ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B42D 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 B42D |
---|---|
管理番号 | 1028025 |
異議申立番号 | 異議1998-73753 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1991-02-19 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-07-27 |
確定日 | 1999-05-31 |
異議申立件数 | 4 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2711288号「次世代ICカード」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2711288号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 |
理由 |
1・手続の経緯 本件特許第2711288号発明は平成1年7月5日に特許出願され、平成9年10月31日にその特許の設定登録がなされ、その後、松下電器産業株式会社、日本電信電話株式会社、上地吉夫、松橋学より特許異議の申立てがなされ、平成10年10月28日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年12月23日に訂正請求がなされ、再度、平成11年4月9日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年4月9日に訂正請求がなされたものである。 なお、平成10年12月23日付け訂正請求は、取り下げられた。 2・訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 訂正は、明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2を、 「【請求項1】カード基板に、少なくとも信号送受用の専用回路と、カード発行時に、リード/ライト可否、暗証照合を含む暗証機能、暗証機能回復用暗証およびデータの記憶機能を書込んでなるメモリとを融合した単一のICチップを内蔵したことを特徴とする次世代ICカード。 【請求項2】カード基板側に、リード/ライタとの間においてデータ信号を電磁力を介して相互に伝送するための複数の電磁コイルを内蔵した請求項1記載の次世代ICカード」 と訂正すると共に、該訂正に伴って、または、誤記を正すために、明細書の発明の詳細な説明及び図面を訂正するものである。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正は、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (3)独立特許要件の判断 下記3・特許異議の申立てについての判断に記するように、請求項1ないし3に係る各発明は、各異議申立人の提出した刊行物である甲各号証に記載された各発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、訂正された請求項1及び2に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 (4)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する同法第126条第2項ないし第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3・特許異議の申立てについての判断 (1)各申立人の申立ての理由の概要 ▲1▼申立人・松下電器産業株式会社は、甲第1号証(特開昭61-3279号公報)、甲第2号証(特開平1-157896号公報)を提出し、請求項1ないし3に係る各発明は、甲各号証に記載された各発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、 その特許は、取り消されるべきである旨主張している。 ▲2▼申立人・日本電信電話株式会社は、甲第1号証(特開昭63-93088号公報)、甲第2号証(特開昭61-3279号公報)、甲第3号証(特開昭63-261489号公報)、甲第4号証(特開昭62-103742号公報)、甲第5号証(特開昭63-56771号公報)、甲第6号証(特開昭61-211788号公報)、甲第7号証(特開昭63-18489号公報)を提出し、請求項1ないし3に係る各発明は、甲号各証に記載された各発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、その特許は取り消されるべきである旨主張している。 ▲3▼申立人・上地吉夫は、甲第1号証(特開昭63-20587号公報)、甲第2号証(特開昭64-81084号公報)、甲第3号証(特開昭62-177696号公報)を提出し、請求項1ないし3に係る各発明は、甲号各証に記載された各発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、 又、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、暗証機能回復用暗証及び機能暗証がプログラムなのか暗証番号なのか、且つ、これらの暗証をどのようにして書込み或いは割当てるのか、更に、機能毎のメモリをどのようにして割当てるのか、加えて、カード発行者側でセキュリティ機能をどのような方法で搭載するのか、が明りょうに記載されていないから、本件特許は、特許法第36条第3項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、 その特許は取り消されるべきである旨主張している。 ▲4▼申立人・松橋学は、甲第1号証(特開昭63-20587号公報)、甲第2号証(特表平1-500932号公報)を提出し、請求項1ないし3に係る各発明は、甲号各証に記載された各発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、 その特許は取り消されるべきである旨主張している。 (2)特許法第29条第2項違反の主張について [本件発明] 本件の請求項1ないし3に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのものと認める。 [甲各号証に記載された発明] 松下電器産業株式会社が引用した甲第1号証及び日本電信電話株式会社が引用した甲第2号証には、 「ICカード1の内部に、少なくとも信号送受用のインターフェース回路5と、カード発行時に、リード/ライト可否、暗証照合を含む暗証機能およびデータの記憶機能を書込んでなるメモリ4とを内蔵したICカード」を構成とする発明が、 松下電器産業株式会社が引用した甲第2号証には、 「ICカード本体1に、単一のICチップ3を内蔵し、ICカード本体側に、カードリーダライタ9(「リード/ライタ」に相当する)との間においてデータ信号を電磁力を介して相互に伝送するための複数の電磁コイル4,5(「シート状電磁コイル」に相当する)を内蔵した非接触型ICカード」を構成とする発明が、 日本電信電話株式会社が引用した甲第1号証には、 「ICカードに、少なくとも信号送受用のインターフェース回路6と、カード発行時に、リード/ライト可否、暗証照合を含む暗証機能およびデータの記憶機能を書込んでなるE2PROM4(「メモリ」に相当する)とを融合した単一のICチップ2を内蔵したICカード」を構成とする発明が、 同じく甲第3号証には、 「LSIカードに、少なくとも信号送受用のゲートアレイ17(「専用回路」に相当する)と、データの記憶機能を書込んでなるLSIメモリ16(「メモリ」に相当する)とを内蔵し、LSIカード側に、リードライター26(「リード/ライタ」に相当する)との間においてデータ信号を電磁力を介して相互に伝送するための複数のシートコイル11〜15(「シート状電磁コイル」に相当する)を内蔵した非接触型LSIカード(「ICカード」に相当する)」を構成とする発明が、 同じく甲第4号証には、 「ICカード1に、少なくとも信号送受用のマイクロプロセッサ3と、データの記憶機能を書込んでなるメモリ7とを有する単一のICチップを内蔵したICカード」を構成とする発明が、 同じく甲第5号証には、 「ICカード1に、少なくとも信号送受用の制御部6と、カード発行時に、リード/ライト可否、暗証照合を含む暗証機能およびデータの記憶機能を書込んでなるメモリ7とを融合した単一の集積回路4(「ICチップ」に相当する)を内蔵したICカード」を構成とする発明が、 同じく甲第6号証には、 「カード本体5に、少なくとも信号送受用の処理装置2と、カード発行時に、データの書き込み、パスワードの照合などを行わせるための処理プログラムを書込んでなるメモリ4とを内蔵したICカード」を構成とする発明が、 同じく甲第7号証には、 「カード本体3に、少なくとも信号入、出力用の磁気結合コイル23,24に接続されたスイッチ回路28と、メモリ31とを融合した単一のICチップ25を内蔵し、カード基板側に、外部装置10(「リード/ライタ」に相当する)との間においてデータ信号を電磁力を介して相互に伝送するための複数の磁気結合コイル22〜24(「シート状電磁コイル」に相当する)を内蔵した情報カード」を構成とする発明が、 上地吉夫が引用した甲第1号証及び松橋学が引用した甲第1号証には、 「カード本体に、少なくとも信号送受用の送信回路30と受信回路29に接続したメモリ制御回路31と、メモリ32とを融合した単一のICチップ27を内蔵し、カード本体側に、外部装置10(「リード/ライタ」に相当する)との間においてデータ信号を電磁力を介して相互に伝送するための複数の磁気結合コイル24〜26(「シート状電磁コイル」に相当する)を内蔵した情報カード」を構成とする発明が、 上地吉夫が引用した甲第2号証には、 「ICカードに、少なくとも信号送受用のCPU106、509,704と、カード発行時に、リード/ライト可否、暗証番号およびサービス情報を書込んでなるメモリ107、511,702とを内蔵したICカード」を構成とする発明が、 同じく甲第3号証には、 「カードに、少なくとも信号送受用のマイクロプロセッサ2と、リード/ライト可否、暗証照合を含む暗証機能およびデータの記憶機能を書込んでなるメモリ3とを内蔵したICカード」を構成とする発明が、 松橋学が引用した甲第2号証には、 「カード基板に、少なくとも信号送受用の処理回路T1と、初期化段階に、秘密コードS、C1、プログラムP11,P12(「リード/ライト可否、暗証照合を含む暗証機能」に相当する)およびデータの記憶機能を書込んでなるメモリM1とを内蔵したメモリカード(「ICカード」に相当する)」を構成とする発明が、 それぞれ記載されているものと認められる。 [対比・判断] そこで、本件請求項1ないし3に係る各発明と各申立人が引用した甲各号証に記載された各発明とを対比するに、各申立人が引用した甲各号証に記載された各発明の何れにも、 本件請求項1ないし3に係る各発明の構成要件である、 「カード発行時に、暗証機能回復用暗証を書込んでなるメモリ」 が備わっていないものと認められる。 そして、この点がICカードの技術の分野において、周知ないし自明の技術的事項であるものとは認められない。 しかも、本件請求項1ないし3に係る各発明は、この点により、本件特許明細書に記載された効果を奏するものと認められる。 したがって、本件請求項1ないし3に係る各発明が各申立人が引用した甲各号証に記載された各発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 (3)特許法第36条第3項に規定する要件を満たしていないという主張について 暗証機能回復用暗証及び機能暗証をプログラムにするか暗証番号にするか、且つ、これらの暗証をどのようにして書込み或いは割当てるか、更に、機能毎のメモリをどのようにして割当てるか、は、本願出願時における次世代ICカードの技術水準及び各申立人が引用した甲号各証に記載された発明を勘案すると、何れも、当業者が適宜選択ないしは設計し得る単なる設計事項にすぎないというべきであるから、これらの点が格別不明りょうとはいえない。又、セキュリティ機能に関しては、上記訂正請求における「実際のカード発行段階で、機能暗証の割当て(1〜7個)および各機能毎のメモリの割当をおこなうとともに、割当てられた機能暗証、データの記憶機能およびリード/ライト可否並びに暗証機能回復用暗証の書込み(焼き付け)をおこなう」という訂正事項により、明らかになったものと認められるから、本件特許出願が特許法第36条第3項に規定する要件を満たしていないという上地吉夫の主張は、採用することができない。 (4)むすび 以上のとおりであるから、本件請求項1ないし3に係る各発明は、松下電器産業株式会社が引用した甲第1及び2号証,日本電信電話株式会社が引用した甲第1ないし7号証、上地吉夫が引用した甲第1ないし3号証並びに松橋学が引用した甲第1及び2号証に記載された各発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできず、 又、本件特許出願が特許法第36条第3項に規定する要件を満たしていないということもできない。 また、他に本件の請求項1ないし3に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 次世代ICカード (57)【特許請求の範囲】 (1) カード基板に、少なくとも信号送受用の専用回路と、カード発行時に、リード/ライト可否、暗証照合を含む暗証機能、暗証機能回復用暗証およびデータの記憶機能を書込んでなるメモリとを融合した単一のICチップを内蔵したことを特徴とする次世代ICカード。 (2) カード基板側に、リード/ライタとの間においてデータ信号を電磁力を介して相互に伝送するための複数の電磁コイルを内蔵した請求項1記載の次世代ICカード。 (3) 上記電磁コイルがシート状コイルである請求項2記載の次世代ICカード。 【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、例えばプリペイカード、医療カード、クレジットカード、銀行カード、社員カード、国民カード、各種の証明カード等のように、高いセキュリティ性が要求されるICカードに関するものである。 (従来の技術) この種のICカードとして従来から知られているものに、カード基板にCPUとメモリとを融合したICチップを内蔵したものがある。この従来のICカードは、セキュリティの手順等を支配する制御回路が汎用的なCPUで固定されており、そのCPUの支配下で動作するセキュリティの手順等を、いかに専用的に作成しても専用性能であるところの秘密を守り通せず、汎用の域をでないものであった。つまり、汎用的なCPUというハードと専用的なセキュリティの手順等というソフトとが融合されたものを制御素子として、半導体メーカーなどにおいて予め搭載するものであった。 また、ICカードとリード/ライタとの間のアクセスが有接点方式のものであった。 (発明が解決しようとする課題) 従来のICカードは、以上のごとく、セキュリティ性を高めるための識別機能にCPUを使用するように構成されているので、該ICカードの出現前にこの種のカードの主流を占めていた磁気カードに比べて、セキュリティ効果は高いものの、セキュリティの手順等のソフトプログラムの製作者やシステムの修理改造に携わる技術者など、カードのメーカーサイドの人を媒介とする秘密漏洩を完全に防止することができず、この面で、よりセキュリティ性の高いカードの出現が要望されている。 また、アクセスが有接点方式であるために、ターミナルへの塵埃付着や摩耗にともなう接触不良とか、静電気の不測のピックアップなどによりデータ転送に異常を発生し易い欠点があった。 この発明は上記実情に鑑みてなされたもので、極めて高いセキュリティ効果を発揮させることができるとともに、アクセス速度の上昇を図ることができる次世代ICカードを提供することを目的とする。 この発明のもう1つの目的は、リード/ライタとの間のデータ転送を長期に亘って正常な状態に保持することができるようにする点にある。 (課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために、この発明に係る次世代ICカードは、カード基板に、少なくとも信号送受用の専用回路と、カード発行時に、リード/ライト可否、暗証照合を含む暗証機能、暗証機能回復用暗証およびデータの記憶機能を書込んでなるメモリとを融合した単一のICチップを内蔵したことを特徴とする。 また、請求項2に記載された発明に係る次世代ICカードは、カード基板側に、リード/ライタとの間においてデータ信号を電磁力を介して相互に伝送するための複数の電磁コイルを内蔵したものである。 (作用) この発明による次世代ICカードは、カード製造時にセキュリティ機能を搭載するのでなく、ユーザーにおいてカードを発行する際に所定のセキュリティ機能を書込むものであるから、カードのメーカーサイドの技術者等を媒介とする機能暗証の秘密漏洩の恐れが全くなく、カードのセキュリティ性を一段と高めることができる。また、専用回路によるアクセス処理であるから、アクセス速度を非常に高速化できる。 さらに、請求項2に記載された発明によれば、ICカードとリード/ライタとの間のデータ信号の伝送を電磁力を介して無接触でおこなうことが可能であり、接触不良や静電気のピックアップによるデータ転送の異常を防止することができる。 また、ICカードとリード/ライタとの間のデータ信号の伝送を電磁力を介して無接触でおこなうための電磁コイルをシート状コイルとすることにより、ICカードを薄くして、携帯性に優れたカードとすることができる。 (実施例) 以下、この発明の一実施例を図面に基づいて説明する。 第1図はこの発明に係る次世代ICカードの概略を示す外観斜視図であり、同図において、1は合成樹脂、その他の電気絶縁材料からなるカード基板であり、このカード基板1に、データ信号送受用の専用回路となるゲートアレイ2とメモリ3(プログラマブルROM)とを融合した単一のICチップを内蔵するとともに、リード/ライタとの間においてデータ信号を電磁力を介して相互に伝送するための4つのシート状電磁コイル(4A)、(4B)、(4C)、(4D)を内蔵している。 上記のような次世代ICカードにおいては、その製造時には第2図のように白ボテのカード1Aとしておき、実際のカード発行段階で、機能暗証の割当て(1〜7個)および各機能毎のメモリの割当をおこなうとともに、割当てられた機能暗証、データの記憶機能およびリード/ライト可否並びに暗証機能回復用暗証の書込み(焼き付け)をおこなう。同時に、カードの使用目的に合ったデザイン等を印刷する。 そして、実際のカード使用に際しては、第3図のように、カード基板1をリード/ライタに差入れた状態で機能暗証を与え(ステップ10)、それがICカードに書込まれている機能暗証と一致しているか否かを判別し(ステップ11)、一致していれば、各機能暗証に割当てられたメモリのリード/ライトをおこない(ステップ12)、一致していない場合は、エラー回数をカウントし(ステップ13)、そのカウント値が設定値をオーバーしたか否かを判別して(ステップ14)、オーバーのとき、すなわち、リード/ライトを不能にする(ステップ15)。 また、リード/ライト不能になったカード1Bについては、第4図に示すように、そのカードをリード/ライタに差入れた状態で暗証機能回復用暗証を与え(ステップ20)、それがICカードに書込まれている暗証機能回復用暗証と一致しているか否かを判別し(ステップ21)、一致していれば機能暗証を与え(ステップ22)、それがカードの機能暗証と一致しているか否かを判別し(ステップ23)、一致していれば割当てられたメモリについてのリードを可能にする(ステップ24)。一方、ステップ21において、一致していない場合は、エラー回数をカウントし(ステップ25)、そのカウント値が設定値をオーバーしたか否かを判別し(ステップ26)、オーバーのとき、カードのリード/ライトを不能にする(ステップ27)。 なお、上記したICカードとリード/ライタとの間のデータ信号の送受は、ICカード側の4つの電磁コイル(4A)、(4B)、(4C)、(4D)とこれらにそれぞれ対応するリード/ライタ側の4つの電磁コイルとの間の電磁力を介して無接触状態でおこなう。 また、上記実施例では、データ信号送受用の専用回路として、簡単な後処理により多種多数の論理を達成することが可能なゲートアレイで示したが、これに限定することなく、データ信号の送受が可能な回路であれば、いかなる回路であってもよい。 (発明の効果) 以上説明したように、この発明による時は、カード製造時にセキュリティ機能を搭載するのでなく、カード発行者側においてセキュリティ機能を搭載するので、カードのメーカーサイドにおける技術者などを媒介とする機能暗証の秘密漏洩を完全に回避でき、カードのセキュリティ性を一段と高めることができる。また、カード機能を各ユーザー側で個々に一元的に管理することができるので、極めて多数のカードを生産するメーカーサイドにおいて、ユーザー個々に対してプログラム管理することが不要となり、プログラム管理の重複および輻湊化を避けることができる。 しかも、アクセス処理が専用回路によるハード的な処理であるから、従来のICカードのように、CPUによるソフト処理の場合に比べて、アクセス速度を著しく高速化することができる。 また、無接触方式のデータ転送手段とすることにより、長期に亘る使用に際しても、所定のデータ転送を常に正常、正確に行なうことができ、カードの信頼性、耐久性を高めることができる。 【図面の簡単な説明】 第1図はこの発明に係る次世代ICカードの概略外観斜視図、第2図乃至第4図はカードの発行動作およびリード/ライト動作を説明するフローチャートである。 (符号の説明) 1…カード基板、2…専用回路(ゲートアレイ)、3…メモリ、4A、4B、4C、4D…電磁コイル。 |
訂正の要旨 |
訂正の内容 (1)特許請求の範囲を次のとおりに訂正する。 (1) カード基板に、少なくとも信号送受用の専用回路と、カード発行時に、リード/ライト可否、暗証照合を含む暗証機能、暗証機能回復用暗証およびデータの記憶機能を書込んでなるメモリとを融合した単一のICチップを内蔵したことを特徴とする次世代ICカード。 (2) カード基板側に、リード/ライタとの間においてデータ信号を電磁力を介して相互に伝送するための複数の電磁コイルを内蔵した請求項1記載の次世代ICカード。 (3) 上記電磁コイルがシート状コイルである請求項2記載の次世代ICカード。 (2)明細書の第4頁第7〜9行に「専用回路と…(中略)…可能なメモリと」とあるのを以下の文章に訂正する。 「専用回路と、カード発行時に、リード/ライト可否、暗証照合を含む暗証機能、暗証機能回復用暗証およびデータの記憶機能を書込んでなるメモリと」 (3)明細書の第6頁第12〜17行に[実際のカード発行段階で、…(中略)…印刷する。」とあるのを以下の文章に訂正する。 「実際のカード発行段階で、機能暗証の割当て(1〜7個)および各機能毎のメモリの割当をおこなうとともに、割当てられた機能暗証、データの記憶機能およびリード/ライト可否並びに暗証機能回復用暗証の書込み(焼き付け)をおこなう。同時に、カードの使用目的に合ったデザイン等を印刷する。」 (4)明細書の第6頁第19行に「カード1」とあるのを「カード基板1」と訂正する。 (5)明細書の第7頁第8行に「機能暗証の停止、」とあるのを削除する。 (6)明細書の第7頁第18行に「(ステップ23)し、」とあるのを「(ステップ23)、」と訂正する。 (7)図面の第3図を添付図面のように訂正する。 |
異議決定日 | 1999-05-18 |
出願番号 | 特願平1-174995 |
審決分類 |
P
1
651・
531-
YA
(B42D)
P 1 651・ 121- YA (B42D) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 原 光明 |
特許庁審判長 |
櫻井 義宏 |
特許庁審判官 |
青山 待子 砂川 克 |
登録日 | 1997-10-31 |
登録番号 | 特許第2711288号(P2711288) |
権利者 | 高圧ガス工業株式会社 日本エルエスアイカード株式会社 |
発明の名称 | 次世代ICカード |
代理人 | 河野 登夫 |
代理人 | 紺野 正幸 |
代理人 | 山川 政樹 |
代理人 | 西山 修 |
代理人 | 黒川 弘朗 |
代理人 | 岩橋 文雄 |
代理人 | 本間 崇 |
代理人 | 鈴木 二郎 |
代理人 | 河野 登夫 |
代理人 | 山川 茂樹 |
代理人 | 田辺 恵基 |
代理人 | 滝本 智之 |