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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E04F
審判 全部申し立て 2項進歩性  E04F
管理番号 1041046
異議申立番号 異議2000-72319  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-11-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-06-05 
確定日 2001-01-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2986448号「出隅部施工方法および外装用出隅部材」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2986448号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第2986448号に係る発明は、平成10年4月28日に特許出願され、平成11年10月1日にその特許権の設定の登録がなされ、その後、大平 章より特許異議の申立てがなされ、次いで、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年10月27日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正請求について
(2-1).訂正の趣旨及び訂正の内容
訂正請求の趣旨は、特許第2986448号の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めることである。
訂正の内容は以下のとおりである。
イ. 訂正事項1
特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項1〜4を
「【請求項1】窯業系外装材の端部同志を突き合わせ部にシーリング材を介在させて接合し、当該シーリング材を介在した当該接合部分を含む出隅部を外側から覆うようにして別途用意した外装用出隅部材を取り付ける出隈部施工方法において、該外装用出隅部材として、被覆しようとする窯業系外装材と同質の材料により形成された2枚の長尺状の出隅基板がその端縁同志を所望角度に突き合わせて接合され、かつ、各出隅基板を突き合わせた入隅部には補強材を取り付けている外装用出隅部材を用い、前記窯業系外装材表面及び/又は外装用出隅部材の裏側にシーリング材を打設しておき、該外装用出隅部材の施工と同時に前記窯業系外装材との間をシールすることを特徴とする出隅部施工方法。
【請求項2】窯業系外装材の端部同志を突き合わせ部にシーリング材を介在させて接合した出隅部を当該シーリング材を介在した突き合わせ部を含むようその上から覆うようにして施工するのに用いる外装用出隅部材であって、該外装用出隅部材は、被覆しようとする窯業系外装材と同質の材料により形成された2枚の長尺状の出隅基板がその端緑同志を所望角度に突き合わせて接合された構成であり、かつ、各出隅基板を突き合わせた入隅部には補強材を取り付けていることを特徴とする外装用出隅部材。
【請求項3】各出隅基板の裏側にシーリング材が打設されていることを特徴とする請求項2記載の外装用出隅部材。
【請求項4】前記出隅基板は被覆しようとする窯業系外装材と同質の薄板からの打ち抜きにより成形加工されたものであることを特徴とする請求項2又は3記載の外装用出隅部材。」と訂正する。
ロ.訂正事項2
上記訂正事項1による特許請求の範囲の減縮に伴い生じる特許請求の範囲の記載と、発明の詳細な説明の記載との不整合を回避するために、明瞭でない記載の釈明を目的として、段落【0007】の【課題を解決するための手段】を
「前記の目的を達成するべく、本発明は、窯業系外装材の端部同志を突き合わせ部にシーリング材を介在させて接合し、当該シーリング材を介在した当該接合部分を含む出隅部を外側から覆うようにして別途用意した外装用出隅部材を取り付ける出隅部施工方法において、該外装用出隅部材として、被覆しようとする窯業系外装材と同質の材料により形成された2枚の長尺状の出隅基板がその端緑同志を所望角度に突き合わせて接合され、かつ、各出隅基板を突き合わせた入隅部には補強材を取り付けている外装用出隅部材を用い、前記窯業系外装材表面及び/又は外装用出隅部材の裏側にシーリング材を打設しておき、該外装用出隅部材の施工と同時に前記窯業系外装材との間をシールすることを特徴とする。用いる外装用出隅部材を被覆しようとする窯業系外装材と同質の材料で形成することにより高い意匠性を持つ出隅部を容易に構築することができる。」と訂正する。
(2-2)訂正の目的の適否、及び新規事項・拡張・変更の存否
上記訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮に該当し、上記訂正事項2は、特許請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載との不整合を回避するために行う明瞭でない記載の釈明に該当するものということができる。
これら訂正事項1及び2は、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
3.特許異議申立について
(3-1)特許異議申立の理由の概要
特許異議申立人大平 章は、甲第1〜5号証を提出し、本件請求項1〜4に係る発明は、甲第1〜5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許を取り消すべき旨主張している。
(3-2)本件請求項1〜4に係る発明
本件請求項1〜4に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものと認める。
(3-3)刊行物の記載事項
当審が先に通知した取消理由で引用した、本願の出願前に頒布された刊行物1である特開平5-163827号公報(特許異議申立人大平章が提出した甲第1号証)、同じく刊行物2である実願昭56-004466号(実開昭57-119032号)のマイクロフィルム(特許異議申立人大平章が提出した甲第2号証)、同じく刊行物3である特開平9-296595(特許異議申立人大平章が提出した甲第3号証)、同じく刊行物4である実願平2-100318号(実開平4-56853号)のマイクロフィルム(特許異議申立人大平章が提出した甲第4号証)、同じく刊行物5である特開平2-36908(特許異議申立人大平章が提出した甲第5号証)には本件請求項1〜4に係る発明に関連する技術的事項として、以下の点が記載されているものと認める。
刊行物1の公報の特に第1欄11〜16行、同20〜23行、第2欄2〜7行、第3欄22〜25行及び第2図に開示された技術的事項を参酌すると、刊行物1には建築、構築物に用いる乾式壁材のコーナ部における端部の出隅材、入隅材等に相当するコーナ部の構造に関するものであり乾式壁材の端部同志を直接、あるいは、他の出隅部材を介在させて接合し、当該接合部分を含む出隅部を外側から覆うようにして別途用意した化粧キャップを取り付ける出隅部施工方法において、前記乾式壁材表面及び/又は化粧キャップの裏側にコーキング材を打設しておき、該化粧キャップの施工と同時に前記乾式壁材との間をシールすること、すなわち乾式壁材の端部同志を直接、あるいは、他の出隅部材を介在させて接合した出隅部をその上から覆うようにして施工するのに用いる化粧キャップが記載されていると認められる。
刊行物2の明細書及び図面の特に第1頁4〜7行、同9〜10行、同15〜16行、第2頁15〜19行、第3頁2〜5行、第4頁8〜10行、第4頁19〜第5頁4行及び第5図に開示された技術的事項を参酌すると、刊行物2には不燃性外壁材のコーナーに関するものであり外壁材コーナーとして、被覆しようとする外壁板と同質の材料により形成された2枚の長尺状の出隅基板がその端緑同志を所望角度に突き合わせて接合され、かつ、各出隅基板を突き合わせた入隅部には金属板あるいは樹脂板その外壁材コーナーとして、被覆しようとする外壁板と同質の材料により形成された2枚の長尺状の出隅基板がその端緑同志を所望角度に突き合わせて接合された構成であり、かつ、各出隅基板を突き合わせた入隅部には金属板あるいは樹脂板を取り付けたものを用いた構成が記載されていると認められる。
刊行物3の公報の特に請求の範囲、段落【0001】、段落【0009】、段落【0010】、段落【0015】及び第1、第2図に開示された技術的事項を参酌すると、刊行物3には出隅コーナ役物および出隅構造に関するものであり出隅コーナ役物として、被覆しようとする壁板と同質の材料により形成された2枚の長尺状の出隅基板がその端緑同志を所望角度に突き合わせて接合され、かつ、各出隅基板を突き合わせた入隅部には接続用脚体を取り付けた構成が記載されていると認められる。
刊行物4の明細書及び図面の特に請求の範囲、第1頁第10〜12行、第4頁第7〜12行、第4頁第16〜19行及び第1図に開示された技術的事項を参酌すると、刊行物4には建物外壁の出隅、入隅等のコーナー部分に取着されて、同部分を被装仕上げする外壁コーナー部材に関するものであり、コーナー部材本体の両辺部の裏面にパッキン凸条を設けることが記載されていると認められる。
刊行物5の公報の特に第1頁左下欄第5〜10行、同右下欄第4〜9行、第2頁右上欄第3〜5行及び第1図、第2図に開示された技術的事項を参酌すると、刊行物5にはグリーンシ一トの打ち抜きによる無機質セメント板の製造方法に関するものでありグリーンシ一トからの打ち抜きによってセメント板を成形加工することが記載されていると認められる。
(3-4)対比・判断
(3-4-1)訂正明細書の請求項1に係る発明と上記刊行物1〜5 記載の各発明とを比較すると、刊行物1〜5には本件請求項1に係る発明に関連する技術的事項として、上記(3-3)に示した点が記載されてはいるものの、本件請求項1に係る発明の構成の一部の「窯業系外装材の端部同志を突き合わせ部にシーリング材を介在させて接合し、当該シーリング材を介在した当該接合部分を含む出隈部を外側から覆うようにした」(以下「構成要件α」という。)点については、前記いずれの刊行物にも記載されていなく、またそれを窺わせる示唆もなく、かつ当該技術分野において上記構成要件αが自明な技術的事項でもなく、また上記各刊行物の記載事項を相互に適用しても本件請求項1に係る発明に到達することができたと認定することはできない。
そして、訂正明細書の請求項1に係る発明は、上記構成要件αを具有することにより、訂正明細書記載の特有の作用効果を奏するものである。
したがって、訂正明細書の請求項1に係る発明は、上記刊行物1〜5に記載された発明であるとはいえず、また上記刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者がきわめて容易に発明をすることができたものということもできない。
(3-4-2)訂正明細書の請求項2に係る発明と、上記刊行物1〜5 記載の各発明とを比較すると、刊行物1〜5には本件請求項2に係る発明に関連する技術的事項として、上記(3-3)に示した点が記載されてはいるものの、本件請求項2に係る発明の構成の一部の「窯業系外装材の端部同志を突き合わせ部にシーリング材を介在させて接合した出隅部を当該シーリング材を介在した突き合わせ部を含むようその上から覆うようにした」(以下「構成要件β」という。)点については、前記いずれの刊行物にも記載されていなく、またそれを窺わせる示唆もなく、かつ当該技術分野において、上記構成要件βが自明な技術的事項でもなく、また上記各刊行物の記載事項を相互に適用しても本件請求項2に係る発明に到達することができたと認定することはできない。そして、訂正明細書の請求項2に係る発明は、上記構成要件βを具有することにより、訂正明細書記載の特有の作用効果を奏するものである。
したがって、訂正明細書の請求項2に係る発明は、上記刊行物1〜5に記載された発明であるとはいえず、また上記刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者がきわめて容易に発明をすることができたものということもできない。
(3-4-3)訂正明細書の請求項3及び4に係る発明は、訂正明細書の請求項2に係る発明を技術的に限定したものであるから訂正明細書の請求項3及び4に係る発明は、同じく上記刊行物1〜5に記載された発明であるとはいえず、また上記刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということもできない。
(3-5)むすび
本件請求項1〜4に係る発明は、刊行物1(異議申立人大平章が提出した甲第1号証)、刊行物2(同異議申立人が提出した甲第2号証)、刊行物3(同異議申立人が提出した甲第3号証)、刊行物4(同異議申立人が提出した甲第4号証)、刊行物5(同異議申立人が提出した甲第5号証)に記載された発明であるとすることができないばかりでなく、これらの刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。
したがって、特許異議申立人の主張は採用できない。
なお当審が先に通知した取消理由で指摘した明細書の記載不備の点は、上記(2-2)の訂正請求により解消した。
4.むすび
以上のとおりであるから、本件特許異議申立ての理由及び提出された証拠方法によっては、本件請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
出隅部施工方法および外装用出隅部材
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 窯業系外装材の端部同志を突き合わせ部にシーリング材を介在させて接合し、当該シーリング材を介在した当該接合部分を含む出隅部を外側から覆うようにして別途用意した外装用出隅部材を取り付ける出隅部施工方法において、該外装用出隅部材として、被覆しようとする窯業系外装材と同質の材料により形成された2枚の長尺状の出隅基板がその端縁同志を所望角度に突き合わせて接合され、かつ、各出隅基板を突き合わせた入隅部には補強材を取り付けている外装用出隅部材を用い、前記窯業系外装材表面及び/又は外装用出隅部材の裏側にシーリング材を打設しておき、該外装用出隅部材の施工と同時に前記窯業系外装材との間をシールすることを特徴とする出隅部施工方法。
【請求項2】 窯業系外装材の端部同志を突き合わせ部にシーリング材を介在させて接合した出隅部を当該シーリング材を介在した突き合わせ部を含むようその上から覆うようにして施工するのに用いる外装用出隅部材であって、該外装用出隅部材は、被覆しようとする窯業系外装材と同質の材料により形成された2枚の長尺状の出隅基板がその端縁同志を所望角度に突き合わせて接合された構成であり、かつ、各出隅基板を突き合わせた入隅部には補強材を取り付けていることを特徴とする外装用出隅部材。
【請求項3】 各出隅基板の裏側にシーリング材が打設されていることを特徴とする請求項2記載の外装用出隅部材。
【請求項4】 前記出隅基板は被覆しようとする窯業系外装材と同質の薄板からの打ち抜きにより成形加工されたものであることを特徴とする請求項2又は3記載の外装用出隅部材。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、出隅部施工方法および該方法に用いる外装用出隅部材に関し、詳しくは、窯業系外装材の出隅部に外装用出隅部材を取り付ける施工方法と該外装用出隅部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、窯業系外装材の出隅部の現場施工は次のようにして行われている(図8参照)。先ず、柱(角材)3の出隅部に出隅部材1を取り付けた後、外装材2を所要の長さに切断して、上記出隅部材1の両隣に適当な隙間(10mm程度)4をとって取り付ける。出隅部材1と外装材2との接合部となる両者の取り合い部には、目地ジョイナー(図示のものはハット形ジョイナー)5が使用され、前記隙間部分には雨仕舞いのために外装材2を取り付けた後にシーリング材6の打設が行われる。なお、図で、7は縦胴縁である。
【0003】
また、金属材料からなる外装材、あるいは、金属材を表面材とし合成樹脂発泡体を心材としてサンドイッチ構造に形成した外装材のような、いわゆる乾式の外装材の場合には、図8に示したような出隅部材を用いることなく、乾式外装材同志の出隅接合部に外側から化粧用のコーナー部材を被覆することが行われている(実開平5-12543号公報、特開平7-62845号公報など参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
窯業系の外装材の場合、外装材の性質上、縦目地部へのシーリング材6の打設などのシーリング工程は必須の工程となるが、上記従来の出隅部施工方法の場合、縦目地部へ打設されたシーリング材6が外部に露出しているため、外装材2とシーリング材6との間に違和感が生じやすい。特に、シーリング材6の打設施工の仕上がりが不備であると、その傾向が著しい。また、当初は違和感が少なくても、シーリング材6の経時変化によるひび割れや汚れ等によって外観が損なわれることもある。
【0005】
また、外装材2と同質の材料で形成した出隅部材1を用いて出隅部施工をする場合、通常、出隅部材1の柄は外装材2のそれと同じとされるため、図8に示すように、外装材2の横目地17の位置と出隅部材1の横目地18との位置合わせが必要となる。しかし、現場施工において、双方の横目地17、18の位置を完全に一致させることは困難な作業を必要とする。特に、従来の出隅部施工においては、外装材2に先立って出隅部材1を取り付ける方法であるため、双方の横目地17、18の正確な柄合わせを重量物である外装材2の方で調整せざるを得ず、困難な作業となっていた。
【0006】
上記のような種々の課題があるため、出隅部材1の取り付けば、外装工事全体に占める影響が大きく、工期や意匠性を左右する重要な要因となっている。本発明は上述の点に着目してなされたものであって、従来、前記のように乾式の外装材の場合に行われていた出隅接合部の外側から化粧用のコーナー部材を被覆する方法を、窯業系の外装材の出隅部に積極的に転用することにより、窯業系外装材の接合部が露出することなく、意匠性に優れると共に、出隅部形成作業を簡略化して工期の短縮を図ることのできる出隅部施工方法および該施工に用いる外装用出隅部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するべく、本発明は、窯業系外装材の端部同志を突き合わせ部にシーリング材を介在させて接合し、当該シーリング材を介在した当該接合部分を含む出隅部を外側から覆うようにして別途用意した外装用出隅部材を取り付ける出隅部施工方法において、該外装用出隅部材として、被覆しようとする窯業系外装材と同質の材料により形成された2枚の長尺状の出隅基板がその端縁同志を所望角度に突き合わせて接合され、かつ、各出隅基板を突き合わせた入隅部には補強材を取り付けている外装用出隅部材を用い、前記窯業系外装材表面及び/又は外装用出隅部材の裏側にシーリング材を打設しておき、該外装用出隅部材の施工と同時に前記窯業系外装材との間をシールすることを特徴とする。用いる外装用出隅部材を被覆しようとする窯業系外装材と同質の材料で形成することにより高い意匠性を持つ出隅部を容易に構築することができる。
【0008】
本発明による出隅部施工方法によれば、出隅部分での、窯業系外装材の端部同志の接合部分あるいは窯業系外装材の端部と他の出隅部材端部との接合部分は、この接合部分を含む出隅部を外側から覆うようにして取り付けられる外装用出隅部材によりカバーされ、シール部が外部から隠蔽される。そのために、前記したような従来工法で生じていた接合部の縦目地部に打設するシーリング材に起因する意匠上の不都合を回避できると共に、外装材表面側及び/又は外装用出隅部材の裏側にシーリング材を打設した状態で、外装用出隅部材の取り付け施工を行うことにより、該外装用出隅部材の施工と同時に前記外装材との間をシールすることが可能となり、前記接合部(縦目地部)へのシーリング材の打設作業を省略することも可能となる。
【0009】
また、本発明は、前記出隅部施工方法に用いる外装用出隅部材として、被覆しようとする窯業系外装材と同質の材料により形成された2枚の長尺状の出隅基板がその端縁同志を所望角度に突き合わせて接合された構成であり、かつ、各出隅基板を突き合わせた入隅部には補強材を取り付けていることを特徴とする外装用出隅部材をも開示する。出隅基板の表面には当該外装材の表面模様と同じ模様を形成して連続性を持たせるようにしてもよく、左右の外装材の表面模様を視覚的に隔離したものと感じさせるような機能を持つ模様が設けられてもよい。後者の場合には、左右の外装材の取り付けに際して、その模様合わせを厳密に行わなくてもよく、作業が省力化できる利点がある。
【0010】
本発明の外装用出隅部材は、さらに、2枚の長尺状の出隅基板を突き合わせた入隅部に、好ましくはアルミニウムのような金属材料からなる補強材が取り付けてあり、それにより、容易に破壊することのない外装用出隅部材が得られる。各出隅基板の裏側にシーリング材が打設されていてもよく、この場合には、該外装用出隅部材の施工と同時に前記外装材との間をシールすることが可能となり、前記接合部(縦目地部)へのシーリング材の打設作業を省略することも可能となる。前記出隅基板を窯業系材料からの打ち抜きにより成形加工する場合には、従来は対応できなかった形状を演出でき、また、表面の模様や解放縁側の凹凸形状などを同時成形することが可能となる。2枚の出隅基板の突き合わせ角度は任意であり、通常90度とされるが、躯体側の形状に合わて、例えば、鋭角であってもよく鈍角であってもよい。それにより、躯体側の形状に合わせた出隅部構造を容易に構築することができる。
【0011】
前記のように、本発明の出隅部施工方法によれば、窯業系外装材の縦目地部に設けられるシーリング材を外装用出隅部材で完全に覆い隠すことができ、外観上の問題が解消されると共に、前記のようにシーリング材が露出しないので耐久性も向上する。また、窯業系外装材を施工した後に出隅部材を取り付ける方法であり、かつ、長尺の出隅部材が使用できるために、出隅部材の取り付け作業が簡単になり、工期が短縮される。また、外装用出隅部材を外から覆うようにして用いることにより、左右の外装材の絵柄を視覚的に隔離させることが可能となり、外装材同志の柄合わせに完全性を求めなくとも高い意匠性が確保される。そのために、従来工法と比較して、外装材同志の柄合わせに要する労力を大きく軽減できる利点もある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の外装用出隅部材に実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図8と同一部材または同一機能のものは同一符号で示している。図1および図2は、本発明の好ましい実施の形態による外装用出隅部材1の一例を示している。この例において、外装用出隅部材1は後記する外装材2を構成する窯業材と同質の窯業系薄板(図示せず)から、打ち抜き成形などにより造られている。
【0013】
この例において、外装用出隅部材1は、2枚の長尺状の出隅基板1a、1bから構成されており、各出隅基板1a、1bの一側縁には角形の凹部10が等間隔で形成され、これによって凹部10と凸部11が間欠的に連続した形状となっている。凹部10と凸部11の間隔は任意であり、意匠上好ましい出隅部が構成されるよう適宜選べばよい。各出隅基板1a、1bは、直線状の端面側同志を突き合わせて留め接合される。図示のものでは、端面を互いに45度の傾斜で切断し、その斜め切断部12同志を接合しているが、突き合わ態様は任意である。その場合、図2に示すように、出隅基板1a、1bは、各々の凹部10と凸部11が互い違いとなるようにして配置することが意匠上好ましい。
【0014】
このようにして構成された外装用出隅部材1の内側の入隅部にL字形の金属製補強材13を取り付けて接合部の補強をしている。なお、この金属製補強材13は、例えば厚さ数mmのアルミニウム製アングルなどが使用され、出隅基板1a、1bに接着により貼り付けられる。次に、上記のように構成された外装用出隅部材1を取り付ける外装材2の出隅部構造について説明する。外装材2の出隅部構造は、その突き合わせ部が外装用出隅部材1により覆うことができることを条件に基本的には任意であるが、好ましくは、図3に示すように、外装材2、2を出隅部の柱3に例えば縦胴縁7などを介在させて取り付ける。その際に、左右の外装材2、2は、図示に示すように、柄合わせを行って突き合わせる。さらに、外装材2、2の突き合わせ部には、図5(b)に示すように、片ハットジョイナー8を設け、かつシーリング材9を表面側に打設することは好ましい。
【0015】
このようにして取り付けられた外装材2、2の出隅部の表面に、その外側から、本発明の外装用出隅部材1が取り付けられる(図4参照)。取り付けば、この例では、外装用出隅部材1の外から留め付けビス14(図5)を柱3にねじ込んで外装用出隅部材1および外装材2を一緒に固定している。これによって、外装材2の目地部のシーリング材9は外装用出隅部材1で完全に覆い隠され、シーリング材露出による従来の不都合な問題は解消される。
【0016】
必要に応じて、図5に示すように外装用出隅部材1の裏側にシーリング材20を予め打設しておく。これにより、外装材2のシーリング材9を省略することも可能である。これは、本発明の施工方法では外装材2側のシーリング材9が外装用出隅部材1で完全に覆われるためであり、この方法によって工期がより短縮できる。上記のように、本発明による出隅部施工方法は、外装材2を施工した後で外装用出隅部材1を取り付ける方法であるため、外装用出隅部材の取り付け作業は容易化される。
【0017】
なお、上記実施の形態では、2枚の各出隅基板1a、1bが直角状態で接合した形状の外装用出隅部材1について説明したが、これに限定されず、図6に示すように鈍角形状でも実施可能である。すなわち、2本の柱3、3の内側の稜線3aを付けた状態でその表面側が鈍角状をなすように配置し、外装材2、2を柱3、3の表面側に取り付けることにより、鈍角状をなす外装材の突き合わせ接合が形成される。接合部分を含む鈍角状の出隅部に、同じ角度で鈍角状に構成された外装用出隅部材1を前記と同様にして取り付ける。図7はそのようにして鈍角の出隅部を備えた建物16の外装材2上に鈍角の外装用出隅部材1を施工した例を示している。また、以上の実施の形態においては、外装用出隅部材1は、解放端縁に角形の凹凸部10、11を互い違いに形成した構造例を示しているが、この構造に限定するものではなく、各種形状の凹凸部でもよく、あるいは解放端側も凹凸部を形成しない直線状のものであってもよい。
【0018】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明の出隅部施工方法によれば、外装材の端部を突き合わせて接合し、この接合部分を含む出隅部を覆うように外装用出隅部材を取り付けるようにしたので、外装材の目地部のシーリング材が外装用出隅部材で覆い隠され、外観上の問題が解消されると共に、シーリング材が露出しないので耐久性も向上する。
【0019】
また、外装材を施工した後で外装用出隅部材を取り付ける方法であるため、横目地との正確な柄合わせが省略できると共に、長尺の外装用出隅部材が使用できるため、外装用出隅部材の取り付け作業が簡単になり、工期が短縮される。また、本発明の外装用出隅部材において、長尺の出隅基板の解放側端縁に凹凸部を形成し、該凹凸部の反対側の端縁を突き合わせて接合して所望角度に構成することにより、出隅部の意匠性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の外装用出隅部材の組み付け前の状態を示す分解図。
【図2】
本発明の外装用出隅部材の組み付け後の状態を示す斜視図。
【図3】
外装材の突き合わせ状態を示す斜視図。
【図4】
本発明の外装用出隅部材の施工例を示す斜視図。
【図5】
(a)は図4の施工例における断面図、(b)は外装材の接合部分の詳細図。
【図6】
本発明の他の実施の形態の施工例を示す図。
【図7】
本発明のさらに他の実施の形態の施工例を示す図。
【図8】
従来の外装用出隅部材の施工例を示す図。
【符号の説明】
1 外装用出隅部材
1a,1b 出隅基板
2 外装材
3 柱
10 凹部
11 凸部
13 金属製補強材
20 シーリング材
 
訂正の要旨 本件訂正は、特許請求の範囲の減縮、明りょうでない記載の釈明を目的として、願書に添付した明細書の記載を下記の(1)および(2)のように訂正するものである。
(1)特許請求の範囲の請求項1〜4の記載を、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項に記載のとおり、
「【請求項1】窯業系外装材の端部同志を突き合わせ部にシーリング材を介在させて接合し、当該シーリング材を介在した当該接合部分を含む出隅部を外側から覆うようにして別途用意した外装用出隅部材を取り付ける出隅部施工方法において、該外装用出隅部材として、被覆しようとする窯業系外装材と同質の材料により形成された2枚の長尺状の出隅基板がその端縁同志を所望角度に突き合わせて接合され、かつ、各出隅基板を突き合わせた入隅部には補強材を取り付けている外装用出隅部材を用い、前記窯業系外装材表面及び/又は外装用出隅部材の裏側にシーリング材を打設しておき、該外装用出隅部材の施工と同時に前記窯業系外装材との間をシールすることを特徴とする出隅部施工方法。
【請求項2】窯業系外装材の端部同志を突き合わせ部にシーリング材を介在させて接合した出隅部を当該シーリング材を介在した突き合わせ部を含むようその上から覆うようにして施工するのに用いる外装用出隅部材であって、該外装用出隅部材は、被覆しようとする窯業系外装材と同質の材料により形成された2枚の長尺状の出隅基板がその端緑同志を所望角度に突き合わせて接合された構成であり、かつ、各出隅基板を突き合わせた入隅部には補強材を取り付けていることを特徴とする外装用出隅部材。
【請求項3】各出隅基板の裏側にシーリング材が打設されていることを特徴とする請求項2記載の外装用出隅部材。
【請求項4】前記出隅基板は被覆しようとする窯業系外装材と同質の薄板からの打ち抜きにより成形加工されたものであることを特徴とする請求項2又は3記載の外装用出隅部材。」と訂正する。
(2)明細書段落【0007】の【課題を解決するための手段】を
「前記の目的を達成するべく、本発明は、窯業系外装材の端部同志を突き合わせ部にシーリング材を介在させて接合し、当該シーリング材を介在した当該接合部分を含む出隅部を外側から覆うようにして別途用意した外装用出隅部材を取り付ける出隅部施工方法において、該外装用出隅部材として、被覆しようとする窯業系外装材と同質の材料により形成された2枚の長尺状の出隅基板がその端緑同志を所望角度に突き合わせて接合され、かつ、各出隅基板を突き合わせた入隅部には補強材を取り付けている外装用出隅部材を用い、前記窯業系外装材表面及び/又は外装用出隅部材の裏側にシーリング材を打設しておき、該外装用出隅部材の施工と同時に前記窯業系外装材との間をシールすることを特徴とする。用いる外装用出隅部材を被覆しようとする窯業系外装材と同質の材料で形成することにより高い意匠性を持つ出隅部を容易に構築することができる。」と訂正する。
異議決定日 2000-12-12 
出願番号 特願平10-118647
審決分類 P 1 651・ 121- YA (E04F)
P 1 651・ 537- YA (E04F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 七字 ひろみ  
特許庁審判長 佐田 洋一郎
特許庁審判官 鈴木 憲子
藤枝 洋
登録日 1999-10-01 
登録番号 特許第2986448号(P2986448)
権利者 ニチハ株式会社
発明の名称 出隅部施工方法および外装用出隅部材  
代理人 平木 祐輔  
代理人 早川 康  
代理人 平木 祐輔  
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