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審決分類 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  G06K
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G06K
管理番号 1041128
異議申立番号 異議2000-72875  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-11-12 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-07-24 
確定日 2001-02-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3002601号「バーコード読取装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3002601号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3002601号の請求項1に係る発明は、平成4年4月17日に特許出願され、平成11年11月12日にその特許権の設定登録がなされ、その後、島田洋より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年1月16日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
・訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「左右にキャラクタコードを有するバーコードを、左右毎に複数回読取り、その複数回の読取り結果が等しいときバーコード読取りデータを外部に出力するバーコード読取装置において、右側のキャラクタについてはm(但し、m≧2)回読取りそのm回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段と、左側のキャラクタについてはn(但し、n≧m)回読取りそのn回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段と、両判断手段が読取り結果の一致を判断したとき左右の読取りデータを合成して外部に出力する出力手段を設けたことを特徴とするバーコード読取装置。」とあるのを、「左右にキャラクタコードを有するバーコードを、左右毎に複数回読取り、その複数回の読取り結果が等しいときバーコード読取りデータを外部に出力するバーコード読取装置において、読取ったキャラクタの並びが全て偶数パリティである右側のキャラクタについてはm(但し、m≧2)回読取りそのm回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段と、読取ったキャラクタの並びが全て偶数パリティではない左側のキャラクタについてはn(但し、n>m)回読取りそのn回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段と、両判断手段が読取り結果の一致を判断したとき左右の読取りデータを合成して外部に出力する出力手段を設けたことを特徴とするバーコード読取装置。」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、発明を特定する事項である「右側のキャラクタについてはm(但し、m≧2)回読取りそのm回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段」を、これに含まれる事項である「読取ったキャラクタの並びが全て偶数パリティである右側のキャラクタについてはm(但し、m≧2)回読取りそのm回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段」に変更し、また、同様に「左側のキャラクタについてはn(但し、n≧m)回読取りそのn回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段」を、これに含まれる事項である「読取ったキャラクタの並びが全て偶数パリティではない左側のキャラクタについてはn(但し、n>m)回読取りそのn回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段」に変更するものであり、しかも、これらについては、願書に添付された明細書の段落【0021】、【0023】、【0027】〜【0031】に記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、また、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
特許異議申立人島田洋は、請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開平4-100188号公報)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるか、もしくは、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、また、その明細書が特許法第36条第5項に規定する要件を満たしていないものであるから、請求項1に係る特許は取り消されるべきものである旨主張している。
(2)本件の請求項1に係る発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(3)特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項違反であるとの主張について
(i)刊行物記載の発明
特許異議申立人が証拠として提示した刊行物1(特開平4-100188号公報(甲第1号証))には、「POS端末等で使用されるバーコードは、第5図に示すように、左ガードバーLGB、センタバーCB及び右ガードバーRGBによって区切られており、(LGB-CB)、(CB-RGB)の半ブロックづつ入力されても読取れるようになっている。第5図はレーザビームを用いた定置型のバーコード読取装置の構成例を示したもので、走査部1はレーザビームで繰り返しバーコードラベル15を走査するとともに、その反射ビームを受光して光電変換し、AD変換回路2はこの変換された信号を2値化し、復調部11aはブロック別に復調する。この左右ブロックの復調データ20は、チェック部10aにおいて合成され、バーコードの備えるチェックデジィット等に基づきデータの正常性がチェックされ、正常ならばオペレータに通知されるとともに、それぞれの復調データ20が本体装置に出力される。なお、誤読を防止するためには、左右ブロックがそれぞれ少なくとも2回走査されてその復調データが一致し、且つ他のチェックがOKの場合に読取りOKとする2回一致方式か、またはいずれか一方のブロックが2回以上走査され、且つその復調データが一致した場合は、他方のブロックの走査が1回であっても読取りOKとする1.5回一致方式等が用いられる。」(第2頁左上欄第14行〜同頁右上欄第20行)と記載されており、以下のような発明が記載されているものと認められる。
左ガードバーLGB、センタバーCB及び右ガードバーRGBによって区切られた左ブロックと右ブロックからなるバーコードを各ブロック毎に読み取る走査部と、該走査部により読み取られたデータを左右ブロック別に復調する復調部と、左右ブロックがそれぞれ少なくとも2回走査されてその復調データの一致により正常とし、左右の復調データを合成し、本体装置に出力するチェック部からなるバーコード読取装置
(ii)対比・判断
本件発明と上記刊行物1に記載の発明とを対比すると、上記刊行物1に記載の発明では、左右ブロックからなるバーコードを各ブロック毎に少なくとも2回走査し、その復調データの一致により正常と判断するものであって、これは左右の各ブロックを2回以上の同数回走査してチェックを行うものである。これに対して本件発明では「読取ったキャラクタの並びが全て偶数パリティである右側のキャラクタについてはm(但し、m≧2)回読取りそのm回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段と、読取ったキャラクタの並びが全て偶数パリティではない左側のキャラクタについてはn(但し、n>m)回読取りそのn回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段」により、キャラクタの並びが全て偶数パリティである右側のキャラクタの読取り回数よりも、キャラクタの並びが全て偶数パリティではない左側のキャラクタの読取り回数を多くしてより厳しくチェックを行うものであるから、上記刊行物1に記載の発明は該本件発明を特定する事項を備えていないことは明らかである。そして、これによりキャラクタの並びが全て偶数パリティではない左側のキャラクタの誤読率を低くし、全体の誤読率を下げて信頼性を向上できるバーコード読取装置を提供できるという顕著な効果を奏するものである。(なお、上記刊行物1には「いずれか一方のブロックが2回以上走査され、且つその復調データが一致した場合は、他方のブロックの走査が1回であっても読取りOKとする1.5回一致方式等が用いられる」との記載があるが、これは一方のブロックは2回以上の読取りにより一致のチェックを行うが、他方のブロックは一致のチェックを行わないというものであって、しかも左右のどちらのブロックのチェックを行うかについてはなんら記載されていないから、本件発明の上記キャラクタの並びが全て偶数パリティではない左側のキャラクタの読取り回数を多くする点の進歩性を否定する根拠とはなり得ない。)
したがって、本件発明は上記刊行物1に記載された発明であるとはいえず、また、上記刊行物1に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。
(4)特許法第36条第5項に規定する要件を満たしていないとの主張について
該主張は、要するに訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「左側のキャラクタについてはn(但し、n≧m)回読取りそのn回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段」との記載において、n=mであれば段落【0014】、【0034】、【0036】の記載と矛盾し本件発明の効果を奏し得ないものとなり、また、n=mの場合に相当する実施例等の記載がないから、請求項1に係る発明は詳細な説明に記載されたものではないというものである。
しかしながら、上記訂正事項aにより「n>m」に訂正されたから、本件明細書は、特許法第36条第5項に規定する要件を満たしていないものであるとすることはできない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
バーコード読取装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右にキャラクタコードを有するバーコードを、左右毎に複数回読取り、その複数回の読取り結果が等しいときバーコード読取りデータを外部に出力するバーコード読取装置において、読取ったキャラクタの並びが全て偶数パリティである右側のキャラクタについてはm(但し、m≧2)回読取りそのm回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段と、読取ったキャラクタの並びが全て偶数パリティではない左側のキャラクタについてはn(但し、n>m)回読取りそのn回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段と、両判断手段が読取り結果の一致を判断したとき左右の読取りデータを合成して外部に出力する出力手段を設けたことを特徴とするバーコード読取装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、左右にキャラクタコードを有するバーコードを読み取るバーコード読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ソースマーキングと呼ばれる、商品に印刷されるバーコードにはJANコードや、これと同等の体系のUPC、WPCなどのコードが広く用いられており、このコードは13桁からなる標準バージョンと8桁からなる短縮バージョンなどが存在する。
【0003】
13桁からなる標準バージョン構成のJANコードは例えば図3に示すように、バーコードの両端に互いに等しい幅を有する2本のバーと1本のスペースからなる左右のガードバーと、バーコードの中央部に3本のスペースと2本のバーからなるセンターバーが配置されており、左側のガードバーとセンターバーの聞及びセンターバーと右側のガードバーとの間にそれぞれ6文字の数字がエンコードされている。
【0004】
そして左右6文字の数字の各数字は2本のバーと2本のスペースでエンコードされており、ガードバー又はセンターバーの1本のバー幅を1モジュールとすると、1キャラクタ、すなわち2つの白黒ペアのバー幅の合計は7モジュールとなるように符号化されている。
【0005】
符号化についてはセンターバーの左側の左側データキャラクタはキャラクタ内のバー幅の合計が奇数モジュールとなる奇数パリティ構成のエンコード法と、バー幅合計が偶数モジュールとなる偶数パリティ構成のエンコード法の2種類のバー構成が可能で、例えば左側データキャラクタにおける数字の9は、図中aで示す3モジュールのスペース、1モジュールのバー、1モジュールのスペース、2モジュールのバーからなる奇数パリティ構成のバー配置(2本のバー幅合計は3モジュール)と、図中bで示す2モジュールのスペース、1モジュールのバー、1モジュールのスペース、3モジュールのバーからなる偶数パリティ構成のバー配置(2本のバー幅合計は4モジュール)の2つのエンコードが選択可能であるが、右側データキャラクタは全キャラクタ共に偶数パリティのバー配置になっている。なお、図3のバーコードの左側データキャラクタにおける数字の9は奇数パリティになっている。
【0006】
また左側データキャラクタにおける偶数、奇数パリティは、本来12桁分しかないバーコードにさらに1桁余分に数字を埋め込むために用いられ、このパリティの並びによりもう1桁の数字が間接的に表示できるようになっている。例えば図3の左側データキャラクタ「912345」が「奇遇奇奇遇遇」で右側データキャラクタ「678904」が「遇遇遇遇遇遇」であったとすると、左側データキャラクタのパリティの並びと間接的に示される1桁の数字の関係は下表に示すように定められているので、パリティの並びは数字の「4」が割り当てられ、このバーコードは全体で「4 912345 678904」とデコードされることになる。
【0007】
【表1】

このようにJANコードでは、左右のデータキャラクタがセンターバー及びガードバーにより分離されており、また左右のデータキャラクタのパリティ構成が異なっているため、1つのバーコードを左右別々に解読し、それを合成することで1つのバーコードを復元することができる。
【0008】
そしてバーコードを分割解読できることは、特に大規模量販店で使用される、定置式バーコードスキャナにとっては大きなメリットとなる。すなわち定置式バーコードスキャナは、複数方向に出射する複数のレーザ走査線とバーコードを交差させることにより、あらゆる姿勢で進入するバーコードを万能方向で読取るが、バーコードの分割読取りができないとすると、図4の(a)に示すように走査線11を角度θ毎に生成しなければ、バーコードの万能方向の読取りが実現できないのに対し、分割読取りが可能な場合では図4の(b)に示すように走査線12を角度θ1(>θ)毎に生成すればよく、分割読取りができない場合に比べて少ない走査線で万能方向読取りが可能となる。そしてこれにより装置の大幅な簡略化が実現できることになる。
【0009】
ところでバーコードのバー(スペース)の幅は、バーコード印刷時の誤差や装置内部でのアナログ処理の要因などでかなりの変形を受けるため、これらの要因による誤読を防止するため、従来では同一バーコードを複数回読取り、その結果が一致した場合のみ読取り結果を出力するようにしていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
バーコードスキャナでは印刷されたバーコードを読取る際に発生する誤読の他に、バーコード以外、例えば読取窓面に置かれた雑巾等を読取ったときにもランダムな白黒の組合わせが再生され、それが偶然バーコードと同一の信号となって誤読を招く場合もある。
【0011】
そこでランダムに解読されたキャラクタ列がJANコードとして成立する確率を考えてみると、右側キャラクタの場合、その全てのキャラクタは偶数パリティ構成となるので、パリティの並びにおける右側キャラクタ列の成立の確率は1/26となるが、左側キャラクタの場合はパリティの並びが0〜9の数値を間接的に表すので、左側キャラクタ列が成立する確率は10/26となり、左側キャラクタの方が右側キャラクタに比べてランダムに解読された結果がコードして確立する可能性が高く、これが誤読を招く確立を高くすることになる。
【0012】
そこで本発明は、左右にキャラクタコードを有するバーコードを、左右毎に分割読取りを行うものにおいて、左側キャラクタの誤読率を低くし、これにより全体の誤読率を下げて信頼性を向上できるバーコード読取装置を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、左右にキャラクタコードを有するバーコードを、左右毎に複数回読取り、その複数回の読取り結果が等しいときバーコード読取りデータを外部に出力するバーコード読取装置において、右側のキャラクタについてはm(但し、m≧2)回読取りそのm回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段と、左側のキャラクタについてはn(但し、n≧m)回読取りそのn回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段と、両判断手段が読取り結果の一致を判断したとき左右の読取りデータを合成して外部に出力する出力手段を設けたものである。
【0014】
【作用】
このような構成の本発明においては、右側のキャラクタについてはm回読取りそのm回の読取り結果が一致するか否かを判断する。また左側のキャラクタについてはm外よりも多いn回読取りそのn回の読取り結果が一致するか否かを判断する。そして両判断とも読取り結果の一致を判断したとき左右の読取りデータを合成して外部に出力する。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0016】
図1に示すようにレーザ発振器1からのレーザビームをコリメータレンズ等の光学系(図示せず)を介した後ポリゴンミラー2に照射して偏向し、その偏向光でバーコードラベル3を走査し、その反射光を受光レンズ4を介してセンサ5で受光するようにしている。そしてセンサ出力を光電変換部6に取り込んで電気信号に変換し、その電気信号をA/D変換部7により2値化してデコーダ8に供給している。
【0017】
前記デコーダ8は取り込んだバーコードデータを左側と右側の半分ずつデコードし、半分のデコードが正しく行われるとマイクロプロセッサ9に対する割込信号1Sをアクティブにするようにしている。
【0018】
前記マイクロプロセッサ9はデコーダ8からの割込信号ISがアクティブになるとデータバスDBを介してデコーダ8からデコードしたデータを取込むようにしている。
【0019】
前記マイクロプロセッサ9は内部に現在の左側キャラクタの一致回数をカウントするカウンタLCT、現在の右側キャラクタの一致回数をカウントするカウンタRCT、左側キャラクタのチェック用バッファLBUF、右側キャラクタのチェック用バッファRBUF及びバッファBUFを備え、図2に示すプログラム制御を行うようになっている。
【0020】
すなわち電源の投入時には初期設定を行い、前記各カウンタLCT、RTCを0リセットするとともに一致回数設定値LNUM=2、RNUM=1を内部メモリにセットする。
【0021】
この状態で前記デコーダ8から割込信号があると左側又は右側キャラクタの解読結果をバッファBUFに取込むようにしている。そしてバッファBUFのパリティの並びが全て偶数パリティか否かをチェックし、全て偶数パリティでなければこのデータは左側キャラクタと判断できるので、続いてカウンタLCTが0が否かをチェックする。そしてLCT=0であれば最初のデータなのでバッファBUFのデータをバッファLBUFに転送し、カウンタLCTを1にしてデコーダ8からのデータの取込みに待機する。
【0022】
またLCT=0でなければすでにバッファLBUFに左側キャラクタの解読結果がセットされているので、続いてバッファLBUFのデータと今回のバッファBUFのデータを比較する。そして両データが一致したときにはカウンタLCTをインクリメントしてからカウンタLCTの内容が一致回数設定値LNUM=2よりも大きいか否かをチェックする。また不一致のときにはカウンタLCTを0リセットしてデコーダ8からのデータの取込みに待機する。
【0023】
またバッファBUFのパリティの並びが全て偶数パリティであればこのデータは右側キャラクタと判断できるので、続いてカウンタRCTが0が否かをチェックする。そしてRCT=0であれば最初のデータなのでバッファBUFのデータをバッファRBUFに転送し、カウンタRCTを1にしてデコーダ8からのデータの取込みに待機する。
【0024】
またRCT=0でなければすでにバッファRBUFに右側キャラクタの解読結果がセットされているので、バッファRBUFのデータと今回のバッファBUFのデータを比較する。そして両データが一致したときにはカウンタRCTをインクリメントしてからカウンタRCTの内容が一致回数設定値RNUM=1よりも大きいか否かをチェックする。また不一致のときにはカウンタRCTを0リセットしてデコーダ8からのデータの取込みに待機する。
【0025】
カウンタLCTの内容と一致回数設定値LNUM=2との比較及びカウンタRCTの内容と一致回数設定値RNUM=1との比較において、LCT>LNUM又はRCT>RNUMでなければデコーダ8からのデータの取込みに待機し、またLCT>LNUMでかつRCT>RNUMであれば左側キャラクタは3回正規に解読されたことになり、また右側キャラクタは2回正規に解読されたことになり、これによりバッファRBUFのデータとバッファLBUFのデータを合成して1つのバーコードデータとしてホストコンピュータ10に出力するようになっている。そして出力した後は各カウンタLCT、RTCをそれぞれ0リセットしてデコーダ8からのデータの取込みに待機する。
【0026】
このような構成の実施例装置においては、バーコードラベル3上のバーコードを走査したレーザビームの反射光をセンサ5で受光し、そのとき光電変換部6から得られる電気信号をA/D変換部7で2値化し、デコーダ8に取込まれる。デコーダ8は取り込んだバーコードデータを左右分割してデコードし、半分のデコードが正しく行われるとマイクロプロセッサ9に対する割込信号1Sをアクティブにする。これによりマイクロプロセッサ9は解読された半分のデータを取込みバッファBUFに格納する。
【0027】
マイクロプロセッサ9は、取込んだデータが左側キャラクタか右側キャラクタかをパリティの並びで判断する。すなわち全てが偶数パリティとなっていれば右側キャラクタと判断し、また全てが偶数パリティとなっていなければ左側キャラクタと判断する。
【0028】
左側キャラクタの場合はバッファBUFのデータをバッファLBUFに転送してカウンタLCTを1にし、また右側キャラクタの場合はバッファBUFのデータをバッファRBUFに転送してカウンタRCTを1にする。
【0029】
2回目に左側キャラクタをバッファBUFに格納すると、そのバッファBUFのデータとバッファLBUFのデータを比較し、両者が一致するとカウンタLCTをインクリメントして2にする。また2回目に右側キャラクタをバッファBUFに格納すると、そのバッファBUFのデータとバッファRBUFのデータを比較し、両者が一致するとカウンタRCTをインクリメントして2にする。
【0030】
そして左側キャラクタの場合はカウンタLCTが「2]をカウントしても一致回数設定値LNUM=2より大きくならないのでさらに3回目の左側キャラクタの取込みを行う。また右側キャラクタの場合はカウンタRCTが「2」になると一致回数設定値RNUM=1より大きくなるので正規に解読されたと判断する。
【0031】
3回目の左側キャラクタの取込みが行われ、今回もバッファBUFのデータとバッファRBUFのデータとが一致するとカウンタLCTが「3」となるのでLCT>LNUMとなり、左側キャラクタが正規に解読されたと判断する。
【0032】
こうして左右両方のキャラクタがそれぞれ正規に解読されるとバッファLBUF、RBUFのデータが合成されて1つのバーコードデータとしてホストコンピュータ10に出力される。
【0033】
また左側キャラクタについては取込んだ3つのデータが一致しなければカウンタLCTが0リセットされて再度最初から取込みを行うことになる。また右側キャラクタについては取込んだ2つのデータが一致しなければカウンタRCTが0リセットされて再度最初から取込みを行うことになる。
【0034】
こうしてキャラクタ列として成立する確率の高い左側キャラクタについてデータ比較を右側キャラクタよりも1回多くしているので、結果としてキャラクタ列として成立する確率を低くできる。従って左側キャラクタの誤読率を低くできる。また右側キャラクタはもともとキャラクタ列として成立する確率が低いので2回連続してデータが一致すれば正規のキャラクタ列と判断することで誤読率を十分に低くできる。
【0035】
こうして左右のキャラクタについてそれぞれ誤読率を低くできることになり、全体としてバーコードの誤読率を低くすることができ信頼性を向上できる。
【0036】
なお、前記実施例では左側キャラクタと右側キャラクタの一致データ回数を3回と2回にしたが必ずしもこれに限定されるものではなく、もっと多い回数であってもよい。但し、左側キャラクタの一致データ回数を右側キャラクタの一致データ回数よりも多く設定することは必要となる。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、左右にキャラクタコードを有するバーコードを、左右毎に分割読取りを行うものにおいて、左側キャラクタの誤読率を低くし、これにより全体の誤読率を下げて信頼性を向上できるバーコード読取装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す回路ブロック図。
【図2】同実施例のマイクロプロセッサによる要部処理を示す流れ図。
【図3】13桁のJANコードの構成を説明するための図。
【図4】バーコードを分割しないで読取る場合と分割して読取る場合の隣合う走査線間の角度を示す図。
【符号の説明】
9…マイクロプロセッサ、LCT、RCT…カウンタ、BUF、LBUF、RBUF…バッファ。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
・訂正事項a
平成4年4月17日付けにて出願した本件明細書に記載された特許請求の範囲の請求項1に係る記載「左右にキャラクタコードを有するバーコードを、左右毎に複数回読取り、その複数回の読取り結果が等しいときバーコード読取りデータを外部に出力するバーコード読取装置において、右側のキャラクタについてはm(但し、m≧2)回読取りそのm回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段と、左側のキャラクタについてはn(但し、n≧m)回読取りそのn回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段と、両判断手段が読取り結果の一致を判断したとき左右の読取りデータを合成して外部に出力する出力手段を設けたことを特徴とするバーコード読取装置。」を、「左右にキャラクタコードを有するバーコードを、左右毎に複数回読取り、その複数回の読取り結果が等しいときバーコード読取りデータを外部に出力するバーコード読取装置において、読取ったキャラクタの並びが全て偶数パリティである右側のキャラクタについてはm(但し、m≧2)回読取りそのm回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段と、読取ったキャラクタの並びが全て偶数パリティではない左側のキャラクタについてはn(但し、n>m)回読取りそのn回の読取り結果が一致するか否かを判断する判断手段と、両判断手段が読取り結果の一致を判断したとき左右の読取りデータを合成して外部に出力する出力手段を設けたことを特徴とするバーコード読取装置。」と訂正する。
異議決定日 2001-01-24 
出願番号 特願平4-98316
審決分類 P 1 651・ 534- YA (G06K)
P 1 651・ 121- YA (G06K)
P 1 651・ 113- YA (G06K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 梅沢 俊  
特許庁審判長 松野 高尚
特許庁審判官 金子 幸一
大橋 隆夫
登録日 1999-11-12 
登録番号 特許第3002601号(P3002601)
権利者 東芝テック株式会社
発明の名称 バーコード読取装置  
代理人 坪井 淳  
代理人 橋本 良郎  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 村松 貞夫  
代理人 坪井 淳  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 橋本 良郎  
代理人 村松 貞男  

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