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審決分類 審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61G
管理番号 1030202
審判番号 審判1999-12042  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-07-29 
確定日 2000-11-10 
事件の表示 平成5年特許願第345763号「床ずれ防止及び/又は内臓器官活性化ベッド」拒絶査定に対する審判事件[平成7年6月27日出願公開、特開平7-163623号]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年12月10日の出願であって、「床ずれ防止及び/又は内臓器官活性化ベッド」に関するものと認められる。
本願について、平成11年6月8日付で、原審査において特許法第29条第2項の規定により特許を受けることが出来ないとの理由により拒絶査定がなされ、平成11年7月29日付でこれを不服とする審判の請求がなされ、同日付けで明細書の補正がなされ、平成12年2月7日付で、前置審査において拒絶の理由の通知がなされ、その指定期間内に明細書の補正がなされたものである。

2.前置審査における拒絶の理由
前置審査における拒絶の理由は、次のとおりである。
「この出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていない。

本願請求項1における下記(1)〜(3)に指摘する記載は、極めて漠然としているばかりか、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された実施例との対応関係が明確でないので、発明の内容が明確でない。
(1)「背骨の高さを上下することなく背骨を回転せしめ」の記載について
記載自体が極めて不明瞭であるばかりでなく、本願明細書又は図面に記載された本願発明の実施例の内容と対応していない。
すなわち、本願の「本発明第1実施例」についてみると、同実施例では床板6の回転中心は背骨ではなく縦方向の軸9であるから(本願明細書段落番号[0005]の記載参照)、床板6が左右に傾斜すると、床板上方にある背骨は当然に上下することになる。
また、本願の「本発明第2実施例」についてみると、枠31の回転中心は背骨ではなく軸42であるから(本願明細書段落番号[0007]の記載参照)、枠31が傾斜すると、枠31の上方にある床板上の背骨は当然に上下することになる。
(2)「前記傾斜による体やフトンのづれを防止し得るようにストッパーと兼用した床板を体と反対に傾斜させる事により、ストッパーとして大きな角度とし」との記載について
a、「前記傾斜・・・」の「前記」に対応する記載が当該文章の前に存在しないので、「前記」の意味が全く不明である。
b、「ストッパー」に対応する記載が、本願明細書の発明の詳細な説明に存在しないので、どの部分がその「ストッパー」に該当するのか不明である。
c、「体と反対に傾斜させる事により、ストッパーとして大きな角度とし」に対応する記載が、本願明細書の発明の詳細な説明に存在しないばかりでなく、記載自体が極めて漠然としているので、その意味するところが全く不明である。
(3)「床板の他端を左右同一平面上とし且つベッド端と結合する事により機構を簡素化する」との記載について
当該記載に対応する内容が、本願明細書の発明の詳細な説明のどの記載内容に対応するかが不明であるばかりか、記載自体が極めて漠然としているので、意味するところがほとんど不明である。」

3.当審の判断
上記拒絶の理由に対して、請求人は特許請求の範囲を以下の通りに補正した。
「各区分が独立して動き、且つ背骨の高さを床板に対し上下することなく背骨を回転せしめ、且つ前記傾斜による体やフトンのずれを防止し得るようにストッパーと兼用した床板を体と反対側に傾斜させる事により、ストッパーとして大きな角度とし、前記床板の他端を左右同一平面上とし且つベッド端と結合する事により機構を簡易化する事を特徴とするベッド。」

イ.拒絶理由(2)aについて
補正後の特許請求の範囲においても、依然として「前記傾斜・・・」の「前記」に対応する記載が当該文章の前に存在しない。
なお、請求人は意見書において「「前記」の意味は、「背骨の高さを床板6に対して上下することなく背骨を回転せしめ」である。」と主張しているが、特許請求の範囲の記載において、当該主張のように、「前記」を「背骨の高さを床板6に対して上下することなく背骨を回転せしめ」と置き換えることは、日本語の構造上不可能であり、該主張を採用することは出来ない。
したがって、「前記」の意味は、依然として不明である。

ロ.拒絶理由(2)cについて
補正後の特許請求の範囲においても、「体と反対側に傾斜させる事により、ストッパーとして大きな角度とし」との記載部分については補正がなされておらず、依然として当該記載部分に対応する記載が、本願明細書の発明の詳細な説明に存在しないばかりでなく、記載自体が極めて漠然としているので、その意味するところが全く不明である。
なお、請求人は意見書において、「「ストッパー」は本発明明細書図8の30又は32であり、この30又は32は31の傾斜すなわち体の傾斜と反対方向に傾斜するので(図8参照)、30と31は大きな角度となる。反対に傾斜した場合は31と32が大きな角度となる。」と主張しているが、発明の詳細な説明及び図面を参酌しても、上記特許請求の範囲の記載部分を当該主張のように解釈することはできない。

ハ.拒絶理由(3)について
補正後の特許請求の範囲においても、「床板の他端を左右同一平面上とし且つベッド端と結合する事により機構を簡素化する」との記載部分については補正がなされておらず、依然として、当該記載に対応する内容が、本願明細書の発明の詳細な説明のどの記載内容に対応するかが不明であるばかりか、記載自体が極めて漠然としているので、意味するところがほとんど不明である。
なお、請求人は意見書において、「「床板の他端を左右同一平面上とし且つベッド端と結合する事により機構を簡易化する」について説明すると、本発明明細書図10の如く「床板(39、40,41)の他端を左右同一平面上(30及び32)とし、且つベッド端と軸47及び48(訂正図面を参照)を結合する事により機構を簡易化する」のである。」と主張しているが、発明の詳細な説明及び図面を参酌しても、上記特許請求の範囲の記載部分を当該主張のように解釈することはできない。

4.むすび
したがって、本願は特許法第36条第5項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-08-31 
結審通知日 2000-09-12 
審決日 2000-09-25 
出願番号 特願平5-345763
審決分類 P 1 8・ 534- WZ (A61G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大久保 好二生越 由美山中 真  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 熊倉 強
藤本 信男
発明の名称 床ずれ防止及び/又は内臓器官活性化ベッド  

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