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審決分類 |
審判 補正却下不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) H04M |
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管理番号 | 1031510 |
審判番号 | 補正2000-50035 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-04-30 |
種別 | 補正却下不服の審決 |
審判請求日 | 2000-05-11 |
確定日 | 2001-02-19 |
事件の表示 | 平成 2年特許願第251193号「マルチメディア通信装置」において、平成12年3月31日付けでした手続補正に対してされた補正の却下の決定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原決定を取り消す。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は平成2年9月20日の出願であって、その後、平成11年4月26日付けで明細書を補正する手続補正がなされたが、この補正は、平成12年3月31日付けで決定をもって却下されたものである。 2.原決定の理由 原決定における却下の理由は、次のとおりである。 「「・・・該映像情報の伝送速度に合うように映像情報の符号化方法を変更する変更手段と、該変更手段による符号化方法の変更を受信側に通知する通知手段とを・・・」という補正を行っている。 しかしながら、願書に最初に添付した明細書又は図面には、そのような記載はなく、かつ、同明細書又は図面の記載からみて自明なこととも認められない。 したがって、この補正は、明細書の要旨を変更するものと認められ、特許法第53条第1項の規定により、上記結論のとおり決定する。」 3.補正却下の当否に対する判断 そこで、まず、この補正却下された事項に関係した本願の出願当初の明細書記載の事項を摘記する。 (1)本願の出願当初の明細書の第13頁第1〜14行には、「第1図のビデオ符号化復号化部10の内部・・・101はビデオインタフェース部9より入力された映像信号をどの映像信号コーデックに入力するか選択する送信コーデック選択スイッチである。102はCCITT勧告草案H.261に準拠した動画映像の符号化復号化制御を行うH.261映像コーデック、103はJPEGに準拠した静止画映像の符号化復号化制御を行うJPEG映像コーデック、104は独自モードにより簡易動画映像の符号化復号化制御を行う独自モード映像コーデックである。105は多重分離化部15への出力映像信号がどの映像コーデックよりなされるかを選択切り替えする送信コーデック選択スイッチである。」と記載され、これに関して、第1,2図が示されている。 (2)本願の出願当初の明細書の第16頁第18行〜第17頁第13行には、「ステップ104に進み・・・伝送速度と予め規定しておいた規定値Xとを比較する・・・規定値Xにより映像に割当可能な伝送速度が低いときはステップ105に進む・・・上記例では割当可能な伝送速度はXより低くYよりは高い値なので、結果として独自モード映像コーデックによる簡易動画情報を利用した映像情報送信を選択することに決定される。このときステップS106に進み、独自モード映像コーデック104(第2図参照)に伝送速度32Kbpsにて動作を開始すべく起動をかける。」と、また第19頁第6〜19行には、「映像情報への割当可能速度は16Kbpsとなる。このときは上記伝送速度は、規定値X・Yより低い値となるため、静止画による映像情報送信が選択されるため、ステップS108へ進む。・・・次のステップS109に進み・・・新モードによる送信を開始する。」と記載されている。また、これらに関連して、第6図が示されている。 (3)本願の出願当初の明細書の第17頁第13〜14行には、「次にステップS107に進み上記結果に基づくBASコマンドの送信・・・各メディアごとの新モードによる送信を開始する。」、第19頁第14〜19行には、「ステップS109に進み、上記ステップS107と同様にして、データ14.4Kpbsと静止画16KbpsをH.221フレームに割当るためのBASコマンド及び音声32KbpsモードとするBASコマンドの送信と共に各メディアの新モードによる送信を開始する。」と記載され、第6図にそのフローが示され、そのS107、S109には「モード切換要求に応じたBASコマンド送信と新モードに応じた各メディア送信の開始。」と記載されている。 そこで、これらの記載をもとに検討する。 上記(2)記載の事項によれば、映像情報の伝送速度に合うように、各映像コーデックを用いる旨記載されており、上記(1)記載の事項によれば、その変更のために選択スイッチ101、選択スイッチ105を備えたビデオ符号化復号化部10が示されているから、「該映像情報の伝送速度に合うように映像情報の符号化方法を変更する変更手段」は当初明細書に明らかに開示されている。 一方、上記(3)記載の事項、および、新モードによる送信を開始するために、事前に、符号化方法の変更を受信側に通知しなくてはならないことは技術的に明らかであるから、変更手段による符号化方法の変更を受信側に通知する通知手段は、当初明細書に、実質的に記載されているものといえる。 してみれば、「・・・該映像情報の伝送速度に合うように映像情報の符号化方法を変更する変更手段と、該変更手段による符号化方法の変更を受信側に通知する通知手段とを・・・」という構成は、出願当初の明細書及び図面の記載からみて自明の技術事項にすぎない。 4.むすび したがって、これを却下すべきものとした原決定は妥当なものではない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2001-01-05 |
出願番号 | 特願平2-251193 |
審決分類 |
P
1
7・
56-
W
(H04M)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 大塚 良平、梶尾 誠哉 |
特許庁審判長 |
武井 袈裟彦 |
特許庁審判官 |
近藤 聡 山本 春樹 |
発明の名称 | マルチメディア通信装置 |
代理人 | 渡部 敏彦 |