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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A01C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A01C
管理番号 1031785
異議申立番号 異議2000-70499  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-11-04 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-02-03 
確定日 2000-10-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2933045号「歩行型農作業機」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2933045号の特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2933045号に係る発明についての出願は、昭和57年6月12日に特許出願した特願昭57-101093号(以下、「原々出願」という。)の一部を平成4年7月23日に新たな特許出願とした特願平4-196661号(以下、「原出願」という。)の一部を平成8年12月27日にさらに新たな特許出願とし、平成11年5月28日にその発明についての設定登録がなされた後、その特許について、石川島芝浦機械株式会社、ヤンマー農機株式会社より特許異議の申立てがなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(2-1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は以下のとおりである。
(a)特許明細書の【特許請求の範囲】「1.左右一対の非駆動の車輪15a,15aを機体の前側に備えるとともに左右一対の駆動回転される車輪15,15を機体の後側に備え、ハンドル25を後側の車輪15,15の車軸位置より後側に設け、左右の車輪15a,15a,15,15の間の畝上面に作業を行なう作業部を設けた歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制してアクチュエータ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備え、後側の車輪15,15をその車軸位置より前側に設けた回動支点回りに回動して上下動する構成としたことを特徴とする歩行型農作業機。」の記載を、
「1.左右一対の非駆動の車輪15a,15aを機体の前側に備えるとともに左右一対の駆動回転される車輪15,15を機体の後側に備え、ハンドル25を後側の車輪15,15の車軸位置より後側に設け、左右の車輪15a,15a,15,15の間の畝上面に作業を行なう作業部を設けた歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備え、後側の車輪15,15をその車軸位置より前側に設けた回動支点回りに回動して上下動する構成としたことを特徴とする歩行型農作業機。」と訂正する。
(b)特許明細書の段落【0002】の「【従来の技術】従来の・・・歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサーの畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータが作動して該センサーの接地面と機体との距離を・・・行なえるものであった。」の記載を、
「【従来の技術】従来の・・・歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサの畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダが作動して該センサの接地面と機体との距離を・・・行なえるものであった。」と訂正する。
(c)特許明細書の段落【0006】の「【問題点を解決するための手段】この発明は、・・・歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制してアクチュエータ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備え、・・・としたことを特徴とする歩行型農作業機とした。」を、
「【問題点を解決するための手段】この発明は、・・・歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備え、・・・とした。」と訂正する。
(d)特許明細書の段落【0007】の「【発明の作用及び効果】この発明の歩行型農作業機は、・・・この場合、畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を・・・できる。」の記載を、
「【発明の作用及び効果】この発明の歩行型農作業機は、・・・この場合、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を・・・できる。」と訂正する。
(e)特許明細書の段落【0008】の「ところで、上記のようにセンサーが・・・がある。」を、
「ところで、上記のようにセンサが・・・がある。」と訂正する。
(f)特許明細書の段落【0009】の「即ち、圃場端に至って畝がなくなると、センサー23の接地面が・・・なるのである。」を、
「即ち、圃場端に至って畝がなくなると、センサ23の接地面が・・・なるのである。」と訂正する。
(g)特許明細書の段落【0010】の「しかし、この発明の歩行型農作業機は、畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制してアクチュエータ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えているので、作業時に、一定の作業深さを維持するよう前後の車輪15a,15a,15,15が自動的に上下動するものとしながらも、旋回時には、操作具26の人為操作によって、センサー23の接地面が畝上面から畝のない地面に移行したとき急に前後の車輪15a,15a,15,15が上昇動して機体が下降するのを規制して、アクチュエータ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させて機体を上昇させられるので、・・・ものとなる。」を、
「しかし、この発明の歩行型農作業機は、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えているので、作業時に、一定の作業深さを維持するよう前後の車輪15a,15a,15,15が自動的に上下動するものとしながらも、旋回時には、操作具26の人為操作によって、センサ23の接地面が畝上面から畝のない地面に移行したとき急に前後の車輪15a,15a,15,15が上昇動して機体が下降するのを規制して、昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させて機体を上昇させられるので、・・・ものとなる。」と訂正する。
(h)特許明細書の段落【0018】の「斯くして、・・・したがって、この苗移植機は、畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いてセンサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制してアクチュエータ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えものである。」を、
「斯くして、・・・したがって、この苗移植機は、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いてセンサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えものである。」と訂正する。
(i)特許明細書の段落【0032】の「従って、・・・しかも、畝上面に作業する時には、畝を跨いで走行するが、この場合、畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を・・・できる。」を、
「従って、・・・しかも、畝上面に作業する時には、畝を跨いで走行するが、この場合、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を・・・できる。」と訂正する。
(j)特許明細書の段落【0033】の「ところで、上記のようにセンサーが・・・問題がある。」を、
「ところで、上記のようにセンサが・・・問題がある。」と訂正する。
(k)特許明細書の段落【0034】の「即ち、圃場端に至って畝がなくなると、センサー23の接地面が・・・のである。」を、
「即ち、圃場端に至って畝がなくなると、センサ23の接地面が・・・のである。」と訂正する。
(l)特許明細書の段落【0035】の「しかし、この発明の歩行型農作業機は、畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制してアクチュエータ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えているので、・・・旋回時には、操作具26の人為操作によって、センサー23の接地面が畝上面から畝のない地面に移行したとき急に前後の車輪15a,15a,15,15が上昇動して機体が下降するのを規制して、アクチュエータ18の作動により・・・となる。」を、
「しかし、この発明の歩行型農作業機は、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えているので、作業時に、一定の作業深さを維持するよう前後の車輪15a,15a,15,15が自動的に上下動するものとしながらも、旋回時には、操作具26の人為操作によって、センサ23の接地面が畝上面から畝のない地面に移行したとき急に前後の車輪15a,15a,15,15が上昇動して機体が下降するのを規制して、昇降シリンダ18の作動により・・・となる。」と訂正する。
(2-2)訂正の目的の適否、拡張・変更の存否
上記(2-1)(a)の訂正については、訂正前の特許請求の範囲の第1項における「アクチュエータ18」、「センサー」を、「昇降シリンダ18」、「センサ」とするものである。 願書に添付した明細書の発明の詳細な説明には、前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる「昇降シリンダ18」が記載されており、「昇降シリンダ18」は、「アクチュエータ18」の下位概念であるから、第1項中の「アクチュエータ18」を「昇降シリンダ18」とする訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、新規事項を追加するものでなく、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。また、「センサー」を「センサ」とする訂正は、第1項、発明の詳細な説明において「センサー」と「センサ」が混在しているものを「センサ」に統一するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項を追加するものでなく、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
上記(2-1)(b)ないし(l)の訂正は、(2-1)(a)の訂正に整合させるために発明の詳細な説明を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項を追加するものでなく、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2-3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下、「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議申立てについて
(3-1)本件発明
特許第2933045号の発明の要旨(以下、「本件発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、訂正明細書の特許請求の範囲の第1項に記載されたとおりのものである(「(2-1)訂正の内容」参照。)。
(3-2)申立ての概要
申立人石川島芝浦機械株式会社は、本件出願の明細書又は図面が、原々出願の当初明細書又は図面に記載された事項の範囲内でないものを含むから、本件出願は適法な分割出願ではなく、その出願日は遡及せず、本件出願の出願日は原出願の出願日である平成4年7月23日であるとし、証拠として甲第1号証(特開昭58-216609号(原々出願)公報)、甲第2号証(特公平2-41284号公報)を提出し、本件発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである旨主張している。
また、申立人ヤンマー農機株式会社は、本件出願の明細書又は図面が、原々出願の当初明細書又は図面に記載された事項の範囲内でないものを含むから、本件出願は適法な分割出願ではなく、その出願日は遡及せず、本件出願の出願日は原出願の出願日である平成4年7月23日であるとし、証拠として甲第1号証(特開昭58-216609号(原々出願)公報)、甲第2号証(特開昭61-104712号公報)を提出し、本件発明の特許は、特許法第29条第1項第3号または第2項の規定に違反してなされたものであるから、取り消すべき旨主張している。
(3-3)申立人石川島芝浦機械株式会社の申立てについて
(3-3-1)出願日の認定について
申立人石川島芝浦機械株式会社は、訂正前の発明における以下の構成が、原々出願の当初明細書又は図面に記載された事項の範囲内でないものであると主張している。
(a)「左右一対の非駆動の車輪15a,15aを機体の前側に備えるとともに左右一対の駆動回転される車輪15,15を機体の後側に備え、」、
(b)「畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備える」、
(c)「操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制してアクチュエータ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備え、」
しかし、上記(a)については、原々出願の第1図において、車輪15の前方で車輪15の接地面に接して描かれた円状体が、機体前側から前下方に延びた杆状体により機体に支持されており、第1図が苗移植機の側面図であることからも該円状体が前側の左右車輪であり、杆状体により機体に支持されて非駆動であることは明らかである。
上記(b)については、原々出願の当初明細書の以下の記載「畝(22)の植付面を摺接できるようにミッションケース(1)へ上下揺動可能に枢着しているセンサ(23)とミッションケース(1)に弁体を枢着している切替弁(24)のスプール(24a)とを互いに連結し」(第6頁第8〜12行)、「昇降操作レバー(26)とこのスプール(24a)とを操作ワイヤ(27)にて連結し、昇降操作レバー(26)を手で操作すればスプール(24a)が出入動作して昇降シリンダ(18)に図示外のポンプから圧力油が供給されてピストン(18a)が突出し、これによって駆動ケース(16)(16)の下部が下動回動し、或いは、昇降シリンダ(18)から圧力油が排出されて自重によって駆動ケース(16)(16)が上動回動して、苗移植機が上昇し又は下降する」(第6頁第13行〜第7頁第1行)、「操作レバー(26)の操作と共にセンサ(23)が所定の位置まで回動する事が許される」(第7頁第1〜3行)から、原々出願に、苗の植付面に摺接するセンサ23に連結するスプール24aの出入動作により駆動ケース16,16が上下動回動して、苗移植機が上昇下降制御されることが記載されていることは明らかである。さらに、原々出願の第1図において、駆動ケース16,16を駆動する腕20,20と前側の車輪の杆状体とを連結する細杆状体が設けられていることが認められ、腕20,20が回動可能であることから、前記細杆状体および杆状体が腕20,20に従動し、前側の車輪が上下動するものであることは明らかである。
上記(c)については、「上記(b)については、〜」に摘記した原々出願の当初明細書の記載からみて、センサ23が低くなった植付面に下動し、駆動ケース16が上動し、苗植付機が下降する場合に、センサ23の動きに関わらず昇降操作レバー27を手で操作することにより、昇降レバー26と操作ワイヤ27で連結されたスプール24aを操作して、駆動ケースを下動し、苗植付機を上動させることが可能であることが明らかである。すなわち、昇降レバー26の人為的操作に基いて、センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動が規制されることとなる。
したがって、上記(a)ないし(c)の構成は、原々出願の当初明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであり、本件出願は適法な分割出願であり、その出願日は原々出願の出願日に遡及する。
(3-3-2)甲号各証記載の発明
申立人石川島芝浦機械株式会社の提出した甲第1号証および甲第2号証は、「(3-3-1)出願日の認定について」に記載した理由により、本件出願日より後に公知となったものであり、本件出願前に頒布された刊行物ではない。したがって、本件発明は、その出願前に頒布された刊行物に基いて当業者が容易に発明をすることができたとは認められず、本件特許が特許法第29条第2項の規定に違反してなされたということはできない。よって、申立人の主張は理由がない。
(3-4)申立人ヤンマー農機株式会社の申立てについて
(3-4-1)出願日の認定について
申立人ヤンマー農機株式会社は、訂正前の発明における構成が、「(3-3-1)出願日の認定について」に記載した(a)、(b)について原々出願の当初明細書又は図面に記載された事項の範囲内でないものであると主張している。
しかし、上記(a)、(b)の構成については、「(3-3-1)出願日の認定について」に記載した理由により、原々出願の当初明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであり、本件出願は適法な分割出願であり、その出願日は原々出願の出願日に遡及する。
(3-4-2)甲号各証記載の発明
申立人ヤンマー農機株式会社の提出した甲第1号証および甲第2号証は、「(3-4-1)出願日の認定について」に記載した理由により、本件出願日より後に公知となったものであり、本件出願前に頒布された刊行物ではない。したがって、本件発明は、その出願前に頒布された刊行物に記載された発明ではなく、出願前に頒布された刊行物に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもないので、申立人の主張は理由がない。
よって、本件特許が特許法第29条第1項3号または第2項の規定に違反してなされたということはできない。
6.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成六年法律第百十六号)付則第十4条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成七年政令第二百五号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
歩行型農作業機
(57)【特許請求の範囲】
1.左右一対の非駆動の車輪15a,15aを機体の前側に備えるとともに左右一対の駆動回転される車輪15,15を機体の後側に備え、ハンドル25を後側の車輪15,15の車軸位置より後側に設け、左右の車輪15a,15a,15,15の問の畝上面に作業を行なう作業部を設けた歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備え、後側の車輪15,15をその車軸位置より前側に設けた回動支点回りに回動して上下動する構成としたことを特徴とする歩行型農作業機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、四輪車体の歩行型農作業機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の四輪車体の歩行型農作業機は、特開昭57-65113号公報に示されるように、左右一対の非駆動の車輪と左右一対の駆動回転される車輪を備え、ハンドルを機体の後部に設け、左右の車輪の間の畝上面に苗植作業を行なう苗植作業部を設けた歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサの畝上面位置検出動作に基いてシリンダが作動して該センサの接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪が上下動するので、左右の車輪の間の畝上面に対する作業部の作業が一定の作業深さを維持するように自動的に動作するものとなって、良好に作業が行なえるものであった。
【0003】
なお、この従来機は、左右一対の駆動回転される車輪を機体前側に備え、左右一対の非駆動の車輪を機体後側に備えた構成のものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】
上記のような四輪車体の歩行型農作業機は、枕地等で旋回を行うとき、四輪が接地するため小回りしにくい問題があった。なお、旋同時に、機体後側の左右一対の非駆動車輪を浮上させ機体前側の左右一対の駆動車輪のみが接地する二輪接地状態で旋回すれば小回りできるが、操縦者がハンドルを上昇させながらの旋回となるので、操縦がしにくいうえ腕が疲労しやすくなる問題がある。
【0005】
また、逆に、操縦者がハンドルを下降させて、機体前側の左右一対の駆動車輪を浮上させ機体後側の左右一対の非駆動車輪のみが接地する二輪接地状態で旋回しても小回りできる。この場合、操縦者の体重を載せてハンドル下降操作が行える点で、前記のようにハンドルを上昇させて旋回するよも楽にハンドル操作できる利点はある。しかし、駆動車輪が浮上し非駆動車輪のみが接地する状態となるため、旋回時の機体の推進に駆動がかからず、操縦者が機体を押しながらの旋回となって、労力を要する問題がある。なお、接地する非駆動車輪に動力を伝達すると、四輪駆動の車体構成となってしまい、機体構成が複雑になったり重くなったりする問題がある。
【0006】
【問題点を解決するための手段】
この発明は、上記の従来の技術の問題点を解決するために、左右一対の非駆動の車輪15a,15aを機体の前側に備えるとともに左右一対の駆動回転される車輪15,15を機体の後側に備え、ハンドル25を後側の車輪15,15の車軸位置より後側に設け、左右の車輪15a,15a,15,15の間の畝上面に作業を行なう作業部を設けた歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備え、後側の車輪15,15をその車軸位置より前側に設けた回動支点回りに回動して上下動する構成としたことを特徴とする歩行型農作業機とした。
【0007】
【発明の作用及び効果】
この発明の歩行型農作業機は、左右一対の非駆動の車輪15a,15aを機体の前側に備えるとともに左右一対の駆動回転される車輪15,15を機体の後側に備えた二輪駆動の車体構成としたので、四輪駆動の車体構成とするよりも機体を簡易且つ軽量に構成できる。しかも、畝上面に作業する時には、畝を跨いで走行するが、この場合、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15が上下動するので、畝上面に対する作業部の作業が一定の作業深さを維持するように自動的に動作するものとなって、良好に作業が行なえる。そして、圃場端で旋回する時には、後側の車輪の車軸位置より後側のハンドルを下降操作すると、機体前側の非駆動の車輪が上昇し機体後側の駆動回転される車輪のみが接地する二輪接地状態となり、機体の推進に駆動がかかった状態で容易に小回りできる。
【0008】
ところで、上記のようにセンサ23が畝上面位置を検出して自動的に車輪が上下動する構成にすると、圃場端で旋回する時には、後側の車輪の車軸位置より後側のハンドルを下降操作して機体前側の非駆動の車輪を上昇させて、機体後側の駆動回転される車輪のみが接地する二輪接地状態として旋回走行する場合に操縦しにくいものとなる問題がある。
【0009】
即ち、圃場端に至って畝がなくなると、センサ23の接地面が畝上面から畝のない地面に移行することになり、よって、機体は地面を基準とした高さになるよう下降していく。このようにして機体が低くなっていく状態でハンドルを下降操作して二輪接地状態で旋回するとなると、ハンドルの下降操作量が大きくなり、しかも、ハンドルをかなり低い位置に保持しながら機体を旋回させることになるので、旋回の操縦が非常にしにくいものとなるのである。
【0010】
しかし、この発明の歩行型農作業機は、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えているので、作業時に、一定の作業深さを維持するよう前後の車輪15a,15a,15,15が自動的に上下動するものとしながらも、旋回時には、操作具26の人為操作によって、センサ23の接地面が畝上面から畝のない地面に移行したとき急に前後の車輪15a,15a,15,15が上昇動して機体が下降するのを規制して、昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させて機体を上昇させられるので、二輪接地状態で旋回するためにハンドルを下降操作するときのハンドルの下降操作量も少なくてすみ、しかも、下降させたハンドルの高さが低くなりすぎることもなくなり、旋回の操縦がしやすいものとなる。
【0011】
そのうえ、この発明の歩行型農作業機は、後側の車輪15,15をその車軸位置より前側に設けた回動支点回りに回動して上下動する構成としているので、旋回時に、上記のごとく、操作具26の人為操作によって機体を上昇させると、これにともない、後側の車輪15,15はその車軸位置より前側に設けた回動支点回りに回動して下降し、後側の車輪15,15の接地位置が機体に対して相対的に前方側へ移動することになる。よって、後側の車輪15,15の車軸位置より前側の機体部分の重量に対抗してハンドルを下降操作する際の操作力が軽減されるものとなり、更に旋回の操縦がしやすいものとなっている。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づき詳述する。図1及び図2に於て、苗移植機の機体を構成しているミッションケース1の後部に支え台2を設け、支え台2の左右幅の約1/2にその左右幅が形成されて上下面が開放されている横送り枠3を、支え台2に固設している案内杆4にそのガイド部3aを嵌入し、支え台2に軸支されているリードカム5を回転すれば、横送り枠3に設けているリードメタル6とこのリードカム5の係合動作に伴って横送り枠3が左右横方向(図2の上下方向)に横移動することになる。
【0013】
そして、横送り枠3の前後方向(図2の左右方向)の長さの約1/2にその前後長さが形成されて、上下面が開放されている箱枠7を、横送り枠3の左右側部3b,3cに沿ってローラー8…に乗りながら前後移動できるようにして、この前後移動動作は、一方の左右側部3cに取付けている電磁ソレノイド9の作動子9aに係合片10を上下回動のみ自在に取付けて、箱枠7の左右一方の側部に固設している図4に例示する如き鋸刃ラック11にこの係合片10を係合させ、支え台2の左右側板2a,2bにマイクロスイッチの如き検知器SL,SRを取付け、図2に示す左方への横移動終端付近の位置に、又は図示は省略したが、右方への横移動終端付近の位置に夫々到達した横送り枠3の左右側部3b,又は3cによって検知器SLとSRの夫々の作動子が押動されてその常開接点を閉じれば、一定時間の後に電磁ソレノイド9が励磁されて例えば作動子9aが図2矢線A方向に動作して、箱枠7を同方向に鋸刃ラック11の1ピッチ分だけ後方へ移動させることになる。
【0014】
そして、箱枠7には格子状の仕切12a…のある苗箱12を略密嵌状態に内嵌しているので、上記1ピッチ分の後方移動は、仕切12aの前後方向1区画の長さに等しくしてあるので、支え台2の中心部付近にてその底板2cに設けてある落し孔2d(これは仕切12aに収納されている土付苗13の土部13aよりも少し大きく形成してある)に苗箱12の各仕切12aが逐次のぞむことになり、そして、検知器SL,SRの作動子が押動されないときは、電磁ソレノイド9が消励するので戻しばね14によって作動子9aが反矢線A方向に戻るとき、鋸刃ラック11を係合片10に滑動して戻るようにしている。
【0015】
又、後部に車輪15,15を軸支している左右の駆動ケース16,16を、ミッションケース1の左右に軸支されている走行駆動軸17,17を回動中心として上下回動自在に枢支する。一方、一端部を機体に取付けられている昇降シリン18を機体の走行方向の略中央部に略水平状に設け、更に、該昇降シリンダ18のピストン18aの後端部に釣合杆19の中心部に枢支し、該釣合杆19の左右端部には夫々前方に延設されているロッド21,21の後端部を枢支すると共に、該ロッド21,21の前端部は、下端部を前記駆動ケース16,16の上端部に固設した略く字状の腕20,20の上端部に枢支されている。
【0016】
又、前記昇降シリンダ18は機体に弁体を枢着されている切替弁24の切替動作によって図示外のポンプからの圧力油の給排動作によって作動するように構成されており、更に、切替弁24のスプール24aの先端部と畝22の植付面を摺接して上下動できるように機体に上端部を枢着されているセンサ23とを相互に連結し、該センサ23の上下動に基いて該スプール24aが切替弁24に出入動作を為して前記昇降シリンダ18に図示外のポンプから圧力油を給排できるように構成している。
【0017】
一方、左右のハンドル25,25の片方に設けている昇降操作レバー26と前記スプール24aとを操作ワイヤ27にて連結し、該昇降操作レバー26を手で操作することによっても、該スプール24aが切替弁24内に出入動作を為して該切替弁24の切替動作によって前記昇降シリンダ18に前記圧力油を給排することができるように構成されている。
【0018】
斯くして、前記昇降操作レバー26を手で操作すれば、前述せる如くスプール24aが出入動作を為し、前記昇降シリンダ18に圧力油が供給されてピストン18aが突出し、該ピストン18aの突出動作に基いて前記駆動ケース16,16の上端部に固設してある腕20,20が回動して駆動ケース16,16の下部が下方へ回動し、これによって車輪15,15が下方へ移動する。之によって機体は相対的に上昇した状態となる。又、前記スプール24aが反対方向に移動し、依って、前記昇降シリンダ18から圧力油が排出されて自重により駆動ケース16,16が上方へ回動し、之によって機体は相対的に下降した状態となる。そして、該操作レバー26の操作によって予め苗の移植面と機体との距離を一定に調整しておく。このとき、この操作レバー26の操作と共にセンサ23が所定の位置まで回動することが許されるので、苗移植機の上記上昇又は下降動作が行われて操作ワイヤ27が弛みなく略緊張状態となったときに、スプール24aは中立位置に戻ることになって圧力油の供給、又は排出が停止して苗移植機はそのときの高さに保持されることになる。したがって、この苗移植機は、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いてセンサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えものである。
【0019】
斯くして、苗の移植作業を行っているとき、前記センサ23の上下動に基いて該スプール24aが切替弁24に出入動作を為すのであるが、もし、苗の移植面に凹凸があり、該苗の移植面と機体との間の前記距離に変化が生じてきたときには、該センサ23の上下動作に基いて前述の昇降シリンダ18えの圧力油の給排が行われ、之によって前述せる如く、車輪15,15が上方へ移動し、又は下降し、そして、機体が相対的に下降又は上昇した状態となり、斯くして苗の移植面と機体との間隔を常に一定に維持するように構成されている。
【0020】
又、前記一対の車輪15,15の前方には一対の受動輪15a,15aが設けられており、該受動輪15a,15aは上端部を機体に枢支した取付杵15b,15bの下端部に取付けられており、更に、該取付杆15b,15bと前記腕20,20の略中心部とを連結杆15c,15cにて連結して、該受動輪15a,15aを前記車輪15,15の昇降動作に追随して同一高さに昇降動作を為すように構成されている。斯くして、前記センサ23の検出動作に基いて該車輪15,15及び受動輪15a,15aを上下動させて相対的に機体を下降又は上昇させ、苗の移植面と機体との距離を自動的に適正に維持できるようにしてある。
【0021】
更に、前記一対の車輪15,15は、上記の通り駆動車輪であって機体後側に左右一対備えたものであり、前記一対の受動輪15a,15aは、上記の通り非駆動車輪であって機体前側に左右一対備えたものである。しかも、図面に示されるように、エンジン56を駆動車輪15,15の車軸位置より前側に設け、また、ハンドル25を駆動車輪15,15の車軸位置より後側に設け、更に、左右一対の駆動車輪15,15を該駆動車輪15,15の車軸より前側に設けた回動支点回りに回動して上下動可能に設けた構成となっているのである。
【0022】
ゆえに、旋回時に、機体後側の駆動車輪15,15を下降動するとともにハンドル25を下降操作して、機体前側の左右一対の非駆動車輪15a,15aが上昇し機体後側の左右一対の駆動車輪15,15のみが接地する二輪接地状態として旋回することができ、しかも、ハンドル下降操作時の機体回動支点となる駆動車輪15,15の車軸より前側に設けた回動支点回りに駆動車輪15,15が回動して下降することになり、従って、機体後側の駆動車輪15,15は下降するととともに該車輪の接地位置が機体に対して前方側に移動することになる。
【0023】
そして、一方のハンドル25から延設しているホルダ28に苗押出装置29を設けているが、これはホルダ28に軸受筒30を固設して作動杆31を軸受筒30へ上下動自在に嵌合し、下端に押出頭部32aを有する苗押出杆32を作動杆31の受筒31aへその軸芯廻りの回動のみ自在に嵌合し、この苗押出杆32は押出頭部32aが落し孔21dの上方に位置することになって、図6のように押出位置付近にあるときは、土付苗13の葉茎部13bには押出頭部32a及び受筒31aの付近の基部32bと、この押出頭部32aとの問に形成されている中間部32cが共に当接しないような迂回形状に形成している。
【0024】
そして、軸受筒30の下端に固設している受板33にストッパ34,35を突設し、受板33へ回動自在に嵌合している苗押出杆32の上部32dには作動板36を回動自在に嵌合し、作動板36の回動先端部に設けているピン37と軸受筒30との間にばね38を張架し、受筒31aの上部にて苗押出杆32の基部32dに作動腕39を固設して、作動腕39に固設しているピン40,40にて作動板36を左右から挟むようにして作動板36と一体にこの作動腕39が回動できるようになっている。
【0025】
図9のように、ばね38が基部32dの一方の側にあるときには作動板36がストッパ35に当接する位置に保持され、この状態のとき、作動板36又は作動腕39の作動部39aを右廻りに押動すれば、作動板36、作動腕39と共に苗押出杆32が右廻りに回動してばね38が基部32dを越えて他方の側に移動することになり、図10のように作動板36、作動腕39、苗押出杆32が共に図9の位置から約90度だけ回動した位置となって、作動板36がストッパ34に当接して保持されることになる。
【0026】
そして、図3のように横送り枠3の左右側部3bと3cに夫々動作体41と42を固設して、同図のように苗箱12(これは同図では図示が省略されている)を収納している箱枠7の右下隅に落し孔21dと苗押出杆32が位置し、そしてリードカム5の回転に伴って横送り枠3が矢線B方向に仕切13aの1区画宛間歇的に横移動し、この間歌横移動毎に押出クランク57が後述の駆動機構によって揺動回動して苗押出杆32が図6のように、仕切12a内の土付苗13の土部13aの直上の待機位置と図示省略の押抜位置とに押出頭部32aが位置する間にわたって上下動して土付苗13を押抜くことになり、そしてこの待機位置においては図7に平面視を示したように、押出頭部32aが葉茎部13bに対して矢線Bの横移動方向前方に位置するように図9の如く、作動板36がストッパ35に当接して押出頭部32aが図6の形状に保持されるものであって、仕切12aに収納状態の葉茎部13bに対して土部13aの上面に接近した状態で常に押出頭部32aが反矢線B方向、即ち、苗箱12の横移動前方から接近できるようにする。
【0027】
そして図7のように、矢線B方向の横移動終端の仕切12aに押出頭部32aが到達したときには、動作体41が図9のように作動部39aに係合することになって作動腕39を同図の右廻りに回動させる為、押出頭部32aも葉茎部13bの廻りを約90度回動して、この回動後は図10の位置に苗押出杆32が保持されて押出頭部32aは平面視L形に位置変更されることになり、そして、苗押出杆32による苗押出動作が終った後に、前記検知器SLの作動に連動する電磁ソレノイド9の励磁動作と、これに伴う箱枠7の矢線A方向移動が行われることになり、図7のように苗箱12の次位横列の仕切12aにし形のまま押出頭部32aがのぞむことになる。そして、リードカム5の回転動作によって横送り枠3は反矢線B方向に横移動することになり、このときも押出頭部32aは苗箱12の横移動前方から接近することになる。
【0028】
そして図3のように、横送り枠3(即ち苗箱12)が反矢線B方向横移動終端に到達して押出頭部32aが同上終端の仕切12aの直上に臨んだときには、動作体42が図10のように作動板36に係合することになって作動板36を同図の左廻りに回動させる為、押出頭部32aも葉茎部13bの廻りを約90度回動して図9の位置に苗押出杆32が保持され、押出頭部32aは再び図6の形状に戻ることになり、そして苗押出杆32による苗押出動作が行われた後に、検知器SLの作動に連動して電磁ソレノイド9によって箱枠7が矢線A方向に移動して、押出頭部32aは図6の形状のまま次位横列の仕切12aにのぞむことになり、リードカム5によって横送り枠3は矢線B方向に横移動を開始するものである。
【0029】
そして、図11のように苗押出杆43の押出頭部43aは斜めの棒状であっても良く、又、図12のように3角形状の押出頭部44aであっても良いのであって、このように葉茎部13bの廻りにこれに接触することなく約90度回動して位置変更できる形状であれば良い。従って、図13のようにコ字状の押出頭部45aであっても良いが、このように葉茎部13bを3方から囲む形状のときには、上記横移動終端に到達したとき、その侭の姿勢の苗押出杆45にて苗押出を行った後に横送り枠3を少くとも仕切12aの1区画分だけ同方向に更に横移動の空送りして、この動作に連動して苗押出杆45の前記90度回動動作が行われるように構成して、同図のように匚字状に位置変更した後に横送り枠3を同図例のように矢線B方向へ横移動が開始されるようにこの横移動動作を変更する必要がある。
【0030】
そして図示の苗移植機に於ては、苗押出杆32によって押出されて落し孔21dから落下する土付苗13を、案内筒46によってその下方の植付機構47の植付筒48に案内し、閉止されている植付爪49,49にてこの土付苗13を保持し、ミッションケース1へその基部を枢支されている平行リンク50にて植付筒48が支架されて、クランク51の回転によってこの平行リンク50が下動して植付爪49,49が畝22に挿入される植付位置に到達したときには、開放杆52が開放ピン53に衝突するので、この開放杆52が支点ピン54を中心に上方へ回動してピン55,55の廻りに植付爪49,49が開くことになり、この開き動作によって植付爪49,49が畝22に植付孔を掘削すると共に、植付爪49,49から土付苗13をこの植付孔に放出して図示省略の覆土装置によって土部13aに覆土するように構成している。
【0031】
又、クランク51はエンジン56にて駆動される伝動機構を介して駆動されるものであって、ベルクランク機構58を介して苗押出杆32の押出クランク57を駆動するものである。勿論、植付機構は上述のもを掘削すると共に、苗受部から土付苗13をこの植付孔に放出する構造のもの等、種々のものを用いることができるほか、かかる植付機構を用いずに落し孔21dから畝22の植付孔へ直接に土付苗13を落下させる構造であっても良い。
【0032】
従って、上記苗移植機は、左右一対の非駆動の車輪15a,15aを機体の前側に備えるとともに左右一対の駆動回転される車輪15,15を機体の後側に備えた二輪駆動の車体構成としたので、四輪駆動の車体構成とするよりも機体を簡易且つ軽量に構成できる。しかも、畝上面に作業する時には、畝を跨いで走行するが、この場合、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15が上下動するので、畝上面に対する作業部の作業が一定の作業深さを維持するように自動的に動作するものとなって、良好に作業が行なえる。そして、圃場端で旋回する時には、後側の車輪の車軸位置より後側のハンドルを下降操作すると、機体前側の非駆動の車輪が上昇し機体後側の駆動回転される車輪のみが接地する二輪接地状態となり、機体の推進に駆動がかかった状態で容易に小回りできる。
【0033】
ところで、上記のようにセンサ23が畝上面位置を検出して自動的に車輪が上下動する構成にすると、圃場端で旋回する時には、後側の車輪の車軸位置より後側のハンドルを下降操作して機体前側の非駆動の車輪を上昇させて、機体後側の駆動回転される車輪のみが接地する二輪接地状態として旋回走行する場合に操縦しにくいものとなる問題がある。
【0034】
即ち、圃場端に至って畝がなくなると、センサ23の接地面が畝上面から畝のない地面に移行することになり、よって、機体は地面を基準とした高さになるよう下降していく。このようにして機体が低くなっていく状態でハンドルを下降操作して二輪接地状態で旋回するとなると、ハンドルの下降操作量が大きくなり、しかも、ハンドルをかなり低い位置に保持しながら機体を旋回させることになるので、旋回の操縦が非常にしにくいものとなるのである。
【0035】
しかし、この発明の歩行型農作業機は、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えているので、作業時に、一定の作業深さを維持するよう前後の車輪15a,15a,15,15が自動的に上下動するものとしながらも、旋回時には、操作具26の人為操作によって、センサ23の接地面が畝上面から畝のない地面に移行したとき急に前後の車輪15a,15a,15,15が上昇動して機体が下降するのを規制して、昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させて機体を上昇させられるので、二輪接地状態で旋回するためにハンドルを下降操作するときのハンドルの下降操作量も少なくてすみ、しかも、下降させたハンドルの高さが低くなりすぎることもなくなり、旋回の操縦がしやすいものとなる。
【0036】
そのうえ、この発明の歩行型農作業機は、後側の車輪15,15をその車軸位置より前側に設けた回動支点回りに回動して上下動する構成としているので、旋同時に、上記のごとく、操作具26の人為操作によって機体を上昇させると、これにともない、後側の車輪15,15はその車軸位置より前側に設けた回動支点回りに回動して下降し、後側の車輪15,15の接地位置が機体に対して相対的に前方側へ移動することになる。よって、後側の車輪15,15の車軸位置より前側の機体部分の重量に対抗してハンドルを下降操作する際の操作力が軽減されるものとなり、更に旋回の操縦がしやすいものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の苗移植機の側面図。
【図2】要部平面図。
【図3】苗箱の送り装置の斜視図。
【図4】図2におけるA-A線矢視図。
【図5】図2におけるB矢視図。
【図6】苗押出装置の側面図。
【図7】苗押出杆の実施例における押出手順を示す苗箱の要部平面図。
【図8】苗押出装置の斜視図。
【図9】苗押出頭部の回動位置を示す苗押出装置の平面図。
【図10】苗押出頭部の回動位置を示す苗押出装置の平面図。
【図11】苗押出杆の実施例における押出手順を示す苗箱の要部平面図。
【図12】苗押出杆の実施例における押出手順を示す苗箱の要部平面図。
【図13】苗押出杆の実施例における押出手順を示す苗箱の要部平面図。
【符号の説明】
15,15:駆動車輪
15a,15a:非駆動車輪
25:ハンドル
56:エンジン
 
訂正の要旨 (2-1)訂正の内容
(a)特許明細書の【特許請求の範囲】「1.左右一対の非駆動の車輪15a,15aを機体の前側に備えるとともに左右一対の駆動回転される車輪15,15を機体の後側に備え、ハンドル25を後側の車輪15,15の車軸位置より後側に設け、左右の車輪15a,15a,15,15の間の畝上面に作業を行なう作業部を設けた歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制してアクチュエータ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備え、後側の車輪15,15をその車軸位置より前側に設けた回動支点回りに回動して上下動する構成としたことを特徴とする歩行型農作業機。」の記載を、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、
「1.左右一対の非駆動の車輪15a,15aを機体の前側に備えるとともに左右一対の駆動回転される車輪15,15を機体の後側に備え、ハンドル25を後側の車輪15,15の車軸位置より後側に設け、左右の車輪15a,15a,15,15の間の畝上面に作業を行なう作業部を設けた歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備え、後側の車輪15,15をその車軸位置より前側に設けた回動支点回りに回動して上下動する構成としたことを特徴とする歩行型農作業機。」と訂正する。
(b)特許明細書の段落【0002】の「【従来の技術】従来の・・・歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサーの畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータが作動して該センサーの接地面と機体との距離を・・・行なえるものであった。」の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【従来の技術】従来の・・・歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサの畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダが作動して該センサの接地面と機体との距離を・・・行なえるものであった。」と訂正する。
(c)特許明細書の段落【0006】の「【問題点を解決するための手段】この発明は、・・・歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制してアクチュエータ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備え、・・・としたことを特徴とする歩行型農作業機とした。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【問題点を解決するための手段】この発明は、・・・歩行型農作業機において、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備え、・・・とした。」と訂正する。
(d)特許明細書の段落【0007】の「【発明の作用及び効果】この発明の歩行型農作業機は、・・・この場合、畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を・・・できる。」の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【発明の作用及び効果】この発明の歩行型農作業機は、・・・この場合、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を・・・できる。」と訂正する。
(e)特許明細書の段落【0008】の「ところで、上記のようにセンサーが・・・がある。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「ところで、上記のようにセンサが・・・がある。」と訂正する。
(f)特許明細書の段落【0009】の「即ち、圃場端に至って畝がなくなると、センサー23の接地面が・・・なるのである。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「即ち、圃場端に至って畝がなくなると、センサ23の接地面が・・・なるのである。」と訂正する。
(g)特許明細書の段落【0010】の「しかし、この発明の歩行型農作業機は、畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制してアクチュエータ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えているので、作業時に、一定の作業深さを維持するよう前後の車輪15a,15a,15,15が自動的に上下動するものとしながらも、旋同時には、操作具26の人為操作によって、センサー23の接地面が畝上面から畝のない地面に移行したとき急に前後の車輪15a,15a,15,15が上昇動して機体が下降するのを規制して、アクチュエータ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させて機体を上昇させられるので、・・・ものとなる。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「しかし、この発明の歩行型農作業機は、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えているので、作業時に、一定の作業深さを維持するよう前後の車輪15a,15a,15,15が自動的に上下動するものとしながらも、旋同時には、操作具26の人為操作によって、センサ23の接地面が畝上面から畝のない地面に移行したとき急に前後の車輪15a,15a,15,15が上昇動して機体が下降するのを規制して、昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させて機体を上昇させられるので、・・・ものとなる。」と訂正する。
(h)特許明細書の段落【0018】の「斯くして、・・・したがって、この苗移植機は、畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いてセンサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制してアクチュエータ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えものである。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「斯くして、・・・したがって、この苗移植機は、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いてセンサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えものである。」と訂正する。
(i)特許明細書の段落【0032】の「従って、・・・しかも、畝上面に作業する時には、畝を跨いで走行するが、この場合、畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を・・・できる。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「従って、・・・しかも、畝上面に作業する時には、畝を跨いで走行するが、この場合、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を・・・できる。」と訂正する。
(j)特許明細書の段落【0033】の「ところで、上記のようにセンサーが・・・問題がある。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「ところで、上記のようにセンサが・・・問題がある。」と訂正する。
(k)特許明細書の段落【0034】の「即ち、圃場端に至って畝がなくなると、センサー23の接地面が・・・のである。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「即ち、圃場端に至って畝がなくなると、センサ23の接地面が・・・のである。」と訂正する。
(l)特許明細書の段落【0035】の「しかし、この発明の歩行型農作業機は、畝上面に接地するセンサー23の畝上面位置検出動作に基いてアクチュエータ18が作動して該センサー23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制してアクチュエータ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えているので、・・・旋同時には、操作具26の人為操作によって、センサー23の接地面が畝上面から畝のない地面に移行したとき急に前後の車輪15a,15a,15,15が上昇動して機体が下降するのを規制して、アクチュエータ18の作動により・・・となる。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「しかし、この発明の歩行型農作業機は、畝上面に接地するセンサ23の畝上面位置検出動作に基いて昇降シリンダ18が作動して該センサ23の接地面と機体との距離を一定にするよう前後の車輪15a,15a,15,15を上下動させる機構を備えるとともに、操作具26の人為操作に基いて前記センサ23の畝上面位置検出動作に基づく前後の車輪15a,15a,15,15の上昇動を規制して昇降シリンダ18の作動により前後の車輪15a,15a,15,15を下降動させる機構を備えているので、作業時に、一定の作業深さを維持するよう前後の車輪15a,15a,15,15が自動的に上下動するものとしながらも、旋同時には、操作具26の人為操作によって、センサ23の接地面が畝上面から畝のない地面に移行したとき急に前後の車輪15a,15a,15,15が上昇動して機体が下降するのを規制して、昇降シリンダ18の作動により・・・となる。」と訂正する。
異議決定日 2000-09-13 
出願番号 特願平8-349471
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A01C)
P 1 651・ 113- YA (A01C)
最終処分 維持  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 新井 重雄
佐藤 昭喜
登録日 1999-05-28 
登録番号 特許第2933045号(P2933045)
権利者 井関農機株式会社
発明の名称 歩行型農作業機  
代理人 伴 正昭  

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