• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H03K
管理番号 1038501
審判番号 審判1999-18909  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-05-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-11-25 
確定日 2001-05-23 
事件の表示 平成 5年特許願第259764号「交流自動定電圧装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成 7年 5月 2日出願公開、特開平 7-115357、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、平成5年10月18日の出願であって、請求項1及び2に係る発明は、平成11年12月27日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次の事項により特定されるものと認める。
「【請求項1】商用の交流電源を入力し、それを主変圧器で所定電圧に変圧して出力する際に、入力電圧の変動に伴う出力電圧の変動分を相殺するように主変圧器の入力側に直列こ接続した補助変圧器を介して入力側に正逆電圧を加減して付与し、出力電圧を安定化してなる交流自動定電圧装置であって、
前記主変圧器は、入力側巻線、出力側巻線及び所定電圧毎に複数のタップが引き出された分圧巻線を備え、また各タップ毎にスイッチング回路が設けられ、前記主変圧器の出力電圧の設定基準電圧に対する電圧変位を検出し、その変位に応じて信号発生手段から発生させた信号によって各スイッチング回路を入切して前記タップの組み合わせ及び位相を選択して前記補助変圧器に供給してなり、
前記スイッチング回路は、エミツタとコレクタ間にフリーホイリングダイオードのアノードとカソードを接続した一対のパワートランジスタのエミッタ同士を接続し、それぞれのパワートランジスタのコレクタとべ‐ス間にフォトモスリレーの力端子を接続するとともに、一対の前記フォトモスリレーの入力端子を直列に接続し且つ前記信号発生手段に直列に接続してなり、前記信号発生手段からの信号に基づき前記タップから前記ベースに分流した電流で作動して両パワートランジスタのコレクタ間を双方向に導通し、前記パワートランジスタの定格コレクタ電流で決まる大電流を前記フォトモスリレーの動作時間及び復帰時間で決まる時間で高速に入切してなることを特徴とする交流自動定電圧装置。
【請求項2】前記パワートランジスタとして、二つのパワートランジスタをダーリントン接続したパワートランジスタモジュールを用いてなる請求項1記載の交流自動定電圧装置。」

2.引用例記載の発明
これに対して、原査定の拒絶理由に引用された特開平4-241514号公報(平成4年8月28日出願公開、以下、「引用例1」という。)には、
「制御する負荷の電源が直流電源であっても交流電源であっても使用できる半導体リレーを提供することを目的とするものである。」(公報第2頁左欄第40〜42行)、第1図の説明として「【0010】以下、本実施例の動作について説明する。リレー入力端子1,2の間に入力信号が存在しない場合には、発光ダイオード5は発光しない。このときホトトランジスタ6,8のコレクタ・エミッタ間は非導通状態であるので、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ7,9のゲートgには電圧が加えられず、したがって、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ7,9はいずれも非導通状態となり、半導体リレー出力端子3,4の間は、印加されている電圧の向きに係わらず非導通状態である。【0011】次に、リレー入力端子1,2間に入力信号が存在する場合には、発光ダイオード5が発光する。このとき、発光ダイオード5から照射された光がホトトランジスタ6を導通するのに十分の大きさで、且つリレー出力端子3,4の間に端子3側が正となるような電圧が印加されているときはホトトランジスタ6はコレクタ・エミッタ間が導通状態となるから、端子3に印加されている正電圧によって、ホトトランジスタ6のコレクタ・エミッタ間と抵抗R2を介して電流が流れる。この電流により、抵抗R2の両端には絶縁ゲートバイポーラトランジスタ7のゲートgの側が正となるように電圧が発生する。この電圧によって、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ7が導通状態になる。このとき、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ9には、ソースs側に対してドレインd側を負にするような電圧が印加されて非導通状態となるが、ダイオードD2が順方向となるように接続されているので、半導体リレーの出力端子3,4間は導通状態となり、点弧する。【0012】ここで、リレー出力端子3,4間に端子3側を正とするような電圧が印加され、半導体リレーが点弧している状態において、発光ダイオード5の発光が停止すると、ホトトランジスタ6のコレクタ・エミッタ間は非導通状態に変わるから、ホトトランジスタ6のコレクタ・エミッタ間と抵抗R2を介して流れる電流がほぼ零になり、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ7を点呼させる電圧が発生せず、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ7は発光ダイオード5の発光が停止したときは直ちに消弧し、リレー出力端子3,4間も消弧状態となる。」(公報第3頁左欄第12〜50行)、「【0014】以上の説明は、半導体リレーのリレー出力端子3,4の間の印加される電圧の向きが逆極性となり、端子4側が正になっても全く同様に成立する。」(公報第3頁右欄第21〜23行)との記載があり、これらの記載によれば、引用例1には、「ソースとドレイン間にダイオードのアノードとカソードを接続した一対の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ7,9のソース同士を接続し、それぞれの絶縁ゲートバイポーラトランジスタ7,9のドレインとゲートに間にホトトランジスタ6,8の出力端子を接続し、リレー入力端子1,2間の入力信号による発光ダイオード5からの光照射により導通するホトトランジスタ6,8を介してリレー出力端子3,4間の電圧極性に応じて絶縁ゲートバイポーラトランジスタ7,9のゲートを順バイアスする半導体リレー。」の発明(以下、「引用例1記載の発明」という。)が開示されているものと認められる。
同じく原査定の拒絶理由に引用された特開平4-44417号公報(平成4年2月14日出願公開、以下「引用例2」という。)には、第1図の説明として「第1図は本実施例における双方向無接点スイッチの回路図で、単一方向にスイッチ機能を有する半導体スイッチ素子としてバイポーラトランジスタを用いた場合を示している。一方のバイポーラトランジスタ1Aに他方のバイポラトランジスタ1Bを逆極性直列に接続する。すなわち、バイポーラトランゾスタ1AのエミッタEとバイポーラトランジスタ1BのエミッタEとを接続し、それぞれのバイポーラトランジスタ1Aおよび1Bに逆極性直列に一方のダイオード5Aおよび他方のダイオード5Bを接続する。一方のバイポーラトランジスタ1AのコレクタCは主端子Uに接続し、他方のバイポーラトランジスタ1BのコレクタCは主端子Vに接続する。一方および他方のバイポーラトランジスタ1Aおよび1BのエミッタEはゲートGOに接続し、一方のバイポーラトランジスタ1AのベースBはゲート端子GAに接続し、他方のバイポーラトランジスタ1BのベースBはゲート端子GBに接続する。 まず、ゲート端子GO-GA間にゲート信号を印加すると一方のバイポーラトランジスタ1Aは動作し、他方のダイオード5Bを介して主端子Uから主端子Vに向かって一方向の導通路が形成される。次にゲート端子GO-GB間にゲート信号を印加すると他方のバイポーラトランジスタ1Bは動作し、一方のダイオード5Aを介し主端子Vから主端子Uに向かって逆方向の導通路が形成される。バイポーラトランジスタは5KHZ程度の動作周波数を有しており、高周波の双方向スイッチとして機能する。」(公報第2頁右上欄第12行〜左下欄第20行)との記載があり、 これらの記載によれば、引用例2には、「一対のバイポーラトランジスタ1A、1Bのエミッタとコレクタ間に夫々ダイオード5A、5Bを接続し、バイポーラトランジスタ1A、1Bのエミッタ同士を接続し、それぞれのバイポーラトランジスタのベースエミッタ間にゲート信号を印加することでオンオフする双方向無接点スイッチ」の発明(以下、「引用例2記載の発明。」という。)が記載されているものと認められる。

3.対比・判断
(1)まず、本願の請求項1に係る発明と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明の「半導体リレー」は、本願の請求項1に係る発明の「スイッチング回路」に対応するものの、本願の特許請求の範囲の請求項1の記載によれば、本願の請求項1に係る発明は、前記「スイッチング回路」を「商用の交流電源を入力し、それを主変圧器で所定電圧に変圧して出力する際に、入力電圧の変動に伴う出力電圧の変動分を相殺するように主変圧器の入力側に直列こ接続した補助変圧器を介して入力側に正逆電圧を加減して付与し、出力電圧を安定化してなる交流自動定電圧装置」に適用するものであって、さらに、適用するにあたって「前記主変圧器は、入力側巻線、出力側巻線及び所定電圧毎に複数のタップが引き出された分圧巻線を備え、また各タップ毎にスイッチング回路が設けられ、前記主変圧器の出力電圧の設定基準電圧に対する電圧変位を検出し、その変位に応じて信号発生手段から発生させた信号によって各スイッチング回路を入切して前記タップの組み合わせ及び位相を選択して前記補助変圧器に供給してな」る構成を採用したものと認められるところ、引用例1記載の発明には、前記「半導体リレー」を前記「交流自動定電圧装置」に適用することはもちろん、適用するにあたっての構成について記載も示唆もない。
そこで、前記「半導体リレー」を前記「交流自動定電圧装置」に適用することについて検討するに、引用例2にも、引用例1記載の発明の「半導体リレー」と同様の構成・機能を示す「双方向無接点スイッチ」の発明が示されているのみであって、「双方向無接点スイッチ」を前記「交流自動定電圧装置」に適用することについては、何らの記載も示唆もないから、本願の請求項1に係る発明は、引用例1、2記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(2)つぎに、本願の請求項2に係る発明と引用例1記載の発明とを対比すると、本願の請求項2に係る発明は、本願の請求項1に係る発明の「二つのパワートランジスタをダーリントン接続したパワートランジスタモジュールを用いてなる」ことをさらに限定したものと認められるから、当然、本願の請求項2に係る発明は、引用例1、2記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない

4.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1,2に係る発明は、引用例1,2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
他に拒絶すべき理由を発見することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2001-05-07 
出願番号 特願平5-259764
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H03K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 野元 久道  
特許庁審判長 佐藤 秀一
特許庁審判官 武井 袈裟彦
大日方 和幸
発明の名称 交流自動定電圧装置  
代理人 柳野 隆生  
代理人 柳野 隆生  
代理人 柳野 隆生  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ