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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1040391 |
審判番号 | 審判1997-18537 |
総通号数 | 20 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-10-29 |
確定日 | 2001-07-02 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第107472号「オペレーティング・システム環境の起動方法およびシステム」拒絶査定に対する審判事件〔平成 6年11月25日出願公開、特開平 6-324849、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明の要旨 本願は、平成6年4月25日(パリ条約による優先権主張1993年4月26日、アメリカ合衆国)の出願であって、その発明の要旨は、手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載されたとおりの次のものと認める。 「【請求項1】オペレーティング・システムの初期化を行う際に必要なファイルの識別情報を有するブート・ボリュームであって、該ブート・ボリュームは、該ブート・ボリュームと関連付けられたファイルを検索するためにスタート・ポイントを位置づけるファイル・アンカーと、該ファイル・アンカーと関連付けられており、おのおのが上記ブート・ボリュームと関連付けられているファイル識別子を含むファイルヘッダと、記憶装置内の連続データ・ブロックを識別する複数のブロック・リスト・エレメントであって、ファイルを構成するデータ構造が、少なくとも1つの該ブロック・リスト・エレメントを用いて識別かつアクセスされ得ることを特徴とするブロック・リスト・エレメントとを含み、そのデザインおよびレイアウトが、ロードされるべきオペレーティング・システム環境のファイル・システムから独立しているブート・ボリュームと、上記ブート・ボリュームを用いて、カーネルをロードし、メモリに上記ブート・ボリュームにより指定される、オペレーティング・システムの初期化に必要な複数ファイルをロードする手段と、物理メモリのレイアウトを示すメモリ・マップ情報を上記カーネルに送信するための送信手段と、を具備するデータ処理システム。 【請求項2】上記ブート・ボリュームによりロードされるために、ブート・ストラップ・タスクが識別され、上記ロードする手段がメモリに上記ブート・ストラップ・タスクをロードし、さらに、該ブート・ストラップ・タスクから上記カーネルへデータを送信する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理システム。 【請求項3】マスター・サーバをロードする前に、初期化タスクを上記ブート・ストラップ・タスクがロードすることを特徴とする請求項2に記載のデータ処理システム。 【請求項4】正式なシステム・レベルの機能がメモリにロードされるまで、上記ブート・ストラップ・タスクが基本的なデバイス・ドライバーとして作動することを特徴とする請求項3に記載のデータ処理システム。 【請求項5】オペレーティング・システムの初期化を行う際に必要なファイルの識別情報を有するブート・ボリュームであって、該ブート・ボリュームは、該ブート・ボリュームと関連付けられたファイルを検索するためにスタート・ポイントを位置づけるファイル・アンカーと、該ファイル・アンカーと関連付けられており、おのおのが上記ブート・ボリュームと関連付けられているファイル識別子を含むファイルヘッダと、記憶装置内の連続データ・ブロックを識別する複数のブロック・リスト・エレメントであって、ファイルを構成するデータ構造が、少なくとも1つの該ブロック・リスト・エレメントを用いて識別かつアクセスされ得ることを特徴とするブロック・リスト・エレメントとを含み、そのデザインおよびレイアウトが、ロードされるべきオペレーティング・システム環境のファイル・システムから独立しているブート・ボリュームをメモリに位置づけるステップと、上記ブート・ボリュームを用いて、カーネルをロードし、メモリに上記ブート・ボリュームにより指定される、オペレーティング・システムの初期化に必要な複数ファイルをロードするステップと、物理メモリのレイアウトを示すメモリ・マップ情報を上記カーネルに送信するステップと、を具備するオペレーティング・システムの稼動を初期化するための方法。」(以下、「本願発明」という。) 2.原査定の拒絶の理由の概要 これに対して、原査定の拒絶の理由の概要は、本願発明は、本願出願前に頒布された中島信幸著「別冊インターフェース MSーDOS完全活用法」(1991-3-15)CQ出版株式会社 p10-24(以下、「引用例1」という。)、RAY DUNCAN著、福崎俊博訳「プログラミングOS/2(I)カーネル・プログラム編」(1990-4-11)株式会社アスキー p13-29、p351-423(以下、「引用例2」という。)及びJanet I.Egan、Thomas J.Teixeira著野中浩一、大西照代訳「UNIXデバイスドライバ」(1989-11-21)株式会社アスキー p413(以下、「引用例3」という。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというにある。 3.引用例 引用例1には、〔図1.6 〕に、リセットからMSーDOSがたちあがるまでの開示があり、「ROMの処理として、ブート・セクタを読み込み、次にそのブート・セクタの処理として、IO.SYSとMSDOS.SYSを連続してメモリに読み込んでIO.SYSに制御を移す。また、IO.SYSの初期化の後、システムの初期化(SYSINIT)として、MSDOS.SYSの初期化処理がコールされ、CONFIG.SYSの登録処理がなされる。MSDOS.SYSは、カーネルと呼ばれ、すべての機種で同一である。そして、次にシェルと呼ばれるCOMMAND.COMを実行して、CONFIG.SYSのSHELLコマンドのオプション・パラメータの処理や、バッチ・ファイルの起動を行うこと」との記載があり、〔図1.8〕に、MSーDOS 2HD(1.2Mバイト)ディスク・フォーマットの開示がある。 引用例2には、「ROMのブートストラップは、ディスクのブートストラップをフロッピーディスクかハードディスクからメモリ中に読み込む。・・・・・・読み込みが成功すると、ROMのブートストラップは制御をディスクのブートストラップに移行させる(Figure2-6)。・・・・・・ディスクのブートストラップは、このテーブルBPBを使ってルートディレクトリの位置を計算し、OS2LDRというファイルがディレクトリにあるか検索する。OS2LDRが見つかると、それはメモリ中に読み込まれ、制御を渡される(Figure2-7)。・・・・・最後にOS2LODはOS2KRNLに制御を渡し、システムメモリマップなどのシステム構成情報を伝達する(Figure2-8)。・・・・・・システム初期化モジュール(SysInit)は、OS2KRNLが最初に実行を開始したときに呼び出される。・・・・・・次にSysInit は、ブートディスクのルートディレクトリからCONFIG.SYSファイルをメモリ中に読み込む。・・・・・・このファイルから明らかになったハードウエア構成に基づいて、SysInit はデバイスドライバの基本セットをロードする。」との記載がある。 引用例3には、「4.3BSDは各種のネットワーク接続形態による、ほかのコンピュータシステムとの通信をサポートしている。プログラムはネットワークインターフェイスに対して直接readや、write などの呼び出しを行わずに、ネットワークインターフェイス上にデータの送信ができるソケットに対してこれらの呼び出しを行う。」との記載がある。 4.対比・判断 そこで、本願の請求項1乃至5係る発明と上記引用例1〜3に記載のものとを対比する。 本願の請求項1乃至5に係る発明は、「・・・・・ブート・ボリュームは、該ブート・ボリュームと関連付けられたファイルを検索するためにスタート・ポイントを位置づけるファイル・アンカーと、該ファイル・アンカーと関連付けられており、おのおのが上記ブート・ボリュームと関連付けられているファイル識別子を含むファイルヘッダと、記憶装置内の連続データ・ブロックを識別する複数のブロック・リスト・エレメントであって、ファイルを構成するデータ構造が、少なくとも1つの該ブロック・リスト・エレメントを用いて識別かつアクセスされ得ることを特徴とするブロック・リスト・エレメントとを含み・・・・・・上記ブート・ボリュームを用いて、カーネルをロードし、メモリに上記ブート・ボリュームにより指定される、オペレーティング・システムの初期化に必要な複数ファイルをロードする・・・・・」ようにした構成を有するものであるが、上記引用例1〜3のいずれにも上記構成は記載されていないし、また、上記構成は、上記引用例1〜3に記載の事項から容易に想到し得るものでもない。 そして、本願の請求項1乃至5に係る発明は、該構成を有することにより、ROMブートの終了から、最初のオペレーティング・システム環境の標準的な初期化の実行までの連続的な手順の全てに対処できるブートストラップのアーキテクチャが求まるという明細書に記載されたとおりの効果を奏するものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、上記引用例1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2001-06-14 |
出願番号 | 特願平6-107472 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田川 泰宏、川崎 優 |
特許庁審判長 |
松野 高尚 |
特許庁審判官 |
吉見 信明 大橋 隆夫 |
発明の名称 | オペレーティング・システム環境の起動方法およびシステム |
代理人 | 坂口 博 |
代理人 | 市位 嘉宏 |