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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1031282
審判番号 審判1999-1597  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1990-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-02-05 
確定日 2001-01-26 
事件の表示 平成 1年特許願第132379号「画像入出力装置を備えたスチルビデオ装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 2年12月25日出願公開、特開平 2-309874]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I【手続きの経緯、本願発明の要旨】
本願は、平成1年5月25日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成12年7月24日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「(1)アナログ画像信号を記録媒体に記録し、この記録媒体に記録したアナログ画像信号を再生する記録再生装置を備えたスチルビデオ装置において、
上記記録再生装置が再生したアナログ画像信号を所定のデジタル画像信号に変換するA/D変換器と、
該A/D変換器が変換したデジタル画像信号を外部画像処理装置で処理可能な画像データに変換するインターフェースラインドライバと、
上記外部画像処理装置に直接接続することで上記外部画像処理装置との間で画像データを入出力可能とする、上記インターフェースラインドライバに接続されたインターフェースコネクタとを内蔵し、
上記スチルビデオ装置はさらに、
上記外部画像処理装置から上記インターフェースコネクタおよび上記インターフェースラインドライバを介して入力した画像データをデジタル画像信号に変換するデジタル信号処理手段と、
該デジタル信号処理手段により変換されたデジタル画像信号をアナログ画像信号に変換するD/A変換器とを内蔵し、
該D/A変換器が変換したアナログ画像信号を上記記録再生装置が上記記録媒体に記録すること、を特徴とする画像入出力装置を備えたスチルビデオ装置。」
II【引用例】
これに対して、当審において平成12年5月12日付けで通知した拒絶の理由で引用した特開昭61-196466号公報(以下「引用例」という。)には、「映像信号記録再生装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次のとおりの記載がある。
1.「(1)画像情報からなる映像信号を記録媒体へ記録し再生する映像信号記録再生装置であって、
前記記録媒体に記録された映像信号または新たな画像入力信号から1画面分の画像情報を選択または選択的に抽出する選択・抽出手段と、
前記選択・抽出手段により選択・抽出された1画面分の画像情報を記憶し得る記憶手段とを含むものにおいて、
当該映像信号記録再生装置の外部に設けられた外部装置との間で制御信号および画像情報の通信を行う通信手段と、
前記通信手段を通じて前記外部装置から送られてきた画像転送要求制御信号に応じて、その後に外部装置から転送されてくる画像情報を前記記憶手段に書込むように制御するメモリアクセス制御手段とを備えることを特徴とする、映像信号記録再生装置。
(2)前記外部装置はパーソナルコンピュータである、特許請求の範囲第1項記載の映像信号記録再生装置。」(特許請求の範囲)
2.「この発明は映像信号記録再生装置に関し、特に、記録媒体からの再生映像信号または外部からの映像入力信号を記憶し得るメモリを有し、このメモリと外部装置との間で通信を行なう通信機能を有することにより、パーソナルコンピュータ等の外部装置から画像情報を入力し得て記憶し得るような映像信号記録再生装置に関する。」
(公報第1頁右下欄第7行〜第13行)
3.「外部映像入力端子11には、外部から映像信号が入力される。入力された映像信号は記録系ブロック10に与えられる。この記録系ブロック10は輝度信号通過フィルタ12と、色信号通過フィルタ13と、低域変換器14と、切換スイッチ151、152からなる記録源切換スイッチ15と、FM変調器16と、加算回路17とを含んで構成される。」(公報第2頁左上欄第4行〜第11行)
4.「A/D変換器51は切換スイッチ58で選択された記憶すべき輝度信号をA/D変換するものであり、A/D変換器52は切換スイッチ59によって選択された記憶すべき低域変換色信号をA/D変換するものである。輝度信号メモリ53はA/D変換器51によってディジタル化された輝度信号を記憶するものであり、色信号メモリ54はA/D変換器52によってディジタル化された低域変換色信号を記憶するものである。D/A変換器55は輝度信号メモリ53から読出されたディジタル信号またはA/D変換器51によってディジタル化された輝度信号をD/A変換するものである。D/A変換器56は色信号メモリ54から読出されたディジタル信号またはA/D変換器52によってディジタル化された色信号をD/A変換するものである。なお、映像信号メモリブロック50の記憶動作および読出動作は記憶指令スイッチ61からの指令に応じて制御回路62によって制御される。」(公報第3頁左上欄第9行〜右上欄第7行)
5.「さらに、上述のFM復調器36の出力と低域色信号通過フィルタ35の各出力信号はメモリ源切換スイッチ57にも与えられる。このメモリ源切換スイッチ57に含まれる切換スイッチ58、59はそれぞれ接点J側に切換えられている。したがって、FM復調器36の出力信号と低域色信号通過フィルタ35のそれぞれの出力信号は映像信号メモリブロック50に入力される。すなわち、FM復調された輝度信号はA/D変換器51によってディジタル化された後、再びD /A変換器55によってアナログ信号に変換される。また、低域色信号はA/D変換器52によってディジタル化された後、再びD /A変換器56によってアナログ信号に変換される。D /A変換器55の出力は切換スイッチ371に入力され、D /A変換器56の出力は切換スイッチ372に入力される。この状態において、再生源切換スイッチ37に含まれる切換スイッチ371、372をそれぞれ接点e側に切換えると、外部モニタディスプレイには、A/D変換器51、52およびD /A変換器55、56を通過したCODECと呼ばれる再生画像が表示される。」(公報第3頁右下欄第15行〜第4頁左上欄第16行)
6.「制御回路62は輝度信号メモリ53および色信号メモリ54にそれぞれ記憶された1フィールド分の映像信号を練返し読出し続けるため、外部のモニタディスプレイには、輝度信号メモリ53および色信号メモリ54に取込んだ1枚のスチール画像が表示される。すなわち、スチル再生が行われることになる。以下、このモードをメモリスチルと称する。また、この操作を間欠的に行うことによりスロー再生を行なう。」(公報第4頁左下欄第1行〜第9行)
7.「次に、メモリアクセス制御回路73は、ステップSP4において、制御回路62からのメモリアクセスの競合を制御しながらポインタが示すアドレスのデータをメモリからフェッチ(fetch)してくる。次に、ステップSP5において、このデータをRS-232Cインターフェイス回路72に送る。RS-232Cインターフェイス回路72は、このデータをパラレル-シリアル変換し、スタートビット、ストップビット、パリティビットの付加などによりフォーマットを整え、RS-232Cインターフェイスコネクタ71を介して外部装置に送る。」(公報第4頁右下欄第15行〜第5頁左上欄第6行)
8.「次に、第1図および第4図を参照して、この発明の一実施例の具体的な動作について説明する。前述の第2図で説明したように、この第1図に示すVTRにおいても、磁気テープ24からの再生映像信号あるいは外部映像信号の1フィールド分を輝度信号メモリ53および色信号メモリ54に記憶させることができる。
次に、映像信号メモリブロック50内の画像情報を外部装置に送る手順、動作について説明する。まず、RS-232Cインターフェイスを有する外部装置、たとえばパーソナルコンピュータにおいて、VTR側から外部装置への画像情報の転送要求を発生させる。VTR側のメモリアクセス制御回路74は、第4図に示すステップSP1において、外部からの転送要求の有無を絶えず判別している。そして、転送要求があれば、ステップSP2に進むが、ここからの処理は既に第3図で説明したステップSP2以後の処理と同じであるのでその説明を省略する。なお、外部装置側からは、1フィールド分の画像の転送を要求してもよいし、その一部分の転送を要求してもよい。
ところで、外部装置としてパーソナルコンピュータを用いた場合には、上述のようにしてVTRから取込んだ画像データをパーソナルコンピュータ側で利用可能な形態に変換した後、豊富なグラフィックス機能を用いてたとえば2値階調画像にしたり、あるいはモザイク画像にしたり、あるいは特定調度の部分に特定の色彩を付けるなどしたり、さらにはタイトル画像を作成することができる。」(公報第5頁右下欄第8行〜第6頁左上欄第18行)
9.「次に、RS-232Cインターフェイス回路72はRS-232Cインターフェイスコネクタ71から入力されてきたシリアルデータをスタートビット、ストップビット、パリティビットのチェックの後、映像信号メモリブロック50に適合するパラレルデータに変換してメモリアクセス制御回路74に送る。これは、RS-232Cインターフェイス回路72のハードウェア動作で行なう。次に、メモリアクセス制御回路73は、ステップSP11において、RS-232Cインターフェイス回路72からのデータを受取る。」(公報第6頁右上欄第16行〜同頁左下欄第6行)
10.「外部装置からは、外部装置への転送要求あるいはVTRへの転送要求を意味するところの予め定められた制御コードをVTR側へ送った後、先頭メモリアドレス、転送データ数を、次に画像データをこの順にデータフォーマットを整え、RS-232Cインターフェイスを介してVTR側に送ればよい。
以上のようにしてVTR側の映像信号メモリブロック50に送られた静止画像情報(たとえばタイトル画像情報)は、既に先行技術例の説明で述べたとおり、今度はVTR側の操作により、記録源切換スイッチ15を接点b側に切換えることにより、磁気テープ24上の所望の箇所に所望の時間だけ記録することができる。したがって、磁気テープ24にはタイトル画像等が挿入されることになる。」(公報第6頁左下欄第20行〜右下欄第15行)
11.「なお、上述の実施例では、外部装置とのディジタル信号の通信手段にRS-232Cインターフェイス回路72を用いたが、他の形式のインターフェイスたとえばIEEE-488インターフェイス回路などを用いてもよい。
また、上述の実施例では記録媒体として磁気テープの場合を説明したが、記録媒体は磁気テープに限定されることはなく、たとえば記録再生可能な円盤状の記録媒体を用いてもよい。」(公報第7頁左上欄第3行〜第11行)
III【対比】
そこで、本願発明と引用例に記載の発明とを対比すると次のことが認められる。
(1)引用例には、外部入力端子11に入力された映像信号を磁気テープ24へ記録し再生する映像信号記録再生装置が記載されており(引用例の上記1.〜3.の記載参照)、また制御回路62は、輝度信号メモリ53および色信号メモリ54にそれぞれ記憶された1フィールド分の映像信号を繰返し読出し続け、1枚のスチール画像を表示すること、すなわちスチル再生を行うことが記載されている(引用例の上記6.の記載参照)。
それらの記載によると、引用例に記載のものも“アナログ画像信号を記録媒体に記録し、この記録媒体に記録したアナログ画像信号を再生する記録再生装置を備えたスチルビデオ装置”を対象としているといえ、その点では、本願発明と変わりがない。
(2)引用例には、FM復調された輝度信号、色信号はA/D変換器51、52によってディジタル化された後、輝度信号メモリ53、色信号メモリ54に記憶され、またD/A変換器55、56によってアナログ信号に変換されることが記載されており(引用例の上記4.5.の記載参照)、その「A/D変換器51、52」、「D/A変換器55、56」が、それぞれ本願発明の「A/D変換器」、「D/A変換器」に対応するものといえる。
(3)引用例には、メモリからのデータをインターフェース回路72に送り、インターフェース回路72は、このデータをパラレル-シリアル変換し、スタートビット、ストップビット、パリティビットの付加などによりフォーマットを整え、インターフェースコネクタ71を介してパーソナルコンピュータ等の外部装置に送ることが記載されており(引用例の上記7.8.11.の記載参照)、そこに記載の「インターフェース回路72」、「インターフェースコネクタ71」が、それぞれ本願発明の「インターフェースラインドライバ」、「インターフェースコネクタ」に対応するものといえ、引用例に記載のものも、本願発明でいう“該A/D変換器が変換したデジタル画像信号を画像データに変換するインターフェースラインドライバと、上記外部画像処理装置に直接接続することで上記外部画像処理装置との間で画像データを入出力可能とする、上記インターフェースラインドライバに接続されたインターフェースコネクタ”を有するものといえる。
(4)引用例には、インターフェース回路72は、パーソナルコンピュータ等の外部装置からインターフェースコネクタ71を介して入力されてきたシリアルデータをスタートビット、ストップビット、パリティビットのチェックの後、映像信号メモリブロック50に適合するパラレルデータに変換してメモリアクセス制御回路74に送り、メモリアクセス制御回路74は、このデータをメモリに書込むことが記載されている(引用例の上記9.〜11.の記載参照)。
それらの記載によると、引用例に記載のインターフェース回路は、外部装置へ出力する際にパラレル-シリアル変換するためのインターフェイス回路と兼用しているものか否かはともかくとして、パーソナルコンピュータ等の外部装置からインターフェースコネクタを介して入力されてきたシリアルデータを映像信号メモリブロックに適合するパラレルデータに変換するものであり、この変換処理は、画像データをデジタル的に処理してデジタル画像信号に変換するものといえるから、引用例に記載のものも本願発明でいう“上記外部画像処理装置から上記インターフェースコネクタを介して入力した画像データをデジタル画像信号に変換する手段”を有するものといえ、その点では本願発明のものと変わりがない。
(5)以上の(1)〜(4)の点を踏まえると、両者は、「アナログ画像信号を記録媒体に記録し、この記録媒体に記録したアナログ画像信号を再生する記録再生装置を備えたスチルビデオ装置において、
上記記録再生装置が再生したアナログ画像信号を所定のデジタル画像信号に変換するA/D変換器と、
該A/D変換器が変換したデジタル画像信号を画像データに変換するインターフェースラインドライバと、
上記外部画像処理装置に直接接続することで上記外部画像処理装置との間で画像データを入出力可能とする、上記インターフェースラインドライバに接続されたインターフェースコネクタとを内蔵し、
上記スチルビデオ装置はさらに、
上記外部画像処理装置から入力した画像データをデジタル画像信号に変換する手段と、
該手段により変換されたデジタル画像信号をアナログ画像信号に変換するD/A変換器とを内蔵し、
該D/A変換器が変換したアナログ画像信号を上記記録再生装置が上記記録媒体に記録すること、を特徴とする画像入出力装置を備えたスチルビデオ装置。」である点で一致し、次の点で一応相違する。
1.インターフェースラインドライバが、本願発明では、デジタル画像信号を「外部画像処理装置で処理可能な」画像データに変換するものであるのに対して、引用例には、インターフェイス回路が、メモリからのデータをパラレル-シリアル変換し、スタートビット、ストップビット、パリティビットの付加などによりフォーマットを整え、インターフェースコネクタを介して外部装置に送ることは記載されているが、そのインターフェイス回路が、外部装置に処理可能な画像データに変換することについては記載がない点(相違点1)。
2.画像データをデジタル画像信号に変換する手段が、本願発明では、上記外部画像処理装置から「上記インターフェースコネクタおよび上記インターフェースラインドライバを介して」入力した画像データをデジタル画像信号に変換する「デジタル信号処理手段」であるのに対して、引用例に記載のものは、パーソナルコンピュータ等の外部装置からインターフェースコネクタを介して入力されてきたシリアルデータを、映像信号メモリブロックに適合するパラレルデータに変換するインターフェース回路である点(相違点2)。
IV【当審の判断】
次に、上記各相違点について検討する。
(相違点1について)
A/D変換器からのディジタル画像信号を外部画像処理装置で処理可能な画像データに変換する画像インターフェイス技術は、例えば特開昭63-260355号公報にも示されているように普通に知られており、引用例に記載のインターフェース回路が、本願発明のようなデジタル画像信号を「外部画像処理装置で処理可能な」画像データに変換することは当業者が容易になし得ることといえる。
(相違点2について)
上記IIIの(4)でも述べたように、引用例には、インターフェース回路が、パーソナルコンピュータ等の外部装置からインターフェースコネクタを介して入力されてきたシリアルデータを、映像信号メモリブロックに適合するパラレルデータに変換することが記載されており、そのインターフェース回路は、画像データをデジタル的に処理してデジタル画像信号に変換するものといえるから、このものに、本願発明のような「デジタル信号処理手段」を備えさせる程度のことは当業者が容易になし得ることといえ、これに伴い、本願発明のように、「上記インターフェースコネクタおよび上記インターフェースラインドライバを介して」入力した画像データをデジタル画像信号に変換するようになすことも、本願発明が、インターフェースラインドライバおよびインターフェースコネクタを介して画像データを外部装置へ出力するためのインターフェースを備えることを勘案すると自然のことといえる。
そして、本願発明の効果についてみても格別顕著なものがあるとはいえない。
V【むすび】
したがって、本願発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
なお、他の請求項2に記載された発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-10-06 
結審通知日 2000-10-20 
審決日 2000-10-31 
出願番号 特願平1-132379
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田村 征一  
特許庁審判長 谷川 洋
特許庁審判官 小林 秀美
橋本 恵一
発明の名称 画像入出力装置を備えたスチルビデオ装置  
代理人 三浦 邦夫  

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