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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F25B
管理番号 1035947
異議申立番号 異議2000-71250  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-03-27 
確定日 2000-11-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2953683号「除湿装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2953683号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2953683号の請求項1に係る発明は、平成5年3月29日に特許出願され、平成11年7月16日にその発明について特許の設定登録がなされた後、その特許について、特許異議申立人株式会社エスエムシーより特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年9月21日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
2-1 訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
A.願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1に記載された「予め定めた基準開始圧力値以上」を「予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値以上」に訂正する。
B.特許明細書の段落【0007】に記載された「予め定めた基準開始圧力値以上」を「予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値以上」に訂正する。
C.特許明細書の段落【0008】に記載された「予め定めた基準開始圧力値以上」を「予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値以上」に訂正する。」
D.特許明細書の段落【0035】に記載された「予め定めた基準開始圧力値以上」を「予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値以上」に訂正する。
2-2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び、拡張・変更の存否
上記訂正事項A,B,C,Dに関連する記載として、特許明細書の段落【0023】には、「そして、前記圧力スイッチ24は、エア取り出し通路23内の圧力が1.7Kgf/cm2(基準開始圧力)以上になったときに電気接点(図示しない)を閉じて前記両モータ6,11への電源の供給が自動的に行われるようになっている。又、エア取り出し通路23内の圧力が0.7Kgf/cm2(基準停止圧力)以下になったときには、前記電気接点を開いて両モータ6,11への電源の供給が自動的に遮断されるようになっている。」と記載されており、「予め定めた基準開始圧力値」は、「予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値」であることは明らかである。したがって、上記訂正事項A乃至Dは、特許明細書に記載された事項を明記したにすぎないものといえるから、上記訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張、変更するものでもない。
2-3 むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び同条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.異議申立てについて
3-1 本件発明
本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】冷媒ガスを圧縮する圧縮機(5)と、該圧縮機(5)から送り出される圧縮冷媒ガスを液冷媒に凝縮する凝縮器(9)と、該凝縮器(9)から送り出された液冷媒を蒸発させる蒸発器(3)とを備えた冷凍回路(R)を設け、圧縮気体を前記蒸発器(3)で除湿させる除湿装置において、前記圧縮気体の圧力を検出する圧力検出手段(24)を設け、該圧力検出手段(24)により検出された圧力が予め定めた基準停止圧力値以下の場合には前記圧縮機(5)の駆動を停止させ、前記圧力検出手段(24)により検出された圧力が予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値以上の場合には前記圧縮機(5)の駆動を開始させることを特徴とする除湿装置。」
3-2 申立の理由の概要
特許異議申立人株式会社エスエムシーは、本件発明は、甲第1号証(実願昭56-132069号(実開昭58-40226号)のマイクロフィルム)及び甲第2号証(特開平3-278812号公報)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項により特許を受けることができないものであるから、本件発明についての特許は、取り消されるべきものである旨主張している。
3-3 甲各号証に記載の事項
上記甲第1号証(当審において、通知した取消理由において引用した刊行物1)及び上記甲第2号証(同じく引用した刊行物2)には、それぞれ、次の事項が記載されている。
(1)甲第1号証
アフタークーラ付きエアドライヤに関し、図面とともに、
「第2図において、10は空気冷却器、11は該空気冷却器10に流入する圧縮空気を冷却するための冷媒回路であって、該冷媒回路11は、冷媒を圧縮するためのコンプレッサ12と、圧縮された冷媒を冷却するためのコンデンサ13とを備え、該回路11における冷媒用導管14を空気冷却器10内に挿入させ、該空気冷却器10の入口10a及び出口10bは、エアリヒータ15における予冷室16と昇温管17とにそれぞれ連結している。
上記エアリヒータ15は、入口16aから予冷室16に流入する高温多湿の圧縮空気と空気冷却器10から昇温管17に流入する低温の乾燥空気との間で熱交換を行わせ、それによって圧縮空気の予冷と乾燥空気の昇温とを行うようにしたもので、該エアリヒータ15の入口16aに、エアコンプレッサ(図示せず)からの圧縮空気を一定温度にまで冷却するための空冷式のアフタクーラ18を接続している。
而して上記コンデンサ13とアフタクーラ18とは、それらの冷媒用導管14と空気用導管19とを近接させて配置し、両導管14,19に共通のフィン20を多数取付けると共にその前方に冷却ファン21を対向配設することにより、一体的に構成している。」(第3頁8行〜第4頁13行)こと、「上記構成を有するエアドライヤにおいて、エアコンプレッサからの高温多湿の圧縮空気は、まずアフタクーラ18に送られて一定温度にまで冷却されたあとエアリヒータ15の予冷室16に流入し、ここで空気冷却器10から昇温管17に送られて来る低温空気と熱交換してさらに予冷され、その後空気冷却器10に流入して冷媒回路11により所定の温度に冷却される。
冷却された空気は、上記の如くエアリヒータ15における昇温管17で高温多湿の圧縮空気と熱交換することにより昇温せしめられ、暖かい乾燥空気として出口17aから取出される。」(第5頁1〜12行)こと、
が記載されている。
(2)甲第2号証
空気清浄化装置に関し、図面とともに、
「コンプレッサ2から吐出された圧縮空気を一時貯溜しておく為のエアタンク3と空気軸受ユニット4とを結ぶ給気管5の途中に設けた空気清浄化装置1は、それぞれ圧縮空気中に混入した塵を除去する為のエアフィルタ6と、水分を凍結する事で除去する、冷凍式のエアドライヤ8と、油分を除去する為のミストセパレータ7とを、互いに直列に設け、更に、上記ミストセバレー夕7の下流側には、もう1個、別の微少塵除去用のエアフィルタ14を設けている。
上記ミストセバレータ7と別のエアフィルタ14との間には、上流側のミストセパレータ7の側から順に、圧力計15付の減圧弁16と、この減圧弁16の下流側部分に於ける圧縮空気の圧力こより断接する圧力スイッチ17とを設けている。」(第3頁右上欄10行〜同頁左下欄4行)こと、
「この圧力スイッチ17の断接を表す信号は、空気軸受ユニット4の回転部分を駆動する為の駆動モータ13の制御器18に入力している他、図示は省略したが、エアドライヤ8の電源スイッチを断接させる制御部分にも入力している。
そして、上記圧力スイッチ17が検出する圧縮空気の圧力が所定値より下の場合には、上記エアドライヤ8への通電を停止すると共に、駆動モータ13への通電を停止し、上記圧力が所定値以上の場合には、必要に応じて上記エアドライヤ8への通電を可能とすると共に、上記駆動モータ13に通電可能とする。(第3頁左下欄7〜18行)こと、
「但し、本発明の空気軸受用空気清浄化の場合、停電等に伴なうコンプレッサ2の停止や、給気管5での空気漏洩や、エアドライヤ8の目詰まりに伴なって、上記給気管5に於ける圧縮空気の圧力が低下すると、圧力スイッチ17の断接により、空気軸受用空気清浄化装置1を構成するエアドライヤ8への通電が停止され、上記エアドライヤ8を過負荷状態のまま運転するのを防止する。」(第3頁右下欄10〜18行)こと、
が記載されている。
3-4 対比
甲第1号証には、上記3-3(1)で指摘した事項からみて、「冷媒を圧縮するためのコンプレッサ12と、コンプレッサ12で圧縮された冷媒を冷却するためのコンデンサ13と、冷媒用導管14が挿入された空気冷却器10とを備え、圧縮空気を空気冷却器(10)で除湿させるエアドライヤ」に係る発明が記載されている。
そこで、本件発明と甲第1号証に記載された発明対比すると、甲第1号証記載の「冷媒を圧縮するためのコンプレッサ12」、「コンプレッサ12で圧縮された冷媒を冷却するためのコンデンサ13」、「冷媒用導管14が挿入された空気冷却器10」、「圧縮空気」、「エアドライヤ」は、それぞれ、本件の請求項1に係る発明の「冷媒ガスを圧縮する圧縮機」、「圧縮機から送り出される圧縮冷媒ガスを液冷媒に凝縮する凝縮器」、「凝縮器から送り出された液冷媒を蒸発させるための蒸発器」、「圧縮気体」、「除湿装置」にそれぞれ相当し、また、刊行物2に記載された「コンプレッサ12」、「コンデンサ13」、「冷媒用導管14が挿入された空気冷却器10」が冷凍回路を構成していることは、当業者にとって明らかなことであるから、両者は、
「冷媒ガスを圧縮する圧縮機と、該圧縮機から送り出される圧縮冷媒ガスを液冷媒に凝縮する凝縮器と、該凝縮器から送り出された液冷媒を蒸発させる蒸発器とを備えた冷凍回路を設け、圧縮気体を蒸発器で除湿させる除湿装置」
の点で一致し、次の点で相違する。
本件発明は、除湿装置が除湿、した圧縮気体の圧力を検出する圧力検出手段を設け、この圧力検出手段が検出した圧力が、予め定めた基準停止圧力値以下の場合には冷凍回路の圧縮機の駆動を停止させ、予め定めた基準開始圧力値以上の場合には圧縮機の駆動を開始させるのに対し、甲第1号証に記載された発明は、そのようになっていない点。
3-5 判断
上記相違点について検討する。
上記甲第2号証に記載された「エアドライヤ8」は、冷凍式であるから、冷凍回路に圧縮機を備えているといえる。そして、エアドライヤ8への通電を停止した場合上記圧縮機が停止され、通電した場合上記圧縮機が駆動されることは明らかであるから、甲第2号証には、空気浄化装置において、圧縮気体の圧力を検出する圧力検出手段を設け、圧力検出手段により検出された圧力が所定値以下の場合には、上記圧縮機の駆動を停止させ、圧力検出手段により検出された圧力が所定値以上の場合には、上記圧縮機の駆動を開始させることが記載されているといえる。
そして、甲第2号証に記載されたものは、上記構成を採用することにより、甲第2号証に記載された「停電等に伴なうコンプレッサ2の停止や、給気管5での空気漏洩や、エアドライヤ8の目詰まりに伴なって、上記給気管5に於ける圧縮空気の圧力が低下すると、圧力スイッチ17の断接により、空気軸受用空気清浄化装置1を構成するエアドライヤ8への通電が停止され、上記エアドライヤ8を過負荷状態のまま運転するのを防止する。」という作用効果を奏するものである。
しかしながら、甲第2号証に記載された圧縮機の駆動の停止及び駆動の開始は、圧力検出器により検出された圧力が所定値以上であるか、所定値以下であるかによって行われるものであり、本件発明のように基準停止圧力と基準停止圧力よりも大きい値に定めた基準開始圧力とを定め、圧力検出手段により検出された圧力が予め定めた基準停止圧力値以下の場合には圧縮機の駆動を停止させ、前記圧力検出手段により検出された圧力が予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値以上の場合には前記圧縮機の駆動を開始させるようにしたものではない。また、甲第2号証には、上記相違点であげた本件発明の構成を示唆する記載もない。
したがって、甲第1号証に記載された発明に甲第2号証に記載された上記事項を採用したとしても、甲第1号証に記載された除湿装置において、圧力検出手段により検出された圧力が所定値以下の場合には、圧縮機の駆動を停止させ、圧力検出手段により検出された圧力が所定値以上の場合には、圧縮機の駆動を開始させるようにすることが想到できるにとどまり、上記相違点であげた本件発明の構成までを想到し得るということはできない。
そして、本件発明は、上記相違点であげた構成を採用することにより、「外部コンプレッサ等が停止して圧縮空気が除湿装置へ送られていないような場合には除湿装置の駆動が停止することになる一方、外部コンプレッサ等の駆動中において除湿後の圧縮気体を使用する外部機器側で圧縮気体の供給を一旦停止させるような場合には除湿装置の駆動は停止しないこととなり、作業者が通常行っていた面倒なスイッチ操作を回避することができるとともに不用意に圧縮機を停止してしまうこともない。」という甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項からは予測できない格別の効果を奏するものである。
したがって、本件発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。
3-6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立の理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
除湿装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】冷媒ガスを圧縮する圧縮機(5)と、該圧縮機(5)から送り出される圧縮冷媒ガスを液冷媒に凝縮する凝縮器(9)と、該凝縮器(9)から送り出された液冷媒を蒸発させる蒸発器(3)とを備えた冷凍回路(R)を設け、圧縮気体を前記蒸発器(3)で除湿させる除湿装置において、
前記圧縮気体の圧力を検出する圧力検出手段(24)を設け、該圧力検出手段(24)により検出された圧力が予め定めた基準停止圧力値以下の場合には前記圧縮機(5)の駆動を停止させ、前記圧力検出手段(24)により検出された圧力が予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値以上の場合には前記圧縮機(5)の駆動を開始させることを特徴とする除湿装置。
【発明の詳細な説明】
【000l】
【産業上の利用分野】
本発明は、除湿装置に係り、詳しくは空気等の被除湿流体を熱交換によって除湿するようにした除湿装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の除湿装置は、圧縮機,凝縮器等からなる冷凍回路を備えており、この冷凍回路により冷媒を冷却するようになっている。前記除湿装置は蒸発器を備えている。
【0003】
そして、外部から高温湿り空気が供給されると、この高温湿り空気が前記蒸発器内にて冷凍回路に接触することにより、高温湿り空気と冷媒との間で熱交換が行われる。その結果、前記高温湿り空気は冷却乾燥空気となり、再熱器によって加熱された後、再び外部に送り出されるようになっている。
【0004】
又、従来の除湿装置には外部操作可能なスイッチが設けられている。そして、このスイッチのオン・オフ切換操作に基づいて、前記冷凍回路中の圧縮機の駆動が制御されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の除湿装置のようにスイッチによって圧縮機の駆動をオン・オフ操作するものでは、スイッチをオフさせない限り圧縮機の駆動が継続される。そのため、蒸発器に高温湿り空気が供給されていない場合にも除湿装置が駆動する状態が発生し、無駄な電力を消費することになる。
【0006】
又、消費電力量を抑えるため、高温湿り空気の除湿を行わない場合に一々スイッチをオフ操作することは、作業者にとっては非常に面倒である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は必要に応じて自動的に圧縮機の駆動を行わせることにより、省電力化を図るとともに、作業者による日常の面倒なスイッチ操作を回避し得る除湿装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、冷媒ガスを圧縮する圧縮機と、該圧縮機から送り出される圧縮冷媒ガスを液冷媒に凝縮する凝縮器と、該凝縮器から送り出された液冷媒を蒸発させる蒸発器とを備えた冷凍回路を設け、圧縮気体を前記蒸発器で除湿させる除湿装置において、前記圧縮気体の圧力を検出する圧力検出手段を設け、該圧力検出手段により検出された圧力が予め定めた基準停止圧力値以下の場合には前記圧縮機の駆動を停止させ、前記圧力検出手段により検出された圧力が予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値以上の場合には前記圧縮機の駆動を開始させることを要旨としている。
【0008】
【作用】
従って、本発明によれば、圧縮気体の圧力は圧力検出手段により検出され、圧力検出手段により検出された圧力が予め定めた基準停止圧力値以下の場合には圧縮機の駆動が停止し、圧力検出手段により検出された圧力が予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値以上の場合には圧縮機の駆動が開始する。その結果、外部コンプレッサ等が停止して圧縮気体が除湿装置へ送られていないような場合には除湿装置の駆動が停止することになる一方、外部コンプレッサ等の駆動中において除湿後の圧縮気体を使用する外部機器側で圧縮気体の供給を一旦停止させるような場合には除湿装置の駆動は停止しないこととなり、作業者が通常行なっていた面倒なスイッチ操作を行なう必要がなくなるとともに不用意に圧縮機が停止してしまうこともない。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の除湿装置を具体化した一実施例を図1に従って説明する。除湿装置1の内部は予冷・再熱器2,蒸発器3にそれぞれ仕切られている。
【0010】
まず、冷媒(なお、本実施例ではフロンを用いている。)を冷却するための冷凍回路Rの構成について説明すると、圧縮機としてのコンプレッサ5にはコンプレッサ駆動モータ6が連結されており、コンプレッサ駆動モータ6は電源7に接続されている。そして、コンプレッサ駆動モータ6の駆動によりコンプレッサ5が作動し、冷媒ガスの圧縮を行なうようになっている。
【0011】
コンプレッサ5の上流側には、アキュムレータ8が組付けられている。アキュムレータ8は液冷媒を一旦保持するものであり、液冷媒を前記コンプレッサ5に供給しないようにし、冷媒ガスのみを供給するようになっている。
【0012】
コンプレッサ5の下流側には、凝縮器としてのコンデンサ9が接続されている。コンデンサ9の近傍には、同コンデンサ9への送風を行なうためのファン10が設置されている。前記コンプレッサ5とコンデンサ9との間には圧力スイッチ4が設けられている。前記ファン10にはファン駆動モータ11が連結されており、ファン駆動モータ11は前記圧力スイッチ4を介して前記電源7に接続されている。そして、コンプレッサ5からコンデンサ9へ送り込まれた圧縮冷媒ガスをファン10の送風作用により冷却するようになっている。
【0013】
コンデンサ9の下流側には、フィルタドライヤ12が組付けられている。このフィルタドライヤ12はフィルタと乾燥剤(図示しない)とを備えており、流路内の塵挨や水分を除去するようになっている。
【0014】
フィルタドライヤ12の下流側には、減圧作用をなすキャピラリチューブ13が組付けられている。このキャピラリチューブ13内にはオリフィス(図示しない)が形成され、このオリフィスを通過した液冷媒を減圧するようになっている。
【0015】
キャピラリチューブ13の下流側には、冷凍通路14が接続されており、同冷凍通路14は前記蒸発器3内で蛇行するように形成されている。前記冷凍通路14には多数のフィン14aが取付けられており、放熱効果が一層高められている。前記冷凍通路14の下流側は前記アキュムレータ8に接続されている。
【0016】
これらのアキュムレータ8,コンプレッサ5,コンデンサ9,フィルタドライヤ12,キャピラリチューブ13,冷凍通路14によって、冷凍回路Rの主流路R1が形成されている。
【0017】
前記主流路R1には、コンデンサ9,フィルタドライヤ12及びキャピラリチューブ13に対して並列関係を有する迂回流路R2が接続されている。この迂回流路R2には機械式の圧力容量調整弁15が設けられており、この圧力容量調整弁15により迂回流路R2の連通遮断が行われるようになっている。なお、前記圧力容量調整弁15はその上流側の圧力変動により迂回流路R2の連通遮断を行って、上流側の圧力、即ち冷凍通路14内の圧力を常時一定に保持するものである。
【0018】
次に、外部コンプレッサ16から被除湿流体としての高温湿り空気を供給し、蒸発器3内にて冷却乾燥空気にした後、再び外部へ取り出す被除湿流体回路Sの構成について説明する。
【0019】
外部コンプレッサ16にはエア供給通路17が接続されており、同エア供給通路17は前記予冷・再熱器2内において予冷通路18に接続されている。この予冷通路18は蛇行して形成されている。
【0020】
前記予冷通路18の下流側には、蒸発器3内の冷却通路19が接続されている。そして、この冷却通路19を通過する高温湿り空気と前記冷凍通路14とが接触することにより熱交換が行われるようになっている。前記蒸発器3はドレン出口20を介してドレン(図示しない)に連通しており、蒸発器3内の水分がドレン出口20から排出されるようになっている。
【0021】
前記冷却通路19の下流側には、接続通路21を介して予冷・再熱器2内の再熱通路22が接続されている。再熱通路22は前記予冷通路18に接するように蛇行して形成されている。更に再熱通路22の下流側には、外部のエア取り出し通路23が接続されている。
【0022】
これらのエア供給通路17,予冷通路18,冷却通路19,接続通路21,再熱通路22,エア取り出し通路23によって、被除湿流体回路Sが形成されている。
【0023】
前記エア取り出し通路23には、圧力検出手段としての圧力スイッチ24が設置されている。この圧力スイッチ24は前記エア取り出し通路23内の空気の圧力を常時検出するようになっている。前記圧力スイッチ24は前記電源7に電気的に接続されている。そして、前記圧力スイッチ24はエア取り出し通路23内の圧力が1.7Kgf/cm2(基準開始圧力値)以上になったときに電気接点(図示しない)を閉じて前記両モータ6,11への電源7の供給が自動的に行われるようになっている。又、エア取り出し通路23内の圧力が0.7Kgf/cm2(基準停止圧力値)以下になったときには、前記電気接点を開いて両モータ6,11への電源7の供給が自動的に遮断されるようになっている。
【0024】
次に、上記のように構成された除湿装置1の作用を説明する。さて、外部コンプレッサ16より、エア供給通路17へ高温湿り空気が供給されると、予冷通路18,冷却通路19,接続通路21,再熱通路22を介してエア取り出し通路23へ前記高温湿り空気が供給される。圧力スイッチ24は常時エア取り出し通路23内のエアの圧力を検出しており、圧力が徐々に高まって1.7Kgf/cm2以上になると、電気接点を閉じて電源7をコンプレッサ駆動モータ6に供給し、同モータ6が駆動を自動的に開始する。
【0025】
前記コンプレッサ駆動モータ6が駆動を開始すると、冷凍回路R中の圧力スイッチ4が圧力を検知し、ファン駆動モータ11に電源7が供給されてファン10が駆動を開始する。そして、冷凍回路Rにおいて冷媒が循環する。即ち、低圧冷媒ガスがコンプレッサ5により圧縮されて圧縮冷媒ガスになり、コンデンサ9において冷却されて圧縮液冷媒になる。そして、フィルタドライヤ12にて塵挨や水分が除去された後、キャピラリチューブ13にて減圧されて低圧液冷媒になる。
【0026】
この液冷媒は、冷凍通路14を通過する際に、冷却通路19を通過する高温湿り空気との間で熱交換が行われる。その結果、冷凍通路14内の液冷媒は低圧高温冷媒となってアキュムレータ8に供給される。
【0027】
一方、高温湿り空気は、熱交換によって冷却と除湿とが行われて冷却乾燥空気となり、接続通路21を介して再熱通路22へ送られる。この再熱通路22は予冷通路18と接しているため、この接した箇所においても熱交換が行われる。即ち、再熱通路22内の冷却乾燥空気と予冷通路18の高温湿り空気との間で熱交換が行われ、冷却乾燥空気は温められて乾燥空気となってエア取り出し通路23へ送られるとともに、高温湿り空気は予冷される。そして、エア取り出し通路23から取り出される乾燥空気が例えば電磁バルブやエアシリンダへ供給されることになる。
【0028】
ここで、外部コンプレッサ16の駆動が停止されてエア供給通路17への空気の供給が遮断されると、徐々にエア取り出し通路23内のエアの圧力が低下する。そして、圧力スイッチ24により検出されたエアの圧力が0.7Kgf/cm2以下になると、電気接点を開いて両モータ6,11への電源7の供給が遮断される。その結果、コンプレッサ駆動モータ6及びファン駆動モータ11の駆動が自動的に停止される。
【0029】
ところで、外部コンプレッサ16は前記電磁バルブやエアシリンダ等の使用空気量に応じて随時オン・オフされている。そのため、外部コンプレッサ16のオン・オフに連動して前記両モータ6,11の駆動を制御した場合には冷凍回路R内の冷媒の冷却循環動作がぎごちなくなる。ところが、エア供給通路17からエア取り出し通路23へ至る流路内の圧力は、外部コンプレッサ16の駆動停止によって即座になされるものではなく相当の時間をおいてなされる。そのため、本実施例では、外部コンプレッサ16の駆動を停止したことにより即座にコンプレッサ5,ファン10の駆動が停止されるものではないので、外部コンプレッサ16のオン・オフが繰り返しなされても冷凍回路R内の冷媒の冷却循環動作がぎこちなくなることはない。
【0030】
従って、本実施例によれば、除湿装置1にコンプレッサ5の駆動を操作する操作スイッチを設けなくても除湿装置1の動作制御を自動的に行なうことができるので、操作者は煩雑なスイッチ操作をする必要がない。
【0031】
又、外部コンプレッサ16から空気が供給されていない場合にはコンプレッサ5及びファン10が駆動されないので、省電力化を図ることができる。
なお、本発明は、上記実施例のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、以下のように実施することも可能である。
【0032】
(1)上記実施例では、被除湿流体として空気を用いたものを例示したが、チッソ,ヘリウム等の他の流体を用いて実施してもよい。
(2)上記実施例では、圧力スイヅチ24を除湿装置1外部のエア取り出し通路23に設けたものを例示したが、圧力スイッチ24をエア供給通路17や予冷・再熱器2内の通路18,22中に設けてもよい。
【0033】
【0034】
(3)上記実施例では、コンプレッサ駆動モータ6の駆動をオン・オフ操作するスイッチを省略したものについて例示したが、スイッチを取付けて補助的に用いることは勿論可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、圧縮気体の圧力は圧力検出手段により検出され、圧力検出手段により検出された圧力が予め定めた基準停止圧力値以下の場合には圧縮機の駆動が停止し、圧力検出手段により検出された圧力が予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値以上の場合には圧縮機の駆動が開始する。その結果、外部コンプレッサ等が停止して圧縮気体が除湿装置へ送られていないような場合には除湿装置の駆動が停止することになる一方、外部コンプレッサ等の駆動中において除湿後の圧縮気体を使用する外部機器側で圧縮気体の供給を一旦停止させるような場合には除湿装置の駆動は停止しないこととなり、作業者が通常行なっていた面倒なスイッチ操作を回避することができるとともに不用意に圧縮機が停止してしまうこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例を示し、除湿装置の構成図である。
【符号の説明】
3…蒸発器、5…圧縮機としてのコンプレッサ、9…凝縮器としてのコンデンサ、24…圧力検出手段としての圧力スイッチ、R…冷凍回路。
 
訂正の要旨 A.願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1に記載された「予め定めた基準開始圧力値以上」を「予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値以上」に訂正する。
B.特許明細書の段落【0007】に記載された「予め定めた基準開始圧力値以上」を「予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値以上」に訂正する。
C.特許明細書の段落【0008】に記載された「予め定めた基準開始圧力値以上」を「予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値以上」に訂正する。」
D.特許明細書の段落【0035】に記載された「予め定めた基準開始圧力値以上」を「予め前記基準停止圧力値よりも大きい値に定めた基準開始圧力値以上」に訂正する。
異議決定日 2000-10-11 
出願番号 特願平5-70503
審決分類 P 1 651・ 121- YA (F25B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 千壽 哲郎  
特許庁審判長 大槻 清寿
特許庁審判官 櫻井 康平
岡田 弘規
登録日 1999-07-16 
登録番号 特許第2953683号(P2953683)
権利者 シーケーディ株式会社
発明の名称 除湿装置  
代理人 川口 光男  
代理人 林 宏  
代理人 後藤 正彦  
代理人 内山 正雄  
代理人 川口 光男  

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