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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04Q
審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  H04Q
審判 全部申し立て ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正  H04Q
審判 全部申し立て 発明同一  H04Q
管理番号 1041130
異議申立番号 異議1999-71062  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-03-16 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-03-23 
確定日 2001-02-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2801402号「自動車通信装置登録方法」の請求項1ないし30に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2801402号の請求項1ないし30に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続きの経緯
本件特許第2801402号は、その発明について、西暦1991年9月20日にアメリカ合衆国にした特許出願に基づいてパリ条約第4条の規定による優先権を主張した平成4年(1992)9月18日を国際出願日とする特許出願がされ、平成10年7月10日に特許権の設定の登録がされたものであって、その後、平成11年3月23日に三菱電機株式会社より請求項1ないし30に係る特許の全部について特許異議の申立てがされ、これにより、当審における合議の結果、同年9月27日付けで前記請求項1ないし30に係る特許の全部について取消理由が通知され、その指定期間内である平成12年4月19日に訂正請求がされたものである。

第2 訂正の適否
1 訂正の要旨
平成12年4月19日付け訂正請求に係る訂正の要旨は、訂正請求書の「(3)訂正事項」の欄に記載されたとおりの次のものである。
「A.特許請求の範囲の請求項1第3行の「セル」と「のそれぞれ」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項1第3行の「セル」と「の位置情報」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項1第4行の「セル」と「に対する」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項1第6行の「セル」と「と自動車局」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項1第6行の「セル」と「との間の距離」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項1第7行の「セル」と「の距離値」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項1第9行の「セル」と「距離値」との間に「のベース局の」の6文字、特許請求の範囲の請求項2第1行の「セル」と「位置情報」との間に「のベース局の」の6文字、特許請求の範囲の請求項2第2行の「セル」と「位置情報」との間に「のベース局の」の6文字、特許請求の範囲の請求項2第3行の「セル」と「距離値」との間に「のベース局の」の6文字、特許請求の範囲の請求項4第4行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第6行の「現在のセル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第6行の「前のセル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第8行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第9行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第10行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第11行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第12行の「セルの」と「距離値」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項5第3行の「以前の」と「ベース局」との間に「セルの」の3文字、特許請求の範囲の請求項5第5行の「以前の」と「ベース局」との間に「セルの」の3文字、特許請求の範囲の請求項7第1行の「各」と「ベース局」との間に「セルの」の3文字、特許請求の範囲の請求項8第1行の「現在のセル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項8第1行の「以前のセル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項8第10行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項8第11行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項9第2行の「現在の」と「ベース局」との間に「セルの」の3文字、特許請求の範囲の請求項10第2行の「現在の」と「ベース局」との間に「セルの」の3文字、特許請求の範囲の請求項11第1行の「セル」と「から」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項23第3行の「セルの」と「位置情報」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項23第5行の「セルの」と「送信された位置情報」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項23第7行の「現在のセル」と「と自動車局」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項23第7行の「セルの1つ」と「との間」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項23第11行の「セルの」と「距離値」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項24第3行の「セルの」と「位置情報」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項25第2行の「セル」と「位置情報」との間に「のベース局の」の6文字、特許請求の範囲の請求項26第1行の「セルの」と「前記位置情報」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項26第1行の「セルの」と「緯度」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項26第3行の「セルの」と「前記位置情報」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項26第3行の「セルの」と「緯度」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項27第1行の「セル」と「と」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項27第1行の「セル」と「との間」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項27第2行の「セルの」と「緯度」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項27第2行の「セルの」と「緯度」との間に「のベース局の」の6文字、特許請求の範囲の請求項27第4行の「セルの」と「経度」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項27第4行の「セルの」と「経度」との間に「のベース局の」の6文字、特許請求の範囲の請求項27第9行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項27第10行の「セル」と「との間」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項28第1行の「セル」と「から」との間に「のベース局」の5文字を挿入する。
B.特許請求の範囲の請求項4第5行の「およびの」を「および」と訂正する。
C.特許請求の範囲の請求項4第6行の「ベース局」と「位置」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第6行〜第7行の「ベース局」と「位置」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項5第1行の「ベース局」と「位置情報」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項5第3行の「ベース局」と「位置情報」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項5第5行〜第6行の「ベース局」と「距離値」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項7第1行の「ベース局」と「位置情報」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項9第1行の「ベース局」と「距離値」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項14第2行の「ベース局」と「位置情報」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項19第3行の「ベース局」と「位置情報」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項20第2行の「ベース局」と「位置情報」との間に「の」の1文字を挿入する。
D.特許請求の範囲の請求項4第6行の「登録された」と「前の」との間に「以」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第8行の「前記」と「前の」との間に「以」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第9行の「前記」と「前の」との間に「以」の1文字、特許請求の範囲の請求項5第1行の「前記」と「前の」との間に「以」の1文字、特許請求の範囲の請求項9第1行の「前記」と「前の」との間に「以」の1文字、特許請求の範囲の請求項23第7行の「登録した」と「前の」との間に「以」の1文字を挿入する。
E.特許請求の範囲の請求項5第5行の「前記距離値」を「前記計算された距離」と訂正する。
F.特許請求の範囲の請求項15第1行の「前記位置情報」と「に」との間に「ととも」の3文字を挿入する。
G.特許請求の範囲の請求項16第1行〜第2行の「第1のベース局の緯度と第1のベース局の経度」を「第1のベース局の緯度と経度」と訂正する。
H.特許請求の範囲の請求項17第3行〜第4行の「第1のセルベース局」を「第1のベース局」、特許請求の範囲の請求項17第5行〜第6行の「第1のセルベース局」を「第1のベース局」、特許請求の範囲の請求項22第1行の「第1のセルベース局」を「第1のベース局」、特許請求の範囲の請求項22第1行の「第2のセルベース局」を「第2のベース局」、特許請求の範囲の請求項22第10行の「第2のセルベース局」を「第2のベース局」、特許請求の範囲の請求項22第10行〜第11行の「第1のセルベース局」を「第1のベース局」と訂正する。
I.特許請求の範囲の請求項18第2行の「セル」と「の自動車局」との間に「中」の1文字を挿入する。
J.特許請求の範囲の請求項18第9行の「前記計算された距離値」を「前記計算された距離」、特許請求の範囲の請求項24第4行の「前記計算された距離値」を「前記計算された距離」と訂正する。
K.特許請求の範囲の請求項22第5行の「提供するため」と「前記第2のベース局」との間に「に」の1文字を挿入する。
L.特許請求の範囲の請求項23第3行の「前記セルの予め定められた1つのセルにおいて」を「前記複数のセルにおいて」と訂正する。
M.特許請求の範囲の請求項25第2行の「位置情報値」を「位置情報」と訂正する。
N.特許請求の範囲の請求項27第1行の「前記第1のセル」を「前記現在のセル」、特許請求の範囲の請求項27第2行の「前記第1のセル」を「前記現在のセル」、特許請求の範囲の請求項27第4行の「前記第1のセル」を「前記現在のセル」、特許請求の範囲の請求項27第9行〜第10行の「前記第1のセル」を「前記現在のセル」と訂正する。
O.特許請求の範囲の請求項27第1行の「記第2のセル」を「前記以前のセル」、特許請求の範囲の請求項27第2行の「前記第2のセル」を「前記以前のセル」、特許請求の範囲の請求項27第4行の「前記第2のセル」を「前記以前のセル」、特許請求の範囲の請求項27第9行の「前記第2のセル」を「前記以前のセル」と訂正する。
P.特許請求の範囲の請求項28第1行の「予め定められたセルグループ」を「前記決定されたセルグループ」と訂正する。
Q.特許請求の範囲の請求項29第1行の「位置情報」と「を自動車局」との間に「および距離値」の6文字を挿入する。
R.特許請求の範囲の請求項29第6行の「前記」と「距離」との間に「計算された」の5文字を挿入する。
S.特許請求の範囲の請求項29第7行の「前記」と「ベース局」との間に「現在の」の3文字を挿入する。
T.特許請求の範囲の請求項30第2行の「前記登録情報から」と「1組のベース局」との間に「前記自動車局にページングメッセージを送信する」の22文字を挿入する。」(2頁11行ないし6頁20行)
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)訂正事項Aについて
ア この訂正は、本来は、“セルのベース局”という統一語句で記載すべきところを、「セル」、「セルベース局」或いは「ベース局」という多様な語句で記載したことにより、他の記載との関係において不合理が生じているのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされているから、該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項の規定に適合するものである。
ウ 更に、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するものである。
エ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(2)訂正事項Bについて
ア 「およびの」が“および”の誤記であることは明白であるから、この訂正は、特許法第120条の4第2項第2号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされており、且つ、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものでもないことは明らかであるから、該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項ないし第3項の規定に適合するものである。
ウ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(3)訂正事項Cについて
ア この訂正は、“位置”、“位置情報”及び“距離値”について、本来は、それぞれ、“ベース局の位置”、“ベース局の位置情報”及び“ベース局の距離値”という所属関係を正しく示す語句で記載すべきところを、単に、それぞれ、「ベース局位置」、「ベース局位置情報」及び「ベース局距離値」と記載したために、その記載内容に明確さが欠けていたのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされており、且つ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであるから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項ないし第3項の規定に適合するものである。
ウ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(4)訂正事項Dについて
ア この訂正は、本来は、“以前の”という時間的概念を正しく示す語句で記載すべきところを、単に、「前の」と記載したために、その記載内容に明確さが欠けていたのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされており、且つ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであるから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項ないし第3項の規定に適合するものである。
ウ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(5)訂正事項Eについて
ア この訂正は、本来は、“前記計算された距離”という正しい受けの語句で記載すべきところを、単に、「前記距離値」と記載したため、発明の構成が技術的に不明瞭であったのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされているから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項の規定に適合するものである。
ウ 更に、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するものである。
エ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(6)訂正事項Fについて
ア この訂正は、本来は、“とともに与えられる”という組の概念を正しく示す語句で記載すべきところを、単に“に与えられる”と記載したために、その記載内容に明確さが欠けていたのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされており、且つ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであるから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項ないし第3項の規定に適合するものである。
ウ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(7)訂正事項Gについて
ア この訂正は、“1つのベース局の(位置情報である)緯度と経度”について、「第1のベース局の緯度と第1のベース局の経度」という冗長な語句で記載したために、その記載内容に曖昧さが生じていたを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされており、且つ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであるから、該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項ないし第3項の規定に適合するものである。
ウ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(8)訂正事項Hについて
ア この訂正は、「セルベース局」と記載したために、他の記載との関係において不合理が生じていたのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされているから、該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項の規定に適合するものである。
ウ 更に、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するものである。
エ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(9)訂正事項Iについて
ア この訂正は、自動車局について、本来は、“セル中の自動車局”というセルと自動車局の対応関係を明確に示す語句で記載すべきところを、単に、「セルの自動車局」と記載したために、その記載内容に明確さが欠けていたのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされており、且つ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであるから、該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項ないし第3項の規定に適合するものである。
ウ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(10)訂正事項Jについて
ア この訂正は、本来は、“前記計算された距離”という正確な受けの語句で記載すべきところを、単に、「前記計算された距離値」と記載したため、発明の構成が技術的に不明瞭であったのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされているから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項の規定に適合するものである。
ウ 更に、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するものである。
エ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(11)訂正事項Kについて
ア この訂正は、本来は、“ために”という因果関係を明確に示す語句で記載すべきところを、単に、「ため」と記載したために、その記載内容に明確さが欠けていたのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされており、且つ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであるから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項ないし第3項の規定に適合するものである。
ウ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(12)訂正事項Lについて
ア この訂正は、本来は、“前記複数のセルにおいて”という前提となるセルを正しく示す語句で記載すべきところを、「前記セルの予め定められた1つのセルにおいて」と記載したために、発明の構成が技術的に不明瞭となっていたのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされているから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項の規定に適合するものである。
ウ 更に、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるということはできず、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するものである。
エ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(13)訂正事項Mについて
ア この訂正は、本来は、“位置情報”という正しい語句で記載すべきところを、「位置情報値」と記載したため、発明の構成が技術的に不明瞭であったか又は他の記載との関係において不合理が生じているのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされているから、該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項の規定に適合するものである。
ウ 更に、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するものである。
エ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(14)訂正事項Nについて
ア この訂正は、本来は、“現在のセル”という時間的概念を明確に示す語句で記載すべきところを、単に、「第1のセル」と記載したために、その記載内容に明確さが欠けていたのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされており、且つ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであるから、該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項ないし第3項の規定に適合するものである。
ウ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(15)訂正事項Oについて
ア この訂正は、本来は、“以前のセル”という時間的概念を明確に示す語句で記載すべきところを、単に、「第2のセル」と記載したために、その記載内容に明確さが欠けていたのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされており、且つ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであるから、該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項ないし第3項の規定に適合するものである。
ウ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(16)訂正事項Pについて
ア この訂正は、本来は、“前記決定されたセルグループ”という正確な受けの語句で記載すべきところを、単に、「予め定められたセルグループ」と記載したため、発明の構成が技術的に不明瞭であったのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされているから、該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項の規定に適合するものである。
ウ 更に、この訂正は、質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するものである。
エ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(17)訂正事項Qについて
ア この訂正は、本来は、“位置情報および距離値”と正しく記載すべきところを、単に、「位置情報」と記載したため、他の記載との関係において不合理が生じているのを正すためのものであって、発明の構成が技術的に不明瞭であったのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされているから、該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項の規定に適合するものである。
ウ 更に、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するものである。
エ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(18)訂正事項Rについて
ア この訂正は、本来は、“前記計算された距離”という正確な受けの語句で記載すべきところを、単に、「前記距離」と記載したため、その記載内容に明確さが欠けていたのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされており、且つ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであるから、該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項ないし第3項の規定に適合するものである。
ウ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(19)訂正事項Sについて
ア この訂正は、本来は、“現在のベース局”という時間的概念を明確に示す語句で記載すべきところを、単に、「ベース局」と記載したために、その記載内容に明確さが欠けていたのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされており、且つ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであるから、該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項ないし第3項の規定に適合するものである。
ウ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
(20)訂正事項Tについて
ア この訂正は、本来は、“自動車局にページングメッセージを送信する1組のベース局”というグループを形成する理由を明確に示す語句で記載すべきところを、単に、「1組のベース局」と記載したために、その記載内容に明確さが欠けていたのを正すためのものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
イ また、この訂正が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされており、且つ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであるから、該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項ないし第3項の規定に適合するものである。
ウ 前記アのとおり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の適用外のものである。
3 訂正の適否についての結論
以上のとおりであって、平成12年4月19日付け訂正請求は、拒絶の理由がないから、当該訂正は認める。

第3 特許異議申立て
1 特許異議申立ての概要
特許異議申立人三菱電機株式会社は、特開平2-109431、特開昭64-68138、特開平3-117040、特公昭63-29862、特開昭58-63242、特開平3-45030各号公報を、それぞれ、甲第1号証、甲第2号証の1、同2、同3、同4、及び甲第3号証として提示すると共に、請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるか、又は、甲第1号証及び甲第2号証の1乃至4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるか、又は、甲第1号証及び甲第2号証の1乃至4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、請求項5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項7に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、請求項8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、請求項9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項11に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるか、又は、甲第1号証及び甲第2号証の1乃至4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、請求項13に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項14に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項15に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項16に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、請求項17に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、請求項18に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるか、又は、甲第1号証及び甲第2号証の1乃至4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、請求項19に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項20に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項21に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、請求項22に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、請求項23に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるか、又は、甲第1号証及び甲第2号証の1乃至4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、請求項24に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項25に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項26に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、請求項27に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、請求項28に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、請求項29に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるか、又は、甲第1号証及び甲第2号証の1乃至4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、請求項30に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、請求項1乃至30に係る特許は、いずれも、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第1項第2号に該当し、取り消されるべきものである旨主張する。
2 請求項に係る発明
請求項1ないし30に係る発明は、訂正明細書及び図面の記載からみて、「セル通信システムにおいて自動車局呼出しが減少されることのできる方法を提供すること」(明細書6頁19行ないし20行(特許公報10欄12行ないし14行参照。))又は「セル通信システムにおいてセル間の自動車局登録の分配に改良を加える自動車局登録方式を与えること」(明細書6頁22行ないし23行(特許公報10欄15行ないし17行参照。))を目的とし、それぞれ、特許請求の範囲の(1)ないし(30)に記載されたとおりの次の事項により構成されるものである。
「(1)複数のセルにより定められたセル通信システムにおける前記セル通信システムの自動車局ページングゾーンを設定する方法において、
前記セルのベース局のそれぞれにおいて各セルのベース局の位置情報および距離値を送信し、
自動車局において、その自動車局が現在位置している現在のセルのベース局に対する位置情報および距離値を受信し、
前記現在のセルのベース局と自動車局が登録した以前のセルのベース局との間の距離を計算し、
前記計算された距離が少なくとも前記以前のセルのベース局の距離値であるとき自動車局登録情報を送信し、
前記送信された自動車局登録情報から前記現在のセルのベース局の距離値に対応する前記現在のセルの距離内のセルのグループを決定することを特徴とするセル通信システムにおける自動車局ページングゾーン設定方法。
(2)前記以前のセルのベース局の位置情報および距離値を蓄積し、
前記蓄積された以前のセルのべース局の位置情報および距離値を検索し、
前記計算された距離と前記以前のセルのベース局の距離値を比較するステップをさらに有する請求項1記載の方法。
(3)前記自動車局が前記以前のセルで登録されていないとき前記自動車局登録情報を送信するステップをさらに有する請求項1記載の方法。
(4)セル通信システムにおける自動車局のページングが要求されるセルの数を減少させる方法において、
各セルのベース局から対応する位置情報および距離値を送信し、
現在のセル中に位置する時、前記現在のセルに対する前記現在のセルのべース局の位置情報および距離値を前記自動車局において受信し、
前記現在のセルのベース局の位置と前記自動車局が前に登録された以前のセルのベース局の位置との間の距離を計算し、
前記計算された距離と前記以前のセルのべース局に対応する距離値とを比較し、
前記計算された距離が前記以前のセルのベース局の距離値以上であるとき自動車局登録情報を前記現在のセルのベース局に送信し、
前記現在のセルのベース局で前記自動車局登録情報を受信し、
前記現在のセルのベース局の距離値に対応する前記現在のセルの距離内のセルグループを決定するステップを有することを特徴とする方法。
(5)非揮発性メモリ中に前記以前のセルのベース局の位置情報および距離値を蓄積し、
前記距離を計算するために前記メモリから前記蓄積された以前のセルのベース局の位置情報を検索し、
前記計算された距離と比較するために前記メモリから前記蓄積された以前のセルのベース局の距離値を検索するステップを有する請求項4記載の方法。
(6)前記自動車局がいずれかのセルで登録されているか否かを決定し、
前記自動車局がどのセルにも登録されていないことを決定したとき前記自動車局登録情報を前記現在のセルのベース局に送信するステップをさらに有する請求項4記載の方法。
(7)前記各セルのベース局の位置情報が前記各セルのベース局の緯度と経度を含んでいる請求項5記載の方法。
(8)現在のセルのベース局と以前のセルのベース局との間の前記距離を計算するステップは、
緯度の差の値を提供するために前記現在のセルのベース局の緯度と前記以前のセルのベース局の緯度との間の差を決定し、
経度の差の値を提供するために前記現在のセルのベース局の経度と前記以前のセルのベース局の経度との間の差を決定し、
前記各緯度の差の値と前記経度の差の値をそれぞれ2乗し、
前記2乗された緯度の差の値と前記2乗された経度の差の値を合計して合計値を生成し、
前記合計値の平方根を計算し、その結果が前記現在のセルのベース局と前記以前のセルのベース局との間の前記距離に対応する請求項7記載の方法。
(9)前記計算された距離が前記以前のセルのベース局の距離値以上であるとき前記メモリ中に前記現在のセルのベース局の位置情報と距離値を蓄積するステップをさらに有する請求項5記載の方法。
(10)前記自動車局がどのセルにも登録されていないことが決定されたとき前記メモリ中に前記現在のセルのベース局の位置情報および距離値を蓄積するステップをさらに有する請求項6記載の方法。
(11)前記セルのグループ内で各セルのベース局からページングメッセージを送信するステップをさらに有する請求項4記載の方法。
(12)自動車局が第1のセルで登録され、前記自動車局に前記第1のセルに位置する第1のベース局の位置情報および予め定められた距離値が与えられるセル通信システムにおける再登録方法において、
第2のセル中に位置する第2のベース局により前記第2のベース局の位置情報を前記自動車局に通信し、
前記自動車局において前記第1のベース局と前記第2のベース局との間の距離を計算し、
前記計算された距離が前記予め定められた距離値以上であるとき前記第2のセルにおいて前記自動車局により登録するステップを有することを特徴とする再登録方法。
(13)前記自動車局のメモリ中に前記第1のベース局の位置情報を蓄積し、
前記距離を計算するために前記メモリからの前記第1のベース局の位置情報を検索するステップをさらに有する請求項12記載の方法。
(14)前記計算された距離が前記予め定められた距離値以上であるとき前記メモリ中に前記第2のベース局の位置情報を蓄積するステップをさらに有する請求項13記載の方法。
(15)第2の予め定められた距離値が前記第2のベース局の前記位置情報とともに与えられる請求項12記載の方法。
(16)前記第1のベース局の前記位置情報が第1のベース局の緯度と経度を含み、
前記第2のベース局の前記位置情報が前記第2のベース局の緯度と経度を含む請求項12記載の方法。
(17)前記第1のベース局と前記第2のベース局との間の前記距離を計算するステップは、
緯度の差の値を提供するために前記第2のベース局の緯度と前記第1のベース局の緯度との間の差を決定し、
経度の差の値を提供するために前記第2のベース局の経度と前記第1のベース局の経度との間の差を決定し、
前記緯度の差の値と前記経度の差の値をそれぞれ2乗し、
前記2乗された緯度の差の値と前記2乗された経度の差の値を合計して合計値を生成し、
前記合計値の平方根を計算し、その結果が前記第2のベース局と前記第1のベース局との間の前記距離に対応する請求項16記載の方法。
(18)セル通信システムでの自動車局の登録方法において、
第1のセル中の自動車局により登録し、
前記第1のセルに位置するとき前記第1のセルに位置する第1のベース局により第1のベース局の位置情報および予め定められた距離値を前記自動車局に送信し、
前記第2のセルに位置するとき前記第2のセルに位置する第2のベース局により第2のベース局の位置情報を前記自動車局に送信し、
前記第1のベース局と前記第2のベース局との間の距離を計算し、
前記計算された距離が前記予め定められた距離値以上であるとき前記第2のセル中の前記自動車局により登録するステップを有することを特徴とするセル通信システムでの自動車局登録方法。
(19)前記自動車局のメモリ中に前記第1のベース局の位置情報および距離値を蓄積し、
前記距離を計算するために前記メモリからの前記第1のベース局の位置情報および前記距離値を検索するステップをさらに有する請求項18記載の方法。
(20)前記計算された距離が前記予め定められた距離値以上であるとき前記メモリ中に前記第2のベース局の位置情報を蓄積するステップをさらに有する請求項19記載の方法。
(21)前記第1のベース局の前記位置情報が前記第1のベース局の緯度および経度を含み、
前記第2のベース局の前記位置情報が前記第2のベース局の緯度および経度を有する請求項18記載の方法。
(22)前記第1のベース局と前記第2のベース局との間の前記距離を計算するステップは、
緯度の差の値を提供するために前記第2のベース局の緯度と前記第1のベース局の緯度との間の差を決定し、
経度の差の値を提供するために前記第2のベース局の経度と前記第1のベース局の経度との間の差を決定し、
前記緯度の差の値と前記経度の差の値をそれぞれ2乗し、
前記2乗された緯度の差の値と前記2乗された経度の差の値を合計して合計値を生成し、
前記合計値の平方根を計算し、その結果が前記第2のベース局と前記第1のベース局との間の前記距離に対応する請求項21記載の方法。
(23)複数のセルにより定められたセル通信システムにおける前記複数のセルの自動車局ページングゾーンを設定する方法において、
前記複数のセルにおいてそれぞれのセルのベース局の位置情報および予め定められた距離値を送信し、
現在のセル中に位置するとき前記現在のセルのベース局の送信された位置情報および予め定められた距離値を自動車局において受信し、
前記現在のセルのベース局と自動車局が前に登録した以前のセルの1つのベース局との間の距離を計算し、
前記計算された距離が前記予め定められた距離値以上であるとき自動車局登録情報を送信し、
前記送信された自動車局登録情報から前記現在のセルのベース局の距離値に対応する前記現在のセルの距離内のセルのグループを決定することを特徴とする複数のセルの自動車局ページングゾーン設定方法。
(24)非揮発性メモリ中に前記1つの以前のセルのベース局の位置情報および前記距離値を蓄積し、
距離を計算するため前記メモリから前記以前のセルのベース局の位置情報を検索し、
前記計算された距離と比較するために前記メモリから前記予め定められた距離値を検索するステップをさらに有する請求項23記載の方法。
(25)前記計算された距離が前記予め定められた距離値以上であるとき前記メモリ中に前記現在のセルのベース局の位置情報を蓄積するステップをさらに有する請求項24記載の方法。
(26)前記以前のセルのベース局の前記位置情報が前記以前のセルのベース局の緯度および経度を含み、
前記現在のセルのベース局の前記位置情報が前記現在のセルのベース局の緯度および経度を含む請求項25記載の方法。
(27)前記現在のセルのベース局と前記以前のセルのベース局との間の距離を計算するステップが、
緯度の差の値を提供するために前記以前のセルのベース局の緯度と前記現在のセルのベース局の緯度との間の差を決定し、
経度の差の値を提供するためこ前記塾前のセルのベース局の経度と前記現在のセルのベース局の経度との間の差を決定し、
前記緯度の差の値と前記経度の差の値をそれぞれ2乗し、
前記2乗された緯度の差の値と前記2乗された経度の差の値を合計して合計値を生成し、
前記合計値の平方根を計算し、その結果が前記以前のセルのベース局と前記現在のセルのベース局との間の前記差に対応する請求項26記載の方法。
(28)前記決定されたセルグループ内における各セルのベース局からページングメッセージを送信するステップをさらに有する請求項23記載の方法。
(29)位置情報および距離値を自動車局に提供し、それぞれセルを規定する複数のベース局と、
前記セルの対応する1つの内に位置しているとき前記各ベース局から位置情報および距離値を受信し、前記複数のベース局の第1のベース局に対して登録情報を提供し、前記位置情報に基づいて、前記複数のベース局の前記第1のベース局と前記複数のベース局の現在のベース局との間の距離を計算し、前記計算された距離が第1のベース局からの距離値を越えた場合に、前記現在のベース局に対して登録情報を提供する自動車局とを具備することを特徴とするセル通信システム。
(30)前記複数のベース局の各ベース局により提供される登録情報を受信し、前記自動車局のページンググループを形成するために前記登録情報から前記自動車局にページングメッセージを送信する1組のベース局を決定するシステム制御装置をさらに具備する請求項29記載のシステム。」
3 甲号証に記載された発明ないし技術事項
(1)甲第1号証について
ア 甲第1号証の特開平2-109431号公報(平成2年4月23日特許庁発行)には、移動局による位置登録の頻度を減少させかつ効率的な着信呼出しを行う移動無線通信方式に関する発明が記載されており、これについて、次の各事項が図面と共に記載されている。
a「第6図に示すように、移動局3aが呼出しエリアの境界線付近に存在し、呼出しエリア移行を繰り返し行った場合、従来の方式では、無線制御局への位置登録を繰り返し行う欠点があった。特に移動局数が増大した場合、位置登録頻度の増大は無線回線における上りの制御チャネルを占領することになって、制御チャネルを使用できない問題が生じる。
本発明は、上述の従来の位置登録制御方式の欠点を解決するもので、呼出しエリアを移動局の初期存在位置を中心としてその周辺無線ゾーンに設定することにより、移動局の呼出しエリア移行の頻度を減少させ、呼出しエリアを広域化せずに位置登録の頻度を減少させることができる位置登録制御方式を提供することを目的とする。」(2頁左下欄2行ないし右下欄2行)
b「第2図および第3図は、本発明の第一の実施例における移動局ごとに呼出しエリアを設定するサービスエリア構成例を示す図である。サービスエリアは複数の呼出しエリアで構成され、実線が呼出しエリアを示し、点線内が呼出しエリアを構成する複数の無線ゾーンを示している。」(3頁左上欄14行ないし19行)
c「まず、移動局3aは、電源投入時に制御チャネルの複数の周波数を順次受信し、受信電界強度を比較して在圏無線ゾーンを判定する。移動局3aは、その基地局2gの無線ゾーンに在圏することからその基地局2gの無線ゾーンの上りの制御チャネルで移動局番号と在圏無線ゾーン番号を基地局2g宛てに送信し、基地局2gから無線制御局1aに伝達される。無線制御局1aは、移動局3aの位置情報を受信し、移動局3aの呼出しエリアを設定し、自己のホームメモリに記憶する。」(3頁右上欄7行ないし19行)
d「第2図において、無線制御局1aから移動局3aへ着信情報を送信する場合、上述のホームメモリに記憶された呼出しエリアを参照し、移動局3aの呼出しエリア内の基地局2a〜2fにより、各無線ゾーン内の下りの制御チャネルで着信情報を送信する。」(3頁左下欄3行ないし7行)
e「移動局3aは、無線ゾーン移行を行う場合、移行先の無線ゾーンが呼出しエリア内であるかの判定を行い、呼出しエリアを越えて移動する場合は再び上述の方法で無線制御局に対して位置登録を行う。移動局3aが第2図に示す実線で示されるような移動を行った場合には、移動局3aは、5の地点で、無線制御局1aに対し位置登録を行い、新たに第3図に示すような呼出しエリアが設定される。」(3頁左下欄13行ないし20行)
f「上記実施例では、移動局3aの電源投入時は必ず位置登録する方法を示したが、これを省略することができる。すなわち、移動局3aの電源を断としたときに、無線制御局1aのホームメモリ内の移動局3aの位置情報と移動局メモリ内の呼出し情報を消去せずに維持し、移動局が電源投入したときに在圏無線ゾーンを判定し、メモリ内の呼出しエリアに含まれていれば再度の位置登録は行わず、呼出しエリア外であれば、上記実施例と同様の方法により、移動局3aの位置登録を行う。」(3頁右下欄4行ないし13行)
g「上記の在圏無線ゾーンの識別コードにより、移動局が呼出しエリアを判別して位置登録を行う場合…(中略)…、移動局3aの呼出しエリアを、移動局3aが位置登録を行った無線ゾーンから一定距離内に存在する無線ゾーンで構成し、呼出しエリアをほぼ円形に設定する。」(4頁左上欄7行ないし13行)
h「無線ゾーンの位置を示すために2次元の座標等を用い、その座標を無線ゾーンの識別コードとして、下りの制御チャネルで移動局3aに報知する。」(4頁左上欄13行ないし16行)
i「移動局3aは位置登録したときの無線ゾーンの識別コードを記憶し、無線ゾーン移行を行った場合、移行先の無線ゾーン識別コードを受信し、2つの無線ゾーンの識別コードを演算して、その無線ゾーン間の距離を算出する。その算出された無線ゾーン間距離から移行先の無線ゾーンが呼出しエリア内であるかの判定を行い、呼出しエリアを越えて移動する場合に位置登録を行う。」(4頁左上欄16行ないし右上欄4行)
j「第5図は、基地局の2次元座標で各無線ゾーンの位置を示した例である。呼出しエリアの半径を基地局間距離で「2」と設定した場合、基地局2a(4,4)で位置登録を行った移動局3aの呼出しエリアは、基地局2aを中心して半径「2」の円6内の基地局2a〜2fの無線ゾーン(図の実線内)となる。移動局3aが基地局2b(3,3)の無線ゾーンへ移動した場合、再度の位置登録は行わず、基地局2f(5,6)の無線ゾーンへ移動した場合、基地局2aからの距離が「2」を越えるため位置登録を行う。」(4頁右上欄5行ないし15行)
k「第7図に本発明の効果を従来例と比較した結果を示す。…(中略)…この図で6a、6bは従来方式で、…(中略)…7a、7bは、本発明方式で、…(中略)…各々aは、平均移動速度20km/時、bは10km/時であり、」(4頁右上欄末行ないし左下欄9行)
イ そこで、甲第1号証に記載された前記事項を、それぞれ、請求項1、4、12、18、23及び29に係る発明に準じて整理すれば、甲第1号証には、呼出しエリアを移動局の初期存在位置を中心としてその周辺無線ゾーンに設定することにより、移動局の呼出しエリア移行の頻度を減少させ、呼出しエリアを広域化せずに位置登録の頻度を減少させることができる位置登録制御方式を提供することを目的とし、それぞれ、次の事項により構成される刊行物発明1ないし6が記載されているということができる。
A 刊行物発明1
複数の無線ゾーンにより定められた移動無線通信方式における前記移動無線通信方式の(平均速度10〜20km/時に実質的に自動車局とみなされる)移動局呼出しエリアを設定する方法において、
前記無線ゾーンの基地局のそれぞれにおいて各無線ゾーンの2次元座標を送信し、
移動局において、その移動局が現在位置している現在の無線ゾーンの2次元座標を受信し、
前記現在の無線ゾーンと移動局が登録した以前の無線ゾーンとの間の距離を計算し、
前記計算された距離が少なくとも呼出しエリアの半径(を示す値)であるとき(移動局番号と在圏無線ゾーン番号からなる)移動局位置登録(情報)を送信し、
前記送信された移動局位置登録(情報)から呼出しエリアの半径(を示す値)に対応する前記現在の無線ゾーンの距離内の無線ゾーンのグループを決定する移動無線通信方式における移動局呼出しエリア設定方法
B 刊行物発明2
移動無線通信方式における(平均移動速度10〜20km/時の実質的に自動車局とみなされる)移動局の呼出しが要求される無線ゾーンの数を減少させる方法において、
各無線ゾーンの基地局から対応する2次元座標を送信し、
現在の無線ゾーン中に位置する時、前記現在の無線ゾーンの2次元座標を前記移動局において受信し、
前記現在の無線ゾーンの2次元座標と前記移動局が前に登録された以前の無線ゾーンの2次元座標との間の距離を計算し、
前記計算された距離と呼出しエリアの半径(を示す値)とを比較し、
前記計算された距離が前記呼出しエリアの半径以上であるとき(移動局番号と在圏無線ゾーン番号とからなる)移動局位置登録(情報)を前記現在の無線ゾーンの基地局に送信し、
前記現在の無線ゾーンの基地局で前記移動局位置登録を受信し、
前記呼出しエリアの半径に対応する前記現在の無線ゾーンの距離内の無線ゾーンのグループを決定するステップを有する方法
C 刊行物発明3
(平均移動速度10〜20km/時の実質的に自動車局とみなされる)移動局が第1の無線ゾーンで登録され、前記移動局に前記第1の無線ゾーンの2次元座標が与えられる移動無線通信方式における再登録方法において、
第2の無線ゾーン中に位置する第2の基地局により前記第2の無線ゾーンの2次元座標を前記移動局に通信し、
前記移動局において前記第1の無線ゾーンと前記第2の無線ゾーンとの間の距離を計算し、
前記計算された距離が呼出しエリアの半径(を示す値)以上であるとき前記第2の無線ゾーンにおいて前記移動局により登録するステップを有する再登録方法
D 刊行物発明4
移動無線通信方式での(平均移動速度10〜20km/時の実質的に自動車局とみなされる)移動局の登録方法において、
第1の無線ゾーン中の移動局により登録し、
前記第1の無線ゾーンに位置するとき前記第1の無線ゾーンに位置する第1の基地局により第1の無線ゾーンの2次元座標を前記移動局に送信し、
前記第2の無線ゾーンに位置するとき前記第2の無線ゾーンに位置する第2の基地局により第2の無線ゾーンの2次元座標を前記移動局に送信し、
前記第1の無線ゾーンと前記第2の無線ゾーンとの間の距離を計算し、
前記計算された距離が呼出しエリアの半径(を示す値)以上であるとき前記第2の無線ゾーン中の前記移動局により登録するステップを有する移動無線通信方式での移動局登録方法
E 刊行物発明5
複数の無線ゾーンにより定められた移動無線通信方式における前記複数の無線ゾーンの(平均移動速度10〜20km/時の実質的に自動車局とみなされる)移動局呼出しエリア設定方法において、
前記複数の無線ゾーンにおいてそれぞれの無線ゾーンの2次元座標を送信し、
現在の無線ゾーン中に位置するとき前記現在の無線ゾーンの送信された2次元座標を移動局において受信し、
前記現在の無線ゾーンと移動局が前に登録した以前の無線ゾーンとの間の距離を計算し、
前記計算された距離が呼出しエリアの半径(を示す値)以上であるとき(移動局番号と在圏無線ゾーン番号からなる)移動局位置登録(情報)を送信し、
前記送信された移動局位置登録から前記呼出しエリアの半径に対応する前記現在の無線ゾーンの距離内の無線ゾーンのグループを決定する複数の無線ゾーンの移動局呼出しエリア設定方法
F 刊行物発明6
2次元座標を(平均移動速度10〜20km/時の実質的に自動車局とみなされる)移動局に提供し、それぞれ無線ゾーンを規定する複数の基地局と、
前記無線ゾーンの対応する1つの内に位置しているとき前記各基地局から2次元座標を受信し、前記複数の基地局の第1の基地局に対して(移動局番号と在圏無線ゾーン番号からなる)移動局位置登録(情報)を提供し、前記2次元座標に基づいて、前記複数の無線ゾーンの前記第1の無線ゾーンと前記複数の無線ゾーンの現在の無線ゾーンとの間の距離を計算し、前記計算された距離が第1の無線ゾーンからの呼出しエリアの半径(を示す値)を越えた場合に、前記現在の基地局に対して(移動局番号と在圏無線ゾーン番号からなる)移動局位置登録(情報)を提供する移動局とを具備する移動無線通信方式
(2)甲第2号証の1について
甲第2号証の1の特開昭64-68138号公報(昭和64年3月14日特許庁発行)には、基地局送受信機台数の節減及び周波数の有効利用を図るための移動通信におけるトラヒック制御方法に関する発明が記載されており、これについて、次の事項が記載されている。
l「本発明は、あるゾーンが時間的なトラヒックピーク状態にあるとき、そのゾーンのゾーン半径を実効的に縮小することにより、トラヒックの一部を周辺ゾーンで負担させる。そしてこのことを最も主要な特徴とする。」(2頁右上欄17行ないし左下欄1行)
(3)甲第2号証の2について
甲第2号証の2の特開平3-117040号公報(平成3年5月17日特許庁発行)には、各無線基地局の無線回線の呼損率を平滑化する移動体通信のトラヒック制御方式に関する発明が記載されており、これについて、次の事項が図面と共に記載されている。
m「このことは、この後使用率が上がる可能性が大きいので、トラヒック制御を行い、第6図(b)で示すように、無線基地局BS2の制御ゾーンCZ2を、無線基地局BS1側に広げるよう制御している。」(4頁右下欄7行ないし11行)
(4)甲第2号証の3について
甲第2号証の3の特公昭63-29862号公報(昭和63年6月15日特許庁発行)には、隣接基地局の設備に融通性を持たせ、接続率および設備の利用率を高めた移動無線方式に関する発明が記載されており、これについて、次の事項が図面と共に記載されている。
n「基地局2のサービスエリアは、第2図の境界点18,23から境界点20,22へ移動することにより、標準サービスエリア5から縮小サービスエリア7へ縮小される。一方、基地局1,3のサービスエリアは、境界線10まで拡大されることになり、基地局2の標準サービスエリア5の周辺部に存在する移動局は隣接するサービスエリアに分散され、基地局2の負荷が軽減される。」(4欄28行ないし35行)
(5)甲第2号証の4について
甲第2号証の4の特開昭58-63242号公報(昭和58年4月15日特許庁発行)には、多数の携帯電話加入者が収容可能な移動通信方式に関する発明が記載されており、これについて、次の事項が記載されている。
o「トラヒックの高い地域ではゾーンを細かく分割することが考えられる。」(1頁左下欄末行ないし右下欄2行)
(6)甲第3号証について
甲第3号証の特開平3-45030号公報(平成3年2月26日特許庁発行)には、ナビゲーションシステム専用の基地局を必要とせずにナビゲーションシステムを構成することのできる基地局装置及び移動局装置並びにそれらを用いた移動通信システムに関する発明が記載されており、これについて、次の事項が図面と共に記載されている。
p「各MBSより個別に通信される個別情報に、各MBSの位置情報(例えば緯度情報及び経度情報、以下緯経度情報という)、後述する地物情報、アンテナ高さ及び実効周波数出力手段(ERP)情報を付加させておく。」(3頁左下欄1行ないし5行)
4 請求項に係る特許の是非について
(1)請求項1に係る特許について
ア ここで、前記3(1)イAに認定の刊行物発明1を、請求項1に係る発明の表現を借りて同定すると、刊行物発明1の「無線ゾーン」、「(平均移動速度10〜20km/時の実質的に自動車局とみなされる)移動局」、「呼出しエリア」、「基地局」、「2次元座標」、「呼出しエリアの半径(を示す値)」及び「(移動局番号と在圏無線ゾーン番号とからなる)移動局位置登録(情報)」は、それぞれ、請求項1に係る発明の「セル」、「自動車局」、「ページングゾーン」、「ベース局」、「位置情報」、「距離値」及び「自動車局登録情報」に相当し、また、刊行物発明1は、請求項1に係る発明と同様に、セル通信システムにおける自動車局ページングゾーン設定方法に関するものであるから、以上総合すれば、刊行物発明1は、セル通信システムにおいて自動車局呼出しが減少されることのできる方法を提供すること又はセル通信システムにおいてセル間の自動車局登録の分配に改良を加える自動車局登録方式を与えることを目的とし、次の事項により構成されるものであるということができる。
複数のセルにより定められたセル通信システムにおける前記セル通信システムの自動車局ページングゾーンを設定する方法において、
前記セルのベース局のそれぞれにおいて各セルの位置情報を送信し、
前記自動車局において、その自動車局が現在位置している現在のセルの位置情報を受信し、
前記現在のセルと自動車局が登録した以前のセルとの間の距離を計算し、
前記計算された距離が少なくとも距離値であるとき自動車局登録情報を送信し、
前記送信された自動車局登録情報から距離値に対応する前記現在のセルの距離内のセルのグループを決定するセル通信システムにおける自動車局ページングゾーン設定方法
イ 前記2(1)における認定及び前記同定から、少なくとも、両者は、請求項1に係る発明においては、セルのベース局の位置情報のみならず、該ベース局の距離値も、セルのベース局のそれぞれから自動車局に送信されるのに対して、刊行物発明1においては、セルの位置情報のみが、セルのベース局のそれぞれから自動車局に送信されるに留まる点で相違すること、則ち、刊行物発明1が、少なくとも、請求項1に係る発明を構成する事項である「セルのベース局のそれぞれにおいて各セルのベース局の位置情報および距離値を送信」し、且つ、「自動車局において、その自動車局が現在位置している現在のセルのベース局に対する位置情報および距離値を受信」する点を備えていないことは明らかであるから、請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ また、前記甲第1号証及び甲第2号証の1ないし4の記載を総合判断しても、当業者が前記の点について容易に想到実施し得たとする理由も見当たらないから、請求項1に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証の1ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるとすることもできない。
エ 前記の点に関して、特許異議申立人は、特許異議申立書において、次の主張をする。
(ア)主張の1(実質的開示の主張)
「構成要件(B)の「前記セルのそれぞれにおいて各セルの位置情報および距離を送信し、」、および構成要件(C)の「自動車局において、その自動車局が現位置している現在のセルに対する位置情報および距離値を受信し、」に記載された「距離値の送信」等については、甲第1号証の第4頁右上欄第6行目乃至同15行目に「第5図は、基地局の2次元座標で各無線ゾーンの位置を示した例である。呼出しエリアの半径を基地局間距離で「2」と設定した場合、基地局2(4,4)で位置登録を行った移動局3aの呼出しエリアは、基地局2aを中心にして半径「2」の円6内の基地局2a〜2fの無線ゾーン(図の実線内)となる。移動局3aが基地局2b(3,3)の無線ゾーンへ移動した場合、再度の位置登録は行わず、基地局2f(5,6)の無線ゾーンへ移動した場合、基地局2aからの距離が「2」を越えるため位置登録を行う。」と記載されている。すなわち、算出された無線ゾーン(セル)間距離から呼出しエリア(ページングエリア)であるかどうかが判定される具体的な方法として、算出された無線ゾーン(セル)間距離が、少なくとも基地局(セルベース局)2aを中心とする基地局(セルベース局)間距離で設定された半径「2」(距離値)内であるときは再度の位置登録は行わず、基地局からの距離が半径「2」(距離値)を越える場合は位置登録を行う点が記載されている。このように「距離値」については甲第1号証に明示されており、一方、「距離値を送信する」点については必ずしも明確ではない。
しかし、甲第1号証第4頁左上欄第14行目乃至第16行目には「その座標を無線ゾーンの識別コードとして下りの制御チャネルで移動局3aに報知する。」と記載され、また、同頁右上欄第16行目乃至第19行目には「また以上説明した方法の他に、移動局が無線ゾーンの位置関係をメモリ内に記憶し、これに基づいて位置登録の必要性を判定する方法も可能である。」と記載されている。すなわち、位置情報は基地局から送信してもよいし、移動局(自動車局)のメモリ内に記憶しておいてもよいことが記載されている。したがって、位置情報を基地局から送信してもよいし、移動局(自動車局)のメモリ内に記憶してもよいならば、距離値についても基地局から送信してもよいし移動局(自動車局)のメモリ内に記憶してもよいことは明白である。したがって、甲第1号証には、距離値を送信する点も送信しない点も両者が開示されているとみるべきである。してみれば、甲第1号証には距離値を送信する点(構成要件(B))が実質的に開示されていることになる。距離値を受信する点(構成要件(C))についても、上述と同様に実質的に開示されている。
以上より、本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に実質的に記載された発明である。」(53頁23行ないし54頁28行)
(イ)主張の2(容易想到の主張)
「次に、上述の証拠との対比において、異議申立人は、甲第1号証に本件発明はすべて開示されているものと確信するが、百歩譲って「距離値の送信」の開示がないとした場合でも、以下に述べるように甲第1号証と甲第2号証の1乃至4とを組合せ用いることにより、本件発明は当業者が容易に想到し得る発明である。すなわち、甲第2号証の1の第2頁右上欄第17行目乃至同左下欄第1行目に「本発明は、あるゾーンが時間的なトラヒックピーク状態にあるとき、そのゾーンのゾーン半径を実効的に縮小することにより、トラヒックの-部を周辺ゾーンで負担させる。」と記載されている。すなわち、トラヒックに応じてゾーンの半径が縮小する点が記載されている。甲第2号証の2の第4頁右下欄第7行目乃至同第11行目に「このことは、この後使用率が上がる可能性が大きいので、トラヒック制御を行い、第6図(b)で示すように、無線基地局BS2の制御ゾーンCZ2を、無線基地局BS1側に広げるよう制御している。」と記載されている。すなわち、トラヒック制御によりゾーンが広がる点が記載されている。甲第2号証の3の第2頁第4欄第28行目乃至同第31行目に「基地局2のサービスエリアは、第2図の境界点18,23から境界点20,22へ移動することにより、標準サービスエリア5から縮小サービスエリア7へ縮小される。」と記載されている。すなわち、サービスエリアが縮小される点が記載されている。甲第2号証の4の第1頁左欄第20行目乃至同右欄第2行目に「トラヒックの高い地域ではゾーンを細かく分割することが考えられる。」と記載されている。すなわち、トラヒックによってはゾーンのサイズが異なる点が記載されている。したがって、甲第2号証の1乃至4にトラヒックに応じてページシグゾーンを可変とする構成が記載されており、ページングゾーンを固定とするか可変とするかは本件特許の出願時において周知の技術である。
ここで、位置情報と距離とを用いてページングゾーンを設定する甲第1号証の発明において、このページングソーンを甲第2号証開示の周知技術により可変ページングゾーンとすることは単なる設計変更事項に過ぎず、可変ページングゾーンとした場合に距離値を送信するか否かも何ら発明性が伴うものではない。すなわち、甲第1号証の第2頁左下欄第17行目乃至右下欄第2行目に記載されているように、甲第1号証に係る発明の目的は、「呼出しエリアを移動局の初存在位置を中心としてその周辺無線ゾーンに設定することにより、移動局の呼出しエリア移行の頻度を減少させ、呼出しエリアを広域化せずに位置登録の頻度を減少させることができる位置登録制御方式を提供することにある。
以上のように、ページングソーンを可変とすると自ずと距離値も可変となることは周知であり、この可変の距離値を移動局側に持たせることはシステム上きわめて複雑になることを考慮すれば、距離値を送信することは、技術的必然の選択に過ぎない。したがって本件発明は甲第1号証と甲第2号証の1乃至4とを組み合わせることにより、当業者が容易に想到し得る発明である。」(54頁末行ないし56頁7行)
(ウ)主張の3(作用効果なしの主張)
「なお、本件発明のトラヒックを減少する旨の効果に関し、2つのパラメータの位置情報と距離値とを送信する本件発明のトラヒックは、少なくとも距離値を送信しない場合のトラヒックより距離値を送信する分だけ悪くなることは自明であり、このことからも距離値を送信することに何ら発明性はない。」(56頁8行ないし11行)
オ そこで、特許異議申立人の前記主張について検討する。
(ア)主張の1(実質的開示の主張)について
特許異議申立人の主張するように、甲第1号証に、請求項1に係る発明の「距離値」に相当する「呼出しエリアの半径(を示す情報)」に関すること、並びに、請求項1に係る発明の「位置情報」に相当する「2次元座標」について、基地局から移動局に送信する方法以外に移動局内に記憶しておく方法のあることが記載されていることは認められるが、これにより、直ちに、甲第1号証に、前記「呼出しエリアの半径」について、“基地局から移動局に送信する”ことが開示されているとすることは、論理に飛躍があり、採用できない。
(イ)主張の2(容易想到の主張)について
(i)特許異議申立人の主張するように、甲第2号証の1ないし4に、ゾーン或いはサービスエリアの大きさをトラヒックの状況に応じて変更することが記載されていることは認められるが、前記甲第2号証の1ないし4に記載されているのは、「セル」自体の大きさを変更することであり、請求項1に係る発明におけるような“複数のセルからなるページングゾーン”の大きさを変更することではない。
(ii)してみると、特許異議申立人の「ページングゾーンも可変とすると自ずと距離値も可変となる」(56頁3行)との主張には理由がないというしかないから、特許異議申立人の前記主張に続く「この可変の距離値を移動局側に持たせることはシステム上きわめて複雑になることを考慮すれば、距離値を送信することは、技術的必然性の選択に過ぎない」(56頁4行ないし6行)との主張は、もはや根拠を欠くものであって、採用する余地がない。
(ウ)主張の3(作用効果なしの主張)について
特許異議申立人の主張するように、“位置情報と距離値の双方を送信する”ことによる方が、“位置情報のみを送信する”ことによるよりもトラヒックの量が多くなることは認められるが、このことのみをもって、直ちに、請求項1に係る発明について、発明性がないとすることはできない。
即ち、請求項1に係る発明は、該セルのベース局の位置情報のみならず、距離値も、セルのベース局のそれぞれから自動車局に送信するという構成を採ることにより、システム側が、その時のページングゾーンの呼の状況を考慮した自動車局ページングゾーンの設定をすることが可能となり、それによって、前掲の「セル通信システムにおいて自動車局呼出しが減少されることのできる方法を提供すること」又は「セル通信システムにおいてセル間の自動車局登録の分配に改良を加える自動車局登録方式を与えること」という目的を達成しようとするものであるからである。
カ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
キ また、他に、請求項1に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(2)請求項2に係る特許について
ア 請求項2は、請求項1を引用するものである。
イ そして、請求項1に係る発明については、前記(1)に認定したとおりであるから、請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項2に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項2に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(3)請求項3に係る特許について
ア 請求項3は、請求項1を引用するものである。
イ そして、請求項1に係る発明については、前記(1)に認定したとおりであるから、請求項3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項3に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項3に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(4)請求項4に係る特許について
ア ここで、前記3(1)イBに認定の刊行物発明2を、請求項4に係る発明の表現を借りて同定すると、刊行物発明2の「無線ゾーン」、「(平均移動速度10〜20km/時の実質的に自動車局とみなされる)移動局」、「呼出しエリア」、「基地局」、「2次元座標」、「呼出しエリアの半径(を示す値)」及び「(移動局番号と在圏無線ゾーン番号とからなる)移動局位置登録(情報)」は、それぞれ、請求項4に係る発明の「セル」、「自動車局」、「ページングゾーン」、「ベース局」、「位置情報」、「距離値」及び「自動車局登録情報」に相当し、また、刊行物発明2は、請求項4に係る発明と同様に、セル通信システムにおける自動車局のページングが要求されるセルの数を減少させる方法に関するものであるから、以上総合すれば、刊行物発明2は、セル通信システムにおいて自動車局呼出しが減少されることのできる方法を提供すること又はセル通信システムにおいてセル間の自動車局登録の分配に改良を加える自動車局登録方式を与えることを目的とし、次の事項により構成されるものであるということができる。
セル通信システムにおける自動車局のページングが要求されるセルの数を減少させる方法において、
各セルのベース局から対応する位置情報を送信し、
現在のセル中に位置する時、前記現在のセルの位置情報を前記自動車局において受信し、
前記現在のセルの位置と前記自動車局が前に登録された以前のセルの位置との間の距離を計算し、
前記計算された距離と距離値とを比較し、
前記計算された距離が前記距離値以上であるとき自動車局登録情報を前記現在のセルのベース局に送信し、
前記現在のセルのベース局で前記自動車局登録情報を受信し、
前記距離値に対応する前記現在のセルの距離内のセルグループを決定するステップを有する方法
イ 前記2(4)における認定及び前記同定から、少なくとも、両者は、請求項4に係る発明においては、セルのベース局の位置情報のみならず、該ベース局の距離値も、各セルのベース局から自動車局に送信されるのに対して、刊行物発明2においては、セルの位置情報のみが、各セルのベース局から自動車局に送信されるに留まる点で相違すること、則ち、刊行物発明2が、少なくとも、請求項4に係る発明を構成する事項である「各セルのベース局から対応する位置情報および距離値を送信」し、且つ、「現在のセルに位置する時、前記現在のセルに対する前記現在のセルのベース局の位置情報および距離値を前記自動車局において受信」する点を備えていないことは明らかであるから、請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ また、前記甲第1号証及び甲第2号証の1ないし4の記載を総合判断しても、当業者が前記の点について容易に想到実施し得たとする理由も見当たらないから、請求項4に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証の1ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるとすることもできない。
エ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項4に係る特許を取り消すことはできない。
オ また、他に、請求項4に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(5)請求項5に係る特許について
ア 請求項5は、請求項4を引用するものである。
イ そして、請求項4に係る発明については、前記(4)に認定したとおりであるから、請求項5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項5に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項5に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(6)請求項6に係る特許について
ア 請求項6は、請求項4を引用するものである。
イ そして、請求項4に係る発明については、前記(4)に認定したとおりであるから、請求項6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項6に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項6に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(7)請求項7に係る特許について
ア 請求項7は、請求項4を引用する請求項5を引用するものである。
イ そして、請求項5に係る発明については、前記(5)に認定したとおりであり、また、前記3(6)に認定したとおり、甲第3号証には、各基地局(MBS)の位置情報を経度情報及び緯度情報の形で、各基地局から移動局に送信することが記載されているに過ぎないから、結局のところ、請求項7に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項7に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項7に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(8)請求項8に係る特許について
ア 請求項8は、請求項4を引用する請求項5を更に引用する請求項7を引用するものである。
イ そして、請求項7に係る発明については、前記(7)に認定したとおりであり、また、特許異議申立人の主張する周知技術も、ピタゴラスの定理を用いて直角三角形の斜辺の長さを用いて求めるというものに過ぎないから、結局のところ、請求項8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項8に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項8に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(9)請求項9に係る特許について
ア 請求項9は、請求項4を引用する請求項5を引用するものである。
イ そして、請求項5に係る発明については、前記(5)に認定したとおりであるから、請求項9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項9に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項9に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(10)請求項10に係る特許について
ア 請求項10は、請求項4を引用する請求項6を引用するものである。
イ そして、請求項6に係る発明については、前記(6)に認定したとおりであるから、請求項10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項10に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項10に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(11)請求項11に係る特許について
ア 請求項11は、請求項4を引用するものである。
イ そして、請求項4に係る発明については、前記(4)に認定したとおりであるから、請求項11に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項11に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項11に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(12)請求項12に係る特許について
ア ここで、前記3(1)イCに認定の刊行物発明3を、請求項12に係る発明の表現を借りて同定すると、刊行物発明3の「(平均移動速度10〜20km/時の実質的に自動車局とみなされる)移動局」、「無線ゾーン」、「基地局」、「2次元座標」及び「呼出しエリアの半径(を示す値)」は、それぞれ、請求項12に係る発明の「自動車局」、「セル」、「ベース局」、「位置情報」及び「予め定められた距離値」に相当し、また、刊行物発明3は、請求項12に係る発明と同様に、セル通信システムにおける再登録方法に関するものであるから、以上総合すれば、刊行物発明2は、セル通信システムにおいて自動車局呼出しが減少されることのできる方法を提供すること又はセル通信システムにおいてセル間の自動車局登録の分配に改良を加える自動車局登録方式を与えることを目的とし、次の事項により構成されるものであるということができる。
自動車局が第1のセルで登録され、前記自動車局に前記第1のセルの位置情報が与えられるセル通信システムにおける再登録方法において、
第2のセル中に位置する第2のベース局により前記第2のセルの位置情報を前記自動車局に通信し、
前記自動車局において前記第1のセルと前記第2のセルとの間の距離を計算し、
前記計算された距離が予め定められた距離値以上であるとき前記第2のセルにおいて前記自動車局により登録するステップを有する再登録方法
イ 前記2(12)における認定及び前記同定から、少なくとも、両者は、請求項12に係る発明においては、自動車局があるセルで登録される際には、前記登録されたセルに位置するベース局の位置情報および予め定められた距離値が、前記自動車局に与えられるのに対して、刊行物発明3においては、自動車局があるセルで登録される際には、前記登録されたセルの位置情報のみが、前記自動車局に与えられるに留まる点で相違すること、即ち、刊行物発明3が、少なくとも、請求項12に係る発明を構成する事項である「自動車局が第1のセルで登録され、前記自動車局に前記第1のセルに位置する第1のベース局の位置情報および予め定められた距離値が与えられる」点を備えていないことは明らかであるから、請求項12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ また、前記甲第1号証及び甲第2号証の1ないし4の記載を総合判断しても、当業者が前記の点について容易に想到実施し得たとする理由も見当たらないから、請求項12に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証の1ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるとすることもできない。
エ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項12に係る特許を取り消すことはできない。
オ また、他に、請求項12に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(13)請求項13に係る特許について
ア 請求項13は、請求項12を引用するものである。
イ そして、請求項12に係る発明については、前記(12)に認定したとおりであるから、請求項13に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項13に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項13に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(14)請求項14に係る特許について
ア 請求項14は、請求項12を引用する請求項13を引用するものである。
イ そして、請求項13に係る発明については、前記(13)に認定したとおりであるから、請求項14に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項14に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項14に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(15)請求項15に係る特許について
ア 請求項15は、請求項12を引用するものである。
イ そして、請求項12に係る発明については、前記(12)に認定したとおりであるから、請求項15に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項15に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項15に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(16)請求項16に係る特許について
ア 請求項16は、請求項12を引用するものである。
イ そして、請求項12に係る発明については、前記(7)に認定したとおりであり、また、前記3(6)に認定したとおり、甲第3号証には、各基地局(MBS)の位置情報を経度情報及び緯度情報の形で、各基地局から移動局に送信することが記載されているに過ぎないから、結局のところ、請求項16に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項16に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項16に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(17)請求項17に係る特許について
ア 請求項17は、請求項12を引用する請求項16を引用するものである。
イ そして、請求項16に係る発明については、前記(16)に認定したとおりであり、また、特許異議申立人の主張する周知技術も、ピタゴラスの定理を用いて直角三角形の斜辺の長さを用いて求めるというものに過ぎないから、結局のところ、請求項17に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項17に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項17に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(18)請求項18に係る特許について
ア ここで、前記3(1)イDに認定の刊行物発明4を、請求項18に係る発明の表現を借りて同定すると、刊行物発明4の「(平均移動速度10〜20km/時の実質的に自動車局とみなされる)移動局」、「無線ゾーン」、「基地局」、「2次元座標」及び「呼出しエリアの半径(を示す値)」は、それぞれ、請求項18に係る発明の「自動車局」、「セル」、「ベース局」、「位置情報」及び「予め定められた距離値」に相当し、また、刊行物発明4は、請求項18に係る発明と同様に、セル通信システムでの自動車局の登録方法に関するものであるから、以上総合すれば、刊行物発明4は、セル通信システムにおいて自動車局呼出しが減少されることのできる方法を提供すること又はセル通信システムにおいてセル間の自動車局登録の分配に改良を加える自動車局登録方式を与えることを目的とし、次の事項により構成されるものであるということができる。
セル通信システムでの自動車局の登録方法において、
第1のセル中の自動車局により登録し、
前記第1のセルに位置するとき前記第1のセルに位置する第1のベース局により第1のセルの位置情報を前記自動車局に送信し、
前記第2のセルに位置するとき前記第2のセルに位置する第2のベース局により第2のセルの位置情報を前記自動車局に送信し、
前記第1のセルと前記第2のセルとの間の距離を計算し、
前記計算された距離が予め定められた距離値以上であるとき前記第2のセル中の前記自動車局により登録するステップを有するセル通信システムでの自動車局登録方法
イ 前記2(18)における認定及び前記同定から、少なくとも、両者は、請求項18に係る発明においては、自動車局があるセルで登録される際には、前記登録されたセルに位置するベース局の位置情報および予め定められた距離値が、前記ベース局から前記自動車局に与えられるのに対して、刊行物発明4においては、自動車局があるセルで登録される際には、前記登録されたセルの位置情報のみが、当該ベース局から前記自動車局に与えられるに留まる点で相違すること、即ち、刊行物発明4が、少なくとも、請求項18に係る発明を構成する事項である「第1のセル中の自動車局により登録し、前記第1のセルに位置するとき前記第1のセルに位置する第1のベース局により第1のベース局の位置情報および予め定められた距離値を前記自動車局に送信」する点を備えていないことは明らかであるから、請求項18に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ また、前記甲第1号証及び甲第2号証の1ないし4の記載を総合判断しても、当業者が前記の点について容易に想到実施し得たとする理由も見当たらないから、請求項18に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証の1ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるとすることもできない。
エ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項18に係る特許を取り消すことはできない。
オ また、他に、請求項18に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(19)請求項19に係る特許について
ア 請求項19は、請求項18を引用するものである。
イ そして、請求項18に係る発明については、前記(18)に認定したとおりであるから、請求項19に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項19に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項19に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(20)請求項20に係る特許について
ア 請求項20は、請求項18を引用する請求項19を引用するものである。
イ そして、請求項19に係る発明については、前記(19)に認定したとおりであるから、請求項20に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項20に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項20に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(21)請求項21に係る特許について
ア 請求項21は、請求項18を引用するものである。
イ そして、請求項18に係る発明については、前記(18)に認定したとおりであり、また、前記3(6)に認定したとおり、甲第3号証には、各基地局(MBS)の位置情報を経度情報及び緯度情報の形で、各基地局から移動局に送信することが記載されているに過ぎないから、結局のところ、請求項21に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項21に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項21に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(22)請求項22に係る特許について
ア 請求項22は、請求項18を引用する請求項21を引用するものである。
イ そして、請求項21に係る発明については、前記(21)に認定したとおりであり、また、特許異議申立人の主張する周知技術も、ピタゴラスの定理を用いて直角三角形の斜辺の長さを用いて求めるというものに過ぎないから、結局のところ、請求項22に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項22に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項22に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(23)請求項23に係る特許について
ア ここで、前記3(1)イEに認定の刊行物発明5を、請求項23に係る発明の表現を借りて同定すると、刊行物発明5の「無線ゾーン」、「(平均移動速度10〜20km/時の実質的に自動車局とみなされる)移動局」、「呼出しエリア」、「基地局」、「2次元座標」、「呼出しエリアの半径(を示す値)」及び「(移動局番号と在圏無線ゾーン番号とからなる)移動局位置登録(情報)」は、それぞれ、請求項23に係る発明の「セル」、「自動車局」、「ページングゾーン」、「ベース局」、「位置情報」、「予め定められた距離値」及び「自動車局登録情報」に相当し、また、刊行物発明5は、請求項23に係る発明と同様に、複数のセルにより定められたセル通信システムにおける前記複数のセルの自動車局ページングゾーンを設定する方法に関するものであるから、以上総合すれば、刊行物発明5は、セル通信システムにおいて自動車局呼出しが減少されることのできる方法を提供すること又はセル通信システムにおいてセル間の自動車局登録の分配に改良を加える自動車局登録方式を与えることを目的とし、次の事項により構成されるものであるということができる。
複数のセルにより定められたセル通信システムにおける前記複数のセルの自動車局ページングゾーンを設定する方法において、
前記複数のセルにおいてそれぞれのセルの位置情報を送信し、
現在のセル中に位置するとき前記現在のセルの送信された位置情報を自動車局において受信し、
前記現在のセルと自動車局が前に登録した以前のセルとの間の距離を計算し、
前記計算された距離が予め定められた距離値以上であるとき自動車局登録情報を送信し、
前記送信された自動車局登録情報から前記予め定められた距離値に対応する前記現在のセルの距離内のセルのグループを決定する複数のセルの自動車局ページングゾーン設定方法
イ 前記2(23)における認定及び前記同定から、少なくとも、両者は、請求項23に係る発明においては、セルのベース局の位置情報のみならず、該ベース局の距離値も、自動車局に送信されるのに対して、刊行物発明5においては、セルの位置情報のみが、自動車局に送信されるに留まる点で相違すること、則ち、刊行物発明5が、少なくとも、請求項23に係る発明を構成する事項である「複数のセルにおいてそれぞれのセルのベース局の位置情報および予め定められた距離値を送信」し、且つ、「現在のセル中に位置するとき前記現在のセルのベース局の送信された位置情報および予め定められた距離値を自動車局において受信」する点を備えていないことは明らかであるから、請求項23に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ また、前記甲第1号証及び甲第2号証の1ないし4の記載を総合判断しても、当業者が前記の点について容易に想到実施し得たとする理由も見当たらないから、請求項23に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証の1ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるとすることもできない。
エ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項23に係る特許を取り消すことはできない。
オ また、他に、請求項23に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(24)請求項24に係る特許について
ア 請求項24は、請求項23を引用するものである。
イ そして、請求項23に係る発明については、前記(23)に認定したとおりであるから、請求項24に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項24に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項24に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(25)請求項25に係る特許について
ア 請求項25は、請求項23を引用する請求項24を引用するものである。
イ そして、請求項24に係る発明については、前記(24)に認定したとおりであるから、請求項25に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項25に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項25に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(26)請求項26に係る特許について
ア 請求項26は、請求項23を引用する請求項24を更に引用する請求項25を引用するものである。
イ そして、請求項25に係る発明については、前記(25)に認定したとおりであり、また、前記3(6)に認定したとおり、甲第3号証には、各基地局(MBS)の位置情報を経度情報及び緯度情報の形で、各基地局から移動局に送信することが記載されているに過ぎないから、結局のところ、請求項25に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項26に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項26に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(27)請求項27に係る特許について
ア 請求項27は、請求項23を引用する請求項24を更に引用する請求項25をなお更に引用する請求項26を引用するものである。
イ そして、請求項26に係る発明については、前記(26)に認定したとおりであり、また、特許異議申立人の主張する周知技術も、ピタゴラスの定理を用いて直角三角形の斜辺の長さを用いて求めるというものに過ぎないから、結局のところ、請求項27に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項27に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項27に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(28)請求項28に係る特許について
ア 請求項28は、請求項23を引用するものである。
イ そして、請求項23に係る発明については、前記(23)に認定したとおりであるから、請求項28に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項28に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項28に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(29)請求項29に係る特許について
ア ここで、前記3(1)イFに認定の刊行物発明6を、請求項29に係る発明の表現を借りて同定すると、刊行物発明6の「2次元座標」、「呼出しエリアの半径(を示す値)」、「(平均移動速度10〜20km/時の実質的に自動車局とみなされる)移動局」、「無線ゾーン」、「基地局」及び「(移動局番号と在圏無線ゾーン番号とからなる)移動局位置登録(情報)」は、それぞれ、請求項23に係る発明の「位置情報」、「距離値」、「自動車局」、「セル」「ベース局」及び「登録情報」に相当し、また、刊行物発明6は、請求項29に係る発明と同様に、複数のベース局と自動車局とを具備するセル通信システムに関するものであるから、以上総合すれば、刊行物発明6は、セル通信システムにおいて自動車局呼出しが減少されることのできる方法を提供すること又はセル通信システムにおいてセル間の自動車局登録の分配に改良を加える自動車局登録方式を与えることを目的とし、次の事項により構成されるものであるということができる。
位置情報を自動車局に提供し、それぞれセルを規定する複数のベース局と、
前記セルの対応する1つの内に位置しているとき前記各ベース局から位置情報を受信し、前記複数のベース局の第1のベース局に対して登録情報を提供し、前記位置情報に基づいて、前記複数のベース局の前記第1のベース局と前記複数のベース局の現在のベース局との間の距離を計算し、前記計算された距離が距離値を越えた場合に、前記現在のベース局に対して登録情報を提供する自動車局とを具備するセル通信システム
イ 前記2(29)における認定及び前記同定から、少なくとも、両者は、請求項29に係る発明においては、位置情報のみならず、距離値も、ベース局のそれぞれから自動車局に提供されるのに対して、刊行物発明6においては、ベース位置情報のみが、ベース局のそれぞれから自動車局に提供されるに留まる点で相違すること、則ち、刊行物発明6が、少なくとも、請求項29に係る発明を構成する事項である「位置情報および距離値を自動車局に提供」するベース局と「セルの対応する1つの内に位置しているとき前記各ベース局から位置情報および距離値を受信」する自動車局とを具備する点を備えていないことは明らかであるから、請求項29に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ また、前記甲第1号証及び甲第2号証の1ないし4の記載を総合判断しても、当業者が前記の点について容易に想到実施し得たとする理由も見当たらないから、請求項29に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証の1ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるとすることもできない。
エ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項29に係る特許を取り消すことはできない。
オ また、他に、請求項29に係る特許を取り消す理由を発見しない。
(30)請求項30に係る特許について
ア 請求項30は、請求項29を引用するものである。
イ そして、請求項29に係る発明については、前記(29)に認定したとおりであるから、請求項30に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
ウ 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項30に係る特許を取り消すことはできない。
エ また、他に、請求項30に係る特許を取り消す理由を発見しない。

第4 結び
以上のとおりであって、平成12年4月19日付け訂正請求に係る訂正については認め、該訂正された請求項1ないし30に係る特許については、特許異議の理由及び証拠によっては取り消すことはできず、また、他に取り消すべき理由を発見しないから、維持するものとし、よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
自動車通信装置登録方法
【発明の詳細な説明】
技術分野
本発明は通信、特にセル通信環境における自動車通信装置のすぐれた改良された登録方法に関する。
背景技術
セル通信システムでは登録はセル通信システムが通信中であるか否かおよびどのセルを受信しているかを自動車局が知らせることに使用されるプロセスである。自動車局は典型的に自動車取付けユニットまたは可搬の携帯ユニットの形態のセル無線電話または個人の通信装置で構成されている。自動車局方向への呼で、セルシステムは自動車局を呼出しするか否かを決定することにより呼出しの量を減少するために登録情報を使用し、自動車局を呼出すならば呼出しを放送するセルの組を決定する。
自動車終端呼出しと呼ばれる自動車局に導かれる呼では地上システムは自動車局が付勢されるか否かと自動車局が受信するセルを決定しなければならない。自動車局を見付けるために多くのセルでセルシステムは呼出し(ページ)と呼ばれるメッセージを放送する。自動車局が応答するならば、セルシステムは自動車局を含んだセルに導かれる別の通信によって呼を処理し続ける。呼出し処理が自動車局で行われる他の処理で自動車局を位置付けるために使用されることがさらに理解されねばならない。
システムが自動車局の位置に関する知識をもたないならばシステムは各セルの各セクタで呼出しを放送しなければならない。自動車が終端である通信量が増加するときシステムの広範囲の呼出しをすばやく行うための通信源が大抵の大きな都市領域で莫大なものになる。
自動車局は自動車局が位置されるセルシステムを知らせるため登録と呼ばれる処理を使用する。AMPSとGSMのような幾つかのシステムは自動車局の位置を決定するために周期的またはカウンタ方法を使用する。カウンタ方法はここで説明するタイマ方法に類似する。これらの方法は理想から程遠いが、これらは必要な呼出し量を非常に減少することができる。
タイマ方法の解析は均一な6角形のモザイク面または半径rcを有する均一な円形セルを仮定する。Naにより与えられる同じ予期された数の自動車局が各セルにあるものと仮定される。
タイマ方法を実行するセルシステムでは各自動車局は毎Tr秒で登録する。この要求性は自動車局が周期的にカウンタを増分するか、システムからの全般的な指令に応答してカウンタを増分することにより簡単に実行できる。カウンタの最大値の供給または増分率の変化によりシステムはTrを変化することができる。単位セル当りの平均的な登録メッセージ速度λregは従って以下の式により与えられる。
λreg=Na/Tr (1)
自動車終端の呼ではシステムは自動車局が入るセルの組を決定する必要がある。自動車局が最大速度vmで動くことができるならば自動車局が移動できる距離はvm(t-tr)であり、trは自動車局が最後に登録される時間である。登録されるときシステムが自動車局の位置するセルを知らないならば、システムは自動車局がセル境界にあることを推測しなければならない。システムが方向に関する情報を有しないならば、自動車局は外部に移動中であると推測しなければならない。
ランダムに選択された自動車局では呼出されなければならない予期された数のセルは容易に発見されることができる。登録以後に経過した時間は[0,Tr]上で均一に分散されたランダム可変数である。距離で不連続である結果を考慮するのではなく、距離の関数としてセル数に対して2次方程式の近似値を考慮することによって見識が得られる。Msで自動車局が呼出されなければならない予期された数のセルは以下の式による。

量rc/vmは速度vmで移動する自動車局がセルの中心から境界に移動する所用時間である。過度の発送メッセージ速度が応答した呼出しと承認登録に送られるべき予期された数のメッセージの他に予期された数の呼出しとして限定されるならば過度の発送メッセージ速度λexは以下の式により決定される。

ここでMpは呼出しメッセージが反復される回数であり、Ppは呼出しが特定の呼出し反復で自動車局により応答される確率であり、Naλmαtはセル内の自動車終端呼に対する発生源の割合である。
登録間の間隔Trが減少すると呼出されなければならないセル数も減少するが、承認速度は増加する。従ってTrの値はλexを最小化する。
タイマ方法に関する主要な問題は呼出しが最大の自動車速度と釣合った領域で行われなければならないことである。領域が高速度を可能にする数ルートを有するならば、システムは呼出す場所を決定するため最高速のルートを使用しなければならない。通常高速では移動しない携帯用ユニットは高速で移動する自動車中に置かれ、分離した区分として数えられない。小さい領域で呼出しを開始し、自動車局が応答しないならば呼出し領域を拡大する技術は遅延を犠牲にして呼出し量を減少するために使用されることができる。
ゾーン方法として知られている別の登録技術もセルシステムの呼出しを減少するために用いられる。ゾーン方法は単にシステムをゾーンと呼ばれる領域に分割する。従ってセルは固定した呼出しゾーンを形成するため共にグループ化される。ゾーン内の登録において自動車局はゾーン内の全てのセルにおいて呼出される。自動車局は入ったばかりのゾーンリストを典型的に維持する。自動車局がリスト上にないゾーンに入ったならばそれは登録する。それ故自動車局がシステム中を移動したときには登録する新しいゾーンに移動する。
基本的なゾーン方法の変形は文献(“A New Location Updating Method for Digital Cellular Systems”、第41回IEEEビークルテクノロジーコンファレンス、ミズーリ州セントルイス、1991年5月19〜22日、345〜350頁)に記載されている。ゾーン方法のこの変形ではゾーン層は自動車局の通し番号のようなパラメータにより分割されている自動車局のグループと共に生成され、このゾーンの層に自動車局が登録される。
ゾーン方法の分析は均一な6角形のモザイク面または半径rcを有する均一な円形セルを仮定する。Naにより与えられる同じ予期された数の自動車局は各セル全てにあると仮定される。
前述したように、ゾーン方法ではシステムの各セルは特定の固定ゾーンに割り当てられる。各セルは割り当てられたゾーンを放送する。自動車局は入りたてのゾーンリストを維持する。自動車局がリストにないゾーンに入る都度、自動車局はゾーンをリストに登録し、追加する。
自動車交通論理は周囲セルの予期されたピーク登録速度を見積もるために使用される。セルが1または2の主路線により支配されるならば、速度の計算は比較的簡単であり、その他の場合には計算は非常に面倒である。よく知られた結果では適切に設計された高速道路上の交通路線当りの最大の容量は時間当り自動車約2000台であり、約50kmで自動車が移動する。つまみの調節(thumb adjust)の適切なルールが他の道路に対して開発されている。セル電話が設置された自動車の割合が知られているならば、予期されたピーク登録速度が得られる。例えば8路線の高速道路を移動する25%の自動車にセル電話が設置されているならば、周辺のセルに対する予期されたピーク登録速度は1秒当り0.56の登録である。
高速道路のような移動の激しい路上がゾーン境界と交差する場合にゾーン方法の1つの欠点が生じる。この例では全ての自動車局は高速道路がゾーン境界を通過するときにそのセルに登録される。この状態ではセルを位置づける特定のゾーン境界の信号源で厳しい負荷状態となる。この問題を解決する1つの方法は前述したようなずらした、または層を成したゾーン装置を生成することである。固定したずらしたゾーン配置では重複したゾーンが生成され、その重複したゾーンにおける自動車局が登録される特定のゾーンは自動車局の通し番号または識別番号の関数である。このような方式はさらに複雑性を付加し、セル間で適切に登録を分配しない。
ゾーン方法がタイマーまたはカウンタ登録方法に改良を与え、セル呼出しが減少するが、さらに呼出しを減少させる必要がある。
それ故、本発明の目的は、セル通信システムにおいて自動車局呼出しが減少されることのできる方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、セル通信システムにおいてセル間の自動車局登録の分配に改良を与える自動車局登録方式を与えることである。
発明の要約
本発明はセル通信システムの自動車局登録用の新規な改良された方法である。距離方法が使用され、そこにおいて、自動車局が登録した以前のセルからの予め限定された距離よりも大きい新しいセルに自動車局が移動されるときに自動車局は登録する。
セル通信システムでは自動車局が呼(call)ルーチンのために位置されているセルを識別するため種々のセルで呼出(page)される。自動車局交換局は各セルベース局による送信用に予め決められた呼出しゾーン内で呼出しをセルに対して行う。自動車局は、ゾーン内で呼出しを受信する状況にあるならば受信された呼出しに応答する。自動車局は自動車局が位置するセルのセルベース局により受信される応答メッセージを送信することにより応答する。呼出しへの応答は受信されたセルベース局により自動車電話交換局に中継される。自動車電話交換局はセルベース局による応答の中継によって自動車局が現在位置されるセルを識別する。自動車電話交換局は自動車局が位置されるセルに対応するベース局へその自動車局への呼を送る。
自動車局がセルネットワークを通って移動するとき、自動車局が最も存在しそうなセルヘの呼出しを限定することが望ましい。自動車局登録は自動車局が最も存在しそうなセルのグループを識別することを可能にする。登録方法を使用すると自動車局の呼出しはセルの識別されたグループで行われることだけを必要とする。本発明は自動車局の呼出しが必要とされるセル数の減少のために与えられた自動車局登録の距離をベースとした方法を提供する。
システムの各セルに対する本発明の距離をベースとした登録方法によると各セルベース局は対応する位置情報および距離値を送信する。自動車局はセルのセルベース局位置情報および自動車局が現在位置されているセルの距離値を受信する。自動車局は現在のセルベース局の送信された位置情報と自動車局が以前に登録された以前のセルベース局位置情報に基づいて自動車局が位置されるセルのセルベース局との間の距離を計算する。自動車局は計算された距離と以前のセルベース局の距離値とを比較する。
自動車局は自動車局登録情報を計算された距離が以前のセルベース局の距離値よりも大きいとき現在のセルベース局に送信する。登録情報は自動車局の呼出し用セルゾーンの決定が行われる自動車電話交換局に中継される。呼出しゾーンは現在のセルを含み、これらのセルは現在のセルベース局の送信距離値に応じて現在のセルの距離内のベース局を有する。
本発明の特徴、目的、利点は図面を伴った後述の詳細な説明より明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1は最初の登録と移動したベース登録に対するセル構造と自動車局セル呼出し領域を示す図である。
図2はセルシステムの通信装置を示したブロック図である。
図3は本発明の距離方法のセルに対する過度の発送速度対登録速度を示したグラフである。
図4はゾーン方法のゾーンにおける周囲セルに対する過度の発送速度対登録速度を示したグラフである。
発明の実施の最良モード
最後に登録されたセルからの所定の距離以上に移動するとき本発明の距離方法は自動車局登録を有する。この方法を機械化する方法が幾つかあるが、十分な正確性を与える簡単な方法は全てのセルの放送緯度(lat)と経度(long)と距離(dr)パラメータを有する。自動車局は、以下の式のとき登録され、

ここでdrは自動車局が最後に登録するセルにより送信される距離パラメータである。
さらに、
Δlat=新lat-登録lat (5)
Δlong(新long-登録long)cos(π/180登録lat) (6)
ここで新しいlatと新しいlongはそれぞれ自動車局が位置される現在のセルの緯度と経度であり、登録latと登録longはそれぞれ自動車局が最後に登録されるセルの緯度と経度である(緯度と経度は度で表される)。
式(6)ではコサイン係数は緯度が増加するとき経度の融合ラインを補償する。距離を最も基本的に近似する値は式(6)からコサイン係数を消去して達成されることができる。しかしながらコサイン係数なしで近似値は緯度が増加するときより不正確になる。距離パラメータdrは典型的に自動車局が最後に登録されるセルにより供給されることをさらに理解すべきである。しかしながら、代りとして距離パラメータは自動車局で蓄積される固定値であってもよい。さらに式(4)乃至(6)が自動車局の移動期間中登録に関係するが、自動車局も典型的にシステム中の最初の付勢で登録されることを理解すべきである。
値(新しいlong)と(登録long)との間の差および値(新しいlat)と(登録lat)との間の差はそれぞれセル通信システムで典型的に小さい。従って式(4)乃至(6)で設定された近似値は非常に正確である。200マイルまでのベース局分離では後述するように厳密な方法と比較してエラーは1%よりも少ない。
さらに式(4)における三角法関数は表の検索関数により容易に近似されることができる。2乗合計の平方根は幾つかの既知の近似方法により近似されることができる。このような1つの近似は、以下のようになる。
x=max(|Δlat|,|Δlong|) (7)
y=min(|Δlat|,|Δlong|) (8)
ここで0≦y≦x/4では、
距離=x+1/8y (9)
x/4≦yでは、
距離=(7/8)x+(1/2)y (10)
式(7)乃至(10)の近似は3%よりも少ないピークエラーと約1%の平均RMSエラーを与える。近似はシフト、加算、減算を用いて迅速に計算され、マイクロプロセッサで比較されることができる。他の近似は付加的な(または少ない)計算でより高い(低い)正確さを与えることができる。
式(6)のコサイン関数プラス、式(4)の2乗合計の平方根に対する式(7)乃至(10)の近似の64エントリーの表の検索は60度よりも少ないベース局緯度に対して6%より少ないエラーを与える。
前述したように式(4)〜(10)の使用はベース局間の正確な計算方法に近似している。円形地球モデルに対する厳密な距離計算方法は以下の式(11)乃至(16)により定められることができる。
dr≦距離 (11)
距離方法が式(11)であるならば自動車局登録を有する。
ここで、
距離=

φ=π新long/180 (13)
θ=π新lat/180 (14)
α=π登録long/180 (15)
β=π登録lat/180 (16)
前述の式(4)乃至(16)ではパラメータ即ち新long、新lat、登録long、登録latは単位で与えられる。
本発明の距離方法の実行について説明すると、図1はセル通信システムのセルネットワークまたは構造を示している。図1で示されているセル構造に関しては実際のセル通信環境ではセルは大きさと形状が変化することを理解すべきである。さらにセルが理想的な6角形形状と異なった形状のセルを限定するセル境界で重複する傾向があることを理解すべきである。さらにセルはこの技術で知られているように例えば3つのセクタに区分されることができる。図1のセルシステムはアナログまたはデジタル通信システムであり、コード分割多重アクセス(CDMA)、時分割多重アクセス(TDMA)または周波数変調(FM)のような1以上の幾つかのタイプの多重アクセス変調方式を使用する。
図2を参照すると自動車局10が登録するときトランシーバにより識別パラメータを送信し、この識別パラメータには例えば典型的に自動車局の通し番号および関連する電話番号が含まれる。登録情報は自動車局10が位置されるセルに対するセル位置またはベース局12に位置されたトランシーバで受信される。登録情報は受信ベース局12により自動車電話交換局(MTSO)に中継される。
MTSO14の1つの機能は公共スイッチ電話ネットワークとこの技術でよく知られている種々のセルとの間の呼の経路を設定することである。MTSO14は典型的にセル構造に関するデータベースを含む。特定のセルにおける自動車局登録において、MTSO14はプロセッサとセル構造データベースを使用して呼出し領域またはゾーンを形成するために登録セルを伴って他の関連するセルを決定する。呼出しゾーン中のセルは登録セルの予め定められた距離内の登録セルに対応する。この距離は詳細に後述するように登録セルにより送信される距離値に対応する。自動車局10への呼を受信するときMTSO14は予め決められたゾーン中の自動車局10のために呼出しをする。
別の方式ではMTSO14は単に自動車局10が登録されるセルを示す。自動車局10が呼出されることを必要とするこのようなときにはMTS014は自動車局10が登録される示されたセルに関する情報を検索する。それから、MTSOはセル構造のデータベース情報と登録セル情報を使用して関連する呼出しゾーンを形成するセルを決定する。
前述したように通常の固定したゾーン方法では、自動車局の登録は典型的にゾーン境界セルまたは自動車局が付勢されるゾーン内のいくつかのセルで生じる。本発明の距離方法では自動車局登録は自動車局が登録するセルについて自動的に自分で中心を定める“浮動”ゾーンを生成する。
自動車局10が最初にシステムで付勢されるか、または以前に登録されたセルからの予め定められた距離、好ましくは新しいセル中に自動車局10を位置するのに十分な距離を移動するとき新しいセル内で登録する。自動車局10が再度登録される新しいセルは新しいゾーンの中心になる。
本発明ではゾーンの大きさは距離値により決定され、これは典型的にセル情報としてベース局により自動車局に通信される。各セルベース局は呼出しチャンネルでセル情報を送信する。セル情報は距離値に加えてベース局位置情報、典型的に緯度と経度を含む。
自動車局10に転送されることを意図している呼がMTSO14で受信されたとき、MTSO14は自動車局呼出しを開始する。MTSO14が自動車局10が呼出しメッセージを送信するように登録されるゾーンに対応するセルを指令する。呼出しメッセージは呼が位置される自動車局10に注意させるために使用される。受信されるならば、自動車局10は自動車局が位置されているセル中のベース局12に応答メッセージを送信することにより呼出されたメッセージに応答する。応答メッセージは典型的に受信ベース局12によりMTSO14に送信される。
送信された応答の自動車局10における受信により、ベース局12は典型的に自動車局10への呼出し承諾メッセージを送信する。承認メッセージはMTSO14またはベース局12で発生される。呼出しへの応答が受信される認識された自動車局10に加えて承諾メッセージも他の情報を含む。
受信ベース局12により転送された応答メッセージは自動車局10が現在位置するセルを決定するためにMTSO14により使用される。受信ベース局12と共同するMTSO14は呼を自動車局10に導く。
図1により示されている例では自動車局10はセルC1Aに登録される。自動車局10が別のセルからの距離値を超過し、または付勢されていない状態から付勢された自動車局によってセルC1Aの登録が生じる。付勢状態では検索された情報により以前の登録からのセル情報が自動車局10のメモリに蓄積されているか否かの決定が行われる。自動車局10の最初の付勢の場合のように蓄積されるセル情報が存在しないならば、自動車局10は登録する。しかしながら自動車局10が以前の登録からセル情報を蓄積していると、蓄積されたセル情報と自動車局10が位置される現在のセルの受信されたセル情報に基づいて登録が必要とされるか否かの決定が行われる。
距離登録処理は以前の登録が生じたセルに対する蓄積されたセル情報を自動車局メモリから検索することを含む。セル情報は自動車局10が位置されるセルに対してベース局から受信される。式(4)乃至(6)を参照して説明されている方法を使用して以下の段階が登録が必要とされるか否かを決定するため自動車局プロセッサで行われる。式(5)によって、蓄積された緯度は値Δlatを得るために現在のセル緯度から減算される。式(6)によって、蓄積された経度は現在のセル経度から減算され、結果は値Δlongを得るためにコサイン係数により乗算される。式(4)によって、値ΔlatとΔlatはそれぞれ2乗され、2乗値は合計され、合計された値の平方根は結果的な距離値dmに到達する。結果的な距離値dmは蓄積された距離パラメータdrと比較される。距離値dmが蓄積された距離パラメータdrよりも大きいかまたは等しいと自動車局10は前述したように登録する。
最初の自動車局10の登録およびそれに続く各登録のとき、登録が生じるセルに対するセル情報がメモリに蓄積される。自動車局10の消勢のとき、自動車局の付勢時に使用するために維持されるように自動車局10が最後に登録されたセルに対応するセル情報はメモリ、好ましくは非揮発性のメモリに蓄積される。
登録において自動車局10が位置されるセルに対応するベース局12に自動車局10は登録情報を送信する。ベース局12は登録メッセージが受信された指示として自動車局10への登録承諾メッセージを送信することにより応答する。登録承諾メッセージは自動車局10によりシステムの使用の受容または拒否を示す情報も含む。
図1を参照すると、セルC1Aの自動車局10の登録において、セルC1Aの予め定められた範囲または距離dr内の全てのセルは円16により示されているように自動車局10の呼出しゾーンを形成する。呼出しゾーン内のセルにおける全てのベース局12が呼が導かれたとき自動車局10を呼出すためにMTSO14により指令される。自動車局10がセルC1Aで登録される場合、呼出しもセルC1Aを中心とする呼出しゾーン内で各セルC1A乃至C1Sでベース局12により送信される。
セルC1Aでの登録のときに、自動車局10はセル情報、ベース局緯度および経度情報をセルC1Aに対する距離値と共に蓄積する。自動車局10は例えば破線18により示される通路に沿ってセルシステムを通過して移動するとき、自動車局呼出しおよび通過するセルについてのセル情報を聞く。自動車局10がセルからセルに移動するとき、それは対応するセル緯度と経度情報と距離値を受信する。現在のセル緯度と経度値は蓄積された緯度と経度と距離値と共に、登録後移動した距離が、蓄積された距離値drを越えるか否かを決定するため自動車局10により式(4)乃至(6)により使用される。
自動車局10が移動した距離が蓄積された距離値drを越えることが決定されたならば自動車局10は再度登録する。図1で示されているように自動車局10がセルC2A即ち、ベース局12がセルC2Aのベース局12への距離drよりも大きい距離に位置されるセルに入るとき自動車局10はセルC2A内で登録する。セルC2Aでの登録において、セルC2Aのベース局の予め定められた距離d内の全てのセルは円20により示されているように新しい“浮動”ゾーンを形成する。新しいゾーン内の各セルの全てのベース局は呼が導かれるとき自動車局10を呼出すためにMTSO14により指令される。セルC1Aの以前の登録と同様に、呼出しはセルC2Aを中心とする新しいゾーン内で各セルC2A乃至C2Sのベース局によっても送信される。
新しいセルでの登録が必要であるか否かを決定するための自動車局10により移動される距離は自動車局10により移動される実際の距離に基づいていない。登録のための移動する距離はセルベース局の位置の差に基づいている。セル中の位置に関係なく、自動車局10は自動車局が現在存在するセルのセルベース局の座標を有するものと仮定する。
例えば自動車局10がセルC1Aに登録するとき、セルC1Aのベース局12の座標を仮定する。自動車局10がセルC1Fのような別のセルに入るときセルC1Fのベース局12の座標を仮定する。自動車局10がセルC2Aに入るとき再度セルC2Aのベース局12の対応する座標を仮定する。自動車局10がセルC2Aに入るとき実際の距離drを移動しないかも知れないが、セルC1AとC2Aのベース局12との間の計算された距離が距離値drを超過することによって自動車局10に再度登録を行わせる。
それ故円16,20は自動車局10と関連する浮動ゾーン境界の単なる表示である。自己中心“浮動”ゾーンの境界のより正確な表示は各円16,20とそれぞれ関連する太線のセル境界線22,24により示されている。
前述したようにベース局は登録を決定する目的で緯度と経度の情報を送信する。他の座標システムは類似の方法で使用されることが考えられる。例えばセルシステム格子パターンまたは座標系は対応する格子座標を送信するベース局で構成される。
距離方法を解析する目的で、図1で示されているようなセルの均一のネットワークが検討される。自動車局は必要ならばまたは以前の登録から移動されたセルベース距離の特定のリングに入るとき付勢で登録するように構成される。ネットワーク中の均一の自動車の運動を仮定すると、セミマルコフ(Markov)技術が予期された登録速度を決定するために使用されることができる。セルからセルの運動は通常高次のマルコフチェーンであるが、簡単なモデルは1/6に等しい確率で包囲しているセルに入る自動車局を有する1次のマルコフチェーンを仮定することにより得ることができる。
図3は自動車局が丁度セルjに入るならば自動車局がセルiに入ると予測された時間として限定される4つの異なった値tcに対する登録速度の関数として超過した発送速度をグラフ形態で示している。図3のグラフの結果の分析は1セル当り1000の自動車局を仮定し、その結果直接的なスケーリングが1セル当り異なった数の自動車局に対して使用されることができる。図3のマークされた点は自動車局がセルの第1、第2、第3のリングに入るときの登録に対応し、直線が曲線の形状を明確にするため点の間に引かれている。図3を使用して物理的に現実的な自動車運動の状況を示すために値が計量されなければならないことが理解されよう。例えば図面で示されているように1分間に1000の自動車局がセルを横ぎることは不可能である。
図3と比較して図4はゾーン方法を使用したシステムのゾーンの周囲セルに対する過度の発送速度対登録速度を示す。解析する目的で単一ゾーンのみが自動車局のゾーンリストで可能にされる。図3を参照して均一ネットワークとセミマルコフモデルが再度使用される。
所定の過剰な発送速度とセミマルコフモデルに対して、距離方法の登録速度はゾーン方法の登録速度よりも少ない傾向がある。低い過度の発送速度は円形領域または“浮動”ゾーンが自動車局が最後に登録されるセル周辺でつくられるので距離方法に対して実現される。
ゾーン方法により、自動車局は周辺セルで登録するとき新しいゾーンに入る前に横切ると予測される短い距離を有する。実際、ゾーンリストには多重ゾーンが存在する。多重ゾーンのゾーンリストは自動車局がゾーン境界に沿ってセル間を移動するとき多数回登録しないように使用される。従ってシステムは多重ゾーンで自動車局を呼出さなければならない。これは自動車交通が前述のモデルに従うとき距離方法をより好ましいものにする。
ゾーン方法ではゾーンの周辺セルは高い登録速度を有し、一方内側のセルは低い登録速度を有する。これはセル容量の不平衡になる。各グループで互いに関連する自動車局の多重グループとスタガーゾーンを有することにより登録速度がネットワークでより均一にされることができる。しかしながらこれは適切に限定されたゾーン境界を有する所望の特性を無効にしてしまう。均一ネットワークを仮定すると距離方法は全てのセルで等しい登録速度を有する。これは自動車局があるセルで登録を開始する傾向にあるので、ほとんどのネットワークで厳密に保持される。
好ましい実施例の前述の説明は当業者による本発明の実行と使用を可能にするために行われた。これらの実施例に対する種々の変形は当業者に明白であり、ここで限定されている一般的な原理は発明能力を必要とせずに他の実施例に適用されることができる。従って本発明はここで示されている実施例に限定されず、説明された原理と顕著な特徴と一貫して広範囲の技術的範囲に従う。
(57)【特許請求の範囲】
(1)複数のセルにより定められたセル通信システムにおける前記セル通信システムの自動車局ページングゾーンを設定する方法において、
前記セルのベース局のそれぞれにおいて各セルのベース局の位置情報および距離値を送信し、
自動車局において、その自動車局が現在位置している現在のセルのベース局に対する位置情報および距離値を受信し、
前記現在のセルのベース局と自動車局が登録した以前のセルのベース局との間の距離を計算し、
前記計算された距離が少なくとも前記以前のセルのベース局の距離値であるとき自動車局登録情報を送信し、
前記送信された自動車局登録情報から前記現在のセルのベース局の距離値に対応する前記現在のセルの距離内のセルのグループを決定することを特徴とするセル通信システムにおける自動車局ページングゾーン設定方法。
(2)前記以前のセルのベース局の位置情報および距離値を蓄積し、
前記蓄積された以前のセルのベース局の位置情報および距離値を検索し、
前記計算された距離と前記以前のセルのベース局の距離値を比較するステップをさらに有する請求項1記載の方法。
(3)前記自動車局が前記以前のセルで登録されていないとき前記自動車局登録情報を送信するステップをさらに有する請求項1記載の方法。
(4)セル通信システムにおける自動車局のページングが要求されるセルの数を減少させる方法において、
各セルのベース局から対応する位置情報および距離値を送信し、
現在のセル中に位置する時、前記現在のセルに対する前記現在のセルのベース局の位置情報および距離値を前記自動車局において受信し、
前記現在のセルのベース局の位置と前記自動車局が前に登録された以前のセルのベース局の位置との間の距離を計算し、
前記計算された距離と前記以前のセルのベース局に対応する距離値とを比較し、
前記計算された距離が前記以前のセルのベース局の距離値以上であるとき自動車局登録情報を前記現在のセルのベース局に送信し、
前記現在のセルのベース局で前記自動車局登録情報を受信し、
前記現在のセルのベース局の距離値に対応する前記現在のセルの距離内のセルグループを決定するステップを有することを特徴とする方法。
(5)非揮発性メモリ中に前記以前のセルのベース局の位置情報および距離値を蓄積し、
前記距離を計算するために前記メモリから前記蓄積された以前のセルのベース局の位置情報を検索し、
前記計算された距離と比較するために前記メモリから前記蓄積された以前のセルのベース局の距離値を検索するステップを有する請求項4記載の方法。
(6)前記自動車局がいずれかのセルで登録されているか否かを決定し、
前記自動車局がどのセルにも登録されていないことを決定したとき前記自動車局登録情報を前記現在のセルのベース局に送信するステップをさらに有する請求項4記載の方法。
(7)前記各セルのベース局の位置情報が前記各セルのベース局の緯度と経度を含んでいる請求項5記載の方法。
(8)現在のセルのベース局と以前のセルのベース局との間の前記距離を計算するステップは、
緯度の差の値を提供するために前記現在のセルのベース局の緯度と前記以前のセルのベース局の緯度との間の差を決定し、
経度の差の値を提供するために前記現在のセルのベース局の経度と前記以前のセルのベース局の経度との間の差を決定し、
前記各緯度の差の値と前記経度の差の値をそれぞれ2乗し、
前記2乗された緯度の差の値と前記2乗された経度の差の値を合計して合計値を生成し、
前記合計値の平方根を計算し、その結果が前記現在のセルのベース局と前記以前のセルのベース局との間の前記距離に対応する請求項7記載の方法。
(9)前記計算された距離が前記以前のセルのベース局の距離値以上であるとき前記メモリ中に前記現在のセルのベース局の位置情報と距離値を蓄積するステップをさらに有する請求項5記載の方法。
(10)前記自動車局がどのセルにも登録されていないことが決定されたとき前記メモリ中に前記現在のセルのベース局の位置情報および距離値を蓄積するステップをさらに有する請求項6記載の方法。
(11)前記セルのグループ内で各セルのベース局からページングメッセージを送信するステップをさらに有する請求項4記載の方法。
(12)自動車局が第1のセルで登録され、前記自動車局に前記第1のセルに位置する第1のベース局の位置情報および予め定められた距離値が与えられるセル通信システムにおける再登録方法において、
第2のセル中に位置する第2のベース局により前記第2のベース局の位置情報を前記自動車局に通信し、
前記自動車局において前記第1のベース局と前記第2のベース局との間の距離を計算し、
前記計算された距離が前記予め定められた距離値以上であるとき前記第2のセルにおいて前記自動車局により登録するステップを有することを特徴とする再登録方法。
(13)前記自動車局のメモリ中に前記第1のベース局の位置情報を蓄積し、
前記距離を計算するために前記メモリからの前記第1のベース局の位置情報を検索するステップをさらに有する請求項12記載の方法。
(14)前記計算された距離が前記予め定められた距離値以上であるとき前記メモリ中に前記第2のベース局の位置情報を蓄積するステップをさらに有する請求項13記載の方法。
(15)第2の予め定められた距離値が前記第2のベース局の前記位置情報とともに与えられる請求項12記載の方法。
(16)前記第1のベース局の前記位置情報が第1のベース局の緯度と経度を含み、
前記第2のベース局の前記位置情報が前記第2のベース局の緯度と経度を含む請求項12記載の方法。
(17)前記第1のベース局と前記第2のベース局との間の前記距離を計算するステップは、
緯度の差の値を提供するために前記第2のベース局の緯度と前記第1のベース局の緯度との間の差を決定し、
経度の差の値を提供するために前記第2のベース局の経度と前記第1のベース局の経度との間の差を決定し、
前記緯度の差の値と前記経度の差の値をそれぞれ2乗し、
前記2乗された緯度の差の値と前記2乗された経度の差の値を合計して合計値を生成し、
前記合計値の平方根を計算し、その結果が前記第2のベース局と前記第1のベース局との間の前記距離に対応する請求項16記載の方法。
(18)セル通信システムでの自動車局の登録方法において、
第1のセル中の自動車局により登録し、
前記第1のセルに位置するとき前記第1のセルに位置する第1のベース局により第1のベース局の位置情報および予め定められた距離値を前記自動車局に送信し、
前記第2のセルに位置するとき前記第2のセルに位置する第2のベース局により第2のベース局の位置情報を前記自動車局に送信し、
前記第1のベース局と前記第2のベース局との間の距離を計算し、
前記計算された距離が前記予め定められた距離値以上であるとき前記第2のセル中の前記自動車局により登録するステップを有することを特徴とするセル通信システムでの自動車局登録方法。
(19)前記自動車局のメモリ中に前記第1のベース局の位置情報および距離値を蓄積し、
前記距離を計算するために前記メモリからの前記第1のベース局の位置情報および前記距離値を検索するステップをさらに有する請求項18記載の方法。
(20)前記計算された距離が前記予め定められた距離値以上であるとき前記メモリ中に前記第2のベース局の位置情報を蓄積するステップをさらに有する請求項19記載の方法。
(21)前記第1のベース局の前記位置情報が前記第1のベース局の緯度および経度を含み、
前記第2のベース局の前記位置情報が前記第2のベース局の緯度および経度を有する請求項18記載の方法。
(22)前記第1のベース局と前記第2のベース局との間の前記距離を計算するステップは、
緯度の差の値を提供するために前記第2のベース局の緯度と前記第1のベース局の緯度との間の差を決定し、
経度の差の値を提供するために前記第2のベース局の経度と前記第1のベース局の経度との間の差を決定し、
前記緯度の差の値と前記経度の差の値をそれぞれ2乗し、
前記2乗された緯度の差の値と前記2乗された経度の差の値を合計して合計値を生成し、
前記合計値の平方根を計算し、その結果が前記第2のベース局と前記第1のベース局との間の前記距離に対応する請求項21記載の方法。
(23)複数のセルにより定められたセル通信システムにおける前記複数のセルの自動車局ページングゾーンを設定する方法において、
前記複数のセルにおいてそれぞれのセルのベース局の位置情報および予め定められた距離値を送信し、
現在のセル中に位置するとき前記現在のセルのベース局の送信された位置情報および予め定められた距離値を自動車局において受信し、
前記現在のセルのベース局と自動車局が前に登録した以前のセルの1つのベース局との間の距離を計算し、
前記計算された距離が前記予め定められた距離値以上であるとき自動車局登録情報を送信し、
前記送信された自動車局登録情報から前記現在のセルのベース局の距離値に対応する前記現在のセルの距離内のセルのグループを決定することを特徴とする複数のセルの自動車局ページングゾーン設定方法。
(24)非揮発性メモリ中に前記1つの以前のセルのベース局の位置情報および前記距離値を蓄積し、
距離を計算するため前記メモリから前記以前のセルのベース局の位置情報を検索し、
前記計算された距離と比較するために前記メモリから前記予め定められた距離値を検索するステップをさらに有する請求項23記載の方法。
(25)前記計算された距離が前記予め定められた距離値以上であるとき前記メモリ中に前記現在のセルのベース局の位置情報を蓄積するステップをさらに有する請求項24記載の方法。
(26)前記以前のセルのベース局の前記位置情報が前記以前のセルのベース局の緯度および経度を含み、
前記現在のセルのベース局の前記位置情報が前記現在のセルのベース局の緯度および経度を含む請求項25記載の方法。
(27)前記現在のセルのベース局と前記以前のセルのベース局との間の距離を計算するステップが、
緯度の差の値を提供するために前記以前のセルのベース局の緯度と前記現在のセルのベース局の緯度との間の差を決定し、
経度の差の値を提供するために前記以前のセルのベース局の経度と前記現在のセルのベース局の経度との間の差を決定し、
前記緯度の差の値と前記経度の差の値をそれぞれ2乗し、
前記2乗された緯度の差の値と前記2乗された経度の差の値を合計して合計値を生成し、
前記合計値の平方根を計算し、その結果が前記以前のセルのベース局と前記現在のセルのベース局との間の前記差に対応する請求項26記載の方法。
(28)前記決定されたセルグループ内における各セルのベース局からページングメッセージを送信するステップをさらに有する請求項23記載の方法。
(29)位置情報および距離値を自動車局に提供し、それぞれセルを規定する複数のベース局と、
前記セルの対応する1つの内に位置しているとき前記各ベース局から位置情報および距離値を受信し、前記複数のベース局の第1のベース局に対して登録情報を提供し、前記位置情報に基づいて、前記複数のベース局の前記第1のベース局と前記複数のベース局の現在のベース局との間の距離を計算し、前記計算された距離が第1のベース局からの距離値を越えた場合に、前記現在のベース局に対して登録情報を提供する自動車局とを具備することを特徴とするセル通信システム。
(30)前記複数のベース局の各ベース局により提供される登録情報を受信し、前記自動車局のページンググループを形成するために前記登録情報から前記自動車局にページングメッセージを送信する1組のベース局を決定するシステム制御装置をさらに具備する請求項29記載のシステム。
 
訂正の要旨 <訂正の要旨>
A.特許請求の範囲の請求項1第3行の「セル」と「のそれぞれ」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項1第3行の「セル」と「の位置情報」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項1第4行の「セル」と「に対する」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項1第6行の「セル」と「と自動車局」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項1第6行の「セル」と「との間の距離」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項1第7行の「セル」と「の距離値」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項1第9行の「セル」と「距離値」との間に「のベース局の」の6文字、特許請求の範囲の請求項2第1行の「セル」と「位置情報」との間に「のベース局の」の6文字、特許請求の範囲の請求項2第2行の「セル」と「位置情報」との間に「のベース局の」の6文字、特許請求の範囲の請求項2第3行の「セル」と「距離値」との間に「のベース局の」の6文字、特許請求の範囲の請求項4第4行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第6行の「現在のセル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第6行の「前のセル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第8行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第9行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第10行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第11行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第12行の「セルの」と「距離値」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項5第3行の「以前の」と「ベース局」との間に「セルの」の3文字、特許請求の範囲の請求項5第5行の以前の」と「ベース局」との間に「セルの」の3文字、特許請求の範囲の請求項7第1行の「各」と「ベース局」との間に「セルの」の3文字、特許請求の範囲の請求項8第1行の「現在のセル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項8第1行の似前のセル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項8第10行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項8第11行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項9第2行の「現在の」と「ベース局」との間に「セルの」の3文字、特許請求の範囲の請求項10第2行の「現在の」と「ベース局」との間に「セルの」の3文字、特許請求の範囲の請求項11第1行の「セル」と「から」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項23第3行の「セルの」と「位置情報」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項23第5行の「セルの」と「送信された位置情報」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項23第7行の「現在のセル」と「と自動車局」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項23第7行の「セルの1つ」と「との間」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項23第11行の「セルの」と「距離値」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項24第3行の「セルの」と「位置情報」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項25第2行の「セル」と「位置情報」との間に「のベース局の」の6文字、特許請求の範囲の請求項26第1行の「セルの」と「前記位置情報」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項26第1行の「セルの」と「緯度」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項26第3行の「セルの」と「前記位置情報」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項26第3行の「セルの」と「緯度」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項27第1行の「セル」と「と」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項27第1行の「セル」と「との間」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項27第2行の「セルの」と「緯度」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項27第2行の「セルの」と「緯度」との間に「のベース局の」の6文字、特許請求の範囲の請求項27第4行の「セルの」と「経度」との間に「ベース局の」の5文字、特許請求の範囲の請求項27第4行の「セルの」と「経度」との間に「のベース局の」の6文字、特許請求の範囲の請求項27第9行の「セル」と「ベース局」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項27第10行の「セル」と「との間」との間に「のベース局」の5文字、特許請求の範囲の請求項28第1行の「セル」と「から」との間に「のベース局」の5文字を挿入する。
B.特許請求の範囲の請求項4第5行の「およびの」を「および」と訂正する。
C.特許請求の範囲の請求項4第6行の「ベース局」と「位置」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第6行〜第7行の「ベース局」と「位置」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項5第1行の「ベース局」と「位置情報」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項5第3行の「ベース局」と「位置情報」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項5第5行〜第6行の「ベース局」と「距離値」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項7第1行の「ベース局」と「位置情報」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項9第1行の「ベース局」と「距離値」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項14第2行の「ベース局」と「位置情報」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項19第3行の「ベース局」と「位置情報」との間に「の」の1文字、特許請求の範囲の請求項20第2行の「ベース局」と「位置情報」との間に「の」の1文字を挿入する。
D.特許請求の範囲の請求項4第6行の「登録された」と「前の」との間に「以」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第8行の「前記」と「前の」との間に「以」の1文字、特許請求の範囲の請求項4第9行の「前記」と「前の」との間に「以」の1文字、特許請求の範囲の請求項5第1行の「前記」と「前の」との間に「以」の1文字、特許請求の範囲の請求項9第1行の「前記」と「前の」との間に「以」の1文字、特許請求の範囲の請求項23第7行の「登録した」と「前の」との間に「以」の1文字を挿入する。
E.特許請求の範囲の請求項5第5行の「前記距離値」を「前記計算された距離」と訂正する。
F.特許請求の範囲の請求項15第1行の「前記位置情報」と「に」との間に「ととも」の3文字を挿入する。
G.特許請求の範囲の請求項16第1行〜第2行の「第1のベース局の緯度と第1のベース局の経度」を「第1のベース局の緯度と経度」と訂正する。
H.特許請求の範囲の請求項17第3行〜第4行の「第1のセルベース局」を「第1のベース局」、特許請求の範囲の請求項17第5行〜第6行の「第1のセルベース局」を「第1のベース局」、特許請求の範囲の請求項22第1行の「第1のセルベース局」を「第1のベース局」、特許請求の範囲の請求項22第1行の「第2のセルベース局」を「第2のベース局」、特許請求の範囲の請求項22第10行の「第2のセルベース局」を「第2のベース局」、特許請求の範囲の請求項22第10行〜第11行の「第1のセルベース局」を「第1のベース局」と訂正する。
I.特許請求の範囲の請求項18第2行の「セル」と「の自動車局」との間に「中」の1文字を挿入する。
J.特許請求の範囲の請求項18第9行の「前記計算された距離値」を「前記計算された距離」、特許請求の範囲の請求項24第4行の「前記計算された距離値」を「前記計算された距離」と訂正する。
K.特許請求の範囲の請求項22第5行の「提供するため」と「前記第2のベース局」との間に「に」の1文字を挿入する。
L.特許請求の範囲の請求項23第3行の「前記セルの予め定められた1つのセルにおいて」を「前記複数のセルにおいて」と訂正する。
M.特許請求の範囲の請求項25第2行の「位置情報値」を「位置情報」と訂正する。
N.特許請求の範囲の請求項27第1行の「前記第1のセル」を「前記現在のセル」、特許請求の範囲の請求項27第2行の「前記第1のセル」を「前記現在のセル」、特許請求の範囲の請求項27第4行の「前記第1のセル」を「前記現在のセル」、特許請求の範囲の請求項27第9行〜第10行の「前記第1のセル」を「前記現在のセル」と訂正する。
O.特許請求の範囲の請求項27第1行の「記第2のセル」を「前記以前のセル」、特許請求の範囲の請求項27第2行の「前記第2のセル」を「前記以前のセル」、特許請求の範囲の請求項27第4行の「前記第2のセル」を「前記以前のセル」、特許請求の範囲の請求項27第9行の「前記第2のセル」を「前記以前のセル」と訂正する。
P.特許請求の範囲の請求項28第1行の「予め定められたセルグループ」を「前記決定されたセルグループ」と訂正する。
Q.特許請求の範囲の請求項29第1行の「位置情報」と「を自動車局」との間に「および距離値」の6文字を挿入する。
R.特許請求の範囲の請求項29第6行の「前記」と「距離」との間に「計算された」の5文字を挿入する。
S.特許請求の範囲の請求項29第7行の「前記」と「ベース局」との間に「現在の」の3文字を挿入する。
T.特許請求の範囲の請求項30第2行の「前記登録情報から」と「1組のベース局」との間に「前記自動車局にページングメッセージを送信する」の22文字を挿入する。
異議決定日 2001-01-17 
出願番号 特願平5-506284
審決分類 P 1 651・ 852- YA (H04Q)
P 1 651・ 853- YA (H04Q)
P 1 651・ 161- YA (H04Q)
P 1 651・ 121- YA (H04Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 伊東 和重  
特許庁審判長 松野 高尚
特許庁審判官 谷川 洋
大橋 隆夫
登録日 1998-07-10 
登録番号 特許第2801402号(P2801402)
権利者 クァルコム・インコーポレーテッド
発明の名称 自動車通信装置登録方法  
代理人 花輪 義男  
代理人 村松 貞男  
代理人 村松 貞男  
代理人 高田 守  
代理人 花輪 義男  
代理人 橋本 良郎  
代理人 橋本 良郎  
代理人 葛野 信一  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 鈴江 武彦  

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