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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A01C
管理番号 1027705
異議申立番号 異議1999-71883  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-02-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-05-18 
確定日 2000-10-10 
異議申立件数
事件の表示 特許第2825010号「乗用田植機におけるリヤアクスルケースの配設構造」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2825010号の特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第2825010号の発明についての出願は、平成1年7月14日に特許出願されたものであって、平成10年9月11日にその特許の設定登録がなされ、その後、特許異議の申立てが、山本 進(以下、「申立人」という。)よりなされ、取消理由通知が通知され、その指定期間内に訂正請求がなされ、訂正拒絶理由が通知されたところ、その指定期間内である平成12年5月10日に訂正請求書を補正する手続補正書が提出されたものである。
2.訂正の適否についての判断
[2-1]訂正請求に対する補正の適否について
特許権者は、平成11年11月15日付け訂正請求書について、下記の補正を求めるものである。
・訂正事項aの補正
「【請求項1】機体の前後左右部に前後車輪(7)(7)(9)(9)を設け、機体の後部に植付部(C)を昇降自在に連接した乗用田植機において、機体の前側下部にミッションケース(5)を配設し、同ミッションケース(5)の上方にエンジン(2)を配設し、同エンジン(2)の上方に燃料タンク(4-1)を配設し、同エンジン(2)の後方で、前記ミッションケース(5)上方位置にハンドルシャフト(3)を立設し、前記エンジン(2)、燃料タンク(4-1)、ハンドルシャフト(3)をボンネット(4)によりカバーし、前記ミッションケース(5)の下方に前車輪(7)(7)の前車軸(7-1)(7-1)を配設すると共に、機体の後側下部に、前記ミッションケース(5)にプロペラシャフト(14)を介して連動連結するリヤアクスルケース(8)を配設し、しかも、同リヤアクスルケース(8)は、前記プロペラシャフト(14)の軸線(P1)の延長方向に位置すると共に、内蔵するギヤ群を、側面視で前高後低状態に配置し、かつ、前記ミッションケース(5)の側面に入力プーリ(29)を配設し、該入力プーリ(29)の直上方にエンジンプーリ(28)を設け、更に、ボンネット(4)の後端より前方に前車軸(7-1)(7-1)を備えたことを特徴とする乗用田植機」を、「【請求項1】機体の前後左右部に前後車輪(7)(7)(9)(9)を設け、機体の後部に植付部(C)を昇降自在に連接した乗用田植機において、機体の前側下部にミッションケース(5)を配設し、同ミッションケース(5)の上面上方位置にエンジン(2)を配設し、同エンジン(2)の上面上方位置に燃料タンク(4-1)を配設し、同エンジン(2)の後方で、前記ミツンョンケース(5)の上面上方位置にステアリングシャフト(3)を立設し、前記エンジン(2)、燃料タンク(4-1)、ステアリングシャフト(3)をボンネット(4)によりカバーし、前記ミツンョンケース(5)の下方に前車輪(7)(7)の前車軸(7-1)(7-1)を配設すると共に、機体の後側下部に、前記ミッションケース(5)にプロペラシャフト(14)を介して連動連結するリヤアクスルケース(8)を配設し、しかも、同リヤアクスルケース(8)は、前記プロペラシャフト(14)の軸線(P1)の延長方向に位置すると共に、内蔵するギヤ群を、側面視で前高後低状態に配置し、かつ、前記ミッションケース(5)の側面に入力プーリ(29)を配設し、該入力プーリ(29)の直上方にエンジンプーリ(28)を設け、更に、ボンネット(4)の後端より前方に前車軸(7-1)(7-1)を備えたことを特徴とする乗用田植機」と補正する。
・訂正事項bの補正(訂正事項aの補正で補正する特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための補正)
・訂正事項cの補正(訂正事項aの補正で補正する特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための補正)
しかし、訂正請求書の補正において、訂正事項の補正は、訂正の削除、及び軽微な瑕疵の補正等に限られ、特許請求の範囲をさらに減縮するよう訂正事項を変更する上記補正は、訂正請求書の要旨を変更するものと認められ、特許法第120条の4第3項において準用する同法第131条第2項の規定に違反するものであり、採用しない。
[2-2]訂正明細書の請求項1に係る発明
平成11年11月15日付け訂正明細書の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、次の事項により特定されるものである。
「【請求項1】機体の前後左右部に前後車輪(7)(7)(9)(9)を設け、機体の後部に植付部(C)を昇降自在に連接した乗用田植機において、機体の前側下部にミッションケース(5)を配設し、同ミッションケース(5)の上方にエンジン(2)を配設し、同エンジン(2)の上方に燃料タンク(4-1)を配設し、同エンジン(2)の後方で、前記ミッションケース(5)上方位置にハンドルシャフト(3)を立設し、前記エンジン(2)、燃料タンク(4-1)、ハンドルシャフト(3)をボンネット(4)によりカバーし、前記ミッションケース(5)の下方に前車輪(7)(7)の前車軸(7-1)(7-1)を配設すると共に、機体の後側下部に、前記ミッションケース(5)にプロペラシャフト(14)を介して連動連結するリヤアクスルケース(8)を配設し、しかも、同リヤアクスルケース(8)は、前記プロペラシャフト(14)の軸線(P1)の延長方向に位置すると共に、内蔵するギヤ群を、側面視で前高後低状態に配置し、かつ、前記ミッションケース(5)の側面に入力プーリ(29)を配設し、該入力プーリ(29)の直上方にエンジンプーリ(28)を設け、更に、ボンネット(4)の後端より前方に前車軸(7-1)(7-1)を備えたことを特徴とする乗用田植機。」
[2-3]引用刊行物記載の発明
当審において通知した訂正拒絶理由で引用した刊行物1(特開昭61-58513号公報(甲第1号証))には、
「この発明の一実施例を示した乗用型の田植機を図面に基づき詳細に説明すると、(1)は乗用牽引車体で、フロントミッションケース(2)の前部に油圧ポンプケース(3)を一体的に設け、フロントミッションケース(2)の後端下部側に後方へ延びるフレーム(4)を設けてこのフレーム(4)の下端にリヤーミッションケース(5)を取付け、フロントミッションケース(2)上にエンジン(6)を搭載し、リヤーミッションケース(5)上に支柱(7)を立設して座席(8)を設け、その前側に操縦ハンドル(9)を設け、フロントミッションケース(2)の左右両側にフロントアクスルケース(10)・(10)を設けて前車輪(11)・(11)を軸承し、リヤーミッションケース(5)の左右両側にリヤーアクスルケース(12)・(12)を設けて後車輪(13)・(13)を軸承している。(14)はフロントミッションケース(2)側からリヤーミッシヨンケース(5)側へ動力を伝達する伝動軸、(15)はボンネット、(16)は燃料タンク、(17)はステップフロア一を示す。」(第2頁左上欄末行目〜同右上欄第18行目)、
「(18)は農作業装置の一例である田植装置で、植付ミッションケース(19)の上部に左右に往復横移動する苗タンク(20)を設け、後部に苗植付具(21)・(21)・・を設け、下部に中央接地フロート(23)・(23)とを装着した構造になっている。(24)は昇降リンク機構で、前記支柱(7)に基部側が枢着(イ)・(ロ)された上リンク杆(25)と下リンク杆(26)・(26)と、この上リンク杆(25)と下リンク杆(26)とを枢結(ハ)・(ニ)すると共に前記田植装置(18)を装着するために下方に延ばした連結枠(27)と、更に、上リンク杆(25)の基部側に一体的に取付けた作動アーム(28)を作動する油圧シリンダー装置(29)とからなっている。」(第2頁右上欄第19行目〜第3頁左上欄第10行)、
「エンジン(6)の上方に燃料タンク(16)を配設し、同エンジン(6)の後方で、フロントミッションケース(2)の上方位置にハンドル(9)のシャフトを立設し、前記エンジン(6)、燃料タンク(16)、ハンドル(9)のシャフトをボンネット(15)によりカバーする構成」(第1図)
の記載からみて、「機体の前後左右部に前後車輪(11)(13)を設け、機体の後部に植付部(田植装置18)を昇降自在に連接した乗用田植機において、機体の前側下部にミッションケース(フロントミッションケース(2))を配設し、同ミッションケース(2)の上方にエンジン(6)を配設し、同エンジン(6)の上方に燃料タンク(16)を配設し、同エンジン(6)の後方で、フロントミッションケース(2)の上方位置にハンドル(9)のシャフトを立設し、前記エンジン(6)、燃料タンク(16)、ハンドル(9)のシャフトをボンネット(15)によりカバーし、ミッションケース(2)の下方に前車輪(11)の前車軸を配設すると共に、機体の後側下部に、前記ミッションケース(2)にプロペラシャフト(伝動軸(14))を介して連動連結するリヤアクスルケース(リヤーミッシヨンケース(5)及びリアーアクスルケース(12))を配設し、しかも、同リヤアクスルケース(5,12)は、前記プロペラシャフト(14)の後方に位置すると共に、リアーアクスルケース(12)を、側面視で前高後低状態に配置し、更に、ボンネット(15)の後端より前方に前車軸を備えた乗用田植機。」を構成とする発明が記載されている。
刊行物2(特開昭56-88711号公報(甲第2号証))には、
「図において符号1は乗用車体であり、この後部にリフト機構2を介して植付作業機3が昇降可能に連結されて成る。」(第1頁右下欄第12〜14行目)、
「そしてこのような変速機7上のエンジン10が搭載され且つベルト伝動手段11で動力伝達すべく連結され、変速機7の側方から後方へチェンジレバー12が取出されて変速操作するようになっている。変速機7の下部には左右方向にフロントアクスルハウジング13が連設して、この両端に軸ケース14を介して左右の前輪15が駆動するように取付けられている。」(第2頁左上欄第2〜9行目)、
「伝動ケース27を介して左右の後輪28が装着される。伝動ケース27相互の間にはリヤアクスルハウジング29が装架されて、このハウジング29中心部の差動部に上記変速機7からのプロペラ軸30が動力伝達して後輪28を駆動すべく連結される。」(第2頁右上欄第1〜6行目)、
「一方、変速機ケース33には上記フロントアクスルハウジング13が一体化され、このハウジング13における差動装置43のリンクギヤ44が上記出力軸38の出力ギヤ45に噛合って変速した動力を伝達するようになっており、リングギヤ44は更に一対のべベルギヤ46を介してプロペラ軸30に連結される。またこのようなハウジング13に軸ケース14がかじ取り操作可能にすべく回動自在に取付けられ、差動装置43からのフロント駆動軸47が一対のべベルギヤ48を介して軸ケース14内の中間軸49に連結され、更にこの中間軸49から一対のべベルギヤ50を介して前輪15の車軸51に連結され、前輪15を駆動すると共にプロペラ軸30を介して後方へ動力伝達するようになっている。」(第2頁左下欄第3〜16行目)、
「変速機ケース33(変速機7)から左右にフロントハウジング13を突出させ、その両端に軸ケース14を設け、その下端から横外方に車軸51を突設した構造であること、及び、前輪15用の車軸51は変速機ケース33の前後中間部付近でケース33より下方に設けられていて、エンジン10は変速機ケース33の直上方に配設されていて、変速機ケース33の側面に入力プーリを設けて、この入力プーリの直上方にエンジンプーリが位置すること」(第1〜3図)
の記載からみて、
「機体の前後左右部に前後車輪(15),(28)を設け、機体の後部に植付部(植付作業機3)を昇降自在に連接した乗用田植機において、機体の前側下部にミッションケース(変速機ケース33)を配設し、同ミッションケース(33)の上方にエンジン(10)を配設し、ミッションケース(33)の下方に前車輪(15)の前車軸(車軸51)を配設すると共に、機体の後側下部に、前記ミッションケース(33)にプロペラシャフト(プロペラ軸30)を介して連動連結するリヤアクスルケース(リヤアクスルハウジング29)を配設し、しかも、同リヤアクスルケース(29)と後輪軸に動力伝達する伝動機構を内装した伝動ケース27とは、前記プロペラシャフト(14)の後方に位置し、内蔵する伝動機構を、側面視で上下に配置し、かつ、前記ミッションケース(33)の側面に入力プーリを配設し、該入力プーリの直上方にエンジンプーリを設けた乗用田植機。」を構成とする発明が記載されている。
刊行物3(特公昭62-49233号公報(甲第3号証の2))には、
「第1図、第3図、及び、第4図に示すように、前輪駆動用ケース16を、車体フレーム17に前後方向軸心X周りに揺動可能に枢支し、後輪駆動用ケース18を、車体フレーム17に固着し、前輪駆動用ケース16の両端部夫々に、車軸支承ケース19,19を上下方向軸心Y,Y周りに揺動可能に枢支してある。」(第3欄第19〜25行)、
「前輪駆動用ケース16からの動力は伝動軸31により後輪駆動用ケース18内に伝動する。そして、後輪駆動用ケース18は、伝動軸31の軸線の延長方向に位置すると共に、第1図側面視で、伝動軸31の接続部より前高後低状態に配置し、内部に前側から後側にかけて連なるギヤ群を内蔵する。エンジン3の上方に燃料タンクを配設し、同エンジン3の後方で、ミッションケース4の上方位置にハンドル21のシャフトを立設している。」(第1、3図)
の記載からみて、
「機体の前後左右部に前後車輪(1)(2)を設け、機体の後部に植付部(9)を昇降自在に連接した乗用田植機において、機体の前側下部にミッションケース(4,16)を配設し、機体の後側下部に、前記ミッションケース(4,16)にプロペラシャフト(伝動軸31)を介して連動連結するリヤアクスルケース(後輪駆動用ケース18)を配設し、しかも、同リヤフフクスルケース(18)は、前記プロペラシャフト(31)の軸線の延長方向に位置すると共に、内蔵するギヤ群を、側面視で前高後低状態に配置した乗用田植機。」を構成とする発明が記載されている。
[2-4]対比・判断
訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「前者」という。)と刊行物1に記載された発明(以下、「後者」という。)とを比較すると、後者における「田植装置」は前者における「植付部」に、「フロントミッションケース(2)」は「ミッションケース」に、「ハンドル(9)のシャフト」は「ハンドル(ステアリング)シャフト(3)」に、「伝動軸14」は「プロペラシャフト」に、「リヤーミッシヨンケース(5)及びリアーアクスルケース(12)」は「リヤアクスルケース」に相当し、両者は、
「機体の前後左右部に前後車輪(7)(7)(9)(9)を設け、機体の後部に植付部(C)を昇降自在に連接した乗用田植機において、機体の前側下部にミッションケース(5)を配設し、同ミッションケース(5)の上方にエンジン(2)を配設し、同エンジン(2)の上方に燃料タンク(4-1)を配設し、同エンジン(2)の後方で、前記ミッションケース(5)上方位置にハンドルシャフト(3)を立設し、前記エンジン(2)、燃料タンク(4-1)、ハンドルシャフト(3)をボンネット(4)によりカバーし、前記ミッションケース(5)の下方に前車輪(7)(7)の前車軸(7-1)(7-1)を配設すると共に、機体の後側下部に、前記ミッションケース(5)にプロペラシャフト(14)を介して連動連結するリヤアクスルケース(8)を配設し、しかも、同リヤアクスルケース(8)は、前記プロペラシャフト(14)の軸線(P1)の延長方向に位置すると共に、ボンネット(4)の後端より前方に前車軸(7-1)(7-1)を備えた乗用田植機。」である点で一致し、以下の点で相違する。
1)前者が「ミッションケース(5)の側面に入力プーリ(29)を配設し、該入力プーリ(29)の直上方にエンジンプーリ(28)を設け」ているのに対し、後者ではその点の限定がない。
2)前者が「リヤアクスルケース(8)は、前記プロペラシャフト(14)の軸線(P1)の延長方向に位置すると共に、内蔵するギヤ群を、側面視で前高後低状態に配置し」ているのに対し、後者ではその点の限定がない。
上記相違点について検討する。
相違点1)の「ミッションケース(5)の側面に入力プーリ(29)を配設し、該入力プーリ(29)の直上方にエンジンプーリ(28)を設け」た点については、刊行物2に記載されている。
相違点2)の「リヤアクスルケース(8)は、前記プロペラシャフト(14)の軸線(P1)の延長方向に位置すると共に、内蔵するギヤ群を、側面視で前高後低状態に配置し」た点については刊行物3に記載されている。
そして、刊行物1、2、3に記載の発明は、機体の前後左右部に前後車輪を設け、機体の後部に植付部を昇降自在に連設し、機体の前側下部にミッションケースを配設し、機体の後側下部にミッションケースにプロペラシャフトを介して連動連結するリヤアクスルケースを配設した乗用田植機という同一の技術分野に属するものであるから、刊行物1に記載の発明に、刊行物2、刊行物3に記載の発明を組み合わせて訂正明細書の請求項1に係る発明を想到することに格別の困難性はないものと認める。また、訂正明細書の請求項1に係る発明の奏する作用効果も、刊行物1〜3に記載された発明が個々に奏するもの以上の格別なものとは認められない。
よって、訂正明細書の請求項1に係る発明は、上記刊行物1、2、3にそれぞれ記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
[2-5]むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する特許法第126条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
3.特許異議の申立てについて
[3-1]本件発明
本件特許明細書の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】機体の前後左右部に前後車輪(7)(7)(9)(9)を設け、機体の後部に植付部(C)を昇降自在に連接した乗用田植機において、機体の前側下部にミッションケース(5)を配設し、同ミッションケース(5)の上方にエンジン(2)を配設し、ミッションケース(5)の下方に前車輪(7)(7)の前車軸(7-1)(7-1)を配設すると共に、機体の後側下部に、前記ミッションケース(5)にプロペラシャフト(14)を介して連動連結するリヤアクスルケース(8)を配設し、しかも、同リヤアクスルケース(8)は、前記プロペラシャフト(14)の軸線(P1)の延長方向に位置すると共に、内蔵するギヤ群を、側面視で前高後低状態に配置し、かつ、前記ミッションケース(5)の側面に入力プーリ(29)を配設し、該入力プーリ(29)の直上方にエンジンプーリ(28)を設け、更に、ボンネット(4)の後端より前方に前車軸(7-1)(7-1)を備えたことを特徴とする乗用田植機。」
[3-2]特許法第29条第2項違反について
当審が平成11年8月25日に通知した取消理由において引用した刊行物1ないし3には、上記[2-3]の引用刊行物記載の発明の項に記載のとおりの発明が記載されている。そして、訂正明細書の請求項1に係る発明が、上記[2-4]対比・判断の項に記載された理由により、上記刊行物1、2、3にそれぞれ記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである以上、その上位概念である本件発明も、同様に上記刊行物記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
[3-3]むすび
以上のとおりであるから、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成六年法律第百十六号)付則第十4条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成七年政令第二百五号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-08-18 
出願番号 特願平1-182971
審決分類 P 1 651・ 121- ZB (A01C)
最終処分 取消  
前審関与審査官 吉田 英一  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 佐藤 昭喜
新井 重雄
登録日 1998-09-11 
登録番号 特許第2825010号(P2825010)
権利者 ヤンマー農機株式会社
発明の名称 乗用田植機におけるリヤアクスルケースの配設構造  
代理人 北村 修一郎  

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