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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G10L
管理番号 1034300
審判番号 審判1999-14474  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-08-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-09-16 
確定日 2001-03-07 
事件の表示 平成 1年特許願第328257号「規則音声合成装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 3年 8月19日出願公開、特開平 3-189697]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成1年12月20日の出願であって、その請求項1に係る発明は、補正された明細書及び図面の記載から見て、特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「音韻情報を所定のパラメータに変換するパラメータ変換手段と、
韻律情報を制御するための音声を電気的信号に変換する音響-電気変換手段と、
上記音響-電気変換手段の出力のピッチパターンを求めるピッチパターン決定手段と、
上記音響-電気変換手段の出力の振幅を求める振幅決定手段とを有し、
上記所定のパラメータと上記ピッチパターンと上記振幅とを合成して合成音声を得るようにした
ことを特徴とする規則音声合成装置。」
2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭60-216397号公報(以下、「引用例」という)には、「音声分析合成装置」に関する発明が記載されており、この装置の構成等について、以下のとおりの説明がある。
(イ)「音声分析合成系では音声を声道情報と音源情報に分離して考えており、声道情報が音韻を、音源情報が抑揚やアクセントを表現する」(左上欄第20行〜右上欄第2行)
(ロ)「声道情報を音声の内容部即ち日本語ではア、イ、ウ・・・等の各音韻の種類を表すコードで代用する。」(第2頁右上欄第9〜11行)
(ハ)「音声分析器11ではディジタル化された音声データと音声の内容を示す音韻の種類をカナ文字や発音記号によって入力し両者の時間的対応を付け、各音韻コードとその音韻を発生する間の音源情報符号化して伝送又は蓄積する」(第2頁右上欄第12〜18行)
(ニ)「音源情報抽出部31では入力されたディジタル音声データからフレーム毎にピッチ、アンプを求める。音韻照合号部32では、音声データの内容を示す音韻列をキーボード等よりカナ文字又は発音記号で入力する。」(同頁左下欄第20行〜右下欄第4行)
(ホ)「音韻コードと境界コードは音韻メモリ35に入力される。音韻メモリ35は第1表に示した全音韻の声道情報をケプストラム・パラメータの形式で蓄積しており」(第5頁左下欄第9〜13行)
(ヘ)「音声合成部36はディジタルフィルタで構成され、前記音韻メモリ35及びデータ複合部34からの声道情報と音源情報をもとにケプストラム合成により音声を再生する」(第5頁右下欄第3〜6行)
(ト)「上記実施例では音声をの内容を示す音韻の種類と各音韻の開始フレーム番号をキーボードより入力する場合について説明したが、これを音声データから自動的に求めて入力してもよい」(第5頁右下欄第7〜9行)
なお、音声分析合成装置に入力される「音声データ」が「ある発声」に対応した音声波形、換言すれば、音声を電気信号に変換したアナログの音声波形に相当するものであることについては、図2aがこれを示し、第2頁左下欄第4〜5行に「aは音声分析器11に入力される音声データで、「イマ」と発声している」とその図の説明がある。したがって、引用例の音声合成分析装置が音声データを入力として取り込む前の処理のための手段として、図2aのような電気信号を得るためのための音響-電気変換手段を具備していることは、その旨の明示の記載がないにしても、自明な設計的事項であると認める。
上記(イ)〜(ト)の記載事項、並びに引用例の記載から自明であると認めることができる設計的事項にも留意しつつ、引用例の記載全体を総合すれば、引用例には「音声の内容を示す音韻の種類をキーボードより入力し、抑揚やアクセントを表現する音源情報を音声データから自動的に求めて入力する」ことを基本的な技術思想とする音声分析合成装置であって、少なくとも以下のとおりの要素を含む音声分析合成装置に関する発明が開示されているものと認める。
「音声の声道情報をケプストラム・パラメータの形式で蓄積した音韻メモリ35と、
音声分析器11に入力される音声データを得る手段と、
音声データからピッチ、アンプを求める音源情報抽出部31と、
音韻メモリ35とデータ復号部34からの声道情報と音源情報とを合成して合成音声を得るようにした
ことを特徴とする音声分析合成装置。」
3.対比
そこで、本願発明と引用例記載の発明とを対比するに、引用例に記載の「声道情報」「音源情報」「音韻メモリ35」「音声データを得る手段」がそれぞれ本願発明の「音韻情報」「韻律情報」「パラメータ変換手段」「音響-電気変換手段」に相当し、また引用例の「音源情報蓄積部」は本願発明の「ピッチパターン決定手段」と「振幅決定手段」をまとめたものに対応するので、両者は
「音韻情報を所定のパラメータに変換するパラメータ変換手段と、
音声を電気的信号に変換する音響-電気変換手段と、
上記音響-電気変換手段の出力のピッチパターンを求めるピッチパターン決定手段と、
上記音響-電気変換手段の出力の振幅を求める振幅決定手段とを有し、
上記所定のパラメータと上記ピッチパターンと上記振幅とを合成して合成音声を得るようにした
ことを特徴とする音声合成装置」
である点において一致し、次の2点に一応の相違があるものと認めることができる。
(1)本願発明の「音響-電気変換手段」が「韻律情報を制御するための音声」を電気的信号に変換する音響-電気変換手段であるのに対して、引用例にはその旨の明示の記載がない点。
(2)本願発明が全体として「規則音声合成装置」と呼ばれる方式の音声合成装置であるのに対して、引用例に記載の発明は「音声分析合成装置」と呼ばれる方式の音声合成装置である点。
4.当審の判断
そこで、上記相違点について検討すると、まず、第1の相違点については、前記2(二)で言及したように引用例には「音声データからピッチ、アンプを求める」との記載があり、また「ピッチ、アンプ」等を引用例では「音源情報」と呼んでいることを総合すると、引用例のものが具備していることが自明な「音声データを得る手段」も、「音源情報を求めるための音声データ」を電気的信号に変換する音響-電気変換手段に他ならず、結局のところ、第1の相違点は実質的な相違点ではない。この点に関して、審判請求人は「引用例では音韻情報も入力した音声を分析することにより得られている」旨主張しているが、失当である。引用例には、「音韻列をキーボード等よりカナ文字又は発音記号で入力する」ことが明記されている(前記2(二))。
つぎに、第2の相違点については、本願発明と引用例記載の音声合成装置がともに、「音韻情報をキーボードから入力し、韻律情報を音声から分析して求める」点で基本的構成を同じくし、個々の構成要素を見てもその間に実質的差異がない以上、本願発明を「規則によって音声パラメータを作成する」部分に注目して「規則音声合成装置」と呼ぶか、それとも「音声を分析して記憶又は伝送し再び合成する」部分に注目して「音声合成分析装置」と呼ぶかは単なる形式上の差異に過ぎない。
ところで、審判請求人は引用例には本願発明の「韻律情報を制御するための音声を電気的信号に変換する音響-電気変換手段」に関する記載がない等と新規性についても十分意見を述べたうえで、とくに本願発明と引用例記載のものとでは、発明の目的、作用、効果が異なる旨を主張している。引用例の記載事項と本願発明の構成の対比(すなわち、構成に関する新規性)については上述のとおりであるので、ここでは、目的、作用、効果の差異についてひとこと当審の判断を加えておくことにする。たしかに、引用例の発明が「音声を伝送又は蓄積するための伝送容量の圧縮等」を目的等としているのに対して、本願発明では「入力作業の効率化等」を目的等としている。しかしながら、一般論として東京高裁判決(例えば、昭和52年(行ケ)第77号、昭和41年(行ケ)第7号判決など)にもあるように、特定の発明たる技術思想がある文献に開示されているというためには、その文献に当該技術的思想の内容、すなわちその構成が記載されていれば足りるものであって、必ずしもその目的、作用、効果についてまで記載されていることを要するものではない。本件についていえば、引用例には本願発明と同様の構成要素を具備した音声合成装置に関する発明が開示されており、その作用効果もその構成に起因する必然的結果の域を越えるものであると認めることはできないので、結局のところ、目的・作用効果等の記載の有無のみをもって本願発明は引用例に開示がないとすることはできない。
5.むすび
以上のように、本願発明は引用例に記載された発明と実質的に同一であるから、特許法29条第1項の規定により特許を受けることができない。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-11-21 
結審通知日 2000-12-01 
審決日 2001-01-09 
出願番号 特願平1-328257
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G10L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 涌井 智則  
特許庁審判長 高倉 成男
特許庁審判官 石川 伸一
小林 秀美
発明の名称 規則音声合成装置  
代理人 伊賀 誠司  
代理人 田村 榮一  
代理人 小池 晃  
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