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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A44B
管理番号 1038624
審判番号 審判1999-7359  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-02-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-04-26 
確定日 2001-04-24 
事件の表示 平成 9年特許願第510141号「防水二重ファスナー」拒絶査定に対する審判事件[平成 9年 3月 6日国際公開、WO97/07702、平成10年 2月17日国内公表、特表平10-501726]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、1996年8月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1995年8月23日、大韓民国)を国際出願日とする出願であって、その請求項1乃至4に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて請求の範囲第1乃至4項に記載されたものである。
その内、請求項1に係る発明は次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という)
「防水二重ファスナーであって、
2列の歯状部分を有するテープを備えたジッパー型ファスナー部分であって、前記テープがファスナーを取付けた目的物の別個の部分にそれぞれ取付けられているものと、
膨出した縁部と溝付の縁部を有するとともに前記のジッパー型ファスナー部分のテープに取付けられたテープを備えた防水ファスナー部分であって、この防水ファスナー部分がジッパー型ファスナー部分に重なっているものと、
からなる防水二重ファスナー。」
2.引用刊行物記載の発明
これに対し、原査定の拒絶の理由で引用された特開昭63-174603号公報(以下、「引用例1」という)に記載された発明は、「気密及び液密ファスナ」に関するものであり、特に、特許請求の範囲第1項、第1図、及び公報第9頁右上欄の記載から見て、「ジッパと封止滑りファスナとを備える液密ファスナであって、2列のジッパの歯8を有する支持テープ6を備えたジッパであって、支持テープ6が封止されるべき材料の壁体5の別個の部分にそれぞれ取付けられているものと、各々が膨出部及び溝部の両方を有するプロファイル部材を備えるとともに支持テープ6に取付けられたテープを備えた液密の封止滑りファスナであって、このプロファイル部材が封止されるべき材料の壁体5の平面に対して垂直な平面4にジッパと並んで配置されるジッパと封止滑りファスナとを備えるファスナ」が記載されている。
同じく、原査定の拒絶の理由で引用された特開昭63-277002号公報(以下、「引用例2」という)には、「ストリップを有し、凸条を有する縁と凹溝を有する縁を備える流体に対して抵抗性のあるファスナ」(公報第2頁右下欄第18〜公報第3頁左上欄第4行並びに公報第6頁左下欄第12行〜第6頁右下欄12行及び第7〜9図)が記載されている。

3.対比
本願発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、引用例1に記載された発明における「液密ファスナ」「ジッパの歯8」「支持テープ6」「ジッパ」「封止されるべき材料の壁体5」「支持テープ6に取付けられたテープ」はそれぞれ本願発明における「防水ファスナー」「歯状部分」「テープ」「ジッパー型ファスナー部分」「ファスナーを取付けた目的物」「ジッパー型ファスナー部分のテープに取付けられたテープ」に相当する。また、引用例1記載の発明における封止滑りファスナーのプロファイル部分とジッパとが垂直な平面に重なっていることから、引用例1記載の発明は「二重ファスナー」であって「防水ファスナー部分がジッパー型ファスナー部分に重なっている」という本願発明の構成を有している。
そうすると両者は、「防水二重ファスナーであって、
2列の歯状部分を有するテープを備えたジッパー型ファスナー部分であって、前記テープがファスナーを取付けた目的物の別個の部分にそれぞれ取付けられているものと、
前記のジッパー型ファスナー部分のテープに取付けられたテープを備えた防水ファスナー部分であって、この防水ファスナー部分がジッパー型ファスナー部分に重なっているものと、
からなる防水二重ファスナー」の点で一致し、
本願発明では、防水ファスナー部分が「膨出した縁部と溝状の縁部を有する」のに対し、引用例1記載の発明においては防水ファスナー部分が「各々が膨出部及び溝部の両方を有するプロファイル部材」で構成されている点で両者は相違している。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
引用例2記載の発明における「凸条を有する縁」及び「凹溝を有する縁」が本願発明における「膨出した縁部」及び「溝状の縁部」に相当するから、「膨出した縁部と溝状の縁部を有する」防水ファスナーは引用例2に記載されており、引用例1に記載のプロファイル部材を用いた防水ファスナー部分に代えて「膨出した縁部と溝状の縁部を有する」防水ファスナーを防水ファスナー部分として採用することは、両者が防水ファスナーという同じ技術分野に属していることから、当業者が容易になし得る程度のことといわざるを得ない。
そして、本願発明の効果も引用例1及び引用例2記載の発明から、当業者があれば予測できる程度のものであって、格別のものとはいえない。

5.むすび
したがって、本願発明は、本願出願前に国内で頒布された刊行物である引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-11-07 
結審通知日 2000-11-17 
審決日 2000-11-30 
出願番号 特願平9-510141
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A44B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平上 悦司  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 門前 浩一
鈴木 美知子
発明の名称 防水二重ファスナー  
代理人 蔦田 璋子  
代理人 蔦田 正人  

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