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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1027532
異議申立番号 異議1998-75251  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-10-28 
確定日 2000-06-19 
異議申立件数
事件の表示 特許第2745115号「弾球遊技機」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2745115号の特許を取り消す。 
理由 1.手続きの経緯及び引用刊行物
本件特許第2745115号の発明は、平成1年4月19日に出願された特願平1-99674号の分割出願である特願平8-122331号のさらなる分割出願であって、平成10年2月13日にその設定登録がなされ、その後アルゼ株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年11月29日に特許異議意見書が提出されたものである。
刊行物1:特開昭63-209685号公報
刊行物2:パチンコ攻略マガジンNO.1(1987年12月24日号、昭和62年1 2月24日発行)の第015頁〜第017頁
刊行物3:パチンコ攻略マガジンNO.4(1988年7月23日号、昭和63年7月 23日発行)の第056頁〜第061頁
2.本件発明
本件の請求項1に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された下記の事項により特定されるとおりのものと認める。
「【請求項1】 複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示部が複数配設された可変表示装置と、
前記複数の可変表示部の表示結果をその導出時期を異ならせて導出表示させることが可能な可変表示制御手段と、を備え、
前記複数の可変表示部の表示結果が特定表示状態である場合に遊技者にとって有利な状態に制御可能な弾球遊技機において、
前記可変表示制御手段は、前記複数の可変表示部のうち、最後に表示結果を導出表示する可変表示部が可変表示中の状態において、既に表示結果が導出表示されている可変表示部の表示結果が前記特定表示状態となる条件を満たしている場合に、前記最後に表示結果を導出表示する可変表示部の可変表示速度を通常時の可変表示速度よりも高速にする高速可変表示制御手段を含むことを特徴とする弾球遊技機。」(以下「本件発明」という。)
3.引用刊行物記載の発明
刊行物1(特開昭63-209685号公報)には、次の事項が記載されている。
(ア)「ガイドレールによって囲まれた遊技領域内に、権利発生の条件を与える権利発生装置と、該権利発生装置による権利の発生に基づいて打球を受け入れない状態から打球を受け入れ易い状態に変化する特別入賞装置と、打球誘導部を有する可動部材を備え前記特別入賞装置への打球の入賞によりその可動部材が変位することによって打球を受け入れない状態から打球を受け入れ易い状態に変化する誘導機能付入賞装置と、該誘導機能付入賞装置が前記打球を受け入れ易い状態に変化したときにその可動部材の打球誘導部により流下経路を変更された打球を受け入れ可能な補助入賞装置とが設置されていることを特徴とするパチンコ遊技機。」(特許請求の範囲)、(イ)「また、この権利発生装置3の構成基枠30の前面中央には横一列に並んだ3つのセグメント型表示器31a,31b,31cからなる可変表示器31が設置され、その左右両端側にはチャッカーと呼ばれる特定入賞口32が設けられている。そして、前記特定入賞口32に打球が入賞すると、図示省略の制御装置により、可変表示装置31のセグメント型表示器31a,31b,31cの数字表示a,b,cがそれぞれ独立してランダムに一定時間(または、遊技者により、遊技機に設置された図外のストップボタンが押されてストップされるまでの時間)循環作動されて変化し、左の表示器31aから順に(31a→31b→31c)停止される。その結果、数字表示(a,b,c)が、例えば(3,3,3)または(7,7,7)となったときには、大当たりと呼ばれる特別な遊技態様の権利が発生する。ちなみに、この実施例では、その特別な遊技態様の権利の発生を遊技者により分かり易く通常と異なる色彩で視認させるようにするため、表示器31a,31b,31cの数字表示a,b,cが次のように工夫されている。即ち、図示省略の制御装置により、一番最初停止する左側の表示器31aの数字表示aは、「3」または「7」で停止したときにのみその数字表示aが緑色で点灯され、‥‥中略‥‥。また、その次に停止する真中の表示器31bの数字表示bは、その前に停止した左側の表示器31aの数字表示とaと同じ数字表示(a=b)で、しかも「3」または「7」で停止したときにのみ緑色で点灯され、‥‥中略‥‥。また、一番最後に停止する右側の表示器31cの数字表示cは、その前に停止した左側および真中の表示器31a,31bの数字表示a,c[bの誤記]と同じ数字表示(a=b=c)で、しかも「3」または「7」で停止したときにのみ緑色で点灯され、それ以外のときには赤色で点灯される‥‥中略‥‥かくして、表示器31a,31b,31cがすべて停止してその数字表示(a,b,c)が(3,3,3)または(7,7,7)となったときにのみすべての数字表示a,b,cが緑色で表示されるようになっており、それにより遊技者には大当りと呼ばれる特別な遊技態様の権利の発生が視認し易くなる。」(第2頁下右欄末2行〜第3頁下左欄6行)、及び、(ウ)「そして、通常の遊技態様時でソレノイド48が消磁され‥‥中略‥‥。そして、特別な遊技態様の権利が発生して‥‥中略‥‥開閉部材43,43の自由端側が外側へ広がる方向、即ち、開く方向に回動され、逆「ハ」の字状に開放される。この開閉部材43,43は、特別な遊技態様発生時に図示省略の制御装置よりソレノイド48が作動されて所定時間(例えば6秒)開放される。」(第5頁上右欄7行〜同下左欄5行)が記載されている。
刊行物2には、(エ)弾球遊技機に関し「ただし、中のデジタルは、左右デジタルが同色、同数字で停止すると、その瞬間に左右と同色に変わる仕組みとなっている。そして、通常とは違い、デジタルの回転速度が遅くなり、気を持たせるようにゆっくりと回って、数秒後に停止する。このとき、中デジタルも同数で止まれば大当たり。」(015頁中段)が記載されている。
刊行物3には、(オ)弾球遊技機に関し「左右がそろうと、同色になった中デジタルの回転速度が遅くなり、数秒後に停止。この中デジタルのゆっくりした動きが何ともスリリングだ。」(056頁中段)が記載されている。
4.対比
刊行物1記載の発明と本件発明とを対比すると、
刊行物1記載の「セグメント型表示器31a,31b,31cからなる可変表示装置31」、「可変表示装置31のセグメント型表示器31a,31b,31cの数字表示a,b,cがそれぞれ独立してランダムに一定時間循環作動されて変化し、セグメント型表示器が順に停止するように制御する、図示省略の制御装置」、「特別な遊技態様の権利が発生する表示である場合、図示省略の制御装置で、ソレノイド48を作動させて、開閉部材43,43の自由端側を所定時間(例えば6秒)外側へ広がる方向(開く方向)に逆「ハ」の字状に回動して開放させ、遊技者に有利な状態に制御する弾球遊技機」は、
それぞれ本件発明の「複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示部が複数配設された可変表示装置」、「前記複数の可変表示部の表示結果をその導出時期を異ならせて導出表示させることが可能な可変表示制御手段」、「前記複数の可変表示部の表示結果が特定表示状態である場合に遊技者にとって有利な状態に制御可能な弾球遊技機」に相当するから、
本件発明の用語を用いて表現すると両者は「複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示部が複数配設された可変表示装置と、前記複数の可変表示部の表示結果をその導出時期を異ならせて導出表示させることが可能な可変表示制御手段と、を備え、前記複数の可変表示部の表示結果が特定表示状態である場合に遊技者にとって有利な状態に制御可能な弾球遊技機」で一致し、
本件発明が「可変表示制御手段は、前記複数の可変表示部のうち、最後に表示結果を導出表示する可変表示部が可変表示中の状態において、既に表示結果が導出表示されている可変表示部の表示結果が前記特定表示状態となる条件を満たしている場合に、前記最後に表示結果を導出表示する可変表示部の可変表示速度を通常時の可変表示速度よりも高速にする高速可変表示制御手段を有する」のに対して、刊行物1記載の発明がそのような可変表示手段を有していない点で相違する。
上記相違点について検討すると、刊行物2の(エ)の記載事項や刊行物3の(オ)の記載事項に開示されているように、「複数の可変表示部のうち、最後に表示結果を導出表示する可変表示部が可変表示中の状態において、既に表示結果が導出表示されている可変表示部の表示結果が前記特定表示状態となる条件を満たしている場合に、前記最後に表示結果を導出表示する可変表示部の可変表示速度を通常時の可変表示速度よりも遅くする遅延可変表示制御手段を有する」弾球遊技機は、当業者において従来周知のものであるから、刊行物1に記載された発明に上記刊行物2及び3に記載された周知技術を採用することは格別創意を要することではない。
ところで、本件発明では上記周知技術のように最後に表示結果を導出する可変表示部の可変表示速度を通常時の可変表示速度よりも遅くするのではなく、高速にしているが、高速にすることの技術的意義は、上記周知技術において遅くすることと同様に、可変表示装置の表示結果が特定の表示状態になる可能性があるときに可変速度を通常時の可変表示速度と異ならせた状態とすることによって遊技の興趣を盛り上げることにある。
そうすると、本件発明のように最後に表示結果を導出表示する可変表示部の可変表示速度を通常時の可変表示速度よりも速くすることは、通常時の可変表示速度よりも異ならせた可変表示速度として当業者であれば適宜採用することができる程度の設計的事項にすぎないものである。
そして、本件発明の効果も、刊行物1乃至3に記載されたものから当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、平成6年改正法附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-04-20 
出願番号 特願平8-148374
審決分類 P 1 651・ 121- Z (A63F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 市野 要助
森林 克郎
登録日 1998-02-13 
登録番号 特許第2745115号(P2745115)
権利者 株式会社三共
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 有我 軍一郎  
代理人 今崎 一司  

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