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審決分類 審判 全部申し立て 特29条の2  B65H
管理番号 1027927
異議申立番号 異議2000-73126  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-04-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-08-11 
確定日 2000-11-27 
異議申立件数
事件の表示 特許第3010091号「シート反転装置」の請求項に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3010091号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 1.本件特許発明
本件特許第3010091号(平成3年10月11日出願、平成11年12月3日設定登録。)の請求項1ないし5に係る特許発明(以下、「本件特許発明1ないし5」という。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】上流より下流へのシート搬送路途中にスイッチバック路が介設されたシート搬送路を有し、上流からのシートが少なくとも該シート長に上記スイッチバック路の基端と下記第2の検出手段間の距離を加えた長さ分だけ間隔をおいて搬入されるシート反転装置において、上流路に設けられシートを搬送する第1のローラ対と、下流路に設けられシートを搬送する第2のローラ対と、上記スイッチバック路に設けられたローラと、該ローラに接離可能なコロと、上記第1のローラ対までシートが搬送されたことを検出する第1の検出手段と、上記第2のローラ対までシートが搬送されたことを検出する第2の検出手段と、上記ローラを正逆方向に回転駆動する回転方向駆動手段と、上記コロを上記ローラに接離させる接離駆動手段と、上記コロを上記ローラに当接させるとともに該ローラを逆転駆動させて上記スイッチバック路のシートを上記下流路に搬出し、該搬出されたシートの先端が上記第2の検出手段で検出された後、上記コロを上記ローラから離間させ、次いで排出シートの後端が上記ローラから離脱した時点から上記スイッチバック路に搬入されてきた次シートの後端が上記第1の検出手段で検出されるまでの間に上記コロを上記ローラに当接させるとともに、次シートの後端が上記スイッチバック路に搬送されるまでの間は少なくとも上記ローラを正転駆動し、次いで次シートの後端が上記スイッチバック路に搬送された時点で上記ローラを逆転駆動に変更させる制御手段とを備えたことを特徴とするシート反転装置。
【請求項2】前記制御手段は、次シートの後端が前記第1の検出手段で検出されたときに前記コロを前記ローラに当接させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のシート反転装置。
【請求項3】前記制御手段は、少なくとも前記第2の検出手段が排出シートの先端を検出または算出した時点から前記第1の検出手段が次シートの後端を検出または算出するまでの間に前記ローラを正転駆動させることを特徴とする請求項1記載のシート反転装置。
【請求項4】前記第1の検出手段は、前記第1のローラ対の上流側に設けられシートを検出するものであることを特徴とする請求項1記載のシート反転装置。
【請求項5】前記第2の検出手段は、前記第2のローラ対の下流側に設けられシートを検出するものであることを特徴とする請求項1記載のシート反転装置。」
2.申立ての理由の概要
申立人山田将之は、概略「本件の請求項1ないし5に係る発明は、甲第1号証として提出した、本件特許の出願の日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特許出願である、特願平3-87219号(特開平4-299365号公報参照)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「先願明細書」という。)に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の発明者、出願人が甲第1号証の発明者、出願人と同一ではないから、本件の請求項1ないし5に係る発明は、特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものである。よって、本件特許は、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消すべきものである。」旨主張している。
3.先願明細書の記載事項
先願明細書(特願平3-87219号(特開平4-299365号公報参照))には、連続反転手段を備えた画像形成装置に関して、下記の事項が図面とともに記載されている。
「そして、このコピー用紙Pは、前記第1の排紙ローラ対28a、28bの下流側には、第1の切換手段としての第1のゲート29が設置され、この第1のゲート29の切り換えにより、コピー用紙Pを装置本体1内に形成した第3の搬送手段である排紙路30側に案内される。」(【0023】欄)
「そして、図中60は第4の搬送手段である排紙切換え反転手段で、この排紙切換え反転手段60は、第1の排紙ローラ対28a、28bから切換え手段29により第3の搬送手段の排紙路30側に搬送されたコピー用紙Pを、連続反転手段300を介して切換路61に案内し、スイッチバックさせることにより切換え反転させてコピー用紙Pの原稿画像が上向きになるようなフェイスアップ状態で第1の収納部32に収納可能にしてなる構成を有するものである。」(【0033】欄)
「また、図中80は前記第1の排紙ローラ対28a、28bから第1の切換手段であるゲート29により第3の搬送手段の排紙路30側に搬送されたコピー用紙Pを前記第4の搬送手段60及び連続反転手段300を介して一時的に収納するスタック手段としての第2の収納部(ADDスタッカ)である。」(【0035】欄)
「そして、この第2の収納部80内に収納された排紙コピー用紙Pは、出口側に設けた給紙ローラ対82a、82bにより、前記第1の搬送手段の給紙路24及びレジストローラ対25a、25bを介して、再度、前記感光体ドラム3に対向配置された転写装置5との間へ案内しつつ搬送し送紙され、前記現像装置4により現像された現像画像を、転写装置5によってコピー用紙P上に転写することにより、両面コピーを可能にしている。」(【0037】欄)
「すなわち、前記連続反転手段300は、図5から図7に示すように、第3の搬送手段の排紙路30から搬送されたコピー用紙Pを第4の搬送手段60の切換路61側に案内搬送する第1及び第2のローラ対301、302からなる第1の案内搬送手段を有し、この第1のローラ301は、図示しない駆動モータにより回転駆動し、第2のローラ302は、第1のローラ301への接触により従動回転させてなるとともに、この第1の案内搬送手段の下部出口側には、第2の案内搬送手段303が配置されている。
この第2の案内搬送手段303は、その下端部が軸304で互いに相対向する方向に回動可能に離間状態で軸支されて前記第1の案内搬送手段から搬送されるコピー用紙Pを第4の搬送手段60の切換路61側に案内する一対の第1及び第2のガイド305、306の上端部にそれぞれ設けた第3及び第4のローラ対307、308とからなるとともに、前記第1及び第2のガイド305、306は、第1及び第2のバネ309A、309Bにより第3のローラ308側の一方向にそれぞれ引き付けられて付勢されている。
前記第1及び第2のガイド305、306は、第1及び第2のバネ309A、309Bの付勢力により、第1の駆動モータ400で同期回転駆動する第1のカム401及び第2のカム402にそれぞれ接触し、第1のカム401は、図7に示す第1のストップ位置Aから第2のストップ位置Bへの偏心回転により、図8に示すように、前記第1のガイド305を第1のバネ309Aの付勢力に抗して軸304を中心に回動させる。
この第1のガイド305の回動で、第3のローラ307が定位置における離間状態から第4のローラ308に向け接触するように移動にし、これによって、前記第1の案内搬送手段から搬送されるコピー用紙Pの後端部を所定のタイミングで挟持可能にしている。
一方、前記第2のカム402は、図7に示す第1のストップ位置Aから第2のストップ位置Bへ偏心回転しても第2のガイド306を回動させることのないようにニュートラル状態を維持し、これによって、第3のローラ307と第4のローラ308とがコピー用紙Pを挟持したまま接触状態を維持するようになっている。
そして、第1及び第2のカム401、402が図7で示す第2のストップ位置Bから第3のストップ位置Cへ偏心回転すると、図9に示すように、第1及び第2のガイド305、306が共に軸304を中心に、第2のガイド306の定位置まで回動し、これによって、第3及び第4のローラ307、308は、接触状態を維持したまま後述する第3の案内搬送手段の入口側に向け移動して、第3及び第4のローラ307、308に挟持されたコピー用紙Pの後端部を第3の案内搬送手段の入口に対応する位置に変更移動させる。
このような第1及び第2のカム401、402のストップ位置A、B、Cへの回転制御は、第1の駆動モータ400の回転軸400aに設けた回転板403とスイッチ404からなる位置検出手段により行われ、例えば回転板403が約1/3回転する毎にスイッチ404を作動させて第1の駆動モータ400が駆動制御されるようになっているものである。
すなわち、前記各々のストップ位置A、B、Cの位置検出は、第1及び第2のカム401、402の1回転に対して回転板403とスイッチ404とでタイミングを図ることにより、これらのカムを駆動するようになっている。
また、前記第2の案内搬送手段303を構成する第3のローラ307は、図6に示すように、第2の駆動モータ405、プーリ406、407及び歯付きベルト408を介して駆動する回転軸409に取り付けられて、正逆回転可能に制御されるようになっている。
さらに、図中500は第3の案内搬送手段で、前記第1のローラ301に接触させて対となす第5のローラ501から構成されている。
この第3の案内搬送手段500は、前記第2の案内搬送手段303で挟持されてその入口側に変更移動されたコピー用紙Pを前記第1の収納部32または第2の収納部80に向け案内搬送する第3及び第4のガイド502、503側に案内搬送し得るようになっているもので、この第3及び第4のガイド502、503の分岐部には、第2の切換手段であるゲート504が設けられ、このゲート504の切り換えにより、コピー用紙Pが前記第1の収納部32側または第2の収納部80側に選択的に搬送されるようになっている。
また、図中510は前記第1の案内搬送手段を構成する第1及び第2のローラ対301、302の入口側に設置した第1のスイッチ(SW-1)、511は前記第3の案内搬送手段500の出口側に設置された第2のスイッチ(SW-2)である。」(【0040】〜【0051】欄)
「第3の搬送手段30からコピー用紙Pの先端部が第1の案内搬送手段に搬送されると、第1のスイッチ510がONする。
この状態で、第1のローラ301の回転駆動により、コピー用紙Pが第4の搬送手段60の切換路61側に向け下方に案内搬送されて、コピー用紙Pの後端部が第1のスイッチ510を通過すると、第1のスイッチ510はOFFとなると同時に、第2の案内搬送手段303の第3のローラ307を駆動する第2の駆動モータ405が逆方向に回転駆動し、所定の時間差をおいて、第1の駆動モータ400が駆動して第1及び第2のカム401、402を第1のストップ位置Aから第2のストップ位置Bまで回転させる。
第1及び第2のカム401、402が第1のストップ位置Aから第2のストップ位置Bまで回転すると、第3のローラ307が逆回転駆動したまま第1のガイド305の回動により第4のローラ308である左側に移動し、コピー用紙Pを挟持するように接触する。
このままの状態で、第3のローラ307は所定時間逆回転駆動し、コピー用紙Pの第4の搬送手段60の切換路61側への搬送を助ける。
そして、コピー用紙Pの後端部が第1の案内搬送手段である第1及び第2のローラ301、302間を通過して離れると、第2の駆動モータ405が停止して第3のローラ307の逆回転を停止すると同時に、第1の駆動モータ400が駆動して、第1及び第2のカム401、402を第2のストップ位置Bから第2のストップ位置Cまで回転させる。
この第1及び第2のカム401、402の第2のストップ位置Bから第3のストップ位置Cまでの回転により、第1のガイド305は、左側の移動位置から右側の定位置まで回動し、第2のガイド306は、左側の定位置から右側に回動し、これによって、第3及び第4のローラ対307、308は、図10に斜線で示す範囲Sでコピー用紙Pの後端部を挟持したまま、第3の案内搬送手段500の入口側に向け変更移動する。
このように、コピー用紙Pの後端部が第3の案内搬送手段500の入口に対応位置すると、第2の案内搬送手段303の第2の駆動モータ405が駆動して、第3のローラ307を正方向に回転させ、コピー用紙Pを第3の案内搬送手段500を構成する第1のローラ301と第5のローラ501間に向け上方に案内搬送する。
そして、第1のローラ301と第5のローラ501間にコピー用紙Pの後端部噛み合って通過すると、第2のスイッチ511がONし、これによって、第1の駆動モータ400が駆動して第1及び第2のカム401、402を第3のストップ位置Cから元の第1のストップ位置Aまで回転させる。
この第1及び第2のカム401、402の第3のストップ位置Cから第1のストップ位置Aまでの回転で第2の案内搬送手段303を構成する第2のガイド306が右側の移動位置が左側の定位置まで回動し、第4のローラ308を第3のローラ307から離間する方向に移動させると同時に、第2の駆動モータ405を停止させ、第3のローラ307の駆動が停止する。
この状態で、コピー用紙Pは、第3の案内搬送手段500である第1のローラ301と第5のローラ501とによって、第1の収納部32または第2の収納部80側に向け搬送されて収納され、1サイクルのスイッチバックの動作が終了する。
このとき、先のコピー用紙Pの搬送途中で、次のコピー用紙Pが第3の搬送手段に搬送されても、第1のスイッチ510がONになり、次のコピー用紙Pは、上記と同様にして第1の案内搬送手段により第4の搬送手段60の切換路61に先のコピー用紙Pとすれ違うようなタイミングでもって案内搬送され、これによって、先のコピー用紙と次のコピー用紙との連続反転搬送を可能にしている。」(【0053】〜【0063】)
4.本件特許発明1ないし5と先願明細書に記載された発明との対比・判断
先願明細書に記載された上記技術事項からみて、先願明細書に記載された発明の「排紙路30」、「第3及び第4のガイド502、503」、「切換路61」、「コピー用紙P」、「第1及び第2のローラ対301、302」、「第1のローラ301と第5のローラ501」、「第3のローラ307」、「第4のローラ308」、「第1のスイッチ510」、「第2のスイッチ511」、「第2の駆動モータ405」、「第1の駆動モータ400と第1及び第2のカム401、402」及び「連続反転手段300」は、各々本件特許発明1の「上流路」、「下流路」、「スイッチバック路」、「シート」、「第1のローラ対」、「第2のローラ対」、「スイッチバック路に設けられたローラ」、「コロ」、「第1の検出手段」、「第2の検出手段」、「スイッチバック路に設けられたローラを正逆方向に回転駆動する回転方向駆動手段」、「接離駆動手段」及び「シート反転装置」に相当するものであるから、本件特許発明1の用語を使用して本件特許発明1と先願明細書に記載された発明とを対比すると、両者は、「上流より下流へのシート搬送路途中にスイッチバック路が介設されたシート搬送路を有し、上流からのシートが少なくとも該シート長に上記スイッチバック路の基端と下記第2の検出手段間の距離を加えた長さ分だけ間隔をおいて搬入されるシート反転装置において、上流路に設けられシートを搬送する第1のローラ対と、下流路に設けられシートを搬送する第2のローラ対と、上記スイッチバック路に設けられたローラと、該ローラに対して接離するコロと、上記第1のローラ対までシートが搬送されたことを検出する第1の検出手段と、上記第2のローラ対までシートが搬送されたことを検出する第2の検出手段と、上記ローラを正逆方向に回転駆動する回転方向駆動手段と、上記コロと上記ローラとを接離させる接離駆動手段と、上記コロを上記ローラに当接させるとともに該ローラを逆転駆動させて上記スイッチバック路のシートを上記下流路に搬出し、該搬出されたシートの先端が上記第2の検出手段で検出された後、上記コロを上記ローラから離間させる制御手段とを備えたことを特徴とするシート反転装置。」で、一致しており、下記の点で相違している。
相違点;本件特許発明1では、コロをローラに接離可能に構成しているものであって、搬出されたシートの先端が第2の検出手段で検出された後、上記コロを上記ローラから離間させ、次いで排出シートの後端が上記ローラから離脱した時点から上記スイッチバック路に搬入されてきた次シートの後端が上記第1の検出手段で検出されるまでの間に上記コロを上記ローラに当接させるとともに、次シートの後端が上記スイッチバック路に搬送されるまでの間は少なくとも上記ローラを正転駆動し、次いで次シートの後端が上記スイッチバック路に搬送された時点で上記ローラを逆転駆動に変更させる(第6,7図参照)ものであるのに対して、先願明細書に記載された発明では、第3のローラ307(ローラに相当)と第4のローラ308(コロに相当)を1サイクルのタイミングで第1のストップ位置〜第3のストップ位置A,B,Cに対応して、第3のローラ307或いは第4のローラ308を接離するものであり、次シートに対する制御は、再度同一のサイクルを繰り返すにとどまるものであり、本件特許発明1のように搬出されたシートの先端が第2の検出手段で検出された後、上記コロを上記ローラから離間させ、次いで排出シートの後端が上記ローラから離脱した時点から上記スイッチバック路に搬入されてきた次シートの後端が上記第1の検出手段で検出されるまでの間に上記コロを上記ローラに当接させるとともに、次シートの後端が上記スイッチバック路に搬送されるまでの間は少なくとも上記ローラを正転駆動し、次いで次シートの後端が上記スイッチバック路に搬送された時点で上記ローラを逆転駆動に変更させるような制御は行うことができない点。
上記相違点について検討するに、コロとローラ(第3のローラと第4のローラ)の接離形態の相違によって、明らかにシートの搬送形態も相違したものとなるものであるから、本件特許発明1と先願明細書に記載された発明とは、同一であるとすることはできない。
また、本件特許発明2〜5は、本件特許発明1の技術事項を引用してさらに構成を限定したものであるから、先願明細書に記載された発明とは同じ相違点を有しているものである。
よって、本件特許発明2ないし5についても、先願明細書に記載された発明と同一であるとすることができない。
5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件特許発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-10-30 
出願番号 特願平3-263938
審決分類 P 1 651・ 16- Y (B65H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小田 光春中島 昭浩永安 真  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 杉原 進
市野 要助
登録日 1999-12-03 
登録番号 特許第3010091号(P3010091)
権利者 京セラミタ株式会社
発明の名称 シート反転装置  

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