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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C12H
管理番号 1034637
審判番号 審判1999-4167  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-04-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-03-23 
確定日 2001-03-05 
事件の表示 平成 1年特許願第214540号「熟成装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 3年 4月 4日出願公開、特開平 3- 80070]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1、本願発明と手続の経緯
本願は、平成1年8月21日の出願であって、その発明は(以下、「本件発明」という)、平成12年9月13日付けの当審の拒絶理由通知書に対する平成12年11月27日付けの手続補正書によって補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
「1 被熟成物を充填したタンクと、該タンクの内面に配置した電磁波発生装置に接続した電磁波アンテナと、前記タンク底面に配置した超音波発生装置を接続した超音波振動子及び遠赤外線発生装置を接続した遠赤外線発生素子と、前記電磁波発生装置、前記超音波発生装置及び前記遠赤外線発生装置を接続した制御装置とからなり、前記制御装置によって、前記電磁波発生装置、前記超音波発生装置、前記遠赤外線発生装置を間欠的またはランダムに時間をずらして駆動することにより、前記被熟成物に電磁波、超音波、遠赤外線を照射して熟成させることを特徴とする熟成装置。
2 被熟成物を通す流入口及び流出口を設けたパイプと、該パイプの内壁に配置した電磁波発生装置に接続した電磁波アンテナ、超音波発生装置に接続した超音波振動子及び遠赤外線発生装置に接続した遠赤外線発生素子と、前記電磁波発生装置、前記超音波発生装置及び前記遠赤外線発生装置を接続した制御装置とからなり、前記制御装置によって、前記電磁波発生装置、前記超音波発生装置、前記遠赤外線発生装置を間欠的またはランダムに時間をずらして駆動することにより、前記パイプ内に流通させた前記被熟成物に電磁波、超音波、遠赤外線を照射して熟成させることを特徴とする熟成装置。」

2、当審の拒絶理由
一方、当審において、平成12年9月13日付けで通知した拒絶の理由の概要は、本件発明は、その出願前に頒布された、実願昭61-70990号(実開昭62-181197号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という)、特公昭45-13437号公報(以下、「引用例2」という)、特開昭54-119098号公報(以下、「引用例3」という)、特開昭56-68385号公報(以下、「引用例4」という)、特開昭62-74277号公報(以下、「引用例5」という)、実願昭62-147635号(実開昭64-52498号)のマイクロフィルム(以下、「引用例6」という)、及び特開平1-187077号(以下、「引用例7」という)に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有するものが、容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとするものである。
(引用例)
引用例1は、電磁波を発生するセラミック製内容器を持つ熟成促進容器を開示するものであり、「この電磁波の発生は発熱体でセラミック製内容器を加熱することにより行うものであるから電磁波発生のコントロールも容易にし得ることになる。而かも、・・・加熱硬化及び熟成効果も良好となる。」(明細書第8頁2〜8行)との記載がある。
引用例2は、超音波を利用して酒類を熟成する装置に関し、「図において、・・・上面には原酒の取入管2が接続されている。3は貯蔵樽であって上面には熟成酒の導出管4が接続されている。・・・6、7、8、9は熟成室5の側壁に輻射面を室内に向けて取付けられた超音波振動子であって、高周波発振器(図示せず)に接続されている。」(公報第1頁右欄20〜28行)との記載がある。
引用例3及び4は、超音波処理によってアルコール飲料を熟成する方法等に関するものであり、引用例3に記載の装置は振動子を有すること(公報第3頁左上欄14行)が記載されている。
引用例5は、果実酒、薬用酒等の促成熟成法及び熟成器に関し、「遠赤外線を上方より照射しながら熟成する」(公報第2頁左下欄16〜17行)との記載がある。
引用例6は、アミノ酸その他の蛋白質を組成物として含む飲食物に遠赤外線を作用させ、組成物を改質し熟成して旨みを増す手段に関するもので、その具体的手段として遠赤外線ラベルが記載されている。
引用例7は、熟成を行わせる液に遠赤外線を照射する熟成方法に関し、「例えば、超音波発信器を用いて表面液の入れ替りを激しくして遠赤外線を照射すれば、さらに効率のよい熟成が可能となる。また、超音波は熟成にも効果があると言われており、遠赤外線の照射と併用すればより一層の熟成促進が期待できる。」(第2頁左下欄9〜14行)との記載がある。
なお、原審も、実質的に同一の刊行物を提示して、本件発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとしている。

3、本件各発明と引用例記載の発明との対比
本件各発明と各引用例記載の発明とを対比すると、両発明は共に熟成手段として、電磁波、超音波及び遠赤外線を使用している点で一致しているが、次の点で相違する。
(1)本件発明は電磁波発生装置、超音波発生装置及び遠赤外線発生装置を備え、これらを間欠的またはランダムに時間をずらして駆動させることにより熟成させる装置であるのに対して、引用例1は電磁波を、引用例2〜4は超音波を、及び引用例5及び6は遠赤外線を単独で発生させ使用する器具、装置であり、また引用例7は遠赤外線を単独で使用する、或いは遠赤外線と超音波を併用する装置である点、
(2)本件発明は上記3種の発生装置の駆動に必要な制御装置を有するのに対して、上記各引用例に記載の発明はかかる手段を有しない点、
(3)本件発明はタンク又は流入口及び流出口を設けたパイプを用いるのに対して、引用例2記載の発明では、収容樽1及び貯蔵樽3を介して取入管2及び導出管4が接続された熟成室5を用いている以外には、各引用例にはこれらについての明示の記載がない点、及び
(4)本件発明は電磁波アンテナを有するのに対して、各引用例にはこの点が記載されていない点及び本件発明では超音波振動子及び遠赤外線発生素子がタンクの底面に配置されているのに対して、各引用例にはその点が特定されていない点。

4、当審の判断
以下、上記各相違点について、順次検討する。
(1)各引用例に記載されているとおり、電磁波、超音波及び遠赤外線は酒類等の熟成手段として従来から使用されてきており、又上記で摘記したとおり、引用例7に、「超音波発信器を用いて表面波の入れ替りを激しくして遠赤外線を照射すれば、さらに効率のよい熟成が可能となり、また、超音波は熟成にも効果があると言われており、遠赤外線の照射と併用すればより一層の熟成促進が期待できる。」と開示されているから、上記熟成手段を適宜、複数組み合わせる程度のことは、当業者ならば容易になし得る事柄と認められる。
(2)複数の装置を駆動させる場合には、各装置を制御する必要があることは当然の事柄であり、そのための手段を設けることは周知の技術手段である。
(3)電磁波、超音波等を発生させる部位において、引用例では容器等を使用しているが、これは容器に限られるものではなく、被熟成物を維持でき、かつ熟成手段を保持できればよいのであるから、容器等に代えて、タンクやパイプを使用することは当業者が適宜必要に応じてなし得ることである。又、流入口及び流出口を配設することも、引用例2の記載からみて適宜必要に応じてなし得る事柄にすぎない。
(4)電磁波を発生する手段としてアンテナを使用することは周知の技術手段であり、また超音波振動子及び遠赤外線発生素子を配置する箇所も当業者ならば適宜必要に応じて決定し得ることである。
そして、本件発明の「酒や酢などの被熟成物を短時間に熟成させることができる」(明細書第4頁第3行)という効果等も、引用例7の「熟成の促進が期待できる」という記載からみて、予想しうる範囲のものであり、本件発明が格別顕著な効果を奏し得たものとも認めることができない。

5、むすび
したがって、本件発明は、引用例1ないし7に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-12-08 
結審通知日 2000-12-22 
審決日 2001-01-05 
出願番号 特願平1-214540
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C12H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深草 亜子  
特許庁審判長 眞壽田 順啓
特許庁審判官 田村 明照
大高 とし子
発明の名称 熟成装置  
代理人 鈴木 和夫  
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