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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C04B
審判 一部申し立て 2項進歩性  C04B
管理番号 1032208
異議申立番号 異議1999-71894  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-12-03 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-05-18 
確定日 2001-01-04 
異議申立件数
事件の表示 特許第2825366号「圧電セラミックス」の請求項1、2、3、5及び6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2825366号の請求項1、2、3、5及び6に係る特許を取り消す。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第2825366号の請求項1〜6に係る発明は、平成3年5月23日に特許出願され、平成10年9月11日にその特許権の設定登録がなされ、平成10年11月18日に特許掲載公報が発行されたところ、平成11年5月18日に株式会社村田製作所より請求項1〜3、5及び6に係る発明の特許に対して特許異議の申立てがなされたものであって、その後、取消理由通知がなされ、それに対して意見書が提出されたものである。

II.本件発明
本件特許第2825366号の請求項1〜6に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜6項に記載された次のとおりのものである。
【請求項1】 圧電特性の異なる少なくとも二種の領域よりなり、かつ各領域は多数の結晶粒子で構成されているとともに、前記各領域の結晶粒子は互いに三次元的に結合している圧電セラミックス。
【請求項2】 周波数の温度特性の異なる少なくとも二種の領域よりなる請求項1に記載の圧電セラミックス。
【請求項3】 周波数の経時特性の異なる少なくとも二種の領域よりなる請求項1または2に記載の圧電セラミックス。
【請求項4】 (省 略)
【請求項5】 圧電セラミックスの平均結晶粒径が5μm以下である請求項1,2,3または4に記載の圧電セラミックス。
【請求項6】 圧電セラミックスの平均結晶粒径が5μm以下で、かつ圧電セラミックスの領域の平均直径が5μm以上300μm以下の範囲内である請求項1,2,3,4または5に記載の圧電セラミックス。
(以下、各請求項に係る発明を順に「本件発明1」〜「本件発明6」という。)

III.各引用例に記載の発明
1.引用例1
当審における取消理由に引用した引用例1(「第7回 強誘電体応用会議講演予稿集」1989年発行、93〜94頁(甲第1号証に該当))は、「(LiBi)1/2置換したPZT系複合圧電セラミックス」と題する報文であって、これには、
(1-1)93頁「1.緒言」の欄
「PZT系セラミックスは、・・・(中略)・・・(M.P.B.)近傍で、大きな圧電性を示し、現在圧電素子として広く普及している。しかし、M.P.B.近傍でヤング率は極小となるため、周波数定数N、電気機械結合係数kともに、複雑な温度依存性を示す。本研究では大きな圧電性を保持したまま、周波数定数Npの温度依存性を改善する目的で、複合焼成(以後”MS”と略す)法を試みた。母材料に、純粋なPZTセラミックスに比べ、固相反応法で低温焼結が可能な、(Li.5Bi.5)xPb1-x(ZryTi1-y)O3(以後、PZT 100x/100yと略す)系セラミックスのM.P.B.近傍の組成を用い、Npの温度係数がほぼ等しい大きさで符号の異なる2組成を組み合わせ、MSした。」、
(1-2)93頁「2.実験方法」の欄
「30℃における周波数定数Npの温度係数TCNpが、TCNp=+44ppm/℃のx=0.05、y=0.50(PZT 5/50)および、TCNp=-67ppm/℃のx=0.15、y=0.49(PZT 15/49)を選び、それぞれ所定量秤量して、アセトン、ジルコニアボールとともにボールミルで湿式混合の後、乾燥、プレス成型し、850℃で1h仮焼した。これらをそれぞれボールミルで粒径がサブミクロンになるまで粉砕、乾燥して、MSの母材料とした。それぞれの母材料にP.V.A.を加え、図1に示す様に、2種類のメッシュを通してふるい分けをして、約φ0.5〜1.0mmの団粒をそれぞれ作成した。PZT 15/49およびPZT 5/50の団粒を(15/49:5/50)=1:1および2:3の割合でボールミルにより3分間乾式混合し、φ15mm、厚さ約1mmにプレス成型して、1030℃で2h本焼した。x=0.15系およびx=0.05系の最適焼成温度は、それぞれ1020℃および1040℃であるため、その中間の温度1030℃で本焼した。得られたセラミックスについて、X線回折、磁器的性質、誘電的性質および圧電的性質の評価を行った。」、
(1-3)93〜94頁「3.結果および考察」の欄
「1)磁器的性質 1030℃で2h本焼した試料は、いずれも95%以上の密度比が得られており良好な焼結性を示した。正方晶のPZT 15/51および菱面晶のPZT 15/53について、単体及び複合(MS)した試料のX線回折パターンを図2に示す。2θ=45°付近の(002)と(200)のピークは、MSすることによりブロードになり、2相が完全に反応することなく混在していることがわかる。本研究で用いた組成PZT 15/49およびPZT 5/50の結晶構造はいずれも正方晶であるため、MS試料の複合状態をX線回折により判断するのは困難である。しかしながら、上記の結果より、この複合系についても団粒を用いてMSすることにより、2相を混在させたまま優れた特性を持つ複合セラミックスの作成が可能である。
2)誘電的性質 図3に母材料およびMS試料の誘電温度特性を示す。MS試料のキューリー温度Tc=385℃は、2つの母材料のTc(5/50)=391℃およびTc(15/49)=354℃の中間にあり、ピークはブロードになっていることにより、複合状態が実現しているものと思われる。
3)圧電的性質 図4および図5に母材料およびMS試料のNpおよび電気機械結合係数Kpの温度特性をそれぞれ示す。Npの温度係数は、(1:1)はTCNp=-34ppm/℃、(2:3)はTCNp=+11ppm/℃が得られた。PZT 15/49およびPZT 5/50はもともとNpの温度係数が小さい組成ではあるが、MSによりそれがさらに改善されているのが認められる。又、MS試料のNpの温度係数が、母材料のそれぞれの温度係数の単純な和に近い値を示していることがわかる。・・・(中略)・・・このように、M.P.B.近傍の組成でNpの温度係数が正のものと、負のものをMSすることによりこの温度域で高いKpを保持したまま、Npの温度依存性を改善することができた。この手法は、一般的にセラミックス材料の設計において、大変有効な手段であると考えられる。」、
との記載があるほか、
(1-4)93頁の図1には、2つの篩を用いて団粒の直径がφ0.42〜φ1.00mmのものを得たことが示されている。
2. 引用例3
同じく引用例3(岡崎清著「-第3版- セラミック誘電体工学」株式会社学献社、1983年6月10日発行、496〜497頁(甲第3号証に該当))には、496頁の図13・1・3に、「Pb(Mn1/3Sb2/3)O3-PbTiO3-PbZrO3系セラミックスにおける共振周波数fRの温度係数と経時変化」として、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3-PbTiO3-PbZrO3の各組成比を変化させたときの共振周波数の温度係数(fR temp.coef[ppm/℃])及び経時変化率(fR aging rate[×10-3/decade])の変動を表す図が示されている。

IV.対比・判断
1. 本件発明1について
上記引用例1には、上記「(1-2)」に摘記したように、(Li0.5Bi0.5)xPb1-x(ZryTi1-y)O3において、x=0.05及びy=0.50のもの(PZT 5/50)と、x=0.15及びy=0.49のもの(PZT 15/49)との2種類の圧電材料を、それぞれ別個に、原料粉末を湿式混合、乾燥、プレス成形した後に仮焼し、次いでサブミクロンになるまで粉砕、乾燥した後、P.V.A.を加えて約φ0.5〜1mmないしφ0.42〜φ1.00mm(上記「(1-4)」参照)の団粒を作製し、PZT 15/49及びPZT 5/50の団粒を15/49:5/50=1:1及び2:3の割合で乾式混合、プレス成形した後、本焼して製造した圧電セラミックスが記載されている。
上記組成PZT 5/50の圧電セラミックス及び組成PZT 15/49の圧電セラミックスは、それぞれ30℃における周波数定数Npの温度係数TCNpが+44ppm/℃及び-67ppm/℃の圧電セラミックスであるから、両者は圧電特性が相違するものである。
また、上記「(1-3)」には、「組成PZT 15/49およびPZT 5/50の結晶構造はいずれも正方晶である」こと及び「団粒を用いてMSすることにより、2相を混在させたまま優れた特性を持つ複合セラミックスの作成が可能である」ことが示されているから、少なくともそれぞれの団粒に対応して異なる相が形成されていること及びこれらの各相は共に正方晶からなることが示唆されていることは明らかである。
さらに、引用例1では各相を構成する「結晶」が「単結晶」であるとは記載されておらず、このようにセラミックスを構成する「結晶」がとくに「単結晶」と明示されていない場合は、「多数の結晶粒子」から構成されているものであることは技術常識である(例えば、鈴木敏正外2名編「先端材料ハンドブック」株式会社朝倉書店、1988年11月25日発行、29頁15行には「セラミックスは多結晶である」と記載されている。)。
してみると、引用例1には、
『圧電特性の異なる二種の団粒に対応した異なる相よりなり、かつ各相は多数の結晶粒子で構成されている圧電セラミックス。』
の発明が記載されているといえる。
そこで、本件発明1と上記引用例1に記載の発明とを対比すると、引用例1に記載の圧電特性の異なる「二種の団粒に対応した異なる相」は本件発明1における圧電特性の異なる「二種の領域」に該当するから、両者は、共に、
「圧電特性の異なる少なくとも二種の領域よりなり、かつ各領域は多数の結晶粒子で構成されている圧電セラミックス。」
である点では一致するが、本件発明1では前記各領域の結晶粒子につき「互いに三次元的に結合している」と限定しているのに対し、引用例1にはこのようなことに関する明示の記載はないので、両者はかかる点で一応相違している。
そこで、以下において上記相違点について検討するにあたり、まず、本件特許明細書及び図面の記載に基いて、本件発明1に係る圧電セラミックスは、いかなる製造方法で作製され、いかなる具体的物理的性状を示す圧電セラミックスについて、各領域の結晶粒子が「互いに三次元的に結合している」としているのかについて検討する。
本件特許明細書には、実施例1に関し、
(A-1)「原料としてPbO、MgO、Nb2O5 、TiO2 、ZrO2 を用い、これらを次の式1と2[式1--Pb(Mg1/3Nb2/3)0.125Ti0.435Zr0.440O3 、式2--Pb(Mg1/3Nb2/3)0.375Ti0.375Zr0.250O3]の組成比に秤量したのち、ボールミルで混合したものを850℃で2時間仮焼した。その後媒体撹拌ミルを用いて平均粒子径約0.58μmに粉砕した。この粉体を有機バインダーを用いて、別々に造粒したのち、500μmの篩を通過させて整粒した。この二種の造粒粉体を等量ずつ、粒子を潰さないように混合したものより、金型を用いて加圧成形で直径13mm、厚さ約1mmの円板状の成形体を作製し、これを1150℃で2時間焼成した。なお、比較のため、二種を混合しない単独の試料も作製した。焼成後この磁器を厚さ0.3mm程度に研磨したのち、その両面にCr-Auの蒸着電極を付与した。その後、・・・(中略)・・・分極処理した。この試料について、靜電容量の温度変化率、比誘電率、結合係数、共振周波数の温度変化率(20〜80℃の範囲で測定)などを測定した。・・・(中略)・・・測定結果を(図2)と(表1)に示す。」(段落【0018】、特許公報4欄36行〜5欄8行)、
(A-2)「(図2)は、圧電セラミックスの靜電容量の温度による変化を示す。本発明の比較例であるNo.1とNo.2は単一組成よりなる圧電セラミックス、No.3は式1と2の混合物より作製した本発明の圧電セラミックスである。(図1)(「(図2)」の誤記と認める。)のNo.3の曲線はNo.1とNo.2の曲線を合成したものになっており、2種の組成領域からなる圧電セラミックスになっていることを示しているとともに、圧電特性の異なる二種の領域からなる圧電セラミックスになっていることを示している。」(段落【0020】、同公報6欄4〜12行)、
(A-3)「表1から明らかなように、互いに周波数の温度特性の異なる式1と式2の二種の組成領域よりなる本発明のNo.3の圧電セラミックスは、単一の組成のNo.1とNo.2のいずれの温度変化率よりも小さい温度変化率になっている。即ち、No.1とNo.2単体の温度係数をほぼ打ち消しあった値になっている。これは、少なくとも二種の圧電特性の異なる領域を持つ圧電セラミックスを作製することにより、周波数の温度係数を制御できることを示している。このことは、二つの領域がそれ自身三次元的に結合しており、かつ両者が結合していることを示している。」(段落【0022】、同公報5欄26〜36行)、との記載があるほか、
(A-4)【表1】には、組成が「式1」のものは、比誘電率が「1650」、共振周波数の温度変化率が「-0.98%」、平均の結晶粒径が「2.8μm」であり、組成が「式2」のものは、比誘電率が「1710」、共振周波数の温度変化率が「1.23%」、平均の結晶粒径が「3.6μm」であり、組成が「式1と2の混合」のものは、比誘電率が「1660」、共振周波数の温度変化率が「0.31%」、平均の結晶粒径が「3.5μm」、領域の平均直径が「154μm」であることが
示され、さらに実施例2について、
(B-1)「原料としてPb3O4、ZnO、SnO2、Nb2O5、TiO2、ZrO2、MnO2を用い、これらを次の式3と4 [式3--Pb(Zn1/3 Nb2/3)0.125Ti0.49Zr0.385O3+1wt%MnO2、式4--Pb(Zn1/3Nb2/3)0.06(Sn1/3Nb2/3)0.06Ti0.51Zr0.37O3+1wt%MnO2]の組成比に秤量したのち、ボールミルで混合したものを1150℃で2時間仮焼した。その後媒体撹拌ミルを用いて平均粒子径約0.19μmに粉砕した。この粉体を有機バインダーを用いて、別々に造粒したのち、106μmの篩を通過させて整粒した。この二種の造粒粉体を等量ずつ、粒子を潰さないように混合したものより、金型を用いて加圧成形で直径13mm、厚さ約1mmの円板状の成形体を作製し、これを1100℃で2時間焼成した。なお、比較のため、二種を混合しない単独の試料も作製した。焼成後この磁器を厚さ0.3mm程度に研磨したのち、その両面にCr-Auの蒸着電極を付与した。その後、・・・(中略)・・・分極処理した。この試料について、比誘電率、結合係数、共振周波数の温度変化率(20〜80℃の範囲で測定)、共振周波数の経時変化率(ppm/time decade )などを測定した。測定結果を(表2)に示す。」(段落【0023】、同公報5欄47行〜6欄46行)、
(B-2)「表2から明らかなように、互いに周波数の温度特性と経時変化率の異なる式3と式4の二種の組成領域より成る本発明のNo.6の圧電セラミックスは、単一組成のNo.4とNo.5のいずれの温度変化率及び経時変化率よりも小さいくなっている。即ち、No.4とNo.5単体の温度係数及び経時変化率をほぼ打ち消しあった値になっている。これは、少なくとも二種の圧電特性の異なる領域を持つ圧電セラミックスを作製することにより、周波数の温度係数や経時変化率を制御できることを示している。このことは、二つの領域がそれ自身三次元的に結合しており、かつ両者が結合していることを示している。」(段落【0025】、同公報7欄13〜23行)、との記載があるほか、
(B-3)【表2】には、組成が「式3」のものは、比誘電率が「605」、共振周波数の温度変化率が「0.214%」、共振周波数の経時変化率が「246ppm/td」、平均結晶粒径が「1.9μm」であり、組成が「式4」のものは、比誘電率が「584」、共振周波数の温度変化率が「-0.165%」、共振周波数の経時変化率が「-152ppm/td」、平均結晶粒径が「2.1μm」であり、組成が「式3と4の混合」のものは、比誘電率が「631」、共振周波数の温度変化率が「0.010%」、共振周波数の経時変化率が「31ppm/td」、平均結晶粒径が「1.8μm」、領域の平均直径が「31μm」であることが、それぞれ示されている。
すなわち、本件発明1に係る圧電セラミックスは、上記「(A-1)」及び「(B-1)」に摘記したように、組成がそれぞれ異なる複数の組成(No.1〜No.4)の原料粉末を、それぞれの組成のものごとに、混合、仮焼、粉砕、造粒したのち、篩を通過させて整粒し、そのうちの二種の造粒粉体(No.1とNo.2又はNo.3とNo.4)を等量ずつ粒子をつぶさないように混合してから圧縮成型し、所定温度で本焼成して製造しており、また、上記「(A-2)」〜「(A-4)」及び「(B-2)」〜「(B-3)」に示したように、
(あ)得られた圧電セラミックスの静電容量の温度変化率の曲線は、二種のそれぞれ単一の組成の圧電セラミックスの静電容量の温度変化率の曲線を合成したものとなっていること(実施例1)、
(い)得られた圧電セラミックスの共振周波数の温度変化率は、二種のそれぞれ単一の組成の圧電セラミックスの共振周波数の温度変化率が正及び負の場合では、打ち消し合って小さくなっていること(実施例1及び2)、
(う)得られた圧電セラミックスの共振周波数の経時変化率は、二種のそれぞれ単一の組成の圧電セラミックスの共振周波数の経時変化率が正及び負の場合では、打ち消し合って小さくなっていること(実施例2)、
から、すなわち、「得られた圧電セラミックスの物理特性」が二種の「それぞれ単一の組成の圧電セラミックスの物理特性」を合わせた中間の値となることから、「圧電特性の異なる二種の領域からなる」だけでなく、「二つの領域がそれ自身三次元的に結合しており、かつ両者が結合している」(本件特許公報5欄34〜35行及び同7欄22〜23行)としていることは明らかである。
一方、引用例1に記載の圧電セラミックスは、上記「(1-2)」に摘記したように、PZT 5/50及びPZT 15/49の二種類の組成の原料粉末を、それぞれの組成のものごとに、混合、造粒、仮焼、粉砕、造粒したのち、篩を通過させて整粒して団粒を作製し、それぞれの団粒を1:1および2:3の割合で乾式混合してプレス成形し、所定温度で本焼成して製造しており、その結果として、上記「(1-3)」に摘記したように、
(ア)得られた圧電セラミックスの誘電温度特性は、キューリー温度Tcが二つの母材料のTcの中間にあり、ピークはブロードになっていること、
(イ)30℃での周波数定数Npの温度係数TCNpは、二つの母材料の温度係数は正及び負であって、得られた圧電セラミックスの温度係数は打ち消し合って小さくなっていること、が示されているほか、
(ウ)PZT 5/50及びPZT 15/49と組成が近似している正方晶のPZT15/51と菱面晶の15/53について単体及び複合(MS)した試料についてのX線回折パターンの比較により「MS試料では2相が完全に反応することなく混在している」ことが示され、PZT 5/50及びPZT 15/49についても「この複合系についても団粒を用いてMSすることにより、2相を混在させたまま優れた特性を持つ複合セラミックスの作成が可能である」ことが示されていることが認められる。
してみれば、引用例1に記載されている圧電セラミックスの製造方法と本件特許明細書に記載されている圧電セラミックスの製造方法とは、仮焼前の成形工程の有無において相違しているが、両者共に仮焼後に粉砕工程を有しているので、上記仮焼前の成形工程の有無は本焼成後の圧電セラミックスの微細構造に実質的に影響を与えないものと認められるので、実質的に同一の製造方法で作製されていると認められるし、しかも、引用例1に関する上記「(ア)」〜「(ウ)」で測定している物理的特性は本件発明における「(あ)」〜「(う)」で測定している物理特性とは異なっているとしても、「得られた圧電セラミックスの物理特性」は二種の「それぞれ単一の組成の圧電セラミックスの物理特性」を合わせた中間の値となっていることは明らかであるから、引用例1に記載の圧電セラミックスも、本件発明1に係る圧電セラミックスと同様、「圧電特性の異なる二種の領域からなる」だけでなく、「二つの領域がそれ自身三次元的に結合しており、かつ両者が結合している」ものであると認めざるを得ない。
したがって、本件発明1は引用例1に記載された発明と実質的に同一である。
なお、特許権者は、平成12年1月11日付けの特許異議意見書において、引用例1には本件特許発明の構成要件である「三次元的に結合している」ことが開示されていない旨を主張し、本件特許発明の補足説明として、「本件特許請求の範囲に記載しております2組成共存構造圧電セラミックスは、わずかなZr/Ti比を除いてほとんど同組成であり、X線回折による構造解析、あるいはEPMA等による組成分析では分離不可能であり、本件特許発明の第1図に示すような構造をとっている直接的証拠はありません。そこで、特性的にはよいものは得られませんが、キューリー温度の大きく異なる2種の組成
組成A:Pb(Mg1/3Nb2/3)0.12Ti0.435Zr0.44O3 組成B:Pb(Mg1/3Nb2/3)0.375Ti0.375Zr0.44O3を用い、本件特許発明と同様なプロセスをで試料を作製し、誘電率の温度変化を評価しておりました。その結果を参考図に示します。参考図に示しておりますように、静電容量のピークが組成Aでは、350℃付近にあり、組成Bでは210度付近にあります。一方、複合体では350℃と240℃付近に2つのピークが観測できました。このように均質混合の結果、誘電率の変化がこのようになったことから考えて、2種類の領域からなる図1に示す新構造の圧電セラミックスが得られたとの知見を得、本件特許を取得するに至りました。」(3頁下から2行〜4頁15行)と主張しているが、この主張は、本件特許明細書に実施例1及び【図2】に関して述べられていることと同様のことを再度別の組成のものについてのデータを示して述べたものにすぎず、その「新構造」と引用例1に記載のものの構造の差は依然として明らかではないから、かかる主張を考慮に入れても、本件発明1は上記引用例1に記載された発明とは別異のものであるとすることはできない。
また、特許権者は、平成12年6月7日付けFaxで、上記引用例1の図3ではピークが一つしか出現していないように見受けられることから、引用例1で得られたセラミックスは、本件特許発明が主旨とする二種類の領域が互いに三次元的に結合したものではなく、二種類の異なる物質が焼成過程において互いに反応し、新たな物質に変化したものと考えられる旨の主張も行っているが、複合圧電セラミックスの誘電温度特性のピークが1つになるか2つになるかは、二種のそれぞれ単一の組成の圧電セラミックスの誘電温度特性のピークの間隔、ピークの重み(ピークの高さ及び巾)、さらには各成分の含有割合によって変化するものであるし、しかも、引用例1の上記「(1-3)」には、上記「(ウ)」に示したように、「MS試料では2相が完全に反応することなく混在している」こと及び「団粒を用いてMSすることにより、2相を混在させたまま優れた特性を持つ複合セラミックスの作成が可能である」ことが明確に示されている以上、上記引用例1に記載されているものが「二種類の異なる物質が焼成過程において互いに反応し、新たな物質に変化したもの」であるとすることはできないので、特許権者の上記主張は、理由がなく、採用できない。
2.本件発明2について
本件発明2は、本件発明1における「少なくとも2種の領域」が「周波数の温度特性の異なる」ものに限定した発明である。
本件特許明細書には、この「周波数の温度特性」が何であるを直接示す記載はないが、本件特許明細書の上記「(A-1)」及び「(A-4)」に「共振周波数の温度変化率(20〜80℃の範囲で測定)」(特許公報5欄4〜5行及び同公報6欄43〜44行)等の記載があることから、「共振周波数の温度変化率」を示すものと認められる。
一方、「圧電体の各振動モードでの共振周波数はそのモードでの音波の伝播方向の寸法に反比例する」ものであり、「その比例定数を周波数定数と呼ぶ」(この点につき必要であれば、社団法人日本セラミックス協会編「セラミックスハンドブック」技報堂出版株式会社、1989年4月10日1版1刷発行、1761〜1762頁の記載を参照されたい。)ものであるから、引用例1に示されている周波数定数Npは共振周波数と比例関係にある物性値であることは明らかである。
してみれば、上記引用例1には、上記「(イ)」に示したように、「30℃での周波数定数Npの温度係数TCNpは、二つの母材料の温度係数は正及び負であって、得られた圧電セラミックスの温度係数は打ち消し合って小さくなっている」ものが示されているから、このセラミックスの「共振周波数の温度変化率」に着目して、共振周波数の温度変化率が小さなセラミックスを得る目的で「共振周波数の温度特性の異なる二種の領域」よりなる圧電セラミックスを得るようになすことは当業者にとり容易であると認められる。
したがって、本件発明2は、引用例1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3.本件発明3について
本件発明3は、本件発明1または2における「少なくとも2種の領域」が「周波数の経時特性の異なる」ものに限定した発明である。
本件特許明細書には、この「周波数の経時特性」が何であるを直接示す記載はないが、本件特許明細書の上記「(B-1)」に「共振周波数の経時変化率(ppm/time decade)」(特許公報6欄44〜45行)と、又、上記「(B-3))」に示したように、【表2】中に「共振周波数の経時変化率 ppm/td」との記載があることから、「共振周波数の経時変化率」を示すものと認められる。
一方、上記引用例3には、圧電セラミックスの組成が変化すると、「共振周波数の温度係数」のみならず「共振周波数の経時変化率」も変化することが示唆されている。
したがって、上記「IV.1.」及び「IV.2.」で本件発明1及び2について述べた点をも考慮すれば、「共振周波数の経時変化率」に着目して、共振周波数の経時変化率が小さなセラミックスを得る目的で、「共振周波数の経時変化率の異なる二種の領域」よりなる圧電セラミックスを得るようになすことは当業者にとり容易であると認められる。
したがって、本件発明3は、引用例1及び3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
4.本件発明5について
本件発明5は、本件発明1,2又は3における圧電セラミックスの平均結晶粒径を「5μm以下」のものに限定したものを含むものである。
そこで、まず、本件特許明細書の記載に基いて、圧電セラミックスの平均結晶粒径を「5μm以下」と限定することの技術的意義について検討する。
本件特許明細書には、圧電セラミックスの平均結晶粒径に関して、段落【0013】に「前記セラミックスの平均粒径が5μm以下であるという本発明の好ましい構成によれば、高周波で使用する圧電セラミックスに好適なものとすることができる。」(特許公報4欄9〜12行)と、段落【0022】に「平均結晶粒径は12μmと大きくなり、高周波用の圧電セラミックスには適さない。」(同公報5欄41〜43行)と、段落【0025】に「平均結晶粒径が2μm程度と小さいため高周波用圧電セラミックスに適している。なお、粉体の平均粒子径が1.0μmと大きい場合には、・・(中略)・・平均結晶粒径は6μmと大きくなり、高周波での機械的Qが低下するため、高周波用の圧電セラミックには好ましくはない。」(同公報7欄26〜32行)と、段落【0029】に「高周波で使用する圧電セラミックスは、その平均結晶粒径は5μm程度以下であることが望ましく、」(同公報9欄18〜21行)との記載が認められるほか、実施例1では平均の結晶粒径が「3.5μm」のもの及び実施例2では平均の結晶粒径が「1.8μm」のものが示されている。(なお、段落【0026】〜【0028】の実施例3に関する記載は、特許異議の申立ての対象となっていない本件発明4に対応する記載であるため、除外した。以下、同じ。)
してみると、圧電セラミックスの平均結晶粒径を「5μm以下」に限定することの技術的意義は、単に「高周波用」の圧電セラミックスとなすためのものでしかないし、また、本件特許明細書及び図面には、圧電セラミックスの平均結晶粒径に関する「5μm以下」という数値限定の臨界的意義を確認するに足る具体的データはない。
次に、圧電セラミックスの平均結晶粒径と圧電セラミックス製造用粉体原料の粒径及び焼成条件との関係について検討する。
本件特許明細書には、段落【0015】に「組成の異なる粉体原料を媒体撹拌ミルによる粉砕方法によって粉砕し、その粉体の平均粒子径を0.6μm以下の範囲になるように分級して得る方法が採用できる。」(同公報4欄21〜24行)と、段落【0018】に「媒体撹拌ミルを用いて平均粒子径約0.58μmに粉砕した。この粉体・・(中略)・・成形体を作製し、これを1150℃で2時間焼成した。」(同公報4欄41〜48行)と、段落【0022】に「本発明では平均粒子径が0.6μm以下の微粉体を用いることにより、1100℃の低温で焼成できる。なお、粉体の平均粒子径が1.2μmと大きい場合には、・・(中略)・・平均結晶粒子径は12μmと大きくなり、」(同公報5欄36〜42行)と、段落【0023】に「媒体撹拌ミルを用いて平均粒子径約0.19μmに粉砕した。この粉体・・(中略)・・成形体を作製し、これを1150℃で2時間焼成した。」(同公報6欄31〜38行)と、段落【0025】に「本発明では、平均粒子径が0.2μm以下の微粉体を用いることにより、1100℃の低温で焼成できるとともに、平均結晶粒径が2μm程度と小さいため高周波用圧電セラミックスに適している。なお、粉体の平均粒子径が1.0μmと大きい場合には、・・(中略)・・平均結晶粒径は6μmと大きくなり、」(同公報7欄24〜30行)と、段落【0029】には「粉体の粒子径は小さいほど低温で焼成でき、その結果として結晶粒径が小さくなるため、更には、領域間の反応層が少なくなるため望ましい。平均の粒子径としては、0.6μm以下が望ましい。」(同公報9欄13〜16行)との記載が認められる。
してみれば、本件特許明細書に記載のものでは、少なくとも圧電セラミックス製造用粉体原料の平均粒子径を「0.6μm以下」となして約2時間焼成することにより、平均結晶粒径が「5μm以下」の圧電セラミックスを得ていることは明らかである。
一方、上記引用例1には、MSして得られた圧電セラミックスの平均結晶粒径についての記載はないが、上記「(1-2)」に示したように、本焼成前に「サブミクロン」まで粉砕した原料を用い、x=0.15系およびx=0.05系の最適焼成温度がそれぞれ1020℃および1040℃であることから、その中間の温度1030℃で2h本焼成して製造されている。
「サブミクロン」とは「普通の顕微鏡では見えないが、限外顕微鏡によればその存在が認めうる程度の大きさの粒子」であって、通常上限値が「100〜200mμ(0.1〜0.2μm)」程度のものを示す(この点につき必要であれば、「化学大事典3」共立出版、1963年9月15日縮刷版発行、850頁の記載を参照されたい。)ものである。
そうすると、引用例1に記載されている圧電セラミックス製造用粉体原料の平均粒子径及び焼成時間は、本件特許明細書に好ましい範囲であると示されている数値範囲と実質的な差異はなく、しかも、最適焼成温度はセラミックスの組成によって変化するものであって、両者共に焼成はそれぞれに最適な焼成温度で行われていると認められることを考慮すると、引用例1に記載されている圧電セラミックスの平均結晶粒径は、本件発明5で限定されている数値範囲に近いものが得られているとするのが相当である。
してみれば、本件発明5に係る圧電セラミックスは「高周波用」のものに限定されているわけではないから、引用例1に記載されている圧電セラミックスの平均結晶粒径を「5μm以下」と限定することは当業者が適宜に決定し得る程度のものと認めざるを得ない。
したがって、本件発明5は、上記「IV.1.」〜「IV.3.」で本件発明1〜3について述べた点をも考慮すれば、引用例1及び3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであると認められる。
5.本件発明6について
本件発明6は、本件発明1〜3又は5において、「圧電セラミックスの平均結晶粒径が5μm以下で、かつ圧電セラミックスの領域の平均直径が5μm以上300μm以下の範囲」に限定したものを含むものである。
ところで、本件特許明細書には、圧電セラミックスの領域の平均直径に関しては、段落【0014】に「前記圧電セラミックスの平均結晶粒径が5μm以下で、かつ圧電セラミックスの領域の平均直径が5μm以上300μm以下の範囲内であるという本発明の好ましい構成によれば、均質でかつ二種類以上の領域からなる圧電セラミックスを得ることができる。」(特許公報4欄13〜17行)と、段落【0030】に「領域の大きさは、平均で5〜300μmの範囲内の場合に均質でかつ二種類以上の領域よりなる圧電セラミックスが容易に得られる。領域の平均直径が300μmを超えるものでは、圧電セラミックスとして不均質になり易く好ましくない。また、領域の平均直径が5μm未満では、異なる領域間の界面の反応層の割合が大きくなり、二種の領域としての特徴が生じ難い。」(同公報9欄32行〜10欄6行)との記載が認められるほか、実施例1では領域の平均直径が「154μm」のもの及び実施例2では領域の平均直径が「31μm」のものが示されている。
また、本件特許明細書の実施例1では、段落【0018】に「原料として・・(中略)・・2時間仮焼した。その後媒体撹拌ミルを用いて平均粒子径約0.58μmに粉砕した。この粉体を有機バインダーを用いて、別々に造粒したのち、500μmの篩を通過させて整粒した。この二種の造粒粉体を等量ずつ、粒子を潰さないように混合したものより、金型を用いて加圧成形で直径13mm、厚さ約1mmの円板状の成形体を作製し、これを1150℃で2時間焼成した。」(同公報4欄36〜48行)と、同じく実施例2では、段落【0023】に「原料として・・(中略)・・2時間仮焼した。その後媒体撹拌ミルを用いて平均粒子径約0.19μmに粉砕した。この粉体を有機バインダーを用いて、別々に造粒したのち、106μmの篩を通過させて整粒した。この二種の造粒粉体を等量ずつ、粒子を潰さないように混合したものより、金型を用いて加圧成形で直径13mm、厚さ約1mmの円板状の成形体を作製し、これを1100℃で2時間焼成した。」(同公報5欄47行〜6欄38行)と記載されている。
すなわち、本件特許明細書に記載のものでは、実施例1では500μm以下の造粒した粉体を用いて領域の平均直径が「154μm」の圧電セラミックスを、また、実施例2では106μm以下の造粒した粉体を用いて領域の平均直径が「31μm」の圧電セラミックスを、それぞれ作製していることは明らかであるが、本件特許明細書及び図面には、圧電セラミックスの領域の平均直径に関する「5μm以上300μm以下」という数値限定の臨界的意義を確認するに足る具体的なデータはない。
それに対し、上記引用例1には、MSして得られた圧電セラミックスの各領域の平均直径に関する記載はないが、上記引用例1に記載のものでは、上記「(1-2)」の記載によれば「約φ0.5〜1.0mm」、また、上記「(1-4)」に示した記載によれば「φ0.42〜φ1.00mm」(420〜1000μmに該当)の団粒を用いて圧電セラミックスを作製しているものであるから、団粒の直径すなわち造粒した粉体の直径については少なくとも本件特許明細書の実施例1に記載のものと重複・一致している。
そして、すでに上記「IV.4.本件発明5について」で述べたように、引用例1に記載されている圧電セラミックス製造用粉体原料の平均粒子径及び焼成時間は、本件特許明細書に好ましい範囲であると示されている数値範囲と実質的な差異はなく、しかも、最適焼成温度はセラミックスの組成によって変化するものであって、両者共に焼成はそれぞれに最適な焼成温度で行われていると認められることを考慮すると、引用例1に記載されている圧電セラミックスの領域の平均直径は、本件発明6で限定されている数値範囲に近いものが得られているとするのが相当である。
してみれば、上記引用例1に記載されている圧電セラミックスの平均結晶粒径を「5μm以上300μm以下」と限定することは当業者が適宜に決定し得る程度のものと認めざるを得ない。
したがって、本件発明6は、上記「IV.1.」〜「IV.4.」で本件発明1〜3及び5について述べた点をも考慮すれば、上記引用例1及び3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであると認められる。

V.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当するから、特許を受けることができず、また、本件発明2,3,5及び6は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-11-09 
出願番号 特願平3-118577
審決分類 P 1 652・ 113- Z (C04B)
P 1 652・ 121- Z (C04B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 米田 健志  
特許庁審判長 吉田 敏明
特許庁審判官 唐戸 光雄
能美 知康
登録日 1998-09-11 
登録番号 特許第2825366号(P2825366)
権利者 松下電器産業株式会社
発明の名称 圧電セラミックス  
代理人 坂口 智康  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 岩橋 文雄  

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