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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B01J
管理番号 1039201
異議申立番号 異議2000-70754  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-03-17 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-02-23 
確定日 2000-12-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2938523号「複合脱酸素剤」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2938523号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第2938523号に係る手続きの概要は以下のとおりである。 平成2年7月24日 特許出願
平成11年6月11日 設定の登録
平成11年8月23日 特許公報発行
平成12年2月23日 特許異議の申立て
平成12年5月16日付 取消理由の通知
平成12年7月14日 意見書及び訂正請求書の提出
平成12年10月27日 特許異議申立人から上申書の提出
平成12年11月9日付 訂正拒絶理由を兼ねた取消理由通知(手 交)
平成12年11月15日 平成12年7月14日付訂正請求書の取 り下げ
平成12年11月15日 訂正請求書の提出

II.訂正の適否
1.訂正事項
a.特許請求の範囲の請求項1に「脱酸素剤の通気性包材に糸状酸素検知剤 を一体化してなる」とあるのを、「被保存物質と共に梱包袋内に同封され
、該梱包袋内の脱酸素を行う脱酸素剤であって、上記脱酸素剤の通気性包 材に、糸状酸素検知剤を両面から視認できるように縫い込みにより一体化 し、複合化してなる」と訂正する。
b.特許請求の範囲の請求項2を削除する。
c.明細書第3頁第3〜4行(特許公報第3欄第2〜4行)に「脱酸素剤の 通気性包材に糸状酸素検知剤を一体化してなる」とあるのを、「被保存物 質と共に梱包袋内に同封され、該梱包袋内の脱酸素を行う脱酸素剤であっ て、上記脱酸素剤の通気性包材に、糸状酸素検知剤を両面から視認できる ように縫い込みにより一体化し、複合化してなる」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、及び特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
上記訂正事項aは、複合脱酸素剤が「被保存物質と共に梱包袋内に同封され、該梱包袋内の脱酸素を行う」ものであると、複合化の意味を特定すると共に、通気性包材と糸状酸素検知剤の一体化の状態を、「両面から視認できるように縫い込みにより」と特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
また、上記訂正事項bは、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、訂正事項cは、訂正事項aの訂正に伴なって発明の詳細な説明の記載部分に生じた不整合な記載を訂正して、特許請求の範囲の記載との整合を図るものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものである。
さらに、願書に添付した明細書には、「このような糸状酸素検知剤を脱酸素剤の通気性包材に一体化させて複合脱酸素剤とするには、・・・、縫い込む方法を採用すると最も生産性を向上することができる。また、糸状酸素検知剤を縫い込んだ複合酸素検知剤は、通気性包材の両面から糸状酸素検知剤が見えるようになるので、梱包の際に表裏を考える必要がないという取扱い性に優れ、」及び「本発明の複合脱酸素剤は、被保存物質と共に酸素を遮断する包材に密封されると、」という記載があることから明らかなように、訂正事項aないしcのいずれも、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し変更するものではない。

3.むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する特許法第126条第2項ないし第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.特許異議申立について
1.本件発明
本件特許に係る発明は、前述の訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。(以下、「本件発明」という。)
「被保存物質と共に梱包袋内に同封され、該梱包袋内の脱酸素を行う脱酸素剤であって、上記脱酸素剤の通気性包材に、糸状酸素検知剤を両面から視認できるように縫い込みにより一体化し、複合化してなることを特徴とする複合脱酸素剤。」

2.特許異議申立の理由の概要
特許異義申立人三菱瓦斯株式会社は、下記の甲第1号証ないし甲第3号証を提出し、本件の請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に規定により特許を受けることができないものであると主張している。

甲第1号証:特開平2-167057号公報
甲第2号証:米国特許第4046514号明細書及びその抄訳
甲第3号証:実願昭59-190788号(実開昭61-105859号) のマイクロフィルム

3.甲号各証に記載された発明
甲第1号証:
「酸素検知剤と脱酸素剤とを一体化させたことを特徴とする複合脱酸素剤」に関し、
イ.「本発明にあたっては、上述の酸素検知剤と脱酸素剤とを一体化させて 複合脱酸素剤を得る。一体化させる方法としては、酸素検知剤を脱酸素剤 またはそれを被包している気体透過性を有する被包材の表面の一部に貼付 する方法、シート状等の酸素検知剤を脱酸素剤またはその被包材の表面に 印刷、転写する方法、気体透過性を有するシート状の酸素検知剤を脱酸素 剤の被包材として使用して脱酸素剤を被包する方法等が好適である。なお
、上記の各方法の具体的な手段は任意であり、好適な手段が適宜選択され る。例えば、前記の貼付の際には粘着テープ、接着剤、糊料等が好適に使 用され、その使用量は任意であり、また二種以上を使用しても良い。」
と記載されている。

甲第2号証:
「サンプル中の構成要素を検出するテスト装置及び方法」に関し、
ロ.「その装置は、サンプルの構成要素と接触すると視認可能な反応を生ず る反応系を利用し、その反応系は担体マトリックスに担持されている。担 体マトリックスは、布を形成する別々のフィラメントを含む。反応系の少 なくとも1つの成分は、そのフィラメントのいくつかに、それらが上記布 に形成される前に担持される。その装置を作る方法は、少なくとも1つの 反応物の成分を含んでいるフィラメントを他のフィラメントの縦糸に織り 込むこと、当該フィラメントを編んで布にすること、ランダムに配向した フィラメントのマット布を形成すること、又は当該フィラメントを実質的 に平行に配向させた状態でマトリックス支持部材に添付することを含む。
」(要約)、
ハ.「現在多くのテスト装置が、特に医学的な診断の分野で使用されており
、このテスト装置は、テスト・サンプル中の特定の構成要素の存在を検出 することができる。この目的に役立つ多数の電子的及び機械的な装置の他 に、あるタイプの視覚的検出法が、広く知られるようになっている。こう して、いわゆる「dip-and-read」試験片が、特に生物学的な 流体の化学的分析において、広い需要を獲得しているが、これは、その比 較的低いコスト、使用に際しての便利さ、及び結果を得る際のスピードの ためである。そのような試験片は一般に、紙のような吸湿性の坦体の中に 含まれた反応系を使用する。」(第1欄第18〜29行)
ニ、「実施例1・・・これらの各溶液は木綿フィラメントの別々の群に含浸 して使用される。・・・乾燥後、木綿糸は白い綿布に3種の異なった反応 性領域が限定されるように、縫い込まれる。」(第7欄下から第2行〜第 8欄第4行)
と記載されている。

甲第3号証:
ホ.「液体吸収性布と電極としての導電性合成繊維糸とを組み合わせ、漏液 があれば警報回路を形成せしめるようにした漏液検出センサー。」(実用 新案登録請求の範囲)、
ヘ.「導電性合成繊維糸を電極とする場合はベースとなる液体吸収性布に例 えばミシン縫いで簡単に取りつけられるので第3図に示すように電極の取 付け形状並びに間隔など自由に設計、取付け作業が出来るのでセンサー感 度の選定調節も広範囲に行なえる利点がある。」
ト.「本考案は漏液検出センサーに液体高吸収性布と電極として導電性合成 繊維糸を用いたことにより、製造上電極の取付けはミシン縫いで簡略化す ることができ、しかも電極の取付け形状をいかようにも変形取付けを可能 にしてセンサー感度を必要に応じて選択できること、又可撓性に於ては電 線導体に比較し格段の優れ、且つ電極自体が液体吸収性であるから電極と しての接触性はこれまた非常に良好な性能を示し、漏液検出センサーとし て大きな改善効果が得られる。」
と記載されている。

4.対比・判断
本件発明と甲第1号証に記載された発明とを比較すると、甲第1号証に記載された「(脱酸素剤を)被包している気体透過性を有する被包材」は、本件発明における「通気性包材」に該当するから、両者は、
「被保存物質と共に梱包袋内に同封され、該梱包袋内の脱酸素を行う脱酸素剤であって、上記脱酸素剤の通気性包材に一体化し、複合化してなることを特徴とする複合脱酸素剤。」
である点で一致しており、以下の点で相違している。
相違点:
「一体化」する方法が、前者では「糸状酸素検知剤を両面から視認できる ように縫い込み」であるのに対し、後者には、「酸素検知剤を通気性包材 の表面の一部に貼付」するものである点。
そこで該相違点について検討する。
甲第1号証には、検知剤の形状として「シート状」にすること、及び貼付方法として「粘着テープ、接着剤、糊料等」が記載されているだけで、検知剤の形状を「糸状」にすること、及びそれを「両面から視認できるように縫い込む」ことについては何ら示唆する記載もない。
また、甲第2号証には、反応系の少なくとも1つの成分が、フィラメントのいくつかに担持され、該フィラメントは白い布に縫い込まれて用いられることが記載されており(摘記事項ニ参照)、該フィラメントは、本件発明でいうところの「糸状検知剤」に相当する。
しかしながら、摘記事項ハから明らかなように、甲第2号証に記載されたフィラメントが縫い込まれた布は、例えば医学的診断等において用いられる、いわゆる「dip-and-read」試験片として用いられるものであって、被試験体は液体であり、該布に被試験体である液体を吸収させることにより検出するものである。
それに対し、甲第1号証記載の発明の酸素検知剤は、脱酸素剤を被包している通気性包材に添付して一体化され、該脱酸素剤と共に梱包袋内に同封されるものであるものである。
このように、甲第1号証記載の発明と甲第2号証記載の発明とは、その適用分野及び使用状態が全く異なるものであるから、甲第1号証記載の発明と甲第2号証記載の発明とを組み合わせる動機が存在しない。
さらに、甲第3号証には、導電性合成繊維糸を電極として、ベースとなる液体吸収性布に例えばミシン縫いで取りつけることが記載されており、該導電性合成繊維糸は、本件発明でいうところの「糸状検知剤」に対応するものである。
しかしながら、甲第3号証に記載の導電性合成繊維糸が縫い込まれた液体吸収性布は、漏水、漏液等の検知に用いられるものであり、被検知体は液体であって、液体吸収性布に被検知体である液体を吸収させることにより検出するものである。
それに対し、甲第1号証記載の発明の酸素検知剤は、脱酸素剤を被包している通気性包材に添付して一体化され、該脱酸素剤と共に梱包袋内に同封されるものであるものである。
このように、甲第1号証記載の発明と甲第3号証記載の発明とは、その適用分野及び使用状態が全く異なるものであるから、甲第1号証記載の発明と甲第3号証記載の発明とを組み合わせる動機が存在しない。
そして、本件発明は、「糸状酸素検知剤を縫い込んだ複合酸素検知剤は、通気性包材の両面から糸状酸素検知剤が見えるようになるので、梱包の際に表裏を考える必要がないという取扱い性に優れ、」という明細書記載の作用効果を奏するものである。そして、該作用・効果は、「被保存物質と共に梱包袋内に同封され、該梱包袋内の脱酸素を行う脱酸素剤と、酸素検知剤とが一体化してなる複合脱酸素剤」に特有のものであって、甲第1号証乃至甲第3号証の記載からは到底予期し得ないものである。
したがって、本件発明が、甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

IV.むすび
以上のとおりであるから、本件特許は、特許異議申立人の主張および提出された証拠方法によっては、取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
複合脱酸素剤
(57)【特許請求の範囲】
(1) 被保存物質と共に梱包袋内に同封され、該梱包袋内の脱酸素を行う脱酸素剤であって、
上記脱酸素剤の通気性包材に、糸状酸素検知剤を両面から視認できるように縫い込みにより一体化し、複合化してなることを特徴とする複合脱酸素剤。
【発明の詳細な説明】
<産業上の利用分野>
本発明は、酸素検知機能を有する複合脱酸素剤に関する。
<従来の技術>
近年、食品等の被保存物質を無酸素状態で梱包して長期間保存するため、梱包雰囲気中から酸素を選択的に除去する脱酸素剤が用いられている。そして、実際に無酸素状態で保存されているかどうかを管理するため、脱酸素剤と共に酸素検知剤が併用される。かかる酸素検知剤は、酸素の有無を肉眼で一目で判定できるよう色変化を起こすものである。
これら脱酸素剤及び酸素検知剤は被保存物質と共に梱包すればよいが、梱包の際の作業性等を向上するため、シート状の酸素検知剤を脱酸素剤に貼付した複合脱酸素剤を先に提案した(特願昭63-320395号)。
<発明が解決しようとする課題>
しかしながら、シート状の酸素検知剤を脱酸素剤に貼付して一体化する場合、シート状であるため作業性に劣り、接着剤等がかなり必要であり、その乾燥等に時間がかかり、製造効率が低いという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑み、製造効率を向上させて製造コストの低下を図ることができる複合脱酸素剤を提供することを目的とする。
<課題を解決するための手段>
前記目的を達成する本発明に係る複合脱酸素剤は、被保存物質と共に梱包袋内に同封され、該梱包袋内の脱酸素を行う脱酸素剤であって、上記脱酸素剤の通気性包材に、糸状酸素検知剤を両面から視認できるように縫い込みにより一体化し、複合化してなることを特徴とする。
本発明において、脱酸素剤とは、例えば鉄粉等の金属粉と、塩化ナトリウム等のハロゲン化金属と、水を含んだフィラーとからなる脱酸素剤成分を通気性包材に封入したものであるが、酸素を選択的に吸収するものであればその成分の種類、形態等は特に限定されず、上述したような無機系脱酸素剤の他、有機系脱酸素剤であってもよい。
また、糸状酸素検知剤とは、従来から知られている酸素検知剤成分を糸状担体に担持させたものであり、例えば、還元性糖類と、アルカリ金属化合物と、還元性糖類によって還元される色素とからなる酸素検知剤成分を例えば水溶液とし、これを吸湿性の糸状担体に担持させたものである。
ここで、還元性糖類とは、D-マンノース,D-グルコース,D-フラクトース,D-エリスロール,D-アラビノース等の単糖類、あるいはマルトース,ラクトース等の単糖類分子等をいう。還元性糖類の使用量は特に制限されないが、アルカリ金属化合物100重量部に対して0.1〜1000重量部、特に1〜200重量部が望ましい。
アルカリ金属化合物としては、ナトリウム,カリウムなどの水酸化物,炭酸化物などを例示できるが、好ましくは水酸化ナトリウム,水酸化カリウムを用いるのがよい。
還元性糖類によって還元される色素としては、メチレンブルー,ニューメチレンブルー,ラウスバイオレット,メチレングリーン等を挙げることができ、かかる色素は、アルカリ金属化合物100重量部に対して1〜200重量部用いればよい。なお、還元性糖類によって還元される色素のみを用いると、還元状態が無色となって肉眼では判定しにくい場合には、酸素の有無を肉眼でより判定し易くするために還元性糖類によって還元されない色素であるサフラニンT,フェノサフラニン等を一緒に用いるとよい。
また、吸湿性の糸状担体としては、木綿糸,毛糸,合成繊維糸等を挙げることができるが、好ましくは木綿糸が用いられる。なお、糸状担体は、使用する色素によっては白色以外の糸を用いてもよい。
本発明において使用される糸状酸素検知剤は、例えば次のようにして製造される。
還元性糖類,アルカリ金属化合物及び還元性糖類によって還元される色素(場合によっては還元性糖類によって還元されない色素を含む)の各水溶液の混合液を糸状担体に担持させた後、適当な水分含量になるまで乾燥する。このように糸状酸素検知剤に適当な水分を含有させておくのは、水分が存在しないと酸素検知剤として作用しないからである。なお、糸状酸素検知剤の水分含有量は、使用条件に応じて調節すればよいが、通常、アルカリ金属化合物100重量部に対して0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜20重量部の範囲となる。また、乾燥方法は特に限定されず、自然乾燥でもよいが、生産性を上げるためには真空乾燥を用いるのが好ましい。
このような糸状酸素検知剤を脱酸素剤の通気性包材に一体化させて複合脱酸素剤とするには、ミシン等で縫い含む方法、接着剤,糊,粘着テープ等を用いて貼着する方法など何れを採用してもよいが、縫い込む方法を採用すると最も生産性を向上することができる。また、糸状酸素検知剤を縫い込んだ複合酸素検知剤は、通気性包材の両側から糸状酸素検知剤が見えるようになるので、梱包の際に裏表を考える必要がないという効果も奏する。さらに、糸状酸素検知剤はシート状のものより取扱い性に優れ、接着剤を用いる場合にはその量が少なくてすみ、且つ粘着性テープで貼付しても剥がれにくいものである。
本発明の複合脱酸素剤は、被保存物質と共に酸素を遮断する包材に密封されると、梱包雰囲気中の酸素を吸収して無酸素状態にし、無酸素状態になると糸状酸素検知剤中の還元性糖類により色素が還元され、このときの色変化により無酸素状態が確認される。
<実施例>
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
1.0重量%メチレンブルー水溶液20重量部、3.0重量%サフラニンT水溶液40重量部、40重量%D-フラクトース水溶液50重量部及び10重量%水酸化ナトリウム水溶液20重量部を混合した酸素検知液を木綿糸に含浸させ、真空乾燥して糸状酸素検知剤を製造した。
この糸状酸素検知剤を、脱酸素剤成分を封入した直後の通気性包材の縁部に縫い込んで複合脱酸素剤とした。このときの製造速度は毎分300個であった。
比較のため、上記実施例で製造した酸素検知液をろ紙に含浸させ、真空乾燥し、シート状酸素検知剤とした。このシート状酸素検知剤を即乾燥性接着剤を用いて脱酸素剤の通気性包材に接着して複合脱酸素剤としたところ、毎分50個までしか製造できなかった。
また、このシート状酸素検知剤を粘着テープを用いて脱酸素剤に接着したところ、毎分60個までしか製造できなかった。
<発明の効果>
以上説明したように、本発明に係る複合脱酸素剤は、酸素検知剤が糸状であるので取扱い性がよく脱酸素剤と一体化する際に製造速度を高めて経済性を向上することができる。特に、ミシン等で縫い付けることができるので、製造速度を著しく高めることができ、また、この場合、複合脱酸素剤に裏表がなく梱包の手間が著しく低減される。
また、糸状酸素検知剤であるので、接着剤を用いる場合にも少量で済み且つ乾燥し易く、さらに、粘着テープによっても剥れにくいという利点もある。
 
訂正の要旨 訂正事項a
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1に「脱酸素剤の通気性包材に糸状酸素検知剤を一体化してなる」とあるのを、「被保存物質と共に梱包袋内に同封され、該梱包袋内の脱酸素を行う脱酸素剤であって、上記脱酸素剤の通気性包材に、糸状酸素検知剤を両面から視認できるように縫い込みにより一体化し、複合化してなる」と訂正する。
訂正事項b
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項2を削除する。
訂正事項c
明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書第3頁第3〜4行(特許公報第3欄第2〜4行)に「脱酸素剤の通気性包材に糸状酸素検知剤を一体化してなる」とあるのを、「被保存物質と共に梱包袋内に同封され、該梱包袋内の脱酸素を行う脱酸素剤であって、上記脱酸素剤の通気性包材に、糸状酸素検知剤を両面から視認できるように縫い込みにより一体化し、複合化してなる」と訂正する。
異議決定日 2000-11-20 
出願番号 特願平2-193814
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B01J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中野 孝一  
特許庁審判長 江藤 保子
特許庁審判官 西村 和美
野田 直人
登録日 1999-06-11 
登録番号 特許第2938523号(P2938523)
権利者 パウダーテック株式会社
発明の名称 複合脱酸素剤  
代理人 大賀 眞司  
代理人 光石 忠敬  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 田中 克郎  
代理人 光石 忠敬  
代理人 田中 康幸  
代理人 田中 康幸  
代理人 光石 俊郎  
代理人 光石 俊郎  

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