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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1030648
審判番号 審判1997-14996  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-07-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-09-04 
確定日 2000-12-27 
事件の表示 平成3年特許願第360026号「記憶回路」拒絶査定に対する審判事件[平成5年7月23日出願公開、特開平5-181752]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 (手続の経緯、本件発明)
本願は、平成3年12月27日の出願であって、請求項1に係る発明は、平成9年6月9日付け、平成9年9月25日付けの各手続補正書により補正された明細書、図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである(以下、本件発明という。)。
「メモリと、メモリのアドレスを指定するデコーダと、デコーダが指定する特定のアドレスのみに関連して設けられた、そのアドレスへの書き込みの許可・禁止が設定されるフラグと、前記デコーダの前記特定のアドレスを指定する信号と前記フラグの出力信号とを入力し、前記メモリへの書き込み制御信号の伝達を制御する論理回路とを有することを特徴とする記憶回路。」
(引用刊行物)
これに対し、当審において平成12年6月23日付けで通知した拒絶の理由に引用した特開平3-105442号公報(以下、刊行物1という。)には、半導体集積回路に関する発明が記載されており、「本発明の半導体集積回路は、アドレスバス及びデータバスに接続された電気的に書き込み可能な第1の不揮発性記憶回路と、前記アドレスバス及び前記データバスに接続され前記第1の不揮発性記憶回路の書き込み禁止領域が設定される書き込み禁止設定用の第2の不揮発性記憶回路と、書き込み信号が印加された時に前記第2の不揮発性記憶回路が書き込み許可状態であれば前記第1の不揮発性記憶回路を書き込み可能とする書き込み禁止抑制回路とを有することを特徴とする。」(第1頁右下欄第18行〜第2頁左上欄第7行)、「不揮発性記憶回路1は、アドレス・バス2上のアドレスが不揮発性記憶回路1内のアドレス領域を指定している場合であって、禁止制御回路3から書き込み可能の信号を受けた場合のみデータ・バス4上のデータを指定されたアドレス領域に書き込まれる。書き込み禁止制御回路3は書き込み信号6が書き込みを要求している場合に、書き込み禁止設定用不揮発性記憶回路5が書き込み許可状態にあれば、書き込み可能の信号を不揮発性記憶回路1に送る。その他の場合は、書き込み禁止の信号を不揮発性記憶回路1に送る。書き込み禁止設定用不揮発記憶回路5は、アドレス・バス2上のアドレスが予め設定されている書き込み禁止アドレスかどうかを判定し、そのアドレスが書き込み禁止領域でなければ書き込み許可状態となる。書き込み禁止設定用不揮発性記憶回路5に設定される書き込み禁止領域アドレス等のデータの書き込みはアドレス・バス2上のアドレスが書き込み禁止設定用不揮発性記憶回路5を指定している場合であって、書き込み信号6が書き込みを要求している場合に、データ・バス4上のデータを書き込まれる。したがって、不揮発性記憶回路1への書き込みと同様な方法で、書き込み禁止設定用不揮発性記憶回路5へ書き込み禁止の情報を設定することができ、書き込み設定用不揮発性記憶回路5に設定されたデータで不揮発性記憶回路1への書き込みを制御することができる。」(第2頁左上欄第20行〜左下欄第7行)と説明されている。
(対比・検討)
本件発明と上記刊行物1記載の発明とを対比、検討すると、
(a)上記刊行物1にはデコーダに関する記載がないが、アドレスバス上のアドレスをデコードして所望のメモリセルを選択するといったことは、本件出願以前に当該技術分野において普通に行われていることであるから、上記刊行物1記載の発明において、アドレス信号をアドレスバスを介して不揮発性記憶回路1(本件発明のメモリに相当する)に与え、所望のメモリセルへの書き込みを行うとする点と、本件発明において、メモリと、メモリのアドレスを指定するデコーダとを備えるとする点とに、実質的な差異はない(あるいは、少なくとも、デコーダを用いるとすることは当業者が容易になし得ることにすぎない。)。
(b)本件発明の特定のアドレスにのみ関して設けられたフラグの設定については、本件明細書の第8パラグラフに「RAMについて書き込み禁止を行う必要がない場合にはライト許可/禁止フラグ6の格納値をソフトにて”1”に設定する。」と説明されているものの、ソフトがどのような内容であって、フラグがどのように生成され設定されたかは不明である。ただ、本件発明における特定のアドレスにのみ関して設けられたフラグということでいえば、上記刊行物1記載の発明においては、書き込み禁止設定用不揮発記憶回路5に不揮発性記憶回路1の書き込み禁止領域を設定し、書き込み要求時に、書き込みアドレスと書き込み禁止設定用不揮発記憶回路5に設定された書き込み禁止領域とを比較し、その比較結果の出力と書き込み信号とにより書き込み禁止制御用回路3を制御して書き込み可能信号ないし書き込み禁止信号を不揮発性記憶回路1に送るようにしており、上記比較結果が、本件発明における特定のアドレスにのみ関して設けられたフラグに相当する。
(c)上記刊行物1記載の発明においては、本件発明のフラグに対応する比較結果を記憶するようにしておらず、本件発明と一応相違するが、比較結果を記憶するようにするといったことは当業者が適宜なし得る程度のことにすぎない。
(d)上記刊行物1には、本件発明のようなメモリへの書き込み制御信号の伝達を制御する論理回路を用いることについての記載はないが、上記刊行物1記載の発明においては、書き込み可能信号ないし書き込み禁止信号の送出によりメモリの所定アドレス領域への書き込みを行っていることからすると、上記書き込み可能信号ないし書き込み禁止信号と所定アドレス領域に関連したアドレス信号とにより所定アドレス領域への書き込みを制御する何らかの手段が設けられているとするのが自然であり、また、その手段を論理回路で構成するといったことは当業者が適宜なし得ることにすぎないから、結局のところ、本件発明のようなメモリへの書き込み制御信号の伝達を制御する論理回路を用いることは、当業者が適宜なし得ることにすぎない。
(まとめ)
以上のとおりであって、本件発明は、上記刊行物1記載の発明に基き当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
 
審理終結日 2000-10-05 
結審通知日 2000-10-17 
審決日 2000-10-30 
出願番号 特願平3-360026
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野仲 松男  
特許庁審判長 川名 幹夫
特許庁審判官 吉見 信明
日下 善之
発明の名称 記憶回路  
代理人 京本 直樹  

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