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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B65H |
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管理番号 | 1027467 |
異議申立番号 | 異議1999-73030 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1992-05-21 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-08-10 |
確定日 | 2000-07-17 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2856536号「画像形成装置における後処理装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2856536号の特許を維持する。 |
理由 |
1.本件特許発明 本件特許第2856536号(平成2年10月12日出願、平成10年11月27日設定登録。)の請求項1に係る特許発明(以下、本件特許発明という。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 複数部のシート束を1部ずつ順次画像形成する画像形成手段と、この画像形成手段によって画像形成されたシートを順次積載するシート積載手段と、このシート積載手段に積載されたシート束を1箇所又は複数箇所で閉じるために異なる綴じ位置に移動可能な綴じ手段とを有し、前記綴じ手段で綴じられたシート束を前記シート積載手段から排出するようにした画像形成装置において、 1箇所を綴じる1箇所ステープルモードまたは複数箇所を綴じる複数箇所ステープルモードを選択するステープルモード選択手段と、 このステープルモード選択手段によって選択されたステープルモードに応じて、先の画像形成サイクルの画像形成完了から次の画像形成サイクルの画像形成開始までの待ち時間を変更し、前記画像形成手段による次の画像形成サイクルの画像形成開始タイミングを制御する制御手段と、を備えた画像形成装置。」 2.申立ての理由の概要 申立人山田将之は、本件特許発明は、甲第1号証乃至甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消すべきものである旨主張している。 3.甲第1号証乃至甲第4号証に記載の発明 甲第1号証(特開昭63-109449号公報)には、製本装置に関して、下記の事項が図面とともに記載されている。 「複写機の排出部から排出される複数枚の複写物から成る一群の複写物をスタックした状態でその複写物をステープルすることによって綴じる製本装置において、 上記複写物の先端に対応して同複写物の幅方向に移動可能な一個のステープラと、上記ステープラを変位させる手段と、上記変位手段に関連し、上記複写機から排出される複写物のステープル位置、ステープル数および複写物の大きさ並びに排出状態の各データを指令されることにより上記変位手段をこれらデータに適応させて駆動制御する手段とを具備する製本装置。」(特許請求の範囲の欄)、「符号1000で示す製本装置は複写機2000のコピー排出口2001に受入口1001を接続させるようにして複写機2000に隣接して配置されている。」(明細書第2頁左下欄第20行目〜同右下欄第3行目)、「そして搬送路Bの末端近傍には、……中間スタック部であるトレイ22が配置されている。……そしてトレイ22のストッパ22a近傍には、後述するが、コピーの幅方向に移動可能な一つのステープラ23が、……位置している。」(明細書第3頁左上欄第1行目〜第11行目)、「マイクロコンピュータ33には、複写機2000の制御用CPUからシリアルにデータが転送され、そのデータの内容としては、複写機2000から排出されるコピーに対してのステープル位置、ステープル数並びにコピーの大きさおよび排出状態(中央基準、端面基準)がある。」(明細書第3頁左下欄第20行目〜同頁右下欄第5行目)、「そして一組のコピー群である場合には、トレイ22によって最終コピーがストックされたのを確認したうえでステープラ 23 によってステープルされる。この後、コピーは、……コピー受け32に排出され、……始発態位におかれる。」(明細書第4頁左上欄第11行目〜第19行目)、及び、「すなわち、マイクロコンピュータ33は第5図示Aのように、……そして、ステープラ23によるステープル位置が左あるいは右の一点止めであるかをステップST4でチェックし、……ステープラ23を作動させて第4図(A),(B)における符号Sで示すステープル位置にステープルを行なう。また、ステープル位置が左右いずれでもない場合には、2点止めと判別し、ステープラ23を中央部での2ヶ所に連続して移動さすべくステッピングモータを駆動させて各個所でステープラ23を作動させ、第4図(C)示のようにステープルを行なう。……このように、マイクロコンピューター33にあっては、複写機2000から排出されるコピーのサイズおよび排出状態、そしてステープル位置並びにステープル数に対応してガイドフェンス34およびステープラ23の作動が制御される。」(明細書第4頁右上欄第4行目〜同頁右下欄第8行目)。 甲第2号証(特開昭62-275949号公報)には、画像形成装置に関し、 「記録材に画像を形成する画像形成手段、前記画像形成手段により画像形成された記録材に対し折り処理を行う折り手段、前記折り手段の折り処理に係る時間t1と、選択された画像形成モードにより決められる記録材の給送間隔に応じた時間t2とを比較し、t1<t2の関係を保つべく比較結果に応じて画像形成動作時の記録材の給送間隔を制御する制御手段、を有することを特徴とする画像形成装置。」(特許請求の範囲の欄)及び、「記録材の折り処理の完了前には、次の記録材が入ってこないように制御する事により、紙の追突による紙づまりを防ぐ事が出来る。又、画像形成モードに応じて、記録材の給送間隔を制御することにより、スループットの低下を極力防ぐことができる。」(明細書第5頁左下欄第3行目〜第9行目)が記載されている。 また、同異議申立人の提出した甲第3号証(特開平1-193761号公報)には、複写装置に関して、「処理装置4では処理ユニット55によりパンチまたは綴じ止め処理が行なわれ終了後に、……2部目の複写サイクルが開始される。このように、パンチ処理または綴じ止め処理の終了と合わせて次の複写動作を開始させることにより動作が確実になり且つその後排出をまたずに次コピーの開始ができるため処理時間の短縮が可能になる。」(明細書第7頁右下欄第8行目〜第19行目)が、同甲第4号証(特開昭62-289865号公報)には、画像形成装置に関して、「シートのサイズによって、ステープル処理後の次の画像記録動作の開始を許可するようにタイミングを変えるようにすることにより全体のスループットの低下を最小限にするような画像形成装置を提供することを目的としている。」(明細書第2頁左上欄第4行目〜第9行目)が記載されている。 4.対比・判断 そこで、本件特許発明と甲第1号証に記載された発明とを本件特許発明の用語を使用して対比すると、両者は、「複数部のシート束を1部ずつ順次画像形成する画像形成手段と、この画像形成手段によって画像形成されたシートを順次積載するシート積載手段と、このシート積載手段に積載されたシート束を1箇所又は複数箇所で閉じるために異なる綴じ位置に移動可能な綴じ手段とを有し、前記綴じ手段で綴じられたシート束を前記シート積載手段から排出するようにした画像形成装置」で一致しており、次の点で相違している。 相違点;本件特許発明では、「1箇所を綴じる1箇所ステープルモードまたは複数箇所を綴じる複数箇所ステープルモードを選択するステープルモード選択手段と、このステープルモード選択手段によって選択されたステープルモードに応じて、先の画像形成サイクルの画像形成完了から次の画像形成サイクルの画像形成開始までの待ち時間を変更し、前記画像形成手段による次の画像形成サイクルの画像形成開始タイミングを制御する制御手段と、を備える画像形成装置」であるのに対して、甲第1号証記載の発明はそのような手段を備えていない点。 上記相違点について検討するに、甲第2号証は、用紙サイズの異なる記録材が一枚一枚給送される画像形成装置において、先の一枚の記録材の折り処理が完了しないうちに次の一枚の記録材が給送されてしまいこれらが衝突して紙詰まりを引き起こしてしまい、記録材の搬送不良が発生しないようにすることを目的としており、「記録材に画像を形成する画像形成手段、前記画像形成手段により画像形成された記録材に対し折り処理を行う折り手段、前記折り手段の折り処理に係る時間t1と、選択された画像形成モードにより決められる記録材の給送間隔に応じた時間t2とを比較し、t1<t2の関係を保つべく比較結果に応じて画像形成動作時の記録材の給送間隔を制御する制御手段、を有することを特徴とする画像形成装置。」を構成することまでが、開示されているが、本件発明の特徴とする構成である「積載されたシート束を1箇所又は複数箇所で閉じるために異なる綴じ位置に移動可能な綴じ手段と連動して、1箇所を綴じる1箇所ステープルモードまたは複数箇所を綴じる複数箇所ステープルモードを選択するステープルモード選択手段と、このステープルモード選択手段によって選択されたステープルモードに応じて、先の画像形成サイクルの画像形成完了から次の画像形成サイクルの画像形成開始までの待ち時間を変更し、前記画像形成手段による次の画像形成サイクルの画像形成開始タイミングを制御する制御手段と、を備える画像形成装置の構成」までは開示していない。 また、同異議申立人の提出した甲第3号証乃至同4号証には、これらの構成は何ら記載していないし、示唆もされていない。 そして、本件特許発明は、上記相違点に係る技術事項を備えることによって、本件特許明細書に記載されたとおりの、従来の画像形成装置の構造を変えずに画像形成手段の画像形成開始タイミングを変更するだけでよく、複雑な構造にすることなく、1ヶ所綴りや2ヶ所綴りを任意に選択し、綴じ作業をスムーズに行うことができるという格別な作用効果を奏するものと認める。 したがって、本件特許発明は、甲第1号証乃至甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認めることができない。 5.むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては本件特許発明についての特許を取り消すことができない。 また、他に本件特許発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2000-06-13 |
出願番号 | 特願平2-274336 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(B65H)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 杉野 裕幸、黒石 孝志 |
特許庁審判長 |
村本 佳史 |
特許庁審判官 |
森林 克郎 市野 要助 |
登録日 | 1998-11-27 |
登録番号 | 特許第2856536号(P2856536) |
権利者 | 株式会社リコー |
発明の名称 | 画像形成装置における後処理装置 |