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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B29C
管理番号 1039290
異議申立番号 異議2000-74346  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-10-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-11-29 
確定日 2001-05-16 
異議申立件数
事件の表示 特許第3069968号「ホースの製造方法およびその装置」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3069968号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 1.本件特許第3069968号の発明〔平成3年3月28日出願、平成12年5月26日設定登録(請求項の数2)〕は、特許明細書の記載からみて、その特許請求の範囲請求項1、2に記載されたとおりのものと認める。
2.特許異議申立人は、甲第1号証(特開昭57-93132号公報)、甲第2号証(特開平1-190437号公報)、甲第3号証〔実願昭63-169316号(実開平2-88713号公報)のマイクロフィルム〕、甲第4号証(米国特許第3255284号明細書)、甲第5号証(マツイホッパードライヤーのカタログ、1987年6月2日 株式会社松井製作所発行)及び甲第6号証(「JIS工業用語大辞典 第3版」、1991年11月20日 (財)日本規格協会発行)を提出して、請求項1、2に係る発明は、甲第1〜6号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は取り消されるべきであると主張している。
3.甲第1号証には、未加硫のゴムホースを耐熱性樹脂で被覆して加硫する工程を含むゴムホースの製造方法(特許請求の範囲第1項)、押出機によって耐熱性樹脂を被覆した未加硫のゴムホースを、上記被覆工程の後位に設置した加硫層に導いて連続的に加硫する工程を含むゴムホースの製造方法(同第2項)が記載され、「本発明に使用する耐熱性樹脂は、・・・ゴムとの接触においても配合物からの移行がないことが希ましい。そして、熱履歴による劣化も少なく、かつ剥離後に粉砕して反覆使用できる再生可能な樹脂を用いるときは、そのランニングコストを低減できる。実施例においては、4-メチルペンテン-1をベースとするポリオレフィン(市販品)を使用し、」(第2頁左下欄第15行〜右下欄第9行)との記載がなされ、
甲第2号証には、曲がりホースの製造方法の発明(特許請求の範囲参照)が記載され、「[実施例]・・・。この長尺状の未加硫ゴムホースの外表面に、押出し方法により、樹脂を密着させながら被覆して、樹脂被覆層を形成し、長尺状樹脂被覆層付未加硫ゴムホースを製作した。・・・。次いでこの加硫された曲状樹脂被覆層付ゴムホースから樹脂被覆層を除去した。この除去の手段としては冷却されて固形状態となった樹脂被覆層をハンマー等で叩き割って樹脂被覆層を除去した。この樹脂被覆層は加熱して再利用することができる。・・・。本実施例の製造方法によれば、樹脂被覆材質としてポリメチルペンテンを用いており、」(第2頁左上欄第19行〜右下欄第18行)との記載がなされ、
甲第3号証には、(イ)外周面を熱可塑性樹脂にて被覆された状態で加硫されたホースを軸心方向に連続的に搬送するホース搬送手段と、(ロ)該ホースの搬送路上に配置され、切込刃によってホースを被覆している樹脂に連続的に切込みを入れる切込装置と、(ハ)・・・切込の入れられた被覆樹脂を、ホースの搬送とともに連続的に引き裂いて該ホースより剥離する引裂装置と、(ニ)該引裂装置により剥離された樹脂テープを連続的に粉砕機内部に送り込んでペレット状に粉砕する粉砕装置と、(ホ)該粉砕装置によりペレット状化された樹脂を、ホースに対する樹脂被覆装置へと回送する回送手段と、を有することを特徴とするホース被覆樹脂の連続剥離再生利用装置(実用新案登録請求の範囲)が記載され、「この考案は、ホース加硫のためにその外表面を被覆した樹脂を、加硫後においてホースより剥離するとともに再生利用するための装置に関する。」(第2頁第5〜7行)との記載がなされ、
甲第4号証には、硬化できるエラストマー素材からホースをつくる方法であって、・・・、該ホースに溶融ナイロンを被覆する段階と、・・・該ホースを硬化させる段階とを含んで構成されることを特徴とする方法(請求項6)、請求項6に記載の方法であって、さらに、当該方法で再利用するために、硬化させたホースから前記の硬いナイロンのシースを取り外し、このようにして取り外された硬いナイロンを再融解する段階を含んで構成されることを特徴とする方法(請求項7)が記載され、「上記のように再利用するために、これらのリールから帯を取り外して、乾燥させ、粒状にすることもできる。」(第2欄第31〜32行)との記載がなされ、
甲第5号証には、マツイホッパードライヤーの特徴、樹脂の標準乾燥条件などが記載され、
甲第6号証には、ホッパー、ホッパードライヤーの意味が記載されていることが認められる。
4.請求項1に係る発明と甲第1〜6号証に記載のものとを対比すると、後者には、前者の構成要件である「剥離除去されたポリメチルペンテン樹脂を、加熱して内部の揮発性成分を蒸発除去した後に、」再度使用することの記載、またはこれを示唆する記載はなされていないものと認められる。
特許異議申立人は、甲第1号証における「本発明に使用する耐熱性樹脂は、・・・ゴムとの接触においても配合物から移行がないことが希ましい。」との記載をもって、請求項1に係る発明の前記構成事項が示唆されていると主張しているが、前記記載は、使用する耐熱性樹脂の好ましい性状を示したに過ぎず、当該樹脂に移行した成分を蒸発除去して再使用することを示唆するものとは認められないから、前記主張は採用することができない。
次に、請求項2に係る発明と甲第1〜6号証に記載のものとを対比すると、後者には、前者の構成要件であるポリメチルペンテン樹脂で被覆するための樹脂押出機に「ホッパを付設し、該ホッパに加熱手段を配置し」たことの記載ないし示唆はなされていないものと認められる。
また、前記甲号証には、ポリメチルペンテン樹脂で押出し被覆するに際して加熱乾燥処理を要することの記載も、ポリメチルペンテン樹脂が吸湿性であることの記載もなされていないものと認められるので、加熱手段を備えたホッパードライヤー自体が公知であっても(甲第5、6号証参照)、これをポリメチルペンテン樹脂で被覆するための樹脂押出機に適用して請求項2に係る発明の前記構成を得ることは、当業者において容易に想到し得るものであるということはできない。
そして、請求項1、2係る発明は、それぞれ前記事項を構成要件とすることにより、明細書に記載されたとおりの効果を奏し得たものと認められるから、請求項1、2に係る発明は、甲第1〜6号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
5.また、他に請求項1、2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2001-04-24 
出願番号 特願平3-64273
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B29C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 滝口 尚良  
特許庁審判長 高梨 操
特許庁審判官 石井 克彦
仁木 由美子
登録日 2000-05-26 
登録番号 特許第3069968号(P3069968)
権利者 横浜ゴム株式会社
発明の名称 ホースの製造方法およびその装置  
代理人 野口 賢照  
代理人 小川 信一  
代理人 斎下 和彦  

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