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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C09D
管理番号 1032169
異議申立番号 異議2000-71443  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-01-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-04-10 
確定日 2001-01-17 
異議申立件数
事件の表示 特許第2963029号「塗料用組成物」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2963029号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 I 本件発明
特許第2963029号発明は、平成7年6月16日に出願され、平成11年8月6日にその特許の設定登録がなされたものであって、本件請求項1ないし4に係る発明(以下「本件第1ないし4発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】2-〔2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾールと、
一般式(2)


(式中、R10は水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、Zは置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表す)で表されるシクロアルキル基含有不飽和単量体と、水酸基含有単量体とを含む単量体組成物を共重合してなる共重合体を含むことを特徴とする塗料用組成物。
【請求項2】上記単量体組成物が一般式(3)


(式中、R6は水素原子またはシアノ基を表し、R7、R8はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、R9は水素原子または炭素数1〜18の炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイミノ基を表す)で表される紫外線安定性単量体および/または一般式(4)


(式中、R6は水素原子またはシアノ基を表し、R7、R8はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイミノ基を表す)で表される紫外線安定性単量体をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の塗料用組成物。
【請求項3】上記共重合体に、1分子中に水酸基と反応可能な官能基を2個以上有する架橋剤を配合してなることを特徴とする請求項1または2記載の塗料用組成物。
【請求項4】上記架橋剤が、ポリイソシアネート化合物またはその変性物からなることを特徴とする請求項3記載の塗料用組成物。」
II 異議申立ての理由の概要
異議申立人は、本件第1ないし4発明は甲第1ないし3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件第1ないし4発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきものである旨主張している。
III 甲号各証に記載された事項
甲第1号証(特開平4-106161号公報)には「(1)不飽和二重結合を有する紫外線吸収剤を共重合成分として得られるポリマからなるプライマ。(2)基材上に、不飽和二重結合を有する紫外線吸収剤を共重合成分として得られるポリマからなるプライマを有し、該プライマ上にオルガノポリシロキサン系ハードコートを有することを特徴とする複層コーティング物品。」(特許請求の範囲)、「不飽和二重結合を有する紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、・・・等、基本構造は特に限定されることなく、不飽和二重結合を有しているものが用いられる。」(2頁左上欄15〜19行)、「不飽和二重結合を有するベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、下記構造を有するものが挙げられる。構造式(略)ここでR5、R6、R7のうち、少なくとも1つは、不飽和二重結合を有する有機基であり、・・・同種であっても異種であってもよい。」(2頁右上欄13行〜左下欄9行)、「かかるプライマに共重合成分として含有される不飽和二重結合を有するモノマーとしては、・・・シクロヘキシル(メタ)アクリレート・・・2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・・・などが挙げられる。」
(2頁右下欄19行〜3頁右上欄12行)、「本発明により、・・・基材との耐候密着性を向上させ、さらには、基材の耐候劣化を抑えるプライマ・・・を提供することができる。」(12頁右上欄2〜7行)と記載されている。
甲第2号証(特開平7-90184号公報)には「合成樹脂及び重量平均分子量1000〜45000の紫外線吸収性重合体を含有する耐光及び耐薬品性樹脂組成物。」(特許請求の範囲請求項1)、「紫外線吸収重合体が一般式


〔式中、R1、R2及びR3は、そのうちの少なくとも1つが基


(式中R4は炭素数1〜10の・・・アルキレン基を示す。・・・mは0又は1を示す。)を示し、・・・〕で表わされる紫外線吸収性化合物の単独重合体、同族重合体及び該紫外線吸収成分化合物と共重合可能なモノマーとの共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の耐光及び耐薬品性樹脂組成物。」(特許請求の範囲請求項4)、「上記紫外線吸収性モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば・・・メタクリル酸2-ヒドロキシエチル等のメタクリル酸及びそのアルキルエステル・・・を挙げることができる。これらは1種単独で又は2種以上混合して使用される。」(4頁右欄27〜42行)と記載され、具体的には、該紫外線吸収性モノマーとして、2-〔2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等が使用されている(5頁合成例1等参照。)。
甲第2号証の2(大塚化学株式会社カタログ「反応型紫外線吸収剤RUVA-93、RUVA-30M、RUVA-30S」、1995年2月発行)には、2-〔2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾールが記載され、該化合物は反応型紫外線吸収剤として使用されることが記載されている。
甲第2号証の3(大塚化学株式会社石田光司が作成した平成12年4月6日付「頒布証明書」)は、甲第2号証の2の「カタログ」が本件出願前に頒布されていたことを証明したものである。
甲第3号証(特開平6-207142号公報)には「重合性紫外線安定性単量体(a)0.1〜10.0重量%、シクロアルキル基を含有する重合性不飽和単量体(b)5.0〜97.9重量%、水酸基を有する重合体不飽和単量体(c)2.0〜35.0重量%、重合性紫外線吸収性単量体(d)0〜10.0重量%及びその他共重合可能な重合性不飽和単量体(e)0〜92.9重量%からなる重合性単量体成分・・・を共重合してなるアクリルポリオール並びにポリイソシアネート化合物を含んでなることを特徴とするウレタン樹脂塗料用組成物。」(特許請求の範囲請求項1)、「重合性紫外線安定性単量体(a)として、下記一般式(I)及び/又は一般式(II)

(I)
)

(II)
・・・で表される化合物を用いる請求項1に記載のウレタン樹脂塗料用組成物。」(特許請求の範囲請求項3)が記載されている。
IV 対比・判断
1 本件第1発明について
本件第1発明と甲号各証に記載された発明を対比する。
甲第1号証には、不飽和二重結合を有する紫外線吸収剤を共重合成分として得られるポリマからなるプライマが記載され、該紫外線吸収剤として、不飽和二重結合を有するベンゾトリアゾール系化合物が記載され、該化合物と共重合可能な単量体として、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが例示されている。
しかし、甲第1号証には、該紫外線吸収剤として、2-〔2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾールを使用することについて記載されておらず、また、該紫外線吸収剤の共重合成分として、具体的に、シクロアルキル基含有不飽和単量体と水酸基含有単量体を併用した例及びこれを示唆する記載はない。
また、甲第2号証には、合成樹脂及び重量平均分子量1000〜45000の紫外線吸収性重合体を含有する耐光及び耐薬品性樹脂組成物が記載され、該紫外線吸収性重合体として、2-〔2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾールの重合体を使用することが記載されているが、該紫外線吸収性重合体の共重合成分として、シクロアルキル基含有不飽和単量体を使用することについて記載されていない。。
甲第2号証の2は、反応型紫外線吸収剤として、2-〔2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾールを開示するに止まり、本件第1発明の構成要素について何ら触れるものではない。
甲第3号証には、上記一般式(I)、(II)で表される紫外線吸収単量体を
使用することが記載されているが、反応型紫外線吸収剤として、2-〔2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾールを使用することについて記載されていない。
そうすると、甲第1号証には、確かに、紫外線吸収剤として、不飽和二重結合を有するベンゾトリアゾール系化合物が記載され、これと共重合可能な単量体として、シクロアルキル基含有不飽和単量体と水酸基含有単量体が例示されているが、上記2種の単量体を併用することについて示唆されていないことに照らせば、甲第1ないし3号証を併せて考えても、本件第1発明の上記構成要素を採用することは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
そして、本件第1発明は、上記した構成要素を採用することにより、特に光沢保持率が良好で、殆ど黄変しなく、かつ、耐酸性に優れた塗膜を形成し得る塗料用組成物を得ることができるという効果を奏するものである。
したがって、本件第1発明は、甲第1ないし3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本件第2ないし4発明について
本件第2ないし4発明は、本件第1発明を更に技術的に限定したものであるから、上記と同様な理由により、甲第1ないし3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
V むすび
以上のとおりであるから、異議申立ての理由及び証拠によっては、本件第1ないし4発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件第1ないし4発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-12-20 
出願番号 特願平7-150393
審決分類 P 1 651・ 121- Y (C09D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 川上 美秀近藤 政克  
特許庁審判長 花田 吉秋
特許庁審判官 佐藤 修
谷口 操
登録日 1999-08-06 
登録番号 特許第2963029号(P2963029)
権利者 株式会社日本触媒
発明の名称 塗料用組成物  
代理人 白井 重隆  
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