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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1041148
異議申立番号 異議1999-71584  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-07-11 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-04-26 
確定日 2001-01-31 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2816139号「真空処理装置用搬送システム及び真空処理装置」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2816139号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 [1]手続の経緯
本件特許第2816139号(平成2年8月29日出願(特願平2-225321の分割)、平成10年8月14日設定登録)は、設定登録後、その特許について、異議申立人金田幸一、熊澤邦宏、高橋 学、竹野哲雄の4名よりそれぞれ特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年2月15日に訂正請求がなされたものである。

[2]訂正の適否
(1)訂正の内容
(1-1)訂正事項A
特許請求の範囲の請求項1の4行〜7行に「前記大気中のカセット・・・アンロードロック室と、」とあるのを、「前記大気中のカセットから前記被処理基板を搬入するとともに前記搬送室を介していずれかの真空処理室へ前記被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室と、」に訂正する。

(1-2)訂正事項B
請求項1の7行〜8行に「前記大気中のカセットと・・・搬送装置と、」とあるのを、「前記大気中のカセットと前記ロードロック室及び前記アンロードロック室との間で前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置と、」に訂正する。

(1-3)訂正事項C
請求項1の9行〜12行に「前記ロードロック室・・・隔離弁とを備え、」とあるのを、「前記ロードロック室及び前記アンロードロック室の大気側及び真空側に前記大気搬送装置から独立してそれぞれ設けられ、該ロードロック室及び前記アンロードロツク室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために前記被処理基板もしくは前記処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とを備え、」と訂正する。

(1-4)訂正事項D
請求項1の13行〜16行に「大気雰囲気の・・・一枚毎搬入出する」とあるのを、「大気雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロツク室と前記大気中のカセットとの間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記いずれかの真空処理室との間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出する」と訂正する。

(1-5)訂正事項E
請求項2の5行〜8行に「前記大気中のカセット・・・アンロードロック室と、」とあるのを、「前記大気中のカセットから前記被処理基板を搬入するとともに前記搬送室を介していずれかの真空処理室へ前記被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室と、」に訂正する。

(1-6)訂正事項F
請求項2の8行〜9行に「前記大気中のカセットと・・・搬送装置と、」とあるのを、「前記大気中のカセットと前記ロードロック室及び前記アンロードロック室との間で前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置と、」に訂正する。

(1-7)訂正事項G
請求頃2の10行〜13行に「前記ロードロック室・・・隔離弁とを備え、」とあるのを、「前記ロードロック室及ひ前記アンロードロック室の大気側及び真空側に前記大気搬送装置から独立してそれぞれ設けられ、該ロードロック室及び前記アンロードロツク室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために前記被処理基板もしくは前記処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とを備え、」と訂正する。

(1-8)訂正事項H
請求項2の14行〜17行に「大気雰囲気の・・・一枚毎搬入出する」とあるのを、「大気雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記大気中のカセットとの間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記いずれかの真空処理室との間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出する」と訂正する。

(1-9)訂正事項I
明細書の段落【0008】の2行〜末行に「被処理基板を・・・特徴がある。」とあるのを、「被処理基板を一枚毎真空処理する複数の真空処理室に連結された搬送室と、被処理基板もしくは処理済基板を複数枚収納できるカセットを大気中で載置するカセット台と、前記大気中のカセットから前記被処理基板を搬入するとともに前記搬送室を介していずれかの真空処理室へ前記被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室と、前記大気中のカセットと前記ロードロック室及び前記アンロードロック室との間で前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置と、前記ロードロック室及び前記アンロードロック室の大気側及び真空側に前記大気搬送装置から独立してそれぞれ設けられ、該ロードロック室及び前記アンロードロック室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために前記被処理基板もしくは前記処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とを備え、大気雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記大気中のカセットとの間で、前記彼処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記いずれかの真空処理室との間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出する真空処理装置用搬送システムに特徴がある。」と訂正する。

(1-10)訂正事項J
明細書の段落【0009】の1行〜末行に「被処理基板を一枚・・・真空処理装置にある。」とあるのを、「被処理基板を一枚毎真空処理する複数の真空処理室と、該複数の真空処理室に連結された搬送室と、被処理基板もしくは処理済基板を複数枚収納できるカセットを大気中で載置するカセット台と、前記大気中のカセットから前記被処理基板を搬入するとともに前記搬送室を介していずれかの真空処理室へ前記被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室と、前記大気中のカセットと前記ロードロック室及び前記アンロードロック室との間で前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置と、前記ロードロック室及び前記アンロードロック室の大気側及び真空側に前記大気搬送装置から独立してそれぞれ設けられ、該ロードロック室及びアンロードロック室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために前記被処理基板もしくは前記処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とを備え、大気雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記大気中のカセットとの間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記いずれかの真空処理室との間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出する真空処理装置にある。」と訂正する。

(1-11)訂正事項K
明細書の段落【0010】の1行〜11行に「本発明によれば、・・・少なくなり、」とあるのを、「本発明によれば、いずれかの真空処理室へ被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室がありこのロードロック室及ひアンロードロック室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために被処理基板もしくは処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とが設けられている。そして、大気雰囲気の前記ロードロック室及びアンロードロック室と大気中のカセットとの間で、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気のロードロック室及びアンロードロック室といずれかの真空処理室との間で、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬入出する。そのため、基板の搬入出に伴い真空処理室とロードロック室またはアンロードロック室が連通状態になっている時間は短い。従って、処理済基板に付着したゴミや残留ガスのロードロック室及びアンロードロック室に持ち込まれる量が少なくなり、」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(2-1)訂正事項Aについて
上記訂正事項Aは、請求項1の「ロードロック室/アンロードロツク室」の表現を明りょうな記載に訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明に該当する。

(2-2)訂正事項Bについて
上記訂正事項Bは、請求項1の構成を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮に該当する。

(2-3)訂正事項Cについて
上記訂正事項Cは、請求項1の構成を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮に該当する。

(2-4)訂正事項Dについて
上記訂正事項Dは、請求項1の構成を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮に該当する。

(2-5)訂正事項E〜Hについて
上記訂正事項E〜Hは、請求項1に関する訂正事項A〜Dに対応して請求項2の構成をそれぞれ訂正するものであり、訂正事項A〜Dにおいて示した理由と同じ理由により、特許請求の範囲の減縮または明りょうでない記載の釈明に該当する。

(2-6)訂正事項I、Jについて
上記訂正事項I、Jは、明細書の段落【0008】、【0009】に記載されていた特許請求の範囲の請求項1、2に相当する記載を、上記訂正事項A、Bの訂正に整合させるための訂正であり、明りょうでない記載の釈明に該当する。

(2-7)訂正事項Kについて
上記訂正事項Kは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の欄の記載とを整合させるための訂正であり、明りょうでない記載の釈明に該当する。

そして、上記訂正事項A〜Kは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)独立特許要件
(3-1)本件発明
訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された発明(以下、「本件発明1、2」という。)は、特許請求の範囲の請求項1、2に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】
被処理基板を一枚毎真空処理する複数の真空処理室に連結された搬送室と、被処理基板もしくは処理済基板を複数枚収納できるカセットを大気中で載置するカセット台と、
前記大気中のカセットから前記被処理基板を搬入するとともに前記搬送室を介していずれかの真空処理室へ前記被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室と、
前記大気中のカセットと前記ロードロック室及び前記アンロードロック室との間で前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置と、
前記ロードロック室及び前記アンロードロック室の大気側及び真空側に前記大気搬送装置から独立してそれぞれ設けられ、該ロードロック室及び前記アンロードロツク室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために前記被処理基板もしくは前記処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とを備え、
大気雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロツク室と前記大気中のカセットとの間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記いずれかの真空処理室との間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出することを特徴とする真空処理装置用搬送システム。
【請求項2】
被処理基板を一枚毎真空処理する複数の真空処理室と、
該複数の真空処理室に連結された搬送室と、
被処理基板もしくは処理済基板を複数枚収納できるカセットを大気中で載置するカセット台と、
前記大気中のカセットから前記被処理基板を搬入するとともに前記搬送室を介していずれかの真空処理室へ前記被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室と、
前記大気中のカセットと前記ロードロック室及び前記アンロードロツク室との間で前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置と、
前記ロードロック室及び前記アンロードロック室の大気側及び真空側に前記大気搬送装置から独立してそれぞれ設けられ、該ロードロック室及びアンロードロック室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために前記被処理基板もしくは前記処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とを備え、
大気雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記大気中のカセットとの間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロツク室と前記いずれかの真空処理室との間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出することを特徴とする真空処理装置。」

(3-2)取消理由の概要
1)理由1
訂正前の請求項1、2に係る発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するものである。
2)理由2
訂正前の請求項1、2に係る発明は、刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法第29条第2項の規定に該当するものである。

(3-3)引用刊行物の記載事項
1)刊行物1
刊行物1の特開平2-61064号公報には、真空室と該真空室内に配置された回転可能な基板ホルダーとを備えた、メリーゴーランド方式によって基板を被覆する装置に関する発明が第1、2図とともに開示され、さらに
以下の事項が記載されている。

実施例について
「第1図には真空室1が示されており、同真空室の外側の包囲面は、偏平な中空シリンダで構成されていると表現することができる。・・・真空室1の内部には、同様に円環状の基板ホルダー6が回転駆動可能に取り付けられている。・・・
・・・真空室1には2つの同一のエアロックステーション8、9が備えられており、・・・真空室1の上側にはさらに2つの被覆ステーション10、11が配置されている。
・・・
・・・各エアロックステーション8、9には1つの積載ステーション16ないし17と4つのマガジン18、・・・ないし19、・・・が割り当てられている。積載ステーション16、17とマガジン18、・・・ないし19、・・・との間には、回転する基板円板20aないし21aを備える引き渡し装置20ないし21が配置されている。」(第4頁左上欄8行〜左下欄1行)、

「第4図には真空室1の細部、即ち室の天井2、室の床3そして枠4、5が明瞭に示されている。室の天井2にはシリンダ状の空所が配設されており、同空所をエアロック室の上部38が十分な半径方向の隙間をもって貫通している。
このエアロック室の上部38は、シリンダ状の内部空室39を有し、さらに上端部においてはシール面40aを備えるフランジ40を有している。このシール面内にシールリング41が装着されている。上部38はベローズ42によって気密的に真空室1に連結されている。
エアロック室の上部38はさらに下方のシール面40bを有しており、同シール面内には別のシールリング43が装着されている。
さらにエアロックステーション8、9には、エアロック室の上部38に割り当てられて、駆動されるものであって、しかも前記シリンダ状の内部空室39を十分に満たすところの、シール縁45を備える押しのけ体44が付設されている。・・・駆動シリンダ49を用いてシール縁45を、エアロック室の上部38の上方のシール面40aないしはシールリング41の上に気密的に載置することができる。
フランジ40と真空室1との間には、図面は示されていない駆動装置が存在し、同駆動装置によって上部38の下方のシール面40bが基板ホルダー6の上面に気密的に当接せしめられる。」(第5頁左上欄2行〜右上欄17行)、

「この時点で積載ステーションの前記つかみは基板を開放し、同基板は今や持上げロッド62の下降によって、第4図の実線で示された位置まで運ばれる。基板26が基板ホルダー6の凹部67に装着されると直ちに、基板受容部63もまた基板ホルダー6の環状肩部の上に当接し、そしてセンタリングコーン64は基板受容部63から離れる。この時-第4図の状態と対照的に-基板ホルダー6とエアロック室の上部38及び下部51とが密着していることは明白である。基板26が沈下した直後に、押しのけ体44が基板26の上方の内部空室39内に導入される(点線で示された位置)。この時シール面40aとシール縁45とが密着する。-真空ポンプが連続的に作動している状態で-エアロック室の上部38は持上げられ、エアロック室の下部51は沈下せしめられる。この状態が第4図に示されている。今や装置は円転状態にあり、同装置において基板ホルダー6はある歩幅で、即ち2目盛り角度ずつ歩進せしめられる。
・・・
基板の導出工程は、導入工程をちょうど逆にして行われる。即ち、まず基板ホルダー6にエアロック室の上部38及び下部51が密着し、その後内部空室39が注気され、押しのけ体44が持ち上げられる。続いて直ぐに、基板26も持上げロッド62によって一点鎖線に示された位置まで持上げられ、そしてつかみ22、22’ないし23、23’のいずれか1つによって把持され、その領域から回転軸回りの旋回により取り出される。」(第6頁左下欄1〜右下欄18行)

2)刊行物2
刊行物2の特開昭63-153270号公報には、真空槽内における基板交換機構に関する発明が第1、2図とともに記載され、さらに以下の事項が記載されている。

実施例について
「第1図は本装置(1)の全体を示すが、左右には一対のCVD反応室(2a)(2b)が設けられ、これらの間にバッファー室(3)が設けられている。バッファー室(3)と両反応室(2a)(2b)との間の隔壁にはゲートバルブ(16)(17)(「(4a)(4b)」は誤記である。)が設けられ、これらを介してウエハーの受け渡しが行われるようになっている。バッファー室(3)の前方には本発明に関わるウエハー交換室(5)が設けられ、ゲートバルブ(6)を介してこれら室(3)(5)間でウエハーの受け渡しが行われるようになっている。
バッファー室(3)内にはウエハー転送機構(7)が設けられ、これは搬送用フォーク(8)を備え、矢印aで示すように中心軸(9)の回りに回動自在であり、かつ矢印bで示すように伸縮自在となっている。ウエハー交換室(5)の両側壁部にもゲートバルブ(10)(11)が設けられ、この一方側には未処理ウエハー搬入用ベルト(12)が設けられ、ウエハーストック・カセット(13)から所定のタイミングで一枚宛、自動的に取り出してベルト(12)によりウエハー交換室(5)内に搬入するようになっている。また他方には処理済ウエハー搬出用ベルト(14)が設けられ、処理済ウエハーストック・カセット(15)へと搬入するようになっている。」(第3頁左上欄13行〜右上欄15行)、

発明の効果について
「本発明の真空槽内における基板交換機構に依れば、大気中の所定の位置へウエハー交換室から処理済ウエハーを搬出及び大気中の所定の位置からウエハー交換室へウエハーを搬入する作業、さらにそれに伴うベント、排気作業を処理室で他のウエハーの処理を行っている間に平行して行うことが可能となり、処理室でのウエハー交換作業上要する時間を最小にすることが出来生産性を一段と向上させる事が出来る。」(第6頁右下欄19行〜第7頁左上欄7行)

3)刊行物3
刊行物3の特開昭62-50463号公報には、高品質真空中でのバイアススパッタ成膜を高速に行うことを可能とする連続スパッタ装置に関する発明が第1〜3図とともに記載され、さらに以下の事項が記載されている。

発明の概要について
「(1)取入・取出室を設け、処理室を常時高真空に保持し、(2)処理室内の複数の処理ステーションの真空雰囲気を独立に制御し、処理ステーション間の相互汚染をなくし、(3)処理室内で基板を保持したまま移動する基板ホルダにエッチング電極を内蔵し、スパッタ成膜とスパッタエッチングを同時に行うことにより、バイアススパッタを可能としたものである。」(第2頁右上欄1〜5行)、

一実施例の構成について
「第2図に示す如くローデイングステーション78の大気側にはローデイング室51、さらにその大気側に取入・取出室52が設置されている。取入・取出室52内には2組の搬送手段53、54が、またローデイング室51内には1組の搬送手段55が設置されている。
・・・
取入・取出室52の両側にはゲートバルブ部56、57が設置されている。ゲートバルブ56、57が開いている時に基板5は大気中の搬送手段(図示せず)により取入・取出室52に搬入され、搬送手段53、54、55によりローデイング室51を経て再び大気側に搬出されることができる。また取入・取出室52は第1図に示すように真空配管58、真空バルブ59を経由して補助真空ポンプ60に、またリーク配管61、リークバルブ62を経由してリークガス源(図示せず)に接続されている。」(第3頁左上欄8行〜右上欄6行)、

一実施例の動作について
「取入・取出室52では両側のゲートバルブ56、57および真空バルブ59を閉じた状態で、リークバルブ62を開き、リーク配管62よりリークガスを導入し、取入・取出室52内を大気圧にしておく。
ローデイング室51ではエレベータ65を下降の状態にしておくとともに真空ポンプ91により例えば10-7Torr台に真空排気しておく。
・・・
取入・取出室52のゲートバルブ56を開いた後、大気側搬送装置(図示せず)と搬送手段53(第2図)との協調により基板5を搬入位置69に搬入した後ゲートバルブ56を閉じる。
次に補助真空ポンプ60(第1図)を作動させ、真空バルブ59を開き、取入・取出室52内を例えば0.1Torrに排気した後、ゲートバルブ57を開く。搬送手段53、55(第2図)の協調により、基板5をローデイング位置64に搬送した後、エレベータ65、アーム66(第1図)の協調により、基板5を基板ホルダ42に装着する。
・・・ローデングステーション78(第2図)では基板ホルダ42に装着されている処理ずみ基板5を、アーム66、エレベータ65(第1図)の協調により、搬送手段55(第2図)上に移しかえる。ゲートバルブ57を開いた後、搬送手段55、54の協調により基板5を取入・取出室52内の搬出位置70に搬送するとともに、未処理の基板5を搬入位置69からローデイング位置64に搬送した後、ゲートバルブ57を閉じる。
前述のごとく取入・取出室内を大気圧にし、ゲートバルブ56を開いた後、次に処理する未処理基板5の搬入と、搬出位置70にある処理ずみ基板5の搬出とを同時に行う。」(第3頁右下欄16行〜第4頁右上欄15行)、
「また本実施例ではローデイングステーション78にローデイング室51と、取入・取出室52とを設けたが、これに限らずローデイング室51を省略し、取入・取出室52を主真空室32に直接に取付け、さらに取入・取出室52内にエレベータ65ローデイング用のアーム66を設けることによっても同様の効果が得られる。」(第4頁右下欄20〜第5頁左上欄6行)

4)刊行物4
刊行物4の「Semicon NEWS」1987年4月号、P38〜43には、サブミクロンプロセスの要求を満足するスパッタリング装置に関する発明が図3とともに記載され、さらに以下の事項が記載されている。

装置の説明について
「図3に装置の本体構成を示す。本装置は五角柱形状の外筒と円筒形状の内筒とで構成された主真空室を中心として、主真空室の各側面に個別の真空室を配置した構造である。主真空室の五つの側面に設けられた個別の真空室は、それぞれ独立したウエハ処理室を構成し、4室の小容積の処理室I〜IVと前処理室とから成る。
主真空室内には回転ドラムが内蔵され、これにウエハを保持するウエハホルダが取り付けられている。このウエハホルダは、回転ドラムのラジアル方向に動くことができる構造であり、各ウエハ処理室の配置に対応して回転ドラムに等角度に5個設けられている。
ウエハはロード側カセットから1枚づつロードロック室を経て前処理室に搬入される。前処理室内には、ウエハ加熱ステーションとスパッタエッチクリーニングステーションが取付け可能であり、プロセスの要求に応じてベーキングによる吸着ガスの追出しやスパッタエッチクリーニングの前処理を受ける。次いでウエハは、搬送アームによって水平から垂直に姿勢変換された後、前述のウエハホルダに装着される。このウエハホルダは、ホルダ前後進駆動装置によってウエハ処理時には処理室側へ、ドラム回転時には回転ドラムに密着する機構となっている。ウエハホルダに装着されたウエハは、回転ドラムが1/5回転する毎に処理室I〜IVへと搬送され、順次各処理室に静止対向して所定の処理が施され、再び姿勢を水平に戻した後に前処理室、ロードロック室を経由してアンロード側カセットに収納される。」(第40頁左欄9行〜第41頁左欄3行)

5)刊行物5
刊行物5の特表昭64-500072号公報には、半導体ウエーハ処理装置のためのモジューラ装置に関する発明が第1〜3図とともに開示され、さらに以下の事項が記載されている。

第1、2図について
「モジューラ半導体処理装置1はウエーハハンドラー及びロードロックモジュール400、ゲートバルブモジュール100a-100f、移送モジュール200a及び200b、処理モジュール300a-300d、及び移送モジュール200aと200bとの間に接続された通過モジュール500を有している。
・・・領域407はロードロックチェンバ406の外部にあり、モジュール400の範囲内は大気圧となっている。制御された低気圧環境が装置のこの部分にもたらされる。・・・処理されるべき選択されたウエーハがウエーハハンドラー405によって、・・・ウエーハカセット402-403からロードされる。前記ウエーハハンドラー405は選択されたウエーハをそのカセットからウエーハアライナ及びフラットフアインダ408に移送し、又、ウエーハアライナ408からロードロックチェンバ406へ移送する。」(第3頁左上欄9行〜右上欄2行)、

「ウエーハの処理が完了すると、ウエーハは処理モジュールからロードロックチェンバ406に戻され、そこから移動アーム201aによって、又は移動アーム201b、通過チェンバ501及び移動アーム201aによって運ばれたカセット(401-404)に戻される。」(第4頁右上欄1行〜6行)、

第3図について
「操作において、運ばれたウエーハはウエーハハンドラー(第3図には図示せず)によって、入口モジュール40a内の運ばれたウエーハカセット(第3図には図示せず)から平坦ファインダー50bに運ばれ、次に、ロードロックチェンバ46aに運ばれる。該ロードロックチェンバは第1図のロードロックチェンバ406と同じものである。・・・運ばれたウエーハは次に移送アーム201cに載せられ、・・・ウエーハの処理が完了すると、ウエーハは、ウエーハが置かれる処理モジュールを供給する移送アームに載せられ、出口ポート21aに戻される。・・・移動アーム201cは2つの処理管接続口をサービスし、どちらも入口及び出口モジュールである。もし望むならば、入口モジュール41aは入口及び出口モジュールの両方として利用してもよく、」(第5頁右上欄3行〜右下欄7行)

6)刊行物6
刊行物6の特開平2-106037号公報には、処理室内で被処理基板の処理を行う以前の初期段階に、処理室から被処理基板を搬出する動作を実行し、この後に処理室内に被処理基板を搬入して処理を開始する処理方法に関する発明が第1、2図とともに記載され、さらに以下の事項が記載されている。

エッチング装置の構成について
「上記未処理ウエハ(la)を収納する収納部(2a)と、この収納部から上記ウエハ(la)を搬出するための搬送部(3a)と、この搬送部(3a)により搬送されたウエハ(la)を位置合わせするアライメント部(4)と、この位置合わせされたウエハ(la)を搬入する搬送機構(5a)及び処理済みウエハ(lb)を搬出する搬送機構(5b)を備えた気密な処理部(6)と、この処理部(6)から搬出されたウエハ(lb)を搬送する搬送部(3b)と、この搬送されたウエハ(lb)を収納する収納部(2b)から構成されている。
上記収納部(2a)(2b)には上記ウエハ(la)(lb)を板厚方向に所定の間隔を設けて複数枚例えば25枚を積載収納可能なウエハカセット(7a)(7b)が各々1個設けられている。・・・
そして、上記搬送部(3a)(3b)は、並設された2本のベルトにより上記ウエハ(la)(lb)をウエハカセット(7a)から搬出或いはウエハカセット(7b)へ搬入可能としている。
・・・
・・・この処理部(6)は、エッチング処理する気密容器即ち処理室(8)に気密を保ちながらウエハ(la)を搬送可能なイン側ロードロック室(9)及び処理済みのウエハ(lb)を搬出可能なアウト側ロードロック室(10)が設けられている。」(第2頁右上欄17行〜右下欄13行)、

ウエハの処理方法について
「収納部(2a)に載置されたウエハカセット(7a)内に収納されている未処理ウエハ(la)を、搬送部(3a)によりアライメント部(4)へ搬送する。・・・搬出側の搬送機構(5b)即ちアウト側ロードロック室(10)内に設けられている搬送機構(5b)を動作させる。これは、蓋(12a)を開けて処理室(8)内に上記搬送機構(5b)を挿入して、上記処理室(8)内からウエハ(1)を搬出する動作を行なう。・・・この後、上記位置合わせされたウエハ(la)を、イン側ロードロック室(9)内に配置されている搬送機構(5a)により・・・上記イン側ロードロック室(9)内に搬入し、蓋(11a)を閉じる。そして、このイン側ロードロック室(9)に接続した真空機構(図示せず)により、上記イン側ロードロック室(9)内を所定の減圧状態に設定する。更に、蓋(11b)を開け、所定の減圧状態に設定された処理室(8)内に、搬送機構(5a)により搬入し、設置用電極(16)に上記ウエハ(la)を設置する。そして、上記処理室(8)内に設置されたウエハ(la)は、蓋(l1b)が閉じられた後に、所定の反応ガス例えばエッチングガスの供給及び電極(16)(17)間の放電によりプラズマエッチングされる。この間、上記イン側ロードロック室(9)内には、次の未処理ウエハ(la)が搬入され、ウエハ(la)の存在が上記センサー(14a)により認識される。そして、上記処理室(8)内のウエハ(1)のエッチング処理が終了すると、この処理済ウエハ(lb)を、減圧状態となっているアウト側ロードロック室(10)内に、蓋(12a)が開くことにより搬送される。このアウト側ロードロック室(10)で不活性ガス例えばN2ガスを供給することにより常圧に設定し、蓋(12b)を開けて上記ウエハ(lb)を搬出してウエハカセット(7b)内に収納する。」(第3頁右上欄14行〜右下欄13行)

7)刊行物7
刊行物7の特開昭60-246635号公報(上記取消理由通知に記載された、「刊行物7:特開平1-246635号公報」は誤記である。)には、半導体基板等の自動基板処理装置に関する発明が、第1、2図とともに開示され、さらに、以下の事項が記載されている。

実施例について
「第1図において、基板処理部Aは、カセット10の形状を除けば第1図と同一の基板処理装置である。この実施例ではカセット10、15はカセット室1、3の専用となってこゝに固定され脱着の必要がないものになっている。またこれに伴って、(第1図には第2図と同じ大きさに描いたが)カセット室の扉2、4も基板が通過できるだけの最小開口でよいものとなる。・・・
第2図のB部の基板搬送装置60と基板収納装置70は本実施例で付設された部分である。基板収納装置70の内では処理前の被処理基板21はカセット20に収納され、処理後の基板31はカセット30に収納され、ダミー用の補助基板51はカセット41、42に収納されている。・・・カセット室1のカセット10の被処理基板11がなくなった場合には、扉2を開いて、基板収納装置70内にあらかじめ投入されている被処理基板21がカセット20から、搬送器Cで搬送されてくるようになっている。そしてこの場合、もしカセット21にセットされている基板の枚数が、エッチング室7に設けられたステージ9の個数・・・の整数倍になっていない場合には、・・・不足枚数だけの補助用基板51がカセット41より搬送器F-D-Cを経由して、カセット室1のカセット10に自動的に搬送補給されるようになっている。次に、所定の基板処理を終えてエッチング室7からトランスファー室5を経由して、処理済基板12がカセット室3のカセット15に納められた後は、扉4が開かれ、処理済基板12が搬送器D、Fによって処理済基板31と補助基板51に区分けされて、それぞれがカセット30とカセット41または42に送られ収納される。」(第2頁右下欄10行〜第3頁右上欄9行)

(3-4)対比・判断
1)理由1について
本件発明1、2と刊行物1に記載の発明とを対比する。
刊行物1に記載の発明において、基板を1枚毎真空処理する複数の被膜ステーション10、11と、この被膜ステーション10、11に連結された真空室1が設けられ、この真空室1には、内部を移動する基板ホルダー6が設けられており、この被膜ステーション10、11と真空室1は、本件発明1、2における真空処理室と搬送室に相当する。
また、刊行物1に記載の発明において、被処理基板、処理済基板を複数枚収納できるマガジン18、19等が引き渡し装置20、21に設けられているが、このマガジン18、19等は、本件発明1、2におけるカセットに相当する。
また、刊行物1に記載の発明において、大気中のマガジン18、19等とエアロックステーション8、9との間で被処理基板、処理済基板の搬入搬出が行われ、マガジン18、19等内の被処理基板は、引き渡し装置20、21、積載ステーション16、17を介してエアロックステーション8、9へ移送されており、この引き渡し装置20、21及び積載ステーション16、17は、本件発明1、2における大気搬送装置に相当し、エアロックステーション8、9は、本件発明1、2におけるロードロック室、アンロードロック室に相当する。
さらに、刊行物1に記載の発明において、エアロックステーション8、9には、真空側に基板ホルダー6がシールリング43を介して開閉可能に設けられ、大気側にシール縁45を有する押しのけ体44が設けられているが、この基板ホルダー6、押しのけ体44は、本件発明1、2における隔離弁に相当する。
そして、刊行物1に記載の発明において、エアロックステーション8、9とマガジン18、19等との間で、引き渡し装置20、21、積載ステーション16、17を介して基板の1枚毎の搬入搬出が行われるとともに、被膜ステーション10、11とエアロックステーション8、9との間で回転移動する基板ホルダー6を有する真空室1を介して基板の1枚毎の搬入搬出が行われている。
しかしながら、
本件発明1、2では、被処理基板を搬入搬出するロードロック室と、処理済基板を搬入搬出するアンロードロック室を有しているのに対し、刊行物1に記載の発明では、エアロックステーション8、9は被処理基板と処理済基板の搬入搬出を兼用している点(1)
本件発明1、2では、カセット台に載置したカセットとロードロック室及びアンロードロック室との間で、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置を有しているのに対し、刊行物1に記載の発明では、マガジン18、19等とエアロックステーション8、9との間で、基板を搬送する引き渡し装置20、21と積載ステーション16、17を有している点(2)
で、それぞれ相違し、しかも、本件発明1、2の上記相違点(1)、(2)は、刊行物1において記載されているに等しい事項であるとすることもできない。
したがって、本件発明1、2は、刊行物1に記載の発明であるとすることはできない。

2)理由2について
本件発明1、2と刊行物1〜7に記載のものとを対比すると、以下のとおりである。

刊行物1には、本件発明1、2の上記相違点(1)、(2)の構成に変更するための動機付けとなるものは何も記載されていない。

刊行物2には、ゲートバルブ6、10、11(本件発明1、2の「隔離弁」に相当する。)を有する一つのウエハー交換室5(本件発明1、2の「ロードロック室、アンロードロック室」に相当する。)に対して、一方の側に未処理ウエハー搬入用ベルト12(本件発明1、2の「大気搬送装置」に相当する。)を設け、他方の側に処理済ウエハー搬出用ベルト14(本件発明1、2の「大気搬送装置」に相当する。)を設けた装置が記載されている。
しかしながら、刊行物2に記載のものは、一つのウエハー交換室の両側に未処理ウエハー搬入用ベルト12、処理済ウエハー搬出用ベルト14を設けているから、本件発明1、2のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室と、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置とを設けた構成ではないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものもない。

刊行物3には、ローデイング室51を省略したゲートバルブ56、57(本件発明1、2の「隔離弁」に相当する。)を有する一つの取入・取出室52からなるローデイングステーション78(本件発明1、2の「ロードロック室、アンロードロック室」に相当する。)が記載され、処理前の基板5を、大気側搬送手段によりこの取入・取出室52に搬入し、処理後の処理ずみ基板5を、取入・取出室52から搬出することが記載されている。
しかしながら、刊行物3に記載のものは、1つの取入・取出室52に設置されている2組の搬送手段53、54に対して搬送手段がどのように設けられているのか明らかではないから、本件発明1、2のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室と、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置とを設けた構成であるとすることはできないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものもない。

刊行物4には、ロード側カセットからウエハを1枚ずつ前処理室へ搬入するロードロック室と処理済のウエハをアンロード側カセットへ搬出するアンロードロック室とを設けた装置が記載され、しかも図3には、2つのロードロック室に隔離弁に相当するものが記載され、またロード側カセットとロードロック室の間、アンロード側カセットとロードロック室の間には、それぞれ大気搬送装置に相当するものが記載されている。
しかしながら、刊行物4に記載のものは、一組のロードロック室とアンロードロック室を備えているものの、これらと主真空室との間に前処理室を設けており、ロード側カセットとロードロック室及びアンロード側カセットとアンロードロック室の間には、ウエハを一枚毎搬送する一組の大気搬送装置に相当するものが設けられているから、本件発明1、2のように、一組のロードロック室とアンロードロック室に対して、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置を設けた構成ではないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものもない。

刊行物5の第3図には、ウエーハが、ウエーハハンドラー(本件発明1、2の「大気搬送装置」に相当する。)によって、ウエーハカセットから入口モジュール40aに運ばれ、さらに入口モジュール40aに設けられたロードロックチェンバー46a(本件発明1、2の「ロードロック室」に相当する。)に運ばれること、そして、ウエーハの処理が完了すると、ウエーハはロードロックチェンバー46b(本件発明1、2の「アンロードロック室」に相当する。)から出口モジュール40bに運ばれることが記載され、さらに第3図には、ロードロックチェンバー46a、46bにゲートバルブモジュール10d、10a(本件発明1、2の「隔離弁」に相当する。)が記載されている。
しかしながら、刊行物5に記載のものは、一組のロードロックチェンバー46a、46bを備えているものの、第1図に記載されているウエーハハンドラー405に相当するものがどのように設けられているのか明らかではないから、本件発明1、2のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室と、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置とを設けた構成であるとすることはできないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものもない。

刊行物6には、ウエハカセット7a内に収納された未処理ウエハ1aを、搬送部3a(本件発明1、2の「大気搬送装置」に相当する。)を介して蓋11a、11b(本件発明1、2の「隔離弁」に相当する。)を有するイン側ロードロック室9に搬入した後、処理室8へ搬出し、処理済のウエハ1bを、アウト側ロードロック室10から蓋12a、12b(本件発明1、2の「隔離弁」に相当する。)を有する搬送部3b(本件発明1、2の「大気搬送装置」に相当する。)を介してウエハカセット7bに搬入することが記載されている。
しかしながら、刊行物6に記載のものは、1組のイン側ロードロック室9とアウト側ロードロック室10を備えているものの、イン側ロードロック室9とアウト側ロードロック室10には、それぞれ搬送部3a、3bが設けられているから、本件発明1、2のように、一組のロードロック室とアンロードロック室に対して、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置を設けた構成ではないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものもない。

刊行物7には、基板収納装置70内の被処理基板21が、カセット20から一つの基板搬送装置60(本件発明1、2の「大気搬送装置」に相当する。)内の搬送器Cにより扉2(本件発明1、2の「隔離弁」に相当する。)を有するカセット室1(本件発明の1、2の「ロードロック室」に相当する。)を経由してトランスファー室5(本件発明1、2の「真空処理室」に相当する。)へ搬送され、処理済基板12は、扉4(本件発明1、2の「隔離弁」に相当する。)を有するカセット室3(本件発明1、2の「アンロードロック室」に相当する。)から基板搬送装置60内の搬送器D、Fによってカセット30、41に送られ収納される装置が記載されている。
しかしながら、刊行物7に記載のものは、一組のカセット室1、3及び一つの基板搬送装置60を備えているものの、基板搬送装置60内には搬送器C、D、Fが設けられており、搬送器Cにより被処理基板21を搬送し、搬送器C、Dにより処理済基板を搬送するものであって、この基板搬送装置60は、本件発明1、2の大気搬送装置のように、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する構成ではないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものもない。

次に、刊行物1〜7に記載のものの組み合わせについて検討すると、刊行物1〜3に記載の1つのロードロック、アンロードロック室を、一組のロードロック室及びアンロードロック室とするようなことは、刊行物4〜7に記載のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室を備えることが普通に知られていることからみて、容易に設計できる程度の事項にすぎないとしても、刊行物4〜6に記載の搬送手段は、ロードロック室及びアンロードロック室にそれぞれ設けられており、また、刊行物7に記載の一つの基板搬送装置は、搬送器Cにより被処理基板を搬送し、搬送器C、Dにより処理済基板を搬送するものである。
してみると、刊行物1〜7に記載のものを組み合わせてみても、本件発明1、2のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室と、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置とを設けた構成を容易に想到することはできない。

そして、本件発明1、2は、基板の搬入出に伴い真空処理室とロードロック室またはアンロードロック室が連通状態になっている時間は短いので、処理済基板に付着したゴミや残留ガスのロードロック室及びアンロードロック室に持ち込まれる量が少なくなるとともに、1つの大気搬送装置により基板の搬出入を行うため、大気搬送装置の数を少なくしクリーンルームにおける半導体製造装置の占める床面積を小さくすることができる、という顕著な効果を奏するものである。

したがって、本件発明1、2は、刊行物1〜7に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものとはいえない。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法(平成6年改正法)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、同法(同改正法)第120条の4第3項において準用する同法(同改正法)による改正前の同法(昭和63年改正法)第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

[3]異議申立てについて
(1)異議申立ての理由の概要
(1-1)異議申立人金田幸一は、証拠として甲第1、2号証を提出して、訂正前の本件請求項1、2に記載された発明は、甲第1、2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張している。

(1-2)異議申立人熊澤邦宏は、証拠として甲第1〜6号証を提出して、訂正前の本件請求項1、2に記載された発明は、甲第1〜6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張している。

(1-3)異議申立人高橋 学は、証拠として甲第1〜3号証を提出して、訂正前の本件請求項1、2に記載された発明は、甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張している。

(1-4)異議申立人竹野哲雄は、証拠として甲第1〜4号証を提出して、訂正前の本件請求項1、2に記載された発明は、甲第1、2号証に記載された発明である旨主張している。

(2)証拠に記載された事項
(2-1)異議申立人金田幸一の提出した証拠
1)甲第1号証
甲第1号証の特開昭63-153270号公報(当審が通知した取消理由において引用した刊行物2に対応する。)には、上記刊行物2に記載された事項が記載されている。

2)甲第2号証
甲第2号証の特開平1-251734号公報には、処理室側搬送系とロードロック室側搬送系の間に半導体ウエハの一時収容機構を設けた半導体製造装置に関する発明が、第1図とともに開示され、さらに以下の事項が記載されている。

中央部に配置されたウエハ搬送室1と、該ウエハ搬送室1の両側にあってウエハキャリア2を収容するロードロック室3と、該ウエハ搬送室1を中心としてほぼ90°の間隔をおいて配置された3つの処理チャンバ4a、4b、4cと、各ロードロック室3内のウエハキャリア2とウエハ搬送室1の間で半導体ウエハ5の搬送を行うための第1のロードロック室側搬送機構6により搬送された半導体ウエハ5を所定の処理チャンバへと搬送するための第2の処理室側搬送機構7と、これら第1及び第2の搬送機構の間に設けられた半導体ウエハ5を一時収容するためのバッファ室8とを設けた半導体製造装置。(「実施例」参照」)

(2-2)異議申立人熊澤邦宏の提出した証拠
1)甲第1号証
甲第1号証の特開昭62-44571号公報には、被処理基板を一枚毎真空処理する真空処理技術に関する発明が開示され、さらに、以下の事項が記載されている。

「チャンバ11にはウエハ14の搬入および搬出のための真空ロック室17および18がこれに接して設けられており、各真空ロック室17および18はそれぞれ一対のバルブ19A・19B・20A・20Bを有しかつ室内を真空引きするための配管(図示せず)と室内に乾燥窒素を導入し大気圧まで高めるための配管(図示せず)とが接続されている。この真空ロック室17および18は真空引きの時間を最小にするため容積は可能な限り小さくする。」(第2頁左上欄6〜15行)、

「カセット28から取り出されたウエハ14は既に開かれているバルブ19Aを通って真空ロック室17に入りこのときバルブ19Bは閉ざされている。ここでバルブ19Aを閉じ真空ロック室17を真空引きし所定の真空に達すると、バルブ19Bを開いてウエハ14をチャンバ11内に移動しさらにプラテン16に載置されてクランプされる。ウエハ14がチャンバ11内に移動されると直ちにバルブ19Bを閉じて真空ロック室17には乾燥窒素が導入され、同室17内が大気圧に達するとバルブ19Aは開いて新しいウエハがカセット28から送られる。」(第2頁左上欄16行〜右上欄8行)、

「このとき真空ロック室18は既に真空引きされかつバルブ20Aは開いているためウエハ14を同室18に移し、次いでバルブ20Aを閉じた後同室18に乾燥窒素を導入し大気圧になったときバルブ20Bを開いて処理ずみのウエハ14をカセット27に送りこむ。ウエハ14を真空ロック室18から取り出すと直ちにバルブ20Bは閉ざされ同室18の真空引きを行い所定真空圧に達すると、バルブ20Aを開いて次のウエハの導入を待つ。これで1枚のウエハのイオン注入は終了する。」(第2頁右上欄13行〜左下欄3行)

2)甲第2〜5号証
甲第2〜5号証(当審が通知した取消理由において引用した刊行物3、4、6、及び5に対応する。)の、特開昭62-50463号公報、「Semicon News」1987.4(第38〜43頁)、特開平2-106037号公報、及び特表昭64-500072号公報には、上記刊行物3、4、6、及び5に記載された事項が記載され、甲第5号証には、さらに以下の事項が記載されている。

「選択されたウェーハのカセットからロードロックチェンバ406中への移送の間、ウェーハは初めにウェーハハンドラー405によってウェーハ表面を沿直方向に維持されながらウェーハアライナ408に移される。選択されたウェーハは次にウェーハの平坦面が水平になるように回転されてロードロック406内に置かれる。その時、該ロードロックは大気にさらされている。ウェーハの平坦面はウェーハが移動アーム201aによってゲートバルブモジュール100aから移動モジュール200aへ移送される間、水平に維持される。前記移動アーム201aは移動モジュール200a及びゲートバルブモジュール100aの入出ポート210を通じてロードロックチェンバ406内のウェーハを引き出す。
移動モジュール200aは4つのポート210、211、212及び213を有する。ポート210、211及び212は各々、ゲートバルブモジュール100a、100b及び100cによって制御される。ポート211とそのゲートバルブモジュール100bは移動モジュール200aのチェンバ215を処理モジュール300aのチェンバ301aに接続している。同様に、ポート212及びそのゲートバルブモジュール100cは移動モジュール200aのチェンバ215を処理モジュール300bのチェンバ301bに接続している。移動モジュール200aの内部チェンバ215は在来のポンピング機構(第1図には図示せず)によって、大気圧よりも低い、選択された圧力に維持される。チェンバ215が排気される速度を高めるために、チェンバ215はアーム201aに関してチェンバ215の容積を最小化する大きさにされる。
ロードロックチェンバ406からウェーハを除いた後、移動アーム201aは移動チェンバ215中に引っ込み、ゲートバルブ100aは閉じられる。移動アーム201aはウェーハを選択された処理ポート211又は212或いは移動ポート213にもたらすために選択された角度だけ回転する。選択されたウェーハが処理ポート、例えばポート211の所にもたらされると、ゲートバルブモジュール、例えばモジュール100bは選択されたウェーハがロードロック406から移動モジュール200aのチェンバ215内へ移される間は閉じられているが、制御システム(図示せず)によって開かれる。アーム201aは次に処理ポート、例えばポート211及び対応するゲートバルブモジュール例えばモジュール100bを通って、対応する処理モジュール、例えば300aの対応する処理チェンバ、例えば301a内に伸びる。ウェーハは次に、第1図には示されていない手段により取りはずされる。
・・・ポート211及び212そしてゲートバルブモジュール100b及び100を介して、各々移動モジュール200aをウェーハハンドラー及びロードロック400に接続する入出ポート210及びバルブ100aとともに移動モジュール200aに接続された2つの処理モジュール300a及び300bの提供は、ウェーハの非連続処理及び、連続処理装置に比較して増大した処理能力を可能にする。ウェーハをウェーハカセットから移して運ばれた処理モジュール内にオフロードするのに必要な時間は、典型的に、処理モジュール内のウェーハの処理に必要な時間よりもずっと少ない。」(第3頁右上欄13行〜右下欄20行)

3)甲第6号証
甲第6号証の特開昭57-29577号公報には、被処理基板を一枚毎真空処理する真空処理技術に関する発明が開示され、さらに以下の事項が記載されている。

「大気より基板を挿入するための挿入室と、エッチング或は加熱を行なうための前処理室と、スパッタリングにより基板への膜付けを行なうスパッタ室と、処理済の基板を大気へ取出するための取出し室と、前記各室間を必要に応じて開放、封止するゲートバルブと、前記各室を各々排気する手段と、・・・前記各室へ被処理基板を順次搬送する機構とを有する」(第1頁左下欄5〜14行)、

「被処理基板1は、大気中で挿入室2へ収容された後、前処理室3でエッチング及び必要により加熱された後スパッタ室4で膜付けされ、取出室5で再び大気に取出される。」(第2頁左上欄第4〜7行)、

「スパッタリングの終った被処理基板1はスパッタ室4と取出し室15の中間に設けられたゲートバルブ16を通過して取出し室15へ搬送された後大気中へ回収される。」(第2頁右上欄10〜13行)、

「前処理室の基板がゲートバルブ8を通って再びゲートバルブ8が閉じられ、前処理室には新たな基板が搬入されると自動的にバルブ9,バルブ17は再び最初の状態に戻る。・・・バルブ9,バルブ17の操作がゲートバルブ8と関連して動作することにより連続スパッタ装置の効率は高められている。」(第3頁右上欄7〜13行)

(2-3)異議申立人高橋 学の提出した証拠
1)甲第1号証
甲第1号証の特開平1-310553号公報には、半導体ウエハに対してプラズマCVDなどのプロセス処理を行う半導体ウエハ処理装置に関する発明が、第4図とともに開示され、さらに以下の事項が記載されている。

「一方、プロセス反応室1の側方には真空仕切弁を介して第1、第2のロック室8,9が連なり、かつ第2のロック室9には外部から搬入したウエハを一時的に受容保持する中継受け渡し機構10が、また第1のロック室8には前記ウエハ保持機構6、および中継受け渡し機構10との間でウエハの移送、受け渡しを行うハンドリング機構11が配備されている。・・・なお、プロセス反応室1、第1ロック室8、第2ロック室9は真空排気系13に接続して真空状態に維持されている。
また第2のロック室9に対向して室外側にはクリーンベンチ14を備えており、ここにウエハ15を収容したカセット16と前記中継受け渡し機構10との間でウエハ15の移送、受け渡しを行う別なハンドリング機構17が設置してある。
次に前記装置によるウエハの搬送、プロセス処理について説明すると、まず未処理のウエハを収容したカセット16を所定位置にセットし、ここからハンドリング機構17の操作で一枚ずつ取出したウエハ15を真空仕切弁を開いた第2ロック室9の中継受け渡し機構10に受け渡し、再び真空仕切弁を閉じて室内を真空排気する。続いて第1ロック室8と第2ロック室9との間の真空仕切弁を開き、ハンドリング機構11の操作でウエハ15を第2ロック室9より第1ロック室8に取り込んだ後に再び真空仕切弁を閉じる。次にプロセス反応室1と第1ロック室8との間の真空仕切弁を開き、ハンドリング機構11の操作によりウエハ15をウエハステージ12に載せたまま室内側に設置したウエハ保持機構6の真下位置に移動する。続いてウエハ保持機構6を下降操作し、静電チャックのチャック面がウエハステージ12に載っているウエハ15に着地したところで停止し、ここで静電チャックの電極に電圧を印加してウエハ15を静電チャックに吸着保持させる。その後にウエハ保持機構6は再び定位置に上昇復帰し、ハンドリング機構11は第1ロック室8の室内に退避して再び真空仕切弁を閉じる。これによりウエハのローディングが済み、この状態でプラズマCVD等のプロセス処理を行う。
一方、ウエハのプロセス処理が済むと、前記したローディング操作とは逆な順序で処理済みのウエハがウエハ保持機構6よりハンドリング機構11のウエハステージ12に受け渡され、さらに第1、第2ロック室を経て室外に待機しているカセット16に収容される。」(第2頁左上欄2行〜左下欄10行)

2)甲第2号証
甲第2号証の特開昭60-246635号公報(当審が通知した取消理由において引用した刊行物7に対応する。)には、上記刊行物7に記載された事項が記載されている。

3)甲第3号証
甲第3号証の特開平1-251734号公報(上記異議申立人金田幸一の提出した甲第2号証に対応する。)には、上記甲第2号証に記載された事項が記載され、さらに以下の事項が記載されている。

「中央部に配置されたウエハ搬送室1の一方には、これを挟んで両側に夫々ウエハキャリア2を収容するロードロック室3が配設されており、また、ウエハ搬送室1の他方には、ウエハ搬送室1を中心としてほぼ90°の角度間隔をおいて3つのチャンバ4a、4b、4cが同心円上に配設されている。
ウエハ搬送室1内には、各ロードロック室3内のウエハキャリア2とウエハ搬送室1間で、半導体ウエハ5の搬送を行うためのロードロック室側搬送機構6と、このロードロック室側搬送機構6により搬送室1に搬送された半導体ウエハ5を各処理室4a、4b、4cの所定の処理室へと搬送するための処理室側搬送機構7、そして、これら両搬送機構6、7の間に設けられ、両搬送機構6、7により搬送された半導体ウエハ5を一時収容するためのバッファ棚8が設けられている。
このようなCVD装置における半導体ウエハの処理は、まず、ロードロック室側搬送機構6のウエハ保持部例えば搬送アーム6a等により、ウエハキャリア2から所定の半導体ウエハ5を取出して、これを搬送室1内のバッファ棚8へ移載する。そして、処理室側搬送機構7のウエハ保持部例えば搬送アーム7aにより、このバッファ棚8から所定の半導体ウエハを取出し、所定のチャンバへと搬送し、一連の処理を行う。処理終了後の半導体ウエハは、上記動作と逆の動作で搬送して所定のウエハキャリアへ収容する。」(第2頁左下欄1行〜右下欄8行)

(2-4)異議申立人竹野哲雄の提出した証拠
1)甲第1号証
甲第1号証の特開昭64-500072号公報(当審が通知した取消理由において引用した刊行物5、及び異議申立人熊澤邦宏の提出した甲第5号証に対応する。)には、上記刊行物5に記載された事項が記載され、さらに以下の事項が記載されている。

「選択されたウエーハは次にウエーハの平坦面が水平になるように回転されてロードロック406内に置かれる。その時、該ロードロックは大気にさらされている。・・・前記移動アーム201aは移動モジュール200a及びゲートバルブモジュール100aの入出ポート210を通じてロードロックチェンバ406内のウエーハを引き出す。
移動モジュール200aは4つのポート210、211、212及び213を有する。・・・ポート211とそのゲートバルブモジュール100bは移動モジュール200aのチェンバ215を処理モジュール300aのチェンバ301aに接続している。・・・移動モジュール200aの内部チェンバ215は在来のポンピング機構(第1図には図示せず)によって、大気圧よりも低い、選択された圧力に維持される。チェンバ215が排気される速度を高めるために、チェンバ215はアーム201aに関してチェンバ215の容積を最小化する大きさにされる。
ロードロックチェンバ406からウエーハを除いた後、移動アーム201aは移動チェンバ215中に引っ込み、ゲートバルブ100aは閉じられる。・・・ アーム201aは次に処理ポート、例えばポート211及び対応するゲートバルブモジュール例えばモジュール100bを通って、対応する処理モジュール、例えば300aの対応する処理チェンバ、例えば301a内に伸びる。」(第3頁右上欄17行〜右下欄5行)、

2)甲第2号証
甲第2号証の特開平2-61064号公報(当審が通知した取消理由において引用した刊行物1に対応する。)には、上記刊行物1に記載された事項が記載されている。

3)甲第3号証
甲第3号証の国際公開公報WO87/06561号公報は、上記甲第1号証の国際公開公報であって、上記甲第1号証に記載の「制御された低気圧環境が装置のこの部分にもたらされる。」(第3頁左上欄18〜19行)に対応する記載として、甲第3号証には、「A controlled,low particulate atmosphere environment is provided in this portion of the system」(第4頁8〜9行)が記載されている。

4)甲第4号証
甲第4号証の「半導体製造装置用用語辞典」(昭和62年11月20日発行)第183頁には、ロードロック室に関して、以下の記載がある。

「処理室を大気中に開放しないでウエーハの取入れ、取出しを行うことを目的とした真空室。」

なお、異議申立人竹野哲雄は、平成11年8月20日付で上申書を提出し、その中で、特開平1-120811号公報を追加して、証拠資料として提出している。
上記特開平1-120811号公報には、ECRプラズマを用いてプラズマCVD、エッチング等の処理を行う半導体ウエハ装置に関する発明が、第1、2図とともに開示され、さらに以下の事項が記載されている。

「ウエハの搬入、搬出は次記のように行われる。まず第2ロック室の大気側仕切弁を開放した状態で室外配置のハンドリング機構によりカセットから1枚宛のウエハを取り出して第2ロック室内に配備の中継受け渡し機構に送り込む。次いで前記仕切弁を閉じて第2ロック室内を真空排気した後に、常時真空圧に保持されている第1ロック室と第2ロック室との間の仕切弁を開き、第1ロック室内に装備のハンドリング機構によりウエハを第1ロック室内に取り込むとともに第2ロック室との間の仕切弁を閉じる。次に第1ロック室とプロセス反応室との間の仕切弁を開き、第1ロック室内に待機しているウエハをプロセス反応室内に搬入した上で室内に装備のウエハ保持機構に受け渡す。ここでハンドリング機構を第1ロック室内に戻して再び仕切弁を閉じた後に、プロセス反応室内で所定のウエハ処理を行う。ウエハ処理が済むと前記した搬入操作と逆な順序で処理済ウエハがプロセス反応室から第1ロック室、第2ロック室を経由して搬出され、室外に待機しているカセットに収容され、これで枚葉毎の一連の工程が終了する。」(第3頁右上欄10行〜左下欄11行)、

「また前記のウエハ搬送工程ではロスタイム発生の要因となるカセットのロック室内搬入、搬出工程が不要となる他、第2ロック室の中継受け渡し機構をウエハ搬入用、搬出用に2基配備して置くか、あるいは第1,第2のロック室、およびその付属機器を含む設備を一組として、それぞれウエハの搬入用、搬出用として用いる二組の設備を独立してプロセス反応室に接続設置して置くことにより、ウエハの搬入と搬出工程を並列的に行うことが可能となり、これにより従来装置と比べて一連のウエハ搬送工程の所要時間を大幅に短縮してスループットの向上を図ることができる。」(第3頁右下欄2〜13行)

(3)対比・判断
(3-1)本件発明1、2と異議申立人金田幸一の提出した甲第1、2号証に記載のものとを対比すると以下のとおりである。

甲第1号証に記載のものは、上記[2](3-4)の2)において、刊行物2について対比したとおり、本件発明1、2のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室と、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置とを設けた構成ではないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものもない。

甲第2号証に記載のものは、ウエハ搬送室1の両側にロードロック室3を設けているものの、ロードロック室3内に半導体ウエハ5のウエハキャリア2(本件発明1、2のカセットに相当する。)を収納しているから、本件発明1、2のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室と、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置とを設けた構成ではないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものもない。

そして、甲第1、2号証に記載のものを組み合わせてみても、1つの大気搬送装置により、大気中のカセットとロードロック室及びアンロードロック室との間で被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送することは容易に想到することはできない。

(3-2)本件発明1、2と異議申立人熊澤邦宏の提出した甲第1〜6号証に記載のものとを対比すると以下のとおりである。

甲第1号証に記載のものは、一組の真空ロック室17、18(本件発明1,2のロードロック室、アンロードロック室に相当する。)を介してカセット28とチャンバ11との間でウエハ14を搬送しているものの、搬送装置については不明であるから、本件発明1、2のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室と、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置とを設けた構成ではないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものもない。

甲第2、3、4、5号証に記載のものは、上記[2](3-4)の2)において、それぞれ刊行物3、4、6、5に記載のものについて対比したとおり、本件発明1、2のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室と、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置とを設けた構成ではないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものもない。

甲第6号証に記載のものは、前処理室3に基板の挿入室2を設け、スパッタ室4に取出室15を設けているが、ウエハの搬送装置については不明であるから、本件発明1、2のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室と、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置とを設けた構成ではないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものもない。

そして、甲第1〜6号証に記載のものを組み合わせてみても、1つの大気搬送装置により、大気中のカセットとロードロック室及びアンロードロック室との間で被処理基板もしくは処理済基板を1枚毎搬送することは容易に想到することはできない。

(3-3)本件発明1、2と異議申立人高橋 学の提出した甲第1〜3号証に記載のものとを対比すると、以下のとおりである。

甲第1号証に記載のものは、ハンドリング機構11により、ウエハ15を収容したカセット16と第2ロック室に配備した中継受け渡し機構10との間で、ウエハ15の移送、受け渡しを行っているものの、第2ロック室9はハンドリング機構11とともに処理前のウエハと処理済のウエハの移送、受け渡しを兼用しているから、本件発明1、2のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室と、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置とを設けた構成ではないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものもない。

甲第2号証に記載のものは、上記[2](3-4)の2)において、刊行物7に記載のものについて対比したとおり、本件発明1、2のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室と、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置とを設けた構成ではないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものもない。

甲第3号証に記載のものは、上記[3](3-1)において、異議申立人金田幸一の提出した甲第2号証に記載のものについて対比したとおり、本件発明1、2のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室と、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置とを設けた構成ではないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものもない。

そして、甲第1〜3号証に記載のものを組み合わせてみても、1つの大気搬送装置により、大気中のカセットとロードロック室及びアンロードロック室との間で被処理基板もしくは処理済基板を1枚毎搬送することは容易に想到することはできない。

(3-4)本件発明1、2と異議申立人竹野哲雄の提出した甲第1〜4号証に記載のものとを対比すると、以下のとおりである。

甲第1号証に記載のものは、ウエーハハンドラー405(本件発明1,2の大気搬送装置に相当する。)により選択されたウエーハをカセットからロードロックチェンバー406(本件発明1,2のロードロック装置に相当する。)へ移送し、さらに移動モジュール200a(本件発明1,2の搬送装置に相当する。)の移動アーム201aによりロードロックチェンバー406内のウエーハを引き出し、ウエーハの処理が完了すると、ウエーハはロードロックチェンバ406からカセットに戻されるものの、本件発明1,2のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室と、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置とを設けた構成ではない。

甲第2号証については、上記[2](3-4)の1)において、刊行物1に記載の発明について対比したとおりである。

甲第3号証は、同号証に記載の「low particulate atmosphere」からみて、上記甲第1号証に記載の「低気圧環境」(第3頁左上欄18〜19行)は、「低微粒子環境」の誤記であることを明らかにしたものにすぎず、また甲第4号証は、ロードロック室の機能を明らかにしたものにすぎない。

なお、異議申立人竹野哲雄が追加して提出した特開平1-120811号にも、本件発明1、2のように、一組のロードロック室及びアンロードロック室と、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬送する一つの大気搬送装置とを設けた構成は記載されていないし、このような構成に変更するための動機付けとなるものはない。

そして、本件発明1、2は、上記[2](3-4)の2)において示したとおりの顕著な効果を奏するものである。

したがって、本件発明1、2は、異議申立人竹野哲雄の提出した甲第1、2号証に記載された発明ではないし、また同申立人金田幸一の提出した甲第1、2号証、同申立人熊澤邦宏の提出した甲第1〜6号証、及び同申立人高橋 学の提出した甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

[4]むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては、本件発明1,2についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1、2についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1、2についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してなされたものとは認められない。
よって、特許法(平成6年改正法)附則第14条の規定に基づく、平成7年政令第205号第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
真空処理装置用搬送システム及び真空処理装置
(57)【特許請求の範囲】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を一枚毎真空処理する複数の真空処理室に連結された搬送室と、
被処理基板もしくは処理済基板を複数枚収納できるカセットを大気中で載置するカセット台と、
前記大気中のカセットから前記被処理基板を搬入するとともに前記搬送室を介していずれかの真空処理室へ前記被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理基板を搬入するとともに前期大気中のカセットへ処理済基板を搬出するためのアンロードロック室と、
前記大気中のカセットと前記ロードロック室及び前記アンロードロック室との間で前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置と、
前記ロードロック室及び前記アンロードロック室の大気側及び真空側に前記大気搬送装置から独立してそれぞれ設けられ、該ロードロック室及び前記アンロードロツク室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために前記被処理基板もしくは前記処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とを備え、
大気雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロツク室と前記大気中のカセットとの間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記いずれかの真空処理室との間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出することを特徴とする真空処理装置用搬送システム。
【請求項2】
被処理基板を一枚毎真空処理する複数の真空処理室と、
該複数の真空処理室に連結された搬送室と、
被処理基板もしくは処理済基板を複数枚収納できるカセットを大気中で載置するカセット台と、
前記大気中のカセットから前記被処理基板を搬入するとともに前記搬送室を介していずれかの真空処理室へ前記被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室と、
前記大気中のカセットと前記ロードロック室及び前記アンロードロック室との間で前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置と、
前記ロードロック室及び前記アンロードロック室の大気側及び真空側に前記大気搬送装置からそれぞれ独立してそれぞれ設けられ、該ロードロック室及びアンロードロック室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために前記被処理基板もしくは前記処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とを備え、
大気雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロツク室と前記大気中のカセットとの間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロツク室と前記いずれかの真空処理室との間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出することを特徴とする真空処理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空処理装置に係り、特に複数の真空処理室を有する真空処理装置用搬送システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ドライエッチング装置、CVD装置あるいはスパッタリング装置などの真空処理装置においては、定められた複数枚の被処理基板を一つの単位(一般にロットとよばれる)として基板カセットに収納して装置に投入し、処理済みの基板も同一の単位毎に基板カセットに収容して回収することにより、生産の効率化を図るのが一般的な真空処理装置である。
【0003】
しかしながら、上記のような真空処理装置、特にドライエッチング装置、CVD装置など活性ガスによる反応を利用する装置においては、処理を行うに従って反応生成物が処理容器内に付着、堆積するために、真空性能の劣化、ゴミの増加、光学モニタ信号のレベル低下などの問題が生じることがしばしばあり、これを避けるために定期的に処理容器内をクリーニングする作業が行われている。クリーニング作業には、有機溶剤等によって付着物を拭き取る、所謂ウェットクリーニングと、付着物を分解する活性ガスやプラズマを利用するドライクリーニングとがあるが、作業性や効率面からはドライクリーニングが優れており、こうした機能は生産ラインの自動化が進むにつれて不可欠なものとなりつつある。
【0004】
このような機能を備えた真空処理装置の一例として、実開昭63-127125号公報に開示された装置などがあげられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、実開昭63-127125号公報に開示された装置においては、処理室をプラズマクリーニングするにあたってあらかじめ真空予備室に収容されたダミーウェーハを処理室内に搬入し、プラズマクリーニングが終了したら搬送手段によってダミーウェーハを真空予備室に戻すようになされている。このため、ダミーウェーハを収容する真空予備室は、大きな容積を必要とするとともにダミーウェーハ専用の搬送機構を必要とし、装置が複雑化するという問題があった。
【0006】
また、一旦、プラズマクリーニングに使用されたダミーウェーハが、再び真空予備室に戻された後に正規の処理を続行するため、真空予備室内では使用済みのダミーウェーハとこれから正規の処理を受けようとする未処理のウェーハとが混在することとなり、製品汚染の観点から好ましくない。
【0007】
本発明の目的は、上記の問題点を解決し、ゴミの発生や残留ガスなどによる製品の汚染をなくし、高い生産効率と高い製品歩留まりを実現する真空処理装置用搬送システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、被処理基板を一枚毎真空処理する複数の真空処理室に連結された搬送室と、被処理基板もしくは処理済基板を複数枚収納できるカセットを大気中で載置するカセット台と、前記大気中のカセットから前記被処理基板を搬入するとともに前記搬送室を介していずれかの真空処理室へ前記被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室と、前記大気中のカセットと前記ロードロック室及び前記アンロードロック室との間で前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置と、前記ロードロック室及び前記アンロードロック室の大気側及び真空側に前記大気搬送装置から独立してそれぞれ設けられ、該ロードロック室及び前記アンロードロツク室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために前記被処理基板もしくは前記処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とを備え、大気雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロツク室と前記大気中のカセットとの間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記いずれかの真空処理室との間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出する真空処理装置用搬送システムに特徴がある。
【0009】
本発明の他の特徴は、被処理基板を一枚毎真空処理する複数の真空処理室と、該複数の真空処理室に連結された搬送室と、被処理基板もしくは処理済基板を複数枚収納できるカセットを大気中で載置するカセット台と、前記大気中のカセットから前記被処理基板を搬入するとともに前記搬送室を介していずれかの真空処理室へ前記被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室と、前記大気中のカセットと前記ロードロック室及び前記アンロードロツク室との間で前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置と、 前記ロードロック室及び前記アンロードロック室の大気側及び真空側に前記大気搬送装置から独立してそれぞれ設けられ、該ロードロック室及びアンロードロック室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために前記被処理基板もしくは前記処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とを備え、大気雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記大気中のカセットとの間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロツク室と前記いずれかの真空処理室との間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出する真空処理装置にある。
【0010】
本発明によれば、いずれかの真空処理室へ被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室がありこのロードロック室及びアンロードロック室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために被処理基板もしくは処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とが設けられている。そして、大気雰囲気の前記ロードロック室及びアンロードロツク室と大気中のカセットとの間で、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気のロードロック室及びアンロードロック室といずれかの真空処理室との間で、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬入出する。そのため、基板の搬入出に伴い真空処理室とロードロック室またはアンロードロック室が連通状態になっている時間は短い。従って、処理済基板に付着したゴミや残留ガスのロードロック室及びアンロードロック室に持ち込まれる量が少なくなり、ゴミの発生や残留ガスなどによる製品の汚染をなくし、高い生産効率と高い製品歩留まりを実現する真空処理装置用搬送システムを提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1により説明する。
【0012】
図1は、本発明による真空処理装置の、半導体ウェーハに対するドライエッチング処理を行う装置への応用を示す図である。
【0013】
装置は、未処理のウェーハ(基板)を収納した状態で、装置に処理対象を供給し、かつ処理済みのウェーハ(基板)を再度元の位置に収納して回収するための、複数(通常25枚)のウェーハ(基板)を収納できる複数のカセット1a、1bおよび1c、該カセット1a、1b、1cを載置し、装置への導入/払出しの位置を決定するための、位置及び姿勢を変えることがなく、水平又は水平に近い平面の上に常に一定位置に固定されたカセット台2a、2b、2c、図示しない真空排気装置及びガス導入装置を装備し、ウェーハを真空雰囲気に導入するためのロードロック室(基板受入室)5、同じくウェーハを大気中に取りだすためのアンロードロック室(基板取出室)6、ウェーハにエッチング処理を施すためのエッチング11、それらをそれぞれ気密に分離可能な隔離弁12、及びロードロック室(基板受入室)5/アンロードロック室(基板取出室)6とカセット1a、1b、1cとの間に配置され、X、Y、Z及びθ軸を有するロボットを備えた、ロードロック室(基板受入室)5/アンロードロック室(基板取出室)6とカセット1a、1b、1cとの間でウェーハ(基板)を授受するための第1搬送装置13から構成されている。
【0014】
装置の動作としては、まず、未処理のウェーハ(基板)を収納したカセット1a、1bがストッカ(図示省略)から装置へとロボット又はオペレータにより供給され、カセット台2a、2bに載置される。この時カセット台2a、2bは水平な同一平面上にあるため、カセットの供給動作を単純化することが可能であり、生産ラインの自動化への対応が容易である。一方、カセット台2cには、ダミーウェーハを収納したカセット1cが載置される。
【0015】
装置は、カセットに付与された生産情報を自ら認識するか、上位の制御装置から送られる情報に基づくか、あるいはオペレータの入力する命令によるか、いずれかの方法によりウェーハに処理を行うことができる。
【0016】
カセット1aに収納された未処理のウェーハ(基板)20を第1搬送装置13により抜き取り、第1搬送装置13に対してカセット1aとは反対側に配置されたロードロック室(基板受入室)5へ隔離弁12aを通して搬入する。このときウェーハ(基板)20は、カセット1a内のいずれの場所に収納されたものでも良い。ウェーハ(基板)20は、隔離弁12aからロードロック室(基板受入室)5に入った後、隔離弁12bからアンロードロック室(基板取出室)6を出るまで、装置外部の雰囲気とは完全に遮断された状態にあるので、隔離弁12a、12bを境にして仕切りを設け、カセット台2a、2bとそこに載置されたカセット1a、1b及び第1搬送装置13のみを清浄度の高いクリーンルーム側に置き、残りの部分は清浄度の低いメインテナンスルーム側に置くことができる。ロードロック室(基板受入室)5は、隔離弁12aを閉じた後、排気装置(図示省略)によって所定の圧力まで真空排気され、次いで、隔離弁12bが開放されてウェーハ(基板)20は、搬送室16に設置された真空搬送装置(図示省略)によりエッチング室11(11a,11b,11c)へ搬送され、試料台8(8a,8b,8c)上に載置される。
【0017】
エッチング室11に搬入されたウェーハ(基板)20は、所定の条件によりエッチング処理を施される。この間に、ロードロック室(基板受入室)5は隔離弁12a、12bを閉じた状態で、ガス導入装置4により大気圧に復帰され、開放された隔離弁12aから1枚目のウェーハと同様に2枚目のウェーハ(基板)が第1搬送装置13によって搬入され、再び排気装置によって所定の圧力まで真空排気される。1枚目のウェーハ20のエッチング処理が終了すると、隔離弁12cが開かれて処理済みのウェーハ(基板)20がアンロードロック室(基板取出室)6に搬出され、続いて隔離弁12cが閉じられ、隔離弁12bが開かれて2枚目のウェーハ(基板)がロードロック室(基板受入室)5から搬入され、隔離弁12bを閉じた後エッチング処理が開始される。
【0018】
アンロードロック室(基板取出室)6に搬出された処理済みウェーハ(基板)20は、アンロードロック室(基板取出室)6を大気圧に復帰した後、隔離弁12dを通して第1搬送装置13によって大気中に取りだされ、当初収納されていたカセット1a内の元の位置へ戻される。
【0019】
以上の動作を繰り返して、カセット1aに収納されていた未処理ウェーハの処理が完了し、元の位置に再収納し終わるとカセット1aは回収可能となり、別の未処理のウェーハを収納したカセットと交換されるが、装置はその間カセット1b内の未処理ウェーハの処理を続けており、カセット1bの全てのウェーハの処理が完了する前に別の未処理のウェーハを収納したカセットが供給されれば、装置は常に連続的に稼働可能である。この時カセット1a、カセット1bは水平な同一平面上にあるため、カセット1aの回収作業及び別の未処理のウェーハを収納したカセットの供給作業を、第1搬送装置13によるカセット1bへのアクセスに影響を与えることなく行うことができる。
【0020】
エッチング室11は、処理を重ねるにつれて反応生成物が内壁面に付着、堆積してくるためにプラズマクリーニングによって付着物を除去し、元の状態に復旧してやる必要があるが、プラズマクリーニングの実施に当っては、カセット1cに収納されたダミーウェーハ30を第1搬送装置13によって抜取り、以降は前記被処理ウェーハ20の場合と全く同様にして処理を行った後、ダミーウェーハ30をカセット1c内の元の位置に戻すことができ、ダミーウェーハ30は常にカセット1c内にストックされていることになる。尚、カセット1cのダミーウェーハ30が全てプラズマクリーニングで使用された場合や、数回の使用により使用不良となった場合、ダミーウェーハ30はカセット1cごと全て交換される。
【0021】
従って、プラズマクリーニングを特別な処理シーケンスとして扱う必要は無く、通常のエッチング処理の中に組み込んで一連の作業として行うことができ、クリーニングを実施する周期も任意に設定することが可能である。装置のハードウェア上からもプラズマクリーニングの為の専用の機構は必要が無く、複数のカセット台の一つ(本例の場合2c)にダミーウェーハ30を収納したカセット(本例の場合1c)を設置するだけで良く、プラズマクリーニングの必要が無い用途の場合には、ダミーウェーハ30を収納したカセットの代わりに、被処理ウェーハ(基板)20を収納したカセットを設置することにより、より効率良く生産を行うことができることは説明するまでもない。
【0022】
また、一旦プラズマクリーニングに使用されたダミーウェーハは、再び大気中の元のカセットに戻るようになされているので、真空室内では使用済みのダミーウェーハとこれから正規の処理を受けようとする未処理のウェーハとが混在することがなく、製品の汚染の心配も無い。更に、使用済みのダミーウェーハは、カセットの元の位置に戻されるので、使用済みのダミーウェーハと未使用のダミーウェーハまたは使用頻度の少ないダミーウェーハと高いダミーウェーハとの混同を防止でき、プラズマクリーニングにダミーウェーハを有効に、かつ、不都合なく使用し得る。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ゴミの発生や残留ガスなどによる製品の汚染をなくし、高い生産効率と高い製品歩留まりを実現する真空処理装置用搬送システムを提供することができるという効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例のドライエッチング装置の平面図である。
【符号の説明】
1…基板カセット、2…カセット台、5…ロードロック室(基板受入室)、6…アンロードロック室(基板取出室)、8…試料台、11…エッチング室、12…隔離弁、13…第1搬送装置、16…搬送室、20…ウェーハ(基板)、30…ダミーウェーハ。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
(1)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許請求の範囲の請求項1の4〜7行に「前記大気中のカセット・・・アンロードロック室と、」とあるのを、「前記大気中のカセットから前記被処理基板を搬入するとともに前記搬送室を介していずれかの真空処理室へ前記被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室と、」に訂正する。
(2)特許請求の範囲の減縮を目的として、同請求項1の7〜8行に「前記大気中のカセットと・・・搬送装置と、」とあるのを、「前記大気中のカセットと前記ロードロック室及び前記アンロードロック室との間で前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置と、」に訂正する。
(3)特許請求の範囲の減縮を目的として、同請求項1の9〜12行に、「前記ロードロック室・・・隔離弁とを備え、」とあるのを、「前記ロードロック室及び前記アンロードロック室の大気側及び真空側に前記大気搬送装置から独立してそれぞれ設けられ、該ロードロック室及び前記アンロードロツク室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために前記被処理基板もしくは前記処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とを備え、」と訂正する。
(4)特許請求の範囲の減縮を目的として、同請求項1の13〜16行に「大気雰囲気の・・・一枚毎搬入出する」とあるのを、「大気雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記大気中のカセットとの間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記いずれかの真空処理室との間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出する」と訂正する。
(5)明りょうでない記載の釈明を目的として、同請求項2の5〜8行に「前記大気中のカセット・・・アンロードロック室と、」とあるのを、「前記大気中のカセットから前記被処理基板を搬入するとともに前記搬送室を介していずれかの真空処理室へ前記被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室と、」に訂正する。
(6)特許請求の範囲の減縮を目的として、同請求項2の8〜9行に「前記大気中のカセットと・・・搬送装置と、」とあるのを、「前記大気中のカセットと前記ロードロック室及び前記アンロードロック室との間で前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置と、」に訂正する。
(7)特許請求の範囲の減縮を目的として、同請求頃2の10〜13行に「前記ロードロック室・・・隔離弁とを備え、」とあるのを、「前記ロードロック室及ひ前記アンロードロック室の大気側及び真空側に前記大気搬送装置から独立してそれぞれ設けられ、該ロードロック室及び前記アンロードロツク室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために前記被処理基板もしくは前記処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とを備え、」と訂正する。
(8)特許請求の範囲の減縮を目的として、同請求項2の14〜17行に「大気雰囲気の・・・一枚毎搬入出する」とあるのを、「大気雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記大気中のカセットとの間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記いずれかの真空処理室との間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出する」と訂正する。
(9)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0008】の2〜末行に「被処理基板を・・・特徴がある。」とあるのを、「被処理基板を一枚毎真空処理する複数の真空処理室に連結された搬送室と、被処理基板もしくは処理済基板を複数枚収納できるカセットを大気中で載置するカセット台と、前記大気中のカセットから前記被処理基板を搬入するとともに前記搬送室を介していずれかの真空処理室へ前記被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室と、前記大気中のカセットと前記ロードロック室及び前記アンロードロック室との間で前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置と、前記ロードロック室及び前記アンロードロック室の大気側及び真空側に前記大気搬送装置から独立してそれぞれ設けられ、該ロードロック室及ひ前記アンロードロック室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために前記被処理基板もしくは前記処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とを備え、大気雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記大気中のカセットとの間で、前記彼処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記いずれかの真空処理室との間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出する真空処理装置用搬送システムに特徴がある。」と訂正する。
(10)明りょうでない記載の釈明を目的として、同明細書の段落【0009】の1〜末行に「被処理基板を一枚・・・真空処理装置にある。」とあるのを、「被処理基板を一枚毎真空処理する複数の真空処理室と、該複数の真空処理室に連結された搬送室と、被処理基板もしくは処理済基板を複数枚収納できるカセットを大気中で載置するカセット台と、前記大気中のカセットから前記被処理基板を搬入するとともに前記搬送室を介していずれかの真空処理室へ前記被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室と、前記大気中のカセットと前記ロードロック室及び前記アンロードロック室との間で前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬送する1つの大気搬送装置と、前記ロードロック室及び前記アンロードロック室の大気側及び真空側に前記大気搬送装置から独立してそれぞれ設けられ、該ロードロック室及びアンロードロック室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために前記被処理基板もしくは前記処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とを備え、大気雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記大気中のカセットとの間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気の前記ロードロック室及び前記アンロードロック室と前記いずれかの真空処理室との間で、前記被処理基板もしくは前記処理済基板を一枚毎搬入出する真空処理装置にある。」と訂正する。
(11)明りょうでない記載の釈明を目的として、同明細書の段落【0010】の1〜11行に 「本発明によれば、・・・少なくなり、」とあるのを、「本発明によれば、いずれかの真空処理室へ被処理基板を搬出するためのロードロック室と、いずれかの真空処理室から前記搬送室を介して前記処理済基板を搬入するとともに前記大気中のカセットへ前記処理済基板を搬出するためのアンロードロック室がありこのロードロック室及ひアンロードロック室を大気雰囲気もしくは真空雰囲気に切り替えるために被処理基板もしくは処理済基板を搬入出する毎に開閉される隔離弁とが設けられている。そして、大気雰囲気の前記ロードロック室及びアンロードロック室と大気中のカセットとの間で、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬入出するとともに、真空雰囲気のロードロック室及びアンロードロック室といずれかの真空処理室との間で、被処理基板もしくは処理済基板を一枚毎搬入出する。そのため、基板の搬入出に伴い真空処理室とロードロック室またはアンロードロック室が連通状態になっている時間は短い。従って、処理済基板に付着したゴミや残留ガスのロードロック室及びアンロードロック室に持ち込まれる量が少なくなり、」と訂正する。
異議決定日 2001-01-12 
出願番号 特願平8-335329
審決分類 P 1 651・ 113- YA (H01L)
P 1 651・ 121- YA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大日方 和幸森 健一  
特許庁審判長 関根 恒也
特許庁審判官 中澤 登
雨宮 弘治
登録日 1998-08-14 
登録番号 特許第2816139号(P2816139)
権利者 株式会社日立製作所
発明の名称 真空処理装置用搬送システム及び真空処理装置  
代理人 竹ノ内 勝  
代理人 高田 幸彦  
代理人 竹ノ内 勝  
代理人 白石 吉之  
代理人 江原 省吾  
代理人 高田 幸彦  
代理人 田中 秀佳  

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