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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1033718
審判番号 審判1999-10783  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-07-06 
確定日 2001-02-08 
事件の表示 平成 3年特許願第359523号「荷積み台装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 8月31日出願公開、特開平 5-221447]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成3年12月27日(パリ条約による優先権主張1990年12月27日、アメリカ合衆国)の出願であって、その請求項1〜13に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1〜13に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。
「通常のフォーク付き物流装置によって荷物を支持し運搬するための、実質的にリサイクル可能な荷積み台装置であって、使用後は容易に廃棄処分されて実質的にリサイクル可能である荷積み台装置において、前記荷物を支持するための実質的に平板状でかつ連続的でとぎれのない荷物支持台手段であり、実質的に紙材料で作ってあり、頂面とこの頂面とは反対側の底面とを有し、前記荷物が保管、輸送時に前記頂面上に留まることができる荷物支持台手段と、この荷物支持台手段に対してほぼ平行にその下方に隔たって設置してあり、前記荷物支持台手段および前記荷物の両方の重量を支持する実質的に平板状の底部パネル手段であり、実質的に紙材料で作ってあり、頂面とこの頂面と反対側の底面とを有する底部パネル手段と、前記荷物支持台手段と前記底部パネル手段の間に操作可能に設置されていて前記通常のフォーク付き物流装置のフォークの、前記荷物支持台手段と前記底部パネル手段との間への挿入、その間での維持およびその間からの引抜きを容易化する複数の実質的に中空なパイロン手段であり、各々が頂端、この頂端と反対側の底端、外面および補強手段から独立した内部領域を有し、前記頂端が前記荷物支持台手段の前記底面にほぼ隣接して操作可能に固着され、そして前記底端が前記底部パネル手段の前記頂面にほぼ隣接して操作可能に固着されている複数の実質的に中空なパイロン手段と、前記底部パネル手段内に操作可能に設けてあり、前記荷積み台装置、したがって前記荷物の昇降、再配置時に前記荷積み台装置の、前記荷物支持台手段および前記底部パネル手段の両方の間に位置させることができる前記通常のフォーク付き物流装置との効果的な協働作用を可能にする開口手段を包含することを特徴とする荷積み台装置」
2.引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶理由に引用された実願昭48-091718号(実開昭50-37266号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)及び特開平02-032947号公報(以下、「引用例2」という。)には、それぞれ、次の発明が記載されている。
(1)引用例1
引用例1には、「この考案は使い捨て使用に適する紙質資料を用いて構成した商品輸送用パレットに関するものであって使用現場において容易に組立ることができるようにして資材輸送を能率化したものである。」(第1頁第17〜20行)、及び、「板紙又は複両面段ボール紙よりなる約1.1米四方の方形紙1の中心部および四隅部並びに四方側端の中央部の9個所に円形状の折り目2を施し この円形折り目内に放射状の切り目3を設けて折込舌片4を8個(あるいは12個又は16個)を形成したものを上下2枚円形状折り目面を外側にして重ね、この重層した上下の方形板1,1の間にクラフト紙を巻いて形成した外紙管5を9個各対置された円形状折り目2の間に挟まれるように差し入れて各円形状折り目2の折込舌片4を外紙管5内に折り込み、形成された円孔7に上下からクラフト紙を巻成してなる内紙管6,6を差し込んで折込舌片4を内外の紙管5,6で挟圧するようにしてパレットの支柱を構成させたものである。」(第2頁第1〜14行)が記載されている。また、図面第1,3図には、連続的でとぎれのない平板1が記載されている。
引用例1の「使い捨て使用に適する紙質資料を用いて構成した商品輸送用パレットに関するもの」との記載からみて、明らかに、引用例1の発明も、本願発明と同様、使用後は容易に廃棄処分されて実質的にリサイクル可能であり、また、技術常識からみて商品輸送用パレットがフォークリフトで運搬されることも明らかなので、やはり本願発明と同様、フォークリフトのようなフォーク付き物流装置によって荷物を支持運搬するためのものである。
引用例1の上方に配置された方形板1は本願発明の荷物支持台手段に相当し、本願発明と同様、荷物を直接支持する機能を有しており、上記「板紙又は複両面段ボール紙よりなる」の記載や図面第1,3図の記載からみて、実質的に平板状でかつ連続的でとぎれのない紙製のものである。一方、下方に配置された方形板1はやはり紙製で、上方に配置された方形板1とほぼ平行に配置されており、本願発明の紙製の底部パネル手段に相当している。
更に、引用例1の、上下の方形板1,1の間に設置された内外紙管5,6は、本願発明のパイロン手段に相当し、本願発明と同様、実質中空のものが複数個設けられており、かつ、内部に補強手段を設けていない(本願でいうところの補強手段から独立した)構成となっている。そして、一般的技術常識に照らし合わせれば、フォークリフトを使用する際に、フォークリフトのフォークがパイロン手段によって作られた上下の方形板1,1の間の空間部に入れられることは明らかである。
してみると、引用例1には、本願発明で使用された用語を用いると、「通常のフォーク付き物流装置によって荷物を支持し運搬するための、実質的にリサイクル可能な荷積み台装置であって、使用後は容易に廃棄処分されて実質的にリサイクル可能である荷積み台装置において、前記荷物を支持するための実質的に平板状でかつ連続的でとぎれのない荷物支持台手段であり、実質的に紙材料で作ってあり、頂面とこの頂面とは反対側の底面とを有し、前記荷物が保管、輸送時に前記頂面上に留まることができる荷物支持台手段と、この荷物支持台手段に対してほぼ平行にその下方に隔たって設置してあり、前記荷物支持台手段および前記荷物の両方の重量を支持する実質的に平板状の底部パネル手段であり、実質的に紙材料で作ってあり、頂面とこの頂面と反対側の底面とを有する底部パネル手段と、前記荷物支持台手段と前記底部パネル手段の間に操作可能に設置されていて前記通常のフォーク付き物流装置のフォークの、前記荷物支持台手段と前記底部パネル手段との間への挿入、その間での維持およびその間からの引抜きを容易化する複数の実質的に中空なパイロン手段であり、各々が頂端、この頂端と反対側の底端、外面および補強手段から独立した内部領域を有し、前記頂端が前記荷物支持台手段の前記底面にほぼ隣接して固着され、そして前記底端が前記底部パネル手段の前記頂面にほぼ隣接して固着されている複数の実質的に中空なパイロン手段とからなることを特徴とする荷積み台装置」なる発明が開示されているといえる。
(2)引用例2
引用例2には、リサイクル可能な材料である段ボール紙等から作られるとともに、物品をフォークリフトで運搬する際に使用される組立式パレットにおいて、「第3側壁24は、孔筒部材3を補強するための複数の補強材24a,24bおよび連結環5の一部を構成する活用材24cを打ち抜いた後に、ハンドフォークリフトの車輪を挿通させるための複数の開口部24d,24eが形成されている。」(第3頁左上欄第11〜15行)が記載されており、図面の簡単な説明の欄の「第3図は組立式パレットの裏面壁がわを示す斜視図である。」の記載から、開口部24d,24eが設けられている第3側壁24が底面であることがわかる。さらに、「孔筒部材3は、内部にフォークリフトのフォークが差し込まれるものであり、フォークの間隔に対応した間隔を隔てて並設されている。」(第3頁左下欄第5〜7行)及び組立式パレットの表側(上面)の斜視図である第2図の記載から、フォークは荷物を直接指示する第1側壁21(本願発明の荷物支持台手段に相当)と底面である第3側壁24(本願発明の底部パネル手段に相当)の間に設けられた孔に挿通されるものであることがわかる。
してみると、引用例2には、本願発明で使用されている用語を用いれば、「通常のフォーク付き物流装置によって荷物を支持し運搬するための、実質的にリサイクル可能な荷積み台装置であって、使用後は容易に廃棄処分されて実質的にリサイクル可能である荷積み台装置において、前記荷物の昇降、再配置時に前記荷積み台装置の、前記荷物支持台手段および前記底部パネル手段の両方の間に位置させることができる前記通常のフォーク付き物流装置の車輪を挿通させるための開口手段を前記底部パネル手段内に設けたことを特徴とする荷積み台装置」なる発明が開示されているといえる。
3.対比
本願発明と引用例1の発明とを対比すると、両者は、通常のフォーク付き物流装置によって荷物を支持し運搬するための、実質的にリサイクル可能な荷積み台装置であって、使用後は容易に廃棄処分されて実質的にリサイクル可能である荷積み台装置において、前記荷物を支持するための実質的に平板状でかつ連続的でとぎれのない荷物支持台手段であり、実質的に紙材料で作ってあり、頂面とこの頂面とは反対側の底面とを有し、前記荷物が保管、輸送時に前記頂面上に留まることができる荷物支持台手段と、この荷物支持台手段に対してほぼ平行にその下方に隔たって設置してあり、前記荷物支持台手段および前記荷物の両方の重量を支持する実質的に平板状の底部パネル手段であり、実質的に紙材料で作ってあり、頂面とこの頂面と反対側の底面とを有する底部パネル手段と、前記荷物支持台手段と前記底部パネル手段の間に設置されていて前記通常のフォーク付き物流装置のフォークの、前記荷物支持台手段と前記底部パネル手段との間への挿入、その間での維持およびその間からの引抜きを容易化する複数の実質的に中空なパイロン手段であり、各々が頂端、この頂端と反対側の底端、外面および補強手段から独立した内部領域を有し、前記頂端が前記荷物支持台手段の前記底面にほぼ隣接して固着され、そして前記底端が前記底部パネル手段の前記頂面にほぼ隣接して固着されている複数の実質的に中空なパイロン手段とからなることを特徴とする荷積み台装置、である点で一致しており、以下の点で相違している。
相違点1:
本願発明においては、通常のフォーク付き物流装置との効果的な協働作用を可能にする開口手段を底部パネル手段内に操作可能に設けているのに対し、引用例1の発明においては、下方の方形板1(本願発明の底部パネル手段に相当)には開口部が全く設けられていない点。
相違点2:
本願発明においては、パイロン手段が、荷物支持台手段と底部パネル手段との間に「操作可能に」設置され、荷物支持台手段と底部パネル手段には「操作可能に」固着されていると特定されているのに対し、引用例1の発明においては、そうした特定がなされていない点。
4.当審の判断
上記相違点について検討すると、
相違点1について:
本願明細書の「・・・・・開口手段は、底部パネル手段の種々の位置に位置決めされうる。これらの開口手段は、荷積み台装置と、通常の物流機器との効果的な協働作業を可能にする。当該物流装置は、・・・・・・台手段と底部パネル手段との間に挿入されるフォークを利用する。このような物流機器に関しては、荷積み台上の荷物が持ち上げられると、車輪すなわち重量支持突起物が、上記開口手段を介して現われる。」(【0011】)及び「・・・・・同じく図2に示されるものは、開口手段45〜48であって、これらは、図9に示される通り、通常の物流機器の車輪220を、作業自在に収納する。」(【0035】)の記載からみて、本願発明における、通常のフォーク付き物流装置との効果的な協働作業とは、フォークリフトの車輪を開口手段部分に収納させた状態で荷積み作業等を行うことを意味しているものと解することができるが、このような目的で底部パネルに開口部を設けフォークの車輪を開口部に挿通することは引用例2に記載されている。引用例1に記載された荷積み台装置も引用例2に示された荷積み台装置も、何れも、フォークリフトのフォークを刺して荷物を運搬するためのパレット装置であることから、引用例1のものにおいて、引用例2に記載された開口部を底部パネル手段に設けるようにすることが、格別困難であったとは認められない。
また、本願発明においては、開口手段を操作可能に設けるとの特定がされているが、一旦設けた開口部はその位置を変えることもできないので、操作可能に設けるとの意味は明らかでなく、引用例2記載の開口部との実質的な差異がない。
相違点2について:
相違点1で述べたと同様、一旦、固着し設置したパイロン手段の位置を変更することが可能であるとは考えられないので、「操作可能に」の意味する内容が明らかでなく、引用例1との実質的な差異がない。なお、この点については、前審での意見書ならびに審判請求書の内容を参照しても明らかでなく、また、格別の意義があるとの主張もされていない。
5.むすび
したがって、本願発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-08-22 
結審通知日 2000-09-01 
審決日 2000-09-12 
出願番号 特願平3-359523
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大橋 康史川本 真裕  
特許庁審判長 吉国 信雄
特許庁審判官 船越 巧子
村本 佳史
発明の名称 荷積み台装置  
代理人 河野 昭  

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