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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1040720
審判番号 審判1999-9858  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-10-01 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-06-23 
確定日 2001-07-17 
事件の表示 平成 2年特許願第 16025号「システム間データベース共用方式」拒絶査定に対する審判事件〔平成 3年10月 1日出願公開、特開平 3-222048、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 (1)手続の経緯・本願発明
本願は、平成2年1月29日の出願であって、その請求項1乃至2に係る発明は、平成11年7月23日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至2に記載された次のとおりのものである。
「1.第1のデータを管理する第1の管理部と、第2のデータを管理する第2の管理部との間で前記第1のデータと前記第2のデータとを共用するデータベース管理方法であって、前記第1の管理部又は前記第2の管理部から前記第2のデータを更新する場合は、前記第2の管理部の前記第2のデータに対する排他制御に従って前記第2のデータを更新し、前記第1の管理部又は前記第2の管理部から前記第1のデータを更新する場合は、前記第1の管理部の前記第1のデータに対する排他制御に従って前記第1のデータを更新し、前記第1の管理部から前記第2のデータを検索する場合は、前記第2のデータに対する排他制御を受けることなく前記第2のデータを参照し、前記第2の管理部から前記第1のデータを検索する場合は、前記第1のデータに対する排他制御を受けることなく前記第1のデータを参照することを特徴とするデータベース管理方法。
2.第1のデータを管理する第1の管理部と、第2のデータを管理する第2の管理部との間で前記第1のデータと前記第2のデータとを共用するデータベース管理システムであって、前記第1の管理部は、入力した更新要求に従い前記第1のデータを更新する第1のデータ更新手段と、前記第1のデータを更新する場合、前記第1のデータ更新手段を制御して前記第1のデータに対する排他制御を行う第1の排他制御手段と、前記第2のデータを更新する場合、前記第2のデータの更新要求を前記第2の管理部へ送る第1のデータ更新要求手段とを備え、前記第2の管理部は、入力した更新要求に従い前記第2のデータを更新する第2のデータ更新手段と、前記第2のデータを更新する場合、前記第2のデータ更新手段を制御して前記第2のデータに対する排他制御を行う第2の排他制御手段と、前記第1のデータを更新する場合、前記第1のデータの更新要求を前記第1の管理部へ送る第1のデータ更新要求手段とを備え、前記第1の管理部は更に、入力した検索要求に従い前記第2のデータを検索する場合、前記第1の排他制御手段及び前記第2の排他制御手段の制御を受けることなく検索する第1のデータ検索手段とを備え、前記第2の管理部は更に、入力した検索要求に従い前記第1のデータを検索する場合、前記第1の排他制御手段及び前記第2の排他制御手段の制御を受けることなく検索する第2のデータ検索手段とを備えたことを特徴とするデータベース管理システム。」

(2)原査定の理由
原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1、2に係る発明が、特開昭62-140159号公報、特開昭63-120349号公報、特開昭63-200244号公報及び特開平1-213729号公報(以下、引用例1乃至4という。)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
以下、各引用例には次の発明が記載されている。
(ア)引用例1
複数のCPUによってデータが共用されているマルチプロセッサシステムにおいて、該共用されているデータのロック管理を集中して行うゼネラル・ロック・マネージャと、複数グループのユーザ・タスク・グループに対応して設けられ、対応したユーザ・タスク・グループのタスクから直接ロック要求を受けとるローカル・ロック・マネージャを設け、任意のロック・モードaがかけられているデータに対する別のロック・モードaの獲得が認められるという性質を持つロック・モードを選択して、ある任意のロック資源に対するこのモードのロック獲得、開放要求を行う場合、上記ゼネラル・ロック・マネージャに送ることなく、その要求を上記ユーザ・タスク・グループの中のタスクから直接受け取ったローカル・ロック・マネージャ内で処理することを特徴とするロック方式。
(イ)引用例2
ファイルデータを格納する半導体記憶装置、あるいは上位装置とのデータ転送経路中に設けられるキャッシュ装置と、該半導体記憶装置あるいはキャッシュ装置とのデータ転送を複数の経路を介して行う制御装置とを有する外部記憶サブシステムにおいて、該制御装置内に、入出力命令で使用するデータ群の範囲とリード/ライト情報と該入出力命令の経路とを登録、削除するためのテーブルを格納するディレクトリメモリを設け、上位装置から既に入出力命令を実行中の同一記憶装置に対し、他の経路により入出力命令が発行されたとき、上記ディレクトリメモリのテーブルをサーチして、指示された情報と入出力命令実行中の登録された情報とを比較し、入出力命令の継続を許可するか否かを判定することを特徴とするファイル多重制御方式。
(ウ)引用例3
クライアント・ノードにあるクライアント処理システムで実行されるプロセスがサーバ・ノードにあるサーバ処理システム内のファイルをアクセスするためのシステムであって、サーバノードにおいてアクセス対象となったファイルのデータ・ブロックをキャッシングするための、サーバ処理システム内にあるサーバキャッシュと、クライアント・ノードにおいてサーバ・キャッシュから来るデータ・ブロックをキャッシングするための、クライアント処理システム内にあるクライアント・キャッシュと、クライアント処理システムで実行されるプロセスがサーバ・ノードにあるファイルをアクセスする際に、サーバ・キャッシュとクライアント・キャッシュの両方を使用するモードにあるのか、それともサーバ・キャッシュは使用するけれどもクライアント・キャッシュは使用しないモードにあるのかを、アクセス対象のファイルのオープンの状況及び該ファイルを含むデバイスのオープンの状況に基づいて決定する手段と、上記手段の決定に従って、クライアント処理システム内でのクライアント・キャッシュの使用を管理する手段を備えたことを特徴とするファイル・アクセス・システム。
(エ)引用例4
複数の処理部がファイルを共用するシステムにおける共用ファイルの排他制御方式であって、該処理部には、前記ファイルの所定レコードを読取り更新レコード情報を作成してファイルの更新を依頼するとき該更新レコード情報とともに前記読取った所定レコード番号とその更新前のレコード内容とを通知し、更新依頼に対応して更新不可指示と現レコード内容とが応答されたとき該現レコード内容に基づき再処理せしめるファイル管理部を設け、該ファイルを制御するファイル制御部には、前記通知されたレコード番号に基づきファイルの現レコード内容を読取るとともに前記通知された更新前のレコード内容とを比較し一致したとき通知された前記更新レコード情報に基づき更新処理を行い不一致のときは更新不可指示とともに該現レコード内容を該処理部に応答する更新処理部と、該更新処理部が前記更新処理を実行している期間他の処理部からのファイルアクセスを禁止する排他制御部とを設け、更新処理対象レコードの内容を読取り時と更新処理時とで比較し不一致のときは現レコード内容を通知して再処理を指示する前記更新処理により排他制御を行うことを特徴とする共用ファイルの排他制御方式。

(3)引用例との対比・判断
本願の請求項1に係る発明と各引用例に記載された発明とを対比すると、本願の請求項1に係る発明が、第1のデータを管理する第1の管理部と、第2のデータを管理する第2の管理部との間で前記第1のデータと前記第2のデータとを共用するデータベース管理方法であって、前記第1の管理部又は前記第2の管理部から第1又は第2のデータを更新する場合は、該データを管理する管理部の排他制御に従って更新し、前記第1の管理部又は前記第2の管理部から第1又は第2データを検索する場合は、該データに対する排他制御を受けることなくデータを参照するのに対し、各引用例に記載された発明ではこのようなことを行っていない点で相違する。そして、上記構成は各引用例の記載からも当業者が容易に想到しうることではなく、かつ、本願請求項1に係る発明は、上記構成を備えることにより明細書記載の作用効果を奏するものである。
同様に、本願の請求項2に係る発明と各引用例に記載された発明とを対比すると、本願の請求項2に係る発明が、第1のデータを管理する第1の管理部と、第2のデータを管理する第2の管理部との間で前記第1のデータと前記第2のデータとを共用するデータベース管理システムであって、第1及び第2の管理部に、それぞれの管理部が管理するデータを更新するデータ更新手段(第1及び第2のデータ更新手段)と、それぞれの管理部がデータを更新する場合に該データに対する排他制御を行う排他制御手段(第1及び第2の排他制御手段)と、他方の管理部が管理するデータを更新する場合にデータ更新要求を他方の管理部に送るデータ更新要求手段(第1及び第2のデータ更新要求手段)と、他方の管理部が管理するデータを検索する場合に排他制御手段の制御を受けることなく検索するデータ検索手段(第1及び第2のデータ検索手段)とを備えているのに対し、各引用例に記載された発明では上記構成を備えていない点で相違する。そして、上記構成は各引用例の記載からも当業者が容易に想到しうることではなく、かつ、本願請求項2に係る発明は、上記構成を備えることにより明細書記載の作用効果を奏するものである。

(4)結び
以上のとおりであるから、本願の請求項1、2に係る発明は、各引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、他に本件出願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、上記結論のとおり審決する。
 
審決日 2001-06-28 
出願番号 特願平2-16025
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小田 浩  
特許庁審判長 広岡 浩平
特許庁審判官 石井 茂和
大橋 隆夫
発明の名称 システム間データベース共用方式  
代理人 作田 康夫  

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