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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 E04F |
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管理番号 | 1039254 |
異議申立番号 | 異議2000-72190 |
総通号数 | 19 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2000-08-02 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-05-26 |
確定日 | 2001-05-21 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2983217号「建築用板材」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2983217号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 |
理由 |
(本件発明) 特許第2983217号(平成11年1月28日出願、平成11年9月24日設定登録)の請求項1ないし4に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明4」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものである。 (申立ての理由の概要) 申立人大平章は、下記の甲第1〜3号証を提出し、本件発明1は甲第1号証に記載された発明に基いて、本件発明2は甲第1号証および甲第2号証に記載された発明に基いて、また、本件発明3および本件発明4は甲第1〜3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるので、本件発明1ないし4の特許は、特許法第29条第2項に規定に違反してなされたものであるから、本件発明1ないし4の特許を取り消すべきものと主張している。 甲第1号証:意匠登録第972150の類似1号公報 甲第2号証:「'96-'98総合カタログ」、平成8年10月、三井木材工業株式会社、p46-47 甲第3号証:「外装材'97-'98総合カタログ」、松下電工株式会社、p84 (申立人が提出した甲各号証記載の発明) 甲第1号証には、「建築用壁板」に係る意匠が記載されており、その図面の記載から見て「任意長の模様ブロックを横に並べた模様ブロック列を目地溝を介して上端から一列目に幅狭模様ブロック列、二列目に幅広模様ブロック列、三列目と四列目は幅狭模様ブロックと幅広模様ブロックが混在してなるブロック列の順に上下に配列した化粧面を有する建築用壁板であって、三列目の模様ブロック列の上側の目地溝は横一線に揃えられ、三列目の模様ブロック列の下側目地溝は任意長さごとに上下にずらすことによって不揃いにされている建築用壁板」が記載されていると認められる。 甲第2号証には、その第46頁〜第47頁に「外装材センチュリーボードAII」に関して記載されており、その写真から見て「任意長の模様ブロックを横に並べた模様ブロック列を目地溝を介して上下に配列した化粧面を有する外装材であって、ブロック列の上側目地溝は横一線に揃えられ、任意の模様ブロック間には、凹陥模様ブロックが介在している外装材」が記載されていると認められる。 外装材のカタログである甲第3号証には、その第84頁の写真及び左下の図面の記載並びに当業者の技術常識から見て「任意長の模様ブロックを横に並べた模様ブロック列を目地溝を介して上下に配列した化粧面を有する外装材であって、模様ブロック列の下側目地溝は任意長さごとに上下にずらすことによって不揃いにされており、施工した際に、相互に接合される下段の外装材の化粧面上端縁と上段の外装材の化粧面下端縁とによって、模様ブロック列の目地溝が形成される外装材」が記載されていると認められる。 (本件発明1について) そこで、本件発明1と甲第1号証に記載の発明とを対比すると、両者は「任意長の模様ブロックを横に並べた模様ブロック列を目地溝を介して上下に配列した化粧面を有する建築用板材であって、一部の模様ブロック列の上側目地溝は横一線に揃えられ、その一部の模様ブロック列の下側目地溝は任意長さごとに上下にずらすことによって不揃いにされていることを特徴とする建築用板材」の点で一致し、幅広模様ブロック列と幅狭模様ブロック列を、本件発明1では、上下交互に配列し、その幅狭模様ブロック列の上側目地溝は横一線に揃えられ、幅狭模様ブロック列の下側目地溝は任意長さごとに上下にずらすことによって不揃いにされているのに対し、甲第1号証記載の発明では、そのような構成を有していない点で相違する。 上記相違点について検討する。 特許異議申立人が提出した甲第2号証および甲第3号証のいずれにも、模様ブロック列を目地溝を介して上下に配列した化粧面を有する外装材は記載されているが、上記相違点に係る本件発明1の構成である、幅広模様ブロック列と幅狭模様ブロック列を上下交互に配列し、その幅狭模様ブロック列の上側目地溝は横一線に揃えられ、幅狭模様ブロック列の下側目地溝は任意長さごとに上下にずらすことによって不揃いにされている点については、記載も示唆もされていない。そして、この点が自明な事項ともいえないから、本件発明1は、甲各号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明できたものではない。したがって、本件発明1の特許は、特許異議申立ての理由及び証拠によっては取り消すことができない。 なお、申立人は、甲第1号証記載のものにおいて、一列目のブロック列を幅狭模様ブロック列、二列目〜四列目のブロック列を幅広模様ブロック列に相当するとして、甲第1号証記載のものも、幅狭模様ブロック列と幅広模様ブロック列が上下交互に配列するものであると述べているが、本件発明1において、幅狭模様ブロック列は上側目地溝は横一線、下側目地溝は上下にずれているものであるから、上記ブロック列の認定は認められない。 さらに、申立人は、上下にずらすことによって不揃いにされているものが、幅狭模様ブロック列の下側目地溝であろうと、幅狭模様ブロック列の下側に位置する幅広模様ブロック列の目地溝であろうと、同じ効果が得られると述べているが、本件発明1は、幅狭模様ブロックの下側目地溝を上下にずらすことによって、建築用板材は一般に斜め下から見られ、幅広模様ブロック列と幅狭模様ブロック列とが上下交互に配列された化粧面において、幅狭模様ブロック列の下側目地溝は上側目地溝より目立つものであり、目立つ側の下側目地溝が、任意長さごとに上下にずらすことによって不揃いにされるため、不揃い感が強調されており、その一方で、上側目地溝が横一線に揃えられているため、ある程度均整感が付与され、その結果、建築用板材の化粧面は、不揃い感と均整感のバランスがとれた面白味のある自然観に富んだ意匠となるという、明細書(段落【0006】参照)記載の顕著な効果を有するものである。 (本件発明2〜4について) 本件発明2〜4は、本件発明1を更に限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、上記甲各号証に記載の発明から当業者が容易に発明できたものではない。 (むすび) したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1ないし4についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1ないし4についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2001-04-26 |
出願番号 | 特願平11-19209 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(E04F)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 七字 ひろみ |
特許庁審判長 |
田中 弘満 |
特許庁審判官 |
鈴木 憲子 蔵野 いづみ |
登録日 | 1999-09-24 |
登録番号 | 特許第2983217号(P2983217) |
権利者 | ニチハ株式会社 |
発明の名称 | 建築用板材 |
代理人 | 宇佐見 忠男 |