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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 E05B
管理番号 1038757
審判番号 審判1999-3036  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-11-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-02-25 
確定日 2001-06-04 
事件の表示 平成 2年特許願第 44026号「ワイヤレス電気施解錠装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成 3年11月 6日出願公開、特開平 3-247881、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯、本件請求項1、2に係る発明
本願は、平成2年2月23日の出願であって、その請求項1、2に係る発明は、平成13年3月12日付けの手続補正書で補正された全文補正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりの次のものにあると認める。
「【請求項1】玄関などに取り付けられた電気錠と住戸内に設置された電気錠操作制御器とを信号線で接続し、該電気錠操作制御器側からの遠隔操作によって上記電気錠の施、解錠を行なわせるようにした電気施解錠装置、ワイヤレスシークレット操作器、ワイヤレス受信ユニットから構成されるワイヤレス電気施解錠装置であって、
上記電気施解錠装置の電気錠操作制御器は、電気錠の施、解錠を行わせる操作器を後付け付加可能なように電気錠の施、解錠に関する信号を受け入れる信号入力部を備えたものとなし、
上記ワイヤレスシークレット操作器は、
暗証番号を含む制御信号を入力するための暗証番号入力部と、
該暗証番号入力部で入力された制御信号を信号処理することによって該制御信号に対応した制御データを生成出力する信号処理部と、
該信号処理部で生成された制御データで高周波搬送波を変調することによってワイヤレス信号を送信出力するワイヤレス送信部とを備えており、
上記ワイヤレス受信ユニットは、
上記電気錠操作制御器に接続されており、
暗証番号を予め設定するための暗証番号設定部と、
上記ワイヤレスシークレット操作器側から送信されたワイヤレス信号を受信、復調して上記制御データを取り出すためのワイヤレス受信部と、
該ワイヤレス受信部で復調された制御データを受けて上記ワイヤレスシークレット操作器側で入力された暗証番号を含んだ制御信号を処理出力し、この信号処理によって得られた暗証番号が上記暗証番号設定部で設定された暗証番号と一致しているときには制御信号に応じた施、解錠制御信号を上記電気錠操作制御器側に出力する信号処理部とを備え、
上記ワイヤレス電気施解錠装置は、既に設置されている上記電気施解錠装置に、その所定に電気錠の機能を損なうことなく残してその電気錠操作制御器の信号入力部と上記ワイヤレス受信ユニットの信号処理部とを電気的に接続することにより上記ワイヤレス受信ユニットを後付け付加して構成されていることを特徴とするワイヤレス電気施解錠装置。
【請求項2】上記電気錠操作制御器が、上記電気錠とともに該電気錠の取り付けられている扉内に近接させて設置された構成としたことを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス電気施解錠装置。」

2.引用刊行物の記載事項
原査定の理由で引用された刊行物の記載事項は次のとおりである。
刊行物1(特開昭62-94678号公報)
2頁右上欄2行〜3頁右上欄19行、8頁右上欄12〜16行及び第1〜4図の明細書及び図面の記載によれば、「家のドア等に取り付けられたロック機構33、暗号コード送信手段、暗号コード受信手段から構成される電子キー装置であって、上記暗号コード送信手段は、暗証番号を含む制御信号を入力するためのキー入力部28と、該キー入力部28で入力された制御信号を信号処理することによって該制御信号に対応した制御データを生成出力する演算部25,RAM23,変換回路29、送信回路4とを備えており、上記暗号コード受信手段はロック機構33に接続されており、暗号コードを予め設定するためのデジタルスイッチ14と、上記暗号コード送信手段側から送信されたワイヤレス信号を受信、復調して上記制御データを取り出すための受信回路16,変換回路31からなるワイヤレス受信部と、該ワイヤレス受信部で復調された制御データを受けて上記キー入力部28側で入力された暗証番号を含んだ制御信号を処理出力し、この信号処理によって得られた暗証番号が上記デジタルスイイチ14で設定された暗証番号と一致しているときには制御信号に応じた施、解錠制御信号を上記ロック機構33側に出力する信号処理部とを備えている電子キー装置。」の発明が記載されていると認める。
刊行物2(特開昭63-145151号公報)
2頁右下欄4行〜3頁左上欄19行及び第1図の明細書及び図面の記載によれば、「自動車に取り付けられたドアロックD、トランスミッタ2、レシーバ3から構成されるワイヤレス・リーモートコントロール・システムであって、トランスミッタ2は、指令信号を入力するためのキースイッチ4と、該キースイッチ4で入力された指令信号を信号処理することによって該指令信号に対応した制御データを生成出力するエンコーダ5と、該エンコーダ5で生成された制御データを発振・変調回路7で変調することによってワイヤレス信号を送信出力する出力トランジスタ9等のワイヤレス送信部とを備えており、上記レシーバ3は上記ドアロックDに接続されており、上記トランスミッタ2から送信されたワイヤレス信号を受信、復調して上記制御データを取り出すための受信機12と、上記トランスミッタ2側で入力された指令信号を含んだ制御信号を処理出力し、この信号処理によって得られた指令信号に応じた施、解錠制御信号を上記ドアロックD側に出力するデコーダ13とを備えたワイヤレス・リーモートコントロール・システム。」の発明が記載されていると認める。
刊行物3(特開昭64-33376号公報)
1頁右下欄10行〜2頁左上欄18行、2頁左上欄20行〜同右上欄5行、2頁右上欄19行〜同右下欄16行、2頁右下欄17行〜3頁右上欄4行、3頁右上欄15行〜同左下欄7行及び第3図、第4図の明細書及び図面の記載によれば、「玄関などに取り付けられた電気錠6と住戸内に設置された電気錠制御装置4とを信号線で接続し、該電気錠制御装置4からの遠隔操作によって上記電気錠6の施、解錠を行なわせるようにした電気施解錠装置、トーン発生器1、ドアホン子器3及びインターホン親機2から構成されるワイヤレスの電気錠システムであって、上記トーン発生器1は、暗証番号を含む制御信号を入力するための押釦スイッチ1aと、該押釦スイッチ1aで入力された制御信号を信号処理することによって該制御信号に対応した制御データを生成出力する信号処理部と、該信号処理部で生成された制御データに基づき音信号を送信出力する音信号発生部とを備えており、上記ドアホン子器3及びインターホン親機2は上記電気錠制御装置4に接続されており、暗証番号を予め設定するための暗証番号設定部23と、上記トーン発生器1側から送信されたワイヤレス信号である音信号を受信するドアホン子器3と、該ドアホン子器3で復調された制御データを受けて上記トーン発生器1側で入力された暗証番号を含んだ制御信号を処理出力し、この信号処理によって得られた暗証番号が上記暗証番号設定部23で設定された暗証番号と一致しているときには制御信号に応じた施、解錠制御信号を上記電気錠制御装置4側に出力する信号処理部とを備えたワイヤレスの電気錠システム。」の発明が記載されていると認める。

3.対比・判断
(本願の請求項1に係る発明について)
上記刊行物1及び2記載の発明は、いずれも本願の請求項1に係る発明の「ワイヤレスシークレット操作器、ワイヤレス受信ユニット」に相当する構成を有していて電気錠をワイヤレス信号で施・解錠できるものであると認めるが、本願の請求項1に係る発明の「電気錠操作制御器側からの遠隔操作によって電気錠の施、解錠を行なわせるようにした電気施解錠装置」に相当する構成を有するものではないと共に、上記ワイヤレス受信ユニットに相当する構成も後付けされたものではない。また、上記刊行物3には、本願の請求項1に係る発明の「玄関などに取り付けられた電気錠と住戸内に設置された電気錠操作制御器とを信号線で接続し、該電気錠操作制御器側からの遠隔操作によって上記電気錠の施、解錠を行なわせるようにした電気施解錠装置、ワイヤレスシークレット操作器、ワイヤレス受信ユニットから構成されるワイヤレス電気施解錠装置」に相当する構成を有すると認めるが、上記ワイヤレス受信ユニットに相当する構成は、上記電気施解錠装置の電気錠操作制御器に後付けされているものではない。
そうしてみると、少なくとも、上記刊行物1〜3には、本願の請求項1に係る発明の「玄関などに取り付けられた電気錠と住戸内に設置された電気錠操作制御器とを信号線で接続し、該電気錠操作制御器側からの遠隔操作によって上記電気錠の施、解錠を行なわせるようにした電気施解錠装置の電気錠操作制御器は、電気錠の施、解錠を行わせる操作器を後付け付加可能なように電気錠の施、解錠に関する信号を受け入れる信号入力部を備えたものとなし、ワイヤレス電気施解錠装置は、既に設置されている上記電気施解錠装置に、その所定に電気錠の機能を損なうことなく残してその電気錠操作制御器の信号入力部と上記ワイヤレス受信ユニットの信号処理部とを電気的に接続することにより上記ワイヤレス受信ユニットを後付け付加して構成されている」構成は、記載されても示唆されてもいないと認める。
そして、本願の請求項1に係る発明は、上記構成を発明の主要な構成要件とすることにより、「既存の電気施解錠装置にワイヤレスシークレット操作器とワイヤレス受信ユニットとを後付け付加するだけでワイヤレス化することができるとともにシークレット操作器が不要になるので、操作性、施工性を向上させたワイヤレス電気施解錠装置を提供できる。」という明細書記載の特有の効果を奏することができるものと認める。
したがって、本願の請求項1に係る発明は、上記刊行物1〜3記載の発明に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。
(本願の請求項2に係る発明について)
本願の請求項2に係る発明は、請求項1を引用する発明であるから、(本願の請求項1に係る発明について)で検討したのと同様の理由により上記刊行物1〜3記載の発明に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。

4.むすび
以上、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2001-05-07 
出願番号 特願平2-44026
審決分類 P 1 8・ 121- WY (E05B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊藤 陽  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 鈴木 公子
伊波 猛
発明の名称 ワイヤレス電気施解錠装置  
代理人 中井 宏行  

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