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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23B
管理番号 1035515
異議申立番号 異議1999-74834  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-08-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-12-20 
確定日 2001-01-17 
異議申立件数
事件の表示 特許第2917343号「青果物の鮮度保持方法」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2917343号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2917343号の発明についての出願は、平成1年12月27日に出願され、平成11年4月23日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、根矢恵司及び赤塚慶太より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年7月24日に訂正請求がなされ、さらに訂正拒絶理由通知を兼用した取消理由通知がなされ、その指定期間内に特許異議意見書が提出されたものである。

2.訂正の適否
(訂正明細書の請求項1に係る発明)
訂正明細書の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】酸素透過度10,000〜70,000cc/m2・24時間・atm、炭酸ガス透過度40,000〜300,000cc/m2・24時間・atm、水蒸気透過度20〜700g/m2・24時間を有する、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、セロハン、ナイロン、ポリスチレン、ポリブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる透気性プラスチックフィルム包材を用いた包装内に、青果物とエチレン除去剤とを共存させ密封包装することを特徴とする青果物の鮮度保持方法。」

(引用刊行物記載の発明)
訂正拒絶理由通知において引用した刊行物1(特公昭57ー39149号公報)には、以下のイ〜ホに示す事項が記載されている。
イ.「青果物を密閉容器に入れて包装する際に、該容器内に臭素を吸着させた4〜6Åのミクロン孔を有する炭素質分子篩を存在させることを特徴とする青果物の鮮度法持法。」(特許請求の範囲第1項)
ロ.「密閉容器内に特殊な炭素質分子篩を青果物と共に存在させると、青果物から香気を失わせることなく過熱促進物質であるエチレンを選択的に吸着除去でき、従来法に比べて青果物の鮮度保持が一段と向上するという知見を得た。」(2欄23行〜27行)
ハ.「上記密閉容器としては、25℃における炭酸ガス透過度が5,000〜100,000ml/m2/24時、好ましくは10,000〜70,000ml/m2/24時、25℃における酸素透過度が2,000〜50,000ml/m2/24時、好ましくは3,000〜30,000ml/m2/24時の包装材料で密閉されたものが用いられる。このような適性を有する包装材料としては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、EVA(エチレンー酢酸ビニル共重合体)などのプラスチックフイルム、シート等があげられ、………」(6欄16行〜26行)
ニ.「本発明を実施する場合、密閉容器内の雰囲気が青果物の鮮度保持にかなりの影響をおよぼす。密閉容器内の雰囲気は青果物の種類等により異なるが炭酸ガス濃度が2〜13%、好ましくは4〜7%、酸素濃度が1〜15%、好ましくは3〜8%、関係湿度が70〜99%、好ましくは75〜95%
、温度が0〜35℃、好ましくは0〜10℃に保持するのがよい。」(6欄36行〜43行)
ホ.「本発明によれば密閉容器内に存在させる臭素化分子篩炭は青果物から揮散するエチレン、アルデヒド類、エステル類のうちエチレン等の低分子物質のみを選択的に吸着するため少量でもエチレンの吸着除去効果は長時間持続し、またエステル等の芳香性物質を殆んど吸着しないため、包装開封時に青果物特有の芳香を維持することができる。」(8欄1行〜7行)
上記イ〜ホの記載事項からみて、刊行物1には、酸素透過度が2,000〜50,000ml/m2/24時間、炭酸ガス透過度が5,000〜100,000ml/m2/24時間を有するポリエチレン、ポリプロピレン、及びEVA(エチレンー酢酸ビニル共重合体)からなる群から選択される透気性プラスチックフィルムからなる密閉容器内に、青果物と臭素を吸着させた4〜6Åのミクロン孔を有する炭素質分子篩を存在させることを特徴とする青果物の鮮度保持法が記載されているものと認める。
同じく訂正拒絶理由通知において引用した刊行物2(特開昭63ー102634号公報)には、「水蒸気透過度が15〜200g/m2・24hr・40℃、酸素透過度が3000〜35000cc/m2・24hr・atm・20℃・90%RH、炭酸ガス透過度が12000〜130000cc/m2・24hr・atm・20℃・90%RH、であると共に、少なくとも片面側表面層に防曇剤が存在する防曇剤複層フィルムを使用し、該防曇剤が存在する面を内側にして青果物を包装することを特徴とする青果物の鮮度保持方法。」(特許請求の範囲の請求項1)、及び「水蒸気透過度は、青果物に付着している水分の蒸発及び蒸散作用により放出される水分による袋内湿度を適正に保ち、湿度過剰によるむれ現象を防止して腐敗を抑制すると共に、湿度不足による青果物の萎凋、変色(黄変又は褐変)、軟化、弾力性喪失等を防止するうえで重要な特性であり、水蒸気透過度が15g/m2・24hr・40℃未満では湿度過剰によるむれ現象によって青果物が腐敗し易く、一方200g/m2・24hr・40℃を超える場合は包装袋内部が湿度不足となって青果物が萎凋、変色等を起こし易く、何れの場合も満足のいく鮮度保持効果を得ることができない。良好な鮮度保持効果を確保するうえで好ましい水蒸気透過度は20〜150g/m2・24hr・40℃の範囲である。」(3頁右上欄10行〜同左下欄4行)と記載されている。

(対比・判断)
訂正明細書の請求項1に係る発明と刊行物1に記載の発明を対比すると、後者の「臭素を吸着させた4〜6Åのミクロン孔を有する炭素質分子篩」は、前者の「エチレン除去剤」に相当することから、両者は、酸素透過度が10,000〜50,000cc/m2・24時間・atm、炭酸ガス透過度40,000〜100,000cc/m2・24時間・atmを有するポリエチレン又はポリプロピレンからなる透気性プラスチックフィルム包材を用いた包装内に、青果物とエチレン除去剤とを共存させ密封包装することを特徴とする青果物の鮮度保持方法の点で一致し、前者は、透気性プラスチックフィルム包材の水蒸気透過度を「20〜700g/m2・24時間」と限定しているのに対して、後者には、水蒸気透過度について数値が具体的に記載されていない点で、両者は相違する。
上記相違点について検討する。
刊行物1には、青果物を密閉容器に入れて包装する際に、該容器内の関係湿度を70〜99%に保持することが青果物の鮮度保持のために好ましいことが記載されている。
この記載は、密閉容器を構成するプラスチックフィルム包材の水蒸気透過度と該容器内の関係湿度とは密接に関連することを考えると、青果物を密閉容器に入れて包装する際に、プラスチックフィルム包材の水蒸気透過度を好ましい範囲に調整することが青果物の鮮度保持のために必要であることを教示するものである。
一方、刊行物2には、青果物を透気性プラスチックフィルムにより包装して青果物の鮮度を保持する方法において、良好な鮮度保持効果を確保するためには、透気性プラスチックフィルムの水蒸気透過度を「20〜150g/m2・24hr・40℃」の範囲にする必要があることが記載されている。
してみると、刊行物1に記載の青果物の鮮度保持法において、透気性プラスチックフィルム包材の水蒸気透過度を「20〜150g/m2・24時間」に設定して訂正明細書の請求項1のような構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。
そして、訂正明細書の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載の発明に比較して格別の効果を奏するものではない。
したがって、訂正明細書の請求項1に係る発明は、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(むすび)
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。

3.特許異議の申立てについての判断
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、特許明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】酸素透過度10,000〜70,000cc/m2・24時間・atm、炭酸ガス透過度40,000〜300,000cc/m2・24時間・atm、水蒸気透過度20〜700g/m2・24時間を有する透気性プラスチックフィルム包材を用いた包装内に、青果物とエチレン除去剤とを共存させ密封包装することを特徴とする青果物の鮮度保持方法。」

(引用刊行物に記載された発明)
取消理由通知において引用した刊行物1及び2には、上記「2.」の「(引用刊行物記載の発明)」の項にそれぞれ記載したとおりのことが記載されている。

(対比・判断)
請求項1に係る発明と刊行物1に記載の発明を対比すると、後者の「臭素を吸着させた4〜6Åのミクロン孔を有する炭素質分子篩」は、前者の「エチレン除去剤」に相当することから、両者は、酸素透過度が10,000〜50,000cc/m2・24時間・atm、炭酸ガス透過度40,000〜100,000cc/m2・24時間・atmを有する透気性プラスチックフィルム包材を用いた包装内に、青果物とエチレン除去剤とを共存させ密封包装することを特徴とする青果物の鮮度保持方法の点で一致し、前者は、透気性プラスチックフィルム包材の水蒸気透過度を「20〜700g/m2・24時間」と限定しているのに対して、後者には、水蒸気透過度について数値が具体的に記載されていない点で、両者は相違する。
上記相違点について検討すると、請求項1に係る発明は、上記「2.」の「(対比・判断)」の項に記載した理由と同様の理由により、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(むすび)
したがって、請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-11-28 
出願番号 特願平1-336235
審決分類 P 1 651・ 121- ZB (A23B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 滝本 晶子  
特許庁審判長 田中 久直
特許庁審判官 田村 明照
大高 とし子
登録日 1999-04-23 
登録番号 特許第2917343号(P2917343)
権利者 日本曹達株式会社
発明の名称 青果物の鮮度保持方法  
代理人 東海 裕作  
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