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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1032010
異議申立番号 異議2000-71427  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-04-06 
確定日 2000-12-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2960404号「半導体基板処理方法」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2960404号の特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2960404号(以後「本件特許」という)は、昭和58年11月28日に出願された特願昭58-222004号をもとの出願として、特許法第44条第1項の規定による平成7年12月14日付でされた新たな出願(特願平7-325665号)について、この新たな出願をもとの出願として、更に、平成9年9月5日に、同じく、同条同項の規定による新たな出願(特願平9-240118号)をし、更に、この新たな出願(特願平9-240118号)をもとの出願とした、同じく同条同項の規定による新たな出願である特願平10-217861号に係り、平成11年7月30日にその特許請求の範囲に記載された発明について特許の設定登録がなされ、その後、この本件特許に対し、表記異議申立人より特許異議申立があったので、当審において、当該申立の理由を検討の上、当審より特許取消理由(第1回)を通知したところ、その通知書で指定した期間内の平成12年9月11日に特許異議意見書と共に訂正請求書(第1回)が提出され、さらに、当審から特許取消理由(第2回)を通知したところ、その指定期間内の平成12年10月17日に、先の平成12年9月11日付訂正請求を取り下げると共に、特許異議意見書と共に新たな訂正請求書が提出されたものである。

2.訂正請求の可否
(1)訂正の要旨
平成12年9月11日付の訂正請求は、上記のとおり取り下げられたので、特許権者の求める訂正は、平成12年10月17日付の訂正請求書に記載されたとおりのものであり、その訂正の要旨は、次のア、イのとおりである。
ア.特許請求の範囲の記載を
「【請求項1】
カセットテーブルを下降させ供給カセットから基板を1枚毎取り出し、バッフア室の所定位置に設けられた基板テーブル上に搬送してオリフラ合わせを行い、
前記オリフラ合わせ後の基板を真空処理室の基板電極上方へ搬送し、前記基板電極下方から爪を上昇させ引き続き下降させて前記基板電極に前記1枚の基板を載置し、前記真空処理室を仕切り、前記1枚の基板に所定のプラズマ処理を行い、この間、前記供給カセットから取り出された他の1枚の基板について前記基板テーブル上でオリフラ合わせを行い、
前記仕切りを開き前記プラズマ処理が終了した基板を動作平面の異なるアーム搬送装置を用いて前記真空処理室から搬出すると共に前記オリフラ合わせの終了した他の1枚の基板を前記真空処理室へ搬入し、処理の終了した前記1枚の基板を前記バッファ室を経由してカセットテーブルに搬送し該カセットテーブルを上昇させて回収カセットに前記基板を1枚毎回収することを特徴とする半導体基板処理方法。」に訂正する。(下線部が訂正部分)
イ.上記アにより訂正された特許請求の範囲の請求項1の記載内容と詳細な説明の記載内容を整合させるように、詳細な説明における課題を解決する手段が記載されている【0006】の記載内容を、請求の範囲の記載に合わせる訂正を行う。
(2)訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の実質的拡張・変更の存否
ア.訂正事項アについて
訂正事項アの前段の特許請求の範囲冒頭における「カセットテーブルを下降させ供給カセットから基板を1枚毎取り出し、基板テーブル上に搬送してオリフラ合わせを行い、」とあるのを、「カセットテーブルを下降させ供給カセットから基板を1枚毎取り出し、バッファ室の所定位置に設けられた基板テーブル上に搬送してオリフラ合わせを行い、」と訂正している箇所は、基板テーブルの位置を限定しているのであって、明らかに特許請求の範囲の減縮を目的としており、願書に添付した明細書の【0014】や【0015】及び図2、図3には、「バッファ室10の所定位置に設けられた基板テーブル141」が明示されており、前記訂正は、願書に添付した明細書及び図面に記載されていた範囲内の訂正といえる。
中段における「前記基板電極に所定のプラズマ処理を行い、」とあるのを、「前記基板電極に前記1枚の基板を載置し、前記真空処理室を仕切り、前記1枚の基板に所定のプラズマ処理を行い、」に訂正する箇所は、基板電極に置かれる基板が1枚であることを限定し、さらに、載置からプラズマ処理を行うまでの間に真空処理室を仕切ることを限定しているのであり、明らかに特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、願書に添付した明細書の【0025】に「仕切り手段183によりバッファ室10と真空処理室20とは仕切られる。」との記載からみて、願書に添付した明細書及び図面の記載範囲内の訂正といえる。
同じく、中段の「この間、前記基板テーブル上で次の基板のオリフラ合わせを行い、」とあるのを、「この間、前記供給カセットから取り出された他の1枚の基板について前記基板テーブル上でオリフラ合わせを行い、」と訂正している箇所は、オリフラ合わせが行われる基板を「前記供給カセットから取り出された他の1枚の基板」と限定しているものであって、特許請求の範囲の減縮を目的としているものといえ、願書に添付した明細書の【0026】の「この間、供給カセット70からは、上記した操作により基板30が取り出されベルト搬送装置110、80で搬送されて基板テーブル141に渡されオリフラが合わされた後に基板のせ具151に渡される。」との記載からみて自明な事項であって、願書に添付した明細書及び図面の記載範囲内の訂正といえる。
後段の「前記プラズマ処理が終了した基板は前記真空処理室から搬出し、カセットテーブルを上昇させて回収カセットに前記基板を一枚毎回収することを特徴とする半導体基板処理方法。」とあるのを、「前記仕切りを開き前記プラズマ処理が終了した基板を動作平面の異なるアーム搬送装置を用いて前記真空処理室から搬出すると共に前記オリフラ合わせの終了した前記他の1枚の基板を前記真空処理室へ搬入し、処理の終了した前記1枚の基板を前記バッファ室を経由してカセットテーブルに搬送し該カセットテーブルを上昇させて回収カセットに前記基板を1枚毎回収することを特徴とする半導体基板処理方法。」と訂正している個所は、特許明細書の請求項1の要件を「仕切り」及び「アーム搬送装置」について限定するとともにオリフラ合わせの行い方を明確に限定するものであって、明らかに特許請求の範囲の減縮に該当し、また、当該訂正事項については、特許明細書の【0016】、【0024】において記載されており、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、訂正事項アによる訂正は、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内において、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
イ.訂正事項イについて
訂正事項イによる訂正は、訂正事項アによる訂正後の特許請求の範囲の内容と、発明の詳細な説明の内容との整合を図り、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内において、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3)訂正請求の認容について
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項に掲げる事項を目的とするものであり、同第120条の4第3項において準用する特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正の請求を認容する。

3.当審からの取消理由について
当審から通知した特許取消理由(2回目)は、特許明細書の特許請求の範囲における記載不備に関するものであり、当該不備は上記訂正により解消している。なお、特許取消理由(第1回)は、特許異議申立ての理由に基づくものであり、次項において検討する。

4.特許異議申立ての判断
(1)本件特許発明の認定
上記のとおり、平成12年10月17日付の訂正請求は認容されるので、本件特許発明は、訂正請求書に添付された全文訂正明細書の特許請求の範囲に記載された下記の請求項1のとおりのものと認める。
【請求項1】
カセットテーブルを下降させ供給カセットから基板を1枚毎取り出し、バッフア室の所定位置に設けられた基板テーブル上に搬送してオリフラ合わせを行い、
前記オリフラ合わせ後の基板を真空処理室の基板電極上方へ搬送し、前記基板電極下方から爪を上昇させ引き続き下降させて前記基板電極に前記1枚の基板を載置し、前記真空処理室を仕切り、前記1枚の基板に所定のプラズマ処理を行い、この間、前記供給カセットから取り出された他の1枚の基板について前記基板テーブル上でオリフラ合わせを行い、
前記仕切りを開き前記プラズマ処理が終了した基板を動作平面の異なるアーム搬送装置を用いて前記真空処理室から搬出すると共に前記オリフラ合わせの終了した他の1枚の基板を前記真空処理室へ搬入し、処理の終了した前記1枚の基板を前記バッファ室を経由してカセットテーブルに搬送し該カセットテーブルを上昇させて回収カセットに前記基板を1枚毎回収することを特徴とする半導体基板処理方法。
(2)特許異議申立理由の概要
特許異議申立人は、本件特許発明に対して、甲第1号証乃至甲第3号証を提出して、本件特許発明は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に基づいて拒絶査定されるべき出願について受けたもので、取り消されるべきである旨主張している。
(3)引用刊行物とその記載事項の概要
甲第1号証(実願昭54-161122号(実開昭56-77757号)のマイクロフィルム)には、「真空空間の試料輸送機構」に関して、図3〜図7とともに、下記ア.の記載がある。
ア.「第3図は本考案をマイクロ波プラズマエッチング装置に適用した場合の上面図で、・・・2つの方向を示す矢印及び回転試料台11の軸に付した矢印は、それらが付されている部品の運動方向を示す。14は反応管を意味し、回転試料台11が回転して、試料がこの下にはいった所で処理が行なわれる。15および17は第1および第2のカセットそれぞれ7および9を所定の高さにする、上下運動する台で、16および18は試料をアーム10にのせたり、それから降ろしたりする役をする、同様に上下動するシリンダである。・・・第6図は本考案による試料輸送機構の1例の動作の説明図である。図中、左側が主真空室、右側が副真空室である。・・・試料から第1のカセット7から取り出され、ベルト8にのって、シリンダ18の真上に来た所で、ベルト8は停止する(B)。シリンダ18が上昇し、試料を持ち上げる(D)。シリンダ18が下降する(E)。アーム10がdからcに移動する(F)。シリンダ16が上昇する(G)。アーム10がcからdに移動する(H)。シリンダ15が下降する(1)。アーム10が再びaに戻る(J)。試料を主真空室1から副真空室2に移すときは、逆の過程をたどる。・・・第7図は本考案を適用した平行平板型プラズマエッチング装置の構成を示す図である。・・19は平行平板電極である。」(第5頁第8行〜第7頁第14行)
甲第2号証(特開昭57一132659号公報)には、「イオン打込み装置」に関して、下記イ.の記載がある。
イ.「真空吸引によりウェハを固定して回転し、ウェハファセットの位置での光量変化等によりウェハファセットを検知する方法も広く用いられているが、真空中では真空吸引が不可能であり、このような技術も使用ができなかった。
本発明は、ウェハを一枚ずつ自動装着するウェハ装着部にウェハファセットの向きを真空中において所定の方向に揃える機構を備えることにより、面チャネリングによってイオンの侵入距離にばらつきが生じるのを防ぎ均一性を高めること、及びウェハ面上のパターンに特定の方向からイオンを打ち込むことができるイオン打ち込み装置を提供することを目的とする。・・・第2図は本発明の実施例であって、1はウェハ、・・まず、ウェハ1がウェハ支持台8の上方からウェハ導入用レール9に沿って入ってくる。・・ウェハファセット2の向きがウェハファセット固定用ガイド10の向きと一致するとウェハ1は回転しなくなり、ウェハファセット2はウェハファセット固定用ガイド10と同じ方向に揃えられる。」(2頁左上欄第11行〜左下欄第2行、第2,3図参照)
甲第3号証(特公昭58-8106号公報)には、「保護条件下での処理装置」に関して、第1,2,6図とともに、下記ウ〜カの記載がある。
ウ.「ウエイフア20は、扉24が開く方向から真空閘部に接近するコンペア30に載せられて真空閘部18に配送される。扉26が止まり扉24が開いていると、コンベア30上に載せられたウエイフアは空間28内に滑込み扉26の上面に静置される。この位置においては、シーケンス制御装置(図示せず)は扉24を閉じ、空間28(閉鎖位置の扉24と26間の空間)を予備段階の真空ポンプ(図示せず)に接続させる。このポンプは前記空間を真空にするが、その真空度は水銀柱約10ミクロンの真空であることが望ましい。」(第4欄第34〜44行)
エ.「望ましい実施態様が第2図乃至第4図に更に詳細に示されている。真空処理室16(第2図の矢印44により示す)は、ケーシング48で形成される前段真空室46と連通している。」(第5欄第33〜36行)
オ.「ウエイフアレシーバ即ち部品支持ドア74は室46内に配設され、軸76上で回動する様取付けられる。」(第6欄第22〜24行)
カ.「第6図において、部品支持ドア74は、ウエイフフ720を受取る面78と、前記面78の3つの周部に配設された直立した突起部130とを有する略々トレー状である。・・部材138は軸144周囲に回転する様取付けられた円板で、円板138の周部がウエイフア20の周部と係合する様に配置されている。円板138は従来周知の方法(例えば部品支持ドア74の裏面上に取付けられたモータ)により駆動される。・・前記ウェイフア20の回転運動は、円板138により得られ、即ち前記円板138が回転してウエイフアに回転を起こさせる。ウエイフア20のこの様な回転運動は、平坦部146(この平坦部がなければ円形ウエイフアの周部に設けられる)がある回転位置に来て円板138とウエイフアの間に機械的な接触がなくなってウエイフアの回転運動が止まる迄継続する。こうして、所望の方向(例えば、第2図に示す如きイオンビームに対し70の方向)への部品支持ドア74の軸76周囲の回転運動と、面78内のウエイフア20の回転運動により、イオンビームに対する結晶格子の2つの軸の希望の方向が得られる。」(第8欄第42行〜第10欄第1行)
(4)対比・判断
本件特許発明と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、甲第1号証における「第1のカセット7」が、本件特許発明の「供給カセット」に、以下同様に「試料」が「基板」に、「シリンダ18」上の試料が載る部分が「基板テーブル」に、「台15、17」が「カセットテーブル」に、「主真空室1」が「真空処理室」に、「副真空室2」が「バッファ室」に、「主ゲートバルブ3」が「仕切り」に、「平行平板電極」が「基板電極」に、「シリンダ16」が「爪」に、「第2のカセット」が「回収カセット」に相当し、両者は、
「カセットテーブルを下降させ供給カセットから基板を1枚毎取り出し、バッファ室の所定位置に設けられた基板テーブル上に搬送し、基板を真空処理室の基板電極上方へ搬送し、前記基板電極下方から爪を上昇させ引き続き下降させて前記基板電極に基板を載置し、真空処理室を仕切り、所定のプラズマ処理を行い、仕切を開き前記プラズマ処理が終了した基板は前記真空処理室から搬出し、カセットテーブルを上昇させて回収カセットに前記基板を一枚毎回収する半導体基板処理方法」である点で一致し、以下の点で相違している。
<相違点>
本件特許発明においては、「基板電極に1枚の基板を載置し、真空処理室を仕切り、前記1枚の基板にプラズマ処理を行っている間に、供給カセットから取り出された他の1枚の基板について基板テーブル上でオリフラ合わせを行」うものであって、「前記仕切りを開き前記プラズマ処理が終了した基板を動作平面の異なるアーム搬送装置を用いて前記真空処理室から搬出すると共に前記オリフラ合わせの終了した他の1枚の基板を前記真空処理室へ搬入」しているのに対して、甲第1号証に記載された発明においては、基板電極には複数枚の基板を載置し、その中の1枚についてプラズマ処理を行うものであって、基板の搬送アームは2本以上アームを取り付けることも可能であるものの各アームの動作平面が異なることやオリフラ合わせについては全く記載されていない点。
以下上記相違点について検討する。
甲第2号証及び甲第3号証には、イオン打ち込み等を行う処理装置において、真空室内でのウェハ処理前にオリフラ合わせを行うことが開示されているが、動作平面が異なるアーム搬送装置を用いてオリフラ合わせ後の基板を所定のプラズマ処理を行っている間に前記基板テーブル上で次の基板のオリフラ合わせを行うことについては全く記載されていない。また、甲第1号証における主真空室1は、複数のウェーハが円周上に載置され処理されるものであり、本件特許発明における「基板電極に1枚の基板を載置し、真空処理室を仕切り、前記1枚の基板にプラズマ処理を行」うものではないので、基板の搬送アームを2本以上を取り付けたとしても、前記1枚の基板にプラズマ処理を行っている間に、供給カセットから取り出された他の1枚の基板について基板テーブル上でオリフラ合わせを行い、」「前記仕切りを開き前記プラズマ処理が終了した基板をアーム搬送装置を用いて前記真空処理室から搬出すると共に前記オリフラ合わせの終了した他の1枚の基板を前記真空処理室へ搬入」することはできない。
したがって、上記相違点について、甲第2,3号証の記載から当業者が容易に想到し得たとはいえず、上記本件特許発明は、上記相違点を含む構成を備えることにより、特許明細書に記載された基板1枚毎の処理方法に関して「処理時間を短縮でき、スループットを向上できる」という顕著な効果を奏するものと認める。
よって、本件特許発明は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたと認めることはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては本件特許発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
半導体基板処理方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセットテーブルを下降させ供給カセットから基板を1枚毎取り出し、バッファ室の所定位置に設けられた基板テーブル上に搬送してオリフラ合わせを行い、
前記オリフラ合わせ後の基板を真空処理室の基板電極上方へ搬送し、前記基板電極下方から爪を上昇させ引き続き下降させて前記基板電極に前記1枚の基板を載置し、前記真空処理室を仕切り、前記1枚の基板に所定のプラズマ処理を行い、
この間、前記供給カセットから取り出された他の1枚の基板について前記基板テーブル上でオリフラ合わせを行い、
前記仕切りを開き前記プラズマ処理が終了した基板を動作平面の異なるアーム搬送装置を用いて前記真空処理室から搬出すると共に前記オリフラ合わせの終了した前記他の1枚の基板を前記真空処理室へ搬入し、処理の終了した前記1枚の基板を前記バッファ室を経由してカセットテーブルに搬入し該カセットテーブルを上昇させて回収カセットに前記基板を1枚毎回収することを特徴とする半導体基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエッチング装置、プラズマCVD装置、スパッタ装置等の半導体製造工程に適した半導体基板処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の半導体製造プロセス技術の進歩は著しく、ドライエッチング装置においても1μmパターンを処理する機種が現われ、注目を浴びている。このような微細化が進むにつれ、基板は大口径化し、それに伴って半導体製造装置の占有床面積あたりのスループット(時間あたりの基板処理枚数)を向上させることおよび製造プロセス技術の多様化に応えることが大きな課題となっている。
【0003】
このような要求を解決するためには装置を小形化するとともに、複数の真空処理室を用いて多目的処理を行うことが必要で、しかも、プロセス変更やライン変更に対応して真空処理室数を自由に変えてシステムが構成あるいは編成できる真空処理モジュールが要求されるようになってきた。これに対して、従来の、例えば、特開昭57-128928号公報に開示されているような真空処理室と大気中での基板搬送ラインを結合したモジュールを増設できるタイプでは清浄度の悪い大気中を経て基板が次の真空処理室に搬送されるので、処理途中で次の真空処理室に処理を引き継ぐようなプロセス工程への適用にはむかない。
【0004】
また、実開昭57-39430号公報に開示されているようないくつかの真空処理室と一つのバッファ室との間を基板が搬送されて連続的に処理されるようなタイプでは真空処理室数が固定され、プロセス変更やライン変更に対応して真空処理室数を変更したりする自由度がなく、使用しづらいという問題点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、半導体製造における基板の処理時間を短縮でき、スループットを向上出来る半導体基板処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は、カセットテーブルを下降させ供給カセットから基板を1枚毎取り出し、バッファ室の所定位置に設けられた基板テーブル上に搬送してオリフラ合わせを行い、前記オリフラ合わせ後の基板を真空処理室の基板電極上方へ搬送し、前記基板電極下方から爪を上昇させ引き続き下降させて前記基板電極に前記1枚の基板を載置し、前記真空処理室を仕切り、前記1枚の基板に所定のプラズマ処理を行い、この間、前記供給カセットから取り出された他の1枚の基板について前記基板テーブル上でオリフラ合わせを行い、前記仕切りを開き前記プラズマ処理が終了した基板を動作平面の異なるアーム搬送装置を用いて前記真空処理室から搬出すると共に前記オリフラ合わせの終了した前記他の1枚の基板を前記真空処理室へ搬入し、処理の終了した前記1枚の基板を前記バッファ室を経由してカセットテーブルに搬入し該カセットテーブルを上昇させて回収カセットに前記基板を1枚毎回収することを特徴とする半導体基板処理方法にある。
【0007】
本発明によれば、真空処理室内で基板が処理されている間に、真空排気された空間で基板のオリフラ合わせを実施するので、処理時間を短縮でき、スループットを向上出来る。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を図1〜図5で説明する。
図1で、真空処理装置は、真空排気可能なバッファ室10と、バッファ室10に設けられた真空処理室20と、基板30を矢印A方向に搬送可能なバッファ室10に内設された第1の基板搬送手段(図示省略)と、第1の基板搬送手段の両端に対応してバッファ室10の側壁に設けられたゲート弁、仕切具等の真空開閉手段40、41と、この場合、真空開閉手段40、41が設けられた側壁と直角をなし第1の基板搬送手段をはさんで真空処理室20と対応する側壁に設けられたゲート弁等の他の真空開閉手段50、51を介してバッファ室10に具設された真空予備室60と、第1の基板搬送手段との間で他の真空開閉手段50、51を介して基板30を矢印B、C方向に搬送する第2の基板搬送手段(図示省略)と、第1の基板搬送手段の基板搬送経路上で、かつ、真空処理室20に対応して設けられた基板受渡手段(図示省略)と、基板受渡手段と真空処理室20との間で基板30を矢印D方向に搬送する第3の基板搬送手段(図示省略)とを有している。なお、この場合、真空予備室60には、基板カセット70、71を昇降駆動するカセット昇降装置(図示省略)のカセットテーブル(図示省略)が昇降可能に他の真空開閉手段50、51と対応して内設されている。
【0009】
第1〜第3の基板搬送手段、基板受渡手段等を図2で更に詳細に説明する。
図2において、第1の基板搬送手段はベルト搬送装置80であり、ベルト搬送装置80は、その全体を昇降装置、例えば、シリンダ81で昇降駆動されると共に、モータ82でベルト83を回転駆動される。
【0010】
第2の基板搬送手段は、他の真空開閉手段50、51をはさんで真空予備室60に設けられたベルト搬送装置90、100とバッファ室10に設けられたベルト搬送装置110、120である。ベルト搬送装置90のプーリ91、92とプーリ91、92に無端に巻掛けられたベルト93とは、カセット昇降装置130のカセットテーブル131に対応し、かつ、カセットテーブル131が最高位置まで上昇させられた時点でもその上方に位置するように配設されている。
【0011】
ベルト93はモータ94で回転駆動される。ベルト搬送装置110はモータ111でベルト112を回転駆動され、ベルト搬送装置110のベルト搬送装置80側端部は、ベルト搬送装置80のベルト83の一方の昇降動を阻害しないように、この場合、V字形に折曲され最終端のプーリ113は、ベルト搬送装置80のベルト83間に位置するように設けられている。なお、ベルト搬送装置90のベルト93とベルト搬送装置110のベルト112とは同一レベルであり、ベルト搬送装置90とベルト搬送装置110との他の真空開閉手段50側端の間隔は、基板30の受渡しに支障のない大きさとなっている。
【0012】
ベルト搬送装置100のプーリ101、102とプーリ101、102に無端に巻掛けられたベルト103とは、ベルト搬送装置90と同様に配設され、ベルト103はモータ104で回動駆動される。ベルト搬送装置120はモータ121でベルト122を回転駆動され、ベルト搬送装置120のベルト搬送装置80側端部は、ベルト搬送装置110の場合と同様にベルト搬送装置80のベルト83の一方の昇降動を阻害しないようにV字形に折曲され最終端のプーリ123は、ベルト搬送装置80のベルト83間に位置するように設けられている。
【0013】
なお、ベルト搬送装置100のベルト103とベルト搬送装置120のベルト122とは同一レベルであり、ベルト搬送装置100とベルト搬送装置120との他の真空開閉手段51側端の間隔は、基板30の受渡しに支障のない大きさとなっている。また、ベルト搬送装置110のプーリ113とプーリ113に対応するプーリ114との間隔は、基板30の落下を防止して良好に受渡し可能な大きさであり、ベルト搬送装置120のプーリ123に対応するプーリ124との間隔も同様の大きさである。なお、ベルト搬送装置80は、ベルト83のレベルがベルト搬送装置110、120のベルト112、122のレベル以下並びに以上になるように昇降駆動される。
【0014】
基板受渡手段140は、ベルト搬送装置80のベルト83間の寸法より小さい基板テーブル141と昇降装置、例えば、シリンダ142とで構成されている。基板テーブル141は真空処理室20と対応する位置で、この場合は、ベルト搬送装置110、120の間の位置で、ベルト搬送装置80のベルト83間を通過しシリンダ142で昇降可能に設けられている。
【0015】
第3の基板搬送手段は、アーム搬送装置150、160である。アーム搬送装置150は、基板すくい具151とアーム152と回動装置、例えば、パルスモータ153とで構成されている。パルスモータ153は、ベルト搬送装置80と真空処理室20との間で、かつ、基板受渡手段140の基板テーブル141の中心と真空処理室20の基板電極21の中心とを結ぶ線の一方の側(図2では左側)に設けられ、パルスモータ153には、アーム152の一端が設けられている。アーム152の他端には基板すくい具151が設けられている。また、アーム搬送装置160は、基板すくい具161とアーム162と回動装置、例えば、パルスモータ163とで構成されている。パルスモータ163は、ベルト搬送装置80と真空処理室20との間で、かつ、基板受渡手段140の基板テーブル141の中心と真空処理室20の基板電極21の中心とを結ぶ線の他方の側(図2では右側)に設けられ、パルスモータ163には、アーム162の一端が設けられている。アーム162の他端には、基板すくい具161が設けられている。この場合、基板すくい具151、161、アーム152、162の寸法は、基板テーブル141並びに基板電極21に基板30が載置されている場合、この基板30を基板すくい具151、161ですくい可能な寸法である。
【0016】
また、アーム152、162は、基板すくい具151、161で基板30を基板テーブル141と基板電極21との間で搬送可能にパルスモータ153、163でそれぞれ部分回動される。なお、この場合、アーム152、162の動作平面はアーム152が上面、アーム162で下面と異なり、例えば、アーム搬送装置150で基板30を基板テーブル141から基板電極21へ搬送する際に、アーム搬送装置160で基板30を基板電極21から基板テーブル141へ搬送するのを阻害しないようになっている。
【0017】
カセット昇降装置130は、カセットテーブル131と、カセットテーブル131に垂設され下端部にネジが形成された昇降ロッド132と、モータ133で回動駆動される歯車134と、歯車134と噛合し設けられると共に昇降ロッド132の下端部が螺合された歯車135とで構成されている。基板電極21は、ラック・ピニオン機構22を介しモータ23の回動により昇降駆動される。また、基板電極21の中心部には、基板支持用の爪24が昇降装置、例えば、シリンダ25で昇降可能に設けられている。爪24は、その表面が基板電極21の表面以下になる位置と、アーム搬送装置150、160の基板すくい具151、161と基板30を受渡し可能な位置との間で昇降駆動される。
【0018】
図1、図2で示される真空処理装置では、次のような基板処理を行うことができる。
【0019】
まず、他の真空開閉手段50に対応するカセットテーブル131は、最下部に下降させられ、他の真空開閉手段51に対応するカセットテーブル(図示省略)は最上部に上昇させられる。他の真空開閉手段50、51が、例えば、シリンダ52、53の駆動により閉止されバッファ室10と真空予備室60との連通は気密に遮断されると共に、真空開閉手段40、41が閉止又は仕切られてバッファ室10と外部との連通も気密に遮断される。この状態でバッファ室10は真空排気装置(図示省略)を作動させることで所定圧力に減圧排気される。
【0020】
一方、真空予備室60には、外部が大気側である場合は、真空予備室60に設けられた扉等の大気真空開閉手段(図示省略)を開放することで所定枚数の基板30が装填された基板カセット(以下、供給カセットと略)70と基板回収用の空の基板カセット(以下、回収カセットと略)71とが搬入されて、供給カセット70は他の真空開閉手段50に対応するカセットテーブル131に、回収カセット71は他の真空開閉手段51に対応するカセットテーブルにそれぞれ載置される。
【0021】
その後、大気真空開閉手段は閉止され真空予備室60は、真空排気装置(図示省略)でバッファ室10の圧力と同程度の圧力まで減圧排気される。その後、シリンダ52の駆動により他の真空開閉手段50が開放され、これによりバッファ室10と真空予備室60とは連通状態となる。この状態下で、モータ133を駆動しカセットテーブル131を1ピッチ分下降させることで供給カセット70の、この場合、最下部に装填された基板30はベルト93に載置される。
【0022】
その後、モータ94によりベルト93を回転駆動することで載置された基板30は他の真空開閉手段50側へ搬送され、モータ111により回転駆動されているベルト112に他の真空開閉手段50を介して渡される。ベルト112に渡された基板30はベルト搬送装置80側へ搬送される。なお、このときベルト83のレベルがベルト112のレベル以下となるようにベルト搬送装置80全体はシリンダ81により降下させられている。
【0023】
その後、基板30がプーリ113、114にかかる程度に搬送されてきた時点でベルト83のレベルがベルト112のレベル以上となるようにベルト搬送装置80全体はシリンダ81により上昇させられ、これにより基板30はベルト112からベルト83へ渡される。ベルト83に渡された基板30は、モータ82の駆動により基板テーブル141に対応する位置まで搬送された後に、基板テーブル141をシリンダ142で上昇させることで基板テーブル141に受取られる。基板テーブル141に受取られた基板30は、例えば、オリフラ合せ装置170でオリフラを合わされる。
【0024】
その後、基板30は、例えば、基板のせ具151に渡されアーム152をパルスモータ153で真空処理室20側へ回転駆動することで、バッファ室10を経て真空処理室20の基板電極21の上方へ搬送される。その後、爪24をシリンダ25で上昇させることで、基板のせ具151の基板30は、爪24に受取られる。その後、基板30を爪24に渡した基板のせ具151は、真空処理室20外のバッファ室10に退避させられる。その後、爪24を、その表面が基板電極21の表面以下となるようにシリンダ25で下降させることで、基板30は爪24から基板電極21に渡されて載置される。
【0025】
その後、仕切り用のフランジ180と、フランジ180の裏面とバッファ室10の底壁とに跨設されたべローズ181と、フランジ180を昇降駆動する昇降装置、例えば、シリンダ182とで構成される仕切り手段183によりバッファ室10と真空処理室20とは仕切られる。この状態で、まず、基板電極20と、基板電極30の上方に対向して真空処理室20に設けられた対向電極(図示省略)との電極間隔は、モータ23を駆動することにより適正間隔に調節される。その後、真空処理室20には、流量を調節されてプロセスガスが導入されると共に、真空排気装置(図示省略)の駆動により真空処理室20の圧力は処理圧力に調整される。
【0026】
その後、例えば、基板電極21に接続された電源、例えば、高周波電源(図示省略)より基板電極21に高周波電力を印加することで、対向電極と基板電極21との間には、グロー放電が生じ、該放電によりプロセスガスはプラズマ化される。このプラズマにより基板電極21に載置された基板30は、エッチング処理等所定処理される。この間、供給カセット70からは、上記した操作により基板30が取り出されベルト搬送装置110、80で搬送されて基板テーブル141に渡されオリフラが合わされた後に基板のせ具151に渡される。
【0027】
真空処理室20での処理が終了した後に仕切り手段183によるバッファ室10と真空処理室20の仕切りは解除され、真空処理室20はバッファ室10と再び連通させられる。その後、基板電極21は、所定位置まで降下させられ、爪24をシリンダ25で上昇させることで、処理済みの基板30は、基板電極21から除去され爪24に渡される。その後、基板のせ具161を爪24に渡された基板30の裏面に対応する位置まで回転させた後に、爪24をシリンダ25で下降させることで、処理済みの基板30は基板のせ具161に渡される。
【0028】
その後、基板のせ具151に渡された基板30は、基板テーブル141から基板電極21へ、また、基板のせ具161に渡された処理済みの基板30は基板電極21から基板テーブル141へそれぞれ搬送される。基板電極21へ搬送された基板30は、上記した操作により所定処理される。この間、基板テーブル141に搬送された処理済みの基板30は、基板テーブル141をシリンダ142で下降させることでベルト搬送装置80のベルト83に渡され、その後、ベルト83、122のモータ82、121による回転駆動で他の真空開閉手段51側へ搬送される。なお、ベルト83からベルト122への処理済みの基板30の受渡しは、ベルト112からベルト83への基板30の受渡しと逆操作により行われる。シリンダ53の駆動により他の真空開閉手段51が開放され、モータ104によりベルト103を回転駆動することで、他の真空開閉手段51側へ搬送されてきた処理済みの基板30は他の真空開閉手段51を介して真空予備室60に搬入され、その後、カセットテーブルを1ピッチ分上昇させることで回収カセット71に回収される。
【0029】
また、供給カセット70からは上記した操作により基板30が取り出されベルト搬送装置110、80で搬送されて基板テーブル141に渡されオリフラが合わされた後に基板のせ具151に渡される。
【0030】
以上のような操作を繰り返し実施することで、供給カセット70からは基板30が1枚毎取り出され、真空予備室60からバッファ室10を経て真空処理室20に搬送され、真空処理室20で1枚毎処理され、処理済みの基板30は、真空処理室20からバッファ室10を経て真空予備室60に搬送されて1枚毎回収カセット71に回収される。
【0031】
図3は、図1、図2で示される真空処理装置を1モジュールとして真空開閉手段40、41を介して2モジュール連設した場合の例を示すものである。なお、図3での構成部品は、図2のそれと全て同一であり、したがって、構成、作用等の説明は省略する。図3で示される真空処理装置では、図4(a)〜図4(c)に示すような基板処理を行うことができる。
【0032】
即ち、図4(a)に示すように基板30を連設された真空処理装置の二つの真空処理室20でシリーズ処理することも、図4(b)に示すように、基板30を連設された真空処理装置の二つの真空処理室20でパラレル処理することも、図4(c)に示すように、基板30を、連設された真空処理装置毎の真空処理室20でパラレル処理することもできる。
【0033】
なおこのような基板処理モードで図4(a)、(b)に示される基板処理モードの場合、前段の真空処理装置の真空予備室60に供給カセット(図示省略)を少なくとも1個セットし、後段の真空処理装置の真空予備室60に回収カセット(図示省略)を少なくとも1個セットするようにする。また、図4(c)に示される基板処理モードの場合、各真空処理装置の真空予備室60に供給カセット(図示省略)、回収カセット(図示省略)を各1個セットするようにする。
【0034】
また、図1、図2で示される真空処理装置を1モジュールとして真空開閉手段40、41を介して2モジュール連設した場合、各真空処理装置における基板30の搬送はバッファ室10を経ることで行われる。
【0035】
更に、図1、図2で示される真空処理装置を1モジュールとして真空開閉手段40、41を介して3モジュール以上連設した場合は、図4に示すような基板処理モードに加えて図5(a)、(b)に示すような基板処理を行うことができる。即ち、図5(a)に示すように、基板30を連設された真空処理装置の前段の真空処理装置の真空処理室20と、この場合は、中段の真空処理装置の真空処理室20とで、まず、パラレル処理し、引続き後段の真空処理装置の真空処理室20でシリーズ処理することも、図5(b)に示すように、基板30を連設された真空処理装置の前段と中段の真空処理装置の真空処理室20でシリーズ処理すると共に、前段と後段の真空処理装置の真空処理室20でシリーズ処理することもできる。
【0036】
なお、このような基板処理モードの場合、前段の真空処理装置の真空予備室60に供給カセット(図示省略)を2個セットし、後段の真空処理装置の真空予備室60に回収カセット(図示省略)を2個セットするようにする。
【0037】
また、各真空処理装置の真空処理室20で基板30をシリーズ処理する場合は、前段の真空処理装置の真空予備室60に供給カセットを1個セットし、後段の真空処理装置の真空予備室に回収カセットを1個セットするようにする。
【0038】
また、各真空処理装置の真空処理室で基板30をパラレル処理する場合は、前段の真空処理装置の真空予備室に供給カセットを少なくとも1個セットし後段の真空処理装置の真空予備室に回収カセットを少なくとも1個セットするようにする。
【0039】
また、各真空処理装置を独立させそれぞれの真空処理室で基板をパラレル処理する場合は、各真空処理装置の真空予備室に供給カセットと回収カセットとを各1個セットするようにする。また、図1、図2で示される真空処理装置を1モジュールとして真空開閉手段40、41を介して3モジュール以上連設した場合でも、各真空処理装置における基板30の搬送は、バッファ室10を経ることで行われる。
【0040】
本実施例のような真空処理装置では、次のような効果が得られる。
(1)プロセス変更やライン変更に対応して真空処理室数を自由に変えてシステム構成あるいは編成ができる。
(2)基板は真空排気されているバッファ室を経て次の真空処理室に搬送されるため、処理途中で次の真空処理室へ処理を引継ぐようなプロセス工程にも問題なく適用できる。
(3)第2の基板搬送手段と第3の基板搬送手段とを平行とし真空処理装置の前面横幅を小さくすることができ、多モジュール構成がし易くなっている。
(4)真空予備室を真空排気可能なカセット室としているので、真空処理装置の奥行寸法を小さくすることができ、多モジュールシステムでは、1モジュールに2個のカセットをセットすることも可能でスループット向上時のカセットセット時間間隔を長くすることができる。
(5)第3の基板搬送手段として動作平面の異なるアーム搬送装置を用いているので、真空処理室への基板の搬入、搬出を同時に行うことができるので、スループットを向上できる。
(6)多モジュールによるシリーズ処理あるいはパラレル処理が可能となるため、真空処理装置の小形化と合わせ床面積当りのスループットを向上させることができる。
(7)バッファ室に設けられる真空開閉手段の開口面積は、基板が1枚通過可能な面積であればよく、したがって、多モジュールの場合、真空処理装置間での残留プロセスガスの混入がほとんど生じないため、各真空処理装置でのプロセスガスに対する独立性を確保できる。
【0041】
なお、真空処理装置の奥行寸法を小さくして、しかも他の装置との連続一貫処理を目指す場合は、図6に示すように、真空予備室60′を例えば、真空開閉手段40を介してバッファ室10に具設すると共に、矢印A方向に基板30を搬送する第1の基板搬送手段であるベルト搬送装置(図示省略)との間で真空開閉手段40を介して矢印E方向に基板30を受渡し可能に第2の基板搬送手段であるベルト搬送装置(図示省略)を真空予備室60′に設けるようにする。この場合、他の真空開閉手段は不用である。
【0042】
以上、説明した実施例では、真空予備室を供給カセット、回収カセットが外部より搬入されてセットされるような真空予備室としているが、特に、このような真空予備室に限定する必要はない。例えば、供給カセット、回収カセットを真空予備室に固定してセットし、供給カセットに外部から所定枚数基板を装填すると共に、回収カセットに回収された基板を回収カセットから取り出して外部へ搬出するようにしても良い。
【0043】
また、第1の基板搬送手段は、ベルト搬送装置の他に基板をバッファ室に設けられた真空開閉手段との間で搬送するようなものであれば良い。また、第2の基板搬送手段は、ベルト搬送装置の他に、例えば、アームが直進するアーム搬送装置、アームが回動するアーム搬送装置等を用いても良い。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、真空処理室内で基板が処理されている間に、真空排気された空間で基板のオリフラ合わせを実施するので、処理時間を短縮でき、スループットを向上出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明による真空処理装置の一実施例を示す平面図。
【図2】
図1の真空処理装置の基板搬送手段の斜視構成図。
【図3】
図1の真空処理装置を2モジュール連設した真空処理装置の基板搬送手段の斜視構成図。
【図4】
(a)ないし(c)は、2モジュール真空処理装置での基板処理モード図。
【図5】
(a)、(b)は、3モジュール真空処理装置での他の基板処理モード図。
【図6】
本発明による真空処理装置の他の実施例を示す平面図。
【符号の説明】
10…バッファ室、20…真空処理室、30…基板、40、41…真空開閉手段、50、51…他の真空開閉手段、60、60′…真空予備室、80ないし120…ベルト搬送装置、140…基板受渡手段、150、160…アーム搬送装置
 
訂正の要旨 本件特許異議申立に係る訂正請求における訂正の要旨は、次のア、イのとおりである。
ア.特許請求の範囲の記載を
「【請求項1】
カセットテーブルを下降させ供給カセットから基板を1枚毎取り出し、バッフア室の所定位置に設けられた基板テーブル上に搬送してオリフラ合わせを行い、
前記オリフラ合わせ後の基板を真空処理室の基板電極上方へ搬送し、前記基板電極下方から爪を上昇させ引き続き下降させて前記基板電極に前記1枚の基板を載置し、前記真空処理室を仕切り、前記1枚の基板に所定のプラズマ処理を行い、この間、前記供給カセットから取り出された他の1枚の基板について前記基板テーブル上でオリフラ合わせを行い、
前記仕切りを開き前記プラズマ処理が終了した基板を動作平面の異なるアーム搬送装置を用いて前記真空処理室から搬出すると共に前記オリフラ合わせの終了した他の1枚の基板を前記真空処理室へ搬入し、処理の終了した前記1枚の基板を前記バッファ室を経由してカセットテーブルに搬送し該カセットテーブルを上昇させて回収カセットに前記基板を1枚毎回収することを特徴とする半導体基板処理方法。」に訂正する。(下線部が訂正部分)
イ.上記アにより訂正された特許請求の範囲の請求項1の記載内容と詳細な説明の記載内容を整合させるように、詳細な説明における課題を解決する手段が記載されている【0006】の記載内容を、請求の範囲の記載に合わせる訂正を行う。
異議決定日 2000-11-15 
出願番号 特願平10-217861
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中西 一友飯塚 直樹豊永 茂弘瀧内 健夫  
特許庁審判長 神崎 潔
特許庁審判官 大島 祥吾
鈴木 法明
登録日 1999-07-30 
登録番号 特許第2960404号(P2960404)
権利者 株式会社日立製作所
発明の名称 半導体基板処理方法  
代理人 高田 幸彦  
代理人 竹ノ内 勝  
代理人 高田 幸彦  
代理人 竹ノ内 勝  

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