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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01C
管理番号 1027733
異議申立番号 異議2000-70361  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-04-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-01-28 
確定日 2000-10-04 
異議申立件数
事件の表示 特許第2927277号「車載ナビゲータ」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2927277号の請求項1、2に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2927277号は、昭和63年12月5日に出願された特願昭63-307563号を優先権主張出願の基礎とする特願平1-88441号の一部を分割して、特願平9-209376号として新たな特許出願としたものであり、平成11年5月14日にその特許の設定登録がなされ、その後、特許異議の申立てが平山佐智子よりなされ、取消理由通知がなされたものである。

2.本件発明
本件特許第2927277号の請求項1及び2に係る発明は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】ノードとリンクとの組み合わせからなる道路地図データを記憶した地図記憶手段と、車両位置を検出する位置検出手段と、目的地を入力するための初期設定手段と、上記地図記憶手段から現在地と目的地とを含む範囲の道路地図データを読出し、この読出された道路地図データに基いて推奨経路を算出する経路算出手段と、この経路算出手段により算出された推奨経路を格納する記憶手段と、車両が現在地から上記記憶手段に格納されている推奨経路の始端までの間を走行している場合には、上記始端と車両位置とを道路地図上に表示することができ、車両が上記推奨経路の始端から上記推奨経路の終端までの間を走行している場合には、車両位置及び推奨経路を道路地図上に表示することができ、車両が上記推奨経路の終端から目的地までの間を走行している場合には、目的地と車両位置とを道路地図上に表示することができる経路誘導手段とを有し、上記経路誘導手段は、車両が上記推奨経路の交差点に接近した場合には、当該交差点を含む道路地図、車両位置及び推奨経路の拡大表示に切り替えることができるものであることを特徴とする車載ナビゲータ。(以下、本件請求項1の発明という。)
【請求項2】上記拡大表示は、画面中に設定したウインドにおいて行うものである請求項1の車載ナビゲータ。(以下、本件請求項2の発明という。)」

3.引用刊行物
当審が通知した取消理由で引用した刊行物(特開昭62-88100号公報)には、「車両に搭載されて乗員に対し経路誘導を行う車両用経路案内装置」(1頁右欄8行〜9行)が記載され、図面と共に以下の記載がある。
「走行中必要とされる現在位置座標(X、Y)及び走行距離∫△Dの検出は、一定距離ΔD走行毎に距離センサ4から得られる割込パルスに応答して、CPUで現在地算出処理(第23図参照)を実行させ、方位センサ5から得られる車両方位θを用いた単位ベクトル加算処理、及び単位距離ΔDの単純積算処理によって行われる。」(2頁左下欄17行〜右下欄2行)
「道路地図、交差点等に関する各種情報は、フロッピイディスク、光ディスク、磁気テープ等の外部メモリ12に記憶されている。第4A図に示すように、基準となる道路地図13は縦横に区画されて適当な大きさの複数ブロック(0、0)、(1、0)、(2、0)・・・(2、2)に分割され、各ブロック毎に道路地図情報、交差点情報は第4B図に示すように外部メモリ12に記憶されている。すなわち、第4B図においては、メモリエリアは各ブロック毎に分割され、各ブロック内に含まれている各交差点に対して交差点番号を付し、各交差点毎に地図上の位置を示すX、Y座標情報、隣接交差点番号、隣接交差点までの距離、隣接交差点への方位、交差点からの進行方面、交差点種別フラグ、インター番号等が記憶されている。」(2頁右下欄15行〜3頁左上欄10行)
「(A)出発地、目的地の特定処理について
この処理では、VDT9の画面を使ってオペレータと対話を行いつつ、最終的に出発地、目的地の特定を行うようにしている。・・・限定地域の拡大地図を写し出し(第14図参照)、透明操作パネルの押圧を待って、最終指定地域を定め、その中心座標を出発地または目的地として特定する。」(4頁左上欄3行〜16行)
「(B)出発交差点、目的交差点の選択処理について
この処理は、教示された出発地座標(Xs、Ys)、目的地座標(Xd、Yd)に基づいて、第4B図に示される各交差点のXY座標情報を検索し、第17図に示されるように出発地から見て目的地方向にあり、且つ所定半径の円外で最も出発地に近い登録交差点を出発交差点として選択し、また第18図に示されるように、目的地に最も近い登録交差点を目的交差点として選択する。」(4頁右上欄12行〜左下欄1行)
「(C)最短経路選択処理について
この処理では、道路地図上において、出発交差点から目的交差点へ向けて様々な経路で走行シュミレーションを行い、得られた最短経路上の登録交差点を順次通過順に記憶する。これは、第19図に示される最短経路検索処理を実行することにより行われる。
(D)案内処理(I)について
この処理は出発地から出発交差点までの走行経路案内を行うもので、出発交差点から半径300mに接近するまでは第25図に示されるように、自動車図形と矢印状セグメントを用いて出発交差点の方向を表示し、また300m以内に接近した後には第27図に示されるように、車両進行方向を真上とする交差点図形を用い、出発路を塗潰し表示することによって、出発路方向すなわち当該交差点における進路を表示して同時に画面上には走行軌跡を描くようにしている。」(4頁左下欄5行〜右上欄2行)

4.本件発明と刊行物との対比・判断
ここで、本件発明と刊行物のものとを比較すると、まず、刊行物の、車両に搭載された車両用経路案内装置は、本件請求項1の発明における「車載ナビゲータ」に相当する。
そして、刊行物の、道路地図、交差点等に関する情報が記憶された外部メモリ12では、交差点に対して交差点番号が付され、各交差点毎に地図上の位置を示すX、Y座標情報、隣接交差点番号、隣接交差点までの距離、隣接交差点への方位、交差点からの進行方面、交差点種別フラグ、インター番号等が記憶されていることから、刊行物記載の「隣接交差点」、「隣接交差点までの距離、隣接交差点への方位」、「外部メモリ」は、それぞれ本件請求項1の発明の「ノード」、「リンク」、「地図記憶手段」に相当し、刊行物のものは、「ノードとリンクとの組み合わせからなる道路地図データを記憶した地図記憶手段」を有していると認められる。
また、刊行物では、方位センサ5から得られる車両方位θを用いた単位ベクトル加算処理、及び単位距離ΔDの単純積算処理によって、CPUで現在地算出処理を行っていることから、刊行物の「方位センサ及CPU」は、本件請求項1の発明の「車両位置を検出する位置検出手段」に相当する。
また、刊行物では、VDTの画面を使ってオペレータと対話を行いつつ、最終的に出発地、目的地の特定を行うようにしているから、刊行物のVDTが、本件請求項1の発明の「目的地を入力するための初期設定手段」に相当する。
また、刊行物では、第19図に示された最短経路検索処理のフローチャートに基づきCPUを用いて、出発交差点から目的交差点へ向けて様々な経路で走行シュミレーションを行い、得られた最短経路上の登録交差点を順次通過順に道程記憶領域に記憶しており、ここで得られた最短経路は運転者に案内される経路であって、推奨経路のことであるから、刊行物の「最短経路検索処理のフローチャートに基づいて処理を行うCPU」が、本件請求項1の発明の「地図記憶手段から現在地と目的地とを含む範囲の道路地図データを読出し、この読出された道路地図データに基いて推奨経路を算出する経路算出手段」に相当し、刊行物の「道程記憶領域」が、本件請求項1の発明の「この経路算出手段により算出された推奨経路を格納する記憶手段」に相当する。
また、刊行物の、「出発地から出発交差点へ至る途中のVDT画面上の表示例を示す説明図」(図面の簡単な説明)である第25図において、車両の現在地が示され、「出発交差点」とは、運転者に案内される最短経路の始点、すなわち推奨経路の始点であるから、刊行物の第25図には、本件請求項1の発明における「車両が現在地から記憶手段に格納されている推奨経路の始端までの間を走行している場合には、上記始端と車両位置とを道路地図上に表示すること」が記載されている。
また、刊行物の、「立体折曲交差点接近時におけるVDT画面上の表示例を示す説明図」(図面の簡単な説明)である第41図には、道路地図上に、走行軌跡と進路を示す矢印が表示されており、ここで、走行軌跡の終端の位置が車両の現在位置であり、矢印が推奨経路を示していることから、、刊行物の第41図には、本件請求項1の発明の「車両が推奨経路の始端から上記推奨経路の終端までの間を走行している場合には、車両位置及び推奨経路を道路地図上に表示すること」が記載されている。
また、刊行物の「目的地接近時におけるVDT画面上の表示例を示す説明図」(図面の簡単な説明)である第44図では、走行軌跡の終端の位置が車両の現在位置であり、道路地図上に走行軌跡と目的地が示され、「まもなく、目的地へ到着します。」という表示から、車両が目的地の近くで、推奨経路の終端から目的地までの間を走行していることが明らかであり、刊行物の第44図には、本件請求項1の「車両が推奨経路の終端から目的地までの間を走行している場合には、目的地と車両位置とを道路地図上に表示すること」が記載されている。
そして、刊行物の「出発交差点へ接近したときのVDT画面上の表示例を示す説明図」(図面の簡単な説明)である第27図には、車両が出発交差点に接近した場合に、当該交差点を拡大した交差点図形と該交差点図形内の出発路の表示とを、同一の画面内であって、車両位置(走行軌跡の終点)を示した道路地図の画面と同一の画面内の左上に表示することが記載されている。
ここで、出発路とは、運転者に案内される推奨経路のことであり、出発交差点とは、推奨経路が示される交差点である。
また、地図とは、地表の諸物体を一定の約束に従って縮尺し、記号・文字を用いて平面上に表現した図形のことであり、一方、刊行物の第27図の交差点図形は、交差点を含む道路を縮尺して、平面上に表現した図形であるから、刊行物の第27図の交差点図形が、交差点を含む道路地図であることは明らかである。
したがって、刊行物のVDTは、車両が推奨経路の交差点に接近した場合には、当該交差点を含む道路地図、車両位置及び推奨経路の拡大表示に切り替えることができるものであり、本件請求項1の、車両が上記推奨経路の交差点に接近した場合には、当該交差点を含む道路地図、車両位置及び推奨経路の拡大表示に切り替えることができる「経路誘導手段」に相当する。
よって、刊行物には、本件請求項1の発明が記載されている。
そして、刊行物の第27図の交差点を拡大表示した交差点図形は、同一のVDT画面内の一部に、道路地図と共に表示されるものであるから、本件請求項2の発明における「拡大表示は、画面中に設定したウインドウにおいて行うもの」に相当する。
したがって、刊行物には、本件請求項2の発明が記載されている。
よって、本件請求項1及び2の発明は、刊行物に記載された発明と認められるから、特許法第29条1項3号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
5.むすび
以上のとおりであるから、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、平成6年改正法附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、本件発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-07-26 
出願番号 特願平9-209376
審決分類 P 1 651・ 121- Z (G01C)
最終処分 取消  
前審関与審査官 田良島 潔太田 恒明  
特許庁審判長 祖父江 栄一
特許庁審判官 岩本 正義
川端 修
登録日 1999-05-14 
登録番号 特許第2927277号(P2927277)
権利者 住友電気工業株式会社
発明の名称 車載ナビゲータ  
代理人 上代 哲司  
代理人 中野 稔  
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