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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1034596
審判番号 審判1998-15664  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-12-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-10-01 
確定日 2001-03-16 
事件の表示 平成 8年特許願第146671号「罫線作成装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 8年12月 3日出願公開、特開平 8-320865]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 (手続の経緯・本願の発明の要旨)
本願は、昭和61年7月11日に出願した特願昭61-164135号の一部を平成8年5月15日に新たな特許出願としたものであって、その発明は、平成10年10月1日付けの手続補正によって補正された明細書と図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認める。
「請求項1
表等の罫線を作成する罫線作成装置において、
罫線枠を入力するための罫線枠入力手段と、
縦方向と横方向の少なくともいずれか一方に前記罫線枠を延長することを指定
する罫線延長指定手段と、
前記罫線延長指定手段により延長が指定されると、前記罫線枠を構成する罫線
の中で前記指定された方向の罫線のみを含む空白の行または列を追加することに
よって、前記指定された方向の罫線のみを延長して前記罫線枠の内部領域を拡張
する罫線延長手段と、
を備えることを特徴とする罫線作成装置。」

(引用例)
これに対し、原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である特開昭60-178581号公報(以下、「引用例」という。)には、「行挿入の場合には挿入行の上下の行、行削除の場合には削除行の上下の行の罫線情報を参照して、新たな罫線情報を再編集することにより、テーブルの外枠内への挿入であれば、そのテーブルを拡張したような形式の罫線を(中略)自動編集を行なうようにしたことに特徴がある。」(第2頁右上欄第14行乃至左下欄第1行)、「キーボード1には、挿入位置、削除位置を指定する文字数字キー3,挿入指定キー4,削除指令キー5が設けられている。」(第2頁左下欄第6乃至8行)及び「第5図は、第1図の表示部2に例示されたテーブルの5行目と6行目の間に新しく行を追加し、罫線の編集処理をする前の状態を示したものである。もし、罫線の編集処理を行わない場合には、点線で囲んだ挿入行31の部分は罫線無しの状態となり、表としての形を整えるには、この挿入行31の部分に罫線の再定義を行わなければならない。第6図は、第5図における挿入行31について、上下の行の関係から見て望ましい形の罫線を示したものである。即ち、セルA6、B6、D6、H6に縦罫線を、セルE6、F6、G6に縦横罫線を設定したものである。上下の罫線情報から第6図に示したような罫線情報を自動編集するため、本発明では以下の関係式を用いる。」(第2頁右下欄第16行乃至第3頁左上欄第10行)が図面第5及び6図とともに記載されている。
なお、引用例記載の罫線編集処理装置も表等の罫線を入力するための罫線枠を入力する手段を有することは明らかであるから、したがって、引用例には、
「表等の罫線を作成する罫線編集処理装置において、罫線を入力するための罫線枠入力手段と、縦方向に前記罫線枠を挿入することを指定する位置を指定する文字数字キー3及び挿入指定キー4と、前記文字数字キー3及び挿入指定キー4により挿入が指定されると、挿入行の上下の行の罫線情報を参照して、新たに罫線情報を再編集することにより、罫線枠を拡張する手段を備える罫線編集処理装置」が記載されているものと認められる。

(本願発明と引用例に記載された発明との対比)
ところで、「罫線枠」なる用語は、縦線と横線で仕切られた表を形成する各枠組みを意味するのが一般的であるが、上記特許請求の範囲の請求項1に記載の発明(以下、「本願発明」という。)においてもそのように解して良いかどうか検討する。
明細書全体の記載及び第3図の記載、特に第3図の記載からみて、本願発明の「罫線枠」は、文書を囲む外枠を意味しており、上述した一般的な意味で用いている記載は何処にも見いだすことができないので、「罫線枠」は、文章を囲む外枠の意味と解する。
次に、本願発明(前者)と引用例に記載された発明(後者)とを対比すると、
後者の「罫線編集処理装置」及び「文字数字キー3及び挿入指定キー4」は、前者の「罫線作成装置」及び「罫線延長指定手段」に相当し、そして、前者の「前記文字数字キー3及び挿入指定キー4により挿入が指定されると、挿入行の上下の行の罫線情報を参照して、新たに罫線情報を再編集することにより、罫線枠を拡張する手段」は、その機能を勘案すると、挿入が指定された行の空白の行を追加することによって、行の罫線を延長して罫線枠を拡張しているから、「罫線延長手段」に相当すると言い得るので、
両者は、「表等の罫線を作成する罫線作成装置において、罫線枠を入力するための罫線枠入力手段と、縦方向と横方向の少なくともいずれか一方に前記罫線枠を延長することを指定する罫線延長指定手段と、前記罫線延長指定手段により延長が指定されると、前記罫線枠を構成する罫線の中で前記指定された方向の罫線を含む空白の行または列を追加することによって、前記指定された方向の罫線を延長して前記罫線枠の内部領域を拡張する罫線延長手段とを備える罫線作成装置」の点で一致し、
縦方向の罫線枠を延長する場合、
前者が縦方向の罫線のみを延長するのに対して、
後者は、縦方向の罫線のみと縦方向の罫線と横方向の罫線とが複写され縦方向の罫線を延長する点で、両者は相違しているものと認められる。
(当審の容易性の判断)
上記相違点について、
引用例の第5、6図には、縦罫線のみを複写して設定したものと、縦横罫線を複写して設定したものとが記載されている。
そこで、文章を囲む外枠の縦方向を延長したいのであれば、縦罫線のみを複写して設定したものを選択すれば、縦方向の罫線のみを延長できることは、当業者が容易に推考できたものと認める。

そして、本願発明の効果は、引用例に記載の発明の効果から予測できる程度のものと認める。

(むすび)
したがって、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-11-29 
結審通知日 2000-12-08 
審決日 2001-01-17 
出願番号 特願平8-146671
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 謙阿波 進坂庭 剛史  
特許庁審判長 佐藤 荘助
特許庁審判官 岡 千代子
飯田 清司
発明の名称 罫線作成装置  
代理人 下出 隆史  
代理人 五十嵐 孝雄  

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