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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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審判19935910 | 審決 | 特許 |
審判199715352 | 審決 | 特許 |
審判199715350 | 審決 | 特許 |
審判19967530 | 審決 | 特許 |
審判199515914 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 査定不服 (訂正、訂正請求) 特許、登録しない。 A61K |
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管理番号 | 1030286 |
審判番号 | 審判1999-11343 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-07-08 |
確定日 | 2000-11-10 |
事件の表示 | 平成10年特許権存続期間延長登録願第700011号「CSF遺伝子類」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.(本件特許の概要) 本件特許第1927310号は、昭和61年7月17日(優先権主張 昭和60年9月17日、昭和60年9月20日、60年9月30日、昭和60年12月2日)に出願され、平成6年8月3日の出願公告を経て、平成7年4月25日に設定の登録がされたものであり、その特許発明の要旨は、設定の登録時の明細書の記載からみて、その特許請求の範囲第1、3,5項に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】下記のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むヒト顆粒球コロニー刺激因子をコードするcDNA。 Met Ala Gly Pro Ala Thr Gln Ser Pro Met Lys Leu Met Ala Leu Gln Leu Leu Leu Trp His Ser Ala Leu Trp Thr Val Gln Glu Ala Thr Pro Leu Gly Pro Ala Ser Ser Leu Pro Gln Ser Phe Leu Leu Lys Cys Leu Glu Gln Val Arg Lys Ile Gln Gly Asp Gly Ala Ala Leu Gln Glu Lys Leu (Val Ser Glu)m Cys Ala Thr Tyr Lys Leu Cys His Pro Glu Glu Leu Val Leu Leu Gly His Ser Leu Gly Ile Pro Trp Ala Pro Leu Ser Ser Cys Pro Ser Gln Ala Leu Gln Leu Ala Gly Cys Leu Ser Gln Leu His Ser Gly Leu Phe Leu Tyr Gln Gly Leu Leu Gln Ala Leu Glu Gly Ile Ser Pro Glu Leu Gly Pro Thr Leu Asp Thr Leu Gln Leu Asp Val Ala Asp Phe Ala Thr Thr Ile Trp Gln Gln Met Glu Glu Leu Gly Met Ala Pro Ala Leu Gln Pro Thr Gln Gly Ala Met Pro Ala Phe Ala Ser Ala Phe Gln Arg Arg Ala Gly Gly Val Leu Val Ala Ser His Leu Gln Ser Phe Leu Glu Val Ser Tyr Arg Val Leu Arg His Leu Ala Gln Pro(ただしmは0または1を表わす) 【請求項3】下記のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む顆粒球コロニー刺激因子をコードするcDNAを含有する組換えベクター。 Met Ala Gly Pro Ala Thr Gln Ser Pro Met Lys Leu Met Ala Leu Gln Leu Leu Leu Trp His Ser Ala Leu Trp Thr Val Gln Glu Ala Thr Pro Leu Gly Pro Ala Ser Ser Leu Pro Gln Ser Phe Leu Leu Lys Cys Leu Glu Gln Val Arg Lys Ile Gln Gly Asp Gly Ala Ala Leu Gln Glu Lys Leu (Val Ser Glu)m Cys Ala Thr Tyr Lys Leu Cys His Pro Glu Glu Leu Val Leu Leu Gly His Ser Leu Gly Ile Pro Trp Ala Pro Leu Ser Ser Cys Pro Ser Gln Ala Leu Gln Leu Ala Gly Cys Leu Ser Gln Leu His Ser Gly Leu Phe Leu Tyr Gln Gly Leu Leu Gln Ala Leu Glu Gly Ile Ser Pro Glu Leu Gly Pro Thr Leu Asp Thr Leu Gln Leu Asp Val Ala Asp Phe Ala Thr Thr Ile Trp Gln Gln Met Glu Glu Leu Gly Met Ala Pro Ala Leu Gln Pro Thr Gln Gly Ala Met Pro Ala Phe Ala Ser Ala Phe Gln Arg Arg Ala Gly Gly Val Leu Val Ala Ser His Leu Gln Ser Phe Leu Glu Val Ser Tyr Arg Val Leu Arg His Leu Ala Gln Pro(ただしmは0または1を表わす) 【請求項5】下記のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むヒト顆粒球コロニー刺激因子をコードするcDNAを含有する組換えベクターで形質転換された哺乳動物細胞。 Met Ala Gly Pro Ala Thr Gln Ser Pro Met Lys Leu Met Ala Leu Gln Leu Leu Leu Trp His Ser Ala Leu Trp Thr Val Gln Glu Ala Thr Pro Leu Gly Pro Ala Ser Ser Leu Pro Gln Ser Phe Leu Leu Lys Cys Leu Glu Gln Val Arg Lys Ile Gln Gly Asp Gly Ala Ala Leu Gln Glu Lys Leu (Val Ser Glu)m Cys Ala Thr Tyr Lys Leu Cys His Pro Glu Glu Leu Val Leu Leu Gly His Ser Leu Gly Ile Pro Trp Ala Pro Leu Ser Ser Cys Pro Ser Gln Ala Leu Gln Leu Ala Gly Cys Leu Ser Gln Leu His Ser Gly Leu Phe Leu Tyr Gln Gly Leu Leu Gln Ala Leu Glu Gly Ile Ser Pro Glu Leu Gly Pro Thr Leu Asp Thr Leu Gln Leu Asp Val Ala Asp Phe Ala Thr Thr Ile Trp Gln Gln Met Glu Glu Leu Gly Met Ala Pro Ala Leu Gln Pro Thr Gln Gly Ala Met Pro Ala Phe Ala Ser Ala Phe Gln Arg Arg Ala Gly Gly Val Leu Val Ala Ser His Leu Gln Ser Phe Leu Glu Val Ser Tyr Arg Val Leu Arg His Leu Ala Gln Pro(ただしmは0または1を表わす)」 2.(本件出願の概要) これに対する特許権の存続期間の延長登録の出願(以下、本件出願という。)は、特許発明の実施について特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとするもので、その政令で定める処分(以下、本件処分という。)の内容として以下のことを挙げている。 (1)特許権の存続期間の延長登録の理由となる処分 薬事法第14条第1項に規定する医薬品に係る同条第6項の承認 (2)処分を特定する番号 承認番号20300AMZ00758000号 (3)処分の対象になった物 レノグラスチム(遺伝子組換え) (4)処分の対象になった物について特定された用途 「急性骨髄性白血病、尿路上皮癌(発熱性好中球減少症又は高度な好中球減少症)、頭頚部癌(発熱性好中球減少症又は高度な好中球減少症)、におけるがん化学療法による好中球減少症」 3.(原査定の拒絶理由) 本件出願に対する原審の拒絶の理由は、「この出願に係る特許発明の実施に特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないから、この出願は特許法第67条の3第1項第1号に該当する。」というものである。 4.(当審の判断) そこで、原査定の拒絶の理由について、検討する。 本件特許発明は、上記した形質転換体、組換えベクター、cDNAに係るものであり、本件特許発明の実施とは、特許法第2条の定義により、これら形質転換体、組換えベクター、cDNAを生産し、使用し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。)をする行為である。 してみれば、本件各特許発明についての実施行為のうちには、形質転換体の使用は含まれるが、これにより製造されたレノグラスチム(遺伝子組換え)の使用は含まれているとはいえないから、該ペプチドの医薬品としての使用を含んでいるとはいえない。 一方、本件処分、すなわち薬事法第14条第6項における承認の対象は、医薬品であり、この場合の薬事法の規制は、医薬品以外のものの製造、販売等には及ばないのであるから、特許法第67条の3第1項第1号に規定する「その特許発明の実施に特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であった」というためには、少なくとも、特許発明についての特許法第2条に定義された実施の範疇において、薬事法の規制の対象である医薬品としての使用を含むものがあることをその前提要件とすると解すべきである。そして、上記した点からみれば、本件各特許発明の実施の範疇には、特許法第2条の定義からみて、医薬品としての使用を含むものがないことは明らかである。 さらに、特許法第68条の2においては、特許権の存続期間が延長された場合、その特許権の効力は同法第67条第2項の政令で定める処分の対象となった物(その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあっては、当該用途に使用されるその物)についての当該特許発明の実施以外の行為には及ばない旨規定されており、この存続期間が延長された場合の特許権の効力の及ぶ範囲からいうと、特許法第67条の3第1項第1号の規定が、特許発明についての特許法第2条に定義される実施の範疇中に、上記延長された特許権の効力の対象となる実施を含まない場合にも、特許期間を延長させるものであるとするのは合理的な解釈ではない。 一方、本件処分においては、処分の対象となった物の医薬用途が定められているから、特許発明の実施のうち、延長された特許権の効力が及ぶのは、処分の対象となった物をその医薬用途について実施する場合のみである。 してみると、上記特許法第68条の2の規定からみても、本件各特許発明について、特許法第67条の3第1項第1号に規定する「特許発明の実施に特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であった」というためには、本件各特許発明についての特許法第2条に定義された実施の範疇において、少なくとも医薬品としての使用を含むものがあることをその要件とすべきである。 しかるに、上記したように、本件各特許発明の実施の範疇には、特許法第2条の定義からみて、医薬品としての使用を含むものがないのであるから、本件各特許発明の実施に特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められない。 ところで、本件特許権者は、本件特許発明の対象である遺伝子、ベクター、形質転換体(以下、形質転換体等という。)の実施は、当該遺伝子がコードする目的ペプチドが薬事法上の製造承認を受けるまでの期間、実施の制限を受けたものである旨主張し、その理由として、以下の2点を挙げている。 1)組換えDNA技術によって製造されるペプチドが医薬品としての製造承認を受けるに際しては、医薬品自体ばかりでなく、形質転換体等、宿主、ベクター系の安全性も審査されるから、医薬品の製造承認が得られるまで、当該医薬品の製造という形質転換体等の使用は、医薬品の製造承認までの期間制限されるというべきである。 2)特許発明の形質転換体等を使用して製造される「レノグラスチム(遺伝子組換え)」を有効成分とする医薬品について、薬事法第14条第1項に規定する承認を受けている。この承認を受けるまでは、当該医薬品の製造は制限されていたと解される。医薬品(目的有効成分)製造は、本件特許発明の形質転換体等を使用することによって達成される。したがって、医薬品の製造(すなわち、形質転換体等の使用)は、医薬品の製造承認を受けるまで制限されていたのである。そして、形質転換体等の使用は、特許法第2条第3項第1号に規定されるように、本件特許発明についての「実施」に外ならない。 さらに、本件特許権者は、形質転換体等と原料、中間体、製造装置との相違について主張する中で、 3)形質転換体は生物体であるため、生存状態で維持することが必要であり、維持されること自体でペプチドを生産してしまい、存在すなわち生産といえる。 4)遺伝子特許発明は、原料、中間体、製造装置またはこれに類するものとはいえず、むしろ製造方法に近い面もある。 の2点も主張している。 しかしながら、1)、2)の点については、薬事法の規制対象は医薬品であり、本件処分を受けるまで実施が規制されていた行為は、レノグラスチム(遺伝子組換え)を、その医薬用途である「急性骨髄性白血病、尿路上皮癌(発熱性好中球減少症又は高度な好中球減少症)、頭頚部癌(発熱性好中球減少症又は高度な好中球減少症)、におけるがん化学療法による好中球減少症」に使用することであるというほかはないから、形質転換体を使用することによりペプチドを生産し、そのペプチドを用いて医薬品を製造する、という事情が存在するとしても、また、形質転換体等、宿主、ベクター系の安全性も審査されるとしても、これらにより、本件各特許発明の実施において、特許法第67条の2の政令で定める処分を受ける必要があったとすることはできない。。 また、3)の点については、形質転換体は維持されること自体でペプチドを生産してしまうとしても、そのこと自体は、培地中にペプチドが分泌されることにより培地にペプチドが混入した状態をもたらすにとどまるものであり、形質転換体の維持は、薬事法の規制の対象とはいえない。 さらに4)の点については、製造方法の発明には、特許法第2条の定義により、その実施行為にその製造方法により得られた物の使用行為も含まれるから、この得られた物の使用には、医薬品としての使用も含まれる。一方、上記したように、本件の形質転換体、組換えベクター、及び、cDNAの各発明は、その実施において、形質転換体の使用により得られる物の使用を含み得ず、レノグラスチム(遺伝子組換え)の医薬品としての使用は含まれない。 してみれば、製造方法の発明と本件各特許発明を同様に扱うことはできない。 したがって、本件特許権者の上記主張は、いずれも採用できない。 5.(むすび) 以上のとおりであるから、本件出願は、特許法第67条の3第1項第1号に該当し、本件出願によって特許権の存続期間の延長登録を受けることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-08-01 |
結審通知日 | 2000-08-11 |
審決日 | 2000-09-04 |
出願番号 | 特願平10-700011 |
審決分類 |
P
1
8・
71-
Z
(A61K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田村 聖子 |
特許庁審判長 |
吉村 康男 |
特許庁審判官 |
宮本 和子 内藤 伸一 |
登録番号 | 特許第1927310号(P1927310) |
発明の名称 | CSF遺伝子類 |
代理人 | 栗田 忠彦 |
代理人 | 社本 一夫 |