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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G04B
管理番号 1039386
異議申立番号 異議2000-74567  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-03-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-12-26 
確定日 2001-06-04 
異議申立件数
事件の表示 特許第3056400号「表示盤」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3056400号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.本件発明
特許第3056400号(平成7年9月13日出願、平成12年4月14日設定登録。)の請求項1及び2に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2.申立ての理由の概要
申立人セイコークロック株式会社は、証拠として甲第1号証(QUEMEXのカタログ)、甲第2号証(特開平7-11250号公報)及び甲第3号証(特開平7-77585号公報)を提出し、請求項1及び2に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許を取り消すべき旨主張している。
3.申立人が提出した各甲号証記載の発明
ア)申立人が提出した甲第1号証(QUEMEXのカタログ)には、中央部に「Q LIGHTは、・・・短時間で光を吸収し、暗くなると、長時間光り続けます。従来の夜光を超えたQ LIGHTにより、ぽっかりと浮かび上がる絵や模様。」と記載され、下部中央には、「Q LIGHTは光を短時間(約30分間)で吸収して蓄え、暗い中で長時間・・・光を放ちます。」と記載されている。
また、甲第1号証の商品番号XSL168Jの時計の写真には、青色の背景色を有する文字盤に星及び星座が描かれ、その右上方には、黒色の円の中に星の模様が黄緑で描かれていることがみてとれる。
イ)申立人が提出した甲第2号証(特開平7-11250号公報)には、「MAl2O4で表される化合物で、Mは、カルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の金属元素からなる化合物を母結晶にしたことを特徴とする蓄光性蛍光体」(第1欄 特許請求の範囲 請求項1)と、また、「賦活剤としてユウロピウムを、Mで表す金属元素に対するモル%で0.001%以上10%以下添加したことを特徴とする請求項1または2記載の蓄光性蛍光体」(第1欄 特許請求の範囲 第3項)と、また、「一般に蛍光体の残光時間は極めて短く、外部刺激を停止すると速やかにその発光は減衰するが、まれに紫外線等で刺激した後その刺激を停止した後もかなりの長時間(数10分〜数時間)に渡り残光が肉眼で認められるものがあり、これらを通常の蛍光体とは区別して蓄光性蛍光体あるいは燐光体と呼んでいる」(第1欄第34行から第39行目)と記載されている。
この記載事項によると、甲第2号証には、「金属酸化物系焼結材に希土類元素を添加した蓄光材」が記載されている。
ウ)申立人が提出した甲第3号証(特開平7-77585号公報)には、「透明な板の裏面には、蓄光塗料がベタ塗りしてあり、上記板の表面には、上記蓄光塗料と異なる色の遮光性インクによって数字または記号または目盛等の指標が形成してあることを特徴とする蓄光塗料表示盤」(第1欄 特許請求の範囲 請求項1)と記載されている。
この記載事項によると、甲第3号証には、「地板の所定の位置に指標が形成された表示盤」が記載されている。
4.対比・判断
(1)請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明と申立人が提出した各甲号証記載の発明とを対比すると、当該刊行物のいずれにも「蓄光材が、地板の略全体に亘って当該地板の地色を含む地模様を形成するように散点状に均一な密度で塗布されている表示盤」(以下構成Bという。)が記載されていない。したがって、本件請求項1記載の発明は、上記甲各号証に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明を更に限定したものであるから、上記請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により、上記甲各号証に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5.申立人の主張について
申立人は、「甲第1号証のような星座を表現している夜光時計では、イエローの蓄光材が地板の略全体に亘ってこの地板の地色(ブルー)を含む地模様を形成するように散点状に均一な密度で塗布されている」(特許異議申立書第6頁第21行から第24行目)と、また、「散点状に均一な密度で塗布されている」点については、さらに検討して本件特許の「従来技術」及び「発明が解決しようとする課題」の記載を理由として、甲第1号証に示す星空模様は、表現されている星座に多少の粗密があったとしても、構成要件B(構成B)の「蓄光材が、地板の略全体に亘って当該地板の地色を含む地模様を形成するように散点状に均一な密度で塗布されている」構成に該当している(特許異議申立書第9頁第5行から同第10頁第10行目)と主張している。
しかしながら、甲第1号証に示されている商品番号XSL68Lの星の模様は、星座を表すものであるから、「均一な密度で」描かれたものではない。また、単に青色の背景色を有する文字盤に星及び星座が描かれているものであって、星は均一な密度で描かれているわけではなく、また文字盤に密に描かれているわけでもない。そして、「地」とは、「加工する前の材料や土台。紙・布などの模様のない部分。」(広辞苑)であるから、「地模様」とは、模様がないように見える材料に付けられた細かい模様と解することが出来る。しかし、甲第1号証の星は、背景の模様として描かれているものではなく、表示したい模様それ自体であるから、これを「地板の地色を含む地模様」ということはできない。よって、申立人の上記主張は採用することができない。
6.むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1及び請求項2に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1及び請求項2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2001-05-08 
出願番号 特願平7-235719
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 太田 恒明  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 三輪 学
山川 雅也
登録日 2000-04-14 
登録番号 特許第3056400号(P3056400)
権利者 リズム時計工業株式会社
発明の名称 表示盤  
代理人 松田 和子  

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