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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1030633
審判番号 審判1998-18936  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-02-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-12-08 
確定日 2000-12-13 
事件の表示 平成 1年特許願第165031号「MIS型半導体装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 3年 2月 8日出願公開、特開平 3- 30370]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明の要旨
本願は、平成1年6月27日の出願であって、その請求項に係る発明は、願書に最初に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極が形成され、上記ゲート電極の両側の部分の上記半導体基板中に高不純物濃度の半導体領域が上記ゲート電極と重ならないように形成されたMIS型半導体装置において、上記ゲート絶縁膜から離れた部分の上記半導体基板中に上記高不純物濃度の半導体領域と接続された上記高不純物濃度の半導体領域と同一導電型の低不純物濃度の半導体領域が形成されていることを特徴とするMIS型半導体装置。(以下、「本願発明」という)」
なお、平成9年12月22日付け、平成10年5月6日付け、平成10年9月7日付け及び平成11年1月7日付けの各手続補正は、いづれも平成12年5月16日付けで却下となり、却下が確定している。
2.引用例
原審の拒絶の理由で引用された、本願出願前に頒布された刊行物である、特開昭61-259576号公報(以下、「引用例」という。)には、電界効果トランジスタが図面とともに開示されている。
同引用例の特許請求の範囲の第1項には、「金属-酸化物-半導体形電界効果トランジスタであって、第1の極性のドーパントでドープされた半導体本体と、該本体部分の一部の上に配置された絶縁層と、前記半導体本体から電気的に絶縁されるように前記絶縁層の上に配置された導電性ゲート電極とを有し、前記半導体本体が第2の極性のドーパントで高濃度にドープされたソース領域と、前記第2の極性のドーパントで高濃度にドープされたドレイン領域とを有し、該ソースおよびドレイン領域が前記ゲート電極の両側に所定の深さまで前記半導体本体内に配置されており、前記半導体本体がまた前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方から伸びる低濃度にドープされた延長部を有し、該延長部のドーパントは前記第2の極性のドーパントであり、前記延長部の各々は前記半導体本体の表面の下方に配置されて前記ゲート電極の下方の領城に向かって延在し、前記延長部の各々は前記半導体本体と前記絶縁層との間の境界から離隔しており、・・・特徴とする電界効果トランジスタ。」と記載されており、また同引用例の第4頁左下欄第3行〜第5頁左下欄第15行には、「図は本発明に従って製造したNMOSFET素子を例示しているものである。本発明の目的を達成するために使用される特定の処理を除いて、通常の方法により素子の製造は行なわれる。図示の素子について具体的に説明すると、素子はn型の基板99を有する。通常の方法に従って、フィールド酸化物層115が基板99を高温で酸素にさらすことによって基板99上に成長されて、シリコン酸化物の絶縁層を形成する。この層は、エッチングにより、チップまたはウェーハ上に能動領域を限定するパターンを形成する。その後、典型的にはp型のウェル(井戸形の領域)100がフィールド酸化物層中の能動領域開口部を介してイオン注入法により形成される。それから、薄いシリコンの酸化物層が全基板上に成長させられる。この酸化物層は最終的にはゲート酸化物116を形成し、このゲート酸化物は上述したホット電子を捕獲するような構造を有している。この薄い酸化物の上に、多結晶シリコンを堆積し、n型ドーパントで高濃度にドープして、高い導電性を有する層を形成する。この層は最終的にはゲート電極130を形成する。・・・(中略)・・・半導体製造におけるこの段階においては、特別な処理行程を行って第1図に示す構造を形成する。具体的に説明すると、この処理工程では、リンのような低濃度のn型ドーパントを埋込み層中に沈積する。この沈積(デポジション)は約90keVの電圧でイオン注入法により行なわれる。この結果シリコンと酸化物の界面から約1000オングストロームの深さの所に低濃度にドープされた領域103および104(点線の間の領域)が形成される。リンの拡散率のために、低濃度にドープされたn-領域103および104はゲート領域に向って内側に伸びて、拡散延長部105および106を形成する。・・・(中略)・・・領域103,104,105および106はフィールド酸化物層115からゲート電極130の左側および右側の縁に向って内側に伸びることに注意されたい。このドーピングはソースまたはドレイン領域の1平方センチメートルあたり1012乃至1014個のドーパント原子の注入量で行なわれる。対照的に、従来ではドーピング行程はこのような傾斜した構造を設けるように行なわれてはいない。・・・(中略)・・・このスペ-サはゲートの下方の酸化物と半導体との界面の近傍、特にゲートとドレインとの間の近傍において発生するホット電子の影響を軽減する重要な機能を有している。更に、スペーサ117′はまた、イオン注入または拡散によりソースおよびドレイン領城を形成するための次の処理行程に用いられる自己整合マスクを形成する。本発明によれば、能動領域のソースおよびドレイン領域に対して高濃度(n+)のドーピングを行う。典型的には、この第2のドーピングは1平方センチメ-トルあたり約8×1015個のドーパント原子の注入量で行われる。この結果、第1図に示す領域101および102が形成され、これらの領域は典型的には約1500乃至4000オングストロームの深さまで延在する。スペーサ117′によって形成されるマスク効果のために、領域101および102から内側に延在するソースおよびドレインの小さな低濃度のn-領域が残る。これらは領域105および106であり、これらの領域は図示のように層103および104の一部を形成する。」と記載されている。
以上構成について図面及び上記記載事項を参酌してまとめると、引用例には次の発明が記載されている。
「半導体基板(99)上にゲート酸化物(116)を介してゲート電極(130)が形成され、上記ゲート電極の両側の部分の上記半導体基板中に(高濃度のドーピングを行った)領域(101、102)が上記ゲート電極(130)と重ならないように形成された金属-酸化物-半導体形電界効果トランジスタにおいて、上記ゲート酸化物(116)から離れた部分の上記半導体基板中に上記領域(101、102)と接続された上記領域(101、102)と同一導電型の低濃度にドープされた領域(103、104、105、106)が形成されていることを特徴とする金属-酸化物-半導体形電界効果トランジスタ」
3.対比・判断
本願発明と引用例の発明とを対比すると、引用例における、ゲート酸化物、(高濃度のドーピングを行った)領域(101、102)、低濃度にドープされた領域(103、104、105、106)及び金属-酸化物-半導体形電界効果トランジスタは、本願発明におけるゲート絶縁膜、高不純物濃度の半導体領域、高不純物濃度の半導体領域と同一導電型の低不純物濃度の半導体領域及びMIS型半導体装置にそれぞれ相当するから、両者は「半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極が形成され、上記ゲート電極の両側の部分の上記半導体基板中に高不純物濃度の半導体領域が上記ゲート電極と重ならないように形成されたMIS型半導体装置において、上記ゲート絶縁膜から離れた部分の上記半導体基板中に上記高不純物濃度の半導体領域と接続された上記高不純物濃度の半導体領域と同一導電型の低不純物濃度の半導体領域が形成されていることを特徴とするMIS型半導体装置。」の点で一致し、相違点はない。
4.むすび
以上のとおり、本願発明は引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることはできない。
よって、結論のとおり審決する
 
審理終結日 2000-08-25 
結審通知日 2000-09-08 
審決日 2000-09-28 
出願番号 特願平1-165031
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡 和久今井 拓也  
特許庁審判長 内野 春喜
特許庁審判官 橋本 武
浅野 清
発明の名称 MIS型半導体装置  
代理人 杉浦 正知  

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