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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K |
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管理番号 | 1034613 |
審判番号 | 審判1999-14950 |
総通号数 | 18 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-02-12 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-09-22 |
確定日 | 2001-03-16 |
事件の表示 | 平成 3年特許願第186560号「通行料金収受システム、料金所側システム及び無線カードシステム」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 2月12日出願公開、特開平 5- 35933]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成3年7月25日の出願であって、その発明は、手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された通行料金収受システム、料金所側システム及び無線カードシステムの発明であり、その請求項1に係る発明は、以下のとおりのものである。 「有料道路の料金所側のシステムとして設けられ、複数箇所の料金所のそれぞれに設置される複数台のブース処理装置と、有料道路の渋滞並びに天候の情報を含むサービス情報をキーボードを含む手段により入力する入力手段と、この入力手段により入力されたサービス情報を前記複数台のブース処理装置のそれぞれに送信する第1の送信手段とを有したデータ処理装置とを備えた料金所側システムと、 有料道路を走行する車両側に設置され、前記ブース処理装置に対して車両の車種並びに入口ゲートコードを含む車両情報を送信する第2の送信手段を備えた車両側の無線カードシステムとから構成され、 前記料金所側システムは、前記複数台のブース処理装置のそれぞれが前記データ処理装置から送信される前記サービス情報を受信するサービス情報受信手段と、前記無線カードシステムから送信される前記車種並びに入口ゲートコードを含む車両情報を受信する車両情報受信手段を備え、また、前記システムは前記車両情報受信手段で受信した前記車種並びに入口ゲートコードに基づいて通行料金を算出する算出手段を備え、さらに、前記複数台のブース処理装置のそれぞれが前記算出手段で算出した通行料金と前記サービス情報受信手段で受信している前記サービス情報とを前記無線カードシステムに送信する第3の送信手段とを備え、 前記無線カードシステムは、前記料金所側システムから送信された通行料金を記憶する記憶手段と、前記料金所側システムから送信された有料道路の渋滞並びに天候の情報を含むサービス情報を表示する表示手段とを具備したことを特徴とする通行料金収受システム。」(以下、「請求項1に係る発明」という。) 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶理由に引用された特開平2-183389号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。 (1)「車載端末機(1)と端末周辺装置(21)からなる端末機において、前記車載端末機(1)は、中央情報処理装置(22)と無線機(29)と中央処理装置(22)に接続するメモリ(23)とディスプレイコントローラ(24)とキーボード・インタフェイス(25)とリード/ライト回路インタフェイス(20)を具備し、前記端末周辺装置(21)は外部記憶媒体との間で読み取り書き込み可能なリード/ライト回路(26)とディスプレイ(3)とキーボード(4)を備えるとともに前記リード/ライト回路(26)には着脱可能な外部記憶媒体を設けたことを特徴とする外部記憶媒体着脱可能な車載端末機。」(第1頁左下欄第5行から第18行:特許請求の範囲) (2)「現在非接触方式による新しい料金収受システムが計画・検討されている。これは、走行している車両と道路近傍に設置された路上機で車両識別IDや道路情報等を無線伝送し、車両IDを利用した車両識別によって料金を徴収するシステムである。」(第1頁右下欄第11行から第16行) (3)「無線データ伝送可能な車載機を搭載した車両が道路近傍に設置された路上機51の通信エリア内に進入すると自動的に車両ID、道路情報等を送受信する。車両52からの車両ID等の情報は路上機51が受信し、路上機51とデータウェイで接続されている地区局53及びその上位の局(ホスト局)へ伝送される。路上機前を通過した車両が識別され、銀行口座から料金引き落としが可能になる。」(第1頁右下欄第17行から第2頁左上欄第4行、第2頁左上欄第7行から第9行、及び、第4図参照) (4)「車載端末機は、周辺装置21により入力された車両情報を路上機に送信したり地区局53からの情報を路上機51を介して受信するものである。」(第2頁左下欄第12行から第15行) (5)「受信情報は路上機51からの電波をアンテナ30が受信して無線機29に入力され、メモリ23に蓄積される。この情報が課金情報であればCPU22はICカード2に入口/出口情報や金額情報、時刻情報等を書き込む。一方道路情報等であればCPU22はディスプレイ3に表示しユーザに知らせる。」(第3頁左上欄第14行から第20行) (6)「ディスプレイ3は、車両情報、路上情報、端末機の操作等をモニターする。」(第2頁左下欄20行から右上欄第1行) (7)地区局53と各路上局51は、データウェイ47を介して相互に接続されていること。(両方向の矢印が付いたデータウェイ47が記載された第4図、及び、上記(3)及び(4)の記載を参照) 以上の記載から見ると、複数箇所に設置された路上機と地区局は、データウェイを介して情報を相互に送信・受信する手段を有していると認められ、また、各路上機と車載端末機はそれぞれのアンテナを介して情報を送信・受信する手段を有していると認められる。そして、車載端末機から送信された車両情報に基づいて、路上機及び地区局からなる料金所側のシステムにおいて、通行料金が計算され、地区局から通行料金を含む情報が路上機から車載端末機に送信されていると認められる。 したがって、引用例には、有料道路を走行する車両の料金収受システムとして、料金所側のシステムとして設けられた、複数個所に設置された路上機と、情報を各路上機に送信するデータウェイを介した通信手段を有した地区局とを備えた料金所側システムと、有料道路を走行する車両側に設置され、路上機に対して車両情報をアンテナを介して送信する手段を備えた車両側の車載端末機とから構成され、路上機のそれぞれが地区局から送信される情報をデータウェイを介して受信する情報受信手段と、車載端末機からアンテナを介して送信される車両情報をアンテナを介して受信する車両情報受信手段を備え、また、システムは車両情報受信手段で受信した車両情報に基づいて通行料金を算出する手段を備え、さらに、路上機のそれぞれが算出する手段が算出した通行料金と情報受信手段を介して受信している情報とを車載端末機に送信するアンテナを介した送信手段とを備え、車載端末機は、料金所側システムから送信された通行料金を記憶するICカードと料金所システムから送信された情報を表示するディスプレイとを具備した料金収受システム(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されていると認められる。 3.対比 そこで、請求項1に係る発明と引用例記載の発明とを比較すると、 引用例記載の発明の「料金収受システム」、路上機が設置された「複数個所」、「路上機」、「情報を各路上機に送信するデータウェイを介した通信手段」、「地区局」、「路上機に対して車両情報をアンテナを介して送信する手段」、「車載端末機」、「地区局から送信される情報をデータウェイを介して受信する情報受信手段」、「車載端末機からアンテナを介して送信される車両情報をアンテナを介して受信する車両情報受信手段」、「車両情報受信手段で受信した車両情報に基づいて通行料金を算出する手段」、「路上機のそれぞれが算出する手段が算出した通行料金と情報受信手段を介して受信している情報とを車載端末機に送信するアンテナを介した送信手段」、「料金所側システムから送信された通行料金を記憶するICカード」、「料金側システムから送信された情報を表示するディスプレイ」は、請求項1に係る発明の「通行料金収受システム」、「複数箇所の料金所」、「ブース処理装置」、「情報をブース処理装置のそれぞれに送信する第1の送信手段」、「データ処理装置」、「ブース処理装置に対して車両情報を送信する第2の送信手段」、「無線カードシステム」、「データ処理装置から送信される情報を受信するサービス情報受信手段」、「無線カードシステムから送信される車両情報を受信する車両情報受信手段」、「車両情報受信手段で受信した情報に基づいて通行料金を算出する算出手段」、「ブース処理装置のそれぞれが算出手段で算出した通行料金と情報受信手段で受信している情報とを前記無線カードシステムに送信する第3の送信手段」、「料金所側システムから送信された通行料金を記憶する記憶手段」、「料金所側システムから送信された情報を表示する表示手段」に、それぞれ、相当すると認められ、 両者は、 有料道路の料金所側のシステムとして設けられ、複数箇所の料金所のそれぞれに設置されるブース処理装置と、情報を前記ブース処理装置のそれぞれに送信する第1の送信手段とを有したデータ処理装置とを備えた料金所側システムと、有料道路を走行する車両側に設置され、前記ブース処理装置に対して、車両情報を送信する第2の送信手段を備えた車両側の無線カードシステムとから構成され、前記料金所側システムは、前記ブース処理装置のそれぞれが前記データ処理装置から送信される前記サービス情報を受信するサービス情報受信手段と、前記無線カードシステムから送信される前記車両情報を受信する車両情報受信手段を備え、また、前記システムは前記車両情報受信手段で受信した前記情報に基づいて通行料金を算出する算出手段を備え、さらに、前記ブース処理装置のそれぞれが前記算出手段で算出した通行料金と前記情報とを前記無線カードシステムに送信する第3の送信手段とを備え、前記無線カードシステムは、前記料金所側システムから送信された通行料金を記憶する記憶手段と、前記料金所側システムから送信された情報を表示する表示手段とを具備した通行料金収受システムである点で一致し、以下の点で一応相違していると認められる。 相違点 (1)料金所に設置されたブース処理装置が、請求項1に係る発明では、複数台であるのに対し、引用例1記載の発明では、1台であり、また、車両側の無線カードシステムから第2の送信手段により送信され、ブース処理装置の車両情報受信手段で受信され、それに基づいてシステムの算出手段により通行料金が算出される車両情報が、請求項1に係る発明では、車種と入口ゲートコードを含むのに対し、引用例1記載の発明では、車種あるいは入口ゲートコードといった限定がない点。 (2)データ処理装置が、請求項1に係る発明では、キーボードを含む手段により入力する入力手段を備えており、データ処理装置の入力手段により入力され、データ処理装置から第1の送信手段によりブース処理装置に送信され、ブース処理装置の情報受信手段により受信され、ブース処理装置が第3送信手段により無線カードシステムに送信し、料金所側システムから送信され、無線カードシステムの表示手段により表示される情報が、有料道路の渋滞並びに天候の情報を含むサービス情報であるのに対し、引用例記載の発明では、データ処理装置にキーボードを含む手段により入力する入力手段を備えていることは明確ではなく、また、情報が、有料道路の渋滞並びに天候の情報を含むサービス情報に限定されていない点。 4.当審の判断 そこで、上記相違点について検討すると、 (1)の点については、引用例記載の発明においても、料金所側のシステムとして、データ処理装置に対しては複数台のブース処理装置が設置される構成を備えており、例えば、高速道路の複数車線の料金所のように複数の入口ゲートを備えた料金所の場合に、設置するブース処理装置の台数を複数台とすることは、当業者が容易に想到し得ることと認められるから、引用例記載の発明を、複数箇所の料金所のそれぞれに複数台のブース処理装置を設置するように料金所側の配置を変更することは当業者が容易に為し得ることであると認められる。また、車両から送信され、これに基づいて通行料金を算出する車両情報として、車種に加えて入口ゲートコードを含むように変更することも、料金所の配置や通行料金の計算方法等に応じて、当業者が適宜、選択できることであると認められる。 (なお、入口名情報を元に通行料金を算出する有料道路の料金徴収システムも周知技術であると認められる。例えば、特開平2-300887号公報第3頁左上欄第12行から第13行参照。) また、(2)の点については、引用例の上記(4)の、車載端末機から路上機に送信される情報は車両情報であるが、地区局から路上機を介して車載端末機に送信される情報は、情報という一般的なものである記載、及び、引用例の上記(5)の、受信情報は路上機からの電波をアンテナが受信して無線機に入力され、メモリに蓄積され、この情報が課金情報であればCPUはICカードに入口/出口情報や金額情報、時刻情報等を書き込み、一方道路情報等であればディスプレイに表示しユーザに知らせるという記載や、上記(6)の、ディスプレイは、車両情報、路上情報、端末機の操作等をモニターするという記載を参照すると、料金所側システムのデータ処理装置から送信され、ブース処理装置を介して無線カードシステムに受信されて表示装置に表示される情報には、車両側から送信される車両情報だけでなく、一般の情報、路上情報のような各種情報が含まれる構成が引用例には示されていると認められる。 車両に搭載されたディスプレイ上に表示する情報として、事故、渋滞、規制、路面凍結等の道路交通情報、道路案内、地理案内、催し物案内などのサービス情報、地図、天気予報図、レストランのリストなどの各種情報を提供するシステムは周知(例、特開昭63-238696号公報、第3頁右下欄、特開昭63-294022号公報、特開昭64-44599号公報、特開平1-124097号公報、特開平2-501959号公報等を参照)であると認められ、また、これらの情報が、データ処理装置に対応する情報センター側の装置において入力され、車両側の表示手段に表示されることも周知技術であると認められるから、通行料金収受システムの料金所側のデータ処理装置において、キーボードを含む手段という通常の入力手段を設置するようにすること、また、この入力手段により入力され、車両側の無線カードシステムの表示手段に表示できる情報を、有料道路の渋滞並びに天候の情報を含むサービス情報とすることは、上記引用例に示された構成及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものと認められ、この点に技術的思想の創作として格別の困難性があるとは認められない。 5.むすび 以上のとおりであるから、請求項1に係る発明は、引用例記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-12-21 |
結審通知日 | 2001-01-09 |
審決日 | 2001-01-22 |
出願番号 | 特願平3-186560 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 前田 仁 |
特許庁審判長 |
西川 正俊 |
特許庁審判官 |
大橋 隆夫 吉見 信明 |
発明の名称 | 通行料金収受システム、料金所側システム及び無線カードシステム |
代理人 | 外川 英明 |