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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B27G
管理番号 1033950
審判番号 不服2000-1702  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-02-14 
確定日 2001-02-19 
事件の表示 平成10年特許願第153832号「加工装置」拒絶査定に対する審判事件[平成11年11月24日出願公開、特開平11-320508]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本件出願の発明
本件出願は、平成10年5月19日の特許出願であって、その請求項1乃至請求項3に係る発明は、平成11年9月20日付手続補正書により全文補正をした明細書(以下「本件明細書」という。)及び願書に最初に添付した図面の記載からみて、明らかな誤記を除いて特許請求の範囲の請求項1乃至請求項3に記載されたとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)は、各構成要件毎に分節すると次のとおりである。
「ベース上で第1のサーボモータにより前後に移動可能に装着した被加工部材を装着するテーブルと、
前記ベースに装着した支持部材に第2のサーボモータで前記テーブルの移動方向に対して直交方向に移動可能に装着した横移動部材と、
前記横移動部材に装着した第3のサーボモータで上下に移動可能に装着した上下移動部材と、
該上下移動部材に装着したヘッドとからなり、
該ヘッドの上部ヘツドに装着した回動サーボモータで下部ヘツドを回動可能に装着し、
前記下部ヘツドに装着したモータで最下部の1つの支持腕又は2つの支持腕で支持した回転軸を前記テーブルに対してほぼ平行に回転可能に装着し、
円盤状の金属又は硬質部材からなる円盤を中心孔に前記回転軸を通して固着し、前記円盤の中心孔の中心を横切って前記円盤の端面を通る直線に対して所定のすくい角度で、かつ前記円盤の垂直な断面に平行又は所定の角度の複数の切り込みをほぼ等間隔に端面に設け、かつ先端刃とそれに続けて一方の側部に設けた側部刃からなる平板状の硬質刃を前記円盤の切り込みに固着するとともに、前記硬質刃の先端刃を前記円盤の端面から突出させ、前記側部刃を前記円盤の両側面から交互に突出するように固着して回転切削刃を構成し、
前記下部ヘツドを前記回動サーボモータで回動することにより、前記テーブル及び前記ヘッド構造体の移動方向と前記回転切削刃の回転軸方向を一致させるか又は回転軸方向から所望の角度だけ回動し、前記回転切削刃を回転軸方向又は回転軸から所望の角度だけ回動した方向に移動するように前記テーブル又は前記ヘッド構造体を移動して、被加工部材の表面を加工することを特徴とする加工装置。」
(なお、請求項1には、回転切削刃の円盤に関して「・・・円盤を前記中心孔に前記回転軸を通して固着し、・・・」と記載されているが、この記載前に「中心孔」について言及されている箇所はないので本件発明1を上記のように認定した。
また、本件出願については、平成12年2月14日付で手続補正がなされたが、この手続補正は、本審決と同じ日付の補正の却下の決定により却下されている。)
第2 引用例
これに対して、原査定の拒絶理由に引用した本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭63-28467号(実開平1-131504号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には「木工用ルータ機における水平軸加工ヘッド」に関連して以下の事項が記載されている。
「第2図は本考案に係る水平軸加工ヘッドAを配設した木工用ルータ機の一例を示し、図中符号1は機台で、該機台1上に第2図において前後方向にレール2,2を敷設して被加工物W固定用のテーブルTを摺嵌し、テーブルTはレール2,2と平行に配設した螺桿3に螺合し、螺桿3は機台1に内設したサーボモータ4と連絡する。
機台1は両側にコラム5,5を立設し前記テーブルTと直交する方向(左右)にビーム6を横架して門形となし、ビーム6に左右方向にレール6′,6′を敷設して摺動盤7を摺嵌し、ビーム6の一側に固設したサーボモータ8に水平螺桿9を連設して摺動盤7に螺合する。
摺動盤7は、上面に配設したサーボモータよりギアボックス10,10を介して該サーボモータと連絡する螺桿11,12を吊設し、該各螺桿11,12に螺合して摺動盤7の前面を昇降するターレッドヘッドB用の昇降盤13と水平軸加工ヘッドA用昇降盤14を摺嵌し、ターレッドヘッドBは、昇降盤13の前面に旋回盤15を軸承して、該旋回盤15に複数の加工用モータ16,16を放射状に配設し、各加工用モータ16,16に切削工具Cを装着してなる。
水平軸加工ヘッドAは昇降盤14の前面に固設した支持▲はこ▼17と、該支持▲はこ▼17内に縦設した回動支持軸18及び回動支持軸18の下端に吊設したカッター駆動機構Dからなり、回動支持軸18は支持▲はこ▼17内に位置する中間部にウォームホイール19を固設して支持▲はこ▼17の外側に固設したサーボモータ20に連絡するウォーム21と噛合する。
カッター駆動機構Dは包囲▲はこ▼24に内設した加工用モータ22を上位に、下位にカッター装着用の回転軸23を水平に並設してなり、加工用モータ22は前記回動支持軸18の下端に吊設した包囲▲はこ▼24の通気路24′内に周壁22′を露出させて固設して、包囲▲はこ▼24の下面両側に蟻溝嵌合25によって支持体26,26を吊設し、カッター装着用の回転軸23は両軸端をベアリング27,27を介して各々支持体26,26に軸承し一方端にプーリ28を止着して前記加工用モータ22の軸端に止着したプーリー29とタイミングベルト30を介して連絡し、該回転軸23の中間位置にカックーEを装着する。
・・・・・・・・・・・・・・・(中 略)・・・・・・・・・・・・。
実施例は上述の構成からなるもので、支持▲はこ▼17に固設したサーボモータ20によりウォーム21,ウォームホイール19を介して回動支持軸18を回動制御しカッターEを所望の加工方向に変換しつつテーブルT上の被加工物Wを切削加工・・・・・・するものである。」(第4頁第13行〜第7頁第14行)
カッターEは、その中心孔に回転軸23を通して固着していること。(第3及び4図参照)
上記記載事項を本件発明1の各構成要件に沿って整理すると、引用例には次の発明が記載されていると認める。
機台1上でサーボモータ4により前後に移動可能に装着した被加工物Wを装着するテーブルTと、
前記機台1にコラム5を介して装着したビーム6にサーボモータ8で前記テーブルTの移動方向に対して直交方向に移動可能に装着した摺動盤7と、
前記摺動盤7に装着したサーボモータで上下に移動可能に装着した水平軸加工ヘッドA用昇降盤14と、
該水平軸加工ヘッドA用昇降盤14に装着した水平軸加工ヘッドAとからなり、
該水平軸加工ヘッドAの上部の支持▲はこ▼17に装着したサーボモータ20で下部のカッター駆動機構Dを回動可能に装着し、
前記カッター駆動機構Dに装着した加工用モータ22で最下部の支持体26,26で支持した回転軸23を前記テーブルTに対してほぼ平行に回転可能に装着し、
カッターEをその中心孔に前記回転軸23を通して固着し、
前記カッター駆動機構Dを前記サーボモータ20で回動することにより、カッターEを所望の加工方向に変換し、前記テーブルT又は摺動盤7を移動して被加工物Wを切削加工する木工用ルータ機。
第3 対比
本件発明1と引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明の「機台1及びコラム5」、「サーボモータ4」、「被加工物W」、「ビーム6」、「サーボモータ8」、「摺動盤7」、「摺動盤7に装着したサーボモータ」、「水平軸加工ヘッドA用昇降盤14」、「水平軸加工ヘッドA」、「水平軸加工ヘッドAの上部の支持▲はこ▼17」、「サーボモータ20」、「カッター駆動機構D」、「加工用モータ22」、「支持体26,26」及び「木工用ルータ機」は、それぞれ本件発明1の「ベース」、「第1のサーボモータ」、「被加工部材」、「支持部材」、「第2のサーボモータ」、「横移動部材」、「第3のサーボモータ」、「上下移動部材」、「上下移動部材に装着したヘッド」、「上部ヘッド」、「回動サーボモータ」、「下部ヘッド」、「下部ヘッドに装着したモータ」、「支持腕」及び「加工装置」に相当することが明らかである。
また、引用例記載の発明の「カッターE」は、その中心孔に回転軸を通して固着する回転切削工具であるという限りで本件発明1の「回転切削刃」と共通している。
したがって、本件発明1と引用例記載の発明とは、以下の一致点及び相違点を有しているということができる。
1 一致点
ベース上で第1のサーボモータにより前後に移動可能に装着した被加工部材を装着するテーブルと、
前記ベースに装着した支持部材に第2のサーボモータで前記テーブルの移動方向に対して直交方向に移動可能に装着した横移動部材と、
前記横移動部材に装着した第3のサーボモータで上下に移動可能に装着した上下移動部材と、
該上下移動部材に装着したヘッドとからなり、
該ヘッドの上部ヘッドに装着した回動サーボモータで下部ヘッドを回動可能に装着し、
前記下部ヘッドに装着したモータで最下部の2つの支持腕で支持した回転軸を前記テーブルに対してほぼ平行に回転可能に装着し、
回転切削工具をその中心孔に前記回転軸を通して固着し、
前記下部ヘッドを前記回動サーボモータで回動することにより、前記回転切削工具を所望の加工方向に変換し、前記テーブル又は前記ヘッド構造体を移動して、被加工部材の表面を加工する加工装置。
2 相違点
(1) 相違点1
回転切削工具が、本件発明1では、円盤状の金属又は硬質部材からなる円盤を中心孔に回転軸を通して固着し、前記円盤の中心孔の中心を横切って前記円盤の端面を通る直線に対して所定のすくい角度で、かつ前記円盤の垂直な断面に平行又は所定の角度の複数の切り込みをほぼ等間隔に端面に設け、かつ先端刃とそれに続けて一方の側部に設けた側部刃からなる平板状の硬質刃を前記円盤の切り込みに固着するとともに、前記硬質刃の先端刃を前記円盤の端面から突出させ、前記側部刃を前記円盤の両側面から交互に突出するように固着して構成された回転切削刃であるのに対して、引用例記載の発明では、どの様な構成のものであるのか明らかでない点。
(2) 相違点2
被加工部材の表面を加工するに当たって、本件発明1では、下部ヘツドを回動サーボモータで回動することにより、テーブル及びヘッド構造体の移動方向と回転切削刃の回転軸方向を一致させるか又は回転軸方向から所望の角度だけ回動し、前記回転切削刃を回転軸方向又は回転軸から所望の角度だけ回動した方向に移動するように前記テーブル又は前記ヘッド構造体を移動しているのに対して、引用例記載の発明では、そのようにしているかどうか明らかでない点。
第4 当審の判断
1 相違点1について
円盤状の金属又は硬質部材からなる円盤をその中心孔に回転軸を通して固着するものであって、前記円盤の中心孔の中心を横切って前記円盤の端面を通る直線に対して所定のすくい角度で、かつ前記円盤の垂直な断面に平行又は所定の角度の複数の切り込みをほぼ等間隔に端面に設け、かつ先端刃とそれに続けて一方の側部に設けた側部刃からなる平板状の硬質刃を前記円盤の切り込みに固着するとともに、前記硬質刃の先端刃を前記円盤の端面から突出させ、前記側部刃を前記円盤の両側面から交互に突出するように固着して構成された回転切削刃は、例えば、昭和四年実用新案出願公告第四四四号公報、実開昭51-91386号公報に示されているように従来周知であり、引用例記載の発明の回転切削工具として、上記周知の回転切削刃を採用して本件発明1のように構成することに格別の困難性は見当たらない。
2 相違点2について
回転切削刃を用いて被加工部材の表面を加工するに当たって、回転切削刃と被加工部材とを、回転切削刃の回転軸に直交する方向だけでなくその回転軸方向にも相対移動させることは、例えば、原査定の拒絶の理由に引用した特開平10-86102号公報に示されており、引用例記載の発明の回転切削工具として、上記周知の回転切削刃を採用した場合、テーブル及びヘッド構造体の移動方向と回転切削刃の回転軸方向を一致させるか又は回転軸方向から所望の角度だけ回動し、前記回転切削刃を回転軸方向又は回転軸から所望の角度だけ回動した方向に移動するように前記テーブル又は前記ヘッド構造体を移動することは、必要とする表面形状の物品を得るために被加工部材をどの様に加工するかに応じて適宜なし得る加工装置の操作態様にすぎず、本件発明1のようにする点に格別の発明性は見当たらない。
3 本件発明1の効果について
そして、本件発明1の採用する構成によって齎される効果も、引用例記載の発明及び上記周知の回転切削刃から予期できる程度のものであって格別のものではない。
第5 むすび
したがって、本件発明1は、引用例記載の発明及び上記周知の回転切削刃に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許をすることができないものである。
よって、本件出願の請求項2及び請求項3に係る発明について検討するまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-11-27 
結審通知日 2000-12-05 
審決日 2000-12-18 
出願番号 特願平10-153832
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B27G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小椋 正幸藤井 新也谷治 和文  
特許庁審判長 小池 正利
特許庁審判官 宮崎 侑久
中村 達之
発明の名称 加工装置  
代理人 鈴木 和夫  
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