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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G11B
管理番号 1031915
異議申立番号 異議1999-72352  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1989-12-12 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-16 
確定日 2000-11-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2838892号「放送内容受信装置」の請求項に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2838892号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 I:手続の経緯・本件発明
1、手続きの経緯
本件特許第2838892号発明は、昭和63年6月6日に特許出願され、平成10年10月16日にその特許の設定登禄がなされ、その後、ソニー株式会社・岡部洋一・和田浩司・パイオニア株式会社・大木宗一郎からそれぞれ特許異議の申立てがなされたことにより、当審から取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年4月26日に訂正請求がなされたものである。

2、本件発明
本件発明の認定に当たって、訂正請求がされているので、まず、その適否の検討を行う。

(1)訂正の要旨
(訂正得事項a)
設定登録時の特許請求の範囲の
「【請求項1】受信された、テレビ放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、
少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込む入力手段と、
該入力手段により取り込まれた上記情報から、各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
該入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルの番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段と、該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、
該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段とを備えたことを特徴とする放送内容受信装置。」
を、特許請求の範囲の請求項1の減縮を目的として、以下の通り訂正する。
「【請求項1】受信された、テレビの放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、
少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込む入力手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報から、その日の各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルのその日の番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段と、
該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、
該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、
該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、 該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段と
を備えたことを特徴とする放送内容受信装置。」
(訂正事項b)
設定登録時の
「【請求項4】上記識別表示手段が、上記位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、点滅もしくは反転させることにより、指定されなかった位置の番組内容とは識別可能に表示するもの
であることを特徴とする請求項1ない3に記載の放送内容受信装置」
の記載を、不明瞭な記載の釈明を目的として、以下の通り訂正する。
「【請求項4】上記識別表示手段が、上記位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、点滅もしくは反転させることにより、指定されなかった位置の番組内容とは識別可能に表示するもの
であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の放送内容受信装置。」
(訂正事項c)
設定登録時の明細書(特許公報第2頁第4欄第16〜20行
「本発明の請求項1記載の放送内容受信装置は、受信された、テレビ放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナと、該チューナにより抽出されたチャンネルの映像信号を表示するテレビ受像機とを備えた放送内容受信装置において、」
の記載を、誤記又は誤訳の訂正を目的として、
「と、該チューナにより抽出されたチャンネルの映像信号を表示するテレビ受像機と」の記載を削除して「本発明の請求項1記載の放送内容受信装置は、受信された、テレビ放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、」
と訂正する。
訂正された特許請求の範囲を整理すると
「【請求項1】受信された、テレビの放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、
少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込む入力手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報から、その日の各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルのその日の番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段と、
該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、
該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、
該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段とを備えたことを特徴とする放送内容受信装置。
【請求項2】上記入力手段が、少なくともテレビの各番組内容と、その開始時刻と、その終了時刻もしくはその放映時間と、その放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込むものであり、
上記放送順序表示手段が、各番組内容の放映時間に略比例した大きさにて各番組内容を上記放映順に並列させて上記テレビ受像機に表示するもの、
であることを特徴とする請求項1に記載の放送内容受信装置。
【請求項3】上記放送内容出力手段が上記チューナに抽出させたチャンネルの放映内容を、録画するためのビデオ録画装置を備えたことを特徴とする請求項2に記載の放送内容受信装置。
【請求項4】上記識別表示手段が、上記位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、点滅もしくは反転させることにより、指定されなかった位置の番組内容とは識別可能に表示するもの
であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の放送内容受信装置。】」
(以下、訂正請求項という)

(2)訂正の適否及び拡張・変更の存否の検討
訂正事項aの検討
訂正された「当該放送内容受信装置の電源を投入すると、…その日の…」については、願書に添付した本願明細書の第15頁第10〜13行「まず、VTR3に録画予約カード1を装着し電源を投入すると、テレビ受像機5にその日の番組表の一部が」第4図に示すように、表形式で実本される。」に基づく特許請求の範囲の請求項1の減縮を目的としたものと認める。

訂正事項bの検討
「いずれかに」を挿入することは、請求項1ないし3のうちのいずれの請求項を限定するものかが不明りょうであったものを、「請求項1ないし3のいずれかに」と表現することで明りょうにするものであり、特許請求の範囲の請求項2の記載の不明瞭な釈明を目的とするものと認める。

訂正事項cの検討
権利者は訂正請求の原因で「発明の詳細な説明の記載と特許請求の範囲の記載とが整合していない、という誤記を訂正するものである。
その訂正の内容は、発明の詳細な説明の記載を特許請求の範囲の記載に一致させるものである。この訂正が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないため、特許法第120条の4第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。
したがって、この訂正は、特許法第120条の4第2項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。」と訂正の趣旨を説明しているが、該訂正事項cの、設定登録時の明細書(特許公報第2頁第4欄第16〜20行)の「と、該チューナにより抽出されたチャンネルの映像信号を表示するテレビ受像機と」の記載を削除して「本発明の請求項1記載の放送内容受信装置は、受信された、テレビ放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、」と訂正することは、本件発明の放送内容受信装置の構成には、テレビ受像機は含めないことを明確にしたものと認められるので、権利者が説明する誤記の訂正とは認められないものの、不明瞭な記載の釈明に相当するものと認めらる。
以上の検討から、この訂正は特許法120条の4第2項および特許法第120条の4第3項で準用する特許法126条第2項に規定する願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正と認められるので、拡張・変更とは認められない。

(3)独立特許要件の検討
(i)本件訂正発明の認定
本件訂正発明は、上記訂正請求項1〜4に記載の発明の通りと認める。

(ii)引用例の認定
当審が、特許法29条の2を適用して引用した昭和63年2月17日出願の特願昭63-32820号の願書に添付された明細書および図面を撮影したマイクロフィルム(特開平1-209399号公報)(以下、先願発明という)には、第1〜3図とその詳細説明に、
(イ)「本発明の実施例は、本発明をテレビ放送の録画予約の処理に適用したものとして説明する。
本発明が適用されたVTRにおけるテレビ放送録画予約の処理システムは、第1図に示すように、VTR制御部3、予約制御部4、操作パネル5及びフロッピーデイスク(以下FDという)装置6を有するVTR装置2と、デイスプレイ装置1とにより構成され、」(先願発明第2頁左下欄16行〜右下欄4行)
(ロ)「予約制御部4は、1週間分のテレビ放送のスケジュールが記録されたFDの内容をFD装置6から読出して、その内容をRGB信号ケーブル7′を介してデイスプレイ装置1に表示する。」(先願発明第2頁右下欄18行〜第3頁左上欄2行)
(ハ)「また、前述の実施例は、番組のスケジュールがフロッピーデイスク等の記録媒体により提供されるとしたが、番組の情報が通信手段を介して直接VTR装置に提供されるようにしてもよい。」(先願発明第4頁左上欄7〜10行)
(ニ)先願発明第3図には、「第3図には、このようにして表示された画面の一例が示されており、FD内の日付フィールド8、曜日フィールド8′ の情報は、日付エリア12に、チヤンネルフィールド9-1,9-2の情報は、チヤンネルエリア13-1,13-2に夫々表示され、番組フィールド11-1,11-2の情報は、時間フィールド10-1,10-2を表示する時間エリア14に対応した番組エリア15に夫々表示される。第3図に示す例では、19時〜23時における第1チヤンネルと第2チヤンネルの番組表が表示されている。」(先願発明第3頁左下欄15行〜右下欄4行)
(ホ)「録画予約を行おうとする操作者は、この表示画面の中に所望する番組を見付け出すと、カーソル移動キー16を操作して、カーソルを所望の番組に移動させる。」(先願発明第3頁右下欄第5〜8行)
(へ)「カーソルは、その番組を表示しているエリア全体の色を変える等により、その番組を選択していることを示すものであり、第3図では、カーソルは斜線で表わされていて、ニュースAが選択された状態を示している。」(先願発明第3頁右下欄8〜12行)
(ト)「この状態で、設定スイッチ18を操作すると、予約制御部4は、ニュースAを 録画するために必要な、FD内の日付フィールド8、曜日フィールド8、チヤンネルフィールド9-1、時間フィールド10-1の情報をVTR制御部 3内にセットし、ニュースAの録画予約が完了する。」(先願発明第3頁右下欄11〜17行)(チ)「まず、モード切替スイッチ17を操作することにより、第1図に示すシステムを予約モードとし、テンキー19より「0920」と日付の入力を行う。これにより、ディスプレイ装置1には、9月20日の番組表が表示される。この表示を目視しながらカーソル移動キー16を操作し、カーソルをディスプレイ装置1上の画面の最上端あるいは最下端に移動させると、時間スクロールが行われ、画面上には異なる時間帯の番組が次々と表示され、又、カーソルを最左端あるいは最右端に移動させると、チャンネルスクロールが行われ、画面上には他チャンネルの番組が表示される。」(先願発明第3頁左下欄3〜14行)
の各記載がある。
この記載から、先願発明には

定められたスケジュールにしたがって提供される情報記憶媒体からの提供情報を処理する情報処理システムにおいて、
前記情報記憶媒体に記憶された提供情報は、1週間分の放送スケジュールに関するチャンネル毎の番組内容と放送時間等の情報及び提供情報を処理するに必要な情報とからなり、
該記憶媒体に記憶された情報を読み出して、表示装置の表示画面に、横方向にチャンネル情報を表示し、縦方向に時間情報を表示し、提供されるスケジュールをそのチャンネル情報と時間情報で特定できるように、表形式で表示してなる手段からなる処理情報を提供する手段と、
前記処理情報から処理の対象としたい提供情報を選択する手段と、
選択した部分の色を変えること等により選択部分が他の部分と区別して視認できるように選択した部分の表示を変える手段と、
前記スケジュールに従って、選択した提供情報でVTR録画予約の処理を行う手段とを備える情報処理システム

の先願発明が記載されているものと認める。

(iii)対比
「定められたスケジュールにしたがって提供される情報記憶媒体からの提供情報を処理する情報処理システム」・「前記情報記憶媒体に記憶された提供情報は、1週間分の放送スケジュールに関するチャンネル毎の番組内容と放送時間等の情報及び提供情報を処理するに必要な情報」および「該記憶媒体に記憶された情報を読み出して」・「前記処理情報から処理の対象としたい提供情報を選択する手段」・「選択した部分の色を変えること等により選択部分が他の部分と区別して視認できるように選択した部分の表示を変える手段」・「情報処理システム」
は、本件訂正請求項1の発明の
「受信された、テレビの放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置」・「少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込む入力手段」」・「該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段」・「該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段」・「放送内容受信装置。」
と対応する構成と認められ、
かつ、先願発明がVTRの録画予約である以上、予約設定時に表示されている番組表中のある番組を予約する番組として選定すれば、チャンネルと日時をVTRに予約設定し、かつその予約時間になれば、録画開始させ、番組終了と共に録画停止を行わせることが録画予約の技術常識であることを考慮すれば、先願発明の「前記スケジュールに従って、選択した提供情報でVTR録画予約の処理を行う手段」は、本件訂正請求項1の「該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、
該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、 該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段」とは同じ構成であると認められる。
尚、これらの構成の一致については、権利者も同じであることを意見書で認めている。
しかしながら、先願発明と本件訂正請求項1に記載の発明とでは、表形式で番組表を提供する手段として、
先願発明では「表示装置の表示画面に、横方向にチャンネル情報を表示し、縦方向に時間情報を表示し、提供されるスケジュールをそのチャンネル情報と時間情報で特定できるように、表形式で表示してなる手段からなる処理情報を提供する手段」
であるのに対して、本件訂正請求項1記載の発明では
「当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報から、その日の各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルのその日の番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段」
である点で構成が相違する。(以下、相違点という。)

(iv)相違点に対する当審の検討
放送番組を表示する手段である「放送順序表示手段」の構成として、本件訂正請求項1に記載の発明は、
イ:番組を表形式で表示する構成として、先願発明も横方向にチャンネル情報を表示し、縦方向に時間情報を表示し、提供されるスケジュールをそのチャンネル情報と時間情報で特定できるように、表形式で表示してなる事では同じではあるものの、表形式にするための具体的構成の記載がないのに対して、本件訂正請求項1に記載の発明は表形式にするための手段として「チャンネル表示手段」と「放送順序表示手段」という2つの手段から構成される点で相違する。
ロ:番組を表示するタイミングと表示番組内容が、先願発明ではモード切替スイッチ17を操作して、予約モードにし、しかも予約日の日付を入力した後に入力された日付の番組表が表示されるのに対して、本件訂正請求項1に記載の発明は、チャンネル表示手段と放送順序表示手段とは、共に「放送内容受信装置の電源を投入する」と、「その日」の番組を表示することで構成が相違する。
したがって、先願発明と本件訂正請求項1に記載の発明とは同一の発明ではない。
同様に、訂正請求項2〜4記載の発明も上記訂正請求項1を引用した発明であるから、先願発明と本件訂正請求項2〜4に記載の発明とは同一の発明とすることはできない。

(4)まとめ
したがって、以上の通りであるから上記訂正請求は、特許法120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

II:特許異議の申立ての検討
1:特許異議申立人ソニー株式会社・岡部洋一・パイオニア株式会社・大木宗一郎の異議理由の2の検討

(1)特許異議理由の概要
上記各請求人は、異議証拠として、特願昭63-32820号の願書に添付された明細書及び図面を撮影したマイクロフィルム(特開平1-209399号公報参照)を提示し、本件請求項1〜4に係る発明は特許法29条の2の規定に違反して特許されたものである。

(2)当審の判断
上記「I:訂正請求の検討」の項の「(3)独立特許要件の検討」に同じなので、この記載を援用する。

2:特許異議申立人 和田浩司の異議申立ての検討
(1)申立人が区分した取消しを求める本件設定登録時請求項1〜4は、以下の通りである。
【請求項1】
A:受信された、テレビ放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、
B:少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込む入力手段と、
C:該入力手段により取り込まれた上記情報から、各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
D:該入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルの番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
E:該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段と、
F:該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、
G:該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、
H:該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
I:上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、J:該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段とを備えたことを特徴とする放送内容受信装置。」
【請求項2】
K:上記入力手段が、少なくともテレビの各番組内容と、その開始時刻と、その終了時刻もしくはその放映時間と、その放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込むものであり、
L:上記放送順序表示手段が、各番組内容の放映時間に略比例した大きさにて各番組内容を上記放映順に並列させて上記テレビ受像機に表示するもの、であることを特徴とする請求項1に記載の放送内容受信装置。
【請求項3】
M:上記放送内容出力手段が上記チューナに抽出させたチャンネルの放映内容を、録画するためのビデオ録画装置を備えたことを特徴とする請求項2に記載の放送内容受信装置。
【請求項4】
N:上記識別表示手段が、上記位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、点滅もしくは反転させることにより、指定されなかった位置の番組内容とは識別可能に表示するものであることを特徴とする請求項1ないし3に記載の放送内容受信装置。

(2)異議証拠甲第1号証(米国特許第4、706,121号明細書)記載の発明に基づく異議理由の概要
i:設定登録時請求項1の異議理由
イ:甲第1号証、第3欄第3-7行及び第19-31行には、表示された放送内容からユーザーが所望のテレビ番組を選択し、さらに自動的に選択されたテレビ番組をビデオ録画することができる、本件第1項に係る発明と同様なテレビの放送内容を受信するための放送内容受信装置に関する発明が記載されている。
ロ:図3及び図4には、テレビの放送内容から指定された番組を抽出するチューナ(図3:132のプログラム可能なチューナ、図4:164のプログラム可能なチューナ)を備えた放送内容受信装置が記載されている。すなわち甲第1号証には、第1項に係る発明の構成要件(A)が記載されている。
ハ:第4欄第61-67行には、テレビ番組の情報がFM放送等を通じて送られてくることが記載され、図3及び図4には、それらの情報をFMレシーバ(図3-94)又はプログラムTVチューナ(図4-164)によって放送内容受信装置に入力することが記載されている。さらに、第20欄第65行-第21欄第15行には、番組内容フォーマットとして入力される情報が図示されている。そこには、番組内容(テーマ分類番号:Theme classification number、テーマ副分類番号:Theme subclassification number、及び追加的に拡大された記載事項:optional expanded listing)、開始時刻:Starttime(時:hour、分:minute)及び放映チャンネル:Channel number が記載されている。すなわち甲第1号証には、第1項に係る発明の構成要件(B)が記載されている。
ニ:第10欄第12-18行には、「このタイプは、記載事項からの直接的なプログラム(番組内容)の選択を許容する。平均的なユーザーに対して、マスターガイド(MG)モードは、唯一の使用できるモードである。MGモードにアクセスするには、MGキー222を1回押せばよく、モードから出るには、MGキー222を2回押せばよく、またポインターが所望のプログラムのところに来た場合にはSELキー228を押せばよい。」と記載され、同欄第44-49行には、「以下に示されるのが、MGキー222を押した場合の典型的なスクリーンである。記載内容は、常にもっとも近い前30分から開始される。ポインターは常に最後に選択したモード(この場合、ウオールストリートウイーク)に位置されることを示しておく。」と記載され、同欄50-59には、マスターガイドモードの場合に表示されるスクリーンの例が図示されている。ここでは、マスターガイドモードにおいて、前記スクリーン表示からユーザーがポインターを移動させた上でSELキー(選択キー)228(図5のキーボード2・20を参照)を使用することにより、所望の放送番組を選択できることが記載されている。すなわちここには、マスターガイドモードとして、1つのスクリーンに、複数のチャンネルに渡って、開始時刻及び番組内容が表示されることが記載されている。
さらに、第19欄第18-33行には、「図7における一連のフローダイアグラムにおけるコマンドについて言及すると、326において、Cキー230が検出されるとチャンネルモードが選択される。図11におけるチャンネルフローダイアグラムについて言及すると、CPU110又は178によってTV126又は200に451において表示がなされるために、チャンネルスクリーンバッファ450が選択される。チャンネルモードのための状態情報が、452において、チャンネル情報とともに表示される。カーソルキー232-234が、453において検出されると、459において入力リストが表示されたチャンネルから表示されないチャンネルに切り替わる。テンキー246が454において検出されると、データをチャンネルスクリーンバッファに入力するために、CPU100又は178は、SELキー228の入力を460において待つ。」と記載され、また、第20欄第18-19行には「SELキー228が入力されると、選択された記載内容が、491においてスケジュールセクションの最後にコピーされる。」と記載され、チャネルモードにおいて、スクリーンにチャネル毎に放送番組等の情報を表示させた上でSELキー228によって所望のテレビ番組を選択できることが記載されている。すなわちここには、チャネルモードとして、チャネル毎に番組内容等の表示を行うことが記載されている。このように、甲第1号証には、第1項に係る発明の構成要件(C)および(D)に対応した構成が記載され、構成要件(E)得及び(G)が記載されている。
ホ:第20欄第50-58行には「TV126又は200が502においてオンされていない場合、アラーム156又は217が、503においてプログラム(番組内容)の開始5分前から音を発する。TVが504においてまだオンされていない場合、プログラム可能なチューナ(図3において132又は図4において164)が、505で予約されたプログラムをセットする。VCR150又は216は、それぞれライン154又は218の信号によってチューニングされ、506においてプログラムを録画する。507のプログラムの最後で、新しい検索500が開始される。」と記載され、選択された放送番組の開始時間になると、VCR(ビデオ力セット録画装置)が設定された放送番組を設定されたプログラムにしたがって録画することが記載されている。すなわち甲第1号証には、第1項に係る発明の構成要件(H、(I)及び(J))が記載され、構成要件(C)及び(D)と対応した構成が記載されている。
以上述べたように、甲第1号証には、本件第1項に係る発明の構成要件(A)、(B)、(E)、(G)、(H)、(1)及び(J)が記載され、構成要件(C)及び(D)と対応した構成が記載されている。

ii:設定登録時請求項2に対する異議理由
第20欄第65行-第21欄第15行には、前述した番組内容、開始時刻及び放映チャンネルに加えて、放送時間:Duration of program(時:hour及び分:minutes)が示されている。すなわち甲第1号証には、第2項に係る発明の構成要件(K)が記載されている。

iii:設定登録時請求項3に対する異議理由
図3(150:VCR)及び図4(216:VCR)、及び前述した第20欄第50-58行には、録画を行うためのVCR (ビデオカセット録画装置)を備えることが記載されている。すなわち甲第1号証には、第3項に係る発明の構成要件(M)が記載されている

iv:設定登録時請求項4に対する異議理由
甲第1号証との相違点は、当業者が容易に達成しうる設計事項である。

(3)甲第2号証(特開昭60-61935号公報)に基づく異議理由の概要
i:設定登録時請求項1に対する異議理由
イ:甲第2号証には、第1頁右下欄第9行の「本発明は磁気記録再生装置に関するものである。」と記載されるように、テレビ放送番組内容から、指定されたチャネルを抽出する選局部31(図2 0参照)を有する磁気記録再製装置が記載されている。すなわち甲第2号証には、第1項に係る発明の構成要件(A)が記載されている。
ロ:第4頁左下欄第3-8行には、「記録カード22を挿入した後、表示ボタン14を押すと、第21図のように、モニターTV12の画面上に記録カード22の内容の第1項目が表れる。」と記載され、記録カード22によりモニターに図21のような情報が表示されることが示されている。すなわち甲第2号証には、第1項に係る発明の構成要件(B)が記載されている。また、図21乃至図23に示されるように、第1項に係る発明の構成要件(C)及び(D)に対応した構成が記載されている。
ハ:第4頁左下欄第14行-同頁右下欄第5行には、「次にカーソルボタン17を押すと、1回押す毎にカーソルが下降してくる。例えば、5月5日の7:00〜7:20にある1chのニュースをタイマー録画設定する場合を考えてみると、カーソルを動かして第22図の如く所定の行の左端しへカーソルを位置させる。そして次に認識ボタン15を押すと、第23図のようにこの行の右端しに*(アスタリスク)のマークが表われ、タイマー録画が設定される。」と記載され、さらに第22図及び第23図を参照すると、カーソルを移動させて認識ボタン15を押すことにより指定された放送番組内容の右端に*(アスタリスク)が付き、指定されなかった番組と識別可能に表示されることが記載されている。
すなわち甲第2号証には、第1項に係る発明の構成要件(E)、(F)、及び(G)が記載されている。
ニ:第4頁右下欄第5-9行には、「タイマー録画が設定されると、その情報は磁気記録再生装置本体11の記億装置28に記録され、所定日時にタイマー29によって、この記憶が読み出され、制御部30によって、所定日時、所定放送局の番組を所定時間録画作動する。」と記載されるように、番組のチャネル及び開始時刻を設定し、設定された開始時刻になると設定されたチャンネルをチューナに抽出させることが記載されている。すなわち甲第2号証には、第1項に係る発明の構成要件(H)、(I)及び(J)が記載されている。
以上述べたように、甲第2号証には、第1項に係る発明の構成要件(A)、(B)、(E)〜(J)が記載され、構成要件(C)及び(D)に対応した構成が記載されている。

ii:設定登録時請求項2に対する異議理由
図21〜図23に示されるように、入力される情報には、テレビの番組内容、開始時刻、終了時刻及び放映チャンネルが含まれていることが記載されている。すなわち甲第2号証には、第2項に係る発明の構成要件(K)が記載されている。

iii:設定登録時請求項3に対する異議理由
甲第2号証は、もともと磁気記録再生装置であり、したがって、甲第2号証には、第3項に係る発明の構成要件(M)が記載されている。
(4)甲第3号証(TV Guide magazine)記載の発明
本件出願前の1988年1月2日発行の甲第3号証によれば、本件特許公報の第4図に記載されているような本発明の表示形態は、一般に広く知られた、すなわち、周知な表示形態であることが理解できる。

(5)当審の判断
i:訂正請求項1記載の発明と、異議申立証拠の甲第1号証もしくは甲第2号証との対比を行う。
甲第1号証もしくは甲第2号証には、請求人の指摘する事項のいずれもが記載されているとは認めらるものの、甲第1号証もしくは甲第2号証には、本件訂正請求項1記載の発明の内、
「当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報から、その日の各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルのその日の番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段」
の構成の記載がない。
この訂正請求項1の構成を検討すると、
イ:番組を表形式で表示する構成として、甲第1号証が10欄第50-59行で、マスターガイドして、1つのスクリーンに複数のチャンネルに渡って、開始時刻及び番組内容が表示されることが示されているものの、表形式にするための具体的構成の記載はないのに対して、本件訂正請求項1に記載の発明は、表形式にするための手段として「チャンネル表示手段」と「放送順序表示手段」という2つの手段から構成される点。
ロ:番組を表示するタイミングと表示番組内容が、甲第1号証ではチャンネルモードすると番組が表示されるのに対して、本件訂正請求項1に記載の発明は、「チャンネル表示手段」と「放送順序表示手段」の共に「放送内容受信装置の電源を投入する」と「その日」の番組を表示するものであって、構成が相違する。
そして甲第1号証もしくは甲第2号証との相違点について、甲第2ないし1号証さらには、甲第3号証を参照しても、この点についての記載並びに示唆はなく、申立人が提示した証拠から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
したがって、本件訂正請求項1に記載の発明は甲第1〜3号証に記載された発明であるとはいえず、又、甲各号証から当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。

ii:訂正請求項2ないし4に対する検討
訂正請求項2ないし4は、いずれも訂正請求項1を引用した請求項であるから、訂正請求項1の記載の発明が甲第1〜3号証に記載された発明であるとはいえず、又、甲各号証から当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない以上、同様に、訂正請求項2ないし4に記載の発明も、甲第1〜3号証に記載された発明であるとはいえず、又、甲各号証から当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。

3:特許異議申立人 大木宗一郎の異議理由の1についての検討
(1)特許異議理由の1の概要
i:特許異議申立人 大木宗一郎が異議理由の1の中で行った本件設定登録時請求項の区分。
大木宗一郎が異議理由の1の中で行った本件設定登録時請求項の区分は、上記特許異議申立人和田が行った区分2:(1)と同じであるのでその区分を援用する。

ii:甲第1号証(特開昭62-60372号公報)を基にした異議理由
甲第1号証には、本件請求項1,2,3,に係わる各発明の構成中、A、B、H、I、J、K、M、に相当する構成が記載されている。
すなわち、同甲号証は任意テレビ番組を記憶し、その記憶番組に従って自動的に選局動作するテレビジョン受像機の選局プログラム装置に関する発明であり(同甲号証第1頁第2欄第4行目〜第6行)、番組情報等をテレビジョン受像機の画面上に表示し、任意の番組を指定することにより、その番組を登録し、自動選局するようにしたので、新聞が手元にない場合でも、テレビ番組表をテレビ画面上に表示してその番組内容を確認でき、しかも、その表示番組の中から所望の番組を指定することにより、簡単に指定番組のプログラムを設定できる(同甲号証第5頁第4欄第7行目〜11行目)という効果を奏する。

iii:甲第2号証(特開昭63-54884号公報)を基にした異議理由
甲第2号証には、本件請求項1、2,4,に係わる各発明の構成中、C、D、E、F、G、L、Nが記載されている。
すなわち、同甲号証は、録画再生装置(以下VTR)等のオーディオ・ビジュアル機器に適用される番組予約装置に関するものであり、テレビジョン受像機の画面にチャンネルと時刻からなるマトリックス状の着色選択領域を映出し、希望する領域を指示すれば、その領域の色が変わると同時に、メモリにおける番組予約情報が読み出されるようにしたから、煩わしい操作手順を覚えなくとも簡単に番組予約ができる(同甲号証第4頁第1欄第9行〜14行)という効果を奏する。

iv:申立人が、異議理由で主張する本件特許発明と証拠の対比
イ:請求項1
本件請求項1に係わる特許発明と甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明とを対比すると、以下の点により共通であると認められ、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に想到し得たものである。
本件放送内容受信装置(A)は、「受信された、テレビ放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置」であるのに対して、甲第1号証には、「任意テレビ番組を記憶し、その記憶番組に従って自動的に選局動作するテレビジョン受像機の選局プログラム装置に関する(同甲号証第1頁第2欄第4行目から第6行目)。」と記載されており、同一のものである。
本件入力手段(B)は、「少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込む入力手段」であるのに対して、甲第1号証には、「これらの番組情報は、第1図の入力装置23から入力されるもので、その入力手段としては、例えばバーコードリーダによる方法がある(甲第1号証第2頁第4欄第2行目〜第5行目)。」と記載されており、同一のものを開示している。本件チャンネル表示手段(C)は 「該入力手段(B)により取り込まれた上記情報から、各チャンネルのテレビの番組内容を取り出してチャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示する」であり、また本件放送順序表示手段(D)は、「該入力手段(B)により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルの番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段」であり、この2つの構成によって、番組を2次元状に表示する機能を表しているのに対して、甲第2号証には、「上記テレビジョン受像機(2)の画面(101)には、上記ROM(6)により、第3図に示すように横軸方向のチャンネル番号枠、すなわちブリセット可能なチャンネル数と同数の1〜12までのチャンネル番号枠(15a)と縦軸方向の時刻枠、例えば毎整時毎の枠(15b)とからなるマトリックス状の着色選択領域(15)が映出されるようになっている。(甲第2号証第3頁第2欄第1行目〜7行目)」と記載しており、チャンネル番号の枠と、放送時刻の枠をマトリックス状の2次元表示を行っており、2次元表示を行う点で共通である。
本件位置指定手段(E)は「該放送順序表示手段(D)及び上記チャンネル表示手段(C)により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段」であり、本件識別表示手段(F)は、「該位置指定手段(E)により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段」であり、これら2つの要件で画面上に表示された番組表の特定の番組を指示し、そして、当該指示されていない部分と識別できる機能を示しているのに対して、甲第2号証には、「たとえばチャンネル「1」あさの5時00分から5時15分までの領域(150a)が、たとえば赤色になっており、かつ点滅している。これがカーソルの役目を果たす(甲第2号証第3頁第2欄16行目から19行目)。」と記載されており、またこのカーソルは、「チャンネル番号枠選択キー(13)を操作してカーソル(150a)をチャンネル番号「4」の列まで移動させる(甲第2号証第3頁第3欄第5行目から第6行目)。」と記載されているので、指定する番組枠をカーソルで指定しその部分が指定されていることを示すように赤で点滅しているので、指定されていない他の部分と区別できる機能を示しており、本件特許発明と共通するものであると解される。
また甲第2号証で記載されているのは、番組の枠だけであり、枠の中に番組名等の情報の記載は明示されていない。しかしながら、甲第1号証には、本件の表示内容に係わる番組情報とほぼ同一の情報(甲第1号証第2図、第2頁第2欄第20行目から第3欄第11行目等)を記憶し、画面上に表示する事が記載されており、番組情報等を2次元に表示し、所望の番組部分をカーソル等で指定し、かつその指定は指定されなかった他の部分と識別可能にする機能は、甲第1号証及び第2号証を組み合わせることによって、当業者が容易に想到できたものである。
本件設定手段(G)は、「該識別表示手段(F)にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段」であるのに対して、甲第2号証には、「メモリーキー(14)を押すことにより、この点滅が止まり赤色となる(甲第2号証第3頁第3欄第10行目から11行目)。」と記載されており、点滅が止まって赤色となることで、この部分は予約の設定が確定し、かつ予約された事を示し続けているので、本件設定手段(G)と共通するものである。
本件チャンネル補完手段(H)は、「該設定手段(G)で設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段」であるのに対して、甲第1号証には、「番組メモリ22から読み出している番組のチャンネルコードをチャンネル電圧発生回路26に出力する(甲第1号証第4頁第4欄第12行目から14行目)。」と記載されており、共通するものであると解される。
本件開始時刻補完手段(1)は、「上記設定手段(G)にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段」であるのに対して、甲第1号証には、「番組メモリ22の対応日付エリアに対する先頭アドレスX及び終了アドレスXENDを発生する(甲第1号証第4頁第2欄第18行目から第20行目)。」と記載されており,番組が予約されると、あらかじめ記憶されていた情報の中から指定された番組に対応する情報の先頭アドレスを発生し、「番組メモリ22の記憶内容を読み出す(甲第1号証第4頁第3欄第3行目から第4行目)。」の記載の通り、内容を読み出し、その情報の中にある放送開始時刻と現在時刻の比較を行う(甲第1号証 4頁第3欄第7行目)ので、本件の開始時刻補完手段(1)と共通するものと解される。
本件放送内容出力手段(J)は、「該開始時刻補完手段(1)により設定されこ開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段」であるのに対して、甲第1号証には、「このテレビ制御部12は、チャンネル電圧発生回路26からのチャンネル電圧に従ってチューナ11を制御し、所定のチャンネルを選択する(甲第1号証第4第17行目から第20行目)。」と記載されており、共通するものであると解される。
以上のように本特許発明は甲第1号証及び甲第2号証に開示された事項の組みわせによって実現できるものであり、この発明の属する技術の分野における通の知識を有する者が容易に推考しえるものである。
また、本件特許発明の効果も、甲第1号証及び甲第2号証記載のものから予測できる効果以上のものではない。
ロ:請求項2
本件の請求項2に記載した特許発明では、請求項1の入力手段(B)及び放送順序表示手段(D)についてさらに限定を行うものであるが、以下のように甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項から容易に想到し得たものである。
すなわち、請求項2記載の入力手段(K)は請求項1記載の入力手段(B)であって、かつ「少なくともテレビの各番組内容と、その開始時刻と、その終了時刻もしくはその放映時間と、その放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込むもの」であるのに対して、甲第1号証には、「番組メモリ22の一部エリアの構成を示したもので、番組情報として、日付、チャンネル、曜日、開始時刻、終了時刻、番組の種類、番組が放送中であることを示す放送中フラグFT、番組が終了したことを示す放送終了フラグF2、テレビの動作を予約するテレビ予約フラグF3、VTRの動作を予約するVTR予約フラグF4、番組名が設定される(甲第1号証第2頁第3欄第15行目から第4欄第2行目)。」と記載されており、本件に掲げられている要件はすべて開示されていまた請求項2記載の放送順序表示手段(L)は、請求項1記載の放送順序表示手段(D)であって、かつ「各番組内容の放送時間に略比例した大きさにて各番阻内容を上記放映順に並列させて上記テレビ受像機に表示するもの」であるのに対して、甲第2号証には、「たとえば毎整時毎の枠(15b)とからなるマトリックス状の着色選択領域(15)が映出されるようになっている(甲第2号証第3頁第2第5行目から第7行目)。」と記載されており、1時間毎の大きさを決めているので、同一番組であるならば番組の時間長に応じた枠の大きさを割り当てるのは、当業者であるならば当然に想到する事項である。
従って、請求項2記載の本件特許発明も甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明によって本発明の属する技術分野における通常の知識を有した者が容易に推考し得るものである。
ハ:請求項3
請求項3に記載の本件特許発明は、請求項2記載の放送内容受信装置において、放送内容出力手段(J)を限定するものであるが、以下のように甲第1号証をもとに容易に想到できたものである。
すなわち、請求項3に記載された放送内容出力手段(M)は請求項2記載の放送内容出力手段(J)であって、「チューナに抽出させたチャンネルの放映内容を、録画するためのビデオ録画装置を備えたもの」であるのに対して、甲第1号証には、「ステップC16に示すようにVTR制御部28によりチャンネル選局を行わせる。次いでCPU18はVTR制御部28に録画指令を与え、ステップC17に示すようにVTR29の録画動作を開始させる(甲第1号証第5頁第1欄第12行目から16行目)。」と記載されており、明らかに共通するものである。従って、請求項3記載の本件特許発明も甲第1号証に記載された発明によって本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって容易に想到できたものである。
ニ:請求項4
請求項4に記載された本件特許発明は、請求項1ないし3の放送内容受信装置であって、識別表示手段(F)をさらに限定するものであるが、以下の通り甲第2号証をもとに容易に想到できたものである。
すなわち、請求項4に記載された識別表示手段(N)は、請求項1ないし3に記載の識別表示手段(F)であって、「位置指定手段(E)により指定された位置に表示されている番組内容を、点滅もしくは反転させることにより、指定されなかった位置の番組内容とは識別可能に表示するもの」であるのに対して、甲第2号証には、「たとえば、赤色になっており、かつ点滅している(甲第2号証第3頁第2欄第18行目)。」と記載されており、カーソルが点滅するものを開示している。従って、請求項4記載の本件特許発明も甲第2号証に記載された発明を基に本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に推考しえるものである。

(2)当審の検討
i:訂正請求項1に記載の発明と甲第1号証もしくは甲第2号証との比較
甲第1号証および甲第2号証には特許異議申立人の指摘するとおりの記載があり、設定登録時の各請求項との対比も、異議申立人の指摘するとおりと認められるものの、訂正請求項1に記載の発明と甲第1号証もしくは甲第2号証との比較をすると、甲第1号証もしくは甲第2号証には本件訂正請求項1記載の発明の内の
「当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報から、その日の各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルのその日の番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段」という構成の記載がない。
この構成を検討すると、
イ:番組を表形式で表示する構成として、甲第2号証が第3頁第2欄第1〜7行に横方向のチャンネル枠と縦方向の時間枠をマトリックス状の着色選択領域が映出されるように構成はされているものの、表形式で表示するための具体構成として、本件訂正請求項1に記載の発明は、「チャンネル表示手段」と「放送順序表示手段」という2つの手段から構成される点。
ロ:番組を表示するタイミングと表示番組内容が、甲第1号証ではリモートコントロール装置の予約画面表示ボタン押すことでマトリックス状の着色選択領域が映出されるのに対して、本件訂正請求項1に記載の発明は、「チャンネル表示手段」と「放送順序表示手段」の共に「放送内容受信装置の電源を投入する」と「その日」の番組を表示するものであって、構成が相違する。
そして甲第1号証もしくは甲第2号証との相違点について、甲第2ないし1号証さらには、甲第3号証を参照しても、この点についての記載並びに示唆はなく、申立人が提示した証拠から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
したがって、本件訂正請求項1に記載の発明は甲第1・2号証に記載された発明であるとはいえず、又、同甲各号証から当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。

ii:訂正請求項2ないし4と甲第1号証もしくは甲第2号証との比較
訂正請求項2ないし4は、いずれも訂正請求項1を引用した請求項であるから、訂正請求項1の記載の発明が甲第1号証もしくは甲第2号証に記載された発明であるとはいえず、又、同甲各号証から当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない以上、同様に、訂正請求項2ないし4に記載の発明も、同甲第各号証に記載された発明であるとはいえず、又、同甲各号証から当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。

4、まとめ
以上の通り、各特許異議申立てに理由があるとすることはできない。

III:むすび、
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
放送内容受信装置
(57)【特許請求の範囲】
1 受信された、テレビの放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、
少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込む入力手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報から、その日の各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルのその日の番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段と、
該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、
該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、
該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、
該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段と
を備えたことを特徴とする放送内容受信装置。
2 上記入力手段が、少なくともテレビの各番組内容と、その開始時刻と、その終了時刻もしくはその放映時間と、その放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込むものであり、
上記放送順序表示手段が、各番組内容の放映時間に略比例した大きさにて各番組内容を上記放映順に並列させて上記テレビ受像機に表示するもの、
であることを特徴とする請求項1に記載の放送内容受信装置。
3 上記放送内容出力手段が上記チューナに抽出させたチャンネルの放映内容を、録画するためのビデオ録画装置を備えたことを特徴とする請求項2に記載の放送内容受信装置。
4 上記識別表示手段が、上記位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、点滅もしくは反転させることにより、指定されなかった位置の番組内容とは識別可能に表示するもの
であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の放送内容受信装置。
【発明の詳細な説明】
発明の目的
[産業上の利用分野]
本発明は、テレビの放映内容を受信するための放送内容受信装置に関する。
[従来の技術]
所望のテレビ番組を、見損ねるという失敗は、テレビが登場して久しい今日においてもよくあることである。この失敗は、放送日時を間違えたり、他のことに気を取られて忘れてしまう等が主な原因である。また、放送時間に間にあうようにテレビの電源を入れたものの、チャンネルを間違え、しかもこれに気が付かないこともある。この場合、所望の番組とは異なる番組が画面に出力されてから正しいチャンネルに直すことになるので、冒頭の部分を見損ねてしまう。
この対策として、見たい番組をビデオ録画装置(いわゆるビデオテープレコーダ)に録画予約しておくという方法がある。しかしこうした録画装置では、録画開始時刻や収録番組のチャンネルの設定や録画終了時刻等、設定内容が多岐に亘り、設定にはかなりの手間と慣れとを要する。そこで、機械の操作に慣れない老人等でも簡易に録画予約の設定ができるよう、バーコードを使って録画開始時刻を読み込ませたり、一週間を単位として毎週同時刻に同じ番組を録画する機能を備えた録画装置も提案されている。
[発明が解決しようとする課題]
しかしながら、こうした録画装置でも、バーコードといったいわば約束事を用いるため、操作が直観的ではなく、しかもその操作が煩雑であるという問題があった。特に、放映時間が連続する異なるチャンネルの番組を録画する場合や、同じ番組が週によって異なる時間帯に放映されるといった場合には、バーコードを使用してもその設定は極めて煩雑なものになってしまう。また、バーコードの場合、読み取りミスもあり得る。
本発明は上記課題を解決し、見たいテレビ番組を見逃すことがなく、しかも容易に操作可能な放送内容受信装置を提供することを目的とする。
発明の構成
かかる目的を達成する本発明の構成について以下説明する。
[課題を解決するための手段]
本発明の請求項1記載の放送内容受信装置は、受信された、テレビの放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、
少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込む入力手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報から、その日の各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルのその日の番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段と、
該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、
該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、
該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、
該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の放送内容受信装置において、上記入力手段が、少なくともテレビの各番組内容と、その開始時刻と、その終了時刻もしくはその放映時間と、その放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込むものであり、
上記放送順序表示手段が、各番組内容の放映時間に略比例した大きさにて各番組内容を上記放映順に並列させて上記テレビ受像機に表示するもの、
であることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は請求項2記載の放送内容受信装置において、上記放送内容出力手段が上記チューナに抽出させたチャンネルの放映内容を、録画するためのビデオ録画装置を備えたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の放送内容受信装置において、上記識別表示手段が、上記位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、点滅もしくは反転させることにより、指定されなかった位置の番組内容とは識別可能に表示するものであることを特徴とする。
[作用]
上記構成を有する本発明の請求項1記載の放送内容受信装置は、以下のようにして所望の放映内容を受信する。
まず外部より入力手段を介して、少なくともテレビの番組内容、その開始時刻と、放映チャンネルとを含む情報を、当該放送内容受信装置に取り込む。ここで、テレビの番組内容(以下、単に番組内容ともいう)としては、番組名や、その略称や、その内容を代表する語句(例えば「ニュース」「ゴルフ」等)が考えられる。こうして取り込まれた情報から、チャンネル表示手段が、番組内容を取りだし、これをチャンネルの違い毎に、テレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示し、放送順序表示手段が、その同一チャンネルの番組を放送順に、1方向と垂直な方向に並列させてしてテレビ受像機に表示する。これによりテレビ受像機には新聞の番組欄などと略同じ表形式にて番組内容が表示されることになる。
この状態で、位置指定手段、識別表示手段、および設定手段により所望の放送内容を選択する。位置指定手段は、表形式で表示された番組内容の中から任意の番組内容を指定するためのもので、例えばタッチボードやマウスやライトペンにて実現可能なものである。識別表示手段は、位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容の画面表示を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する。そして設定手段は、操作されると識別表示手段にて識別可能に表示された箇所を所望の放送番組として設定する。
設定手段により画面の任意の位置が指定されると、チャンネル補完手段がその位置の番組に対応するチャンネルを、入力手段が取り込んだ情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定する。これと略同様に開始時刻補完手段が、その位置の番組に対応する開始時刻を、入力手段が取り込んだ情報から取り出して、所望の番組の開始時刻として設定する。そして放送内容出力手段が、設定された番組内容に対応する上記情報に基づき、その開始時刻になると、該番組内容に対応する放映チャンネルを上記チューナに抽出させる。
つまりチャンネルの選択を、従来行なわれていたように各チャンネルに対応する数字等によって行なうのではなく、番組内容に基づいて行なう。しかもテレビ受像機にされる表示は上記のような表形式にされることにより、各番組内容の開始時刻についても、時刻を表す数字という抽象的な情報は省略し、視覚的に表している。これにより、チャンネルや開始時刻といった、抽象的で誤り易い情報を操作者に認識させることなく、異なるチャンネルの番組内容や同じチャンネルの前後に放映される番組内容と対比させることにより操作者に認識させることができる。従って、異なるチャンネルや隣接する時刻の類似番組と誤っていないか、といった注意事項が直観的に喚起されることとなる。
そして番組内容の予約は、所望の番組内容が表示されている位置を位置指定手段にて指定し、設定手段を操作すれば完了し、この間、チャンネルの指定や、開始時刻の指定といった抽象的な情報を取り扱う必要がない。省略された開始時刻は、放送内容出力手段がチューナにチャンネルを抽出させる場合に必要となるが、これについては、開始時刻補完手段が、入力手段によって外部から取り込まれた情報により補完される。また、チャンネルについても、位置指定手段によって指定する訳ではないが、チャンネル補完手段によって情報により補完される。
つまり、当該放送内容受信装置の操作者は、新聞などの番組欄を見て所望の番組を選ぶのと同じ感覚で予約を行なうことができる。すなわち、テレビ受像機に表形式で表示された番組内容を見て、所望の番組内容を位置指定手段で指定し、設定手段で設定すればよい。しかも位置指定手段にて指定した位置は、識別表示手段により他の位置と識別可能に表示される。このため、非常に視覚的で判り易いだけでなく、誤って隣の番組内容を予約してしまう心配がない。このため、予約ミスが非常に起こり難い。
更に、請求項2記載の放送内容受信装置のように、入力手段が各番組の終了時刻(もしくは放映時間:その番組が開始してから終了するまでの時間)をも取り込むものとし、放送順序表示手段が、各番組をその放映時間に略比例した大きさにて各番組内容を放映順に並列させて表示するものとすると、一層優れたものとすることができる。
これに反し、放映時間に関係なく、全番組を同じ大きさにし、詰めて表示すると、複数チャンネル分表示しても多チャンネルで放映される所望の番組と裏番組の関係にあるか否かがわからなくなる。この点、請求項2記載の本発明のようにすることにより、各番組が表示されている大きさによって、放映時間をも直観的に把握させることができ、裏番組の関係にあるか否かが非常にわかり易くなる。
請求項3記載の放送内容受信装置では、放送内容出力手段がチューナに抽出させたチャンネルの放映内容を、録画するためのビデオ録画装置を備えている。従って、番組名を上記表形式で表示させ、所望の番組を位置指定手段で指定し、設定手段を用いて選択すれば、その番組がビデオ録画装置に記録される。
請求項4記載の放送内容受信装置では、識別表示手段が、位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、識別可能にするために、その位置を点滅もしくは反転させる。
こうすると、非常に多くの番組を画面に表示させた場合にも、位置指定手段により指定された箇所が一目瞭然で分かる。従って、1画面に表示させたいチャンネル数が多い場合に特に有効である。
[実施例]
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の放送内容受信装置の一実施例として、録画予約制御装置に適用した例について説明する。まず、第1図は録画予約制御装置の基本的構成を、更に簡略化して例示したブロック図である。本図に示すように録画予約制御装置は、記憶手段と、表示制御手段と、選択手段と、録画設定手段と、録画予約手段とを主に構成されている。記憶手段は、テレビ放送に関する情報が格納されているもので、その情報の内容は、テレビ放送の内容とその各内容の放送開始・終了時刻が、1週間から4週間分程度に亘り格納されたものとなっている。表示制御手段は、記憶手段に記憶された情報をテレビ受像機に表形式で表示させるためのものであり、選択手段は、本発明の位置指定手段、識別表示手段、および設定手段を統合したもので、この表示された情報から所望の放送内容を選択するためのものである。こうして選択された情報に従い録画設定手段が、録画予約手段にその放映時間をビデオ録画装置に設定する。第2図は、実際の録画予約制御装置を示すもので、録画予約カード1の外観をビデオテープレコーダ(VTR)3とこれにケーブル4を介して接続されたテレビ受像機5と共に示す斜視図である。VTR3は、図示するように、ビデオカセットテープを挿入するカセット挿入部7,現在時を表示する時刻表示部8,カード形状の録画予約カード1を上方からスライド挿入する接続部10等を備える。
録画予約カード1は、1週間ないし数週間のテレビ放送の番組の内容・時間等を予め記憶させたものであり、単体であるいは番組の内容を解説した週刊誌・月刊誌等と共に販売される。番組の内容等は、本実施例では、後述するように、ROMに記憶しているが、書換え可能なPROMないしバッテリによりバックアップされたRAMに記憶するものとして、自動販売機等で書き換えるものとしてもよい。この録画予約カード1は、VTR3の接続部10に装着して用いられる。
録画予約カード1は、その表面には、「設定」「毎週」「連続」等の文字が刻印された制御キー11,12,13と、上下左右の矢印が刻印されたカーソルキー21,22,23,24とが設けられている。尚、その最下端には、VTR3内の接続部10に接続されるコネクタ30が設けられている。
次に第3図に従って、録画予約カード1とVTR3の内部構成について説明する。図示するように、録画予約カード1の内部には、周知のCPU31,ROM32,RAM33を中心に、これらとバス34により相互に接続されたキー入力ポート35,入出力ポート38等が設けられている。
ROM32には、制御プログラムと共に、1週間から4週間分程度の放映番組の簡単な内容と放映開始・終了時刻が記憶されている。また、キー入力ポート35には、カード表面に設けられた各キー11ないし13,21ないし24が接続されており、各キーの操作状態を入力する。入出力ポート38は、VTR3内部の制御装置とデータ等をやり取りするためのポートであり、録画予約カード1がVTR3に装着されたとき、コネクタ3を介してその内部のバス45に接続される。
一方、VTR3の内部には、バス45により相互に接続された周知のCPU51,ROM52,RAM53,タイマ55のほか、アンテナ57を介してテレビ放送電波を受け映像・音声信号を復調するチューナ60,復調した信号をビデオテープに録画しあるいは再生する録画再生部65,映像信号をテレビ5に出力する映像信号出力部70等を備える。タイマ55は、年月日を管理するカレンダ機能および24時間の時計機能を備え、予め内部バス45を介してCPU51により設定された時刻なるとこれをCPU51に割込として報知すると共に、時刻表示部8に現在時を表示する。また、チューナ60は、CPU51の指令を受けて復調するチャンネルを選択することができる。選択されたチャンネルの復調された映像信号は、録画再生部65に出力されるが、この録画再生部65には、CPU51の制御信号も出力されており、録画再生部65はこの信号を受けて、映像信号の録画・再生に応じて、図示しない録画再生用ヘッドの駆動、テープリール駆動用モータの制御等を行なう。更に、映像信号出力部70は、チューナ60により復調されたあるチャンネルの映像信号、録画再生部65により再生された映像信号、CPU51がRAM53に記憶した画像データを読み出して生成する映像信号のうちの何れかひとつの映像信号を選択し、これを一旦図示しない内部のビデオメモリに蓄えた後、テレビ受像機5に常時出力する。
次に、第4図に示す番組表の説明図、第5図,第6図に示すフローチャートに従って、録画予約カード1およびVTR3の各CPU31,51が実行する処理について説明する。録画予約カード1は、VTR3に装着されて電源が投入されると、第5図に示すカード側処理ルーチンを開始し、まず、カーソル位置の初期化等の処理を行なう(ステップ100)。カーソルの初期位置は、予め定めた原点であり、第4図に示す番組表では、最も小さな番号のチャンネルでかつ最も早い時間帯の番組(本実施例では番組A1)に対応した位置である。その後、ROM32から番組表を読み出し(ステップ110)、このうちカーソル位置に応じた領域の番組データおよびカーソル位置のデータを入出力ポート38を介してVTR3に出力する処理を行なう(ステップ120)。即ち、テレビ受像機5には、番組表の全てを一度に表示することができないので、カーソルの位置を中心に一画面分の番組データを出力するのである。出力された番組データは、コネクタ30を介して一旦RAM53に記憶され、後でCPU51の制御により映像信号出力部70に送られ、ここで映像信号に変換された後、テレビ受像機5に出力される。つまり、接続部10、及び接続部10から番組データを取り込む処理を行なうCPU51は、これらの外部にあるROM32からコネクタ30等を介して放送内容に関する情報を取り込むので、本発明の入力手段に相当する。そして、ステップ120の処理が本発明のチャンネル表示手段と放送順序表示手段を兼ねた処理となっている。続いて、録画予約カード1の表面に設けられたキーが操作されるのを待ち(ステップ130)、その入力キーに応じてステップ140以下の処理に移行する。
入力されたキーがカーソルキーの場合には、操作されたキー21ないし24のいずれかに応じたカーソルデータを出力し(ステップ140)、RAM33に記憶されるカーソル位置情報を番組表の構成に応じて更新する処理を行なう(ステップ150)。例えば、カーソルが第4図に示す番組C3の位置にある場合に、上向き矢印のカーソルキー21が操作されたときには、そのデータをVTR3の映像信号出力部70に出力すると共に、録画予約カード1内のカーソル位置情報を番組C3から番組C2の位置に更新するのである。また、右向き矢印のカーソルキー24が操作された場合には、カーソル位置情報は、番組C3から番組D3の位置に更新される。以上の処理の後、ステップ120に戻り再びステップ120以下の処理を実行する。従って、カーソルが現在表示している領域の外に移動された場合には、ステップ120の処理により、表示される番組の領域も更新される。
ステップ130の判断において入力キーが「設定」キー11であると判別された場合には、現在のカーソル位置情報に応じた番組の開始時刻とそのチャンネル番号とをROM32から読み出す(ステップ160)。ここで番組の開始時刻を読み出す処理が本発明の開始時刻補完手段に相当し、チャンネルを読み出す処理が本発明のチャンネル補完手段に相当する。続けて録画開始時刻をVTR3のCPU51に出力する処理を行なう(ステップ170)。例えば、カーソルが番組C3にある場合には、この番組の開始時刻8時45分とチャンネルCH5とが読み出され出力される。つまり設定キー11は本発明の設定手段に相当する。続いて、その番組の終了時刻を読み出して(ステップ180)、その時刻を出力する処理を行なう(ステップ190)。上述した例では、終了時刻9時30分が読み出され出力されることになる。
一方、「毎週」キー12が入力された場合には、ROM3内に記憶された翌週以降の番組をサーチし(ステップ200)、現在カーソルが存在する番組と同一の番組が翌週以降に存在するか否かの判断を行なう(ステップ210)。翌週以降に同一番組が存在すれば、既述した「設定」キーの操作時と同様に、その番組の日付を含む開始時刻・チャンネルの読出と出力、更に終了時刻の読出と出力とを行なう(ステップ160ないし190)。同一番組がなければ、そのままステップ120に戻って、キー入力から処理を繰り返す。この処理により、翌週以降に同一番組が異なる時間帯に放映される場合でも、容易にこれを予約することができる。尚、VTR3側の処理については後述する。
ステップ130において入力キーが「連続」キー13であった場合には、それまでに設定した複数の番組のうち連続する番組についてその終了時刻を取り消す処理を行なう(ステップ220)。この結果、連続する複数の番組(チャンネルが異なる場合も同一の場合も含む)の録画が設定された場合、ひとつの番組の放映時間が終了する度にVTR3の電源を落とすことがない。
以上、録画予約カード1側の処理について説明したが、この処理に応じて、VTR3側では次の処理が行なわれる。第6図に示すように、まず、録画予約カード1からデータの出力があるまで待ち(ステップ300)、データ出力があった場合には、その内容を判別する(ステップ310)。出力の内容がカーソルデータ(第5図ステップ140に対応)の場合には、CPU51は、映像信号出力部70にデータを出力し、表示している番組の反転位置を更新する(ステップ350)。例えば、第4図に斜線を施した番組C3が反転表示されている場合、録画予約カード1から下向き矢印のカーソルキー22が操作されたとの情報が送られたときには、番組C4を反転表示し番組C3を正常表示した映像信号の出力に切り換えるのである。つまりカーソルキー21ないし24が本発明の位置指定手段に相当し、指定された番組を反転表示させる処理が本発明の識別表示手段に相当する。
一方、録画予約カード1からの出力の内容が番組表のデータである場合には、第5図ステップ120で出力されるデータに対応して、これを一旦RAM53に蓄えた後、テレビ受像機5に表示するデータとして映像信号出力部70にセットする処理(ステップ320)と、録画予約カード1が出力するカーソル位置データを入力する処理とを行なう(ステップ330)。続いて、入力したカーソル位置のデータに基づいて反転表示する番組の位置を映像信号出力部70に設定する処理を行なう(ステップ340)。
また、録画予約カード1からの出力の内容がカード側の処理、ステップ170,190に対応した設定時刻情報の場合には、この情報を一旦RAM53に記憶し(ステップ360)、記憶した複数の時刻情報のうちもっとも現在時に近い日付・時刻をタイマ55にセットする処理を行なう(ステップ370)。タイマ55は、セットされた日付・時刻になるとCPU51に割込をかけ、チューナ60,録画再生部65を駆動して記憶されたチャンネルの番組をビデオカセットテープに録画する処理を行なわせる。
これらステップ310ないし370の処理の終了後、ステップ300に戻って、録画予約カード1からのデータ出力まで待機する処理から繰り返す。
以上説明した録画予約カード1側の処理およびVTR3側の処理により、使用者は、次のようにして録画予約の設定を行なう。
(1) まず、VTR3に録画予約カード1を装着し電源を投入すると、テレビ受像機5にその日の番組表の一部が、第4図に示すように、表形式で表示される。カーソルキー21ないし24を操作することにより、所望の番組を反転表示させることができ、現在表示されている領域の外に反転表示部を移動するようなカーソル操作がされた場合には、表示領域が更新される。尚、その日の番組表以外の番組表を表示させる処理は、特に説明しなかったが、専用のキーを設けてもよいし、カーソルキー21,22と他のキーとの組合せにより、前日もしくは翌日の番組表を表示するよう構成することも好適である。
(2) 所望の番組を反転表示させた状態で録画予約カード1の「設定」キー11を操作すると、その番組の日付を含む開始時刻とチャンネルおよび終了時刻が記憶され、VTR3はその開始時刻がくると、記憶されたチャンネルを、チューナ60にて受信・復調して出力し、録画再生部65は録画を開始し、終了時刻がくると録画を終了する。つまりこの部分の処理は、本発明の放送内容出力手段に相当する処理に、録画再生部65を制御する処理を加えた処理となっている。
(3) ある番組の録画予約を行なった後、「毎週」キー12を操作すると、予めROM32内に記憶された翌週以降の番組の内容をサーチし、現在反転表示されている番組と同一のものが存在すれば、その日付を含む開始時刻・チャンネルおよび終了時刻を設定する。従って、同一の番組が異なる時間帯に放映されていても誤りなく録画予約を行なうことができる。
(4) 複数の番組の録画予約を設定した後、「連続」キー13を操作すると、録画予約した番組のうち、連続した時間帯になっている番組の終了時刻の設定を取り消す。従って、連続した時間帯で複数の番組を録画する場合、設定された各番組の終了毎にVTR3の電源を落とすことがなく、VTR3の耐久性上好ましい。
以上説明したように、本実施例の録画予約カード1は、予め1週間ないし数週間分の番組の内容とその開始終了時刻を記憶しており、これをテレビ受像機5に表示して、番組の録画予約に供するので、録画予約を極めて簡単に行なうことができる。番組を選択するだけでよいので、時間の設定やバーコードの読取等の手間を要せず、機械の操作になれていない者にもその操作は容易である。更に、本実施例では、同一内容の番組をサーチすることができるので、連続番組が異なる時間帯に放映される場合でも、その録画予約を簡略に行なうことができる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、例えばカーソルキーに代えてテレビ受像機の画面上に設置されたタッチボードや、マウスあるいはライトペンで所望の番組を選択する構成、設定操作のキーをVTR上に直接設けた構成等、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
発明の効果
以上詳述したように、本発明の請求項1記載の放送内容受信装置によれば、番組内容がテレビ受像機に表形式にて視覚的に表示される。これにより、チャンネルや開始時刻といった、抽象的で誤り易い情報を操作者に認識させることなく、異なるチャンネルの番組内容や同じチャンネルの前後に放映される番組内容と対比させることにより操作者に認識させることができる。従って、異なるチャンネルや隣接する時刻の類似番組と誤っていないか、といった注意事項が直観的に喚起されることとなる。
そして番組の内容の予約は、表形式で表示された番組内容の中から所望の番組内容が表示されている位置を位置指定手段にて指定し、設定手段を操作すれば完了する。この間、チャンネルや開始時刻といった抽象的な情報を取り扱う必要がない。開始時刻は、開始時刻補完手段によって補われ、チャンネルはチャンネル補完手段によって補われる。
つまり、当該放送内容受信装置の操作者は、新聞などの番組欄を見て所望の番組を選ぶのと同じ感覚で予約を行なうことができる。すなわち、テレビ受像機に表形式で表示された番組内容を見て、所望の番組内容を位置指定手段で指定し、設定手段で設定すればよい。しかも位置指定手段にて指定した位置は、識別表示手段により他の位置と識別可能に表示される。このため、非常に視覚的で判り易いだけでなく、誤って隣の番組内容を予約してしまう心配がない。このため、予約ミスが非常に起こり難い。
従って、請求項1記載の放送内容受信装置によれば、抽出されたチャンネルの映像信号が所望の画像出力装置(例えばテレビ受像機)に表示されるように予め結線等をしておき、放映時間の前に上記操作を行なえば、所望の放映内容をその冒頭から見ることができる。従来提案されていた、放送内容と、そのバーコードとを並べて表示し、バーコードを装置に入力させる方式では、バーコードを一段読み違えて、所望の放送内容の隣に表示されている放送内容を選択してしまう虞があったが、請求項1記載の放送内容受信装置によれば、放送内容が表示されている画面位置そのものがその他の位置と異なる表示状態にされるため、こうしたことがない。
請求項2記載の放送内容受信装置では、入力手段が各番組の終了時刻(もしくは放映時間)をも取り込むものとし、放送順序表示手段が、各番組をその放映時間に略比例した大きさにて各番組内容を放映順に並列させて表示するものとされているため、各番組が表示されている大きさによって、放映時間をも直観的に把握させることができ、裏番組の関係にあるか否かが非常にわかり易くなる。
請求項3記載の放送内容受信装置においては、放送内容出力手段がチューナに抽出させたチャンネルの放映内容を、録画するためのビデオ録画装置を備えているので、テレビ受像機に表形式で表示された番組名から、所望の番組を位置指定手段および設定手段を用いて選択する、という簡易な操作で録画予約をすることができる。こうして録画された内容を再生させれば、所望の放映内容を見ることができるという優れた効果を奏する。
請求項4記載の放送内容受信装置においては、識別表示手段が、位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、識別可能にするために、その位置を点滅もしくは反転させるので、非常に多くの番組を画面に表示させた場合にも、位置指定手段により指定された箇所が一目瞭然で分かる。従って、1画面に表示させたいチャンネル数が多い場合に特に有効である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例である録画予約制御装置の基本的構成を例示するブロック図、第2図は録画予約カード1の外観をビデオテープレコーダ3と共に示す斜視図、第3図は同じく録画予約カード1とビデオテープレコーダ3の内部構成を示すブロック図、第4図は実施例における番組の表示の一例を示す説明図、第5図は録画予約カード1側の処理を示すフローチャート、第6図はビデオテープレコーダ3側の処理を示すフローチャート、である。
1…録画予約カード
3…ビデオテープレコーダ(VTR)
5…テレビ受像機
11,12,13…制御キー
21,22,23,24…カーソルキー
55…タイマ 60…チューナ
65…録画再生部 70…映像信号出力部
 
訂正の要旨 (1)訂正の要旨
(訂正得事項a)
設定登録時の特許請求の範囲の
「【請求項1】受信された、テレビ放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、
少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込む入力手段と、
該入力手段により取り込まれた上記情報から、各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
該入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルの番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段と、該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、
該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段とを備えたことを特徴とする放送内容受信装置。」
を、特許請求の範囲の請求項1の減縮を目的として、以下の通り訂正する。
「【請求項1】受信された、テレビの放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、
少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込む入力手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報から、その日の各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入すると、前記入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルのその日の番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段と、
該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、
該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、
該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段と
を備えたことを特徴とする放送内容受信装置。」
(訂正事項b)
設定登録時の
「【請求項4】上記識別表示手段が、上記位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、点滅もしくは反転させることにより、指定されなかった位置の番組内容とは識別可能に表示するもの
であることを特徴とする請求項1ない3に記載の放送内容受信装置」
の記載を、不明瞭な記載の釈明を目的として、以下の通り訂正する。
「【請求項4】上記識別表示手段が、上記位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、点滅もしくは反転させることにより、指定されなかった位置の番組内容とは識別可能に表示するもの
であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の放送内容受信装置。」
(訂正事項c)
設定登録時の明細書(特許公報第2頁第4欄第16〜20行
「本発明の請求項1記載の放送内容受信装置は、受信された、テレビ放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナと、該チューナにより抽出されたチャンネルの映像信号を表示するテレビ受像機とを備えた放送内容受信装置において、」
の記載を、不明瞭な記載の釈明を目的として、
「と、該チューナにより抽出されたチャンネルの映像信号を表示するテレビ受像機と」
の記載を削除して「本発明の請求項1記載の放送内容受信装置は、受信された、テレビ放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、」
と訂正する。
異議決定日 2000-11-07 
出願番号 特願昭63-138679
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G11B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山澤 宏  
特許庁審判長 内藤 二郎
特許庁審判官 麻野 耕一
高瀬 博明
登録日 1998-10-16 
登録番号 特許第2838892号(P2838892)
権利者 エイディシーテクノロジー株式会社
発明の名称 放送内容受信装置  
代理人 足立 勉  
代理人 田辺 恵基  
代理人 田中 敏博  
代理人 田中 敏博  
代理人 足立 勉  

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