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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61G
管理番号 1030403
審判番号 不服2000-2260  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-01-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-02-23 
確定日 2000-12-01 
事件の表示 平成10年特許願第165056号「骨壺収納ケース」拒絶査定に対する審判事件[平成12年1月7日出願公開、特開2000-277]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願は、平成10年6月12日の出願であって、その発明は、補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至請求項5に記載された以下のものにあると認める。
「請求項1
収骨から納骨までの期間に骨壺を収納して祭壇上に安置するための骨壺収納ケースであって、骨壺を収納する台座と、この台座に被冠する蓋体との2部品により構成され、蓋体の高さ寸法の比率を台座の高さ寸法の比率よりも大きくすると共に、骨壺収納ケースの外径サイズを収納する骨壺の外径サイズに接近させてなり、骨壺を台座に収納したときに該骨壺本体の底面部以外の大部分が台座から露出して外部から視認できるようにしたことを特徴とする骨壺収納ケース。
請求項2
収骨から納骨までの期間に骨壺を収納して祭壇上に安置するための骨壺収納ケースであって、骨壺を収納する台座と、この台座に被冠するための透明体又は半透明体でなる蓋体との2部品により構成され、蓋体の高さ寸法の比率を台座の高さ寸法の比率よりも大きくすると共に、骨壺収納ケースの外径サイズを収納する骨壺の外径サイズに接近させてなり、骨壺を台座に収納して蓋体を被冠したときに該骨壺本体の底面部以外の大部分が台座から露出して、蓋体の外部から視認できるようにしたことを特徴とする骨壺収納ケース。
請求項3
蓋体の材質として、透明又は半透明のプラスチック又はガラスを用いたことを特徴とする請求項2に記載の骨壺収納ケース。
請求項4
台座の材質として、木材、プラスチック、ガラス、石材を用いたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の骨壺収納ケース。
請求項5
上記台座は上面が開放されて下面が閉塞された部材で構成されているとともに、蓋体は上面が閉塞されて下面が開放された部材で構成され、台座の上面開口周縁部よりもやや下方に位置する部位に、蓋体の下面開口周縁部が面一に当接するフランジ部もしくは段部を形成したことを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の骨壺収納ケース。」

2.これに対して、原審の拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭46-118316号(実開昭48-72200号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には、「遺骨、遺髪等の納置室を穿設し、かつ該納置室の上部開口部には、ねじ込み等の密閉蓋を着脱自在に装着してなる納器を台座上に固定し、該台座には、位牌等を立設する嵌合部を形成すると共に、上記台座外周部には、その上方全体を覆う透明覆体を被嵌せしめたことを特徴とする遺骨、遺髪等の納安置器」が、第1〜4図とともに記載されている。
本願の請求項2に係る発明と引用例に記載された発明を対比すると、両者は、
「骨壺を収納する台座と、この台座に被冠するための透明体蓋体との2部品により構成され、蓋体の高さ寸法の比率を台座の高さ寸法の比率よりも大きくされ、骨壺を台座に収納して蓋体を被冠したときに骨壺本体の底面部以外の大部分が台座から露出して、蓋体の外部から視認できる骨壺収納ケース」である点で一致する。一方、以下の点で、両者は相違する。
(相違点)
(ア)本願の請求項2に係る発明が、収骨から納骨までの期間に骨壺を収納して祭壇上に安置するための骨壺収納ケースであるのに対して、引用発明は少量の遺骨を密閉して長期間にわたり保存する遺骨の納安置器である点。
(イ)本願の請求項2に係る発明が、「骨壺収納ケースの外径サイズを収納する骨壺の外径サイズに接近させてな(る)」ものであるのに対して、引用例の第1〜4図には、骨壺(遺骨納器2)の寸法に対して台座1及び蓋体4が大寸法に形成されて骨壺がゆったりと収納された例が示されている点。

3.そこで相違点について検討する。
収骨から納骨までの期間に骨壺を収納して祭壇上に安置するための骨壺収納ケース自体は、本願出願前に周知のものであり、引用発明とは蓋体の外部から骨壺が視認できる骨壺収納ケースという点で共通するものであるから、収骨から納骨までの期間に骨壺を収納して祭壇上に安置するための骨壺収納ケースに引用発明の台座と透明体蓋体の構成を適用することは当業者には容易になし得る程度のことにすぎない。
次に、「骨壺収納ケースの外径サイズを収納する骨壺の外径サイズに接近させてな(る)」点は、従来の収骨から納骨までの期間に骨壺を収納して祭壇上に安置するための骨壺収納ケースにおける構成にすぎず、周知の収骨から納骨までの期間に骨壺を収納して祭壇上に安置するための骨壺収納ケースに適用すれば必然的に「骨壺収納ケースの外径サイズを収納する骨壺の外径サイズに接近させてな(る)」ものとなる。
請求人は、「請求の理由」の中で、「・・・引用例1の台座1には周囲の立ち上がり壁が存在せず、納器2を収納することができないものである。引用例1には本願発明に言う高さ寸法は存在しないものである。本願の請求項2に係る発明では、台座に骨壺を収納する構成であり、この骨壺を収納した台座と蓋体との高さ寸法の比率において、「蓋体の高さ寸法の比率を台座の高さ寸法の比率よりも大きくする」ことにより、「骨壺を台座に収納したときに該骨壺本体の底面部以外の大部分が台座から露出して外部から視認できるようにした」ものである。このことは何ら引用例1に開示も示唆もされていないものである。」と主張する。
しかしながら、引用例の台座(1)は、第1〜4図からみて高さ寸法を有することが明らかであり、また、台座に周囲の立ち上がり壁が存在することは本願の請求項2に係る発明の必須の構成ではない。「骨壺を台座に収納したときに該骨壺本体の底面部以外の大部分が台座から露出して外部から視認できる」点は、先に指摘したとおり、引用発明においても同様である。
その他、本願の請求項2に係る発明を全体としてみても、当業者が予測できないような顕著な効果を奏するものであるとは認められず、本願の請求項2に係る発明は、本願出願前すでに周知である事項を考慮すれば、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというほかなく、特許法第29条第2項の規定によって特許を受けることができない。

3.したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-09-18 
結審通知日 2000-09-26 
審決日 2000-10-11 
出願番号 特願平10-165056
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山中 真稲村 正義土田 嘉一  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 藤本 信男
長崎 洋一
発明の名称 骨壺収納ケース  
代理人 田中 幹人  

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