14:棒材把持機
16:円板状回転切断工具
18:切断機
22:本体
28:押圧部材
32:連結部材(第2回動部材)
36:回動部材(第1回動部材)
40:アジャストボルト
{4 2:案内部材,{144,146:案内壁部,148,150:裏板}(移動部材)}(工具案内装置)」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無および拡張・変更の存否
ア.訂正事項aについては、
請求項1及び請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ.訂正事項bについては、
本件特許明細書の請求項3において、「棒材把持機」は、「直径が異なる場合には、ねじ込み量を前記棒材の直径に応じて変化させることにより、前記固定位置において、前記第2回動軸心、前記第3回動軸心、および前記第4回動軸心を一直線上に位置させるアジャストボルトを含むこと」を限定して訂正後の請求項1とするものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、この限定した事項は、段落【0018】及び【0045】、並びに【図3】の記載に基づくものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
ウ.訂正事項cについては、
本件特許明細書の請求項4に記載された構成要件のうち、「工具案内装置は、棒材の軸心が円板状回転切断工具の回転中心の移動軌跡の延長線よりもその円板状回転切断工具の回転方向側に位置した状態で切断機を直線的に案内するものである」という要件を、前記訂正後の請求項1に従属させて訂正後の請求項2とするものであり、棒材切断装置の構成を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的にするものに該当する。
エ.訂正事項dについては、
本件特許明細書の請求項5において、「操作部材」が「手で操作される」ことに限定して訂正後の請求項3とし、そして引用請求項を減少するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、この限定した事項は、段落【0050】の記載に基づくものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
オ.訂正事項e乃至pは、訂正事項a乃至cによる特許請求の範囲の請求項1乃至3の訂正に伴い、発明の詳細な説明及び符号の説明の記載をこれに整合するように訂正するもので、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
(3)独立特許要件の判断
ア.本件訂正後の発明
上記訂正請求に基づく本件請求項1乃至3に係る発明(以下、「本件訂正後の発明1乃至3」という)は、本件訂正明細書及び本件特許図面の記載からみて、本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載されたつぎのとおりのものと認める。
「「【請求項1】 棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、該棒材把持機により把持された該棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、
前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、該切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具が前記棒材に接近するように該切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられ、
前記棒材把持機は、
一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部が該棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、
前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えて該棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することにより該受け部との間で該棒材を把持するために前記本体に該棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、
長手状を成して一端側において前記第1回動軸心に平行に設けられた第2回動軸心回りの回動可能に前記本体に設けられた第1回動部材と、
一端部において前記押圧部材に前記第1回動軸心と平行な第3回動軸心回りに相対回動可能に連結されると共に、他端部において前記第1回動部材の他端側に前記第1回動軸心と平行な第4回動軸心回りに相対回動可能に連結され、前記第2回動軸心、該第3回動軸心、および該第4回動軸心が一直線上に位置させられて前記押圧部材が前記棒材を把持する固定位置と、該第2回動軸心と該第3回動軸心とを結ぶ直線上から該第4回動軸心が外されて前記押圧部材が該棒材を把持しない解放位置との間で回動される第2回動部材と、
前記棒材の直径が異なる場合には、ねじ込み量を前記棒材の直径に応じて変化させることにより、前記固定位置において、前記第2回動軸心、前記第3回動軸心、および前記第4回動軸心を一直線上に位置させるアジャストボルトと
を、含むことを特徴とする棒材切断装置。
【請求項2】 前記工具案内装置は、前記棒材把持機により把持された前記棒材の軸心が前記切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具の回転中心の移動軌跡の延長線よりも該円板状回転切断工具の回転方向側に位置した状態で該円板状回転切断工具が該棒材に接近するように、該切断機をその長手方向に沿って直線的に案内するものである請求項1の棒材切断装置。
【請求項3】 前記工具案内装置は、
前記切断機および前記棒材把持機の一方に設けられたラックギアと、
該切断機および該棒材把持機の他方に設けられて該ラックギアと噛み合わされるピニオンギアと、
該ピニオンギアに備えられ、該ピニオンギアを所定の回動軸心回りに回動させることにより、該ピニオンギアと該ラックギアとの噛合に基づいて該切断機を前記棒材に接近する方向に直線的に移動させるために手で操作される操作部材と
を、含む、ものである請求項1または2の棒材切断装置。」
イ.取消理由の概要
一方、当審において通知した取消理由の概要は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3、5に係る発明は、引用刊行物1(実公平6-37849号公報、特許異議申立人石原機械工業株式会社提出の甲第1号証)、引用刊行物2(特開昭63-196318号公報、同甲第2号証)、引用刊行物3(実願昭50-2787号(実開昭51-83085号)のマイクロフィルム)、及び引用刊行物4(実願昭56-52268号(実開昭57-165369号)のマイクロフィルム)に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また同請求項4に係る発明は前記引用刊行物1に記載された発明であるから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してなされたものであるというにある。
ウ.取消理由についての判断
そこで、以下に、本件訂正後の発明1乃至3に対して、上記取消理由について検討する。
ウ-1
各引用刊行物には次の事項が記載されているものと認める。
ウ-1-1(引用刊行物1)
丸鋸刃9(本件の円板状回転切断工具に相当する)を有する丸鋸切断機本体(本件の長手状の切断機に相当する)がワークW(本件の棒材に相当)に向けて直線的に往復動されて、ワークWを切断するように刃台2、レール台3など(本件の工具案内装置に相当する)が丸鋸切断機に設けられているとともに、可動バイス4b、4cと固定バイス4 aによってワークWを把持するクランプ装置4(本件の棒材把持機に相当する)が設けられており、クランプ装置4でワークWをクランプしつつ、油圧シリンダ13を進出駆動させることにより、丸鋸刃9を持つ刃台2をラック14、ピニオン15、スクリュー軸17、及びナット部材20の組合せでワークWに接近する方向に直線的に送ってワークWを切断する、という構成を有する丸鋸切断機の刃台送り装置。(第4欄第25行乃至第6欄第22行及び第1図参照)
ウ-1-2(引用刊行物2)
一対の受面10を備える部材を本体フレーム1に設けるとともに、押圧面20を備えるクランプ6を本体フレーム1に回動可能に取り付け、レバー111を操作してワイヤ-14を引くと、クランプ杵6が左回動して押圧面20が一対の受面10の交線に向かって押圧されることにより電極棒7(本件の棒材に相当する)を把持し、次いで、回転切刃9(本件の円板状回転切断工具に相当する)が左回動して電極棒方向に送られて切断を開始する、という構成を有する携帯用切断装置。(第2頁右下欄第17行乃至第3頁右下欄第6行、及び第4図参照)
ウ-1-3(引用刊行物3)
締めネジ杆6で切断対象物A(本件の棒材に相当する)を固定するコ字形固定具5を設けたフレーム2の一対の管製脚片4に一対の案内管10を摺動自在に蕨合すると共に、丸鋸板16(本件の円板状回転切断工具に相当する)を備えた切断機構部9(本件の切断機に相当する)の連結軸部11およびL型モータブラケット14を上記-対の案内管10に連結し、その連結軸部11に回転可能に取り付けられた上下動調整ネジ杵13を調整ハンドル12で回動させることによって上記切断機構部9を上下動させて切断対象物Aの切断を行う簡易切断機。(刊行物3第2頁第8行乃至第4頁第10行、及び第2図参照)。
ウ-1-4(引用刊行物4)
サブベース15との間で被切断物Pを保持するためのベース1上に一対のスライドパイプ2が立設され、これに切断砥石5を備えた切断機構CMが昇降可能に設けられたたて型切断機。(第5頁第11行乃至第6頁第10行参照)
ウ-2
そこで、本件訂正後の発明1と引用刊行物1乃至4記載の発明とを対比すると、
各引用刊行物記載の発明は、本件訂正後の発明1と一部共通する事項が認められるものの、いずれも本件訂正後の発明1の必須の構成要件である、「長手状を成して一端側において第1回動軸心に平行に設けられた第2回動軸心回りの回動可能に前記本体に設けられた第1回動部材と、一端部において、本体に棒材の軸心方向に平行な前記第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材に前記第1回動軸心と平行な第3回動軸心回りに相対回動可能に連結されると共に、他端部において前記第1回動部材の他端側に前記第1回動軸心と平行な第4回動軸心回りに相対回動可能に連結され、前記第2回動軸心、該第3回動軸心、および該第4回動軸心が一直線上に位置させられて前記押圧部材が前記棒材を把持する固定位置と、該第2回動軸心と該第3回動軸心とを結ぶ直線上から該第4回動軸心が外されて前記押圧部材が該棒材を把持しない解放位置との間で回動される第2回動部材と、前記棒材の直径が異なる場合には、ねじ込み量を前記棒材の直径に応じて変化させることにより、前記固定位置において、前記第2回動軸心、前記第3回動軸心、および前記第4回動軸心を一直線上に位置させるアジャストボルト」を備えておらず、当該構成要件により本件訂正後の発明1は、「上記第2回動部材の固定位置では、上記3つの回動軸心が一直線上に位置させられることから、棒材から押圧部材が受ける反力は、押圧部材の第1回動軸心および第1回動部材の第2回動軸心に受けられて、その第1回動部材および第2回動部材を回動させる力としては作用しない。したがって、棒材を簡単な操作で確実に把持することが可能となる。また、棒材の直径が異なる場合には、アジャストボルトのねじ込み量をその棒材の直径に応じて変化させることにより、上記固定位置において上記3つの回動軸心が一直線上に位置させられることから、アジャストボルトのねじ込み量が変化させられる範囲内において、種々の直径を有する棒材を把持することが可能である。」という明細書記載の格別な効果を奏するものであり、本件訂正後の発明1が引用刊行物1乃至4記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとも、また引用刊行物1記載の発明ともいうことはできない。
また、本件訂正後の発明2及び3は、訂正後の発明1にさらに技術的限定を付したものであるから、訂正後の発明1が、引用刊行物1乃至引用刊行物4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとも、また引用刊行物1記載の発明ともいうことができない以上、本件訂正後の発明2及び3も、引用刊行物1乃至引用刊行物4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとも、また訂正後の発明2が引用刊行物1記載の発明ともいうことはできない。
したがって、本件訂正後の発明1乃至3は、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。
エ.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項から第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについての判断
(1)申立て理由の概要
特許異議申立人石原機械工業株式会社は、甲第1号証刊行物(実公平6-37849号公報、取消理由で引用した引用刊行物1)、及び甲第2号証刊行物(特開昭63-196318号公報、同引用刊行物2)、並びに参考資料1(実公昭59-28737号公報)を提出し、本件請求項1乃至5に係る発明は、甲第1号証刊行物及び甲第2号証刊行物並びに参考資料1に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであり、または本件請求項4に係る発明は甲第1号証に刊行物に記載された発明であるから、この発明に係る特許は、特許法第29条第1項または第2項の規定に違反してなされたものである旨の主張をしている。
(2)判断
しかしながら、本件特許明細書は、前述のとおり訂正されることとなり、本件の請求項1乃至3に係る発明は、前記2.(3)アのとおりである。そして、本件の請求項1乃至3に係る発明は、前記2.(3)ウにおいて述べたように、異議申立人が提出した甲各号証刊行物に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものと認めることができない。
なお、異議申立人が、円板状回転工具の直線運動をクランク機構によって生じさせる構成が慣用技術であるとして提出した参考資料1(実公昭59-28737号公報)にも前記本件の請求項1に係る発明の必須の構成要件は記載されていない。
4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件の請求項1乃至3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1乃至3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
棒材切断装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、該棒材把持機により把持された該棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、
前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、該切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具が前記棒材に接近するように該切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられ、
前記棒材把持機は、
一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部が該棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、
前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えて該棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することにより該受け部との間で該棒材を把持するために前記本体に該棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、
長手状を成して一端側において前記第1回動軸心に平行に設けられた第2回動軸心回りの回動可能に前記本体に設けられた第1回動部材と、
一端部において前記押圧部材に前記第1回動軸心と平行な第3回動軸心回りに相対回動可能に連結されると共に、他端部において前記第1回動部材の他端側に前記第1回動軸心と平行な第4回動軸心回りに相対回動可能に連結され、前記第2回動軸心、該第3回動軸心、および該第4回動軸心が一直線上に位置させられて前記押圧部材が前記棒材を把持する固定位置と、該第2回動軸心と該第3回動軸心とを結ぶ直線上から該第4回動軸心が外されて前記押圧部材が該棒材を把持しない解放位置との間で回動される第2回動部材と、
前記棒材の直径が異なる場合には、ねじ込み量を前記棒材の直径に応じて変化させることにより、前記固定位置において、前記第2回動軸心、前記第3回動軸心、および前記第4回動軸心を一直線上に位置させるアジャストボルトと
を、含むことを特徴とする棒材切断装置。
【請求項2】 前記工具案内装置は、前記棒材把持機により把持された前記棒材の軸心が前記切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具の回転中心の移動軌跡の延長線よりも該円板状回転切断工具の回転方向側に位置した状態で該円板状回転切断工具が該棒材に接近するように、該切断機をその長手方向に沿って直線的に案内するものである請求項1の棒材切断装置。
【請求項3】 前記工具案内装置は、
前記切断機および前記棒材把持機の一方に設けられたラックギアと、
該切断機および該棒材把持機の他方に設けられて該ラックギアと▲噛▼み合わされるピニオンギアと、
該ピニオンギアに備えられ、該ピニオンギアを所定の回動軸心回りに回動させることにより、該ピニオンギアと該ラックギアとの▲噛▼合に基づいて該切断機を前記棒材に接近する方向に直線的に移動させるために手で操作される操作部材と
を、含むものである請求項1または2の棒材切断装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、鉄筋コンクリート工事等に用いられる鉄筋等の金属製棒材や塩化ビニル樹脂等から成る樹脂製棒材等を切断するための棒材切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、鉄筋コンクリートを施工するに際して所定の形状に配設される鉄筋や、水道管等に用いられる塩化ビニル樹脂等の樹脂パイプ等は、製造上或いは運搬上の取扱が容易な一定の長さとされており、施工現場において必要な長さに切断して用いられることが一般的である。
【0003】
例えば、施工される鉄筋コンクリートの長さが鉄筋の全長以上となる場合には、鉄筋が軸心方向に接続されて必要な長さに延長されて用いられるが、この場合には鉄筋の切断加工が伴うことが一般的である。通常、鉄筋は複数本が隣接して配設されているため、鉄筋コンクリートの強度および信頼性の確保のためにその接続位置を長手方向において互いに異なるものとする必要があるからである。更に、鉄筋の端面を互いに所定の力で押圧しつつガス等によって加熱するガス圧接や、その端面を互いに所定距離離隔して保持し、加熱すると共にその端面間に溶接材料を流し込むCB溶接等の接続方法が採られる場合には、接続部の強度および信頼性を確保するためには、接続される鉄筋の両端面がその軸心方向に垂直且つ平坦であり且つ酸化物が除去されていることが望ましいことからも、切断加工が必要となる。
【0004】
【発明が解決すべき課題】
ところで、上記のように鉄筋等の棒材を切断するに際しては、例えば、本願出願人が先に出願した実願平6-13382号(未公開)等に記載されているような、棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、その棒材把持機により把持されたその棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を有する切断機とを備えた棒材切断装置が用いられる。しかしながら、上記棒材切断装置は、円板状回転切断工具を備えた切断機を、棒材の軸心方向と平行な所定の回動軸回りに回動させることにより切断を行うように構成されていた。そのため、上記棒材切断装置を施工済の鉄筋等の棒材を切断するために適用するに際しては、その鉄筋等の棒材の間隔が切断機の回動角度を十分に確保できるように大きくされていることが必要となって、比較的密に配設されている鉄筋等の棒材の切断には適用できないという問題があった。このような問題は、水道工事等において地中に設けられる樹脂パイプを切断する場合等にも同様に生じ得るのである。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、鉄筋や樹脂パイプ等の棒材が比較的密に配設されている場合にもその棒材を切断することが可能な棒材切断装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、その棒材把持機により把持されたその棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、(a)前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、その切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具が前記棒材に接近するようにその切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられ、前記棒材把持機は、(b)一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部がその棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、(c)前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えてその棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することによりその受け部との間でその棒材を把持するために前記本体にその棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、(d)長手状を成して一端側において前記第1回動軸心に平行に設けられた第2回動軸心回りの回動可能に前記本体に設けられた第1回動部材と、(e)一端部において前記押圧部材に前記第1回動軸心と平行な第3回動軸心回りに相対回動可能に連結されると共に、他端部において前記第1回動部材の他端側に前記第1回動軸心と平行な第4回動軸心回りに相対回動可能に連結され、前記第2回動軸心、それら第3回動軸心、および第4回動軸心が一直線上に位置させられて前記押圧部材が前記棒材を把持する固定位置と、それら第2回動軸心と第3回動軸心とを結ぶ直線上からその第4回動軸心が外されて前記押圧部材がその棒材を把持しない解放位置との間で回動される第2回動部材と、(f)前記棒材の直径が異なる場合には、ねじ込み量を前記棒材の直径に応じて変化させることにより、前記固定位置において、前記第2回動軸心、前記第3回動軸心、および前記第4回動軸心を一直線上に位置させるアジャストボルトとを、含むことにある。
【0007】
【作用および発明の効果】
このようにすれば、棒材切断装置には、棒材把持機と切断機との間に、その切断機の一端に設けられた円板状回転切断工具が棒材に接近するように直線的にその切断機をその長手方向に沿って案内する工具案内装置が備えられると共に、その棒材把持機は、一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部がその棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えてその棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することによりその受け部との間でその棒材を把持するためにその本体に棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、一端側においてその第1回動軸心と平行な第2回動軸心回りの回動可能にその本体に設けられた第1回動部材と、それら押圧部材と第1回動部材とにそれぞれ第3,第4回動軸心回りに相対回動可能に連結される第2回動部材とを含んで構成され、その第2回動部材は、上記第2,第3,および第4回動軸心の3つの回動軸心が一直線上に位置させられて押圧部材が棒材を把持する固定位置と、それら3つの回動軸心が一直線上に位置させられず押圧部材が棒材を把持しない解放位置との間で操作される。そのため、棒材を切断するに際しては、円板状回転切断工具が棒材把持機によって把持されたその棒材に接近する方向に直線的に向かわせられることから、従来の棒材切断装置のように切断機の回動角度を確保する必要がなくなって、比較的密に配設された鉄筋や樹脂パイプ等の棒材を切断することも可能となる。しかも、本体の一端部に鉤状に突き出した備えられた受け部の受け面の少なくとも一部を、棒材の側方を通して円板状回転切断工具側とは反対側に位置させた状態で、押圧部材によってその棒材を円板状回転切断工具側からその受け面に向かって押圧することにより、その棒材が把持されることから、受け部および押圧部材によって棒材を側方から把持する場合に比較して、鉄筋や樹脂パイプ等の棒材が比較的密に配設されている場合にも、容易にその棒材を把持できる。更に、上記第2回動部材の固定位置では、上記3つの回動軸心が一直線上に位置させられることから、棒材から押圧部材が受ける反力は、押圧部材の第1回動軸心および第1回動部材の第2回動軸心に受けられて、その第1回動部材および第2回動部材を回動させる力としては作用しない。したがって、棒材を簡単な操作で確実に把持することが可能となる。また、棒材の直径が異なる場合には、アジャストボルトのねじ込み量をその棒材の直径に応じて変化させることにより、上記固定位置において上記3つの回動軸心が一直線上に位置させられることから、アジャストボルトのねじ込み量が変化させられる範囲内において、種々の直径を有する棒材を把持することが可能である。
【0008】
なお、上記工具案内装置は、例えば、前記棒材把持機に設けられた長手状の案内部材と、前記切断機に設けられてその案内部材と係合させられることにより、その案内部材の長手方向のみに相対移動させられる移動部材とを、含んで構成される。
【0009】
好適には、前記工員案内装置は、前記棒材把持機により把持された前記棒材の軸心が前記切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具の回転中心の移動軌跡の延長線よりもその円板状回転切断工具の回転方向側に位置した状態でその円板状回転切断工具がその棒材に接近するように、その切断機をその長手方向に沿って直線的に案内するものである。
【0010】
このようにすれば、棒材を切断するに際しては、円板状回転切断工具が前記棒材把持機によって把持されたその棒材に接近する方向に直線的に向かわせられることから、従来の棒材切断装置のように切断機の回動角度を確保する必要がなくなって、比較的密に配設された鉄筋や樹脂パイプ等の棒材を切断することも可能となるが、このとき、棒材は、その軸心が円板状回転切断工具の回転中心に対して回転方向側にずれた状態で切断される。したがって、切断時において円板状回転切断工具の外周刃が棒材に接触させられると、その円板状回転切断工具をその棒材側に接近させる方向の力が生じることとなり、切断時に円板状回転切断工具を棒材に接近する方向に工具案内装置に従って案内するために必要な力が減じられて、切断加工を一層容易に行うことが可能となる。
【0011】
また、好適には、前記工具案内装置は、前記切断機および前記棒材把持機の一方に設けられたラックギアと、それら切断機および棒材把持機の他方に設けられてそのラックギアと▲噛▼み合わされるピニオンギアと、そのピニオンギアに備えられ、そのピニオンギアを所定の回動軸心回りに回動させることにより、それらピニオンギアとラックギアとの▲噛▼合に基づいてその切断機を前記棒材に接近する方向に直線的に移動させるために手で操作される操作部材とを、含むものである。
【0012】
このようにすれば、工具案内装置は、ラックギアと操作部材を有するピニオンギアとが、切断機および棒材把持機の一方および他方にそれぞれ備えられて構成される。そのため、棒材を切断するに際しては、操作部材を所定の回動軸心回りに回動させるだけで、円板状回転切断工具が工具案内装置によりその棒材に接近する方向に案内される。したがって、ラックギア,ピニオンギアおよび操作部材が倍力装置として作用することとなって、円板状回転切断工具の移動が一層容易となり、棒材の切断を一層容易に行うことができる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
図1乃至図5は、本発明の一実施例である棒材切断装置10の全体を示す図であって、それぞれ正面図、平面図、底面図、図1におけるIV-IV視断面図、図2におけるV-V視断面図に対応する。この棒材切断装置10は、図1に示されるように、切断する鉄筋等の棒材12aを所定の姿勢で把持する棒材把持機14と、その棒材把持機14と一体的に備えられて、一端に内蔵する円板状回転切断工具16により、把持された棒材12a等を切断する長手状の切断機18とから構成されている。
【0014】
上記の棒材把持機14は、図3に示すように、長手状を成して一端に鉤状に形成された受け部20を有する本体22と、その本体22の受け部20の基部24にボルト26によってその軸心回りに回動可能に取り付けられた押圧部材28と、その押圧部材28の長手方向の中間部に、一端部においてピン30によって相対回動可能に取り付けられた連結部材32と、長手板状を成して一端部においてその連結部材32の他端部にピン34によって相対回動可能に取り付けられた回動部材36と、上記本体22の他端部に設けられてその回動部材36の他端部を収納する収納部38に、その他端側から螺合させられているアジャストボルト40とを、備えている。本実施例においては、上記回動部材36が第1回動部材に、連結部材32が第2回動部材に、ボルト26の軸心が第1回動軸心に、ピン30の軸心が第3回動軸心に、ピン34の軸心が第4回動軸心にそれぞれ相当する。
【0015】
上記本体22は、図3乃至図5に示されるように、上記収納部38を他端部の切断機18とは反対側の一面に備えて長手状を成す案内部材42の一端の側面に、上記受け部20が基部24において溶接等によって固着されて構成されており、前記押圧部材28、連結部材32、回動部材36、およびアジャストボルト40は、図5から明らかなように、全て案内部材42の収納部38が設けられている一面と同一面側に位置させられている。
【0016】
上記案内部材42は、図4に示されるように長手方向と垂直な断面が略矩形とされており、長手方向の一方(図3における上側)の側面の他端側部分(収納部38が備えられている部分の近傍)には、後に説明するピニオンギア168と▲噛▼み合わされるラックギア44が設けられている。また、他方の側面には、長手方向の全長に亘って収納部38が設けられている一面から厚み方向の略半分の位置までの幅が小さくされることにより、側面に突き出すように形成された段付き部46が設けられている。また、図5に示されるように、案内部材42にはアジャストボルト40側の他端面から長手方向の略全長に亘る長さの有底穴48が設けられて、その有底穴48内に圧縮バネ50が収納されていると共に、収納部38が設けられている一面とは反対側の一面には、長さおよび幅がその有底穴48よりも何れも十分短くされてその有底穴48に連通する長穴52が設けられている。
【0017】
また、受け部20は、基部24から案内部材42の長手方向に平行に伸び且つその厚み方向、すなわち図3の紙面に垂直な方向に伸びる受け面54aと、案内部材42の端面に対向する方向にその受け面54aから垂直に伸び且つ案内部材42の厚み方向に伸びる受け面54bとからなる一対の受け面54a,b(以下、特に区別しないときは単に受け面54という)を有している。すなわち、それら一対の受け面54a,bは、その長手方向であるそれぞれを含む平面の交線が案内部材42の厚み方向に伸びるように形成されている。
【0018】
また、前記押圧部材28は、一端部において前記ボルト26により前記基部24に取り付けられた板状部55と、その板状部55のボルト26とは反対側の他端部において、その厚み方向、すなわちボルト26の軸心方向に伸びる直方体形状に形成された押圧部56とを備えている。上記ボルト26は、その軸心方向が上記交線と平行とされている。すなわち、受け面54と押圧部56とはその軸心方向が平行となるようにそれぞれ設けられており、この押圧部56のその交線側に向かう一面である押圧面58と受け面54との間で棒材12aが把持される。
【0019】
また、連結部材32は、長手状をなしてその一端部および中間部において前記ピン30,34により押圧部材28および連結部材32にそれぞれ取り付けられており、その長手方向に垂直な方向の断面は図5に示されるようにコ字状とされて、上記押圧部材28の中間部と回動部材36の一端部とをその厚み方向の両面から挟持すると共に、長手方向の他端部にはその長手方向に伸びる回動操作レバー60が固着されている。この回動操作レバー60は、図3のHに示される固定操作位置とRで示される解放操作位置との間で、ピン30,34近傍を回動中心として回動操作されるものである。
【0020】
図3に戻って、回動部材36のピン34とは反対側の他端部端面には、前記アジャストボルト40の先端部が当接させられていると共に、その他端部端面の幅方向の前記ラックギア44側の端部にはそのアジャストボルト40に向かう突部62が形成されている。一方、前記収納部38は、図4および図5から明らかなように、案内部材42上の全体が略直方体形状を成して、アジャストボルト40側の端部にそのアジャストボルト40が螺合させられる雌ねじ穴64が設けられると共に、連結部材32側の端部には厚み方向の中間部が前記ラックギア44側の側面を残して除去されることにより、回動部材36の他端部を収納する収納溝66が設けられている。そのため、回動部材36の上記突部62は、収納部38のラックギア44側の側面とアジャストボルト40の先端との間のみで可動とされている。
【0021】
そして、上記収納部38の上面(案内部材42とは反対側の面)の連結部材32側の端部には、その収納部38の段付き部46側の側面において案内部材42に向かい且つ回動部材36の長手方向のピン34側に向かうに従って、その収納部38の側面から離隔させられるように形成されて、回動部材36の収納部38の側方への移動量を制限する図示しない突片を備えたサポータ68がボルト70によって固定されている。このボルト70の先端部は収納部38の収納溝66内に突き出しており、回動部材36のラックギア44側の側面に設けられた切欠き部72と、収納部38の残された側面との間に位置させられている。このため、回動部材36は、アジャストボルト40側の他端部がそのアジャストボルト40と上記サポータ68を固定しているボルト70との間に位置させられることにより、長手方向の移動量が制限されると共に、上述のようにその他端部に設けられた突部62がアジャストボルト40の先端部と収納部38の残された側面との間に位置させられて、長手方向に垂直な方向の移動量が制限されており、収納部38から抜け落ちることなく、アジャストボルト40の先端面の中心を回動中心として回動可能とされている。すなわち、本実施例においては、このアジャストボルト40の先端面の中心が第2回動軸心に相当し、回動部材36は、実質的に本体22に設けられている。
【0022】
また、上記サポータ68を固定しているボルト70には、引張バネ74の一端が掛けられており、その引張バネ74の他端が押圧部材28の押圧部56近傍に立設されたボルト76に掛けられることにより、その押圧部材28は、その引張バネ74の復元力に従って押圧面58が受け面54から離隔する方向、すなわち図3におけるボルト26を回動中心とする右回り方向に常時付勢されている。なお、受け面54bは、図1に示されるように受け面54aよりも切断機18側に突き出して形成されているが、この受け面54bの切断機18側の上端面は円板状回転切断工具16の下面位置に対応し、把持した棒材12aの切断位置を示すものである。また、図1および図3において78は、アジャストボルト40のねじ込み量を直読するために、そのアジャストボルト40の中間部に取り付けられて、アジャストボルト40のねじ込み量が変化させられると同時にその軸心方向に移動させられる指示部材である。
【0023】
一方、前記切断機18は、図1乃至図3に示すように、電源コード80およびスイッチ82を有してグリップ部を兼ねるモータ84と、そのモータ84に取り付けられてモータ84の駆動により回転させられる前記円板状回転切断工具16を収容する例えば軽合金(例えばアルミニウム合金やアルミダイキャスト等)製のハウジング86とを備えている。なお、図2に示すように、円板状回転切断工具16の外周刃は、回転方向後方側に所定の間隔をもって固着された、例えば、超硬合金等から成るチップにより構成されている。
【0024】
上記ハウジング86には、図1および図3に示すように、ハウジング86と同様な軽合金から形成されて前記棒材把持機14側の一面において前記円板状回転切断工具16を覆うカバー88が2本のネジ90,90によって取り付けられていると共に、図1および図2に示すように、カバー88と反対側の一面にはベアリングケース92が4本のボルト94によって取り付けられている。上記ハウジング86およびカバー88にはそれぞれ図2に示すように、棒材把持機14の受け部20と押圧部材28とに把持される棒材12a側の一部にU字状の切欠部98が設けられており、円板状回転切断工具16が部分的に露出させられている。なお、ハウジング86に備えられているノブ96は、円板状回転切断工具16の交換等を行うに際して、その回転を停止させるために操作されるものである。
【0025】
上記ハウジング86の内部は、図5の断面図に示される構造とされている。モータ84の出力軸102には、はすば歯車104が取り付けられており、そのはすば歯車104は、出力軸102と平行に設けられた伝達軸106の一端部に取り付けられたはすば歯車108に▲噛▼み合わされている。この伝達軸106は、上記一端部側に1つ、他端部側に2つそれぞれ軸部に嵌挿された合計3つのベアリング110によって支持されており、その他端部にかさ歯車を備えている。
【0026】
上記伝達軸106のかさ歯車の前方には、一対のベアリング112,112によって支持された回転軸114が、その伝達軸106に対して垂直に設けられており、その軸部には、伝達軸106のかさ歯車と▲噛▼み合わされるかさ歯車116が取り付けられている。このかさ歯車116の外周面には、回転軸114の軸心方向に向かう有底穴118が2乃至4箇所程度設けられている。この有底穴118は、前記ノブ96に固定された回転停止ピン122が嵌合させられるものであり、その回転停止ピン122は、ハウジング86とノブ96との間に設けられたバネ124の付勢力により、常にかさ歯車116の外周面から離隔して位置させられている。
【0027】
上記回転軸114の先端部には、大径部を備えた円筒状のカッターフランジ126が図3における上側に位置するベアリング112に当接する位置まで嵌挿されて取り付けられており、そのカッターフランジ126の上記上側のベアリング112とは反対側に位置する一面には、円板状回転切断工具16が中央に貫通穴を備えた円盤状のフランジ128とによって挟持されることによって取り付けられ、ボルト130によって回転軸114に螺着されている。なお、カッターフランジ126には1本のピン132が圧入されており、円板状回転切断工具16およびフランジ128にその1本のピン132に対応して設けられた貫通穴にそのピン132が嵌め入れられることにより、円板状回転切断工具16とカッターフランジ126との相対回転が防止されている。
【0028】
なお、伝達軸106に嵌挿された3つのベアリング110は、円筒状スペーサ134,136、カラー138、およびボルト140によって締付固定されてそのカラー138を固定するフラットバー142とによって、相互の間隔および位置が一定に保たれている。また、回転軸114とカッターフランジ126,かさ歯車116、伝達軸106とはすば歯車108は、それぞれ図示しないキーによって相対回転が防止されている。
【0029】
また、カバー88のハウジング86とは反対側の一面には、図1および図4に示されるように、その中央部から棒材把持機14の案内部材42の長手方向のアジャストボルト40側に向かうように伸び、且つその両側面のラックギア44および段付き部46を覆うように棒材把持機14側に伸びる一対の案内壁部144,146が設けられている。これら一対の案内壁部144,146のうち、段付き部46側に位置する一方の案内壁部144は、その上端が案内部材42の段付き部46の収納部38側の一面と略同位置となるように比較的高さが低くされているが、他方の案内壁部146は、その上端が収納部38を除く案内部材42の厚さ方向の上端と略同位置となるように比較的高く形成されている。
【0030】
上記案内壁部144,146の上端面には、図3に平面形状が、図4に断面形状がそれぞれ示されている、長手方向寸法がそれら案内壁部144,146と同様とされた一対の裏板148,150が、それぞれ複数本のボルト152によって固着されている。案内壁部144に固着されている一方の裏板148は、幅寸法がその案内壁部144の上端面の幅寸法よりもやや大きくされて、その上端面から案内壁部146側にはみ出すように取り付けられている。他方の裏板150は、図3に示されるように、長手方向の中間部に裏板148とは反対側に突き出して形成された突き出し部154を備えているが、他の部分は裏板148と同様な幅寸法とされており、案内壁部146から裏板148と同様な幅方向寸法だけ案内壁部144側にはみ出すように取り付けられている。
【0031】
すなわち、上記案内壁部144,146および裏板148,150は、前記棒材把持機14の案内部材42の外周面に密接するように設けられており、これにより、案内壁部144等と案内部材42とはその長手方向と垂直な方向に相対移動不能とされ、切断機18すなわち円板状回転切断工具16は、案内部材42の長手方向すなわち棒材把持機14により把持された棒材12aに直線的に接近或いは離隔する方向にのみ(すなわち切断機18の長手方向に沿って)、その案内部材42と相対移動可能にされている。本実施例においては、案内壁部144,146,および裏板148,150により、移動部材が構成されており、その移動部材と案内部材42とにより構成される工具案内装置が、棒材把持機14と切断機18との間に設けられている。
【0032】
また、前述のように、案内部材42の有底穴48内には、圧縮バネ50が備えられているが、上記案内壁部144,146のアジャストボルト40側の端面には、図3および図5に示すように、薄板状のエンドプレート156が2本のボルト158,158によって取り付けられてその端部が塞がれていると共に、案内壁部144,146の間に位置させられるピン状ナット160がそのエンドプレート156にボルト162により固定されている。上記圧縮バネ50は、アジャストボルト40側の端部がそのピン状ナット160に嵌合された状態で、エンドプレート156により受け部20側へ押圧されており、これにより、切断機18は、受け部20すなわち棒材把持機14により把持された棒材12aから離隔する方向に常時付勢されている。なお、カバー88から案内部材42に向かって立設されているピン164は、案内部材42に設けられている前記長穴52と係合させられるものであり、これにより、切断機18と棒材把持機14との相対移動は、ピン164が長穴52の長手方向両端部に当接する範囲に制限されて、必要以上の相対移動が防止されている。なお、前記U字状の切欠き部98は、切断機18の上記移動量よりも、把持された棒材12aの円板状回転切断工具16側の面からそのU字の底部までの距離がやや大きくなるように形成されており、これにより、切断時のハウジング86およびカバー88と棒材12aとの干渉が防止されている。
【0033】
一方、図1および図4に示すように、裏板150の前記突き出し部154と、前記案内壁部146の下端側からその突き出し部154と平行な面内で同じ方向に突き出して設けられた突き出し部166との間には、案内部材42のラックギア44と係合させられるピニオンギア168が、それら突き出し部154,166に挟まれた状態でピン170によりその軸心回りに回動可能に備えられている。このピニオンギア168は、図3に示されるように円形の板部材が裏板150の長手方向に平行および垂直な2つの平面により切断された形状をなして、その円弧状の一部が案内壁部146の上側に位置させられており、その案内壁部146の対応する部分には円弧状の切り欠き部172が設けられている。
【0034】
更に、ピニオンギア168の突き出し部154の先端側の端部には、軸心方向がその端部側の一方の端面と平行となるようにエンドプレート156側に位置する他方の端面から有底の雌ねじ穴174が設けられており、この雌ねじ穴174にはピニオンギア168を回動させるためのフィードレバー176が螺合されている。したがって、このフィードレバー176をピン170回りに回動させると、ピニオンギア168とラックギア44との係合に基づいて、カバー88と案内部材42とが相対移動させられることとなる。本実施例においては、上記フィードレバー176が操作部材に相当する。
【0035】
なお、図5に示されるように、ハウジング86とカバー88とは、円板状回転切断工具16の外周側の周縁部において、それぞれ向かい合う方向に突き出して設けられている側壁部178,180の先端部が互いに当接させられることにより、ハウジング86内に略密閉された空間を形成している。この側壁部178,180は、前記U字状の切り欠き部98が設けられている受け部20側を含む大部分においては、円板状回転切断工具16の外周面に沿って設けられ、その側壁部178,180が円板状回転切断工具16の外周面と干渉しない必要最小限の大きさとされている。なお、前記U字状の切欠部98においては、カバー88側の側壁部180が他の部分と同様な側壁高さとされているが、ハウジング86の側壁部178は、他の部分よりも所定量(例えば3mm度)側壁高さを低くされることにより、その側壁部178と円板状回転切断工具16との干渉が防止されている。
【0036】
また、ハウジング86およびカバー88の側壁部178,180の図3における最も下側に位置する部分には、外周側に突き出した切粉排出口182が形成されている。この切粉排出口182の先端面184には、側壁部178,180が何れも設けられておらず、円板状回転切断工具16で棒材12aを切断する際に発生する切粉がこの先端面184から排出される。この切粉排出口182には、図6に示されるような切粉収納袋186が、図3に示されるようにその長手方向の一端に設けられている開口部188において取り付けられるようになっており、切断作業により発生した切粉が回収されるようになっている。この切粉収納袋186は、例えば通気性を備えた耐熱繊維により例えば1000cm3程度の容量(切粉重量として約600g程度)を有するように構成されており、その耐熱性は、収納される切粉の温度(例えば、鉄材を切断する場合には200℃程度に達する)に十分耐え得るものとされている。なお、切粉収納袋186の長手方向の一方の側部にはファスナー190が備えられており、袋内に溜まった切粉はこのファスナー190を開けて処理される。
【0037】
以上のように構成された棒材切断装置10を用いて、軸心が鉛直方向となるように施工された鉄筋等の棒材12a等を切断する作業を以下に説明する。なお、この鉄筋等の棒材12a等の切断は、図示しない他の鉄筋等の棒材を鉛直方向に接続する場合にガス圧接等に適したきれいな端面を得る目的で、或いは、図2に示すように隣接して施工されている複数本の棒材12b,12c等と軸心方向長さを揃える目的等で行われる。
【0038】
まず、棒材把持機14の受け部20を図2に示す切断しようとする棒材12aと隣接する棒材12cとの間に挿入し、更に、その棒材12a側に移動させることにより、受け面54bをその背面側(棒材切断装置10本体の位置する側とは反対側)に位置させる。このとき、棒材把持機14の回動操作レバー60は、図3に示される固定操作位置Hから左回り方向に回動させられて、解放操作位置Rに位置させられており、この回動操作レバー60の左回り回動に伴って、回動部材38はアジャストボルト40の先端面中心部(すなわち第2回動軸心)回りに、押圧部材28はボルト26の軸心(すなわち第1回動軸心)回りに、それぞれ図の位置よりも右回り方向に回動させられ、アジャストボルト40の先端面中心(第2回動軸心)とピン30の軸心(第3回動軸心)とを結ぶ直線上から、ピン34の軸心(第4回動軸心)が外されている。なお、切断する棒材12a,b,c等の相互の間隔は、受け部20を間に挿入できるだけの大きさとされていれば十分であり、図2に示される棒材12a,b,cの相互の間隔dが、受け部20の最大幅(切断機18および案内部材42の長手方向の幅)Dよりも大きいものであれば、本実施例の棒材切断装置10による作業が可能である。
【0039】
上記のように、受け面54bを棒材12aの背面側に位置させた後、回動操作レバー60を図3における右回り方向に回動させて固定操作位置Hに位置させると、回動部材38および押圧部材28が上記と反対方向すなわち左回り方向に回動させられ、ピン30,34の軸心およびアジャストボルト40の先端面中心が一直線上に位置させられた状態で、押圧部56および受け部20により棒材12aが挟圧される。これにより、棒材12aは、図1に示されるように、その軸心方向が受け部20の長手方向(受け面54a,bの交線の方向)すなわち円板状回転切断工具16の軸心方向と一致した状態で把持される。なお、上記の説明から明らかなように、回動操作レバー60の解放操作位置Rにおいて、連結部材32は、押圧部材28により棒材12aが把持されない解放位置に位置させられ、図3に示される回動操作レバー60の固定操作位置Hにおいて、連結部材32は、押圧部材28により棒材12aが把持される固定位置に位置させられる。
【0040】
なお、上記の状態において、押圧部材28は、引張バネ74の付勢力および棒材12aから与えられる反力によって、図の右回り方向に付勢されているが、上記のように連結部材32との相対回動中心(ピン30の軸心)、その連結部材32と回動部材38との相対回動中心(ピン34の軸心)、その回動部材38の回動中心(アジャストボルト40の先端面中心)が一直線上に位置させられていることから、上記付勢力および反力はボルト26およびアジャストボルト40によって全て受けられることとなる。したがって、押圧部材28は、図3に示される棒材12aを把持する位置に固定され、その棒材12aが確実に把持される。
【0041】
また、棒材12aの直径が異なる場合には、回動操作レバー60の回動量が図3に示される状態よりも過剰となって、上記3点が一直線上に位置させられず、その棒材12aの把持が行われ得ないこととなるが、その場合には、アジャストボルト40のねじ込み量を直径に応じて変化させることにより、固定操作位置Hにおいて上記3点が一直線上に位置するようにできる。したがって、アジャストボルト40のねじ込み量を変化させられる範囲内において、種々の直径を有する棒材12aを把持することが可能である。
【0042】
上記のように棒材12aが棒材把持機14により把持された状態で、スイッチ82を操作して円板状回転切断工具16を図2に示される矢印Aの方向に回転させた後、フィードレバー176をモータ84から離隔する方向すなわち、図3における右回り方向に回動させることにより、ピニオンギア168とラックギア44との▲噛▼合に基づいて、そのピニオンギア168が取り付けられているカバー88すなわち切断機18と、ラックギア44が設けられている案内部材42すなわち棒材把持機14との相対移動が行われる。このとき、前述のように案内部材42と切断機18と相対移動方向が棒材12aに直線的に接近或いは離隔する方向に限定されており、また、棒材把持機14は立設されている棒材12aを把持して移動不能に固定されていることから、切断機18すなわち円板状回転切断工具16は、上記のフィードレバー176の回動操作により棒材12aに直線的に向かわせられ、切断が開始される。なお、フィードレバー176は、ピニオンギア168から必要に応じて取り外し可能であり、作業者が直接切断機18を把持して棒材12aに向かわせることもできる。
【0043】
そして、そのフィードレバー176を、カバー88に立設されたピン164が案内部材42に設けられた長穴52の受け部20側の端部に当接するまで、その有底穴48に備えられた圧縮バネ50の付勢力に抗して回動させると、棒材12aが図2の12a′の位置に相対移動させられて切断が終了する。このとき、隣接する棒材12b,cも棒材12aと同様に図2に矢印で示されるように相対移動することとなるが、図から明らかなように、切断終了時においてそれら隣接する棒材12b,cとハウジング86,カバー88との干渉は生じない。すなわち、切断機18の移動方向(すなわち切断機18の長手方向)に垂直な方向のハウジング86およびカバー88の幅Cが、U字状の切欠き部98が設けられている部分においては、棒材12の相互の間隔が切断可能な最小限寸法である場合に、切断する棒材12aの左右に位置する棒材12b,cの間隔よりも小さくなるように、その幅Cと受け部20の最大幅Dが定められているのである。なお、上記切断時において、棒材12aの軸心Oは、円板状回転切断工具16の回転中心の軌跡Bよりもその回転方向Aの前方側に位置させられている。
【0044】
以上のように切断が終了した後、フィードレバー176を放すと、圧縮バネ50の復元力に従って切断機18は棒材12aから離隔する方向に移動させられると共に、そのフィードレバー176も元の位置まで回動させられる。その後、スイッチ82を再び操作して円板状回転切断工具16の回転を停止し、回動操作レバー60を図3における左回りに回動させて解放操作位置Rに位置させて、棒材把持機14を棒材12aから取り外すことにより、一連の切断作業が終了する。
【0045】
ここで、本実施例においては、棒材切断装置10には、円板状回転切断工具16を棒材12aに接近或いは離隔する方向に直線的に案内するための、案内部材42,案内壁部144,146,および裏板148,150から構成される工具案内装置が備えられている。そのため、棒材12aを切断するに際しては、棒材把持機14によって把持されたその棒材12aに向かって、切断機18すなわち円板状回転切断工具16が直線的に移動させられ、切断後にもその棒材12aから離隔する方向に直線的に移動させられる。したがって、円板状回転切断工具16をその回転軸とは異なる所定の回動軸回りに回動させて切断を行う場合のようにその回動角度を確保する必要がなくなって、図2に示されるように比較的密に配設された棒材12を容易に切断することが可能である。
【0046】
しかも、上記のように切断機18を直線送りすることにより切断が行われるため、円板状回転切断工具16を回動させる場合と異なり、棒材把持機14と棒材12aとの相対回動が生じ難く、棒材把持機14を持っている必要がない。したがって、棒材把持機14により棒材12aを把持した後は、作業者が片手で切断機18を棒材12aに向かって移動させることができるため、切断時にはその棒材12aの切断除去される上側部分を他方の片手で保持してその落下を防止することにより、安全に作業を行うことが可能である。
【0047】
また、本実施例においては、棒材把持機14には、その一端部に鉤状に突き出して設けられ、受け面54b(すなわち一対の受け面54a,bの少なくとも一部)が棒材12aの背面側に位置させられる受け部20と、その棒材12aの正面側に位置させられる押圧面58を有する押圧部56とが備えられる。そのため、棒材12aを切断するに際しては、上述のように、棒材把持機14の一端部に鉤状に突き出した受け部20の一方の受け面54bを、棒材12aの側方(棒材12a,12cの間)を通してその背面側に位置させた状態で、押圧部56によってその棒材12aの正面側からその受け面54に向かって押圧することにより、その棒材12aが把持される。したがって、受け部20および押圧部56によって棒材12aを側方から把持する場合に比較して、図2に示されるように棒材12が比較的密に配設されている場合にも、容易に切断すべき棒材12aを把持して、切断することが可能となる。
【0048】
また、本実施例によれば、前述のように棒材12aを把持する回動操作レバー60の固定操作位置Hにおいては、押圧部56(すなわち押圧部材28)と連結部材32との相対回動中心(すなわちピン30の軸心)、その連結部材32と回動部材38との相対回動中心(すなわちピン34の軸心)、その回動部材38の回動中心(すなわちアジャストボルト40の先端面中心)の3つの回動中心が一直線上に位置させられることから、押圧部56が棒材12aから受ける反力および引張バネ74から受ける付勢力により生じる押圧部材28を受け面54から離隔する図3における右回り方向に回動させる力は、アジャストボルト40およびボルト26によって全て受けられ、連結部材32および回動部材38を回動させる力としては作用しないため、棒材12aは簡単な操作で確実に把持される。
【0049】
また、本実施例によれば、棒材12aの軸心Oは、円板状回転切断工具16の回転中心の軌跡Bよりもその回転方向Aの前方側に位置させられているため、切断時において円板状回転切断工具16の外周刃が棒材12aに接触させられると、その円板状回転切断工具16をその棒材12a側に接近させる方向の力が生じることとなり、切断時に切断機18を棒材12aに接近する方向に案内するために必要な力が減じられて、切断加工を一層容易に行うことが可能となる。
【0050】
また、本実施例によれば、棒材把持機14の案内部材42の側面にラックギア44が設けられると共に、切断機18のカバー88に一体的に設けられた案内壁部146から突き出す突き出し部166と裏板150から突き出す突き出し部154との間にピニオンギア168が設けられ、そのピニオンギア168にフィードレバー176が備えられているため、棒材12aを切断するに際しては、フィードレバー176をピン170の軸心回りに図3の右回り方向に回動させるだけで、円板状回転切断工具16がその棒材12aに向かわせられる。したがって、ラックギア44,ピニオンギア168およびフィードレバー176が倍力装置として作用することとなって、円板状回転切断工具16の移動が一層容易となり、棒材12aの切断を一層容易に行うことができる。
【0051】
また、本実施例においては、U字状の切欠部98に、カバー88側の側壁部180が他の部分と同様な側壁高さとされると共に、ハウジング86の側壁部178は、他の部分よりも僅かに側壁高さを低くされているため、円板状回転切断工具16が露出させられている上記切欠部98においては、カバー88とハウジング86との間に円板状回転切断工具16との干渉を防止するために最低限必要な隙間のみが設けられている。そのため、切欠部98においてハウジング86側に形成されている側壁部178は、棒材12aの切断加工により発生した切断片がそのハウジング86内に侵入することを防止する切断片ストッパとして作用する。したがって、切断片が比較的薄いコイン状となる場合にも、ハウジング86内への侵入が好適に抑制されて、棒材12aが鉄筋等の金属製棒材である場合にも、円板状回転切断工具16の外周刃の破損を好適に抑制できる。
【0052】
また、ハウジング86およびカバー88の側面には、切粉排出口182が設けられると共に、その切粉排出口182には切粉収納袋186が備えられるため、切断加工により発生する切粉が回収されて、高温になる切粉による作業者の火傷や粉塵の吸入等が好適に抑制され、作業の安全性が高められる。
【0053】
また、切断機18の円板状回転切断工具16は、棒材12aの軸心に垂直な面内で回転させられるため、その棒材12aをその切断端面が軸心方向に垂直且つ平坦となるように切断することが可能である。したがって、棒材12aに他の棒材を溶接等によって接続する場合に、溶接に適したきれいな端面が得られる。
【0054】
また、案内部材42の有底穴48には圧縮バネ50が備えられて、切断機18が棒材把持機14に対して棒材12aから離隔する方向に付勢されているため、切断機18を棒材12a側へ移動させる切断作業時において、適度な移動抵抗が与えられ、棒材12aをゆっくり切断することができ、円板状回転切断工具16の破損が一層確実に防止されると共に、切断終了時に直ちに切断機18が原位置に復帰させられて、高い作業能率が得られる。
【0055】
また、押圧部材28は、引張バネ74によって常に押圧面58が受け面54から離隔する方向に付勢されているため、棒材12aを把持するに際して、回動操作レバー60が常に解放操作位置に位置し、把持操作が一層容易とされる。
【0056】
なお、前述の切断作業の説明においては、棒材12aが施工されて立設させられていたが、棒材切断装置10は、未だ施工されていない棒材12の切断にも利用できる。その切断作業は、例えば、前述の説明のように行っても良いが、棒材切断装置10を図示しない固定台に固定して行うこともできる。すなわち、図1および図2に示すように、受け部20の受け面54bには、一対の雌ねじ穴192,192が設けられており、図示しない固定台にボルトによってこの受け部20を取り付け、受け部20が下側に、モータ84が上側に位置するように棒材切断装置10を固定すれば、従来の卓上型切断装置と同様に利用することが可能である。
【0057】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施される。
【0058】
例えば、前述の実施例においては、案内壁部144,146,裏板148,150から構成される移動部材が、案内部材42の外周面に密接に配置されることにより工具案内装置が構成され、移動部材と案内部材42との相対移動方向が、その案内部材42の長手方向にのみとなるようにされていたが、反対に、切断機18に設けられた移動部材が、案内部材42内にその長手方向に相対移動可能に、且つその長手方向と垂直な方向に移動不能に挿入されることにより、工具案内装置が構成されていても良い。また、工具案内装置は、長手状の案内部材42を必ずしも備えていなくとも良く、例えば、案内部材が切断機18の長手方向の数カ所に設けられた転動部材や転がり軸受等から構成され、切断機18にその転動部材等に係合させられる移動部材が設けられていても差し支えない。
【0059】
また、案内部材42の有底穴48内に備えられていた圧縮バネ50は、切断機18に適度な操作抵抗を与えると共に切断終了後に直ちに原位置に復帰させるためのものであり、必ずしも設けられていなくとも良い。また、引張バネ74も、同様に必ずしも設けられなくとも良い。
【0060】
また、上記受け部20の受け面54bの形状は、他方の受け面54aと垂直となるように平面形状とされていたが、その形状は適宜変更される。例えば、棒材12aの外周面に沿った円弧状とされていても良く、或いは、V字状とされていても良い。それらの形状の場合には、押圧部56と受け面54bのみとの間で棒材12aを把持することも可能である。すなわち、受け面54全体が棒材12aの背面側に位置させられても良いのである。
【0061】
また、実施例においては、押圧部56を有して受け部20の基部24に取り付けられた押圧部材28と、その押圧部材28にピン30の軸心回りに相対回動可能に連結された連結部材32と、一端部においてその連結部材32にピン34の軸心回りに相対回動可能に連結されると共に他端部においてアジャストボルト40の先端面中央の回りに回動可能に備えられた回動部材38とが備えられ、相対回動中心(ピン30,34の軸心)および回動部材38の回動中心が一直線上に位置した状態で棒材12aが把持されるように構成されていたが、例えば、回動部材38はアジャストボルト40の先端部にピン等によって回動可能に取り付けられていても良い。
【0062】
また、実施例においては、棒材12aの軸心が、円板状回転切断工具16の回転中心の軌跡よりも回転方向前方側に位置するように構成されていたが、回転中心の軌跡上或いはそれよりも回転方向後方側に位置するように構成されていても良い。但し、実施例のように棒材12aの軸心が回転方向前方側に位置するように構成すれば、切断抵抗が減じられるため好ましい。
【0063】
また、ラックギア44,ピニオンギア168は備えられていなくとも良い。その場合は、棒材12aを切断するに際しては、切断機18が作業者により直接直線的に送られれば良い。
【0064】
また、実施例においては、円板状回転切断工具16を回転させるためのスイッチ82が設けられて、切断機18を棒材12aに向かって移動させるに際してそのスイッチ82が操作されていたが、例えば、切断機18が棒材12aに接触するまでに、その移動或いはフィードレバー176の操作に連動して円板状回転切断工具16の回転を開始させる連動スイッチが設けられていても良い。
【0065】
また、実施例においては、棒材切断装置10には電源コード80が備えられて、モータ84すなわち円板状回転切断工具16は、その電源コード80が接続された電源によって回転させられるように構成されていたが、例えば、モータ84に蓄電池を備えて、充電式で用いられるように構成されても良い。
【0066】
また、実施例においては、切粉収納袋186にファスナー190が備えられて、このファスナー190を開けて内部に溜まった切粉を処理するように構成されていたが、例えば、ファスナー190が設けられている部分を単なる開口部に形成し、その開口部を含む広い面積を覆う面ファスナーが設けられて、その面ファスナーを開いて切粉を処理するように構成されていても良い。
【0067】
また、実施例においては、鉄筋等の金属製の棒材12を切断する場合について説明したが、棒材切断装置10は、例えば、水道管に用いられる樹脂(例えば塩化ビニル樹脂等)パイプ等の他の材質から成る棒材やパイプ等の切断作業にも同様に用いられ得る。
【0068】
その他、一々例示はしないが、本発明はその主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例の棒材切断装置を示す正面図である。
【図2】
図1の棒材切断装置の平面図である。
【図3】
図1の棒材切断装置の底面図である。
【図4】
図1におけるIV-IV視断面図である。
【図5】
図2におけるV-V視断面図である。
【図6】
図1の棒材切断装置に取り付けて使用される切粉収納袋を示す図である。
【符号の説明】
10:棒材切断装置
12:棒材
14:棒材把持機
16:円板状回転切断工具
18:切断機
22:本体
28:押圧部材
32:連結部材(第2回動部材)
36:回動部材(第1回動部材)
40:アジャストボルト
{42:案内部材,{144,146:案内壁部,148,150:裏板}(移動部材)}(工具案内装置)
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2769297号発明の明細書(以下「明細書」という。)を、訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、次の各訂正事項ア〜タのとおり訂正する。
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1および請求項2に係る記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として削除する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項3に係る記載「【請求項3】 棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、該棒材把持機により把持された該棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、
前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、該切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具が前記棒材に接近するように該切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられ、
前記棒材把持機は、
一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部が該棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、
前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えて該棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することにより該受け部との間で該棒材を把持するために前記本体に該棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、
長手状を成して一端側において前記第1回動軸心に平行に設けられた第2回動軸心回りの回動可能に前記本体に設けられた第1回動部材と、
一端部において前記押圧部材に前記第1回動軸心と平行な第3回動軸心回りに相対回動可能に連結されると共に、他端部において前記第1回動部材の他端側に前記第1回動軸心と平行な第4回動軸心回りに相対回動可能に連結され、前記第2回動軸心、該第3回動軸心、および該第4回動軸心が一直線上に位置させられて前記押圧部材が前記棒材を把持する固定位置と、該第2回動軸心と該第3回動軸心とを結ぶ直線上から該第4回動軸心が外されて前記押圧部材が該棒材を把持しない解放位置との間で回動される第2回動部材と
を、含むことを特徴とする棒材切断装置。
」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】 棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、該棒材把持機により把持された該棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、
前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、該切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具が前記棒材に接近するように該切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられ、
前記棒材把持機は、
一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部が該棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、
前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えて該棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することにより該受け部との間で該棒材を把持するために前記本体に該棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、
長手状を成して一端側において前記第1回動軸心に平行に設けられた第2回動軸心回りの回動可能に前記本体に設けられた第1回動部材と、
一端部において前記押圧部材に前記第1回動軸心と平行な第3回動軸心回りに相対回動可能に連結されると共に、他端部において前記第1回動部材の他端側に前記第1回動軸心と平行な第4回動軸心回りに相対回動可能に連結され、前記第2回動軸心、該第3回動軸心、および該第4回動軸心が一直線上に位置させられて前記押圧部材が前記棒材を把持する固定位置と、該第2回動軸心と該第3回動軸心とを結ぶ直線上から該第4回動軸心が外されて前記押圧部材が該棒材を把持しない解放位置との間で回動される第2回動部材と、
前記棒材の直径が異なる場合には、ねじ込み量を前記棒材の直径に応じて変化させることにより、前記固定位置において、前記第2回動軸心、前記第3回動軸心、および前記第4回動軸心を一直線上に位置させるアジャストボルトと
を、含むことを特徴とする棒材切断装置。
」明細書の段落【0007】の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「 【課題を解決するための手段】
本発明はかかる目的を達成するために、電池を電源として燃焼部の作動を制御する制御回路と、前記電池を電源として前記燃焼部を点火せしめるスパーカと、前記スパーカの駆動時を含む該燃焼装置の運転中に前記電池の電圧を検知する電池電圧検知手段とを備えた燃焼装置において、
前記電池電圧検知手段により検知された電池電圧が前記制御回路の動作可能な限界値に略等しい第1の所定値まで低下した時にその旨を報知し、且つ該電池電圧が第1の所定値以下である状態では当該報知を継続的に行うと共に、当該報知の発生後の前記電池電圧の値にかかわらず当該報知を継続的に行う第1の報知手段と、
前記電池電圧が前記第1の所定値よりも高い第2の所定値まで低下した時にその旨を前記第1の報知手段と異なる形式で報知し、且つ該電池電圧が第2の所定値以下で前記第1の所定値よりも高い状態では当該報知を継続的に行う第2の報知手段とを備えたことを特徴とする。」と訂正する。
ウ.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項4に係る記載「【請求項4】 棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、該棒材把持機により把持された該棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、
前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、該棒材把持機により把持された前記棒材の軸心が前記切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具の回転中心の移動軌跡の延長線よりも該円板状回転切断工具の回転方向側に位置した状態で該円板状回転切断工具が該棒材に接近するように、該切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられていることを特徴とする棒材切断装置。
」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項2】 前記工具案内装置は、前記棒材把持機により把持された前記棒材の軸心が前記切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具の回転中心の移動軌跡の延長線よりも該円板状回転切断工具の回転方向側に位置した状態で該円板状回転切断工具が該棒材に接近するように、該切断機をその長手方向に沿って直線的に案内するものである請求項1の棒材切断装置。
」と訂正する。
エ.訂正事項d
特許請求の範囲の請求項5に係る記載「【請求項5】 前記工具案内装置は、
前記切断機および前記棒材把持機の一方に設けられたラックギアと、
該切断機および該棒材把持機の他方に設けられて該ラックギアと噛み合わされるピニオンギアと、
該ピニオンギアに備えられ、該ピニオンギアを所定の回動軸心回りに回動させることにより、該ピニオンギアと該ラックギアとの噛合に基づいて該切断機を前記棒材に接近する方向に直線的に移動させるための操作部材と
を、含むものである請求項1乃至4の何れかの棒材切断装置。
」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項3】 前記工具案内装置は、
前記切断機および前記棒材把持機の一方に設けられたラックギアと、
該切断機および該棒材把持機の他方に設けられて該ラックギアと噛み合わされるピニオンギアと、
該ピニオンギアに備えられ、該ピニオンギアを所定の回動軸心回りに回動させることにより、該ピニオンギアと該ラックギアとの噛合に基づいて該切断機を前記棒材に接近する方向に直線的に移動させるために手で操作される操作部材と
を、含む、ものである請求項1または2の棒材切断装置。
」と訂正する。
オ.訂正事項e
明細書の段落【0006】の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、削除する。
カ.訂正事項f
明細書の段落【0007】の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、削除する。
キ.訂正事項g
明細書の段落【0009】の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、削除する。
ク.訂正事項h
明細書の段落【0010】の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、削除する。
ケ.訂正事項i
明細書段落【0011】の記載「【0011】また、前記目的を達成するための他の発明の要旨とするところは、棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、その棒材把持機により把持されたその棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、(a)前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、その切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具が前記棒材に接近するようにその切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられ、前記棒材把持機は、(b)一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部がその棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、(c)前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えてその棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することによりその受け部との間でその棒材を把持するために前記本体にその棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、(d)長手状を成して一端側において前記第1回動軸心に平行に設けられた第2回動軸心回りの回動可能に前記本体に設けられた第1回動部材と、(e)一端部において前記押圧部材に前記第1回動軸心と平行な第3回動軸心回りに相対回動可能に連結されると共に、他端部において前記第1回動部材の他端側に前記第1回動軸心と平行な第4回動軸心回りに相対回動可能に連結され、前記第2回動軸心、それら第3回動軸心、および第4回動軸心が一直線上に位置させられて前記押圧部材が前記棒材を把持する固定位置と、それら第2回動軸心と第3回動軸心とを結ぶ直線上からその第4回動軸心が外されて前記押圧部材がその棒材を把持しない解放位置との間で回動される第2回動部材とを、含むことにある。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【0006】【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、その棒材把持機により把持されたその棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、(a)前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、その切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具が前記棒材に接近するようにその切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられ、前記棒材把持機は、(b)一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部がその棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、(c)前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えてその棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することによりその受け部との間でその棒材を把持するために前記本体にその棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、(d)長手状を成して一端側において前記第1回動軸心に平行に設けられた第2回動軸心回りの回動可能に前記本体に設けられた第1回動部材と、(e)一端部において前記押圧部材に前記第1回動軸心と平行な第3回動軸心回りに相対回動可能に連結されると共に、他端部において前記第1回動部材の他端側に前記第1回動軸心と平行な第4回動軸心回りに相対回動可能に連結され、前記第2回動軸心、それら第3回動軸心、および第4回動軸心が一直線上に位置させられて前記押圧部材が前記棒材を把持する固定位置と、それら第2回動軸心と第3回動軸心とを結ぶ直線上からその第4回動軸心が外されて前記押圧部材がその樺材を把持しない解放位置との間で回動される第2回動部材と、(f)前記棒材の直径が異なる場合には、ねじ込み量を前記棒材の直径に応じて変化させることにより、前記固定位置において、前記第2回動軸心、前記第3回動軸心、および前記第4回動軸心を一直線上に位置させるアジャストボルトとを、含むことにある。
」と訂正する。
コ.訂正事項j
明細書の段落【0012】の記載「【0012】
このようにすれば、棒材切断装置には、棒材把持機と切断機との間に、その切断機の一端に設けられた円板状回転切断工具が棒材に接近するように直線的にその切断機をその長手方向に沿って案内する工具案内装置が備えられると共に、その棒材把持機は、一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部がその棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えてその棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することによりその受け部との間でその棒材を把持するためにその本体に棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、一端側においてその第1回動軸心と平行な第2回動軸心回りの回動可能にその本体に設けられた第1回動部材と、それら押圧部材と第1回動部材とにそれぞれ第3,第4回動動軸心回りに相対回動可能に連結される第2回動部材とを含んで構成され、その第2回動部材は、上記第2,第3,および第4回動軸心の3つの回動軸心が一直線上に位置させられて押圧部材が棒材を把持する固定位置と、それら3つの回動軸心が一直線上に位置させられず押圧部材が棒材を把持しない解放位置との間で操作される。そのため、棒材を切断するに際しては、円板状回転切断工具が棒材把持機によって把持されたその棒材に接近する方向に直線的に向かわせられることから、従来の棒材切断装置のように切断機の回動角度を確保する必要がなくなって、比較的密に配設された鉄筋や樹脂パイプ等の棒材を切断することも可能となる。しかも、本体の一端部に鉤状に突き出した備えられた受け部の受け面の少なくとも一部を、棒材の側方を通して円板状回転切断工具側とは反対側に位置させた状態で、押圧部材によってその棒材を円板状回転切断工具側からその受け面に向かって押圧することにより、その棒材が把持されることから、受け部および押圧部材によって棒材を側方から把持する場合に比較して、鉄筋や樹脂パイプ等の棒材が比較的密に配設されている場合にも、容易にその棒材を把持できる。更に、上記第2回動部材の固定位置では、上記3つの回動軸心が一直線上に位置させられることから、棒材から押圧部材が受ける反力は、押圧部材の第1回動軸心および第1回動部材の第2回動軸心に受けられて、その第1回動部材および第2回動部材を回動させる力としては作用しない。したがって、棒材を簡単な操作で確実に把持することが可能となる。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【0007】
【作用および発明の効果】
このようにすれば、棒材切断装置には、棒材把持機と切断機との間に、その切断機の一端に設けられた円板状回転切断工具が棒材に接近するように直線的にその切断機をその長手方向に沿って案内する工具案内装置が備えられると共に、その棒材把持機は、一端部に鉤状に突き出して設けられて前記棒材を受ける受け面の少なくとも一部がその棒材の前記円板状回転切断工具側とは反対側に位置させられる受け部を有する本体と、前記棒材の前記円板状回転切断工具側に位置させられる押圧面を備えてその棒材を前記受け部の受け面に向かって押圧することによりその受け部との間でその棒材を把持するためにその本体に棒材の軸心方向に平行な第1回動軸心回りに回動可能に支持された押圧部材と、一端側においてその第1回動軸心と平行な第2回動軸心回りの回動可能にその本体に設けられた第1回動部材と、それら押圧部材と第1回動部材とにそれぞれ第3,第4回動軸心回りに相対回動可能に連結される第2回動部材とを含んで構成され、その第2回動部材は、上記第2、第3、および第4回動軸心の3つの回動軸心が一直線上に位置させられて押圧部材が棒材を把持する固定位置と、それら3つの回動軸心が一直線上に位置させられず押圧部材が棒材を把持しない解放位置との間で操作される。そのため、棒材を切断するに際しては、円板状回転切断工具が棒材把持機によって把持されたその棒材に接近する方向に直線的に向かわせられることから、従来の棒材切断装置のように切断機の回動角度を確保する必要がなくなって、比較的密に配設された鉄筋や樹脂パイプ等の棒材を切断することも可能となる。しかも、本体の一端部に鉤状に突き出した備えられた受け部の受け面の少なくとも一部を、棒材の側方を通して円板状回転切断工具側とは反対側に位置させた状態で、押圧部材によってその棒材を円板状回転切断工具側からその受け面に向かって押圧することにより、その棒材が把持されることから、受け部および押圧部材によって棒材を側方から把持する場合に比較して、鉄筋や樹脂パイプ等の棒材が比較的密に配設されている場合にも、容易にその棒材を把持できる。更に、上記第2回動部材の固定位置では、上記3つの回動軸心が一直線上に位置させられることから、棒材から押圧部材が受ける反力は、押圧部材の第1回動軸心および第1回動部材の第2回動軸心に受けられて、その第1回動部材および第2回動部材を回動させる力としては作用しない。したがって、棒材を簡単な操作で確実に把持することが可能となる。また、棒材の直径が異なる場合には、アジャストボルトのねじ込み量をその棒材の直径に応じて変化させることにより、上記固定位置において上記3つの回動軸心が一直線上に位置させられることから、アジャストボルトのねじ込み量が変化させられる範囲内において、種々の直径を有する棒材を把持することが可能である。
」と訂正する。
サ.訂正事項k
明細書の段落【0013】の記載「【0013】
また、前記目的を達成するための更に他の発明の要旨とするところは、棒材を把持する棒材把持機と、外周刃を有し、その棒材把持機により把持されたその棒材を切断するためにその軸心方向と平行な回転軸回りに回転駆動される円板状回転切断工具を一端に有する長手状の切断機とを備えた棒材切断装置であって、(a)前記棒材把持機と前記切断機との間に設けられ、その棒材把持機により把持された前記棒材の軸心が前記切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具の回転中心の移動軌跡の延長線よりもその円板状回転切断工具の回転方向側に位置した状態でその円板状回転切断工具がその棒材に接近するように、その切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられていることにある。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【0008】
好適には、前記工具案内装置は、前記棒材把持機により把持された前記棒材の軸心が前記切断機の一端に設けられた前記円板状回転切断工具の回転中心の移動軌跡の延長線よりもその円板状回転切断工具の回転方向側に位置した状態でその円板状回転切断工具がその棒材に接近するように、その切断機をその長手方向に沿って直線的に案内するものである。
」と訂正する。
シ.訂正事項l
明細書の段落【0014】の記載「【0014】
このようにすれば、棒材切断装置には、棒材把持機と切断機との間に、その棒材把持機により把持された棒材の軸心がその切断機の一端に設けられた円板状回転切断工具の回転方向側に位置した状態でその円板状回転切断工具が棒材に接近するように、その切断機をその長手方向に沿って直線的に案内する工具案内装置が備えられる。そのため、棒材を切断するに際しては、円板状回転切断工具が前記棒材把持機によって把持されたその棒材に接近する方向に直線的に向かわせられることから、従来の棒材切断装置のように切断機の回動角度を確保する必要がなくなって、比較的密に配設された鉄筋や樹脂パイプ等の棒材を切断することも可能となるが、このとき、棒材は、その軸心が円板状回転切断工具の回転中心に対して回転方向側にずれた状態で切断される。したがって、切断時において円板状回転切断工具の外周刃が棒材に接触させられると、その円板状回転切断工具をその棒材側に接近させる方向の力が生じることとなり、切断時に円板状回転切断工具を棒材に接近する方向に工具案内装置に従って案内するために必要な力が減じられて、切断加工を一層容易に行うことが可能となる。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【0009】 このようにすれば、棒材を切断するに際しては、円板状回転切断工具が前記棒材把持機によって把持されたその棒材に接近する方向に直線的に向かわせられることから、従来の棒材切断装置のように切断機の回動角度を確保する必要がなくなって、比較的密に配設された鉄筋や樹脂パイプ等の棒材を切断することも可能となるが、このとき、棒材は、その軸心が円板状回転切断工具の回転中心に対して回転方向側にずれた状態で切断される。したがって、切断時において円板状回転切断工具の外周刃が棒材に接触させられると、その円板状回転切断工具をその棒材側に接近させる方向の力が生じることとなり、切断時に円板状回転切断工具を樺材に接近する方向に工具案内装置に従って案内するために必要な力が減じられて、切断加工を一層容易に行うことが可能となる。」と訂正する。
ス.訂正事項m
明細書の段落【0015】の記載「【0015】
また、好適には、前記工具案内装置は、(j)前記切断機および前記棒材把持機の一方に設けられたラックギアと、(k)それら切断機および棒材把持機の他方に設けられてそのラックギアと噛み合わされるピニオンギアと、(l)そのピニオンギアに備えられ、そのピニオンギアを所定の回動軸心回りに回動させることにより、それらピニオンギアとラックギアとの噛合に基づいてその切断機を前記棒材に接近する方向に直線的に移動させるための操作部材とを、含むものである。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【0010】
また、好適には、前記工具案内装置は、前記切断機および前記棒材把持機の一方に設けられたラックギアと、それら切断機および棒材把持機の他方に設けられてそのラックギアと噛み合わされるピニオンギアと、そのピニオンギアに備えられ、そのピニオンギアを所定の回動軸心回りに回動させることにより、それらピニオンギアとラックギアとの噛合に基づいてその切断機を前記棒材に接近する方向に直線的に移動させるために手で操作される操作部材とを、含むものである。」
と訂正する。
セ.訂正事項n
明細書の段落【0064】を、明りょうでない記載の釈明を目的として、削除する。
ソ.訂正事項o
明細書の段落【0066】の記載「【0066】
また、実施例においては、押圧部56を有して受け部20の基部24に取り付けられた押圧部材28と、その押圧部材28にピン30の軸心回りに相対回動可能に連結された連結部材32と、一端部においてその連結部材32にピン34の軸心回りに相対回動可能に連結されると共に他端部においてアジャストボルト40の先端面中央の回りに回動可能に備えられた回動部材38とが備えられ、相対回動中心(ピン30,34の軸心)および回動部材38の回動中心が一直線上に位置した状態で棒材12aが把持されるように構成されていたが、例えば、回動部材38はアジャストボルト40の先端部にピン等によって回動可能に取り付けられていても良く、或いは、案内部材42等に取り付けられたボルト等によって押圧部56を受け面54に向かって押圧することにより、棒材12aが把持されるように構成されていても差し支えない。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【0060】
また、実施例においては、押圧部56を有して受け部20の基部24に取り付けられた押圧部材28と、その押圧部材28にピン30の軸心回りに相対回動可能に連結された連結部材32と、一端部においてその連結部材32にピン34の軸心回りに相対回動可能に連結されると共に他端部においてアジャストボルト40の先端面中央の回りに回動可能に備えられた回動部材38とが備えられ、相対回動中心(ピン30,34の軸心)および回動部材38の回動中心が一直線上に位置した状態で棒材12aが把持されるように構成されていたが、例えば、回動部材38はアジャストボルト40の先端部にピン等によって回動可能に取り付けられていても良い。」と訂正する。
タ.訂正事項p
明細書の【符号の説明】の
「10:棒材切断装置
12:棒材
14:棒材把持機
16:円板状回転切断工具
18:切断機
{42:案内部材,{144,146:案内壁部,148,150:裏板}(移動部材)}(工具案内装置)」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「10:棒材切断装置
12:棒材
14:棒材把持機
16:円板状回転切断工具
18:切断機
22:本体
28:押圧部材
32:連結部材(第2回動部材)
36:回動部材(第1回動部材)
40:アジャストボルト
{42:案内部材,{144,146:案内壁部,148,150:裏板}(移動部材)}(工具案内装置)」と訂正する。
異議決定日 2000-03-27 
出願番号 特願平7-33273
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B23D)
P 1 651・ 113- YA (B23D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐伯 義文森川 元嗣  
特許庁審判長 小池 正利
特許庁審判官 播 博
鈴木 孝幸
登録日 1998-04-10 
登録番号 特許第2769297号(P2769297)
権利者 株式会社ダイア
発明の名称 棒材切断装置  
代理人 池田 治幸  
代理人 池田 治幸  
代理人 藁科 孝雄  
代理人 中島 三千雄  
代理人 神戸 典和  

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