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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01C
管理番号 1028066
異議申立番号 異議1999-73987  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-06-05 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-10-26 
確定日 2000-11-15 
異議申立件数
事件の表示 特許第2885849号「車両の走行誘導装置」の請求項1,2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2885849号の請求項1に係る特許を取り消す。 同請求項2に係る特許を維持する。 
理由 1 本件請求項1,2に係る発明
特許第2885849号(平成1年10月17日出願、平成11年2月12日設定登録)の請求項1,2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」「本件発明2」という。)は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1,2に記載された次のとおりのものである。
【請求項1】車両の進行方向と移動距離とに基づいて車両位置を認識する第1の自車位置認識手段と、衛星から受信した信号による車両位置を認識する第2の自車位置認識手段と、これら第1及び第2の自車位置認識手段により認識した車両位置に基づいて車両位置を決定する位置決定手段と、該位置決定手段により決定された上記車両位置を示す自車位置マークを地図と共に表示部に表示する制御手段とを備え、
上記第2の自車位置認識手段による車両位置に認識が可能であるか否かを判断する判断手段と、上記第2の自車位置認識手段による車両位置の認識が可能な状態であることを上記自車位置マークの所定の表示形態で上記表示部上に表示する表示手段と、上記第2の自車位置認識手段による車両位置の認識が不可能である場合に、そのことを運転者が識別できるように、上記自車位置マークの表示形態を変更することによって表示する表示形態変更手段とを備えていることを特徴とする車両の走行誘導装置。
【請求項2】衛星を利用せずに車両位置を認識する第1の自車位置認識手段と、衛星を利用して車両位置を認識する第2の自車位置認識手段と、これら第1及び第2の自車位置認識手段により認識した車両位置に基づいて所定の地図表示部上に自車位置マークを表示する制御手段と、上記第1及び第2の自車位置認識手段のうち、第2の自車位置認識手段による車両位置に認識が可能な状態であるか否かを判断する判断手段と、上記第2の自車位置認識手段による車両位置の認識が可能な状態であることを示す所定のマークを上記地図表示部上に表示する表示手段と、上記第2の自車位置認識手段による車両位置の認識が不可能である場合に、そのことを運転者が識別できるように、上記所定のマークの表示形態を変更する表示形態変更手段とを備えてなる車両において、
上記制御手段には、上記第1の自車位置認識手段が正常であるか否かを検出する検出手段を備え、該第2の自車位置認識手段による車両位置の認識が不可能である場合において、上記第1の自車位置認識手段が正常である場合と上記第1の自車位置認識手段が正常でない場合とを、運転者が識別できるように、上記第1の自車位置認識手段が正常でないことを表示部に表示させる報知手段を備えていることを特徴とする車両の走行誘導装置。

2 特許異議申立て理由の概要
特許異議申立人万木健一は、本件発明1及び2は、甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることができないものであるから、それら発明に係る特許は取り消されるべき旨主張している。

3 本件発明1について
当審において本件発明1に対し通知した取消理由は以下のとおりである。
「(1)引用例
1特開昭62-98214号公報(異議申立人 万木健一の提出した甲第1号証)
2特開昭63-66414号公報(同、甲第2号証)
3実願昭61-159541号(実開昭63-67887号)のマイクロフィルム(同、甲第3号証)

・引用例1:
上記引用例1には、(自明の事項も含め)以下のものが記載されているものと認める。
「車両の進行方向と移動距離とに基づいて車両位置を認識する第1の自車位置認識手段(第2の測位手段2)と、衛星から受信した信号による車両位置を認識する第2の自車位置認識手段(第1の測位手段1)と、これら第1及び第2の自車位置認識手段により認識した車両位置に基づいて車両位置を決定する位置決定手段と、該位置決定手段により決定された上記車両位置を示す自車位置マークを地図と共に表示部に表示する制御手段とを備え、
上記第2の自車位置認識手段による車両位置の認識が可能であるか否かを判断する判断手段(劣化係数判別手段3)とを備えていることを特徴とする車両の走行誘導装置。」
・引用例2:
上記引用例2には、以下の事項が記載されている。
「第7図に示すように、出発地の登録方式は、〜(中略)〜操作パネル18を用いて地図上の押圧領域を検出し、押圧指定地点の地点座標、又は、押圧指定地域の中心座標を出発地として登録する。」(第3頁上段右欄第18行ー同下段左欄第16行。以下、引用例2のこの記載を「記載A」という。)
「第11図に示すように、GPSによる位置修正処理においては、〜(中略)〜DOP値10〜50の場合にはR0・(DOP/10)で表すことができる。」(第4頁下段右欄第17行ー第5頁上段右欄第16行。同、「記載B」という。)
「更に、以上示した実施例では、〜(中略)〜色の変化で示してもよいものである。」(第5頁下段左欄第19行ー同右欄第2行。)
・引用例3:
上記引用例3には、「車両の走行誘導装置に用いられるGPS位置計測装置であって、その計測装置が測位可能な状態であることを、測位状況表示エリアQに例えば3Dというマーク(3次元測位が行われているという意味。)で表示し、測位不能の状態であることを同エリアQにEXというマークで表示する」技術が示されている。

(2)対比・判断
引用例1に記載のものと本件発明1を対比すると、両者は次の点で相違し、その余の点で一致する。(一致点は省略する。)
相違点:
本件発明1では、上記第2の自車位置認識手段による車両位置の認識が可能な状態であることを上記自車位置マークの所定の表示形態で上記表示部上に表示する表示手段と、上記第2の自車位置認識手段による車両位置の認識が不可能である場合に、そのことを運転者が認識できるように、上記自車位置マークの表示形態を変更することによって表示する表示形態変更手段とを備えているのに対し、引用例1では、かかる構成は備えていない点。
そこで、上記相違点につき以下に検討する。
上記引用例2には、その第8,11図及び記載Bによれば、GPS測位可能な状態における測位精度に応じて、自車位置マークの表示形態を変更する(表示半径を変更する。或いはその色を変更する、例えば低精度の場合は赤とする等。)技術が記載され、さらに、その精度がきわめて悪い例えばDOP値が50以上の場合は、測位可能フラグを0として測位が不能の場合と同じ扱いをする旨も記載されているものと認められる。
また、該引用例2には前記のとおり記載Aがなされ、この記載A(及び第7図)によれば、GPS測位が可能な状態では出発地の座標としてGPS測位によるものが自動的に登録され、それが不可能な状態では運転者が操作パネル18を用いて地図上の領域を押圧することによりその座標を指定しなければならないという点で、引用例2のものにおいても、自車位置マークの表示形態によるものではないとしても何らかの表示形態の変更によって、運転者にとっては第2の自車位置認識手段(第1の測位手段1、即ちGPS測位)による車両位置の認識が可能な状態とそれが不可能な状態とを識別した認識が(出発地登録時において)可能であることは明らかである。
そうすると、該引用例2には必ずしも(GPS測位装置の)測位が可能な状態と、不可能な状態とを自車位置マークの表示形態を変更することにより識別できる技術は直接開示されていないとしても、測位が不可能な状態にきわめて近い測位精度が低い状態と、測位精度が高い(標準精度、及び高精度)状態とを自車位置マークの表示形態を変更することにより識別できるようにする技術は示されており、また、GPS測位装置の測位が可能な状態と、不可能な状態とを(自車位置マークとは別の)何らかの表示形態の変更によって識別できるようにすることは、前述のとおり該引用例2にも記載されていると共に例えば引用例3にも示されているところであって、出願前周知の技術であると認められる点を考慮すると、該引用例2のものにおいて、測位が可能な、即ち車両位置の認識が可能な状態とそれが不可能な状態とをも、自車位置マークの表示形態を変更することをもって識別できるように構成することは、当業者であれば適宜設計的事項として容易になし得る程度のことというべきである。
したがって、引用例2の技術に適宜上記設計的事項を付加した上で、これを引用例1のものに適用して上記本件発明1の相違点を想到することは、当業者であれば容易になし得た程度のものである。」
そして、上記取消理由は正当なものと認められる。

4 本件発明2について
本件発明2と特許異議申立人が証拠として提出した甲第1乃至3号証(上記引用例1乃至3に同じ)とを対比すると、上記甲号各証に記載されたものは、本件発明2の構成要件である「(第1及び第2の自車位置認識手段により認識した車両位置に基づいて所定の地図表示部上に自車位置マークを表示する)制御手段には、上記第1の自車位置認識手段が正常であるか否かを検出する検出手段を備え、該第2の自車位置認識手段による車両位置の認識が不可能である場合において、上記第1の自車位置認識手段が正常である場合と上記第1の自車位置認識手段が正常でない場合とを、運転者が識別できるように、上記第1の自車位置認識手段が正常でないことを表示部に表示させる報知手段を備えている」という事項を備えておらず、当該事項により、本件発明2は、運転者は上記表示手段の表示を見ることにより、上記第1の自車位置認識手段による正常な車両位置の検出が可能であるか否かを容易に認識できるという顕著な効果を奏するものと認められる。
したがって、本件発明2が上記甲号各証に記載されたものから当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
なお、特許異議申立人は、特許異議申立書において『・・甲第2号証にGPSによる精度が劣化した場合、第1の自車位置認識手段(甲第2号証の推測位置計測に相当)に切り換えることが記載され、かつ、「第5図に示したように、GPSによる計測点の表示半径のみを測位精度に合わせて変化させるようにしても良い」との記載と、甲第3号証には測位可能時と、測位不能時の表示形態を変更することが記載されているから、同一技術分野である甲第2号証及び甲第3号証に基づいて、上記構成N、Pのように第2の自車位置認識手段による車両位置の認識が不可能である場合、第1の自車位置認識手段が正常でないことを表示部に表示させるようにすることは、当業者であれば容易になし得ることであり、かつ、その構成によって奏される効果においてもさしたる相違は認められない。』(同申立書第12頁第16-29行)と主張するが、甲第2及び3号証に示されている技術はあくまでも本件発明2でいえば第2の自車位置認識手段に相当するGPSの手段による測位が可能(正常)であるか否かを表示部に表示させるものであって、本件発明2の第1の自車位置認識手段に相当する手段について、それが正常でないことを識別して表示する技術は開示されておらず、そうである以上、第1の自車位置認識手段が正常でないことを表示部に表示させるようにすることが、当業者であれば容易になし得ることであると認めることはできず、特許異議申立人の上記主張は採用できない。

5 むすび
以上のとおり、本件発明1は、上記引用例1乃至3に記載のものから当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1についての特許は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件発明1についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
また、特許異議の申立ての理由によっては本件発明2についての特許を取り消すことはできない。また、他に本件発明2についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、平成6年法律第116号附則第14条の規定に基づく、平成7年政令第205号第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-09-26 
出願番号 特願平1-271181
審決分類 P 1 651・ 121- ZC (G01C)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 太田 恒明秋田 将行  
特許庁審判長 大森 蔵人
特許庁審判官 西川 一
岩本 正義
登録日 1999-02-12 
登録番号 特許第2885849号(P2885849)
権利者 マツダ株式会社
発明の名称 車両の走行誘導装置  
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