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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C04B |
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管理番号 | 1027861 |
異議申立番号 | 異議2000-72631 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1992-05-19 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-07-10 |
確定日 | 2000-11-01 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2996710号「セラミック電子部品の焼成方法、焼成炉及び焼成装置」の請求項1乃至4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2996710号の請求項1乃至4に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.本件発明 本件特許第2996710号(平成2年10月4日出願、平成11年10月29日設定登録)の請求項1乃至4に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2.特許異議申立ての理由の概要 (申立ての理由) 特許異議申立人は、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第3号証を提出して、本件請求項1乃至4に係る発明は、甲第1号証とこれに甲第2号証を組合せることによって又は甲3号証とこれに甲第2号証を組合せることによって当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1乃至4に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものであると主張している。 (証拠方法) 特許異議申立人が提出した甲第1号証乃至甲第3号証には、それぞれ次の事項が記載されている。 甲第1号証:特開昭63-217187号公報 (イ)「本発明は原料粉末もしくは粒子と反応ガスを効率よく反応させる反応炉に関する。」(第1頁左欄第15行及び第16行) (ロ)「匣鉢6は上部切り欠き部8および対角の底部に切り欠き部9を有している。原料粉末あるいは粒子を10の部分に入れた後、各匣鉢6、6、…の底部に設けられた穴9、9、…が互いに重なりあうように多段に積まれる。多段に重ねて積まれることにより、各匣鉢の底部に設けられた穴9、9、…は連続的につながり反応後ガスの通路12となる。」(第2頁下段右欄第2行乃至第9行) (ハ)「第3図において14は外炉体で、15は外炉体14の中に収められているマッフル、21は反応ガスの導入口、22は反応後ガスの排気口を示している。・・・マッフル15の底面には炉長に沿ってレール18が敷設されており、その上を台板7、7、…が炉の入口16から出口17へ移動可能なように搭載されている。この台板7、7、…のそれぞれの上には原料粉末あるいは粒子11を充填された匣鉢6、6、…が底部の穴9、9、…が互いに重なりあうように積まれる。」(第3頁上段左欄第10行乃至第20行) (ニ)「このプッシャー炉の基本構造は従来のプッシャー炉と何等異なるところはないが、本発明においては第1図に示したような匣鉢6および台板7を使用することにより、導入口21より炉内に導入された反応ガスは匣鉢6、6、…内を通過して反応に供された後、排気口22より排気されるため、匣鉢6、6、…を経由せずに排気される反応ガスが殆どなく効率化がはかれる。 なお、反応ガスの導入口の数、位置は反応により適宜設けることが出来る。また、排気口22を反応ガスの導入口とし、導入口21を反応後ガスの排気口としても何らさしつかえはないが、」(第3頁上段右欄第9行乃至第20行) (ホ)「また、同様の構造を各種の酸化炉や焼結炉に応用することも可能である。」(第3頁下段右欄第10行乃至第11行) 甲第2号証:実願昭62-17423号(実開昭63-125793号)のマイクロフィルム (イ)「本考案はセラミック成形体の脱脂処理を行なう脱脂炉に関する。」(第1頁第13行及び第14行) (ロ)「図中1は断熱材で構成された炉本体で、この炉本体1の一端部には脱脂容器の出入口2が形成してある。炉本体1の内部には頭部に熱源である電気ヒータ3が配設してあり、出入口2から挿入された脱脂容器を載せる位置にステンレス鋼板などからなる多孔金属板4が設けてある。5は炉本体1の内部に雰囲気ガスを供給するためのガス管で、このガス管5は例えば炉本体1の内底部において炉本体1の底壁と多孔金属板4との間に上下2段にわたり連続して配設され、炉本体1の外部において図示しないガス供給源と接続されている。」(第7頁第12行乃至第8頁第3行) (ハ)「このように構成した脱脂炉により脱脂処理を行なう場合について説明する。まず、有機成分を含むセラミックス粉末で成形したセラミックス成形体Aを脱脂容器7に入れ、この脱脂容器7を出入口2から炉本体1の内部に装入して多孔金属板4の上に載せる。そして、・・・一方、雰囲気ガス供給源から雰囲気ガスをガス管5に送り込み、ガス管5の各吹出し口6から炉本体1の内部に吹出させる。」(第9頁第10行乃至第10頁第1行) 甲第3号証:特開平1-290562号公報 (イ)「即ち、本発明は、被焼成物を収容した焼成用容器を多段に積重ねて焼成炉中で被焼成物を焼成する方法に於いて、・・・焼成炉内に供給されたガスを該焼成用容器の原料室及びガス排出室に導入し、且つ、原料室のガスの圧力をガス排出室の圧力よりも高く保持することを特徴とする焼成方法である。」(第2頁下段左欄第1行乃至第9行) (ロ)「この焼成用容器は、被焼成物1を収容する原料室3と、該原料室3と隔壁4によって隔てられたガス排出室5とを有し、原料室3にはガス流入口6が、ガス排出室5にはガス排出口7が、隔壁4にはガス通過孔8が夫々設けられ、」(第4頁上段左欄第4行乃至第9行) (ハ)「第4図に示すように、多段に積重ねた焼成用容器2を上方から覆う予熱板9を設けた焼成炉が好適に採用される。 このような予熱板を用いた場合、第5図に示すように焼成炉の上方から導入されるガスは、予熱板に沿って焼成用容器の最下部迄達し、そこから焼成用容器と予熱板とによって形成される空間を上昇して、各々の焼成用容器内に導入される。焼成用容器の原料室及びガス排出室を通過したガスは、焼成炉の底部から焼成炉外に排出される。」(第4頁上段右欄第14行乃至下段左欄第4行) (当審の判断) 特許異議申立人が主な証拠とする甲第1号証及び甲第3号証は、原料粉末の焼成や焼成体の製造に係るものであり、これら証拠に記載の焼成装置又は焼成炉は、セラミック電子部品を搭載するセッターを具備するものではなく、その焼成室も、上下2室に区画されたものではないから、本件各発明とその基本的な構成が異なっている。 また、本件各発明は、炉床、台板及びセッターのそれぞれのガスの通り道である、連通孔、貫通孔及び通路が重なるように配置されているが、このような構成は、上記証拠には見当たらない。 特許異議申立人は、甲第2号証をも提出しているが、この証拠も「脱脂炉」に関するものであり、本件各発明とその基本的な構成が異なっている。 また、この証拠に記載の「脱脂炉」は、多孔金属板で上下2段に区画されてはいるが、被処理物が収容されている脱脂容器7にはガスの通り道は格別設けられていないから、本件各発明の「上室と下室を連通させる連通孔」を示唆するものではなく、さらには、連通孔、貫通孔及び通路を重なるように配置することを何ら示唆するものでもない。 してみると、特許異議申立人が提出した上記甲第1号証乃至甲第3号証は、いずれも本件各発明の基本的な構成を示唆するものではないから、特許異議申立人の上記主張は、採用することができない。 3.むすび 以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、本件請求項1乃至4に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2000-10-06 |
出願番号 | 特願平2-267416 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(C04B)
|
最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
沼沢 幸雄 |
特許庁審判官 |
唐戸 光雄 山田 充 |
登録日 | 1999-10-29 |
登録番号 | 特許第2996710号(P2996710) |
権利者 | ティーディーケイ株式会社 |
発明の名称 | セラミック電子部品の焼成方法、焼成炉及び焼成装置 |