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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65G
管理番号 1035038
審判番号 審判1999-12458  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-08-04 
確定日 2001-04-04 
事件の表示 平成 7年特許願第 47463号「仕分装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 8年 9月24日出願公開、特開平 8-244967]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯・本願請求項1に係る発明
本件出願は、平成7年3月7日の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成11年9月3日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下「本願請求項1に係る発明」という。)
「【請求項1】 多数のスラット(20)の移動によって、スラット(20)上の物品(10)を所定の搬送方向(A)に搬送するとともに、各スラット(20)の長手方向に移動可能にそれぞれ設けられた移動シュー(30)により物品(10)を押圧してスラット(20)上から所定のシュート(46)方向に仕分ける仕分装置において、
移動シュー(30)の物品搬送面下面の支持軸に回転可能に支持された第1の回転体(34)と、
移動シュー(30)の物品搬送面下面の支持軸に回転可能に支持され、長径と短径とから成る第2の回転体(35)と、
物品(10)の搬送方向(A)に沿って搬送方向(A)両側の物品搬送面下面にそれぞれ設けられ、第1の回転体(34)を係合させることにより、移動シュー(30)を搬送方向(A)に案内する主レール(40)と、
物品搬送面下面の主レール(40)間を斜行配置で接続し、一方の主レール(40)から他方の主レール(40)へ移動シュー(30)の回転体(34)を案内する複数の分岐レール(41,42)と、を備え、
分岐レール(41,42)毎に他の分岐レールと同一面で交差する交差部(43)を2カ所以上備え、
この交差部(43)には、各分岐レール(41,42)に沿う第2の回転体(35)の長径の方向決めを行う回転体導入部と、第2の回転体(35)の短径が通過できる程度の幅を有して各分岐レール(41,42)に沿って第2の回転体(35)を案内する第2の回転体(35)通過部とからなる回転シューガイド(45)が備えられ、
シュート(46)が分岐レール(41,42)それぞれの長手方向に対応し、各シュート(46)と主レール(40)とのなす狭角度θ1と、各分岐レール(41,42)と主レール(40)とのなす狭角度θ2とが、θ1≧θ2の関係であることを特徴とする仕分装置。」

II.引用例
(1).これに対して、原査定における拒絶の理由で引用された実願平4-85655号(実開平6-49426号)の願書に添付された明細書および図面の内容を記録したCD-ROM(以下「引用例1」という。)には、次の記載がある。
段落【0001】に「【産業上の利用分野】本考案は仕分装置に関し、特に、スラットシュー型コンベヤからなる仕分装置のガイドレール交差部の構造に関する。」、
段落【0007】に「この切換部材9は種々の構造のものが知られており、例えば特公昭59-11488号公報には、・・・・切り換える機構が開示されている。」、
段落【0008】に「また、同公報には、図8及び図9に図示される切換機構も開示されている。」、
段落【0017】に「本考案に係る仕分装置は、図11に示される仕分装置と同様に、複数のスラット1を連接して形成された無端状の搬送面Xを備え、搬送面Xを図示されない駆動チェーン等により図中上方から下方に矢印Z方向に移動する構造となっている。各スラット1には、その長手方向にスライド自在で、搬送面X下方に突出し、後述される構造の張出部材2を備える移動シュー3が遊嵌されている。」と、
段落【0018】に「搬送面Xの下面には、移動シュー3の張出部材2を案内するガイドレール4が敷設されている。更に、ガイドレール4は、図示されるように、図中搬送面Xの左上端から右下端に向かうガイドレール4aと、右上端から左下端に向かうガイドレール4bから構成されており、両ガイドレール4a及び4bは途中で交差する構成となっている。」
段落【0020】に「搬送面Xに供給された物品(図示せず)は、移動シュー3により形成された搬送路に沿って搬送面Xの右端或いは左端に移動させられ、仕分けられる。」、
段落【0021】に「張出部材2は、搬送面Xの下面に突出する支軸15に、長楕円状の回転シュー16及びベアリング17が、両者の中心が一致するように重なり、各々独立に回転自在に懸装された構造を有し(図2参照)、ガイドレール4a又は4bに沿って図中上方から下方に向かって、矢印A方向又はB方向に斜行するように移動する。」、
平成5年7月9日付けで手続補正された段落【0022】の一部に「交差部7には、ベアリング17が通過できる程度の幅を有し、ベアリング17を案内するベアリングガイド18が配置される。また、回転シュー16の短径部が通過できる程度の幅を有する回転シュー通過部19と、回転シュー通過部19の上流側(図中上方)端部20から上流側に向かって拡開する回転シュー導入部21とから構成される回転シューガイド22が、ベアリングガイド18に積重するように配置されている。」、
【図9】(従来技術、特公昭59-11488号公報)には、ガイドレール4を、搬送面Xの左上端から右下端に向かうガイドレールと、右上端から左下端に向かうガイドレールとから構成し、一方のガイドレールは途中で、他のガイドレールと同一面で交差する交差部を2カ所以上備えた構成が記載されている。
上記各記載、図面の記載からみて、引用例1には、以下の発明【A】、及び従来技術の発明【B】が記載されているものと認められる。
「【A】多数のスラット1の移動によって、スラット1上の物品を所定の搬送方向Zに搬送するとともに、各スラット1の長手方向に移動可能にそれぞれ設けられた移動シュー3により物品を押圧してスラット1上から所定の方向に仕分ける仕分装置において、
移動シュー3の物品搬送面下面の支軸15に回転可能に支持されたベアリング17と、
移動シュー3の物品搬送面下面の支軸15に回転可能に支持され、長径と短径とから成る回転シュー16と、
物品搬送面下面に設けられ、移動シュー3のベアリング17を案内する複数の斜行配置のガイドレール4a,4bと、を備え、
ガイドレール4a,4b毎に他のガイドレールと同一面で交差する交差部7を備え、
この交差部7には、各ガイドレール4a,4bに沿う回転シュー16の長径の方向決めを行う回転シュー導入部21と、回転シュー16の短径が通過できる程度の幅を有して各ガイドレール4a,4bに沿って回転シュー16を案内する回転シュー通過部19とからなる回転シューガイド22が備えられた仕分装置。
【B】ガイドレール4a,4b毎に他のガイドレールと同一面で交差する交差部7を2カ所以上備えた仕分装置。」

(2).また、原査定の備考において周知例として引用された特開平4-12929号公報(以下「引用例2」という。)には、
第2頁右上欄第4〜15行に「図において、1は仕分けコンベヤであって、矢印2方向に駆動される。3A,3B,3C,3D,3E,3Fはいずれもコンベヤ1の両側に配置された複数のシュート、4は仕分けコンベヤ1と同じ速度で矢印2の方向に移動すると共にコンベヤ1の幅方向に移動するプッシャ、5は仕分けるべき荷物、6は仕分けコンベヤ1に物品5を移載する投入コンベヤである。 次に仕分コンベヤ1の構成を説明する。7は荷物5を胆持するプレートで、図示のものは三枚一組になっていて、各プレート7間には間隙が設けられている。」、
第2頁左下欄第2行〜同頁右下欄第1行に「13はそれぞれスライドボックス12に固定され、プレート7間の間隙を通して上方に突出して各プッシャ4を支持する支持体、14は各スライドボックス12の底部に取り付けられたローラ、15はローラ14を案内するガイドレールであって、シュート3A,3B,3Cに対応する斜行ガイド溝15A,15B,15Cとシュート3D,3E,3Fに対応しかつ前記斜行ガイド溝15A,15B,15Cと交差する反対向きの斜行ガイド溝15D,15E,15Fと両側の直線ガイド溝15G,15Hとからなる上部ガイドレール(第10図)と、・・・・底部ガイドレール(第11図)とから構成されている。」の記載があり、
第9図には、シュート3A,3B,3D,3Eが斜行ガイド溝15A,15B,15D,15Eそれぞれの長手方向に対応し、各シュート3A〜3Fと直線ガイド溝15G,15Hとのなす狭角度θ1が90°であり、各斜行ガイド溝15A,15B,15D,15Eと直線ガイド溝15G,15Hとのなす狭角度θ2が90°より小さい角度であり、θ1≧θ2の関係を有している仕分けコンベヤの記載がある。
上記各記載、第8〜16図の記載からみて、引用例2には、以下の構成【イ】、【ロ】、【ハ】、及び【ニ】を有する発明が記載されているものと認められる。
「【イ】プッシャ4により物品5を押圧してプレート7上から所定のシュート3A〜3F方向に仕分ける仕分装置において、
【ロ】物品5の搬送方向2に沿って搬送方向2両側の物品搬送面下面にそれぞれ設けられ、ローラ14を係合させることにより、プッシャ4を搬送方向2に案内する直線ガイド溝15G,15Hと、
【ハ】物品搬送面下面の直線ガイド溝15G,15H間を斜行配置で接続し、一方の直線ガイド溝15G,15Hから他方の直線ガイド溝15G,15Hへプッシャ4のローラ14を案内する複数の斜行ガイド溝15A,15B,15D,15Eと、を備え、
【ニ】シュート3A〜3Fが斜行ガイド溝15A〜15Fそれぞれの長手方向に対応し、各シュート3A〜3Fと直線ガイド溝15G,15Hとのなす狭角度θ1と、各斜行ガイド溝15A〜15Fと直線ガイド溝15G,15Hとのなす狭角度θ2とが、θ1≧θ2の関係である仕分装置。」

III.対比
そこで、本願請求項1に係る発明と、引用例1に記載された発明【A】とを対比する。
引用例1に記載された発明【A】の「支軸15」、「ベアリング17」、「回転シュー16」、「ガイドレール4a,4b」、「回転シュー導入部21」、「回転シュー通過部19」は、それぞれ本願請求項1に係る発明の「支持軸」、「第1の回転体(34)」、「第2の回転体(35)」、「分岐レール(41,42)」、「回転体導入部」、「第2の回転体(35)通過部」に相当する。
したがって、両者間には次の一致点及び相違点がある。
[一致点]
「多数のスラットの移動によって、スラット上の物品を所定の搬送方向に搬送するとともに、各スラットの長手方向に移動可能にそれぞれ設けられた移動シューにより物品を押圧してスラット上から所定の方向に仕分ける仕分装置において、
移動シューの物品搬送面下面の支持軸に回転可能に支持された第1の回転体と、
移動シューの物品搬送面下面の支持軸に回転可能に支持され、長径と短径とから成る第2の回転体と、
移動シューの回転体を案内する複数の斜行配置の分岐レールと、を備え、
分岐レール毎に他の分岐レールと同一面で交差する交差部を備え、
この交差部には、各分岐レールに沿う第2の回転体の長径の方向決めを行う回転体導入部と、第2の回転体の短径が通過できる程度の幅を有して各分岐レールに沿って第2の回転体を案内する第2の回転体通過部とからなる回転シューガイドが備えられた仕分装置。」
[相違点1]
物品を押圧してスラット上から所定の仕分ける方向について、本願請求項1に係る発明は、「シュート(46)方向」であるのに対して、引用例1記載の発明【A】は、その方向が明らかにされていない点。
[相違点2]
本願請求項1に係る発明は、「物品の搬送方向に沿って搬送方向両側の物品搬送面下面にそれぞれ設けられ、第1の回転体を係合させることにより、移動シューを搬送方向に案内する主レール」の構成を有しているのに対して、引用例1記載の発明【A】は、その構成が明らかにされていない点。
[相違点3]
複数の分岐レールについて、本願請求項1に係る発明は、「主レール間を斜行配置で接続し、一方の主レールから他方の主レールへ移動シューの回転体を案内する」構成を有しているのに対して、引用例1記載の発明【A】は、その構成が明らかにされていない点。
[相違点4]
分岐レール毎に他の分岐レールと同一面で交差する交差部の数について、本願請求項1に係る発明は、「2カ所以上」である構成を有しているのに対して、引用例1記載の発明【A】は、図1〜図7に部分図として記載されるように、交差部が少なくとも「1カ所」であるが、2カ所以上かどうかは明示されていない点。
[相違点5]
本願請求項1に係る発明は、「シュートが分岐レールそれぞれの長手方向に対応し、各シュートと主レールとのなす狭角度θ1と、各分岐レールと主レールとのなす狭角度θ2とが、θ1≧θ2の関係である」構成を有しているのに対して、引用例1記載の発明【A】は、その構成を備えていない点。

IV.当審の判断
上記相違点1〜5について検討すると、上記引用例2記載の発明の「プッシャ4」、「プレート7」、「ローラ14」、「直線ガイド溝15G,15H」、「斜行ガイド溝15A〜15F」は、それぞれ本願請求項1に係る発明の「移動シュー(30)」、「スラット(20)」、「第1の回転体(34)」、「主レール(40)」、「分岐レール(41,42)」に相当するので、引用例2記載の発明は、以下の構成【イ】、【ロ】、【ハ】、及び【ニ】を有しているものと認められる。
「【イ】移動シューにより物品を押圧してスラット上から所定のシュート方向に仕分ける仕分装置において、
【ロ】物品の搬送方向に沿って搬送方向両側の物品搬送面下面にそれぞれ設けられ、第1の回転体を係合させることにより、移動シューを搬送方向に案内する主レールと、
【ハ】物品搬送面下面の主レール間を斜行配置で接続し、一方の主レールから他方の主レールへ移動シューの回転体を案内する複数の分岐レールと、を備え、
【ニ】 シュートが分岐レールそれぞれの長手方向に対応し、各シュートと主レールとのなす狭角度θ1と、各分岐レールと主レールとのなす狭角度θ2とが、θ1≧θ2の関係である仕分装置。」
上記[相違点1]、[相違点2]、[相違点3]、及び[相違点5]の、本願請求項1に係る発明の有する構成は、上記引用例2記載の発明の構成【イ】、【ロ】、【ハ】、及び【ニ】に、それぞれ記載されていると認められる。また、上記[相違点1]、[相違点2]、及び[相違点3]の、本願請求項1に係る発明の有する構成は、従来周知の事項でもある。一方、上記[相違点4]の本願請求項1に係る発明の有する構成について、引用例1記載の発明【A】では「2カ所以上」かどうか明示されていないが、引用例1記載の従来技術の発明【B】に、「2カ所以上」が記載されており、引用例1記載の発明【A】に、「2カ所以上」の点を採用することは、当業者が容易になし得ることであると認められる。
そして、引用例1記載の発明【A】、【B】、及び引用例2に記載の発明は、いずれも「仕分装置」に関するものである点で共通しているので、引用例1記載の発明【A】の「仕分装置」に、引用例2記載の発明の上記各構成【イ】、【ロ】、【ハ】、【ニ】、及び引用例1記載の従来技術の発明【B】の構成を採用することにより、仕分方向を「シュート方向」とし、「物品の搬送方向に沿って搬送方向両側の物品搬送面下面にそれぞれ設けられ、第1の回転体を係合させることにより、移動シューを搬送方向に案内する主レール」を備え、分岐レールにより「主レール間を斜行配置で接続し、一方の主レールから他方の主レールへ移動シューの回転体を案内」し、分岐レール毎に他の分岐レールと同一面で交差する交差部の数を「2カ所以上」とし、「シュートが分岐レールそれぞれの長手方向に対応し、各シュートと主レールとのなす狭角度θ1と、各分岐レールと主レールとのなす狭角度θ2とが、θ1≧θ2の関係」として、本願請求項1に係る発明のように構成することは、当業者が容易に発明することができたものであると認められる。
また、本願請求項1に係る発明によってもたらされる効果も、引用例1,2に記載された発明から当業者であれば予測できる程度のものであって格別のものではない。
審判請求人は、平成12年4月5日付けで手続補正された審判請求書第5頁(第1頁のみ頁番号が付されており、第2頁以後の頁には頁番号付されていないので、第2頁以後について順に番号を付すものとする。)第9〜27行で、「ここで、審査官殿においては、周知例1で従来技術として挙げた図9を根拠とされていると推察される。この図9に示した仕分装置のシュート構成は、コンベヤ1の搬送方向横位置のスペースを単にシュートにより埋めた構成であり、シュート間の仕切はコンベヤ1に対してほぼ垂直の構成となっている。このような構成に対して、上記引用例1の分岐レールに複数の交差部を設ける構成を適用すると、一つのシュートに対して、異なる複数の分岐レールが対応することとなる。こういった問題を避けるためには、各シュート幅を狭めるという変更が推察されるが、分岐レールの長手方向とシュート間の仕切との相対的方向とが大きくくずれているため、コンベヤからシュートへの物品移載に支障をきたすおそれが推察される。そのため、さらなる構成変更が必要となる。つまり、周知例1と引用例1とを組み合わせただけでは、構成変更をしない限りにおいて、物品の大きさと比較して、シュート幅を有効に使うことができず、シュート幅を狭くできたことにならない。結局、搬送方向の長さを有効に使用していないこととなり、本願発明の構成のように、シュートの設置間隔を小さくすることができ、物品の搬送方向に並ぶシュートの間隔は不用な間隔を空けない程に設定することができるという効果を奏しておりません。」と記載しているが、この主張は、実施例の記載に基づくものであり、本願発明の特許請求の範囲の記載に基づく主張ではなく、該主張は認められない。

V.むすび
したがって、本願請求項1に係る発明は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-01-11 
結審通知日 2001-01-23 
審決日 2001-02-05 
出願番号 特願平7-47463
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 一色 貞好  
特許庁審判長 藤田 豊比古
特許庁審判官 清田 栄章
清水 信行
発明の名称 仕分装置  
代理人 萩野 平  
代理人 添田 全一  
代理人 佐々木 清隆  
代理人 深沢 敏男  

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