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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1038646
審判番号 審判1999-20847  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-06-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-12-27 
確定日 2001-04-27 
事件の表示 平成10年特許願第262563号「係止具」拒絶査定に対する審判事件[平成11年6月2日出願公開、特開平11-149248]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願は、平成10年9月17日(優先権主張1997年9月19日、米国)の出願であって、その発明は、明細書及び図面の記載からみて、平成11年8月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至請求項10に記載された以下のものにあると認める。
「請求項1
線状ストリング部、当該線状ストリング部の一方の端部に接続されているホルダー部、当該線状ストリング部の他方の端部に接続されている係止片部を有する接合部とから構成された係止具であって、当該ホルダー部に当該接合部が嵌合しうる挿通孔部が形成されると共に当該挿通孔部内部に当該接合部に設けられている当該係止片を係止させるストッパー部が設けられており、且つ該ホルダー部には、当該線状ストリング部と該ホルダー部との間に、指先当接把持部が設けられ、当該係止具に於ける該ホルダー部は、その内部に当該ホルダー部に接続されている該線状ストリング部の接続方向に対して略直交する方向に中心軸をもった挿通孔部が形成されると共に、当該指先当接把持部は、オペレータが、当該係止具を指先で把持した際に、当該ホルダー部の該挿通孔部が、オペレータの指先よりも上側に突出しうる様なディメンジョンに設定されている事を特徴とする係止具。
請求項2
線状ストリング部、当該線状ストリング部の一方の端部に接続されているホルダー部、当該線状ストリング部の他方の端部に接続されている接合部とから構成された係止具であって、当該係止具に於ける該ホルダー部は、その内部に当該ホルダー部に接続されている該線状ストリング部の接続方向に対して略直交する方向に中心軸をもった挿通孔部が形成されると共に当該挿通孔部内部にストッパー部が設けられており、一方当該接合部は、当該接合部の中心軸が、当該接合部に接続されている該線状ストリング部の接続方向と略一致する方向となる様な太線状の硬質部に構成され、且つ当該接合部の先端部は、当該ホルダー部の該挿通孔部内に挿通しえる様に構成されると共に、当該接合部の一部には、該挿通孔部に設けられたストッパー部と係合する可撓性の係止片部が設けられており、更に、当該ホルダー部には、当該線状ストリング部と該ホルダー部との間に、指先当接把持部が設けられている事を特徴とする係止具。
請求項3
該指先当接把持部は、当該ホルダー部を、当該挿通孔部の中心軸線と平行な面で見た当該ホルダー部の側面形状が、当該挿通孔部の両端部間の幅の長さを最大とし、そこから当該線状ストリング部との接合点に向けてその幅の長さを徐々に減少させた第1の形状を有するものであり、且つ当該挿通孔部の中心軸線と直角な面で見た当該ホルダー部の断面形状が、当該挿通孔部の最大径部を含む部分の当該ホルダー部の幅の長さを最大とし、そこから当該線状ストリング部との接合点に向けてその幅の長さを徐々に減少させた第2の形状を有するものである事を特徴とする請求項1又は2に記載の係止具。
請求項4
当該第1と第2の形状の少なくとも一方は、その輪郭線は連続的な直線で構成されている事を特徴とする請求項2乃至3の何れかに記載の係止具。
請求項5
当該第1と第2の形状の少なくとも一方は、その輪郭線は連続的な湾曲線で構成されている事を特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の係止具。
請求項6
当該第1と第2の形状の少なくとも一方は、その輪郭線は直線及び湾曲線の組合せで構成されている事を特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の係止具。
請求項7
当該ホルダー部に於ける該挿通孔部の両端部に於ける開孔部面積が、当該挿通孔部の中央部に於ける開孔部面積よりも大きくなる様に構成されている事を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の係止具。
請求項8
当該線状ストリング部、当該線状ストリング部の一方の端部に接続されているホルダー部、当該線状ストリング部の他方の端部に接続されている接合部及び当該指先当接把持部とが一体的に形成されている事を特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の係止具。
請求項9
当該係止具が合成樹脂により形成されている事を特徴とする請求項8記載の係止具。
請求項10
当該線状ストリング部は、細く且つ柔軟性を有する線状体で構成されている事を特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の係止具。」

2.これに対して、原審の拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭53-105353号(実開昭55-22746号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には、「扁平な頭部と、この頭部の一方の側部より延長されたフィラメント部と、このフィラメント部の一端に設けた係止部とからなり、前記頭部には側部より中心に向かう前記係止部挿入用の孔が設けられ、この孔の一部が膨出して止め部が環状に形成され、前記係止部はきのこ状をなしてその最大径部は前記止め部の径よりも大きく、この係止部が止め部を抜ける際には前記孔の側方の薄肉部が変形できるように合成樹脂で一体成形した紐状物」が記載されている。
引用例1の第1〜8図なども参酌して本願請求項2に記載された係止具と対比すると、両者は、「線状ストリング部(フィラメント部)、当該線状ストリング部の一方の端部に接続されているホルダー部(頭部)、当該線状ストリング部の他方の端部に接続されている接合部(係止部)とから構成された係止具(紐状物)であって、当該係止具に於ける該ホルダー部は、その内部に当該ホルダー部に接続されている該線状ストリング部の接続方向に対して略直交する方向に中心軸をもった挿通孔部(係止用の孔)が形成されると共に当該挿通孔部内部にストッパー部(止め部)が設けられており、一方当該接合部は、当該接合部の中心軸が、当該接合部に接続されている該線状ストリング部の接続方向と略一致する方向となる様な太線状の硬質部(未延伸部分)に構成され、且つ当該接合部の先端部は、当該ホルダー部の該挿通孔部内に挿通しえる様に構成されると共に、当該接合部の一部には、該挿通孔部に設けられたストッパー部と係合する可撓性の係止片部(最大径部)が設けられている係止具(紐状物)」である点で、実質的に一致している。
ただ、本願請求項2に係る係止具が、ホルダー部の線状ストリング部側に「指先当接把持部」を設けているのに対して、引用例1のものでは、頭部(ホルダー部)全体を扁平とすることによって把持しやすくしている(明細書第6頁第13〜18行、第3図)ものの、「指先当接把持部」といえるような部分は設けられていない点で相違している。

3.そこで相違点について検討すると、原審の拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭58-9538号(実開昭59-128678号)のマイクロフィルム(以下「引用例2」という。)には、価格札などの吊下用具(係止具)において、係止片6(ホルダー部)の指先当接把持部に相当する部分を円錐形7とし(第2図参照)、「使用上の取扱いを簡易に(する)」(明細書第5頁第3〜5行)ことが示されており、格別な手段であるとは認められないので、引用例1の頭部(ホルダー部)にかかる指先当接把持部を形成することは、当業者が容易になし得る程度のことというべきである。
そして、その効果も当業者には容易に予測し得る程度のことにすぎない。
そうすると、本願の請求項2に係る発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとするのが相当であり、特許法第29条第2項の規定によって特許を受けることができない。

4.したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-02-09 
結審通知日 2001-02-23 
審決日 2001-03-06 
出願番号 特願平10-262563
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塩澤 克利渋谷 善弘  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 熊倉 強
藤本 信男
発明の名称 係止具  
代理人 斉藤 武彦  
代理人 畑 泰之  

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