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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A61B |
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管理番号 | 1034772 |
審判番号 | 審判1997-1476 |
総通号数 | 18 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1987-07-07 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-02-05 |
確定日 | 2001-04-18 |
事件の表示 | 昭和60年特許願第295628号「内視鏡の可撓管」拒絶査定に対する審判事件〔昭和62年 7月 7日出願公開、特開昭62-152430、平成 6年 8月31日出願公告、特公平 6- 67376、特許請求の範囲に記載された発明の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1. 手続の経緯と本願発明の要旨 本願は、昭和60年12月26日の出願であって、平成6年8月31日に出願公告されたところ、特許異議の申立てがなされ、その特許異議の申立ては理由があるものと決定され、その特許異議決定の理由により拒絶査定されたものである。 本願発明の要旨は、出願公告後の平成12年3月22日付けの手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。 「ステンレス鋼細線を編組した網状管で螺旋管の外周を被覆して、さらにその外周にポリウレタン樹脂又はポリオレフィン樹脂製でJISゴム硬度75〜95度の硬度の可撓性を有する外皮を被覆してなる外径6mm未満の内視鏡の可撓管において、上記外皮の肉厚tが、可撓管の外径寸法Dに対して、0.04D≦t≦0.05Dの範囲にあることを特徴とする内視鏡の可撓管。」 2. 原査定の理由 これに対し、原査定の拒絶の理由となった特許異議決定の理由の概要は、この出願の発明は、その出願前に頒布された刊行物である甲第3号証( 実願昭54-100476号[実開昭56-19201号公報]のマイクロフィルム;以下「引用例」という。) に記載のものと実質的に同一と認められるので、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができない、というものである。 3. 対比と判断 引用例には、「体腔内挿入部が可撓性の管体で形成された内視鏡」(1頁下4〜3行)、「管状体の外周部にブレード(金網)12bを嵌装し」(3頁11〜12行)、「主管3aは、周知の帯状の弾性板を螺旋状に巻いて形成した管状のフレックス(可撓体)14の外周部に・・・ブレード12aを嵌装し、その外周面にディッピング法によって合成樹脂を被着して形成した外套皮11aからなる」(4頁3〜8行)と記載されているから、「金網を嵌装した螺旋管の外周面に、合成樹脂の外套皮を被着した、可撓性の管体で形成された内視鏡」が記載されていることになり、本願発明と引用例に記載された発明(以下、「引用発明」という。)とを対比すると、両発明は、「金属の網状管で螺旋管の外周を被覆して、さらにその外周に合成樹脂製の外皮を被覆してなる内視鏡の可撓管」である点では一致している。 しかし、本願発明が、可撓管の外径を6mm未満とし、外皮の肉厚tが可撓管の外径寸法Dに対して0.04D≦t≦0.05Dの範囲にある、と規定するのに対して、引用発明ではこれらの規定がなされていない点において、両発明は相違している。 この相違点について検討すると、原査定で援用された実願昭55-174631号[実開昭57-97505号公報]のマイクロフィルムには、内視鏡用可撓管の外径は6.5mm程度が限度とされ、0.1mmでも細くすることが必要であると記載されているが(2頁3〜9行)、外径の6mm未満は直接には示唆されていず、また、同じく北村諭著「気管支ファイバースコピーの臨床」株式会社南江堂(1982年11月15日発行)の12頁の表2には、軟性部径が4.2mmから6.4mmに至る種々の気管支ファイバースコープの例が記載されているから、一般に内視鏡の可撓管の外径として6mm未満のものが知られているといえても、これらをもって、上記の引用発明における可撓管の外径も本願発明と同等に6mm未満のものであるとは直ちにはいえない。 また、引用例には、外皮の肉厚tと可撓管の外径寸法Dに関しては外皮の肉厚について「一般の内視鏡における上記外套皮の厚さは0.6mm程度であるが・・・肺診断用内視鏡等の場合は・・・0.2mm程度のものが要求され」の記載があるのみで(12頁6〜11行)、引用例においては、本願発明の0.04D≦t≦0.05Dの規定は示唆すらされていない。 そして、本願発明においては、上記の選択的な規定によって、内視鏡の可撓管を小さな曲率半径でくり返し曲げても、可撓管が座屈せず耐久性が大幅に向上し、また、可撓管を挿入される患者に与える苦痛が一定以下に制限され、かつ、内視鏡の大量生産にも適しているという顕著な効果を奏するものである。 したがって、上記の相違点により、本願発明が引用例に記載のものと実質的に同一のものであるとはいえない。 よって、本願発明は、引用例に記載された発明であるとは認められず、特許法第29条第1項第3号の規定に該当しない。 4. むすび 以上のとおりであるから、本願を拒絶するべきであるとした原査定は、妥当ではない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2001-03-22 |
出願番号 | 特願昭60-295628 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WY
(A61B)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 能美 知康、和田 志郎 |
特許庁審判長 |
吉村 康男 |
特許庁審判官 |
柿崎 良男 小島 隆 |
発明の名称 | 内視鏡の可撓管 |
代理人 | 三井 和彦 |