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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61M |
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管理番号 | 1031430 |
審判番号 | 審判1999-13856 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-05-07 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-08-25 |
確定日 | 2001-01-29 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第281440号「直腸カテーテル」拒絶査定に対する審判事件[平成 8年 5月 7日出願公開、特開平 8-112354]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯、本願発明 本願は、平成6年10月19日に出願されたものであり、本願発明は、平成11年9月20日付け手続補正書で補正された明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜2に記載されたとおりの次のものと認める。 「【請求項1】造影剤注入路と空気注入路と排泄路とを内部に分離して設けた柔軟で細長な筒状のカテーテル本体の先端に、造影剤と空気と排泄物とが通過する穴を開口した丸みのある先端キャップを固着したことを特徴とする直腸カテーテル。 【請求項2】長手方向へ同じ断面形状で連続するカテーテル本体を用いた請求項1記載の直腸カテーテル。」 2.引用例 これに対し、当審における、平成12年2月16日付けで通知した拒絶の理由に引用した実願平3-80328号(実開平5-21961号)のCD-ROM(以下「引用例」という。)には、カテーテルに関して、第1〜8図と共に以下の事項が記載されている。 (1)「直腸・膣内に主管を挿入して薬剤・空気の注入と排出を行うカテーテルにおいて、紙・合成紙・合成樹脂等の折曲し易い素材を用いて可撓性をもたせるように製作された主管内に、薬液注入パイプと空気注入パイプをその先端が主管の先端近くに来るように配し、薬液注入口及び空気注入口及び排出口を備えた分岐コネクタを該主管の後端に嵌着し、前記薬液注入口に前記薬液注入パイプを又前記空気注入口に前記空気注入パイプを夫々取付け、主管内の残存空間と前記排出口とを連通させ、分岐コネクタの外側各注入口・排出口夫々チューブを接続したことを特徴とするカテーテル。」(【実用新案登録請求の範囲】の【請求項1】)、 (2)「本考案のカテーテルは、その主管を腸・膣内に挿入し、薬液注入口及び空気注入口より主管内部に配されたパイプを通じて、腸・膣内に薬液・造影剤や空気を送入し、主管内部の残存空間を排出路として排出口より排泄物等を排泄するものである。 つまり、注入薬液・造影剤の送入路と排泄物の排出路が独立しているので、薬液等に排泄物が混入し腸・膣内に流戻することはなく衛生的である。」(第6頁段落【0006】)、 (3)「主管2の先端は外径を小さく且つ丸く加工してあり、患者への挿入をできるだけ容易なものとしている。又、管壁には排出用開口部3が対向して2ヶ所穿設してあり、排泄物の排出性を高めている。」(第7頁段落【0010】)、 (4)「主管2内には、薬液注入パイプ9及び空気注入パイプ10をその両先端部が主管2先端近くに来るよう配してある。」(第8頁段落【0012】)、 (5)「又、分岐コネクタ11の分岐管16は主管2の残存する内部空間と連通し、排泄物排出口17となる。即ち、薬液・空気は前記パイプ9,10で送入され、排泄物は主管2の残存する内部空間を排出路18として排出されるので、細菌等が再び腸内に流戻せず衛生的である。」(第8頁段落【0013】)。 3.対 比 上記本願請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)と引用例に記載された発明とを対比すると、引用例のi)「薬液注入パイプ9」、ii)「空気注入パイプ10」、iii)「排出路18」,iv)「主管2」は、本件発明1のi')「造影剤注入路」、ii')「空気注入路」、iii')「排泄路」、iv')「カテーテル本体」にそれぞれ相当し、また、引用例の主管2は「紙・合成紙・合成樹脂等の折曲し易い素材を用いて可撓性をもたせるように製作された」ところから「柔軟で細長な筒状」であるとともに、管壁の排出用開口部3は造影剤や空気が通過する「穴」と認められるので、両者は、 「造影剤注入路と空気注入路と排泄路とを設けた柔軟で細長な筒状のカテーテル本体に、造影剤と空気と排泄物とが通過する穴を開口した直腸カテーテル。」 である点で一致するものと認められる。 一方、両者は以下の点で相違する。 相違点: (イ)本願発明1が、造影剤注入路と空気注入路と排泄路とをカテーテル本体の内部に分離して設けたのに対し、引用例に記載された発明では、カテーテル本体内に、造影剤注入路と空気注入路を配して、残りのスペースを排泄路とした点。 (ロ)本願発明1が、カテーテル本体の先端に、造影剤と空気と排泄物とが通過する穴を開口した丸みのある先端キャップを固着したのに対し、引用例に記載された発明では、カテーテル本体の先端の外径を小さく且つ丸く加工し、管壁に該穴を穿設した点。 しかしながら、この相違点に関しては、前記通知の拒絶の理由に引用した特開昭59-95059号公報に記載されているように、内部の各通路を分離して設けた二重の管腔管14及び15を用いてカテーテル本体をなす事、及び当該二重の管腔管に、開口34を設けた頭部30(本願発明1の先端キャップに相当)を固着することが、ともに周知であり、当該技術を引用例に記載されたような、同様に内部に複数の通路を有し、先端部を丸い形状とした直腸カテーテルに適用して、本体内部を分離して各通路を設けるとともに、先端部に先端キャップを固着した構成とすることは当業者が容易に想到し得たものと認める。 また、これによって得られる効果も、当業者が予測できないような格別なものではない。 したがって、本願発明1は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 4.むすび 以上より、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-11-10 |
結審通知日 | 2000-11-21 |
審決日 | 2000-12-07 |
出願番号 | 特願平6-281440 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A61M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松永 謙一、大久保 好二、山中 真、中田 誠二郎 |
特許庁審判長 |
田中 秀夫 |
特許庁審判官 |
藤原 稲治郎 熊倉 強 |
発明の名称 | 直腸カテーテル |
代理人 | 戸島 省四郎 |