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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02K |
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管理番号 | 1040429 |
審判番号 | 審判1999-11157 |
総通号数 | 20 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-11-12 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-07-13 |
確定日 | 2001-05-23 |
事件の表示 | 平成 3年特許願第 90435号「モータの鉄心及び固定子」拒絶査定に対する審判事件[平成 4年11月12日出願公開、特開平 4-322142]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯、本願発明の要旨 本願は、平成3年4月22日の出願であって、その発明要旨は手続補正書によって補正された明細書の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものと認められる。そして、請求項1は以下のとおりである。 「鉄心板を積層して形成される4極のDCブラシレスモータにおける6スロットの固定子の鉄心において、 鉄心板のリング部に周方向に間隔をあけて複数のティース部を配置し、 前記各ティース部は、 リング部の内周部から半径方向内方に向けて延びる第1支持基部と、 第1支持基部の先端に連なり周方向に沿って両側に延びる一対の第1保持部と、 一対の第1保持部の各先端から半径方向外方にそれぞれ延びる第2支持基部と、 各第2支持基部先端から相互に近接方向に延び遊端部は間隔をあけて構成される一対の第2保持部とを備え、 一のコイルを一つの第1支持基部に巻回した場合に、リング部の内周部と第1保持部との間に一のコイルの収納空間を形成し、 他のコイルを隣接するティース部の第2支持基部の間に巻回した場合に、第1保持部と第2保持部との間に他のコイルの収納空間を形成することにより、 他のコイルと一のコイルを第1保持部によって独立させて絶縁可能にした ことを特徴とするモータの鉄心。」 2.引用刊行物 これに対して、原審での拒絶の理由となった本願出願日前の出願である特願平3-74900号(特許2961333号)の特許請求の範囲請求項1は以下のとおりである。 「複数枚のリング状の鉄心板を積重ねて形成され、主コイルと補助コイルを巻回するためのモータの固定子の鉄心であって、 鉄心板の外周部を構成するリング部の周方向に等間隔に半径方向内方に向けて延びる複数のティース部を有し、 前記ティース部は、 リング部の内周部から半径方向内方へ延びる支持基部と、 支持基部の先端部から両側に略周方向に延びる一対の連結片と、 一対の連結片の先端部から略半径方向内方にそれぞれ延びる一対の延伸部と、 一対の延伸部の先端部から周方向に沿い相互に近接する方向に延びる一対の対向部とを有し、 補助コイルを一つの支持基部に巻回した場合に、リング部の内周部と連結片との間に補助コイルの収納空間を形成し、 主コイルを隣接するティース部の延伸部の間に巻回した場合に、連結片と対向部との間に主コイルの収納空間を形成することにより、 主コイルと補助コイルを連結片によって独立させて絶縁可能にした ことを特徴とするモータの鉄心。」 3.対比・判断 本願請求項1記載のもの(以下「前者」と言う)と先願の請求項1に係る発明(以下「後者」と言う)を比較すると、前者の「第1支持基部」「第1保持部」「第2支持基部」「第2保持部」「一のコイル」及び「他のコイル」は各々後者の「支持基部」「連結片」「延伸部」「対向部」「補助コイル」及び「主コイル」に相当する。よって両者は 「鉄心板を積層して形成されるスモータの固定子の鉄心において、 鉄心板のリング部に周方向に間隔をあけて複数のティース部を配置し、 前記各ティース部は、 リング部の内周部から半径方向内方に向けて延びる第1支持基部と、 第1支持基部の先端に連なり周方向に沿って両側に延びる一対の第1保持部と、 一対の第1保持部の各先端から半径方向外方にそれぞれ延びる第2支持基部と、 各第2支持基部先端から相互に近接方向に延び遊端部は間隔をあけて構成される一対の第2保持部とを備え、 一のコイルを一つの第1支持基部に巻回した場合に、リング部の内周部と第1保持部との間に一のコイルの収納空間を形成し、 他のコイルを隣接するティース部の第2支持基部の間に巻回した場合に、第1保持部と第2保持部との間に他のコイルの収納空間を形成することにより、 他のコイルと一のコイルを第1保持部によって独立させて絶縁可能にした ことを特徴とするモータの鉄心。」である点で一致し、鉄心板を積層して形成される固定子の鉄心に関して、前者は「4極のDCブラシレスモータにおける6スロットの固定子の鉄心」としているのに対して、後者ではモータの形式は特定していない点で形式的に相違する。 上記相違点を検討する。先願発明の請求項1のモータの鉄心は、「複数枚のリング状の鉄心板を積重ねて形成され、主コイルと補助コイルを巻回するモータの固定子の鉄心であって(明細書【0005】【課題を解決するための手段】)」、モータの形式を問わないことは明かであり、また、6スロットの固定子を有する4極のDCブラシレスモータは先願発明の出願前に広く用いられいた形式のものである。してみれば、先願の請求項1に係る発明が前記ブラシレスモータを含むものであることは明かである。 本件において、「4極のDCブラシレスモータにおける6スロットの固定子の鉄心」としたことの効果に関して、審判請求人は「界磁極の磁極片にあたる第2保持部の周方向への広がりが120度となり従来の鉄心の磁極片の広がりの60度の約2倍となりこれにより鉄心と回転子のマグネットの利用率が飛躍的に上昇します。引用例の中にはそのような記載がなくまた引用例のモー夕は6つの極を有するものてあり本願発明とはその構成が異なっています。」としている。しかし、先願発明において、主コイル及び補助コイル数を各々3、即ちスロット数を6とした時、延伸部の周方向への広がりは120度となる。審判請求人が主張はする効果は先願発明の一つの形態が持つ当然の効果を述べるものであり、本件の「4極のDCブラシレスモータにおける6スロットの固定子の鉄心」は先願発明に無意味な限定を付したにすぎないものと認められる。 4.結び 以上のとおり、本願の特許請求の範囲請求項1に記載された発明は、本願出願日前に係る発明に無意味な限定を付したものにすぎない。よって、本願は特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない。 よつて、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-03-08 |
結審通知日 | 2001-03-21 |
審決日 | 2001-04-04 |
出願番号 | 特願平3-90435 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H02K)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小川 恭司 |
特許庁審判長 |
大森 蔵人 |
特許庁審判官 |
菅澤 洋二 槙原 進 |
発明の名称 | モータの鉄心及び固定子 |
代理人 | 蔦田 璋子 |
代理人 | 富田 克幸 |
代理人 | 中村 哲士 |
代理人 | 蔦田 正人 |