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審決分類 審判 全部無効 特36 条4項詳細な説明の記載不備 無効としない G06F
審判 全部無効 2項進歩性 無効としない G06F
管理番号 1031231
審判番号 審判1999-35512  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1988-07-18 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-09-22 
確定日 2001-01-11 
事件の表示 上記当事者間の特許第2627886号発明「版下デザインデータ作成方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯・本件発明
本件特許2627886号の発明(昭和62年1月14日出願、平成9年4月18日設定登録。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
「基準の第1のキャラクタパターンを構成する表示点の位置を表すキャラクタデー夕でなる第1のデザインデータに基づいて上記第1のキャラクタパターンの内側又は外側に所定の変化幅だけ離間した位置を指定し、上記第1のキャラクタパターンの幅を表す第1のキャラク夕幅とこの第1のキャラクタ幅から上記変化幅を減算し又は加算して得られる第2のキャラクタ幅との幅比率を求め、上記第1のキャラクタパターンを構成する表示点の位置を表すキャラクタデー夕に上記幅比率を乗算することにより上記第1のキャラクタパターンの内側又は外側に重複する第2のキャラクタパターンの表示点の位置を表すキャラクタデー夕でなる第2のデザインデータを求めると共に、
上記第1のキャラクタパターンの原点を表す第1の原点データと上記変化幅を表す変化幅データとに基づいて上記第2のキャラクタパターンの原点を表す第2の原点データを求め、
上記第1の原点データに基づいて描画される上記第1のキャラクタパターン上に重複して上記第2の原点データに基づいて上記第2のキャラクタパターンを描画することにより上記第1及び第2のキャラクタパターンでなる多重キャラクタパターンを作成する
ことを特徴とする版下デザインデータ作成方法。」
2.請求人の主張
請求人は、
(1)本件特許に係る明細書の発明の詳細な説明には記載不備があり、本件特許発明は特許法第36条第3項に規定する要件を満たしていないから、本件特許は特許法第36条第3項の規定に違反してなされたと主張し、さらに、
(2) 本件特許発明は、本件出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、したがって、本件特許発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたと主張し、証拠方法として、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証を提出している。
3.甲第1号証ないし甲第4号証
各甲号証には次のことが記載されている。
(1)甲第1号証(佐藤義雄著、「入門グラフィックス」、アスキー出版局、昭和59年発行、第94頁〜第95頁、第97頁〜第100頁、第106頁〜第108頁)には、図形を拡大または縮小する技術(第94頁〜第95頁)、文字図形を処理する技術(第97頁〜第100頁)、および図形を重ね合わせて表示する技術(第106頁〜第108頁)が、プログラムリスト付きで具体的に記載されている。
(2)甲第2号証(Adobe Systems Incorporated 著、「POSTSCRIPT LanguageReference Manual」、昭和60年発行、第89頁〜第90頁、第127頁、第186頁〜第187頁、第219頁および第229頁)には、線の太さ(2ポイントの太さ)を指定し、その太さで文字(”ABC”)のアウトラインに沿って線を描画する(より具体的には、文字のアウトラインをパスとして取得し、そのパスに沿って指定された太さで線を描画する)技術が記載されている(特に、第89頁第28行〜第90頁第9行)。
(3)甲第3号証(時開昭60-81679号公報(特に、第2頁右下欄第5行〜第3頁左上欄第2行、および第3頁左下欄第8行〜右下欄第2行))、および甲第4号証(日本印刷学会機関誌、「印刷雑誌」、昭和59年12月号、第19頁〜第23頁)には、コンピュータを用いた図形処理により、版下デザインデータを作成する着想が開示されている。
4.対比・判断
(1)特許法第36条第3項について
(a)特許請求の範囲の記載及び発明の詳細な説明の全体の記載からみると、本件明細書第11図は明らかに誤記である。
また、本件特許公報第9頁第17欄第5〜6行目「第1の文字パターンCA1の内部又は外部(第11図の場合内側」の記載は、「第1の文字パターンCA1の内側又は外側(第11図の場合内側)」の誤記である。
(b)「T」の字を順次縮小していき、「T」の字の外の線が重なったとしても、内側に重複する多重文字であることにはかわりがない。また、「T」の字の場合以外に、例えば、「O」、「□」、「◇」等のときは内側に重複する多重のキャラクタになることは明らかである。
(c)請求人の主張に対して、
(c-1)審判請求書第3頁〜第5頁(a)〜(c)に記載された「本件請求項1に係る特許発明を用いては、上記第1のキャラクタパターンCA1から第2のキャラクタパターンCA2およびCA3を求めることはできない。したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明の実施例の記載(本件特許公報第7頁第13欄第7行〜第9頁第17欄第12行)は誤りであり、本件請求項1の構成要件による効果が不明確である。」との請求人の主張については、本件明細書第11図は本件特許の発明の詳細な説明の記載からみて、明らかな誤記であるから、この主張は誤りである。
(c-2)審判請求書第5頁〜6頁(d)に記載された、「図Dをみると、第1のキャラクタパターンC1から生成される第2のキャラクタパターンC2は、第1のキャラクタパターンの内側の位置に重複するように描画されているとも、外側の位置に重複するように描画されているともいえず、上記請求項1の構成要件による効果(「以上の構成によれば、第1の文字パターンCAIの内部又は外部(第11図の場合内側に当該文字パターンCAIに対して変化幅△x及び△Yだけ順次内側又は外側の位置に2つの文字パターンCA2及びCA3を重複するように描画してなる多重文字をデザインすることができる」(本件特許公報第9頁第17欄第5行〜第9行))と矛盾する。」との請求人の主張については、審判請求書の図Dにおいて、C1を外側のTの字、C2を内側のTの字とすると、C1とC2は重複していることは確かであり、また、内側、外側のどちらであるかといえば、C1からみればC2は内側であるから、本件特許発明の詳細な説明の記載と矛盾しないから、請求人の主張は誤りである。
(c-3)審判請求書第6頁(e)に記載された、「図Iをみても、第1のキャラクタパターンC101から生成される第2のキャラクタパターンC102は、第1のキャラクタパターンの内側の位置に重複するように描画されているとも、外側の位置に重複するように描画されているともいえず、上記請求項1の構成要件による効果と矛盾する。」との請求人の主張については、図Iをみると、第2のキャラクタパターンC102は、第1のキャラクタパターンC101の内側の位置に重複するように描画されているようにみえるから、請求人の主張は誤りである。
(d)したがって、特許請求の範囲の記載及び発明の詳細な説明の記載からみると、本件明細書第11図は明らかに誤記であるから、請求人の主張は認めることができないから、本件特許発明の詳細な説明が、特許法第36条第3項に規定する要件を満たしていないとすることができない。
(2)特許法第29条第2項について
(a)本件特許発明と甲第1号証と比較すると、甲第1号証には、図形を拡大または縮小する技術、図形を重ね合わせて表示する技術は記載されているが、多重キャラクタパターンを作成するための具体的手順、特に、「上記第1のキャラクタパターンの幅を表す第1のキャラク夕幅とこの第1のキャラクタ幅から上記変化幅を減算し又は加算して得られる第2のキャラクタ幅との幅比率を求め」と記載される、幅比率の求め方と、「上記第1のキャラクタパターンの原点を表す第1の原点データと上記変化幅を表す変化幅データとに基づいて上記第2のキャラクタパターンの原点を表す第2の原点データを求め」と記載される、第1の原点データと変化幅データとに基づいて第2の原点データの求め方とが、甲第1号証には記載されていない点で相違する。上記具体的手順の記載は、甲第3号証及び甲第4号証にも記載されていない。
しかも、本件特許発明は、甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証から考えられない、
入力されたキヤラクタに対して必要に応じて任意に複数のキヤラクタパターンを重複することにより、多重文字を形成することができ、かくして、デザイナが簡易な操作をするだけで容易にデザイン感覚に適合して版下をデザインし得るという明細書記載の効果を有するものである。
(b)本件特許発明と甲第2号証と比較すると、甲第2号証には、線の太さ(2ポイントの太さ)を指定し、その太さで文字(”ABC”)のアウトラインに沿って線を描画する技術が記載されているが、多重キャラクタパターンを作成するための具体的手順、特に、「上記第1のキャラクタパターンの幅を表す第1のキャラク夕幅とこの第1のキャラクタ幅から上記変化幅を減算し又は加算して得られる第2のキャラクタ幅との幅比率を求め」と記載される、幅比率の求め方と、「上記第1のキャラクタパターンの原点を表す第1の原点データと上記変化幅を表す変化幅データとに基づいて上記第2のキャラクタパターンの原点を表す第2の原点データを求め」と記載される、第1の原点データと変化幅データとに基づいて第2の原点データの求め方とが、甲第2号証には記載されていない点で相違する。上記具体的手順の記載は、甲第3号証及び甲第4号証にも記載されていない。
しかも、本件特許発明は、甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証から考えられない、
入力されたキヤラクタに対して必要に応じて任意に複数のキヤラクタパターンを重複することにより、多重文字を形成することができ、かくして、デザイナが簡易な操作をするだけで容易にデザイン感覚に適合して版下をデザインし得るという明細書記載の効果を有するものである。
(c)したがって、本件特許発明が、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
5.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許発明の特許を無効とすることはできない。審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-07-27 
結審通知日 2000-08-08 
審決日 2000-08-24 
出願番号 特願昭62-6587
審決分類 P 1 112・ 121- Y (G06F)
P 1 112・ 531- Y (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高松 猛大野 克人  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 関川 正志
東 次男
登録日 1997-04-18 
登録番号 特許第2627886号(P2627886)
発明の名称 版下デザインデータ作成方法  
代理人 谷 義一  
代理人 橋本 傳一  
代理人 阿部 和夫  
代理人 田辺 恵基  
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