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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1034669 |
審判番号 | 審判1999-14105 |
総通号数 | 18 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1990-11-09 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-09-09 |
確定日 | 2001-03-21 |
事件の表示 | 平成 1年特許願第311343号「半導体装置の製造方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 2年11月 9日出願公開、特開平 2-275627]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
一.本願発明 本願は平成1年11月30日(優先権主張平成1年1月18日)の出願であって、その請求項1ないし6に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。 「(1)半導体基板上に被加工物層を形成する工程と、この被加工物層上に、これを加工する為の有機膜マスクパターンを形成する工程と、該被加工物層を反応性イオンエッチング法により加工する工程と、該有機膜マスクパターンを、少なくとも酸素分子を含む酸素灰化法を用いて除去する工程と、この除去工程の後、少なくとも前記被加工物層或いは該被加工物層の下地層をエッチングせしめる腐蝕媒体に曝す工程とを具備してなる半導体装置の製造方法。」(以下、「本願発明1」という。) なお、本願については、平成11年4月26日付け及び平成11年10月12日付けで手続補正がされたが、これらはいずれも平成12年6月7日付けの補正の却下の決定により却下された。 二.引用例の記載事項 1.原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された特開昭59-4027号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の各記載がみられる。 [特許請求の範囲の記載] 「半導体ウエーハ上に形成されたアルミニウム被膜或はアルミニウム合金被膜を反応性イオンエッチング法によりパターニングしアルミニウム或はアルミニウム合金から成るパターンを形成する工程と、上記半導体ウエーハを酸素プラズマ中にさらす工程と、この半導体ウエーハをアルミニウムエッチング液に短時間浸漬してアルミニウムまたはアルミニウム合金から成るパターンを殆どエッチングすることなく付着物を除去する工程とを具備したことを特徴とする半導体装置の製造方法」 [実施例の記載] 「以下図面を参照して、この発明の一実施例につき説明する。 ・・・・半導体基板11上に・・・・アルミニウム或はアルミニウム合金による被膜(以下Al被膜)を形成する。その後、このウエーハ10上にフオトレジスト16のマスクパターンを被着し、前述の反応性イオンエッチング法により上記Al被膜をエッチングし例えばこの第1図のようなAl配線15を形成する。・・・・この次に、上記ウエーハ10をO2プラズマにさらし、レジスト16を除去すると共に、付着物17を灰化させ、C(炭素)等を除去する。この後、リン酸を主成分とするAlエッチング液にウエーハ10を浸漬し・・・この後、適宜周知の技術により半導体装置を完成させる。」(第2頁右下欄第5行〜第3頁左上欄第13行) [発明の技術的背景とその問題点についての記載] 「半導体装置の製造工程にはいくつかのエッチング工程がある・・・・」(第1頁右下欄第2〜3行) 「アルミニウム被膜の反応性イオンエッチングにより形成したAl配線15の側壁には薄膜状の付着物17が形成される。」(第2頁左上欄第20行〜右上欄第3行) 「この付着物17は・・・・O2プラズマを用いたレジスト除去工程によっても完全に除去できない。」(第2頁右上欄第8〜12行) 「この付着物17が残ったまま・・・・クラックが発生し、半導体装置の絶縁性を劣化させる恐れがある。 また、この付着物17は導電性はないが、半導体装置の電気的信頼性を低下させる。」(第2頁右上欄第12行〜左下欄第3行) [発明の目的についての記載] 「この発明は上記のような点に鑑みなされたもので、反応性イオンエッチング法によりエッチングされたアルミニウム或はアルミニウム合金配線パターンの側壁に付着する付着物を、完全に除去することができ、半導体装置の絶縁性および電気的信頼性の向上に効果的な半導体装置の製造方法を提供しようとするものである。」(第2頁左下欄第5〜11行) [発明の効果についての記載] 「以上のようにこの発明によれば、反応性イオンエッチング法によりエッチングされたアルミニウム或はアルミニウム合金配線パターンの側壁に付着する付着物を、O2プラズマで灰化した後、リン酸を主成分とするAlエッチング液に短時間浸漬することにより、完全に除去することができ、絶縁性および電気的信頼性の向上した半導体装置を製造できる。」(第3頁右上欄第4〜11行) 2.実施例の記載を中心に引用例の記載事項をまとめると、上記引用例には、「半導体基板11上にAl被膜を形成する工程と、このAl被膜上にフオトレジスト16のマスクパターンを被着する工程と、Al被膜を反応性イオンエッチング法によりパターニングする工程と、フオトレジスト16を、酸素プラズマにさらして除去する工程と、この除去工程の後、Alエッチング液に浸漬する工程とを具備する半導体装置の製造方法」が記載されているものと認められる。 三.対比・判断 本願発明1を上記引用例に記載のもの(以下、「引用発明」という。)と対比する。 引用発明の「Al被膜」、「フオトレジスト16のマスクパターン」、「パターニングする」、「酸素プラズマにさらして除去する」及び「Alエッチング液」は、それぞれ、本願発明1の「被加工物層」、「有機膜マスクパターン」、「加工する」、「酸素分子を含む酸素灰化法を用いて除去する」及び「被加工物層をエッチングせしめる腐蝕媒体」に相当する。 してみると、引用発明は、実質的に「半導体基板上に被加工物層を形成する(半導体基板11上にAl被膜を形成する)工程と、この被加工物層上に、これを加工する為の有機膜マスクパターンを形成する(このAl被膜上にフオトレジスト16のマスクパターンを被着する)工程と、被加工物層を反応性イオンエッチング法により加工する(Al被膜を反応性イオンエッチング法によりパターニングする)工程と、有機膜マスクパターンを、少なくとも酸素分子を含む酸素灰化法を用いて除去する(フオトレジスト16を、酸素プラズマにさらして除去する)工程と、この除去工程の後、少なくとも被加工物層或いは被加工物層の下地層をエッチングせしめる腐蝕媒体に曝す(Alエッチング液に浸漬する)工程とを具備する半導体装置の製造方法」という構成を有することになり、構成上何ら本願発明1と異なるところがない。 (なお、発明が解決しようとしている課題、発明の目的ないし効果についても、両発明の間に差異は認められない。) 四.むすび したがって、本願発明1は、上記引用例に記載された発明であって特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-12-20 |
結審通知日 | 2001-01-12 |
審決日 | 2001-01-29 |
出願番号 | 特願平1-311343 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(H01L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 今井 淳一、宮崎 園子、▲高崎▼ 久子 |
特許庁審判長 |
中嶋 清 |
特許庁審判官 |
松田 悠子 中澤 登 |
発明の名称 | 半導体装置の製造方法 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 坪井 淳 |